ある日のアッシュフォード学園


「これが男女逆転祭り・・・・?」

男子の学ランを着たカレンが不満気に質問すると。


「去年好評だったから今年もね」


騎士の格好をしたミレイが愉快気にこたえる。


「男の子の格好をするのは楽しいです」


ミレイの答えに素直に感想を言う男の格好をしたナナリー。


「女子はまだしも・・・・・男子はどうなんでか・・・・女装なんて?」

女子が男装といわれても別に問題はないが、
男子が女装となると話が違ってくるため、
カレンは気まずそうに質問する。


「楽しんでいたようですよ、それなりに」


そう答えたのはルルーシュとナナリーのお世話係である咲世子。


「そっちに方面に目覚める人が三人ばかりいましたけど」


あまり入れたくない情報をいった気弱なニーナ。

「そのうちの一人は担任ってのはさすがに洒落にならなかったな」


さらに聞きたくない情報を与える警察官の格好をしたシャーリーに引くカレン。


「え゛!?」

「会長、ライはたしか記憶喪失だよね、
女子の服、着れるんですか?」


「そこらへんは咲世子さんに任せてあるから大丈夫よ。
ルルーシュもスザク君が付いてるから安心よ、(こっちの方は逃げられる心配だけど)」


「楽しみにしててください。とっても似合ってましたよ」


「わあ〜」


カレンは内心二人同情する。




「おーい、ルルーシュ、ライまだ着替え終わらないの?」





「ハーイ会長、今開けます」

返事をしたのは女子の制服を着たスザク。


「おい、待てまだあけるな」


スザクを止めるドレスを着たルルーシュ。


「何で? もう着替え終わってるじゃないか?」

「こう言うのは心の準備があってだな」

「恥ずかしがることはないよルルーシュ、すっごく美人じゃないか」


「馬鹿、へんな褒め方をするな」


「スザク〜、お前恥ずかしくないの?」


スザクに質問するメイドの格好をしたリヴァルに
スザクはスカートに手をかけて。


「え? そうだな、ちょっとスゥスゥするけど」


「っ馬鹿、やめろはしたない」

「はしたないって、僕男だよ?」


「そう言うのはだな、男だろうと女だろうともはしたないんだよ」


「おーい、開けちゃうよ〜」


「ま、待て!!」


突然部屋に入ってきたミレイに言葉で静止するルルーシュだが、
ミレイは無視して部屋に入ってきた。



「こ、これは・・・・」

「うわ〜、綺麗〜」


「去年も見たけど、自信なくすな〜」

「ほら、言った通りだろ、綺麗だって」

「うるさい、お前は何でそんな格好で平気なんだ?」

「なあ、ルルーシュ、いい加減開き直って楽しんだらどうだ?」

「断る!!」


「勿体無い、せっかくの美人なのに」

男子のやり取りを見て不満を口にするミレイ。


「あの、ライは?」


「そうだよね、ライ君いないよ?」


カレンとシャーリーが疑問を口にすると。


「今回、ライ様は部屋の外で待機してもらってます、
何せ、私も言葉を失うくらい綺麗でしたから、
ルルーシュ様と同時に見せるより、時間差をおいて見せた方がいいと思いまして」


「ナイス配慮」


咲世子の答えにナイスと答えるミレイ。


「だが、逃げた可能性もあるんじゃないのか?」



ルルーシュは逃げるチャンスのあることを口にしたが。

「大丈夫ですよ、あの格好で逃げるの困難ですから」


((((お、鬼だ・・・・))))


