黒と水色

第17話 「潜入! 封印図書館」





「その人が?」

帰ってきた一行を迎えたユナは、初めて目にする、
くたびれたフード、コートを身に着けた人物に首を傾げた。

「ええ。この人がそうよ」
「ふーん?」

「……」

エルリスがそう答えると、ユナは意味深な横目を向ける。
一方、メディアのほうは無言だった。
フードを深く被っているため、表情を窺い知ることも出来ない。

「あの、メディアさん?」
「約束が違います」
「へっ?」

険悪な雰囲気になりかけ、察したセリスが声をかけるものの、
返ってきたのは、厳しい口調だった。

「私がフィールドブレイカーを貸すとお約束したのは、あくまであなたたちだけです。
 こちらのお方のことは、何も伺っていません」
「え? や、その…」
「この人は私たちの仲間で、ユナっていって…」
「私はあなた方のお人柄を信じて、フィールドブレイカーを貸しても良いと、そう判断した。
 たとえフィールドブレイカーの神秘を目にしても、絶対に口外しないと、
 そう信じられたからです。が、私は、この方のことは何も知りません」

突然のことに焦る水色姉妹。
確かにユナのことを知らせていなかったが、こんなに拒絶反応を示すとは。

エルフ自体の存在が隠されていて、その上、その秘宝を使うというのだから、
もっと配慮していて然るべきだったかもしれない。
こちらの都合しか考えていなかったことも、少なからず事実だ。

御門兄妹を含めて、4人は後悔した。

「…つまり、私のことは信じられないと?」
「ありていに申せば、そういうことです」
「……」
「……」

一触即発の雰囲気で睨み合うユナとメディア。
お互いに一歩も引かない。

「まあ私に言わせれば、貴女のほうがよほど信用できないけどね?」
「どういう意味ですか?」

ユナの反撃。
はんっ、とばかりに一瞥して、挑発的な言葉を投げかける。

「そんな、相手に顔も見せないような輩を、信じる気にはなれないということよ」
「それは失礼。道すがら、正体がバレる危険がありましたもので。
 ここではもうその必要は無いようですね」

