第75話『PD編6 ラストドール 及び帰還20010818』


西暦2540年10月

独立戦争の戦況はダドリア地峡を巡っての攻防が激化しつつあった。

オムニ軍は南ファーティリック大陸東側への上陸作戦を決行、
上陸作戦が成功し橋頭堡を確保したオムニ軍に戦局は更に傾きつつあった。

地球派遣軍は防備を強固に固めて挑発にも応じなくなっていた。
まるで何かを待つように…

連日地球軍から奪還される地域名が流れ、
地球軍の敗戦は間もなくとオムニ住民はそう思えていた。


X-3Aの配備は全体的配備要求にはまだまだ満たさないものの、
特殊能力…空挺や増加燃料タンク関連、管制レーダー等を除去した一般部隊向けの最終型ブロック35の総生産態勢に入り、
またX-3AC及びX-3AR含め月産30機生産態勢に到達していた。

一般部隊に更に普及されドールズの役割は更に特殊化、
乾坤一擲の作戦に投入されるだろう…

あれだけ脅威に思えていたTS-3だが全体的に現れる事が殆どなくなり、
激化しつつあった地峡戦線に見える位であった。


15日

ドールズ達が作戦参加の為にブリーフィングルームに集められた。

停戦に対してのとどめといえる作戦に従事すると予測されたが……


ブリーフィングルームにハーディー中佐、基地司令が入ってきた。

ハ「先日オムニ宇宙軍の軌道観測ステーションが発見した大規模船団だが、
その後の観測の結果、2532年に到着した第一陣とほぼ同規模である事が判明した。
彼等が惑星オムニに到達した場合…
地球軍の戦力は独立戦争開戦当初の状態まで回復するとの事だ」

セ「観測間違いは無いのですか?」

ハ「いや、間違いは無い」

ヤ「惑星オムニの独立の悲願はお終いになるか…」

セ「そうね…開戦当時のパワーローダー先行投入した技術差は望め無いでしょうし、
オムニ軍と戦う事で戦闘経験を獲得しつつありますし…」

ナ「この間の地球軍の新型PLDのTS-3シリーズなんだけど…
別部隊が破壊した機体を調査した結果、
X32シリーズには及ばないけど、X3Aシリーズを上回る性能を有している事が判明したわ…
その上生産効率や整備効率は格段に高いから、
短期間で量産、前線に投入できる強みもあるわ」

フ「対する我が軍の方は…
性能面で上回っているX32は私達第3中隊と第1中隊の一部で運用するのが精一杯。
X3Aについても一般部隊への配備が大幅に遅れてるのが現状」

ヤ「そこで戦力回復したら…」

セ「今度は無数のPLDを前面に押し立てて攻めてくるでしょう、
そうなったらこの先にまっているのは…
絶望的な消耗戦、いえ一方的な殲滅戦と言うべきでしょうね」

ス「到達したらお終いなの?」

ヤ「もはや打つ手無しか」

司「いや、全く無いわけでもない…
先日総司令部から第3中隊に対して一つの作戦プランが直接送られてきた」

アニ「総司令部から私達に?」

司「そうだ。諸君らも知っての通り、地球からオムニに向かう人々は冷凍睡眠処置を行う必要がある。

そしてオムニ到着後に冷凍覚醒装置にて処置を行うのだが、
この施設を使用不能にする事で地球軍の増員を大幅に遅らせる事ができる。
そこで船団の到着前に地球軍が保有する、唯一の大規模解凍覚醒施設を無力化する作戦が提案された」

フ「まさか…アトランタ宇宙港にですか?」

司「そうだ。そのアトランタ宇宙港だ」

ネ「敵の本拠地じゃないですか」

ハテ「片道切符ですよ」

ラ「の前に到達できないですよ」

アリ「総攻撃の合間になら」

ミ「単独じゃ無理です〜」

の文句を無視する様に、
司「まず、今回に限り武装は無制限、全員お気に入りの機体で、好きな兵器を好きなだけもっていくことができる。
選考は自由、明日大型ヘリ4機で補給がくる」

アリ「死に装飾にしては豪勢ね」

ス「特攻隊ですか?」

司「そして、アトランタ宇宙港及びその周辺は、船団到着に備えて強固な守備網、厳戒態勢下にある…
陸路・航空機での侵入は論外だろう。
カーゴバードと言えどアクエリアスが近くによれず、遠距離からの射出であり、
目的地遥か手前で撃墜される可能性が非常に高い…」

