『科学と魔法と――』
――― RUN ABOUT(4) ―――



「あ、あの……何かあったのですか?」
「は、はは……いえ、なんでもないっす……」
「ええ、なんでもありませんことよ」
 次の日の朝。宿屋に隣接する食堂で2人の様子が気になった村長が問い掛けるが……
零司は目に涙を浮かべ、微妙にやつれてるような煤けてるような様子で答る。
逆にユーティリアは艶々とした笑顔で答えていた。
まぁ、零司は中々寝付けなかった上に寝れたには寝れたがなぜか恩人に説教されるという夢を見てうなされた為に――
ユーティリアは幾年ぶりの心地の良い眠りのおかげでリフレッシュ出来た為であるが。
「まさか、ユーティリア様に何か粗相をしたんじゃあ、ありませんでしょうね?」
「あ、あってたまるか!!」
妙に黒いオーラを発しながら問いかけてきた村長に零司は思わずタメ口で突っ込みを入れる。
しかし突っ込みを入れたものの、昨日のアレはどう考えても自分が悪いと言う事で零司の心には罪悪感が募っている。
しかし、何もしてないといえるスレスレの所ではあるし今更どうしようもないので、ひとまず昨日のことは忘れる事にした。

「まぁ、ソレはともかく……これからどうする? たぶん……いや、間違いなくあいつらは追い掛けて来るとは思うんだけど」
 一度ため息を吐いてから零司はそんなことを切り出し、ユーティリアも同意するようにうなずいた。
ユーティリアをさらった者達に目的がある以上は簡単に諦めるとは思えない。そうなればユーティリアはずっと追い掛けられることになる。
どうにかしてそれを止めさせないことには何の解決にもなりはしない――
「ユーティを追い掛けてる奴らの目的がわからないからな〜……他に何か聞いてなかった?」
「いや、君に話した以上のこと以外は何も……」
「私も同じですの……ユーティ?」
 零司の問い掛けに村長はすまなそうにうつむき、ユーティリアも頷きかけ……そのひと言に気付いて顔を向けた。
「ああ、あぁ、ごめんなさい!!不遜でした!!思わず略しちゃいましたごめんなさい!!」
「あ、いえ……別に……構いませんの……ことよ……」
いきなり土下座を始めた零司にユーティリアは呆れながらも、うつむきつつもモジモジとしながら答えていた。
このことに村長は戸惑った様子で2人の顔を何度も降りながら見てしまう。
というか、困惑していたのだ。2人に何があったの? という感じで……
「お、おほん……それはそれとしまして……確かにこのままではどうにもなりませんわね……」
「ああ……せめてそいつらの目的がわかるならなんとかなるかもしれないんだけど……」
 まだ若干赤いものの、咳払いをして仕切り直しをするユーティリアの言葉に零司は頬杖をしながら答えた。
その様子にユーティリアは若干ジト目になってたりするのだが……それに気付かない零司はあれこれと考えを巡らせていた。
ユーティリアをさらった者達の目的がわかれば対策の立てようはあるのだが、現状ではそれを調べるのが難しい。
かといって――
「ユーティを取り戻しに来た奴らをとっちめて聞き出すのは……、いや不埒だな……」
 思わずそんなことを考えてしまった零司は自己嫌悪で首を横に振った。
1人2人ならば問題は無い。でも、それが大人数となると零司でも戦うのは難しくなる。
そして、奴らがユーティリアを狙っている以上、そうなる可能性は高かった。
それにそれが出来たとしてもその者達が事情を知っているかどうかも怪しい。
ユーティリアをさらった者達の慎重さを考えれば下っ端に何も教えていないなどあり得る話だし、なによりソレは守る対象を餌にする行為だ。
現状、打てる手と言えば逃げ回る事のみだが――
他に手はないものかと零司は考えるが、首を傾げるばかりで思いつくことは無かった。