ここはユナの工房の内部。
他人が入ってくる心配は無いし、正体を隠す必要も無い。

メディアは、サッとフードを上げた。
端正な顔立ちと、美しい紫の髪が光に晒される。

彼女はついでに髪をかき上げて、髪に隠れていた耳を示して見せた。
人間ではありえない特徴、トンガリ耳。

「どうです?」
「…なるほど」

ユナは目を凝らしてよく確かめてみるが、作り物のような感じは見受けられない。
エルフだ、ということは納得した。

「私の負けみたいね」
「いいえ」
「……」

珍しくユナのほうから負けを認めたが、応じないメディア。
ユナの目がスッと細くなって、周囲の気温が下がる。

「私はまだ、あなたのことを信用していませんよ」
「……」

さらに不機嫌になって行くのが、手に取るようにわかるようだ。
いつ爆発して、炎を発現させるかわからない。

「ま、まあまあ」
「メディアさん。この人はこれでも――」

「ふふふっ」

「――…?」

見かねた勇磨と環がフォローに入ろうと、声をかけた途中で。
2人の声を遮るような笑みが漏れた。

「ごめんなさい」
「メディア…?」

笑ったのは、メディアである。

「存じ上げてますよ。ね、『炎髪赤眼の魔術師』、ユナ=アレイヤさん?」
「…! 私のこと、知ってたのね」
「ええ。ご高名はかねがね」
「………」

なんと人が悪い。
知っていたのなら、最初から――

「しかし、知っているのは名前だけです。趣向・性格までは知りません」
「…なるほど」

確かに、ユナの名前は、その道では有名だ。
二つ名が付いていることからも、それはわかるだろう。

しかし、どれほど有名であっても、本人の人柄まではわからない。

「そ、それは、私たちが保証するわ!」
「そうだよ! ユナさんは少し、わがままなところがあるけど、基本は良い人だよ!」

「…セリス。あなたいい度胸してるわね」
「ひう!? こ、言葉のあやだよ〜!?」

急いで水色姉妹がこんなことを言うが、セリスの言葉に反応するユナ。
顔は笑っているが、口調は正反対で、今度はセリスが青ざめることになる。

「俺たちも保証するからさ」
「ええ。ユナさん、普段はこんな人ですけれど、こと仕事となれば信用できますし、
 誰よりも頼りになるお人ですよ」

ここぞとばかり、御門兄妹も言う。
メディアに承知してもらわなければ、封印図書館に入ることは叶わないのだ。

それ即ち、水色姉妹の悲願も叶わない。
また、<ruby><rb>自分たち兄妹</rb><rt>・・・・・・</rt> </ruby>の目的も…

「そうですか」
「…環。あなたの言いようも大概だわね」

とりあえず頷いたメディア。
ユナは、セリスばかりでなく、環からも同じようなことを言われたことが不満らしい。
ふう、と息を吐いて脱力した。

「わかりました」
「メディア!?」
「あなたたちがそこまで仰るのなら、私も信用しましょう。
 なにより、炎髪灼眼を信用せずして、誰を信用するというのです」
「よかった、ありがとー!」
「ふふふ。少しおイタが過ぎましたかね」

笑っているメディア。

どうやら、本気で言っていたというわけではなく、試していたらしい。
慎重にならざるを得ない立場なのはわかるが、もう少し…と思わないでもない。

「はあ、やれやれ。心臓に悪い」
「メディアさんというお人は…」

大喜びの水色姉妹。
御門兄妹もホッと一息である。

前回のこともあるし、メディアというお人、いやエルフは、こういう性格なのかもしれない。

「ところでユナ。準備のほうは?」
「用意しておいたわよ」

質問に頷いたユナは、部屋の一角に置いてあるものを指差した。
なにやら、カバンのようなものがいくつか置いてある。

「あれはなに?」
「”アーカイバ”よ」
「おお、あれが」

アーカイバとは、魔法道具の一つ。
見た目は普通のカバンのようだが、その容量は驚くほど多く、大量に、大きなものでも詰め込めるとか。
噂には聞いていたが、実際に見るのは初めてだった。

「有名な”四次元ポ○ット”、この目で見ることが出来るとは!」
「勇磨あなた、なに言ってるわけ?」
「いやあ。一種の憧れというかね?」
「???」

「気にしないでください。私たちの故郷に、そういったものがあるのですよ。
 あくまで架空のものですけれど、似たような感じでしてね…」

大はしゃぎする勇磨に、周りの一同は首を傾げ。
環は恥ずかしげに、視線を逸らすのだった。

「一応、1ヶ月分の水と携帯食糧。あと、各種の回復アイテムを用意しておいたわ」
「完璧だね」
「でも、1ヶ月分って……そんなに?」
「何があるかわからないのよ。これでも足りないくらい。
 容量の関係でこれが限界だけど、もっと用意したかったくらいなんだから」
「そ、そうなんだ…」

改めてビビるエルリスである。
自分たちがこれから挑もうとしているのは、それほどの大迷宮であると。

「私たちの分は人数分、用意したけど、あなたの分は無いわよ。大丈夫?」
「ご心配なく」

メディアがやってくるとは知らなかったので、彼女の分のアーカイバは無い。
ユナが尋ねるが、メディアは意に介さない。

「私はエルフですから、多少は人間よりも身体が持ちます。
 まあ、たまにお分けしていただくくらいになると思いますから、
 そのときはお願いすることになりますけれど」
「わかった」

たまに、という頻度が、どの程度のものかは不明だが。
自分でこう言うくらいなのだから、かなり少なくて済むのだろう。

「私の分をあげるわ、メディアさん。私は小食だから、一緒に食べましょ」
「ありがとうエルリス。ご厚意に感謝します」
「わたしのもあげるよっ!」
「あらセリス。大食らいのあなたが、それで我慢できるのかしら?」
「うっ…。お、お姉ちゃんの意地悪〜!」
「ふふふ」

