ふう、疲れました。説明を聞く側の苦労は嫌というほどしていますが私には説明側もあまり好きにはなれませんね。

きっとここにイネスさんがいたら1年中テッサさんに説明しそうです。そしてテッサさんは嬉しそうに聞いて・・・。

他の人にとっては地獄でも2人には天国でしょう。

あ、そういえばアキトさんは今、何をしてるのでしょうか?


フルメタルパニック!、機動戦艦ナデシコ、クロスオーバー
〜テクノロジー、その先に・・・〜
第3話   出発に向けて 前編



「用件は以上だ。何か質問はあるか?」

カリーニンは無線機の向こうの相手に問いかけた。ちょうど今の状況、これからの予定を説明し終えたところだ。

「はい、なぜ今頃増援を?今の自分は保険のはずで増援の必要性を感じません。」

通信の相手、SRT要員ウルズ7サガラソウスケ軍曹が尋ねる。

「知る必要はない。」

「は、失礼しました。」

「では翌日の正午までには2人がそちらに到着する。その後の行動はおって報告する。」

カリーニンは事務的に会話を終えると通信を終了した。
















「学校、ですか?」

テッサの話を聞いたルリが疑問の声をあげた。

「ええ、テンカワさんがその陣台高校に通うことになったので約束通りルリさんもいっしょです。」

「そうですか、まぁアキトさんと一緒ならどこでもいいです。」

そう言うとルリは何かを考え始めた。

「ひょっとして学校は嫌いですか?」

ルリの様子に疑問をもったテッサは不思議そうにルリに尋ねた。またテッサにとって学校とは通いたくても通えない場所でテッサから見て不満あり気なルリの態 度に少し腹を立ててもいた。

「いえ、学校に通うのは初めてですから少し不安なだけです。」

「え?初めてって一度も学校に通ったことがないということですか?」

さっきの気分はどこへやらテッサはありえない答えに驚いた。。

「ええ、11歳まではラボで、その後はナデ・・・!?い、いえなんでもないです!!」

テッサにつられてルリはつい前の世界の事を話しそうになって急いで止めた。幸いテッサの興味は後半ではなく前半に向けられたようだ。

「11歳までラボって、そんな年のころから何かの研究をしてたんですか?」

「・・・いえ、私は研究されてた方です。」

ルリは話すべきか少し考えてナデシコのことを聞かれるよりは良いと判断して話すことにした。

「この眼を見てください。普通こんな色の目の人間はいないはずです。・・・私は受精卵の時に遺伝子操作を受けた実験体なんですよ。この眼もその副産物で す。」

ルリは気負いもなくテッサを見た。この問題はルリにとってはもうどうでもいい問題のようだ。しかしテッサは驚いた後にみるみる悲しげな表情に変わっていっ た。

「ごめんなさい、そんな話をさせて・・・。」

「いいですよ。もうまったく気にしてませんから。気にしてもしょうがありませんし。」

そのルリの言葉でテッサは話をかえることにした。

「そうですか。それはそうと『ナデ』なんですか?」

「え!?・・・そ、そんなこと言いましたか?」

話を逸らしたつもりでいたルリはテッサの質問に慌ててしまった。

「ええ、言いました。話してもらえませんか?」

「え、えーと、な、撫でられてたんです!アキトさんに!!」

「撫でられてた?」

テッサは露骨に疑いの目を向ける。

「え、ええ、11歳のときにアキトさんに助けられてそれからずっと一緒にいたんです!」

「そうなんですか、じゃぁそのときにテンカワさんが好きになったんですね。婚約したのはいつですか?」

テッサは一応ルリの言うことを信じることにしたようだ。もともと過去のことは問わずに迎え入れたので話したくないことを無理やり話させる必要もないから だ。しかしルリはと言うといまだに慌てていた。

