マブラヴ・リヴァイヴ 
プロローグU 再開の宴
 

人は外見で判断されることが多い。だからこそ、人は、自分の姿を偽りその姿を擬態させていく。髭を生やし、胸を張って歩いてみたり、眼鏡をかけたりして、 自分の姿を変えてまで人は他人の評価を気にする。
まぁ、それこそ、哺乳類は集団だからこそ生きていけるもんだからな。ただ、人間は見てくれも含めて評価するからな。
彼女たちと再会して、さすがに軍人としての心構えができていた。いきなり、敬礼を返された。それを苦笑しながら、彼女たちを見つめた。自分とどこかが違 う。
自分とは、どこかが違う。そのとき、思うことは彼女たちが進む道にきっと自分が共に在ることはない。彼女たちは、自分の限界をしらない、だから、上へ上へ といける眼をしている。
限界を知った自分は、上にいけるのだろうか。限界を知り、己を知ったからこそ彼女たちのように目の前に立ちはだかる壁を越えられないだろと考えてしまう。
 まぁ、性格は変わっていないが。
「よく・・・それだけ食えるわね。」
「騎士は食わねど、ってな。食える時に食う。食えない時は堪える。今は食えるときだから食う!」
空になった丼を重ねカツ丼に箸をつけかきこんでいく。厚みのある豚肉を噛み千切り肉汁が飛び重なった半熟の卵と甘みのあるタレの染み込んだ米とあいまって 胃袋を満たしていく。所要時間10分にて丼をたいらげた。そして、空っぽの丼と皿が何枚もつみかさなっていた。
「まったく、食い意地をはっているところだっけは変わってないわね。」
「うるせぇ、上官侮辱罪でしょっぴくぞ。」
「しかし、まさか、そなたが大佐とわな。しかも、単なる衛士であるその身が佐官の身になるとは・・・未だに信じられん。」
「そうそう。タケルの噂は、昔のタケルと全然違うんだよ。」
「へっ?」
武は、間抜けな声を出した。確かに自分で自身の評価をしてきてはいたが、他人からの評価など気にしたことなどなかった。
「そうそう、例えばね『黒鳥を従えBETAを狩る白銀の騎士』とか・・・。」
「あとは、『戦場のカリスマ』とかね。」
「そうだな、他にも『不死身の白銀』なんかもあったな。」
「あ、あとは、『黒衣の救世主』とかも言われてたよね。」
「ははは・・・。」
上から順に美琴、榊、冥夜、珠瀬という順にここまで届けられた武の噂を話され武自身自分がここまで美化されているとは全く思ってなかったので乾いた笑いで 返していた。
「・・・・・極度の女たらしとか。」
彩峰のその言葉に周りシーンとした・・・武も声が出ず固まっていた。
「なぁ、その・・・なんだ?極度の女たらしってのは・・・。」
冷や汗をかきながら身に覚えのないその噂を聞いてしまった・・・だが、武は、墓穴を掘った、やぶ蛇そんな言葉がぴったりだった。
「それは、そなたが一番身に憶えがあるのではないか?」
冥夜が冷たい目をして武を見てきた。
「そうね、白銀。そこのところどうなの?」
「そうだよ、タケル・・・白状したほうが身のためだよ?」
「いや・・・あははは・・・。」
「タ〜ケ〜ル〜さ〜ん。」
「・・・・・・・・・・・・。」
全員が俺を見つめてきた。ちょっと待て!身に覚えが無いぞ!!っていうかそんな目で見るな!!恐ぇ!マジ恐ぇ!!
「失礼ですが白銀武大佐ですか?」
「ん?」
振り向くと後ろにはサングラスをかけたスキンヘッドの黒人の男がたっていた。男の額には抉られたような傷跡があり、サングラス越しからでも分かる熱い視線 が武にそそがれていた。
「あんたは・・・その服のマークから見てバジリスク中隊のカーウェイン大尉だな?」
「名前を覚えていただき光栄です大佐。しかし、今は、グリフォン中隊に所属しています。」
「部下の名前は覚えるさ。共に戦地を駆けることになるだからな。」
その言葉に女性陣は一瞬顔をしかめた。彼ら二人は初対面のようだ。BETAの駆逐が終わり平和な日々が続いていたというのに何故、戦地を駆けることになる のだろう。そして、今まで見たことのない部隊が横浜基地に編入されてきていたのだった。
「その通りです大佐。だからこそ、お願いがあります。」
「ああ、その様子だと・・・あれか?」
男・・・カーウェインの後ろにいる他の隊員達を見つめる。そこにあるのは、恐れ、恐怖。彼らの目は・・・未来に恐怖を感じていた。未来の上官になるであろ う
白銀武の姿を見て。
 (確かに、こんな若造が自分たちの命を預ける上司なら当然か。)
「いいぜ。模擬戦でもしますか。大尉?」
「なっ!」
誰かが驚いた声を出す。それは、そうだ国連軍最強エースで機体性能も上な聖神を扱うからといって相手も訓練を受けてきた衛士。それを一人で相手をするのは 不可能であり、部隊への侮辱である。
「大佐お一人で私の部隊全員とですか?」
「あー、そうだな。」
確かに、それでは、こちらが不利であり正当な指揮能力が見れない。彼は大佐であり、人の上に立ち人に指示する立場にいる。
「だったら、俺にも一口かませてくれ。」
「私も参加させてもらいたいな。」
その声に視線が向けられる。一人は、男であった。だが、普通の男ではないカウボーイのような服装がウエスタン映画からでてきたような姿であった。
もう一人は、女。見目麗しく、凛とした表情に釣りあがった目に強さを感じる。そして、光を飲み込みそうな青い髪。
「零夜さんに剛田か・・・。」
そして、彼らこそ白銀武の両腕にして武の部隊ヴァイスの主力メンバーであった。