「では、ライ様どうぞ入って来てください」


ドアが開かれ、部屋にライが入って来る。


「し、失礼します」

「こ、これは・・・・」


「うわ〜〜〜〜」


「「き、綺麗〜〜〜〜」」

そこに入ってきたのは日本の女性が着る着物を着たライだった。





白銀の髪に着物と着物の花びらの模様のコンボは予想以上の威力だった。




「確かに、これはルルーシュと同時に見るのは勿体無いわね」


「そ、そうですね」


「確かに、着物は逃げづらいわね・・・・」



「凄い美人じゃないかライ」


「そうだな、ルルーシュと同レベルって凄いな」

スザクとリヴァルも女性陣に乗って感想を言うが。


「「・・・・・・・・・・・・・・」」



ルルーシュとライはお互いを見て無言になる。



「……お互い、見てはいけないものを見てしまった気が……」


「……そうだね……」


二人は何か分かりあった瞬間だった。



「あ〜あ〜残念、美人なお兄様とライさん、私だけ見られないなんて」



「「「「「「「「うっ」」」」」」」



「あら、皆さんどうしたんですか?」


「ごめんナナちゃん私――「リセットーーーーーー!!」



「何その魔法?」


「甘かった、ミレイさんとしたことが」


「え?」


「真に男女逆転祭りを目指すのであれば姿だけでなく中身も逆転すべきであった
そう思うだろルルーシュ、ライ?」


そういって、ミレイはルルーシュとライに近づき人差し指で二人のあごをさわり、
二人に質問する。


「え・・・うっ・・・そ・・そうよね・・
「え・・あ・・・・で、ですよね・・・・
会長」」


「まあ〜〜、二人とも双子の姉妹みたいです」

ナナリーは二人の反応に感激する。


「カレン、庭に遊ばないか?」


「ああ、いいぜ、ひさしぶりにキャッチボールでもするか?」


「うまいじゃないカレン」


シャ−リーとカレンのやり取りにカレンの演技を褒めるスザク。


「お前の方こそ・・・慣れてるな?」


「軍隊の余興でやらされたんです〜〜〜」


((カレンはともかくスザク・・・軍って・・・・))


カレンの本来の性格を最近になって知ったライと
すでに知っていたルルーシュはカレンのことはさほど気にしていなかったが、
スザクの発言にブリタニア軍に別の不安を持つ二人。



「まあ、凄い〜〜あ、いえ、凄いやみんな」

ナナリーも自身の性格を反転させる。

「ルル子様お茶のご用意をしました。
ライ子様には抹茶と和菓子を用意してあります」


「ルル子?」
「ライ子?」


咲世子の言葉に反応するルルーシュとライ。


「日本では女性の名前の最後に子をつけることが多いんです」


「そいえば、咲世子さんもそうだよね」

「はい」


「よう、ルル子、ライ子、俺さ、
以前から二人のことが好きだったんだ」



「「・・・は?」」


ミレイの発言に固まる二人に女性陣?は反応する。


「双子丼ですか、ミレイ様」

咲世子はポツリと誰も聞こえないよう呟いた。

「ちょーっと待った、ルル子のことは俺だって」

「そ、そうだよ、僕だってラ・・・ライ子のことが・・・」


「じゃあ、俺も、私ミレイ先輩のことが」

「お前ら・・・いい加減にしろ・・・・」


「ふ、ふん、も、モテモテだなあの双子は」


先程のナナリーの発言で、二人は双子設定にされる。


「カレン、お前も二人のことを」


「そ、そんなわけないだろ、こ・・・こ・・・こんなブッスなんか」


動揺しながら答えるカレン。


「ひどい、女の子にブスだなって」


スザクが傷付いたように泣きながら訴える。


そのカオスな光景をみて、ニーナがなんで皆そんなにうまいのか口にする。


「二人とも今日こそ、ハッキリしてもらうぞ、
俺か、シャーリーかナナリーかカレンかを」


「だだだ・・だから、俺は関係ないって」


「二人とも、双子だからって何時までも同じじゃいけないよ」



「そうよ、二人ともハッキリきめないと駄目よ」

ミレイの発言に過剰に否定するカレンに
すでに双子と決め付けたナナリー、それに続きスザクも悪乗りする。



「あ、あの、僕は・・・」


「ふざけるなお前ら!!」


「ほら、二人とも戻ってる」


「駄目だよ、二人とも」



「「も・・・も・・・もう、やめて〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!」」
















それは、ライにとって、恥ずかしい記憶であるが
同時に生徒会の人達と過ごした大事な記憶でもあった。


















レイン Side



土曜の午後。私はライ様とマリーカと一緒に喫茶店にいる。


席は奥に在る席で、こちらがあまり大声を出さない限り、
周りに聞き取られない席で話をしている。

今は、ライ様が学園に通っていた時の話しを聞いている。


ライ様の話出てくる、ルルーシュとスザクと言う人物の話しているライ様は楽しそうに話をしていた。


あの時代、ライ様が王として生きてい時代で存在しなかった友の話をしているライ様を見て私は嬉しかった。


あの時代で、ライ様が家族以外で仲がよかったものはラウンズ以外にある一人の女性しかいなかった。

ラウンズに関しても、部下の中でよく話をするぐらいだったから仲がいいとはいえなかったが・・最も一人例外はいた
ナイトオブツーのレイモン様は馴れ馴れしくライ様と話すお調子者。