「助けられてすぐです!」

「えぇ!?ほ、本当ですか?」

「嘘はつきませんっ!」

そういってルリは気が付いた。・・・そして心の中でアキトに謝った。一方テッサはアキト=危ない&ロ○コンと言う構図を確立させた。

「・・・変なことされませんでしたか?」

テッサは心底心配そうに尋ねる。

「変なこと?・・・(赤)。されませんよ、アキトさんは鈍感で奥手なので誘っても気付いてくれないんです(真っ赤)。」

『誘っても』。という言葉にとうとうテッサの頭はフリーズした。

「そ、その話はもういいです(赤)。これからカリーニンさんから詳しい説明を受けてください。そこにテンカワさんもいます。」

数秒してフリーズしていたテッサはいつの間にか取り出した地図を指しながらこの後のことを説明するといそいそと部屋を出て行った。

「?」

ルリはテッサの反応を不思議に思いながら誤魔化せたことに安堵した。















しばらくしてテッサの部屋を出たルリは言われた通り地図で指された部屋に向かった。

「入れ。」

ドアをノックするとカリーニンのそっけない返事が返ってきた。

「失礼します。」

ルリも短く返してアキトの隣にたった。

「ふふ、アキトさん若作りですね。」

「・・・言うな・・・。」

短いやり取りだが辺りには和やかな雰囲気が流れた。部屋の隅はでクルツがやれやれと大げさなジェスチャーをしている。

「ゴホン。話を初めても良いか?」

「あ、そうですね。どうぞ始めてください。」

ルリはカリーニンの言葉に適当に答える。カリーニンはその態度を気に留めるでもなく話を進めていった。

「話は以上だ。何か質問はあるか?」

「ああ、この状況で護衛の増員の目的はなんだ?」

「・・・話す必要はない。自分で考察したまえ。」

アキトの質問をカリーニンが否定した。しかしアキトはそれで相手の真意を読みとたようだ。

「ふん、俺達が信用できないから本部から遠ざけようという考えだろう。その考えは間違えではない。いやむしろ正しい。他人を簡単に信用するものではないか らな。」

「・・・正確には信用できるか見極めるためだ。大佐殿は君達を完全に信用しているようだからな。」

「・・・。」

それからしばらく沈黙が流れた。

「質問はもうないな。では私にはまだ仕事があるので失礼する。後の手続きはそこのウェーバー軍曹に聞きたまえ。」

そういうとカリーニンはその部屋から退室した。

「は〜い。それでは手続きをしま〜す。ルリちゃんには手取り足取り教えてあげま〜す。・・・野郎は勝手にやってな。」

クルツは身体をくねくねさせながらルリに近づくと最後にキッとアキトを睨んだ。

「・・・離れてください、クルツウェーバーさん。どうやってただの書類の手続きを手取り足取り教えるんですか?最後に、アキトさんにむかって野郎ですか (怒)?」

ルリは言葉を続けるにつれ怒りをあらわにしていった。その気迫に流石のクルツも一歩引いてしまったようだ。ちなみにクルツの言葉と行動にアキトが肩を震わ せて怒りを抑えていたのに気付いた者はいなかった。

「そ、そうかい。じゃぁとりあえず制服に着替えてきてくれ。写真がいるからな。」

クルツはそういうと近くにあったダンボールから制服を取り出し手渡した(アキトには投げて)。

「それではアキトさん、一緒に着替えましょうか?(はあと)」

ルリは渡された制服をまじまじと見てから妖艶な笑みを浮かべてアキトを見た。

「う、あ・・・クルツ、男用の更衣室はどこだ(赤)。」

アキトはルリからもクルツからも顔が見えないように顔を背け言った。

「・・・。」

クルツはニヤニヤしながら近づいてアキトにある物を渡した。

「これで写真頼む。」

クルツはインスタントカメラをアキトに渡すとぽんぽんと肩を叩いた。一方アキトはさっきまでの顔の赤みも消え刺すような殺気を放った。そしてゆっくりと振 り返ると・・・

「・・・死にたいか?」

「いいや、冗談だよ。更衣室なら出てすぐの突き当たりにある。」

アキトはそれを聞くとクルツに乱暴にインスタントカメラを渡し駆け足で部屋を出て行った。その後ルリは、むっと拗ねたようにクルツを見ると無言で部屋を後 にした。















その後2人が戻ると手続きは滞りなく終わった。ルリはアキトに制服姿を褒めてもらえなかったのが少し残念だったがいつものことなのであまり気にならなかっ た。だが実はアキトは気恥ずかしさから制服についてふれなかったと知ればルリは喜ぶだろう。

