放課後の教室、赤い夕日が差し込む中、ライは夕日を眺めていた。

その光景にシャルロットはそれに見惚れていた。


そして、勇気を出してライに声をかけた。

「ラ、ライ!!」



ライは声がするほうに顔を向ける。

「シャル? どうしたの?」



「あ、あのね・・・ぼ、僕ライの事が・・・」


シャルロットはどうしても以前まではその先が言えなかったが、何とか勇気を振り絞って。


「ライの事が好―――」



「ほう〜、面白い事をやってるなデュノア?」


「お、織斑先生!?」


「千冬さん?」


突然の乱入者にシャルロットは驚いたが



「千冬さん!?」



ライの織斑先生の呼び方に一番驚いた。




「ライ、お前に・・・その・・・頼みたい大事な仕事がある」


頬を赤くして言う千冬。


「わかりま――――」


ライが返事をしようとしたとき。


「待て待て、先に私の用事だろライ」


すると、突然どこからかシャルロット達が知らない女性が立っていた。

「ノネットさん!?」


「誰だお前は?」



「私か、紹介したいのはいいが時間がない。ライ直ぐに行くぞ」

「え!?」



「私の両親が結婚しろと煩くてな」


「それでなぜ、僕を呼び出すんですか?」


「待て、・・・ランペルージはまだ学生だ。そんな事が認められるわけないだろ」


「ん?なんだお前は?」


「わ、私はランペルージの担任だ」



「そうか、だが担任が生徒の家の事情に突っ込むのはいただけんな。
止めたいのなら、力ずくで止めたらどうだ? 見たところお前も中々鍛えてるようだし」



「望むところだ」



二人の戦いが始まった。

ライはどうしてこうなったかわからず、遠く眺めるような視線で現実逃避をする。
対してシャルロットは二人の戦いを見て二人の身体能力に驚愕していた。



(織斑先生は兎も角、あの人も凄く強い。
それに、先生が押されてる!)



「くっ!!」


「いやいや、すごいな。身体能力、判断能力はラウンズ級だが、
惜しい事に実戦の経験がなさ過ぎるな」





二人が戦闘と会話していると。



「さあ、ライさま今すぐ結婚式を」



「神楽耶さま!?」


「そうよ、早く行くわよ」


「そうね、早くしないと邪魔者が増えそうだし」


「カレン!? ミレイさん!?」


ノネットと名乗った人と同じ様にいきなり現れた。



「は〜い、久しぶりねライ」


ミレイはそのままライに抱きついた。


「ちょ!!」



シャルが声を上げようとしたら、シャルより早くカレンは声を上げた。

「会長、なに抜け駆けしてるんですか!!」


「あら、アナタもやればいいじゃない?」



「なら、わたくしも」


神楽耶はそう言って、ライの片腕に抱きついた。


「な・・・な・・」



シャルは混乱する。

シャルに追い討ちをかけるようにランスロットが登場し場が更に混乱していく。



「ライは渡さないよ!!」



「「「スザク!?」」」


「今度はロボット!?」



「何やってるんだスザク?(それに、教室ってこんな広かったか?)」



ライはチャンスとばかり、ミレイ達から少しはなれて質問した。




「まさか、スザク。アンタそっち系?」




スザクが答える前にカレンはいやいや質問したら。




「僕はユフィの騎士だ。ユフィが望むなら」



「あの皇女か!?」



カレンが怒りを露にしていると




「その気持ちは痛いほどわかるぞ、枢木スザク」



「神虎!?ってことは星刻!!」




「私も天子さまの為に!!」



悲痛な声で叫ぶ星刻をみて、カレンと神楽耶は、
『血涙を流してるんだろうな』と同情的な目で神虎を眺めていた。



「こ、これどういう展開!?」



シャルはもはや混乱しているが、場の混乱は更に加速した。


「待てい、私も参加させてもらう」


そこに現れたはヴィンセントだった。



「この機体は、まさかギルフォード卿!?」


「何!? あの帝国の鼻先か?」


「先槍だ、確かに私はあまり活躍していなかったが、
いいや、今はそんなことより私は姫様の騎士として「邪魔だ」――何!?」




ギルフォードの背後から攻撃して現れたのは蜃気楼に騎乗しているルルーシュだった。

「…ひ、姫…様……ガク」

「出てくると思ってたわルルーシュ。アナタはナナリーの為かしら」


カレンはギルフォードを無視し敵を見るような目で蜃気楼を見つめ質問をしたが、返ってきた答えは予想外のものだった。



「違う、これは俺のためだ」


「「「「「な!?」」」」」



ミレイそして事情を知らないシャル以外はルーシュの言葉に驚く。

(いや、それよりなんで誰もあの人のことを気にしないの?)