「さて、相手は不知火5体だ。しかも、グリフォン中隊のカーウェイン大尉は、BETAの撃墜数が国連記録ナンバー6だ。手ごわいぜ。」
「あん?こっちには、ナンバー1のお前とナンバー8の俺がいるんだ。負けるはずがない。」
「油断をするなよ。慢心すればつけいりやすい。」
「って、零夜少佐。少しは、俺を信用してくれてもバチは、あたらないと思うんですがね。」
「それならば、突っ込む癖を直して方がいい。」
「いいや、真っ向勝負大いに結構 !奇襲は、俺の性に合わん。」
「お前、俺にけんか売ってんのか?」
ヴァイス部隊の駆る機体が戦いを待っていた。1機は、最新鋭のF22ラプターとカスタムされた撃震であった。
だが、撃震もカスタムというよりも別の機体に見えた。重装甲でありながら速さを殺さないように背中に高性能スラスターを装備し、古代の騎士のような風貌で あった。
だが、それよりも、重層な巨躯があった。全身を漆黒の鎧で包み込み背中には、巨大なスラスターやジェットパック、そして、腰の部分にジャンプユニットを装 備していた。まるで、岩。神話に出てくる岩でできた巨人を思わせる機体。
それが白銀武の駆る黒鳥と呼ばれゴーレムとも言われる機体。『聖神(ヒジリノカミ)』の姿であった。
そして、それに対峙する5体の不知火(シラヌイ)が立っていた。肩に刻まれたグリフォンのエンブレムが彼らの誇りである。彼らの生き様である。
他には、英雄の姿を一目見ようとモニターを見つめる女性陣や男性陣が大勢いた。