アリ「そう、そこなのよね…」

司「そこで技術局開発中のPLD用シールドスーツを使用する事になった」

フ「PLD用のシールドスーツ?」

司「そうだ。技術局開発の担当者の話では水深20mを約20ktで航行できるようだ。
むろんほぼ無音で尚且つ海面に痕跡を残す事なく……だ」

フ「それなら…確かに潜入できそうね」

ヤ「海の中からローダーサイズの侵攻って前代未聞だな。いけるか…」

司「さて送られてきた作戦詳細だが…
まず北ファーティリック大陸西岸フォートアカバ軍港まで移動し、
フォートアカバ軍港で待機中の潜水艦アクエリアスに乗艦、

その後タドリア海の入口であるソーンダース海峡まで移動する。

ソーンダース海峡でアクエリアスより発進、
海底航行4時間でアトランタ宇宙港北東部埠頭より上陸する」

アニ「埠頭から施設中央まで大分かかるわね…」
フ「原子炉なみいえ、それ以上に強固な防壁によって護られているはず」

司「この港から陽動部隊が侵入、警備の敵を引き付ける。
続いて本体が背後から強襲、警備部隊を制圧して陽動部隊と合流し、この入口から侵入する。

さて、堅牢に見える施設だが、
実はアキレス腱と言うべき脆弱な部分が存在する」

ナ「…冷却ユニットの熱交換機?」

司「そうだ。熱媒体を冷却するのに膨大な量の海水を必要とする以上、
必然的に海から近いところに設置せざるえないからな。
それに惑星オムニに存在する覚醒施設にはちょっとした仕掛けがある。
すべての覚醒施設に言える事だが熱交換機が事故等で制御不能に陥った場合、
安全装置が働き、覚醒施設全体が封印する事になる」

ミ「何故封印されるんです?」

ナ「解凍覚醒作業においては極めて精密な温度管理が必要とされるわ、
熱交換機が動作不良になるとその温度コントロールが不可能になるの…
そんな状況で解凍覚醒作業を強行しても解凍事故だらけ…自殺強要と一緒よ」

ミ「そうなる前に施設を封印しとしまうわけですね」

ナ「ええ…いささか過剰な気もするけど一度作業に入ったら、20万人の人命に関わる施設だからね」

ヤ「その安全装置の仕組みは?」

ナ「安全装置の構造を詳しくしる必要はないわ」

司「そう。重要なのは、
安全装置が起動し封印されたら数年は利用できないという点だ。
そこでアトランタ宇宙港に上陸後熱交換機に向かい、
そこにある制御ユニットを破壊、覚醒施設の安全装置を作動させる。
熱交換機の位置はここだ。
4箇所にそれぞれ6つ存在している熱交換機の制御ユニットをすべて破壊する」

ミ「破壊というのは爆薬を携行するのですか?」

司「いや制御ユニット自体には大した装甲は施されてない。
PLDで数回殴れば完全に破壊できる」

フ「敵兵力の状況は」

司「地球軍はその残存兵力の大半を用いて幾重にも防衛ラインを築いている。
また沖合には艦隊が集結、ダドリア海の制海権を確保。
同じく上空にも多数の航空機が展開し、
同様に対空ミサイル車両が2個師団防衛ラインに展開し、制空権をより強固にしている。
宇宙港には装甲歩兵一個師団が各所に展開、
上陸地点から目的地にかけて6個中隊を確認している」

フ「一旦中に入ってしまえば、
敵が築いた各種障害やトラップが宇宙港へ向かう足枷となるわね。
それに場所が場所なだけに支援砲撃や爆撃をうける可能性がないわ」

セ「司令、脱出方法が説明されてませんが…」

司「今回の作戦において潜入部隊の脱出プラン、救助はない」

姉「ちょっと…敵中に放り込まれてそれっきりって事?」

ヤ「捨て駒なのかよ?!」

セ「作戦の成否に関わらず生還の見込みは無し…
仮に救助するには敵中を突破できるのが海からの潜入のみ、
しかも地球軍艦隊を殲滅しなければ難しい…
救助しなければ失敗したとしても、損失はPLD1個中隊の人員だけで済む話です…」