但し、シャルだけがギルフォードのことを気にしていた。


「オチに使われない為に、先に出てきただけだ」




「お、オチ?」



ライがルルーシュの言葉に疑問に思うと。


「そうだ、幾つかパターンを考えたら、その中で最も、
最悪なパターンが最悪な確率で俺に回ると予想したからな」



「そのパターンって?」



「ルルーシュがウエディングドレスを着るってオチを用意してたんだけど」



ミレイが答える。


「やはり貴方でしたか会長。まったく、あんなものを俺に着せようとするなんて。
リヴァルとあのピザ女から逃げるのにどれだけ苦労したか」




「あははは、でも似合うからいいじゃない?」


愉快に言うミレイにライはルルーシュに同情するように。


「それは、男にとって屈辱だと思いますよミレイさん・・・・」

ライはルルーシュに同情の目を向け、呆れた表情でミレイに視線を向けた。

「ルルーシュ・・・・」


スザクも何か思うところがあったのか、蜃気楼に視線を向けた。


「そういうわけだ、スザク。俺を討て!!」



「その(ギアス)い、確かに引き受けた」


ランスロットがMVSで蜃気楼を突き刺した。


「これ・・・で、あれを着る・・・必要が・・・なく・・・っ・・・た」


「「ル・・・ルルーシュ」」



本懐を遂げたような声で言うルルーシュにライとスザクは親友の名前をつぶやいた。
何故か蜃気楼が消えて、ルルーシュが地面に倒れていた。




「さて、スザク。天子様のためにここは落ちてもらうぞ」



「星刻。でも、貴方の機体じゃアルビオンには・・・」



「残念だったな。ラクシャータに頼んで、新兵器を装着した」



「何!?」



場が混沌から殺伐とした空気に変わる。


神虎は右腕を左脇に。左腕を右脇に挟み、、自らの両腕の半分を外し。

「ヘルズフラッ○ュ」



神虎の攻撃を避けるランスロット、だが、校舎が滅茶苦茶になった。



スザクはこれ以上学園に被害が出ないようにそとに出たが。


「逃がさんぞ。ハイパートルネ○ド&ヘルズフラッ○ュ!!」



神虎はクルクルと回転しながら先程の攻撃を撃った。


「星刻!! これ以上は被害が大きくなる!!」


「私は天子様のためなら」



「そうか、だが貴方には皆に詫びて貰う。
面を上げろ○助」



スザクが叫ぶとMVSがあり得ない形に変わった。




「うわ〜、なにあれ!? MVSってあんなふうに曲がったっけ?」





ライは呑気に声を上げているが、他の女の子達は唖然としている。




「もう、皆様は乱暴なんですから」



声がする方向にライが視線を向けた。


「ナナリー!」



「!!」



ライが口にした名前にシャルの方は大きく揺らいだ。




ナナリーは笑顔でライに近付いた。



「ふぎゃ!!」




(目が見えるのに何気にルルーシュを車椅子で轢いたよこの子)


その場にいたシャル以外の女の子の心がシンクロした瞬間だった。

(てっいうか、あの二人兄妹だよね? 何で誰もつっこまないの?)


「ナナリー・・・」




「ライさん・・・」


二人は見つめ合う様にお互いの顔を見ている。
それを見ていたシャルは危機感を覚える。


(嫌だ。嫌だよライ・・・)




