第235話『GPM熊本戦編4 九州より撤退』


6日からの流れとしては、
阿蘇を落とした幻獣は熊本要塞の退路を塞ぐ様に戦線は動いてきた。

それまで4月末まで単独で動いていた幻獣共生派と連携して、人類の戦法を学んだ動きともいえよう…

今はカーミラの名がでてないが、幻獣共生派の中でも主戦派といえる派閥が幻獣と渡りをつけ、
共同で人類に挑んでいた。

共生派である人類と幻獣は遭遇したら今までは殺される運命であった…
そう誰もが教えられだから共生派は人類にとって悪であると…

6日に九州総軍は足止め使い捨て部隊に死守命令をだすが、
それを嘲笑うが如く、一定の突破できない戦力を残しつつ、
誘導に従い迂回して九州自動車道、鹿児島本線を絞めてきた。

無人の街大牟田、熊本へと至る途中の巨大な操車場があり、そこを幻獣が襲来してきたが、
撤退中の5121が居たために施設や守備隊等に被害をだすも撃退に成功した。

そこから5121が総軍司令部の撤退命令に抗命し、
菊池市三加和町にて包囲されてた30個小隊の救出、包囲の解除、機動防御を行い、
南関インターチェンジへの脱出に成功する。

菊池市が陥落したあたりであり、救出時間ぎりぎりといえていた。

5121は救助した自衛軍戦車隊等を指揮下にいれ、
更に素人指揮官の戦隊も指揮下にいれると、
動脈確保の撤退支援を行い始める。


7日になると、
5121戦闘団は撤退する連絡線確保及び、
熊本市内いまだ死守命令で抵抗を続けている、
学兵達の救出を行おうとしていた。

しかし、連絡線は長い…約180kmである。
せいぜいある部隊が空中を護れる範囲は5kmから10km、
地上面ではせいぜい2km範囲…

水平線の限りなにもないならそれ以上延びるが…
地形や、人類の建物等が邪魔している。

また纏まった兵力も必要であり、
歩兵小隊程度はゴブリンならともかく中型がでると、
平地ではまたたくまに蹴散らされるであろう。
ましてやきたかぜゾンビ等もいる。平地では良い的でしかない。

歩兵主体の守備隊は家等拠点に利用し陣地を構築していて、
たんぼ等に展開した部隊はきたかぜゾンビの良い的になっている。

きたかぜゾンビやスキュラ、
それらに運ばれた小型幻獣浸透や
陸路をすすむ中型幻獣達の連絡線への浸透が続くなか…

戦力を撤退連絡線確保にあてていた。
ないないつくしの中、唯一機動打撃力にたけたのが、
撤退支援部隊を吸収した5121戦闘団だけになっていた。

北に、南に〜とそれぞれ連絡線確保維持戦力と、熊本への救出部隊を派遣してると…
重要拠点攻略規模といえる程の数、スキュラ4ミノ18ゴル9きたカゼゾンビ20その他小型500が襲撃してきた。

今では経験豊富な5121の士魂号3機だけの編成なら、
小型は相手せずにスキュラ、ミノ、ゴル、きたかぜゾンビを粉砕できるだろう。
あとは小型を掃討してくれる戦車隊が必要とはしていた。

士魂号M型がいない状態…
戦車編成だけなら現状、中型のミノやきたかぜゾンビ1に対して1でイーブン…
つまり損失は覚悟しなければならなかった。
ゴルは戦車にとっては怖いともいえたが、接近し砲撃距離にくれば勝てる相手だ。