フ「成功すれば儲けもの、失敗しても懐はたいして痛まない…と?
全く冗談じゃないわ!」

ヤ「司令、隊長!!本当にこんな作戦引き受けたの?」

エ「引き受けたんだろう」

ヤ「なんで??」

エ「断れば解任され、今日、明日にでも別の奴がそこに立って説明する…」

ヤ「決定事項か…」

エ「今まで生き死にを共にしてたあんた達が、
無責任に解任うけいれるわけないだろ?」

二人とも無言…
つまり肯定だろう。

アリ「ねぇ…助かる方法なんかないの?」

ハ「…可能性ならある」

ネ「なに?」
ラ「あるのかよ?」

ハ「停戦の可能性だ」

「停戦!?」×多数

ハ「この施設を無力化すると、残る施設はオムニ側にのみだ…
となると、今向かっている兵士だけでなく、
これから移民してくる地球移民の命も人質にとる事になる。
オムニ側のを借用し利用せざるえなくなるからな」

ミ「なら…なおの事全力投球なんじゃないの?
私達ドールズだけじゃなくて」

エ「司令部はできるだけ持ち駒をうしないたくないんだろうさ…
だろ?私達ウイングについてなんか言われてるよな?」

司「ドールズウイングはナキスト近郊の空軍基地へ移動、
以後ダドリア方面での防空任務についてもらうとの命令だ」

リ「そんな…私達も是非」

司「駄目だ。航空機で侵入しようものなら、
目的地の遥か手前で撃墜されるようのは確実だ。
潜入可能な陸戦部隊と比較できない程の危険性だ」

リ「ですが」

エ「やめないか!
私達は…私達に出来る事を全力で遂行するだけよ。
それはドールズウイングも…陸戦部隊も同じ事よ」

リ「……了解しました」

ミ「ねぇ篭城できないかしら?停戦まで…」

セ「そうね…確かに堅牢なつくりだし」

フ「確かに」

アリ「でも何日かかるかわからないわよ?」

ヤ「構わないさ停戦するまで何日でも嫌がらせして」

セ「わたし、籠城できるか計算してみる」

フ「手伝うよ」

ハ「明日1300にフォートアカバへの移動を行う。
陸戦部隊各員は明日1200までにブリーフィングルームに集合するように…
私からは以上だ」

ヤ「隊長、生きて生きて、生きあがきましょう!」

ハ「ああ、そうしよう」


……

ハンガー横の滑走路脇でドールズウイングの5人が並んでいた。
滑走路上ではターボファンのうなりが高まり、
動き始めているC556がいた。

「アテンションッ!」

つま先をそろえて5人が気を付けの姿勢をとる。

「ハンド・サルートッ!」
全員が敬礼。
C556の窓からハーディ達が敬礼で答えた。

……

アトランタ宇宙港…世界扉が開きカオルがこの時間にでてきた。

終戦後に行き過ぎて戻ってきた為、まだ戦闘開始前に到着した。

3体に分裂し、スカウト要員調査の為に散っていく…

……

「チェックメイト、最終確認を行う」

アトランタ宇宙港の沖合はるか100キロから4時間かけて、
海面下20mを潜航してきたドールズは、
宇宙港の港湾施設コンクリートの埠頭水面下に取り付いていた。
有線でワイヤー接続されている。

『ナミおっけい』
『ライザOK』
『アリスOKですわっ』
『セルマOKです』
『マーガレットOK』
『エリィOKで〜す!』
『ハンナOKです。オーバーッ』

「シルバーフォックス、そっちはどうだ?」
『ヤオいつでもOKだ』
『ジュリアOKだ』
『ファンOKよ』
『マフィルOK!』
『アニタOK』
『ミチコOKです』
『ミキOKっす』
『ジュリイ…OKですっ!シルバーフォックス、オーバー』

司令部のプランに反し同時上陸を決めた。
上陸箇所は二箇所に別れシルバーフォクスは回り込み市街地側の門を目指し、
フォクスハウンドは陽動を兼ね正面の門を目指す。

「よしっ…ハデに行くぞ。60秒後に点火。各自時計合わせ、5、4、3、2、1、スタート!」

コックピットの時計がスタートした。

「ワイヤーオフッ!」

ハーディの号令と同時に全機が有線のワイヤーを引き抜く。
有線通信がストップしてコックピットが沈黙した。
時計のカウントアップ。

「みんな…最高のメンバーよ。ありがとう」

時間になる…
「Go!」

推力ユニットが離脱され、14機のパワーローダーがすさまじい水飛沫を上げて一斉にジャンプする。

5:35
said〜管制塔〜

大きな欠伸をしながらオペレーターが時計を見た。
「あと2時間半か…」
彼のシフトは0時から朝8時まで、更に引き継ぎ等で15分残る形だ。

彼にとっては段々と暗くなる朝での魔の時間であり、
ウトウトと…

ザッモニターの映像が砂嵐になるが彼は気づかない。

スピーカーから、小さく…
『センター!海岸からオムニ軍が侵入!海岸からオムニうわぁぁ』
と流れるが、
普段のろくでもない会話を基地内周波数で流されて居た為に、
音量が絞られていた…