「私、ライさんに頼み、いえお願いがあるんです」



「お願い?」



「はい 」


ナナリーは決意をして口にしようとした瞬間、シャルは叫ぼうとしたが。


「ごめんナナリー、先客がいるんだ」


「そうですか」


「うん。ごめんね。君には何時も辛いめや寂しい思いをさせてしまって」


「いえ」


ナナリーは笑顔で言う。そして、ライはそのまま、シャルの元に近付き。


「シャルごめん、色々混乱しちゃって。
それでさっき何を言おうとしてたの?」



シャルは自分の事を忘れていなかったライに嬉涙を流して抱きつきたい衝動に駆られたが自重して。



「あ、あのね、僕。ライの事が好きです」


「シャル・・・」


「へ、返事聞かせてくれないかな?」


「僕もシャルの事が―――」
















シャルは気がつくとIS学園一年生寮の自室の天井が移った



「ゆ・・・夢?」



先程見たのが夢だと知ると落胆するシャル。


「せ、せめてライが返事をした後で目が覚めてようーー。
折角逆転したと思ったのに・・・・」



カオス、混沌と言ってもいいような内容だった夢に愚痴るシャル。


「そういえば、織斑先生とあのノネットさんの勝負どうなったんだろ?」



夢なのに何気に気になった二人の勝負。


「・・・まあ、いいや。そんなことよりあの続きが見たいし・・・」



そうつぶやき、新しいルームメイトが居ないことに気付かず二度寝を始めたシャル。

ライに言われたラウラのお陰で遅刻せずに済んだは余談である。










ライはゼロレクイエムの夢を見ていた。


独裁者、狂王を徹底的に演じたあの作戦の夢を。



彼も、ルルーシュもスザクも大切な人を失った。

それでも、明日欲しかったから、無色だった自分に色を与えたくれた彼等に、
明日を与えたかったから狂王を演じることを納得させた。

その所為で多くの人々が命を落としたことに罪悪感をかんじていた。







「ルルーシュ達は今頃どうしてるだろうか?」



未練があるから未練がない



そういって、眠りについたときと狂王を演じると決めた時に彼等に言った言葉。



そこに嘘はない、嘘はないがやはり、彼等の生活が気になっている。


「今は自分の事を考えるか」



ライはそう自分に言いきかせ、起き上がった。

だが隣にラウラが寝ていた。


「そういえば、昨日侵入してきたんだったな」



ライは苦笑して昨晩のことを思い出した。
















ライは寝ていた時、ふと人の気配に気がつき、
その気配が近付いた瞬間、侵入者の腕を掴み、後ろを取り
手にしたボールペンを首に突きつけた。



「誰だ?」


「わ、私だ!」



ラウラはライが起き上がると思わなかったようで、
ライの動きに驚き、ライは声の主の正体をみて驚いた。



「ラウラ!! なんでこんな時間に?」



「そ、それは、夫婦とは常に一緒に寝るものだろ?」


「それは・・・そうだけど、クク・・・」



「む、私は何か可笑しなことを言ったか?」




「いや、ごめんごめん」


ライは笑いをこらえラウラから手を離した。



ライは藤堂の三段突きでラウラを止めた時にラウラの過去を知ってしまった、
ライにとっては、今の言葉は甘えるためのいい訳みたいで、ラウラが可愛く思えた。


「それにしても、よく気付いたな? 気配を消して入ってきたというのに」



「まあ、色々あってね。それより
ごめんね」



「いや、私のほうこそ、急にその・・・」




部屋が暗いためラウラの表情はライには見えていない、
ライが電気をつけると、
そこには全裸になっているラウラがいた。


「な・・・な・・・」

あまりにも唐突な展開でライの頭は真っ白になった。
以前、シャワーを浴びているとき、突然C.C.が浴室に入っきて、
驚いたが、今はその時の比ではない。

「あ、あまりそう見つめるな。私とて恥じらいはある」


僕は咄嗟に、視線を後ろに向けた。


「パジャマとかはどうしたの?」



「無い。私は裸でいつも寝ているからな」



ライの質問にラウラはライの予想の別次元の答えを口にした。
しかも、男らしくキッパリと言った。ライは感心しかけた。




「せめて、私服とか・・・」



「それもないぞ。私は軍服と学園の制服しかもってない」


「・・・マジ?」


「マジ」


「・・・はぁ」



ライはため息をつき、ラウラにタンスにある自分の服を適当に着るように頼んだ。



頼んだが、ラウラはYシャツを一枚だけ選んだ、その格好はC.C.を思い出させる。
ライは彼女もそんな格好をして自分とルルーシュの部屋にくつろいでいたと僅かに遠い目をしていた。