ユナとメディアが対立していた、あの頃の嫌悪感はどこにやら。
和やかな空気が満ちた。

「それで、えーと、準備にかかったお金とかは…」

しかし、ここで訊かねばならないことがある。

準備をしたのはユナだから、当然、費用も彼女持ちだったはず。
アーカイバや食糧、水やアイテム類の代金。
自分たちは負担せずともいいのだろうか。

「ああ、それだったら、後払いにしてあげる」

ユナはさして気にもしてない様子で、あっさり答えた。

「後払い?」
「あの封印図書館に入れるのよ? それほど面白いことは無いじゃない。
 つまり、私が満足すればするほど、あなたたちに払ってもらう金額は
 少なくなっていくってわけ」
「そ、そう」

準備にかかったお金の分だけユナが面白いと思えば、差し引きするということか。
カンダタ団を潰して得た報奨金で、当初ほど貧乏だというわけではないにせよ、
ユナが大満足してくれることを願わずにはいられない。

「それで、決行日はいつにする?」
「明日」
「い、いきなり明日か」
「善は急げ、っていうでしょ」

決して『善い』ことではないと思うが…
早いほうがいいのかもしれない。

「そういうわけだから、今日は各自、調子を整えておくこと。
 具合が悪くなったからって延期はしないわよ。そのつもりでいて」

ユナの言葉に頷く一同。

さあ、いよいよ、謎に満ちた封印図書館へ潜入だ。
気分は自然と昂揚し、決意に満ちてくるのだった。





翌朝。
開館時間を待って、一行は図書館を目指した。

いや、本当の目的は、図書館の地下3階以降。
通称”封印図書館”と呼ばれている領域だ。

あまりに広く、あまりに深く、険しいために、
今となっては、その全容を知るものはいないという大迷宮。
そんなところへ、これから挑もうとしている。

「…うぅ」
「セリス?」

図書館に向かう道中。
セリスが上げた唸り声に、隣を歩くエルリスは、心配そうに妹の顔を覗き込んだ。

「大丈夫?」
「う、うん…。なんか緊張しちゃって……それだけだから……」
「そう」

非常に大きな危険が予想されることに加え、自分自身のために、
それも自分だけならいいが、仲間を連れての挑戦になるのだ。
気が引けてしまうのも仕方がなかろう。

「今はまだいいけど」

そんな折に、先頭を行くユナが、チラリと振り返りながら言う。

「図書館に入ってからもそんなんじゃ、怪しまれるわよ。
 大志があるんだから構わない。もっと堂々としてなさい」
「う、うん…」
「はあ、先が思いやられるわね」

「まあまあ」

ため息をつくユナ。
しかし、なおもセリスの緊張はほぐれず、フォローに入る勇磨である。

「何も1人で行くわけじゃないんだからさ。
 エルリスもいれば俺たちもいる。
 心配なんかしてないで、上手く行くことだけを考えるんだ。いいね?」
「勇磨さん…」
「大丈夫。兄さんや私は愚か、ユナさんまでいるんですから」
「環さんも…。うん、わかった、ありがとっ」

環も励ましに入って、セリスはようやく吹っ切ったようだ。
笑みを浮かべて礼を言う。

「助かったわ。ありがと勇磨君、環」
「いやいや」
「仲間を励ますのは当然でしょう」
「それでも、ありがとう」

エルリスも2人に対して頭を下げた。
つくづく、自分は仲間に恵まれたと思う。

「ところで」

不意に声をかけたのは、フードにコートの人物。
外出するときは、いつもこのスタイルだという、メディアである。

「まだ詳しいことをお伺いしてないのですが、その”封印図書館”…」

公に出来る話題ではないので、後半はボリュームを落とした。

「入口には結界があるということですが、その場所までは、
 簡単に近づけるのですか?」

何度も言うが、封印図書館への立ち入りは禁止されている。
学園長でさえも入ることは出来ない。

そのような場所への入口だから、何か監視があるのではないか。
強力な結界に守られているとはいっても、人を容易には近づけさせないだろう。

そう思ったのだが

「行けるわよ」

ユナの答えは、とてもシンプルだった。

「行けるのですか」
「行ける。一応は封鎖されているけど、簡単なバリケードが置かれているだけよ。
 立入禁止になってるのは周知の事実だし、結界があることも知られている。
 過信しているわけじゃないんだろうけど、自信があるんじゃない?」
「そうですか」