『センター!何でおう』
爆発音が響く。

「へっ?」
爆発音に気づき確認しないでスイッチを押し、
非常警報が基地内に流れる。

「今の爆発音何だ!?」

返答を待つが、スピーカーからの音声がサイレンに掻き消され、
絞っていた事に気づいて音量をあげ、
『センター!返事しろてめぇ!』

「すまん。何があった?」

『何があっただと?無線聞いてなかったのか?
オムニ軍の襲来だ!海かららしい!』

「ちょっと待て、海からか?」

『センター!13ゲート!敵パワーー』
爆発音がまた響く。

13ゲート、接岸岸壁側のゲート。
戦車、偵察車両4両が警備にあたっていた門で、
「おい!13警備!……どうした反応しろ!…えらい事になったぞ…えっとマニュアルは…」

緊急時マニュアルを探しに…

Side〜管制塔〜end

施設の岸壁側の門から8機が突入すし、先行して機動力が高いX-32Cのハーディー機が突入。
門守備の4両からの集中砲火浴びるが、かわしながら位置を特定し、撃破し内部に侵入した。

(警戒が薄い?……いえ罠かも)
ふと嫌な考えが過ぎる。
何処かで大群が待ち伏せし色丹坦々と狙ってくるのではと…

だが警報がなるのも確かに遅かった。

ヤオ機を含む8名は市街地側の門を目指して施設外を進んでいる。


Side〜管制塔〜
5:52

「何があった?」
非常警報から15分たってやっと起きてきた責任者が入室してきた。

「隊長!オムニ軍の襲来です」

「なら非常警報ださなくとも良いじゃないか」

「何寝ぼけてるんですか!此処にですよ!覚醒施設にです」

「馬鹿な事をいうな。
陸には幾重にも防衛網があって、
空にも多数、海にも艦が多数。
どっかで戦闘あったのか?」

「海中かららしいです」

「海の中から〜?らしいだと?証拠は」

「とにかく今襲来してる機影、モニター見ればわかります!」

モニターみて顎を外れそうになる隊長…

「だからオムニ軍が襲来してきてんです!」

「あ、ああ。その様だな…でだ…守備隊は?」

「間もなく全機起動します」

「敵戦力は?」

「1個中隊規模、14〜18機相当かと…まだ把握はできてません」

「敵の現在地は?」

「2つにわかれてましたが第12ゲートの守備隊が途絶したので、
合流する模様かと…」

「かなり入られてるな…
中心区画にとにかくいれるな…第2ゲートにとにかく戦力を集中させろ。
各種装置前守備は割り当ての警備小隊をつけろ、
とにかく第2ゲートをまもりきるんだ。
援軍がくれば鎮圧できる。
救援要請は?」

「既に救援要請だしました。機甲大隊があと2時間半で到達できると…」

「2時間半か…もってくれれば良いが」

「ここの守備隊の練度低いっすもんね…」

Said〜管制塔〜end

『クリアー!』

『よし、前進する』

ヤオのグループが合流してきた。
これで全機が施設内部に侵入する事ができた。

熱交換施設のあるのがこの区画の向こう側であり、
濃厚な反撃はいまだうけてはないが…
何とか無事に此処までこれた。

Side〜管制塔〜
6:08

「隊長!援軍です」

「おお、ありがたいこれでやっと安心できる…で、
何処の部隊が来てくれた?」

「第117航空中隊と第2031航空小隊です。対地爆装が11機です!」

「航空機か…もう間もなく爆撃可能箇所にオムニ共が到達する。
5分位でこれそうか?」

「……可能との事です」

「よしよし…」

「隊長!IFF不明機多数」

「は?何処の馬鹿だ?IFF入れろと送れ」
「……通信繋がりません」

「って事は?」

「オムニ軍機…」

Side〜管制塔〜end

『ザッ…ザザー…ドールズリーダー応答せよ』

「ドールズリーダー、フォックスハウンド1だ。そちらは?」
『ナキスト方面航空団所属、
シルバーエアー1以下81機。これよりアトランタ宇宙港の制空権、制海権奪取にかかる』