先程の全裸よりはマシだろうと思いライは苦笑する。


「こっちにおいでラウラ、そろそろ寝ないと、明日寝坊するよ」


「・・・」



頬を赤く染め、無言のままライの隣に寄った。


僕はそのまま、ラウラの頭をなでると、ラウラの頬は更に赤くなる。

(確か、王だったころ公務が忙しく中々妹にかまってやれなかった時、
サクヤはベットに侵入してきたな。時には先に僕のベットで寝ていた時もあったし)



ライは甘えるのを我慢していた自分の妹のことを思いだし、ラウラの頭をなでた。

ラウラの過去を見たライは甘えたことがなかったラウラをこのまま返すのはかわいそうだと思い
かつて妹を甘やかしたときと同じようにラウラに同じように優しく接した。



「寝ようか?」


「・・・うん」


ラウラはライの言葉に素直に従い彼の胸に顔を埋めた。



「そうだ、ラウラは明日の放課後、時間ある?」


気持ちよさそうに顔を埋めたラウラは一言で答えた。


「あるが?」




「なら、明日僕とシャルと服を買いにいこうか?」



「行く」


シャルロットは男としてIS学園に入学したため、
女の子用の私服が少ないと知っているライは三人で買い物を提案し、
ラウラはすぐに了承する、




「ラウラは可愛いから、何でも似合うと思うよ。
だから、案外直ぐに見つかるし」



ライ自身は素直な感想を言う、
但しラウラがなぜ顔を赤くした本当の理由は当然気付くはずもなく。



「あぅ・・・・」



ラウラはそのまま、ライに顔を見せないようにライの胸に顔を埋めた。


「あ、明日早いのだろう? は、早く寝るぞ」



(あれ? 何かまずい事を言ったかな)






そのまま、二人は眠りに就いた。




















「いつの間にか僕の腕にしがみついて寝てたんだな」



苦笑しながらライはラウラの寝顔を見ていた。




ライは可愛い寝顔だと思うと同時に、ラウラを軍人として育てた連中に憎悪する。


(全く、ブリタニアのように世界を支配しようとする国がないのに、
子供を兵士にする考えは賛同は全くできない。
いずれ、ドイツ軍と接触する機会があれば様子を見てみるか)




そんな事を考えてると、ラウラの瞳に涙がこぼれていく。



「ラウラ?」



ライが咄嗟にラウラの名前をつぶやいたら、ラウラは直ぐに起き上がりライに抱きついた。


「ラ、ライ・・・生きてる?」



ライはへんな夢を見たのかと予想したが、ラウラはライの在るところを手で何度も触って調べていた。


そのことで、ライはある可能性にきづいた。


ラウラが調べてる箇所はスザクに刺されたところだ。



「ゼロレクイエムを見たのか?」


「!!」



ライの一言で、ラウラの表情は驚愕している。


(どうやら、ギアスに関係する遺跡みたいに、僕が見た夢を見たようだ)