スキュラは…戦車4対1でイーブンといえた。

だが司令部にのこっている守備隊だけでは全滅必須な襲撃といえ…

この時点では人類側も幻獣共生派が、
まさか幻獣の先兵となって誘導しているとは考えもなかった。

5121の来栖が多分と思っていただろう。

主戦力を南北にわけ、弱点である整備や司令部の警戒が弱いと共生派判断され、
誘導された幻獣に襲われたわけであった。
襲撃によって確実に連携をとってると…

整備や司令部は一目散に蜘蛛の子が散らすように襲撃から逃亡し難を逃れてて、
共生派からみたら作戦は失敗に終わってしまう。

ただし5121指揮系統や整備機能復活の為に、
熊本市街への救援を打ち切らす事ができ、
その点については成功といえよう…

士魂号3機は司令部拠点回復し撤退連絡線確保の為、
植木にて南下しつつあった救援を打ち切り、転進した。


5月8日

久留米に日田方面からスキュラ17、ミノ30、ゴル45、ナーガ200、小型幻獣3000以上が襲撃に向かっていた。
久留米や鳥栖は長崎方面と熊本方面、大分方面からの集合点であり、
陥落すると逃げられる経路がなくなる。

8日早朝に、整備され準備を整えた5121戦闘団…
駆け付けた久留米の救援には成功するも、共生派の自爆に悩まされた。

戦力評価的に共生派からみたら最大限の数値をつけている士魂号M型…

何とかしようと、心優しき事を利用して、
怪我をわざとおい、病院へ運んでくれと頼み、手をのばしたところで…

ボン!
目の前でいきなり肉片と化す傷病兵…

また自爆攻撃がうまくいったと想定し、
戦力低下した戦闘団を殲滅しようと逆包囲をはかったが、逆に殲滅させられた。

幻獣共生派は戦闘団の殲滅は当座あきらめて、
別の方向から人類を攻撃せんと…

……

15時

5121戦闘団、特に士魂号ら5121小隊が撤退命令に抗して連絡線確保に休み殆どなしに奔走したおかげで、
熊本要塞及び久留米周辺地域から、
約3万の自衛軍、学兵らの兵力が虎口から逃れる事ができた。

途中戦闘団に同行したモコスの遅さでも撤退できていた。

モコス…軽ホバーのシャーシに、
120mm砲を搭載し限界まで装甲を継ぎ足した小型駆逐戦車。

旋回砲搭ではない為非常に高い生産率を誇り、
また高い装甲の為一度居座ったら盾から大砲がでる様なもので、
大破しても幻獣を避ける盾として戦場に居続ける程である。

反面機動力はホバークラフト走行の30kmが最高速、実質20kmと最悪で、
もっとも組み立て生産拠点から戦場が10km圏内にある為考えなくとも良い話かもしれない…
ぷらす、機銃が無いために…あったとしても旋回能力がかなり低い為、
近接した小型幻獣に対しては無視するか、
戦車随伴歩兵のサポートが必要かもしれない戦車だった。

連絡線が確保できたのは大きかった。

同時刻にはすでに佐賀県全域、長崎県は幻獣勢力の手に落ちていて、
熊本県全域、長崎そして佐賀方面から…
また唐津から深江インターをへて、
人類が撤退しつつあった博多へと幻獣達は目指して侵攻していた。