なにせ、このユナでも破ることが出来なかった結界。
もはや力技では破ることは出来ないと、開き直っているのかもしれない。

「なら大丈夫ですね。私が、この…」

そう言って、メディアが懐から取り出した、稲妻状の形状を持つ、不思議な短剣。
色合いも鮮やかで、非常に美しい宝剣にも見える一品。

「”フィールドブレイカー”で一刺しすれば、結界は消失します」
「本当にそうなるんでしょうね?」
「我らがエルフの秘宝ですよ。効果は折り紙付です」
「それならいいんだけど」

敵対するようなつもりは無いんだろうが、相変わらず、
メディアとユナの間には、刺々しい空気が漂っている。

初対面で、いきなり試されたような格好になったことが、よほどお気に召さないらしい。

「はい、着いたわよ」

一行がハラハラしているうちに、立派な建物の前へと到着。
これが学園都市が誇る図書館ということのようだ。

「もう1度、念を押しておくけど」

立ち止まったユナが振り返り、彼女の後ろに控えていた一同に向けて、
注意を発する。

「くれぐれも、怪しまれるような行動は控えること。
 警備が薄いとはいえ、人員はいる。いいわね?」

頷く一同。

先ほどまで緊張していたセリスも、今は気持ちを盛り返し、
決意に秘めた精悍な顔つきをしている。

これなら心配はあるまい。

「じゃあ行くわよ」

一行は、図書館内部へと入って行く。





玄関ホールを何食わぬ顔で横断し、奥まった場所にびっそりと存在する、
下り階段を下りて地下へ。
申し訳程度のロープで作ったバリケードがあったが、ためらうことなく跨いだ。

地下1階は倉庫的なフロアのようで、人の姿はほとんど無い。
蔵書の整理をしている職員が、1人、2人いるだけ。
これ幸いとばかりに、気付かれないように注意しながら、急ぎ足で通過。
地下2階への階段を下りる。

地下2階は、さらに倉庫、物置的なフロアである。
だから、他の人影などあるわけがない。職員の姿も無くなった。
少々埃っぽい中を素知らぬ顔で進み、その場所へと近づく。

「あれが、封印図書館への扉よ」

そう言って、ユナが指し示した先。
前方に巨大な扉があった。

鉄製なのか、重厚そうな、黒光りするその扉。
加えて、魔力の奔流がひしひしと感じられる。
結界によって封印されている余波だろうか。

「なるほど…。これでは、いくらやっても無駄でしょう」

メディアが感想を一言。
彼女がこう言うくらいだから、本当に、突破することは不可能なのだろう。

”普通の手段”では。

彼女はスタスタと扉へ歩み寄ると、右手を差し出して、扉へ手をつけた。
そして目を瞑る。

しばらくそうしていた彼女は

「物理的な衝撃、魔力を吸収……ならびに、侵入者絶対排除の結界が張られています」

静かに、解析結果を述べた。

「どなたがお張りになったものかはわかりませんが、非常にすばらしい結界です。
 どんなに強大な魔法や、力を加えたとて、傷ひとつつきませんね。
 我らエルフや魔族でも、これを破るのはほとんど不可能でしょう」

「そんなに?」
「エルフや魔族でも無理なくらいですから、ユナさんが破れなかったことも、
 納得のいく結果です」
「……」

驚く勇磨に、ふむふむと納得している環。
ユナは、不機嫌そうな表情でも、無言を貫いた。

「でも、私の前では。このフィールドブレイカーの前では、いかなる結界も無意味」

再びフィールドブレイカーを取り出すメディア。

「ではみなさん。覚悟はよろしいですか?」

「元より承知よ」
「お願い、メディアさんっ!」

「わかりました」

一同は頷いて。
水色姉妹よりさらなる賛同を得たメディアも、ひとつ大きく頷き。
扉へと向き直って、色鮮やかな短剣を構えた。

「やるなら早くして。いま見回りに来られたらおしまいよ」
「はい」

ユナから急かす声が飛ぶ。

結界を破り、封印図書館に入ろうとしていることがバレたら、即刻、強制退去だろう。
それどころか、手が後ろに回るかもしれない。
もっとも、素直に捕まってやるつもりなど無いが、今は急ぐのみ。