以前、ルルーシュがナリタの戦いの時C.C.がスザクに接触して、
何らかの記憶を思い出させた感じと同じ類の現象みたいだなとライは予測した。



「どうやら、見たみたいだね」



「そ・・その」



勝手に見てしまった事と、あり得ないような出来事だったと言うことで不安な表情をしていたラウラ。




「あれは僕の過去だよ」



「・・・・」


ライは包み隠さず答えた。


「僕のあのトーナメントの時にラウラの過去を勝手に知っちゃったから、
君が気にする必要は無いよ」


「では、あの出来事は本当にあったのか?」



「うん、軽蔑――「そんなことはしない!!」――ラウラ?」



ライが何か言おうとした瞬間にラウラは叫んだ。


「お前はあんなに沢山の人を思って、悪意を背負ったんだろ?
だったら、なぜそんなお前を軽蔑したくちゃいけないんだ」


涙を流しながらラウラは答えた。



「……ありがとうラウラ」



ライは彼女を抱き寄せ、頭をなでた。




それから、ライはラウラが落ち着くのを待った。








ラウラ Side




最初はクラリッサに夫婦は一緒に寝るものだと言われて、ライの元に向かった。

本当に軽い気持ちだった。今はそのことに後悔している。




気配を消して、ライの傍に近付いた時、
寝息をたてていたライはあろうことか私の気配に気がつき、
一瞬で私の背後を取った。



熟練した軍人でなければできない動きだった。



その後、私だと知ると直ぐに警戒を解いた。



私が来た理由をして説明したら苦笑しただけでなく、

自分のシャツを私に渡して一緒に寝ることを許可してくれた。




それだけでなく、放課後一緒に私の私服を買いに行こうと言ってくれた。



放課後が楽しみにしている自分がいた。



そして、楽しみで仕方なく眠りに就いた私に待っていたのいは、ライの過去だった。





夢にしては出来すぎているという違和感を持ちながら私は傍観していた。


ライと特に仲がよさそうな二人の男。



黒髪の男と、栗色の男・・・そして銀色の髪をしたライ達が行おうとしている作戦を聞き私は驚愕するだけだった。



計画の綿密さ、思慮の深さに、そして入念かつ膨大な下準備に。




二十歳にも満たない子供が考えるとは思えないほどだった。





それから、彼等の作戦が始まり、大帝国を手にした。


それから、ライは自分に憎しみを集める為の行動を起こしていく。


そのことに私は胸が苦しかった。



それから、光景が一気に変わっていく。



最後の戦いだろうか・・・、私の目に三機の機体が写っていた。










「ライ・・・、貴方はそんなに頂点に昇りたいの?」




「だったら?」



「・・・だったら、貴方は存在してはいけない。私の手で貴方を止める!」




私は叫んだ、「ライがどんな覚悟を背負っているのかを知ろうともしてないくせに」
と、そんな叫び届くはずもなく。








「僕とルルーシュは君の駒だったということか」



「そうだ、ダモクレスを手に入れる為のカードだ。お前たちがいなければダモクレスは破壊するしかなかったからな」




「・・クッ」



白い機体に乗っているスザクという人物は知った上で、ライの演技にあわせていた。
本人も、ライが憎まれる為にこんな演技をしているこの心を痛めているのを私はきづいていた。









「無駄話は終わりだ。来い」



三機の機体にそれぞれのクリア色の羽が展開されて、
同時に飛翔した。しかも、信じられない速さでぶつかり合う。





三人の戦闘技術に私はただ驚愕していた。


ISと違い戦闘機のように手動で操作してこの戦闘。




ライが操縦しているのを見ていると、なぜライが強いのか納得していく。



驚異的な操作で、二人を相手している。


戦っている二人もライと同等の強さだろう。

それなのにライが押し始める。



「こんのーーー!!」


赤い機体が右手でライを捕らえようとするが、
ライはそれを避ける。避けられたことで隙ができた赤い機体を蹴り飛ばし距離を開けた・


その瞬間に白い機体はライの後ろから双剣を手にして襲い掛かるが、
ライはその動き予想していたのかバク転するように避ける、
そして白い機体の背後をとり、両翼を掴み力ずくで引きちぎって、赤い機体の方に蹴り飛ばした。



赤い機体は体勢を立て直そうとした瞬間に白い機体がぶつかった為、
さらに体勢を崩すことになった。


ライは二機に向かっていく。

赤い機体は何とか体勢を立て直したが白い機体がダモクレスに叩きつけられる。

そして、ライは赤い機体が体勢を立て直した瞬間に剣を振り下ろした。


「くっ!!」

赤い機体は咄嗟に肩翼でガードしたが、片翼は破棄されて赤い機体はバランスを崩した。
だが、その隙にライの機体の翼を掴もうとするがライは両腰のハーケンを放つ、
赤い機体は驚異的な反応速度でそれを何とか避けるが、ライはもう肩翼を剣で破壊した。

そして、二機は飛行手段を奪われた。





「くっ、マシンスペックはこっちが上のはずなのに」


「どんなに速くてもお前達の攻撃は予測の範囲内だ。
これで勝負は決まったぞ。いさぎよく降参して処刑を待つか、
無様に抗いやられるか・・・選べ」



「ふざけないで、私は降参する気はない。貴方を倒すまで諦める気はないんだから」




「僕もだ」




「・・・いいだろう」



ライはそう言って、エナジーウィングを閉まい。


「お前達のその覚悟、認め私も対等な条件で戦ってやる」



「相変わらず、上からの物言いね」

この戦いは世界に流されているため、この世界の人々にとってこの二機は最後の希望なのだろう
ライは自分に悪意と憎しみを集める為、
徹底的に演じこの二機を破壊するつもりでいる。