「ちょっとまて、こんなところまで大群できて…気は確かなのか?」

『それについてはメテオリーダーから説明がある』

『こちらメテオリーダー』

「イグナチェフ小佐!どういう事だ?」

『極上の酒、ディナーの出前の配達に皆がのってくれて』

「……全く…」

『メテオ2からメテオリーダー、
間もなく敵海上艦隊防空圏内、敵制空機接近中です』

『それじゃあ、制空権奪取して支援できるようにするから、メテオリーダーアウト』

……

『グレイフォックス、上は片付いた。これより支援に当たる。
貴隊に割り振れるのがこれだけだ』
ハーディはモニターに映った支援爆撃リストに驚いた。
ドールズメテオ5機、
シルバーナイツ4機、
レッドクラウン4機、
アロウズ4機、
総勢17機。

『ひゃ〜、どう使う?』

「まったく…どいつもこいつも…」

『敵艦相手にプレゼントしまくって、財布がスッカラカンになってしまってな。それだけだ。
ピザの注文を承りますだそうだ。以上』

堅牢な覚醒施設への最終の侵入口がみえる…
ただしまだ壁で視界はとれてはいない。

「あの侵入口周辺指定で支援攻撃申請しよう。
何処に落とそうが当たるに決まっている」

頭上を大量の攻撃機が飛んできて、
絨毯爆撃が始まった。
全17機による爆撃だ。

入り口を守る形でつめていた敵機が爆散していく…

side〜管制塔〜
6:51

「第2門守備隊壊滅です…」

「……」

「隊長!!」

「各プラントに残機をあつめろ。
後本部に連絡、
内容は当宇宙港は陥落目前、大至急増援を求む」

覚醒施設内への侵入防止の為に第2門に詰めていたPLD18機及び、
MTB24両が一気に失われた…
これで車両、機数合計で把握している侵入部隊とほぼ同数になってしまう。

side〜管制塔〜end

1号2号プラント前のPLDを、
スモークを焚きそして煙内からキャノン砲射撃で撃破してく。
強力な味方を得てなお、ドールズ達の慎重さは失われていない。
もう航空援護が受けれない重要施設内、
流弾にも気をつけなければならなかった。

「全機準備はいいか?」

『それじゃあ王子様の寝室に飛び込むわよ!!go!go!go!』

ヤオの掛け声と共にスモークグレネードが立て続けに撃ち込まれていく。
警備していたMBTの視界がうばわれ…
そして、煙の中から恐ろしい勢いで2機のパワーローダーが飛びかかってきた。それで、終わりだ。

『クリアー』

『クリアー』

『クリア』
各機体から確保が流れ、

「こっちは空振りね」
熱交換施設壁内では6両のMBTが無残な姿を晒していた。

『ナミ、来てくれ』
ナミのX32Rが飛びこんできた。

『どうすりゃいい?』

『この熱交換機は正面にローダーサイズの制御パネルがあるでしょ?』

『それを叩くー』
『駄目よそんなことしちゃあ!』

『とと…なんでだ?』

『オムニの大気に深刻な破壊をもたらす有害なガスがでる事になるわ!!
正式な手順をふまないと…』

『わかった。やり方は?』

『まずは制御装置を操作して緊急停止措置を実行すると、
媒体が安全に処理されて大気に放出されるわ。それを見てから破壊よ』

『ああ。わかった』

side〜管制塔〜
7:18

「1号コントロール、破壊されました!」
四枚あるパネルの1枚が、安全装置が作動していっせいにシステムダウンし真っ赤になった。
「手際のいいやつらだな、本部はさっきの返答なんといってる?」

「とにかく後1時間20分、応援が到達するまで死守しろと」

「そんな時間保つと思ってんのか?本部は!」
警備隊長は首を振りながら…
「さっきの空爆で殆どもってかれたんだぞ!!」

「2号プラントコントロール、破壊されました」

別のオペレーターが叫んだ。
2号プラントのコントロールがたちまちシステムダウンし、2枚目のパネルが真っ赤に なった。あと2基。
「…3号4号に残存を集めろ、本部に再度一報を…
プラント守備隊残機PLD4機MTB6両のみ、
15分死守できるかどうかと送れ。
これで支援なかったらお終いだな」

side〜管制塔〜end


ヤオとアニタ、ハーディーが突入してく。
警備隊の制圧まで10秒かからなかった。
『もうやり方はわかったわねっ!各個に制御装置を撃破!』
ナミの指示でいっせいに破壊が始まる。