「ですが、ある程度の危険は考えるべきだと思いますの。目的を知ることもそうですが、私の封印を解くためには……」
「わかってる……だから困ってるんだ」
 ユーティリアの言葉に納得はするものの零司はため息を吐いた。
確かに多少の危険は覚悟しなきゃならないだろう。どの道、ユーティリアをさらった者達のことを調べるとなるとそうなるだろうし。
かといって無意味に危険な目にあうわけにもいかない。下手をすればユーティリアを再び攫われることにもなりかねないからだ。
「調べられる方法は他に無いのですか?」
「ん〜、調べると言ってもな……わかる奴がどいつなのかわかんないと――ん、そうか……」
 村長の問い掛けに零司は返事を返しかけてあることを思い出し、顔を上げた。
「何か、いい手でも思いつきましたの?」
「いや、考えて見たら、あいつらから直接聞く必要は無いんだよな」
「どういうことですか?」
 ユーティリアの問い掛けに零司は笑みを交えて答えるが、理解出来ていない村長が問い返した。
ユーティリアも同じく理解出来ていなかったので訝しげな顔をしていたが。
「情報屋だよ。そいつらなら何かしら情報を持ってるかもしれない」
「情報屋……ですか? どういった物なのです?」
「言葉通りかな。古今東西、裏表。様々な情報を手に入れて売り渡す奴らのことだよ」
「そんなのが商売になるんですの?」
「なる。情報次第で戦争や商売を優位に出来るからな」
 話を聞いた村長の疑問に零司が答えるとユーティリアからそんな疑問が出てくる。
それには肩をすくめながら答えていたが。
「昔、ある仕事をした時に一緒になった奴に教えてもらったんだけどな。
でもまぁ、これは別な意味で難しいんだよ。中には金欲しさにガセネタ……つまり嘘を教える奴もいるらしいし。
それに一応売り物だからお金は出さなきゃならないけど、相場がどれくらいかがさっぱりわからない……」
 話ながら零司はため息を吐いた。零司もそういう話を聞いただけで詳しいわけでは無い。
その為、不安だったのである。何かしらおかしなことにならないかと。
「ですが、試してみる価値はあると思いますの」
「確かにあいつらと直接、事構えるよりはマシかな? それじゃあ――あ」
 ユーティリアの言葉にうなずいた零司が立ち上がろうとして、そこであることに気付いて声を漏らした。
「どうかしましたの?」
「いや、先にユーティの姿をどうせんといかんかも。凄く目立つし」
 首を傾げるユーティリアに零司は苦笑混じりに答えた。ユーティリアの容姿は間違いなく美少女といっていい物だ。
それに服装も普通の人から見るとかなり奇抜すぎており、それらが相まってかなり目立っていた。
現に食堂に来ている他の客達が時折ユーティリアを見ていることに零司は気付いていた。
そして、自身に向けられる視線は変質者を見る目のソレであることも。
このままではここに自分がいますよと言いふらしているようなもの。ついでにロリコン疑惑まで掛かってくる。
そうなれば追っ手が早い内に来る可能性が高くなる。自警団にも追われ、とっ捕まる。
危険は出来るだけで避けたいのと変なレッテルを貼られ、しかも時間をロスするのは零司としてはなんとしてでも避けたかった。
「この格好は目立ちますの?」
「ええ、まぁ……」
 自分の服装を見回しながら疑問を漏らすユーティリアに村長は困った顔をしながらもうなずいていた。
言われてみるとユーティリアが目立つと気付き、そのついでに露出の高さにも気付いて村長の方が恥ずかしくなってしまったからだが。
で、話し合いの結果、白いマントとフードを纏ってもらうこととなった。
ユーティリアが別な服に着替えることに難色を示した為である。それでこれなら着替える必要も無いと零司が提案したのだ。
それにユーティリアをさらった者達も似たような格好をしていたので、目立つことをしなければまずわからないのでは?