「行くぞ」




それから、戦いは終盤に差し掛かった。





「シールドエナジーが尽きたか・・・・」



「輻射波動は残り一発・・・」



「今度こそ終わりだな」




「さっき言ったように諦めるつもりはないわ、
たとえ、私がここで死んでもね」



「刺し違える覚悟か……いいだろう」


三機が構える。


「……ただし、失望だけはさせるなよ。貴様等の機体のほうが私よりスペックは高いのだからな」




「相変わらず高みからの発言ね。
その余裕、後悔させてあげるわ」


白と赤の機体が先に仕掛けた。



白い機体はダメージ覚悟でライに接近し腕を斬られる、
赤い機体はその隙をついてゼロ距離で右手をライに向けるが、
ライは右手の攻撃が来る前にハーケンブースターで腕を破壊した。

だけど、二人は決め手であるはずの右手による攻撃すら囮にし、
ハーケンを撃った事で隙が生じたらライに
ゼロ距離でのスラッシュハーケンを全て打ち込んだがライはそれすら避けた。



その事に驚愕した赤い機体の女。


「この距離で避けた!?」




「失望したとは言わん。中々楽しめたぞ
だが、今度こそ終わりだ」



二機から放たれたハーケンを避けたライはそのまま、MVSを手にして二機の四肢を切り落とした。


ライの機体は人間以上の動きができるように駆動部分を
新しい技術で造ったが、操作が既存の機体より更に複雑になっただけでなく、
ピーキーになった。その為、機械染みた騎乗ができるライしか乗ることはできなかった。










二機の機体を破壊したと、全世界に伝えた。










それから、光景がかわる。




ライ達が向き合って立っていた。

そこに緑色の髪をした女がライに聞く。


「本当にやるのか?」


「ああ、この為に戦ってきたから」


ライは答えた。


「ライ…」


「スザク、約束どおり、君が私を殺せ」


ライは仮面をスザクに渡す。


「本当にやるのか……どうしても?」


「世界の憎しみは僕に集まっている。後は狂王が消えることで
憎しみの連鎖を断ち切ることが出来る」


「ライ……」

「これで世界は軍事力でなく、
話し合いというテーブルに付くことができる」



「それがゼロレクイエム」


緑色の髪をした女が口にした。


「君達と最初に会ったとき、僕にとって
世界は色を持たなかった。全てが灰色に見えたんだ」


優しい表情で口にするライ。


「この世界はお前に優しかったか?
目覚めたことに後悔はしてないのか?」


ルルーシュが質問をするライは満足した表情で答えた。

「ああ、君達と過ごしたお陰で、
僕の世界にも色を持つことが出来た。
だから君達に明日を過ごして欲しい」



「未練はある。だから、未練はない 、お前が以前言った言葉だ」


「過去、僕は二度も逃げた。
最初は全てに絶望して、そして……二度目は絶望することに恐れて
でも、今ならあの時以上に思える。
憎しみは僕が持っていく、だから君たちは―――」