7:38

第3第4プラントも沈黙した…
これにより地球軍の大幅増員は不可能であり、
新規地球移民の命をオムニ側が握った事になる。

そして敵軍現地司令塔である管制センターは無視をしていた。
地球連邦政府に、地球軍が持つたった一基の覚醒施設が、
今使い物にならなくなったことを連絡してもらわなければならない。

「マーガレット!索敵配置に付け、
入り口をファン、セルマ、ライザ、ジュリア、ミ、ジュリィで固めろ。
アリス、マフィル、上空を警戒!
ナミ、被害状況を調べろ。
ハンナ、残弾をチェックしてくれ。
ヤオ、アニタ、エリィ、ネコは周囲警戒。動け!」
全機が配置に走り出す。

『グレイフォックスへサジタリアスの矢をお届けにきた。受け取ってくれ』

カーゴバードが海上から飛来してきた。
アクエリアスがまだ撤退せずに粘っていたのだろう。
カーゴバードが展開すると、パラシュート付の補給コンテナが投下され、着地してく…
『よかったぁ…これで再装備できるわ』

『レーションもたんまりある』

……

『Sr.マーチより全軍へ、即時戦闘行動を停止せよ!繰り返すSr.マーチから全軍へ、即時戦闘行動を停止せよ。
これは総司令部からの厳命である。
外部スピーカーでも呼びかけろ!!戦争は終わったぞ!!!』

『司令部より全軍に対して緊急命令!
本日0750オムニ独立政府と地球軍は停戦を宣言!』
セシル機が低速で上空をフライパスして行く。くるくるとロールしているのですぐわかる。

『繰り返す、我々は地球派遣軍と停戦した。
全軍は速やかに戦闘行為を停止せよ』
ドールズ全機、敵軍である地球軍向かってくる最中だが停止し上空をみあげている。
『以上…みんな…戦争が終わったわ』

『いいいいいやっっほおおおおおぉぉぉぉおいいぃ!!』
『やったぁぁぁ!私たちやったのねぇ!』
外部スピーカーからでるドールズの音声の喜びよう。

この日オムニ政府は地球連邦オムニ総督府から正式に独立が認められ、
オムニ政府主権の元、地球移民を引き続き受け入れる事を確立させた。

ここに戦争は終わったのである…

……

(ふう〜疲れた)

分裂しながら加速を使うという無茶をし、航空機パイロットを救助し、
対地攻撃や対艦攻撃にさらされる地球軍を救助したカオル…

合流し、世界扉をとなえ…

==オルタ4の世界・B55ハンガー==

2001年8月18日未明

世界扉からでるなり11号が話しかけてくる。
[マスターお帰りなさい〜。
カムチャツカ状況は19日に確定、上陸地点は拡散して、旅団規模になってるよ〜]

「…あのレールガンは出れないんだよな?」

[うん…今回は積極的に実験部隊、
プロミネンス計画機が主体に戦闘するって]

「となると…一応明日待機体制にして見学しておくか…
とりあえず寝る」

[おやすみぃマスター]

朝…

PDの世界から救助して医療カプセルに入った人達を虚数空間からだし…
救助したみなさん、今回は全員カプセルに入ってます。

輸送隊から少年少女兵達を…
原子炉戦ではそれ程良い人物はいなく、
女性戦車兵2名と女性ローダーパイロット1人だけ。

覚醒施設戦では、
オムニ軍航空女性パイロット12名、
地球軍航空女性パイロット14名、
地球軍海上艦隊から、女性士官21名、
ローダー女性パイロット8名、
女性戦車兵5名…

(何故女性が多い?)

撃沈した艦船は回収して解体作業にはいっている。

[マスター、そろそろ採掘作業稼働し始めたから、回収作業は大丈夫だよ]
アステロイドベルトの採掘基地の話をしてきた。
[あと海上艦大型ドック一つ増えたけどどうする?]