でも、そんな人でも
幼くして最前線で戦い、兵士から戦神と呼ばれたライ様を心酔していた。

それは、私とて例外ではない。


それ故、ライ様が苦しんでいたことに気付くことができなかった。

けど、今は嬉しそうに友の話をしている彼を見ているだけで私は嬉しい気持ちで一杯だった。


こんな気持ちでいられるのはマリーカのお陰だろ。



そう思いながら、ライ様は写真で生徒会の人達の話をしてくれた。


自分と同じ雰囲気をしているといわれた、最も親しい友であるルルーシュ。


そのルルーシュと同じくらい気が合ったスザク。



よく自分に周りの面白い情報を話して、楽しい空気にしてくれたリヴァル。



ルルーシュに恋心を持っていた優しいシャーリー。


自分の事を保護して、楽しい企画をやって思い出を作ってくれたミレイ。


怪しい自分に警戒していても、勇気を出して話をしてくれたニーナ。



黒の騎士団で背中を預けることができたカレン。


そして、ルルーシュの妹で、マリーカの世界ではライ様を騎士にし
ライ様に笑顔を与えたナナリー。


彼等の話をするライ様は本当に穏やかな顔をしている。



私にとってこの時間、この日は最高のものになった。




Side out



ライがレインとマリーカが喫茶店で楽しく会話をしている時、それを遠くから眺めてる怪しい集団がいた。



『その時、ルルーシュと視線をあわせたら、『……お互い、見てはいけないものを見てしまった気が……』と言ってきたよ』


会長の企画で男女逆転祭りを生徒会だけでやった時ことを話しているライ達の会話を盗み聞きしている集団は、
彼と同じIS学園の生徒だった。



「なぜ、私のブルーティアーズがこんなことに使われるんでしょうか?」


(どうせ、一夏に『一夏さんはどれが好みなんですか?』と、さりげなく質問しようとするために、
ついて来たんでしょ?)

(そ、それは、そうですが。まさかBTを使う羽目になるなんて…しかも盗聴なんて犯罪染みたことに使うなんて思いませんでしたわ)


(ぶーたれない、アンタに一夏が好きな食べものとか、趣味やらを教えてやるんだから)


(ぐ・・・)



「鈴もセシリアも静かにしてよ。じゃないと周りの人に怪しい集団と思われて通報されちゃうよ?」



「そうだぞ」



(いや、普通に思われてるだろ? なんで誰も通報しないんだろ?)



と、美少女軍団のなかで、唯一の男である一夏は思っていたが
その光景を見ている一般人は我関せずを貫いている為、通報されずに済んでいる。




(それにしても、ライってあんな風に笑うんだな・・・)


と、同じ男であるライに一面を見た一夏だった。


ライは以前記憶を失ったときみたいに無表情という訳ではない。


苦笑したり、真面目に教えたり、たまに冗談を言ったりすることもあるが、
子供のように、尊敬する人を語るみたいに友達の話をしたことない故に一夏は少し驚いている。



(なんか、少しいやだな・・・)


数少ない、ISに乗れる男として仲がいいと思っていたが、
ライにとっては自分はクラスメイトの一人としてしか見られていないことに少し嫉妬した。


ライがルルーシュの話をしているときはチェスでは好敵手を褒める言動や表情をしている。
よくその妹三人でピアノを弾いたり、一緒に食事をしたと語っている。


他の人物、特にスザクという人物に対してもそうだった。

スザクから色々な古武術を教えてもらったり、よく体育で競ったりと語っている。


自分とはIS以外の話の接点はない為、どうやって、今より仲良くなるか考えている。


訓練に付き合ってくれてはいるが、実力に差がありすぎて
ライの訓練には全くなっていなかった。

以前、純菜とマリーカのコンビにしかも量産機で、
セシリア、箒、鈴、シャルロット、ラウラで6人がかりで模擬戦をやったが、
二人のコンビにやられたのである。


純菜は打鉄で接近戦を、マリーカはラファール・リヴァイヴで援護は
思いのほか連携が出来ていた。

純菜に関しては接近戦はライが王だった時代の戦闘の記憶と
ここ十数年、あらゆる武術や剣術を身に付けたのである。
マリーカにいたっては以前いた世界では、その世界のライの指揮下の元にいたため、
集団戦闘や連携のイロハを叩き込まれている。


その二人と6人で組んで8人で組んでもライ一人には勝てないのである。


純菜、マリーカ、ラウラはある程度の集団戦闘の経験はあるが、
他の5人は違う。その為、お互いの得意なレンジで攻めるが、
その行動はライに読まれ、攻撃はかすりもせず、やられる.