5121戦闘団は撤退する友軍の殿として佐賀市、
八女方面からくる幻獣集団を撃退しながら、
一路同じく博多を目指していた。


幻獣の侵攻の勢いが増すか?
人類側の防衛線が持つか?
今まさに自分達の命をベットした戦いの最中である…

自分の命を懸けたと言えば…
まだ、阿蘇山奥、長崎に取り残されたままの学兵達、自衛隊、そしてわずかながらの民間人もいた。

長崎はまだ海路という撤退ルートがあったから幸いであろう。
希望があった…

だが…既に陸続きである港には幻獣があふれ、
フェリーは狙撃され、長崎に向かう船はもういない。

長崎市内にいた兵士…後方拠点の為自衛軍がいたが既に崩壊し、
民間人も鹿島市がいち早く落ちた為、逃げ遅れの者もいる…

長崎では人類は撤退に失敗した。

一方、阿蘇山麓では見捨てられ、
一番最初に撤退命令だされず、移動手段ももたない学兵達が残されてた。

重厚な針ネズミ陣地は6日に落ち、足もなく逃げ遅れた者達は、
存在を隠してとにかく救援を信じて生き延びようとしていた。

隠れるのに耐えられなく発砲した者がいる場所はゴブリンが殺到し、
沢山銃声があがるものの直ぐに音がしなくなる…

幻獣の中に逃げだそうとする者は、
直ぐに囲まれ弄ばれたあげく、殺された。

ひたすら篭って耐えるしかない。

しかし、彼らの携行食料は少ない。
補給品も陥落し受けれない状態で、
最後の粗末な非常食を食った者達は…

絶望の中、最後の時をピンをぬいた手榴弾を胸にかかえ、人間らしく…自爆した。
仲間を食いたくない…最後にいっぱい食べたかったと…

……

5月8日16:30

港湾の街、博多は唐津方面からの幻獣の侵攻に曝されていた。
兵站の中心都市としてこの時代はなっていたが、

熊本港とは違い、古くから中国大陸へと、
また九州全域の玄関口として多数の艦船を取扱い、
また国内ばかりか国際フェリー路線及び定期貨物船として多数の船舶が停泊していた。
特に第二次世界大戦前は海運天国ともいえ、数多くの船舶が就航していた。

だが、第二次世界大戦が幻獣との戦闘で終結した時には、
敗戦は回避したものの日本には貨客船が足りなくなり、
国内の幻獣を掃討したあとは後方輸出国として海路の復興に邁進し、
日本は戦時好況に突入した。

また韓国行きの定期客船航路は戦前関釜航路を出していて、戦後直後に廃止してたが、70年から復活した。

大陸への軍用陸上兵器輸出船としてやはりRO-RO船が多様された。
RO-RO船とは…知ってる人にとっては説明いらないと思うが、
知らない人にとっては知らない…

ざっくりいえば旅客運送施設を持たないランプ付きのカーフェリーと思えば良いだろう。

船内は多数のデッキがスロープで繋がり、
各階にトレーラーや自動車が進入し、トレーラーだったらコンテナを切り離してく…

降ろしに関しては船側が用意するトレーラーやドライバーで行い、
港へと降ろしてそこで切り離す。

なら旅客もついでに運べばよいじゃんと思うが、
旅客施設を付随すると貨物船から旅客船になる為に厳しく法的規制が代わってくる。
特に貨物船時には大丈夫な船体ぎりぎりまでの車載デッキ構造が認められず、
また客数に対して満たす救命ボート常備等でコストが割高になる。

過去に洞爺丸事故を起こし、
それから旅客船であるカーフェリーは構造的に厳しくなったといえよう…


90年にベイサイドプレイス、
93年に国際線ターミナルが完成した。

だが華々しい航路等も過去の話で、GPMの世界では、
95年頃から就航していた国際客船が次々と戦局悪化をうけて休止になり、
各所属港において休む形となった。

まず国鉄の国際線航路に就航していた、ビートル号とビートル2世号、
カメリアが博多の港に留置する事になる。
またその他に国内線九鉄のヴィーナスとヴィーナス2、きずな、ちくし、
フェリーげんかい、エメラルドからつ、あずさ等…
次々と廃止になる博多発の諸島部フェリーの影響をうけ…係留されていた。


大陸行きに就役してたRO-RO船も95年頃からの東シナ海、日本海においての海洋型幻獣の襲撃が多発し、
護送船団方式をとらざるえなくなり…
今では用途もなくなり大量にあまったRO-RO船は解体再利用や改修の為に回航されていった。

その他にクルーズレストラン船マリエラがあったが解体された。

そして今撤収に使われるのが係留してた所属客船だけでなく、
たか型輸送艦、ゆら型輸送艦及び1号輸送艇が撤収援助に入っていた。
たか型輸送艦は自衛軍がもつ軍用大型車両輸送RO-RO艦だ。
横側に車両搬入デッキがついていて、本来であれば車両専用とだが、
へったくれもなく車両デッキに次々と戦車随伴歩兵が入っていく。
およそ7000千名は収容できよう…

