広大な次元空間内部を、一六〇〇余隻もの艦隊が進撃していた。その大艦隊とも呼べる艦隊は、それぞれがSUS、エトス、フリーデ、ベルデルの合計四ヶ国で編成されている。
しかし表面上はともかくとして、内情は全く違っていた。何故なら、SUSは三ヶ国の面々を有効活用することしか考えていない。
一方の三ヶ国側もSUSからどう離脱すべきかと、そのタイミングを計っている。失敗すれば大打撃を被るうえに、反抗の足掛かりを無くすことにも繋がりかねないのだ。
エトス艦隊司令のガーウィックも、今回の侵攻における本局攻略戦が最大のチャンスであると見て、僚友たるズイーデル、ゴルックの両提督もその時が来るのを待ち構えている。
  SUS軍の指揮を任されているディゲルは、彼らの離反の可能性を十分に考慮していた。そのために、彼はわざわざ一二隻もの〈ガズナ〉級を密かに同行させているのだ。
〈ガズナ〉の艦隊支援能力は単なる遠距離砲撃だけではない。多用途と称されるくらいの艦は伊達ではなく、砲撃能力の他に注意されるべき点、それは搭載機能についてである。
上陸兵器の陸上戦艦、戦車、対空戦車に始まり、それらを搭載する揚陸艦、さらには航空機系統に関しても、ブロックチェンジする事で使い分けをこなしていた。
  だがディゲルは今回の本局攻略戦に際して、上陸兵器と航空機を搭載させているのは二隻に過ぎなかった。残る一〇隻には特別の兵器を搭載し、今か今かと刃を研いでいる。

「……司令、敵の索敵網に掛かった様です」

SUS軍総旗艦〈ムルーク〉の艦橋要員の一人が、管理局の監視網に掛かった事を告げる。だがディゲルはその様な報告で驚くわけでもなく、焦るわけでもない。
  彼は無表情なままで、全艦隊へ向けて戦闘配置を命じた。

「構わん、そのまま進撃を続けよ。それと、全艦隊戦闘配備に付け!」
「了解。全艦隊に告ぐ、戦闘配備に付け! 繰り返す、戦闘配備に付け!!」

部下の一人が復唱し、SUS軍および三ヶ国軍にも通達する。遂にこの時が来たのだ。本局を灰燼に帰して地球艦隊と、反旗を翻すであろう三ヶ国の奴ら共々葬ってくれる!
指揮官席で余裕に満ちた表情のディゲルはニヤリとする。全艦隊の戦闘配備への移行が完了したことを確認すると、今度は陣形の変更を命じた。

「このまま本局へ突き進むぞ。前衛のエトス、フリーデ、ベルデルはそのまま直進し最初に戦端を開くのだ」

  ディゲルの直接指揮する第一戦隊の左翼には第三戦隊と第四戦隊が並び、右翼に第五戦隊が並んでいる。残る第六戦隊は予備兵力として後方に待機する手筈になっていた。
この第六戦隊は予備兵力としてだけでなく、いつ乱入して来るか知れない地球の援軍に備える事、〈ガズナ〉級の援護をする事、この二つの名目が課せられているのだ。
後方待機とは一見すると遊兵の様な存在に見えがちでもあるが、先の二つの目的を軽視してはいないディゲルの判断によるものである。それに後方待機もう一つ、理由があった。
戦場とは様々な形状をしているものだが、次元空間の様な何もない空間で戦闘への障害もない。しかし、だからと言って好き放題に兵力を展開出来るかと言うと、そうでもない。
  まず戦場となるであろう本局の前面には、地球と管理局からなる連合軍 五二六隻。対するは自分達と三ヶ国軍を含めた一六〇〇隻程の大艦隊だ。

(案外、多いな……だが、奴ら(エトス・ベルデル・フリーデ)の艦隊でゴリ押しも十分だろう)

これを第三者が見れば、拮抗すると断言するに違いないが、現実は違う。幾ら地球の艦隊が驚異の性能を持っていても、質で大きく劣る管理局では、半分程度の性能しかない。
しかし、SUS側も戦力が上だからと言って、全ての兵力を投入する訳にはいかない。次元空間はとてつもなく広大なもの。
一つの戦場でこれだけの兵力を展開していては状況把握がままならず、混乱する可能性が大いにあったのだ。
  大群であるが故に動きづらく、足元を掬われ易い事も十分に有り得るのだ。それにディゲルは三ヶ国軍との戦闘も考慮している。
そうなれば、かなりの大乱戦になるであろう。そこで大兵力をいきなり投入して収拾の付けようが無くなってしまっては元も子もない。
指揮しやすい様にある程度の兵力を後方に下げる事で混乱を避け、さらには最終局面時における決定的な、かつ重要な予備兵力として的確に投入すれば、おのずと勝利し易くなる。
  この戦闘でSUSは優位に立たねばならない手前、無様な敗北は許されない。相手にするのが地球艦隊、管理局艦隊のみならばまだ良い。
とはいえ肝心の前衛役を担っているエトス、フリーデ、ベルデルは敵と想定しておかねばならず、そうなった場合はそれなりの損害を考慮する必要があった。
  そして、ディゲルが危険視する三ヶ国軍の内、エトス艦隊旗艦〈リーガル〉では……。