連携をとれている純菜とマリーカにいったては、
二人のとってもっとも効率がいい行動が読めるライにとっては
意味を成さなかった。


理詰めライの予想を上回る攻撃を行わない限り攻撃は当てられないが、
それは有る程度ライと実力が拮抗しているという前提である。


なぜならライの反応速度はスザク並で、
そのスザクは生身でマシンガンを避けられる身体能力を持っている。

加えて、先程言ったようにライは理詰めで責めるタイプである、
それに、スザクのように直感で戦うのは苦手というわけではない、
むしろ、生身の戦闘を幾度なく経験して、
KMFの戦闘もしているライの戦闘経験はスザクとカレンを同時に倒せる実力があった。


そのライ相手に、戦場を知らない一夏達にとっては、天と地の差がある。






三人の会話を聞いたラウラは。




「嫁はピアノも弾けるのか…」


感心したようにつぶやく。


「本当に完璧超人ですわね。ライさんって」


「頭もいい、運動神経に至ってはオリンピックで優勝しても可笑しくない成績。
ピアノも弾ける、顔もいい、俳優と言われても誰もが納得するだろうし。
殆ど怒らないお人よしだし。アイツって、怒ったことあるわけ?」



鈴が最後に疑問を呟いたが、一夏とシャルは内心、怒らせたら一番怖いだろうなと思っている。


「嫁がすごいのは今に始まったことではないだろ?」


「確かに、そうですけど・・・、ラウラさん、何か知ってますの?」



「いや、何も」


「「・・・・・・」」


シャルと鈴はラウラを不審な目で見ている。


ラウラがライに対して間違った知識でアプローチしていたのに、急に普通に甘えるようになって不審に思ったが、
どうせライに何か言われて吹っ切れたんだろうと思っていた。



『その時、ジノが自分もやりたいと言った時は、僕とルルーシュは顔が真っ青になったよ』



『ヴァインベルグ卿なら、言いますね』




「何しているんだお前達は?」



一夏達は会話が弾んでいくのを聞いていると、
背後から見つかってはならない人に見つかってしまった。



『お・・・織斑先生・・?』


「教官がなぜ・・・ここに?」


「日用品の買い物だが。お前らは何をやっているんだ・・・・っと、聞いても喫茶店で話しているランペルージ達を見ればわかるが」



「・・・あ・・・あははは」

「・・・お・・おほほほ」


「・・・・・」



「まあいい、それより、第三者から見てかなり怪しい集団にしか見えんぞ?」



「全く同感だな」


『!?』


千冬に同意した人物に千冬を含めた全員が驚いた。


年齢で言うなら千冬と同じぐらいだろう。



「そこの三人には久しぶりだといったほうが言いか? あの時はバイザーをつけていたから素顔を見せるのは始めてか」



ニヤリと笑みを浮べると、一夏達は学年別トーナメントの時に侵入してきた三人のうちの一人だと気付き、
全員が警戒姿勢をとった。



「こんな所で戦闘がお望みか?」


余裕の笑みで殺気を一夏達に向ける。



千冬以外はその殺気を受け、体が強張った。



「この程度の殺気で緊張するか、やはりガキだな」



「何が目的だ?」



殺気に怯まなかった千冬が質問を投げた。


「ただの買い物だ。買い物の途中であの時のガキ共を見かけたからからかっているだけだ」




代表候補生数人と千冬を目の前にしても余裕を崩さない。



「どうしたのヘルマ?ってあの時の子達ね」


「アルヴィか、もう用事は終わったのか?」


「私はね、それにしても、面白いところで再会したわね」