そこで周りが暗くなる。







そして、いきなりライが式典で仮面を被った人物に剣で心臓を刺される場面。



いきなりで驚いたが、
私はこの為だけにこの為だけの行動したと知った、泣かずに入られなかった。













ライの意識が消えるのか、周りの光景が暗くなっていく。


そして、ライの声が聞こえた為、私は直ぐに起き上がった。



その後、ライに抱きつき、刺された箇所に手を当てていた。



それから、ライに先程の夢は現実だったと言われた。


私は自分の気持ちをライに打ち明けた。


ただ、知って欲しかった。ライが与えてくれたぬくもりがどれだけ暖かいかを。





私はライの傍にいたいとこの時、強く願った。




「―――お前には本当に驚かされる、
            
           あんなに悲しくて、それでいて強い言葉は初めてだ」




ただ、目が覚める最後に聞こえた言葉が私の心に強く残っていた。




Side Out







昼休み。


一夏達はライ達が転入してくる前の倍の人数になっての昼食をするようになった。



そんな中、一夏はライの剣捌きのついて質問し、ライは母親に教えてもらったと答える。



「ライさんのお母様はどんな方なのですか?」



その答えにセシリアも好奇心に従いライの母親について質問した。



「綺麗な方ですよ。そして、優しく強く美しい人です」




ライがこの答えを言ったのならマザコンだと全員が思うだろが
答えたのはライじゃなくレインであった。




「強い・・・・、体捌きなどの基礎は教えてもらった記憶が在るが、強いってのは想像がつかないな」

ライは母親が闘っているところを見たことがないため疑問をもった。


「ああ、そういえば、ライ様はあのときいませんでしたね?」



「あの時?」


首を傾げるライ


その仕草が可愛いと思い、女性陣の大半は頬を赤くした。


ライはそのことに気づかずレインと話を進めていた。
その時レインからとんでもない言葉が出てきた。



「『熊殺しのミコト』と呼ばれるようになったときです」



その時、レイン以外がむせた。


「ゴホッ・・・く、熊殺しですか?」


「はい、しかも3M近くの大きさの大熊を素手でしとめた時はネーベルスタン様も驚いていました」



ネーベルスタンは当時ナイトオブワンであり、
ライは彼から剣術と槍術を教わった経験があり、ライにとっては師みたいな人物である。



(3Mの熊を素手で倒すってどんな母親!?)

この場にいたライとレイン以外の気持ちがシンクロした。


(当時のナイトオブワンのネーベルスタンが驚愕したって・・・)



ライは何か考えるような表情で無言になる。


「レイン、それって襲ってきた熊を投げて仕留めたのか?」


(いやいや3Mの熊を投げるなんて無理無理!!)



「はい! 向かってきた熊を投げたんですよ。しかも熊を逆さにして回転まで加えました!!」


純菜は多少興奮しながら語っているが、二人以外はもはや言葉を失っていた中、
ライは納得したと口にする。

「それなら納得」



「「「「「へ!?」」」」」




(何で納得するの? そりゃあ殴って殺すイメージはできないけどそれでもおかしいわよ色々と)



「逆独楽(さかごま)を使ったんだね」





聞きなれない言葉に反応した一夏達。



「はい、そうです。でもあれって人間に使うと首が折れて死にますよね?」



「…そうだね、かなりグロイ光景になるよ」

ライは遠い目をして答える。


「それはそうと、お前の母親はどれだけ強いんだよ・・・」



一夏にも強い姉がいるから親近感でも沸いたかすぐに疑問を口にした、




「母上が強いというより、その時は熊の突進力を利用したからだし。
ほら、古武術にそういったものがあるだろ? 僕の剣術とかもそれを応用してるからね」




「ってことは、お前もその熊を倒せるのか?」


「…たぶん出来ると思うよ。
まあ、最も大きさ的に熊が限界だね、象とか自動車は流石にむりだけど」



あっさりと肯定するライに驚く一夏達。



「受けてみる?」



「いや、俺死にたくないから・・・・」



「ISの乗っているなら死なないでしょ?」



レインはその業を使ったライを見て見たいらしくISを使えばというと。



「見てみたいな」


「え!?」


ラウラが見てみたいと口にする。そして一夏は冷や汗を流す。



「逆独楽って、どんな流れで相手を投げるんですか?」


マリーカも気になるようでライに質問した。


「基本は右手首をぐるりとねじって、足を払い、宙に浮かす、
体を独楽(コマ)のように回転させ、相手を勢いよく頭から地面に叩きつける投げ技だよ。
先程話に出てきた熊みたいに突進してきた力も利用すれば威力は更に増すからね。
母上が使った逆独楽は熊の突進力と体重を加わってるから仕留められたんだろ」




皆想像したのか、顔が真っ青になる。


「うわ〜、凄い光景になりますね」


「はは・・・・そだね」

マリーカの感想に少し苦笑しながら答えたライ。


「ライの剣術はそこから基礎にしてるの?」



「うん、僕のISは基本防御力は低いからね、
相手の攻撃を受け流さないと、直ぐにシールドエネルギーがなくなるからね。
(王だった頃に戦場に出た時と変わらない状況だな。
当時は戦場の中では僕は幼く力や体力では弱かったから、どうしてもこの技術が必要だったし。
母上から習ってなかったら初陣で死んでいただろうし)」




ライはかつての戦場を思い出しながら自身が覚えた技術の一端を説明した。







放課後




ラウラはライとシャルロットで買い物に出かけるために、
待ち合わせしようと外に向かうとき、ライと純菜が会話をしているところを見つけた。



「今から買い物ですか?」


「うん、ラウラの服を少し買いにね、女の子の服だからシャルにもきてもらうんだけど、
そっちは?」



「織斑に訓練を頼まれましたから、マリーカと組んで模擬戦をしようかと思います」


それを聞いていたラウラは純菜とマリーカの戦闘を思い出していた。


(確かに、あの二人のコンビはかなりのレベルだった。
純菜が打鉄で接近戦で、マリーカがラファール・リヴァイヴでの援護は学年でもトップクラスだった。
教官もコンビを組むということはこのようだと他の生徒に説明していたし、
もし、ライより先にこの二人に戦っていたら勝てなかっただろうな)



と、純菜とマリーカを評価していた。



「ISはどう?」


「やはり、足が地面についていないと、シックリこないですね。
私としてはまだ馬にのって生身で戦った方が楽です」


(う、馬!?)