と言われてユーティリアが納得したので、このような格好となったのだった。


 その後、情報屋を探すこととなったが、これがかなり難しかった。
町の人に聞いてもわかる人はおらず、それっぽいスジの人に聞いてみれば難癖を付けられる。
しまいにはケンカをふっかけられてしまう始末となってしまった。
「あたたたたた!? ま、まった!? わ、わかった!? 言う! 言うから許してくれよ!?」
「まずはゴメンナサイを所望する……滅茶苦茶痛かったです」
 ケンカをふっかけてきた男は強くなかったのでタンコブと青あざができた零司にあっさりと腕をひねり上げられていた。
零司は最初は抵抗しなかった。逃げようともした。
だが、男が情報屋の居場所を知っている事を仄めかせたので、少しほど痛い目を見てもらう方針としたのだ。
「ゴ……ゴメンナサイ」
「どうも、で……知ってるのか?」
零司は男が喋りやすいように少し力を緩める。
「あ、ああ……北側の町外れに古い家があるんだがそこに占い師がいるんだ……
でも、そいつは情報屋もやってるんだよ……あでで!? 離せ!? 話したんだからいいだろうが!?」
 訝しげな顔を向ける零司。この手の連中を気を抜くと手痛い目にあうのは経験済みだった。
その為警戒していたのだが、腕をひねり上げられた男は叫びながらもそのことを話す。
それでもなお警戒する零司だが、嘘では無いと感じると腕をあっさりと離し解放された男は文句を言いながら走り去っていった。
「やりすぎなような気がしますが……」
「俺もそう思うし、人を痛めつけるのも好きじゃない……けど……」
 冷や汗を流す村長に零司は少し寂しそうに答えた。零司も旅の関係上、色んな者に会ったり経験してたりする。
その経験の中には手心加えた結果、手痛い反撃に遭った事もある。それ故に出てしまった行動であった。
世の中、正直、誠実、人を信じることだけでは生きてはいけないのが現実であった。
「ままならないよなぁ……」
 それはそれとして、なんとか聞き出せたのでその情報屋がいる場所に向かうこととなった。
まぁ、詳しい場所まではわからなかったので、町の人達に場所を聞きながらになったが。
「おや、いらっしゃい。何を占って欲しいのかしら?」
 そうしてたどり着いた所にいた占い師は若い女性だった。
小さなテーブルに濃い紫色の布で覆い、後ろの壁も覆うような形で同色の布を掛けていた。
そのテーブルの上には子供の頭くらいはありそうな水晶球が置かれ、ロウソクが灯るいくつもある燭台も相まってそれらしい雰囲気を感じる。
占い師も体を覆うような形で濃い紫色の服を着ており、頭も髪型を隠すような形で同色の布を被っていた。
また、顔の下半分を薄紫色の透明なベールのような物で覆っていた。
「実は情報屋を探していてね。あんたがその情報屋だと聞いたんで来てみた、のだけれど……も…………」
 答えつつ近付く零司だったがあることに気付いて思わず立ち止まり、顔を引きつらせていた。
占い師は美しかった。なにしろ、その顔立ちはまるで彫刻のように美しく整っていたのだ。
紫に輝く瞳は挑発的な感じでつり上がっていたが、それが顔立ちに良く似合っていた。
それだけならば零司は顔を引きつらせたりはしない。問題だったのは服装だった。
良く見ると服はうっすらと透けており、少しばかり素肌とすらりとした体付きが見て取れる。
しかも、服のしわが微妙なぼかし具合になっており、それで下着が隠れてしまってるのか裸体に見えてしまうのだ。
更にはこの占い師の胸はあまりにも豊満すぎて、不意打ちにも近い状況から零司は思わず顔を背けてしまうと同時に思う。
ここの大陸の女性はこんなんばっかかよ――と……
「零司……鼻の下が伸びてますわよ」
「あらあら、嫉妬? 可愛らしいわね」
 そのことに気付いたユーティリアがジト目を向け、そのことに占い師はくすくすと笑っていた。
このことに零司はテレた様子で顔を背けながら頭を掻き、占い師の服装に気付いていない村長は首を傾げる。
そんなこともあったから3人は気付かなかったのかもしれない。占い師の視線がユーティリアに向けられていたことに。
「それで……どんな情報が欲しいのかしら?」
「え? じゃあ、やっぱり――」
「そ、あなた達がお探しの情報屋よ」