一夏達はアルヴィと呼ばれた少女の登場で更に緊張感がはしった。



一夏とシャルそしてラウラはアルヴィの能力をじかに見た為、セシリアと鈴以上に警戒している。


アルヴィは三人の侵入者の中では中間の身長で、その能力は心を読むと言う非現実的な能力だ。


「まさか、こんな連中とここで戦闘するの?」


意外そうな表情でヘルマと呼んだ女性に質問した。


「いや、ただの偶然だ」


ヘルマは先程、一夏達が見ていた喫茶店に視線を向けると、
そこに移ったのは以前自分たちが興味を持ったライが楽しく会話をしていた。



「なるほど、あの男の過去が気になるのか?」



「!!」

その言葉に反応したのはラウラだった。




「それにして、あの三人は面白いな」




「あの三人…」


一夏達は純菜とマリーカのことだと思ったが。



「違うよ、あの三人っていうのは彼が最も信用してるお友達のこと♪」



その言葉で、先程盗聴してる時きいていた、ルルーシュとスザクの話を思い出した。



「なぜ、貴様はライの過去を知っている?」



ラウラは怒りを隠さず、問い詰めた。



その事に、一夏達は少し驚いたが、目の前の二人の所為で気にする余裕がなかった。



「なに、次の異世界(もくてき)を調べていたら、偶然見えただけだ」


「私もその時にね〜。だから彼等が進んだ道があまりにも似ていてね」


「幼くして覚悟を決め、大事な女を亡くし、その手で自身の父親を殺め、
そして大量――」



ヘルマが言い終わる前に、ラウラはサバイバルナイフをヘルマの首に投擲したが、
ヘルマはそれを掴んだ。



「ラ、ラウラ!」


「ほう〜、面白い反応するな」


一夏はラウラ行動に驚愕し、ヘルマとアルヴィは面白いものをみた顔をしていた。



「それ以上くだらないことを言うならここで殺すぞ!!」


怒りに満ちた目でヘルマ達を睨むラウラ。


「くくく、どうやら接続(アレ)で面白い副産物ができたようだ」


「みたいだね」


『・・・・・・・』


「お前達の目的はなんだ?」


一夏達がラウラの行動を驚きを隠せずにいる中、
千冬はヘルマに目的を聞いた。


「アレと本気で殺し合いがしたいだけだ」


「私は彼のトラウマを弄って壊したいだけ。この手の人間は怒りに狂って壊れるか、
木偶のように何もできず壊れるかだけど、アレは前者だし、
それと理性や良心が壊れた彼と戦いたいだけよ」


二人の答えに戦慄する一夏達。


「それを邪魔をするなら、あの学園をこの世界から消してもいいぞ」


「あ、それ面白そうね。それならあの二人が大暴れするだろうし。
世界はどう捉えるかも気になるわね」


ヘルマは殺意をむき出し、アルヴィは呑気に言う。



一夏達はヘルマが殺気から殺意に変えた瞬間、心臓を鷲づかみされた感覚に襲われた。


歯がガタガタなり、身体中が恐怖で震えだす。

もし、この場に千冬がいなかったらこの恐怖心から逃げ出す為、
自ら気絶するか発狂をしていた。


「奴はお前達と根本的に違う、
何せ、世界・・・というより時代か・・・、
時代に流されるのではなくそれに抗った、そこがお前達との差だ」



「時代に抗っただと?」



千冬は疑問を口にするとヘルマは、

「ああ、流れに身を任せたお前とは違う、
投げ出したお前達とはな、
覚悟を決めて背負い、目標達成させているのだからな」



知っているように語る二人に不快感を感じる千冬。


「それに、いい事教えてあげましょうか、
彼にとって、あなた達はまあ、少し仲がいい友達程度、
あの生徒会の子達に比べればかなり差があるわよって、これじゃあ嫌なことか」