また航空輸送がしにくい為に建造された兵員輸送船、
たかおと描かれてる船も多数の戦車随伴歩兵を収容していた。

旧軍時代に悲惨な事に終わった戦時輸送船…
もとは一般商船の軍事転用した艦種だが、

その結果をふまえ専用の輸送船をもつようになった。
岸壁接岸を必要とするが4千トン級ながら人員を約2000名輸送可能としている輸送船だ。

博多港から本州へと撤退する人々、兵器をピストン輸送で運んでいたので人が集まっていたが…

そこに幻獣が襲い掛かってきた。

勿論、人類側は防衛線を張って唐津方面からの侵攻に備えていた。

南の太宰府方面はまだ人類の勢力下にあった為、そちらの防備も唐津、内野方面に回していた。
外郭陣地は、内野−西山−今宿を結んでいた。

だが…その防衛線いたるところで突如として爆発がおきる。

増強した防衛線には、勝手に熊本や長崎や佐賀等から撤退し、
博多駅にて憲兵に逮捕された学兵を懲罰的に補充した。
つまり混成化していたのである。

そこを幻獣共生派につかれ、内部浸透され爆弾をしかけられ…

そのように防衛陣地群がずたずたにされ、対応に追われたところを、中型幻獣に蹂躙された。
防衛線各部隊は中型、小型幻獣の対応におわれたが…
あいた穴がひらきすぎた。

こうして分断された箇所からゴブリンが博多中央へと大挙して向かっのだ。
コブリンは天神、中洲、長浜と繁華街に浸透してきた。

車両は殆どが門司撤退し、数少ない車両は外郭陣地に回され、
繁華街は……

「うわぁぁぁ」

「ご、ゴブリン!!」
残務作業していた銀行に人の気配を感じてコブリンが自動扉から入ってきた。
「ギャギャギャ!」
うれしいそうに声を上げるコブリン。

銀行内部は阿鼻叫喚になった。

男性がおおかったが…消化器をもち、さすまたをもち、
飛び道具をもたないコブリンに立ち向かった。

あるものはイス、あるものはモップ…とにかく叩いて獲物になりそうなの、
また鉄製のシールド…強盗用に備えていたのをもってくる者…
「外は駄目だ!シャッターをおろして!」

手があいた者がシャッターケースにいこうとする。
銀行はシャッターさえ下ろせばかなり頑丈だ。

市内にはそういった光景があふれていた。

「へい、いらっ…グフッ」

まだ街に人が居たため、ぎりぎりまでやっていた飲食店のマスターが、
コブリンリーダーのトマホークに刺された。

「ギャギャギャギャ」
多数のゴブリンがある店舗の中に突入する。

それを見かけた守備隊が追いかけ突入し、銃声が店舗から聞こえ始めた。

博多の守備本部は救援依頼をとばし…

5121戦闘団が受け取るが、まだ時間がかかるようだった。


……


既に九州は殆ど幻獣勢力下にあるといっていいだろう。
唯一下関側のごく一部が人類勢力下におかれていた。
大分方面から圧力がましていて…
このままでは中間点で連絡線を断たれるのがみえていた。

人類には約60kmの防衛線をいつまでも支えてる余力はない。
それを支えきり、早く博多から戦線縮小できれば…

何とか門司だけは撤退まで支えぬくだろう…

怒涛の如く圧力に突貫しつくし、疲労こんばいの士魂号パイロット、
たった3機の士魂号が、西区からの幻獣侵攻を支えぬいていたといってよかった。

救援無線を受け取った後博多の街に突入し、
小型幻獣を足で潰して道を確保すると、
中型幻獣にへとむかった。

連れてきた戦車隊等に小型幻獣掃討をまかせ、中型や大型幻獣を彼らは狩りつくした。

それでも人である彼らは疲労が蓄積し…結局は火力が足らず…
博多は…圧力に負け、もう…落ちかけていた。
ぎりぎりで支えていた。

博多港からも多数の船舶が出港し再びもどって収容をおこない…

……

5月8日19:30

博多からの撤退が急がれ、間もなく最終臨時列車もでる…その時だった。

博多港に停泊中の1隻が大爆発を起こした。
ナーガのレーザーが船の燃料タンクに直撃したのだろう。
民間フェリーのもようで、水没しつつある艦首に描かれている艦名はこばるとの文字がみえていた。
乗客定員を上回って収容していた為に一気に1500名近くが水死しつつあるだろう…