「にしても、あれが、ヴァイスの機体。すごいお金のかけようだよね。」
「仕方ないは、ヴァイス部隊は、なによりも話題性が高いからね。戦術機にも金をかけているんでしょう。」
人気のある部隊と言えば何処か?そんな質問が言えば、老若男女問わず「ヴァイス」と声を高らかに答えてくれるだろう。それほどまでに、浸透している。何度 も戦場カメラマンが勇姿をフイルムに納め、漆黒の機体から姿を現した若い衛士の姿に人々に勇気を与える。それこそ、白銀武率いるヴァイスの存在であった。
「にしても、剛田大尉。あの人・・・えっと名前は。」
「御剣零夜。我が姉にして私の尊敬する人だ。」
「えっ。」
その零れた言葉と共に戦術機が駆け抜けた。
開始の合図と共に武の機体が空を舞った。聖神は、重量があり過ぎるために歩行が出来ないため移動は、全てホバー移動である。その為に行動は、一時的に空を 飛んでからの強襲攻撃を得意としていた。
「ちっ!いきなり空中戦か!」
不知火がいきなり飛び上がった。グリフォン部隊は入隊したばかりのヒヨコばかりであった。そのなかでもエディーは、短気な性格だ。頭に血が上りやすい部下 に舌打ちをしながらカーウェインは命令を下す。
「ロバート、エディーを援護しつつ奴の足止めをしろ。」
「了解!」
命令を受けロバートの不知火が脚部スラスターを起動させ、飛び上がる。同時に銃を構え発射するが白銀機の動きは、変則的で敵の射撃の着弾点を読むように攻 撃を避けていく。
武の戦術眼と操縦テクニックがもはや人の領域を超えているそんな事を思わせる動きであった。そして、何故あの機体が空中であの動きが出来る理由は、背中に ある飛行ユニットのためである。
だが、このユニットは、『衛士殺し』とまで呼ばれたユニットであった。とてつもない機動力とパワーを持ち高速機動兵器では、最強のサポートユニットであっ たが衛士に与えるGが普通の衛士では、耐えられなくそれでいて使いこなせないと言われたユニットであったが白銀が次世代戦術機「アーマーユニット」の先駆 けである『聖神』を使いこなせたのは、努力というよりも執念であるとしかいえない。
「よし、釣られてきたな。このまま、2機いただいておくか。」
武の言葉を了承したように聖神が咆哮するような重い機械音を出し急降下、そして、円を描き不知火の背中を捉えた。
「は、はやい!?」
慣れない空中戦にジャンプユニットとパイロットの様子が苦い顔をする操縦を立て直そうとする。その時間が命取りになった。
聖神の両腕の装甲に隠された小型ガトリング砲が敵機を赤い色に染め上げ、終了を知らせるアラームが不知火にあがる。
「ちっ、よくもエディーを!!」
銃口を聖神に向けて銃弾を撃ちだす。だが、それを武は、横に避けた。
「よ、横にそれやがった。」
変則的な動きドリフトを可能にする可動式スラスターが聖神を空の王者にへとさせる翼である。自由に空を動けない不知火に対し聖神は縦横無尽に空を駆け回 る。
「ち、隊長。あの馬鹿やられちまったみたいですぜ。」
「無駄口をたたくな。敵機は、白銀だけじゃない。」
馬鹿のエディーには、あとで拳骨を全隊員2発ずついれるとして、その前に零夜と剛田機がいる。彼らもまた国連の撃墜数のレコーダー保持者である。
「落ちろ!堕ちろーーー!!!」
「むっ。避けろ!」
声とレーダーが敵機に反応を感じ、前から現れた戦術機の肩部カノン砲を避ける。しかし、音声をこちらに送ってくるとは、間違いなく何か企んでいるとしか言 いようがない。
攻撃を避けたという安心しなかった。カーウェインと避けたという安心に捉えられたマイク。どちらかが生き残るかといえば。
「マイク上だ!」
「へ?」
カノン砲を避け安心しきっていたマイクの上空から銃弾が不知火の身体を真っ赤に染め上げた。そして、そのまま銃口をカーウェインの不知火に向ける。
「ちっ、ラプターか。確かにあの機体ならレーダーで探知はできんからな。」
「さすがは、元はバジリスクの隊長。そうそう簡単に討たせてくれなさそうだ。」

「ちっ、白銀は、2機目撃破。零夜少佐は、1機か。」
「もらった!!」
立ち止まった剛田の機体を見て警戒心なく近寄っていったグリフォン部隊の不知火が迂闊に近寄っていった。あとは、引き金を引けば1機落とせると短絡的だっ た。
しかし、いきなり剛田の機体が180度反転をし一気に不知火との距離を詰め長刀によって胴体を打たれる。
「そ、そんな。」
「油断大敵?まぁ、機体の特性が分からない時は不用意に近づかないほうが身のためだぜ。俺も人のことを言えんがな。」

「は、速い・・・」
「何よ・・・あのスピード・・・あんなの反則じゃない・・・。」
「すごいよ。タケル!!」
「・・・・・ありえない。」
 驚嘆の声を上げる面々と対照的に冥夜は何も言わず戦闘を観察する。その様子に、たまは恐る恐る冥夜にたずねた。
「み、御剣少佐すごいね。」
「ああ。」
それしか言わない。彼女と彼女の関係は根が深いのかもしれない。だが、それを語るには・・・まだ時が満ちていない。

銃弾を避けあい、間合いを取り合う。コンクリートのビルに赤い跡をつけていく。
「操縦技術では、カーウェイン大尉に分がある。機体性能は、こちらが上か。」
ピピッ。
「む、コード『ゴースト』か。了解。」
そのコードが届いてからラプターが後ろに下がり始めた。それを見て視線をめぐらすカーウェイン。自分の部下は全員やられ自分しか残っていない。自分の部下 の力量と白銀武の力を見てみたかった。だが、分かったことといえば自分の部下が新兵同然だったということだけだった。
グリフォン部隊は、BETAを相手に隊長以外の隊員は殺されてしまった。だからこそ、不甲斐ない自分を責めた。だからこそ、若すぎることが不安だったの だ。だが、彼の操縦技術と2人部下の信頼をみれば分かる。不確定な要素は多いだろうが・・・。
口元を緩めそんな事を思っているとレーダーが機影を捉えた。大きさを言えばラプターでも聖神でもない。とすれば。
「ファントムタイプ!」
「もらったぁ!」
刃を振り下ろすが上体をそらし装甲を掠めるだけですむ。機体に大きく負担がかかる体勢だが上体を戻し不知火が攻撃をするのに問題はない。
「1つ!」
「やらねぇよ!!」
カスタム撃震の両足につけられたタイヤを起動させ180度回転させ不知火の攻撃を刀が防ぐ。これが、大きく小回りの利かない撃震を少しでも小回りをさせる ための工夫の1つである。
カーウェインは、仕留めそこなったことに舌打ちをする。一旦相手から距離を離し突撃砲を向ける。
「主役を忘れんなって。」
だが、息をつかせない時間で聖神が真正面から襲い掛かってくる。だが、これぞ好機である銃口を聖神に向ける。しかし、聖神は、そのまま急上昇していく。そ れに、呆気にとられる。
だが、油断ができた。呆気という隙に襲い掛かる襲撃者。
「もらいうける。」
「まさか!」
背中をナイフが突き刺される。それと同時に終了を知らせる。3組によるフォーメーション。2人がかく乱し1人が確実に止めを刺すフォーメーション『ゴース ト』少数相手には有効な技のひとつであった。