笑顔で、一夏達に言うアルヴィ。

その言葉でライに思いを寄せているシャル達は複雑な気分になり、
一夏はあったことのないルルーシュとスザクに嫉妬する。


その気持ちを読んだアルヴィはさらに追い討ちをかける。


「あの生徒会に手を出せば、彼は本気で躊躇もためらいもなく私たちを殺しにくる。
もしここで戦闘になったとしても、もしかしたら周りの被害も目もくれずにね♪」



「ラ、ライが人を殺すなんてあるわけないだろ!!!」



自分の目標であるライがそんなことをするはずがないという一夏似二人は。

「ふふふ、はははは!!」

「ああははは!!」


大笑いをする、但し先程の殺気を残したまま。
その笑いは人とは思えないものだった。





「私達はあなた達は全く興味はないからね」








「奴に言っておけ、牙を磨いでいろと」


「じゃあね」

一夏達の反応うを楽しめしたのか、それだけ言って人混みにまぎれていった。


その後、一夏達はヘルマ達の姿が見えなくなってからも体が震えていた。



「織斑先生はこれからどうするんですか?」

「私はまだ買い物が残ってる」



シャルロットの質問に千冬は普通に答えた。

アレだけの殺気や殺意に当てられても、普段通りの千冬に尊敬の念を抱きつつ、
一夏はあのふたりのことをどう思うか聞いたら。




「連中の思考はもう人間のものじゃないだろな。
人を殺すことに躊躇どころか、楽しんでいるようだが・・・」



「だが?」


「殺人鬼と呼ぶには生ぬるい連中だ。お前達は奴等を見かけたら絶対に近付くなよ」



千冬は忠告して、買い物に向かった。

一夏達はライがいるほうに目を向けたら、ライがいつの間にかいなくなっていたことに気付き、
夕飯までに町を回る事にした。









そのころ、ライ達は店の裏路道にいた。



「悪いけど、学園の人達に手を出すなと仲間に伝えてくれないかな?」



「それを伝えても、やめなかったら?」



ライ達はあの時アリーナに侵入した三人の内の一番背が低い女の子と会話をしていた。

ヘルマの殺気に気付き、店を出た時背の低い少女を見かけて、レイン達と後を追ったらと裏路地で待ち構えていた。



「それに、私に言うより。あのまま直接言いに行った方が良かったんじゃないの〜?」



「あの人と次に会うときは殺しあいだからね。私はこんな場所で殺し合いをする趣味はない?」



ライは先程、ヘルマが出した殺意と同等の殺意を少女に向けた。

けど、少女は一夏達とちがって笑み浮べる。


「本当に面白いわね。ヘルマと同等の殺意をだすなんてね〜、」



レインは動じてないが、マリーカはライの殺意に驚愕していた。
殺意を向けられてる少女は無邪気な反応をする。



「でも、貴方は場所に関係なく、敵を殺すタイプでしょ?」



無邪気に質問する少女にライは冷たい瞳で答えた。



「それは時と場合による」


ライの目は更に猛禽の如き鋭い眼光にかわる。


「うん。やっぱり君は王としての表情が一番似合ってるよ、
まだ抑えているようだけど、本来はこの程度じゃないんでしょ
支配者が持つ覇気、あるいは王者の風格というのは?」


「「!!」」



レインとマリーカはその言葉に驚愕したが、ライは何か納得した表情を浮かべる。



「私の過去を知ってるようだな?」


「まあね、ヘルマが異世界に干渉した時、貴方が呼んでるCの世界だっけ?
あの世界に干渉した時、偶然貴方の記憶というべきかしら
それが流れたの。いや〜驚いたわ。
あんな風に他人の記憶が流れるなんて始めてのことだし」



(Cの世界でC.C.の過去が流れた時と同じ現象か・・・。
それなら、流れた記憶は僕に返ってると考えれば最近の見ている過去の夢にも納得行く。
それに・・・僕は何百年もCの世界で眠っていたから僕の記憶が強く残っていたか)



「お前達は私達と同じで異邦人か?」


「ご名答。これでも私は二十代後半よ。あの中で超新人。
私のような聖痕に目覚め、人と違う生き方をしたいから彼女たちについていったのよ。
異世界に来るのはこれで二回目」



「この世界で何が目的だ?」



「この世界はつまらなくてね、次の世界にいくまで、傭兵まがいなことをやって、
時間を潰そうと思ったけど、貴方の戦闘を見た時ビビッときたのよ。
これと戦いたいって。ヘルマ達も同じよ」



「以前にも言ったが。随分過大評価されてるようだな私は」





「だって、命の保障された戦いなんて子供の喧嘩と変わらないじゃない。
いや、喧嘩は少なくてもお互いの意見が合わないから喧嘩をするから実際はそれ以下ね。
この世界の人間はISという命が保障された兵器に力を入れてるし、
そんな連中を殺しても楽しくもなんとも無いし。
その点、貴方達は戦場を知っているぶん、まだ楽しめるわね。
特に、君は幼いころから戦場に出て、指揮をとり、何万とその手で人を殺している。
この世界でこんな獲物に出会えるなんて運がいいわ」