それをきっかけとし、博多港に接岸していた、
人員救助船団は岸壁を離れはじめた。

岸壁では白兵戦がその直前も繰り広げられていた。

救助フェリーに乗り込もうと追い縋る幻獣にカトラスをふるい、
振り払おうとする。
が、別の方向からゴブリンが飛びついて、更に別の方向から…
幻獣の海に沈む…

別の者は切り捨て、何とかデッキにたどりつく。

別の者は前方を幻獣に塞がれ叫びながら突っ込んでく…

フェリーにのりこんだ者も残存弾薬を集め、
デッキから撤退する者の援護射撃や、船に近寄らせないよう射撃をする。

その彼らを救おうと、予定を繰下げ取り残しがないように粘っていが……
限界を各船長が感じ、苦渋の非情な決断を下し離れていったのだ。
沈めば今船にいる3百人以上もろとも海の底だ…

離岸しつつある船に、走って乗り込もうとしていた者が飛び掛かり、
何とか片手を船縁に引っかけ、引き上げられた…

しかしその後ろの者は船体に引っかけるも、更に後ろの者に足を捕まれ…
自分と350kgを支えきれずに海の底へと沈んでいく。

その後も助かりたい一心で海にたどりついた者は飛びつこうとするが、
届かかずに…海に落ちると浮かび上がって来なかった。

最初から泳ごうとしたものもだ…

たたらふんだ者に対しては岸壁まできたゴブリンが飛び掛かり、
振り払おうとしてバランス崩して海におち…
ゴブリンと共に沈む。

飛び込むのを諦めた者や、船を目指してたどりつけなかった者は…
絶望的な死への道しかなかった…

幻獣の海に突っ込む者、建物に逃げ込む者、
船が出たのを知らずに今だ目指している者…

彼らは、博多駅にはたどり着く事できないだろう…

突如として、荒津の石油備蓄タンクが大爆発をおこし、
引火した炎の嵐がまいあげがった。

石油タンク近辺での戦闘は白兵戦のみになる…
その為既に荒津は博多駅や岸壁へとむかう幻獣勢に埋まっていたが、
一発の徹甲弾が石油タンクを貫き、即座に爆発、隣のタンクも爆発し、
100以上ある石油タンクが連鎖的に爆発し、その爆炎を浴びて夢幻のように消滅していく…

さらに地下のプロパンタンクに引火し大爆発をおこした。

炎は西公園の木々に引火し、
また飛ばされた可燃物が遠く那の津や大手門にも炎を運んでく…

…荒津岸壁からは既に船は離れ炎はとどかなかったが、
取り残された兵士が炎にまかれ命尽きるまで機銃を打ち続けていた。

炎が天高く舞い上がった時、
今の福岡ターミナルに位置する、こちらの世界での博多駅物資集積所では…

最終列車を護りつつ5121小隊が門司へと撤退しようとしていた…

……

5月9日

博多を放棄した人類は…まだ九州からすべて撤退できていない…
門司にむかって集結し、本州下関への切符をまっていた。
何故切符まちか?
それは幻獣共生派の存在だった。