 その言葉を聞いて思わず顔を向ける零司に即座に笑顔に戻った占い師がうなずいた。
このことに零司はほっとするものの、すぐにこれで終わりでないことに気付く。
なにしろ、自分達が求めている情報をまだ手に入れたわけではない。それにお金を出さなくてはいけないのだ。
値段次第では出せない可能性もある。そうならないことを祈りつつ、零司はそのことを聞くことにした。
「その前に相場を聞きたい。手持ちじゃ足りないかもしれなくて」
「そうねぇ……基本1つにつき300キューズでどうかしら? ただし、情報次第では少し上乗せさせてもらうけど」
 頭を掻きつつ問い掛ける零司に占い師は妖艶な笑みを浮かべながら指を3本立てつつ答えた。
ちなみにキューズとはこの大陸での通貨の名前である。
そして、値段的には安いというわけではないが高いとも言えないものなので零司はほっと息を吐いていた。
「そうか……」
「普段ならこの倍以上もらうのだけど……今日はちょっといいことがあったのよ。
ま、今回限りのサービスって所よ。で、お求めの情報は?」
「ソレは助かる。で、ここの所神類を狙った拉致行為を行っている組織、あるいは集団があるかどうかを聞きたいのだけれど。
個人でも構わないんだ。特定の神類を狙ってる奴がいるとか……そういう情報はないかな?」
 零司は先ほどとは打って変わって真剣な表情を浮かべ、気を取り直してユーティリアに顔を向けつつ聞いてみた。
その時、ジト目のユーティリアに首を傾げ、それを見ていた占い師はくすくすと笑っていたが。
「あらあら、可愛らしい神類ね。ま、それはそれとして――
お求めの情報だけど……確かにそれらしい奴がいるって情報はあるわ。その子を狙ってるどうかまではわからないけど」
「ほ……本当ですか?」
「おっと、これから先はお金をもらってからよ」
 話を聞いて思わず歩み寄る村長であったが、話した占い師は右手で待ったを掛けつつそんなことを言い出す。
そのことに村長は不安になりながら零司に顔を向けてしまうが、零司は静かにうなずくだけ。
それを意味することを理解した村長は渋々ながらも言われた値段を占い師の前に置くのだった。
「毎度あり〜。それで話の続きだけど……このベストラを出て西に少し行った所に建物があるわ。
昔の駐屯地らしいんだけど、今はどっかの組織の根城になってるみたい。で、そいつらがどっかの神類を狙ってるって噂があるのよ」
 置かれたお金を手に取った占い師は笑顔を見せてつつ話したが、聞いた零司は頭を抱えて悩んでしまう。
なにしろ、得られた情報があまりにも少ない。ユーティリアを狙ってる者達のことが詳しくわからないし――
「そいつら以外にはいないのか? 後、そいつらが何人くらいいるのかわからないのか?」
「今の所、そいつら以外にそれらしい話は聞いてないわね。
規模の方は調べてみないとわからないけど、調べるとしたら追加料金はもらうわよ」
 肩をすくめながら答える占い師の言葉を聞いて、問い掛けた零司は考えてみた。
聞く限りではそいつらを調べてみるしかなさそうだが、そいつらがどんな者達なのかという情報があまりにも無さすぎる。
かといってこれ以上の出費は厳しい。なにしろ、レンタルした魔導馬車代金も払わねばならない。
それを考えたらこれ以上の出費は抑えたかった。村長が持つお金にも限りがあるのだし。
「わかった。後はこちらで調べてみるよ」
「はいはい、がんばってね〜」
 そんな言葉を残して零司は去っていく。その後を追う村長とユーティリア。
占い師は笑顔で右手を振りながら見送ったが――
「ほ〜んと、運が良かったわ。まさか、あれがここに来るなんてね」
 零司達が去ったと見ると途端に妖艶な笑みを浮かべる。
占い師にとって、あれは――ユーティリアがここに来るのは全くの予想外であった。
あちらにしても偶然だろうが、占い師にしてみれば本当に運が良かった。先程話していたいいことも実はこのことだったりする。
その後、占い師が指を鳴らすとしばらくして水晶球の中にゴリラを思わせるような顔が蜃気楼のように浮かび上がった。
「何の用だ、レグナード?」
「そうカリカリしないの。確か、例の神類を逃したって言ってたわよね?」
「く……」
 レグナードと呼ばれた占い師の言葉に声からして男と思われる者がイラついた表情を見せていたが途端に悔しそうな顔になる。