「最後の質問だ、私を無視して他の世界に行くという手段は?」


「楽しいオモチャを見つけて、それで遊ばないほど無欲じゃないわよ。
それに、私達が次に行く世界は貴方がいた世界なんだから」



「だったら、お前達はこの世界で死んでもらう」


ライがいた世界は今ようやく平和の道に進み始めた。
そんな中、彼女たちのような爆弾はあの世界で何をするか想像がつかないライは
彼女達をこの世界で始末すると決心する。

それを言葉にしても、その爆弾の内の一人は無邪気な表情で。


「殺し合いはそうでないとね〜。楽しみにしてるよ」


手を振りながらこの場を去った。


「この場で殺さなくてよろしいんですか?」


「ああ、こんな所で死体を出すわけには行かない」


「そうですか。でも、戦いとなったら殺しても構いませんか?」



「それはお前の好きにしろ」






「しかし、織斑君達が止めにきたらどうします?」

マリーカは一夏達の性格を考えてライに質問をした。



「マリーカも戦場を経験しているならわかるだろ? 
あの手の連中は本気で殺しにくる、一夏達のような甘い考えではこちらが殺される。
それに、彼女達はこちらが殺しにこない気だと思ったら、その気にさせるために何でもするだろうし」



「やっぱりですか・・・」


マリーカも彼女達の性格をなんとなくわかっている為、
ライの答えに半ば納得してしまう。


「さてと、これからどうする?」


先日とちがい何時もの表情と雰囲気に戻るライにレインは何時ものように答える。

「私はライ様が行きたい所ならどこでも構いません」


レインはそういって、ライに視線を向けるとライはマリーカに視線を向けた。
それにあわせレインの視線もマリーカに向けられた。


「えーーー!! 私が選ぶんですか?」



「正直言えば、休日の過ごし方がわからないんだよ僕は」


「私もだ。今までは訓練に時間を割いていたのでな」


二人の答えに苦笑しながら



「一般的にはウインドウショッピングですけど」


「それでいこうか」


「そうですね」


「「じゃあ、案内を頼む」」


「はは・・・、(責任重大ですね)」


三人はそのまま、色々な店を観て回っていく。
その途中で、一夏達とばったり会ってしまう。


「奇遇だね」


と、ライはしれっと言う。


「そ、そうだな?」



「う、うんそうだね」


「む、何を言うわた――「アンタは黙ってなさい!」

ラウラが余計なことを喋りそうだったので鈴が口を追いさえた。


「「・・・」」



「お、おほほほほ」


ライ達は一夏達がヘルマと接触した事を知っていたが、
それに関しては知らないことにして、会話を進めた。


「これから、夕飯をどこかで食べるけど一緒に行く?」


「そ、そうだな、なあライ達と一緒に食べるか?」


「そうね」


一夏が皆に聞くと鈴を初め、他のメンバー了承する。


(そういえば鈴には訓練の後のタオルやドリンク、お昼の酢豚とかで、
お世話になってるな・・・何かお礼したいな)


ライはふと鈴の健気なアプローチを思い出した。
最も自分に対する好意のためのアプローチだと気付いていないが。



「鈴ってさ」

「な、何よ!?」

尾行していた事に気付いて何か言われるかと思って身構える鈴。


「明日時間ある?」


「あるけど」


「なら、僕とデートしない?」


笑顔で言ったその言葉にシャルとラウラが不機嫌になったのは言うまでもない、
鈴はあまりにも突然な誘いに動揺するが、ここで断ったらシャルとラウラと差がつかないため
OKをだした。


最もそのデートは今まで自分が作った酢豚や、
訓練後に用意したタオルなどの御礼だと知って肩をおとした。

余談であるが、セシリアは鈴をデートに誘った時のライの表情をみて、
危く惚れかけたと語る。










千冬は買い物を終えると直ぐに職員室に戻った。


戻ったが、山田先生が青くなって山のように積んであるファイルを眺めていた。


「山田先生・・・・そのファイルは?」


千冬の女の勘がこれは厄介なものだと告げる。


「えーと・・・、ランペルージ君にお見合いの申し込みとか、
養子にならないかと言う話と、IS関係のスカウトなんですけど・・・。
どうしましょう?」



ライの実力は知れ渡った、そのせいで、
ISに関する企業などのスカウトが来る事をあらかじめわかっていたが。
自分の娘や孫とお付き合いしないかという話だけじゃなく、
養子の話まで来た事は予想外だったようだ。