橋やトンネルが共生派により爆破されたら…
それだけで門司にて足止めをくらっている兵器、兵士達は幻獣に蹂躙される事になるだろう…

それは世界は幻獣の物、幻獣に抵抗せずに生きようの幻獣共生派にとっては、
まさに願ったりの事である。

その警戒に橋、駅、フェリーでは厳重な警備、審査の元、下関に渡れる切符が手に入ったのだ。

勿論自衛軍だけが対象外ではない。
今も自衛軍に変装した幻獣共生派が検挙され、時限爆弾が海中投棄された。

その為に今だ自衛軍の車両が橋に至る道に今だ連なっていて、
駅では乗車待ちの状態が続いている…

因みに…2つの主要交通路、橋及び鉄道、
の他には非常用の人道トンネル、フェリーや海路しかない。

リアル世界と交通手段が違うと指摘があるだろう…

関門トンネル車道は幻獣共生派の本土侵入を恐れ市民の避難が済んだ時点で閉鎖、
両側がコンクリで封鎖されている。
後に人道とともに爆破される。

関門鉄道トンネルは新しく作られ、リアルの新幹線のトンネルの場所にトンネルが掘られ、
すべて門司港駅に繋がっている。

旧関門鉄道トンネルは地震により浸水崩落し失われた。

すべては長年続いた戦争状態、
日中戦争から62年、幻獣相手に約55年…
相手が違えどのつけがここにきていた。

第二次大戦はアメリカ本土、オーストラリア本土以外が戦場となった。
その状態でのなし崩し的に、
幻獣との戦争状態になったつけがでていた状態だった。

一時的にだが関東、東海、北海道が幻獣の勢力下におかれていて、
各国の援助で撃退する事ができた。

しかし今やその各国もない。

フェリーに関してだが、博多で使用した船舶の約1/3が、護衛艦隊の警戒を突破したスキュラゾンビにより、
海の藻屑となり、その結果瀬戸内海側新門司港にはきてなく、元々の所属船しかない。

まず門司港の国際フェリーターミナルはプレハブのままであり、
岸壁設備はあるが船がいない状態だ。
何回か就航はしてるが門司港側には定着しない為に所属はしてない。

国内線フェリーはあるが、
先に対岸の下関港の方が近いのでそちらを説明させてもらう。
まず関釜航路に就航していた3代目フェリー関釜が下関に停泊していたが博多に派遣されてた。
2代目フェリー釜関は見えてなく多分撃沈されただろう。

他に下関にはオリエントフェリーのユウトピアと燕京号がいる筈だが見えてなく…同じく撃沈の模様だ。
その他下関港所属艦船数も海峡港の為にすくなく、現在はみえてなかった。

一方フェリーが所属している港はというと…
新門司港で周防灘…瀬戸内海に面している港に乗り場がある。
場所的には門司港駅からタクシーなら約9km付け根がわに向かう。
東京と徳島を結び4隻、大阪との間に2社入って8隻が就航はしている。

いずれも大型船舶で艦正面と後方正面にランプをもつが為に、
専用乗り場を必要としていて、より守りやすい門司港には回せられない。

より博多に近い箇所小倉港にもフェリーは在籍してたがそちらも博多に出張して…撃沈されてしまった。

その為に避難経路としては大量の移動可能な陸路がやはりメインであり、
また構造的に自力着岸が難しいのもあり要員が必要な為、
大分と違いフェリーはサブ経路としては使われている程度で、
攻撃がせまったらいち早くフェリーは打ち切られるだろう。

そばにはリアルでは新北九州空港があるが、
ガンパレ世界では建設中断され、旧北九州空港は燃料事情悪化で廃港した。

海峡連絡船も勿論ある。
ただし19t船舶の小型船であり、
人間なら最大の船が乗員120名可能だが、ウォードレス兵になると流石に…

船の全長×船の幅÷15が計算上暫定乗員人数の出し方で、
それに68kgをかければ大概の重量制限がでる。

ただその計算だと乗員120名が乗員9名と侘しいものになるので、
平均重量68kgで計算すると…ウォードレス着込んだままだと約1/5、つまり乗員が24名と計算される。

とてもでないが避難には使えない…

……

九州最後の地、門司を守備する部隊は15000名程の学兵であり、
半数が各地から引き上げて編入された混成部隊であった。

彼らは予定通りなら九州の地に残る人柱になるだろう…

……

闇があけぬ中…門司半島に全九州の幻獣殺到しはじめてきた。
重迫撃砲による先制射が始まり轟音で各守備隊の目覚めを促す…

博多に集結した全幻獣は門司に向かい、
人間が作ったみちぞいをなぞっていた。

3号線日本海側、九州自動車道の周防灘側からだ。
守備隊から戦車隊を指揮下においた戦闘団が奮戦し、撤退してた自衛軍の長距離野戦砲が激しく加わるも、
士魂号3機が日本海側にいってた時、周防灘側の一次防衛ラインが一時的に突破された。