「はは……とりあえず、時代が時代だからね」


ライは苦笑しながら言うと純菜も苦笑して「わかってますよ」と答える。



「それより、ライ様、この時間で買い物すると門限の所為で
あまり買い物は出来ないかと思われますが大丈夫ですか?」


「大丈夫だよ、ラウラの普段着を買う為だから、
たくさん買うわけじゃないしね、それに、ラウラはかわいいから何でも似合うと思うよ」


(か、可愛い・・・? 私が、可愛い・・・。可愛い・・・)

意味もなく周りを見渡し、コールする番号をなんども間違えながら、ラウラはISのプライベート・チャネルを開いた。



『――受諾。クラリッサ・ハルフォーフ大尉です』

「わ、私だ……」

自分の部下、ラウラが隊長を務めるIS配備特殊部隊『シュヴァルツェ・ハーゼ』――通称『黒ウサギ隊』の副隊長へと連絡を入れる。

『ラウラ・ボーデヴィッヒ隊長、なにか問題が起きたのですか?』

「あ、ああ…。重大問題が発生している・・・」

『――部隊を向かわせますか?』

「い、いや、部隊は必要ない。軍事的な問題では、ない・・・」

『では?』

「クラリッサ。その、だな。わ、わ、私は可愛い・・・らしい、ぞ」

『はい?』

「ラ、ライがそう言っていて、だな・・・」

『ああ、隊長が好意を寄せているという彼ですか』

「う、うむ・・・。ど、どうしたらいい、クラリッサ? こういう場合は、どうすべきなのだ?」

『そうですね・・・。まずは状況把握を。直接言われたのですか?』

「い、いや。向こうはこちらが聞いているとは思っていないだろう」

『――最高ですね』

「そ、そうなのか?」

『はい。本人のいない場所でされる褒め言葉に嘘はありません』

「そ、そうか・・・」


その言葉にラウラの顔はほころんだ。





「そ、それで、これから買い物に出かけるのだが、どうすればいい?」



『買い物ですか? しかし、日本時間だとあまり時間がないのでは?』



「そ、それが、ライは私は可愛いから何でも似合うといってくれたのだ」



『なら、その彼に選んでもらった方がいいですね』



「そ、そうか」


『はい、隊長はその彼が選んだ服は大事に使いますよね?』


「当たり前だ!! ライが選んでくれたものは大事にするぞ」


『それです、自分が選んだものを大事にしてくれるというのはうれしいものです』


「な、なるほど、アドバイス感謝するぞ」


『はい、ではご武運を』



ラウラは通信を切ると、ちょうどルームメイトのシャルロットがやってきた。





ライは二人と合流して、純菜と別れ買い物に出かけた。


時間の所為で、4着しか買えなかったが、ラウラとシャルロットが満足していた。



一方、黒ウサギ隊は政府から送られた、ラウラとライの戦闘映像を見て興奮していた。


「こ、この方が隊長の想い人…」


「この顔で、この強さ反則じゃないでしょうかお姉様?」


「……あ、ああ、まさか、ここまで美形だとはおもわなかった」



「隊長いいなぁ…」


「私、結構タイプかも」



「もし、隊長とお付き合いしたら……」


「ま、まさかお姉様…?」


「私達も触れ合う機会があるはずだ、
お前達なんとしても隊長のバックアップをするぞ」



「「「「はい、お姉様!!」」」」




かなり暴走しているが、彼女達は気付いていない、
映像で虜になったのは自分達だけでないということを。


そして、後に気付く、色々な意味でライの恐ろしさを。



押して頂けると作者の励みになりますm(__)m


<<前話 目次 次話>>

作品を投稿する感想掲示板トップページに戻る

Copyright(c)2004 SILUFENIA All rights reserved.