「捨てなさい」


「ええーーー!? いいんですか?」


千冬はきっぱりと命令するが、流石に捨てるのはどうかと思う山田先生は本当にいいのかと聞くが。


「・・・・なら山田先生はランペルージが見ず知らずの女と付き合っていいと?」



「それは嫌です!!」


即答する山田先生に少し驚いた。

「・・・・・」


「あ・・・あの、ランペルージ君は学生ですし。
だから、その・・・」


自分が即答した事のいい訳を言い始める山田先生を見て千冬は



「(山田先生も落としたのかあの女誑しは・・・、
いや、それよりもお見合いの件か・・・」


千冬はファイルを見ながらため息をついた。
理由は親に勝手に決められたものではなく、自分達から親に頼んだものが多かったからだ。



(あの三人の件で頭が痛いというのにあったこのない連中にまで目をつけられるのかお前は・・・・)



最後に壮大なため息をつき、ある覚悟を決めてファイルを処分し始めた千冬であった。









食事の後、ライ達は寮に帰ったが、レインとマリーカはレインの実家に戻ってた。




「ちょ、ちょっと純菜、いきなり何を言ってるんだ!?」




「聞こえなかったのか、今すぐ、刀や短刀などの類の武器を用意しろといった」


「な、なぜいきなり、というかお前を本当に純菜なのか?」


「父上、呆けましたか? 私は私です」



娘の変わりように自体が追いつかない純菜の父。



父が理解していないとわかった純菜はすぐに使用人たちに命令する。

「家にある金目のものを売って武器を調達して来い」


「は、はあ?」


「今すぐだ、それと刀の方はしっかりした物だ」


「あ、あのお嬢様、いきなりそんなことを言われても」


「そ、そうだ、どうしていきなり武器を欲しがるんだ純菜?」


我に返った父に当然のごとくっ姿勢で純菜は答えた。


「私の忠義のためだ」


この時純菜のバックに雷が降ったような気がしたと使用人達は後に語った。



娘の変わりように妻に相談する父に妻は。


「遅れた反抗期でしょう。好きにさせなさい」


「か、母さん!? !!!ちょ、純菜、それは駄目、
私が大切にしている壷だけ止めて!!」



最早娘を止める者はいないと衝撃を受け、その娘を見たら
自分が大事にしている壷を売りに出しそうだったので情け無い声で制止に入る父。


「あ、あのよろしいのですか」


マリーカはその光景を見て純菜の母に質問をした。



「いいわよ。それに面白いし」


「え!?」


さすがにこの答えに驚くマリーカ。

「それに、あの子があんな人間らしい表情を見るのはうれしいものよ」


「それって、どういうことですか?」


「貴方と会う前は、なんというか目標がないまま技術だけを磨いていたのよ。
ちなみに理由は聞く気はなかったわよ。
あの子の目からは強い芯を感じたから
それを聞くのは野暮でしょう」


「は、はあ」


「だから、やりたい様にやらせたのだけど、
入門した道場の技術は驚くほど早く身に付け、
すぐに他の道場に行く以外、わがままは言わなかったわ。
技術だけ身につけて大会に出るわけでもなく、誰かと競うわけでもなく、
ただ技術だけを身に付けていったのよ」


「そ、そうなんですか?」


「ええ、あなたとであった時は本当に驚いたわよ、
あの子とあんなふうに会話をしたのは貴方が初めだったし」


わが子の変わりように嬉しさを隠さない母。


「それでマリーカ、どんな子に惚れたのあの子は?」


「えーと、色恋沙汰の惚れたではなく、
何というか主人を見つけた従者という感じでしょうか」


なんとなく説明しづらいことを何とか簡潔に説明したマリーカ。


「ああ、なるほど、それでさっきから忠義と叫んでいたのね」


「え、ええ」




「ちょ、す、純菜、本当それだけは駄目だ」



「黙れ、確かにお前達には感謝しているし、恩も感じている、
だか、今は忠義が勝る!!」


「まあ、面白いからこのままでいいけど・・・む、
このお茶、コンビニのにしてはかなり美味いわね」




この親子を見て、引き攣った笑みを張り付かせるマリーカであった。



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