しかし風師山−打越山を結ぶ第二次防衛ライン持ちこたえていた。

時間が流れ12:00頃には自衛軍の砲火がみるみるうちに止み、
どんどん橋を渡って撤退していく…
それに比例して第一次ライン、第二次ラインでは凄惨さがました。

第1次防衛ラインは壊滅し、生きていた学兵は第二次防衛ラインまで逃げ込むのに、
悲惨な白兵戦を挑んでいた。

第2次防衛ラインは重厚なつくりでトーチカが群をなし、
あらゆる火砲が火を放っていた。

ここから橋まで2kmしかない…

陣地の天敵スキュラは5121がかたずけてくれた為、持ちこたえていた。

しかし僅かな隙間から門司港駅に…
幻獣が桜トンネルを使ってきたのだ。
トンネルは砲撃が届かない…
頭のいいやつが、引き連れてきた。

トンネルを潜られると…もう門司港駅前の市街地戦に移っていた。
戦車隊が補強され、学兵達は文字通り死兵の如く奮戦し、
数少ない士魂号が騎兵の如く踊り舞い、
地形に助けられながらも、猫に助けられながらも港部分を幻獣の圧力から支えぬいた。

……

5月9日17:00
時間通り轟音とともに爆破され、本州との連絡路が断たれた。

守備隊として奮戦した大量の学兵達を残して…
国家の英断により犠牲となった…
とそういったニュースが流れるのを想像したものもいるだろう…

だれもが絶望にうちひしがれた。
もう生きて大地を踏めないんだと…

すると…海上に大量の東坂海運のロゴの入った船舶が門司港埠頭へと殺到する。

船体のどこからみてもロゴが入って、10隻の大型フェリーを煙幕焚いて援護している大量の漁船にも、
提供遠坂海運の大漁旗が掲げられている。

元5121の御曹司が大量に買いあげた、文字通り彼の意思の船達。
テレビ映り、宣伝を兼ねて船体に何処からの角度でもと、
遠坂海運とペイントが入っている。

東坂は10隻内3隻は九鉄から買った船をあてたが、他7隻は…
桜島のフェリーに就役していて避難民をのせ被災を免れた町営の6隻、
その他1隻を買い取っていた。

いずれも内海用の両頭船フェリーで、
特に桜島のフェリーは24時間運行していて、4.3kmを15分で結ぶ高性能船だ。
ちなみに日中は10分間隔で運行している。

両頭船のメリットは接岸するのにLSTの様に頭から突っ込む事ができ、
さらに対岸に行くのに回頭する必要なく、時間が短縮できる事。
デメリットは速度低下等だ。

ただ乗客輸送面では馬鹿にはならない。

例をあげるとリアルでだが…桜島コンサートで7万5千人が島につめかけたが、
約延べ10万人を桜島のフェリーは6隻態勢でピストン輸送した実績をもっている。

特にオールナイトで終演後、桜島桟橋は2隻が同時に接岸できる状態だが、
帰りの客が桜島桟橋につめかけ…
7時間に通常28往復を53往復で対応し桜島から鹿児島市内へと約5万人が移動した。
約5万人程度?凄くないよ!と都内では思うかもしれないが、
コンサート客以外にも2004年の1日あたりの平均乗客数は15千人の45百台、
年間延べ約550万人164万台であり、
平日には車の通勤で乗船渋滞もある。

平均乗客がその数の路線だ。

ましてやコンサート外の一般観光客も乗るだろう…
その対応しながらの片道5万人を更に輸送した。
1日の平均乗客数の3倍以上をしかも6時間以内で…

因みにそれ以外の交通網だと…バスツアーがあったが、
タクシー行くとしよう…

鹿児島側フェリー乗り場から鹿児島湾をぐるっと約77kmで桜島のフェリー乗り場まではいける。
あとは鹿児島中央駅から約5Kmの鹿児島県庁近辺の乗水のフェリーで渡り、
乗り場から桜島のフェリー乗り場まで22km…