それを見てレグナードは笑みを浮かべるが――
「実はその神類がここに来たわ。ビックリしたわよ〜。あなた達が逃がした神類がここに来るなんて」
「な!? く……それは――」
「ま、本当なら文句の1つも言いたい所だけど……挽回のチャンスを上げる。
その神類があなたの隠れ家に行くように仕向けたから、今度こそ連れてきなさいよ?」
 挑発的な笑みを浮かべながら話すレグナードに最初は悔しそうな顔をする男は訝しげなものへと変わっていた。
「なんのつもりだ?」
「あら、深い意味は無いわよ? ただ、面倒だからあなたに押しつけただけ」
 男の不審な眼差しにレグナードは肩をすくめながら答えた。
そう、レグナード自身は言葉以上に意味は無い。全てを話していないだけで――
「それとも失態をあの人に話す? ふふ、怒られるだけで済めばいいわね」
「く……待っていろ! 小娘はちゃんと引き渡すからな!?」
 嘲笑を浮かべるレグナードに男は悔しそうに言い放つと、浮かび上がっていた顔が消えていった。
その様子をレグナードは笑みを浮かべたまま見送ったが――
「ええ、せいぜいがんばってね。面白い物が見られるように」
 なんてことを言いながら被っていた布とヴェールを外した。
その下から現れたのは鮮やかな紫色の光沢を放つ髪……が、頭の左右から羊のような黒い巻き角が生えてくる。
「あの子、何者かしらね? あれが懐いちゃうのもそうだけど、妙な気配を持っている――」
 などと嬉しそうにしながらそんなことを呟いた。
なぜか、零司を見てると何かが……興味とは別の何かがレグナードの中で疼いたのだ。
「確かめなきゃね。どんな奴なのか」
 不敵な笑みを浮かべながらレグナードは立ち上がる。自分をこんな気持ちにさせた零司がどんな者なのかを確かめる為に。
まぁ、自分でやるのが面倒だから見学だけ出来るように零司達をあそこへと誘導させたのだが……それを行うためにレグナードは姿を消した。
その場にあった占い道具と痕跡と共に――


ベストラの表通りに戻ってきた零司たちは一先ず宿へと戻ることにしていた。
「しかし、随分と進展しましたね」
「えぇ、思わぬ収穫でしたの」
 嬉々としている村長とユーティリアの先を零司は黙々と歩き続けていた。
しかし、その表情は優れない。何かおかしいと感じているのだが、それがなんなのかを考えていたのだ。
「ところで、零司は後はこちらで調べる……と言っていましたが、具体的には……零司?」
 そこで、ユーティは零司が真剣な顔をしているのに気付いた。そして、それが焦燥に駆られた類のものであるのにも。
「まずった……」
「え?」
 頬に一筋の汗が流れ零司は気付くと共にそのひと言を漏らす。それを聞いたユーティリアは首を傾げるが――
「俺は……ユーティが『神類』だと一言も言ってないぞ」
 そのつぶやきを聞いてユーティリアははっとする。
確かにあの時零司はユーティリアを見ていたが、彼女が狙われているとも神類だとも話してはいない。
視線で気付いたかもしれないが、あの時の占い師の言葉は明らかに決めつけるようなものだった。
 まさかと思って慌てて占い師の元へと戻る2人。
「ど、どうしたのですか……え?」
 突然のことに慌てて追い掛け、2人に遅れる形で占い師がいた建物に入る村長。
そこで見た物は占い師の姿どころか、何も無い空間だけであった。
このことに零司とユーティリアの中で言いしれぬ不安が込み上げてくるのだった。





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【あとがき】


どうも、色々と自重してくださいと怒られた匿名希望です。
まぁ、元々書いてた路線が違いますので、しょうがなくもあるのですが……
さて、今回はバトルに行く……予定でしたが、そこまでに至る経緯を書いてたら更に次回になってしまいました。
どうしても、執筆に取れる時間が無いものでして……うん、お休みが欲しい。
そんなわけで次はバトルです。うん、そのはずだよね?(おいおい)
そういうわけなので、次回をお楽しみに〜

                       by匿名希望






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