「魔紀伊級で頼む」

[了解〜]

「1番艦はまだ出来上がってないんだよな?」

[29日に出来上がるね〜]

「じゃあ、試走がそのあたりと…」

(さて、特殊任務をか)
ヤマモトの部屋にいく…

「ヤマモト?」

「バーニィとよべぇ!」

「ちっと来て〜」

「ああ…?」

「来てそうそう悪いんだけど特殊任務あるんだ〜」

「!拝命いたします」

「ん。じゃあ、ついて来て」

「して、大将殿、任務内容は?」

「来ればわかるよ」

==ビダンさん執務室==

「ビダンさんいる〜?」

ビ「入って頂戴」

入室し、
ビ「彼が?」

カ「ん…ですね」

ヤ「はっ!バーナード・ワイズマンであります!」

カ「彼女が異世界軍技術士官のビダン博士。
今回の任務は彼女に協力すること」

ヤ「わかりました!」

カ「じゃあ、あとよろしく…」

(ヤマモト…頑張れよ…ファイト)

「それで君、何歳なの?」

「はっ!!19…」

カツカツカツ

「な、なにす…」

アーーー!

翌日…

「おっはよぅ〜カオル君」
顔がつやつやして、若返っているビダンさんがきた。

「おはようございます」

「あ、これ…いわれてたのね」
MOを渡された。

「ん?煙幕弾頭っすか?」

「ええそうよ、あと新型蒸散被膜…これひとぬりで、重光線級のレーザーに更に25秒持つわ」

「おお」

「若い子連れてきたお礼よ。
また彼みたいな子いたらよろしくね。
カオル君でも良いんだけど…」

「あははは…」

「さて、今日も頑張ってエキス吸収しなきゃ…頑張るぞ〜」

しばらくすると…

「カオル…」

「あ、ヤマモトお疲れ」

蝮ドリンク飲みながら千鳥足でヤマモトがきた。
魂の名前だ!と突っ込む気力もないのだろう…
「お前…知ってたな?」
「ン?ナンノコト?」

「…まぁ…ああいった人も良いんだが…
カオル!新しい人材連れて来い!
俺ともう一人じゃ正直もたないよ」

「わ、わかったよ…一応、その点予測してたから確保済みだよ」

とソファーにヤマモトが腰を落とす。

「えっと19歳なんだよね?そんなに持たないの?」

「ああ、初めてを奪<バキュン>ばかりか、6時間ず〜っと、
相<バキュン>られたんだぜ…視界が黄色なったさ。
しかもさ、<バキュン>うまいんだよ…まさに魔性の女だな。
何回だ<バキュン>事か…一気にあれやそれも仕込まれたし」

「どんな事しこまれたん?」

「例えば…」
〈もうR18ネタ自主規制中〉

「うん、すごいわ…もし、今日ゲシュペンストに乗れったら?」

「特攻してこいと同様だよ。今日明日は役に立たないね…正直…特に腰がさ」

(ビダンさん…自重しないなぁ)

「ヤマモトは、別部隊のC-01所属って事にした方が良いね」
(穴兄弟部隊と)

「りょうかい…とりあえず今日は休めるのかな?」

「うん良いよ。待機はB-01だから」

「イチチチ」
腰を痛そうにあげる。

「まぁこんな調子だから、風呂にいってくるわ」

(そろそろカムチャッカで戦闘始まるかな?)

[マスターそろそろ始まるよ〜、情報室に来て〜]

………

カオル報告

ビダンさんに更に春がきたみたいです。




寸劇風後書き

作者「これでパワードールのシーズン1は終了になります」

ナギ中尉「シーズン1ってことは…シーズン2が?」

作者「…何故そっちに…まぁありますね…」

ナギ中尉「で勿論3も?」

作者「…まぁっすね」

ナギ中尉「2や3も地球軍と?」

作者「えっと…地球は公式に独立を認めたのは変わりませんので、それはないですね」

ナギ中尉「でパワードールとした題名なんだから…彼女達が?」

作者「そこはまぁその時にでも…
で、このあとカムチャツカ半島編に流れていくわけで…」

ナギ中尉「でも先にカムチャツカ半島編できあがってるから、お楽しみにぃが使えないじゃない」

作者「なんですよね…けどまぁ事後処理が改変作業になりますね」

ナギ中尉「この後次は前の話の書き下ろし?それともカムチャツカ以降のを?」

作者「…多分以降のが先ですね…では、次回書き下ろしまで」

ナギ中尉「まったね〜」

H25年4月改稿



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