それだけのコンサート客が桜島のフェリーに集中するわけであった。

因みに鹿児島県鹿島市民の移動手段では車で迂回はなさ気という…

県庁方面は駐車場において片道440円の垂水のフェリー、
天文館方面は往復300円の桜島のフェリーだそうだ。
車だと3m未満で料金が垂水だと片道1150円、桜島だと片道820円と高くなるから倹約するらしい。

元桜島のフェリーに使われてた両頭船を用いて大量の学兵の救援にあたろうとしていた。

使用されたのが通常タイプや貫通型カーフェリーであったなら短時間にスムーズには行かないだろう。

まず接岸に回頭が必要で1番時間がかかり、
更に車を搭載するカーフェリーでなく、ただの貨客船であれば搭乗口はほぼ一つであり、
リアルの小笠原諸島行きのおがさわら丸の様な外洋貨客船だと乗船時間がひじょうにかかる。
確かに6700tで乗客を1000名以上運べ22.5tと比較的速いが…
大量に短時間乗船には向かないだろう…

10隻もの両頭船が頭ら岸壁に接岸してランプが下りて接地、
『ご苦労様です。乗船の際は列を作って順番に並んで下さい。
お願いします』
女性の声が拡声器で響き渡る。

『優先順位は負傷兵、鉄道警備小隊、交通誘導小隊の皆さんから。
以下、整備兵、戦車随伴歩兵、戦車兵と続きます。
二番機と三番機は最後まで撤収の援護をしてください』

……

フェリーは出港し、約2km対岸の下関港に吐き出される学兵らから自発的に歌が起こる。
突撃行軍歌が…それが対岸の門司側の砲撃音にかきけされる事なく、一人一人の兵士の耳へと届く…

船がつく埠頭だけ護ればよい!
俺ら、私らは生きて帰れるんだ!

『次は戦車随伴歩兵及び整備班の番です。
補給車その他は桟橋へ集合。
戦車随伴歩兵の諸君はなんとしても敵を振り切り、20分後に桟橋へ来て下さい。
辛いでしょうが、決してあきらめず、敵に囲まれた諸君は士魂号が援護します。
声をあげて助けを求めてください。生き残りましょう!』

……

18:40
最後まで奮戦していた3号機、
手から無限になる意思の力…精霊手をうち放っていた3号機が、九州の大地を離れ…
更に約1万強の学兵が東坂海運に救助され、ここに九州撤退戦の幕が閉じた。

実にこの撤退戦の間で約5万人の学兵が九州の地に消えた。

あるものは海の中へ…
あるものは幻獣の体内へ…
あるものは破壊された機械の中で…
あるものは大地へと…

……




寸劇風後書き

作者「熊本戦編九州より撤退おおくりしました〜」

ナギ大尉「これで残すところ…」

作者「第1部はあと3話になります!!」

ナギ大尉「宣誓しちゃっていいの?」

作者「宣誓させてください」

ナギ大尉「まだフラグ回収してないのあるでしょ?キャーティアシップとか、出産とか…」

作者「え〜と…とりあえず第2部の宇宙戦争から…?」

ナギ大尉「第2部?」

作者「あ、えっと…フェリー大活躍ですねぇ!」

ナギ大尉「でも赤羽線、埼京線の池袋〜赤羽までの区間の1日あたりの通過人数の10分の1でしょ?」

作者「…埼京線と比べたら…埼京線はその区間平日200本以上往復で、10両編成、1両が定員約140名程で、
約1400名なんだけど…乗車率198%のラッシュもあるからね〜
つまり、約2800名が乗車…ドアが開かないわ、圧力でドアのガラスが割れたもあるし…
ほぼ赤羽発新宿方面は6時半頃から9時半発までに30万人が集中してると言って過言でないね。
ターミナル駅なんか前の車両がつまって進めないのしょっちゅうだし。

で、桜島のフェリーは1日88往復で既に半分以下、定員が車両以外で488〜657名とそこでも半分以下だね。
だから比べたら…」

ナギ大尉「では次回、後処理及び帰還…そして…お楽しみにぃ」



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