「………」

扉と対峙するメディア。
どれほどすごい、高等な魔術を行使するのかと思いきや。

「えいっ♪」

「…え?」

ただ無造作に、構えた短剣を、ぷすっと扉に突き刺しただけ。
思わず呆気に取られる一同であったが

「あの短剣、それほどの強度が…?」
「いえ違うわ。あれは、扉に刺さっていると言うより…」
「結界、そのものを、刺している…?」

扉は、おそらくは分厚い、鋼鉄製の重いもの。
そんなところに、あんな細くてひ弱そうな短剣が、ああも簡単に突き刺さるだろうか。

疑問に感じてよくよく見てみると、突き立った短剣の周りに、魔力の奔流が見える。
短剣は扉に刺さっているのではなく、結界を構成している魔力を直接に捉え、
四散させているのだ。

バシュッ

「…!」
「きゃっ」

「はい、おしまい♪」

一瞬の閃光が走ったのち、陽気なメディアの声。

「おしまい…?」
「結界は消えました。今なら、扉を開けることが出来ますよ」
「本当に…?」
「疑うのですか?」
「……」

一瞬の出来事で、あまりに呆気なさ過ぎて、実感が伴わない。

「よし。じゃあ、開けよう」
「兄さん、私もお手伝いします」
「あ、私も!」

勇磨、環、エルリスの3人が扉の前に立ち、開けるべく手をつけた。
重そうな扉だから、人手がいるとの判断である。
両面開きだと思われる、片方だけに集中して…

「押すぞ。せーのっ…」

グググ…
3人で力を合わせ、鉄の扉を押す。

しかし…

「ぐぎぎぎ……だ、ダメだ開かない」
「ど、どうなっているんですか」
「結界は無くなったんじゃないの!?」

結界は消失したはずだ。
それは重そうな扉だが、3人で力を合わせれば、ビクともしないこともないはずだ。
いったい…?

半ば混乱状況に陥るが

「ふむ…」

再びスタスタと歩み寄ったメディアが、発見する。
扉の隅のほうに、小さくこしらえられた、その代物を。

「この扉、押すのではなくて、”引く”のではありませんか?」

『………』

一同、沈黙。
恐ろしいほどの静けさが降ってくる。

メディアが示した場所には、確かに、小さいながらも取っ手があった。
いくら押しても開かないはずだ。
結界云々ではなく、構造状の問題とは、盲点だった。

「さ、先に言ってくれよ」
「もうっ兄さん! 兄さんのせいで大恥じゃないですか!」
「俺のせいなのか…」
「最初に『押すぞ』って言ったの、勇磨君じゃない…」

扉を開けようとした当事者3人は、軽く言い争って。
恐ろしいものだ、刷り込みとは。

『はぁぁぁ…』

とてつもなく大きなため息。

押すものだと思い込んだ勇磨も勇磨だし、取っ手に気付かなかった2人も悪い。
つまり、どっちもどっち。

「ま、まあまあまあ。間違ってることはわかったんだから、正しく引いてみようよ。ねっ?」
「そうね…」

セリスがフォローに回って、気を取り直す。
では、改めて…

「ふんっ!」

取っ手に手をかけて、思い切り引いた。

ゴ、ゴ、ゴ…

重苦しい音を立てて、徐々に開いて行く扉。
数百年、あるいはそれ以上の時を隔ててきた障害は、今ここに取り除かれた。

「おお…」

どこからともなく声が漏れる。
見つめる先には、暗闇に消えて行く、真っ直ぐ伸びた通路があった。

「この先が封印図書館…」
「戸惑っているヒマは無いわ。行くわよ」
「うんっ!」

先んじてユナが入って行く。
そのあとを追う一行。

かくして、封印図書館への潜入に成功。
何が待ち受けているのか、知る術は無い。






第18話へ続く




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