「ふぅ〜・・・疲れた。」
「ふふふ、俺の見事な活躍ぶり、これで俺の株もドドンとあがるぜ。」
「その前に、訓練のしなおしだ。フォーメーションのタイミングが0.02ズレがでた。」
「げぇ、姉さん。止めてくれよ〜〜、俺はこれから茜会(あかねのかい)の会合に。」
情けない剛田に零夜が壁を殴る。『ガツン!』と鈍器などの硬いもので殴ったかのように壁がへこんだ。
「返事を聞かせてもらおうか?」
「Yes.マム。」
「よろしい。」
歩き始めると待ち構えていたかのように冥夜達がいた。その目は、尊敬、唖然、羨望などが入り混じっていた。その中でも冥夜は零夜の顔だけをじっと見つめて いた。
「おっ、どうしたみんな。」
「え、その。見事としか言えないわね。」
「グリフォン中隊を負かす。やっぱり、ヴァイスってすごいんだね。」
「うん。ホントッ!驚きましたミキ感激です。」
「なぁはっはっはっはっは!!そうだろ、そうだろう!俺様の実力は名実ともに最強!撃墜率国連軍ナンバー8であり、国連軍ダンディな男ナンバー1の俺の名 は、天を貫き全宇宙、全銀河を轟かすことだろう。」
これを噛まずに言い切る男。見得をきったその姿に「よっ、剛田屋!」とでも言ってやりたいほどの見事さ。
だが・・・。
「さすが、大佐の名は伊達じゃないね。」
「・・・驚き。」
「やめろよ。周りのサポートがあったからこそだ。」
「謙遜しなくていいですよぉ〜。」
だが、見事な花を咲かしたとしても見られなくては、ただ過ぎ去るのを待つのみ、その虚しさもまた、見事としか言えぬほど真っ白になっていた。
「姉上。」
その中で二人だけが縁者が互いに見つめあう。冥夜は、何もいえずに口元を噛み締めて言葉をつむぎだそうとする。
「あの・・その・・・。」
「冥夜。」
「は、はい!!」
大きなその声に辺りがそちらを向く。そこには、蛇ににらまれた蛙の様に身体を硬直させる女の子がいた。
そんな女の子の肩に優しく手を置いて彼女を見つめる。
「あ、姉上?」
「肩に力が入っているぞ。ゆっくり、息を吐いて・・・肩の力を緩めろ。」
その言葉に自然と肩の力を抜いていく。それを見て、暖かい笑顔を浮かべ女の子を安心させる。
「すまないな。子供な姉で、お前にもあの方にも、きっと心苦しい思いをさせただろう。」
「そ、そんなことは。」
「いいさ、それよりも・・・まだ、私を姉だと慕ってくれるか冥夜。」
「も、勿論です。」
「そうか、私も愛しているよ、冥夜。」

「あ、姉上。」
そんな様子に武は、息をつき安心して優しい顔をしていた。他のみんなは状況をつかめていないが暖かな顔をして辺りを見ていた。
「白銀大佐。」
その中で低い男の声が武の後ろから聞こえる。振り向けば、憑き物がおちた表情をしたカーウェインがいた。
「お見事でした。」
「いいや、大尉こそ。新卒部隊でよくここまで。」
「ええ、だからこそ・・・心配なのですがね。」
カーウェインは、苦い顔をする。それに対し、武もまた同じ表情をする。
「練度の問題は仕方がないでしょう。彼らは、米軍のしかもBETAと戦闘経験の少ない部隊出身でしょ?」
「ええ、だからこそ。私は、月奪還がうまくいくのか・・・不安で仕方がないのですよ。」
「つき・・・奪還?」
その言葉をゆっくりと租借し、再び言葉としてはきだす。しかし、その言葉をはきだした途端に空気が急激に冷えてきたのを感じた。。



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