「とりあえず手続きは終わりだな。出発は明日の早朝だからそれまで休めとさ。ところでルリちゃん今夜あたり俺の部屋来ない?絶対満足させるからよ。」

「そんなこというと今度こそアキトさんに殺されますよ?そうじゃなくても私が殺っちゃうかもしれませんし?」

そんなことをいいながら真面目な目でクルツを睨み、腰の(先ほどテッサに渡された)護身用の拳銃に手をかけた。

「お〜怖いねぇ。じゃぁテッサに渡された部屋割りを発表しま〜す・・・・・・は?」

クルツは言いながら封筒から書類を取り出すと目が点になった。

「部屋が1つしか書いてないけど間違いだよな?」

クルツが2人に尋ねる。

「な?当然まち・・・」

「それはテッサさんが渡したんですよね?」

アキトが慌てて肯定しようとする声を遮ってルリが尋ねる。

「ああ、そうだけど?」

「じゃぁ間違いじゃありません。ふふ、テッサさんも気が効きます♪」

「ま、待て、それは・・・。」

「困るなんていわないでくださいよ?わたし達は婚約者なんですから♪」

「ぐ・・・。」

言おうとしたことを先にルリに言われてアキトは黙ってしまった。

「はい、決まりです。それで場所はどこですか?」

「・・・将校の部屋のあるとこ。テッサの部屋の隣。」

クルツはあいた口が塞がらないという風だった。なぜ軍曹な2人が将校クラスの部屋になるのかという疑問は湧かなかった

「そうですか。では行きましょう、アキトさん♪」

「・・・。」

ルリの言葉にアキトは呆然と後に続いた。
















夜。ルリとアキトは今後の予定を話し合いながらくつろいでいた。

「ま、いろいろありましたけど、なんとかなりそうですね。」

「そうだな。」

「・・・。」

「・・・。」

2人の間に会話が会話が途切れた。そして空気が少し重くなった。それはルリが放つ雰囲気からだ。

「ルリちゃん?」

「・・・私のせいですね。こんなことになったのは・・・。しかも私は卑怯です。私はアキトさんのことが好きだけど、その気持ちが許されるのはきちんとユリ カさんと決着をつけてからです。なのに私はこっちの世界にこれて嬉しい。もうユリカさんと決着をつけなくて良くなって安心してるんです。もともと勝手にア キトさんと婚約したときから卑怯だったんです。アキトさんの気持ちも考えずに無理やり・・・。」

ルリはそういうと俯いたまま何も言わなくなった。それをきいたアキトは改めてルリの”強さ”を実感した。今までの元気は空元気だったのだと。そしてその強 い少女が自分に見せる弱さがたまらなく嬉しかった。そしてアキトは努めて優しくルリにいった。

「ルリちゃんが卑怯かどうかは俺にはわからない。ただ1つ絶対に間違いだといえることはルリちゃんと俺が婚約したことが無理やりだってことだ。・・・確か に俺はまだユリカを好きだと言える。だが・・・言いにくいことだが同じくらいルリちゃんのことも好きだ。みんなが言うように俺は優柔不断だ。しかし今まで 俺とルリちゃんとユリカはいつも一緒か離れ離れだった。ほとんど同じだけのだけの時間を過ごしてきた。だがこれからは2人でこの世界で2人だけの時間が俺 の中のルリちゃんを1番にしてくれるさ。ユリカには悪いが俺はルリちゃんを幸せにしたい。・・・なんといっても婚約者だからな。」

アキトの顔は赤い。だがまっすぐにルリを見据えた。ルリはそのアキトの言葉に顔をあげると、

「・・・まだ納得は出来ません。まだ私は自分を許していいか不安です。でも元気は出ました。ふふ、私が好きな人がアキトさんでよかったです。」

ルリはそういうとゆっくりとアキトに抱きついた。

「こっちの世界でもがんばりましょね、アキトさん。」

「ああ、しばらくは前の世界の事は忘れるぐらい忙しくなりそうだ。」

どうやらこの件は2人ではひと段落したようだ。だが・・・。

「前の、世界?」

部屋の扉が開き、そこにはテッサが立っていた。















後書き

こんにちは、(またはこんばんは)、今回も読んでいただいてうれしい限りです。

・・・では言い訳言ってみます・・・。まず、すみませんでした!!楽しみにしてくださる方がいるにも関わらず一ヶ月以上も投稿しないなんて・・・。

理由は、模試と中間テストが立て続けになって・・・嘘です。確かに模試の前に少しは勉強しましたし、試験勉強もしました。しかし。模試の勉強はやっても少 しですし、中間テストは勉強不足で成績落ちました・・・。理由はただで友達にもらった大量のゲームがいけないんです(逆ギレ)!

はい、何もいえません。でもこれからはまた以前の通り10日づつぐらいで投稿しますのでお許しを。

もう1つお知らせが、私のもう1つの投稿している物の〜光明は遠い世界から〜の投稿が止まってますが実はこの先のシナリオに問題が・・・。もちろん最後ま で書きますが、もう少し更新は出来そうにありません。すみませんがもう少しお持ちを(居ればですが・・・)。

さて今回のお話はあんなところで終わってしまいましたが、次はルリとアキトがいよいよメリダ島を離れて陣台高校に向かうまでです。・・・変なところできり ましたが続けるとまた長くなるので前編後編に分けました。あと一言・・・アキトの台詞がらしくないですが気にしないでください。

それでは次で会えることを願ってます。


感想

RYUさんご復帰!

え〜、成績の事はご愁傷様です(汗)

今回も切れの良いお話ありがとうございます!

ルリ嬢ちょっと暴走気味ですが、そこがまた良い♪

アキトさんと二人一緒の部屋ですよ♪

これで張り切らないなんて女がすたります!

でも、テスタロッサさんも良い所で
邪魔しないでください!!

あう…でも、物語の関係上いつまでもデ・ダナンとかメリダ島に居る訳にもいかないしね…

陣台高校にはよう行ってもらわにゃ、話が…ねぇ

お話なんて! 私とアキトさんが居れば一流のラブロマンスを見せられます!

韓国バリの純愛ものですよ!


韓国ものか〜実は見た事無い(汗)

流行には乗り遅れてるね…

韓国ものはもう流行というには少し 遅いという気がしますが(汗)

え? そうなの?

はぁ、もう少し周りを見てください。


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