「提督、SUSの布陣から見て、やはり我々の行動を注視している証拠なのでしょうか?」
「ふむ……否定はできん。しかし奴らの考えそうな事を思えば、我々の反撃を許さぬであろうな」

〈リーガル〉艦長のウェルナー大佐の推測にガーウィックは相槌を打つ。SUSが背後陣取って我々に前衛を強制させる辺り、さすがはディゲルの戦略眼はしたたかと言うべきだ。
どのみち我らが反旗を翻ることをせずとも、地球艦隊との戦闘で疲弊するのは前衛を担う我々なのだ。あわよくば、疲弊した直後を打つつもりでもあろう。
  以前から注意していただけに、ますますディゲルのやり口が気に食わなかった。何処に居ても、SUSは味方を味方とも思わず、消耗品としか考えていないようだ。
ガーウィックは腕を組みながら、この最初で最後のチャンスを無に帰さずして反撃してやる、そう決めていた。その五分後、艦橋要員のレーダー手から報告が入った。

「時空管理局、本局を確認しました。さらに一二時方向に多数の艦影を確認。数、五二〇隻余り!」
「地球艦隊がどれ程いるか分かるか?」

ガーウィックの問いに対して、オペレーターは約四秒を掛けてから答える。その分析結果によれば、地球艦隊と思しき艦艇は三七隻だという。以前の報告よりだいぶ減っている。
最初の報告では四三隻が確認されていた。そして、先日の会戦で四隻の撃沈を確認している。単純計算ならばまだ二隻いるはずだ。やはり戦闘の傷が癒えていないのであろう。
このまま彼らが疲弊されても困る。ここは何としても、彼ら地球艦隊と合流しておかねばならない……。それに、彼らは我々の反旗を信じてくれているだろうか?
  彼は以前に地球艦隊と接触し、分かれる直前に密電を送り込んでいた。それは、次に会う時は偽装するため、狙いを外しつつも発砲する、というものだ。
もしも信用されていなかったらどうするのだ。部下たちはもとより、友軍のフリーデ艦隊などには賛同気味ではない将兵も少なからずいるという。
気持ちを抑えきれずに、その兵士達が攻撃を直撃でもさせれば、他の将兵達もそれに同意するように攻撃を本格化させるかもしれないのだ。

(予め行動の予定を組んであるが……地球の兵士よ、管理局の兵士よ、頼むから、上手くやってくれよ)

  その直後だった。SUS軍は予定の通りに空間歪曲波の放出を開始したのである。一斉に乱れを生じさせるレーダー機器類だが、悪影響を及ぼすまでにはいかないようだ。
全く、便利な代物なのか分からん兵器だ。ガーウィックは頭を軽く左右に振りながらも、目の前の事に集中させた。

「全艦作戦通りに行動せよ、偽装砲撃開始!」

彼らは一世一代の大芝居に打って出た。





「おのれ……ガーウィックめ!」

  ディゲルにとって三ヶ国軍の行動は自らの予想を裏切るものだった。我々SUSに対して偽装砲撃でサボタージュを行うのはわかっていた。
だからこそ〈ガズナ〉級による遠距離砲撃支援部隊で三ヶ国軍を“砲撃支援”してやれば否応なく前進すると考えていたのだ。
まさか奴らが本気で“艦隊運動で包囲戦”を始めるとは思わなかったのだ。みるみるうちに三ヶ国軍が両翼を広げ管理局艦隊を囲い込もうとする。
  何と中央のベルデル艦隊までもが、両翼に部隊を集中させ中央を薄くし始めたのだ。司令席の一段下、オペレーション・フロアでは、抗議と混乱と錯誤と怒鳴り声の世にも不快な四重奏をひっきりなしに奏でている。

「エトス艦隊、何故転進する? 定位置に戻れ!」
『バカ野郎。グズグズしていたら敵が逃げるぞ、後ろで構えていないでさっさと攻撃しろ!』

と、エトス艦隊のオペレーターから逆に罵られてしまうオペレーターもいれば……。

『垂れ流している雑音をなんとかしろ、艦隊が纏まらんではないか!』
「気が狂ったか! 妨害電波がなければ奴らは転移してしまうぞ!!」

気性の荒いフリーデ艦隊オペレーターに文句を垂れ込まれて、思わず荒い口調で返事をするSUSのオペレーター。

「ズィーデル提督より連絡、艦載機準備完了。SUS艦隊は速やかに前進し攻撃されたし、敵艦載機は引き受ける」
「予定が違う。どうなっているのだ?」

  揃いも揃って愚物め! 下の狂騒などお構いなしにディゲルは考える。一見して、三ヶ国軍は見事に管理局と地球艦隊を包囲に取り込んでいくように見えるが、実際は違う。
例えばフリーデ艦隊だ。艦隊の指揮統制がうまく行かずに、まるで太ったサツマイモのような無様な陣形を晒しているのだが、所詮これは擬態に過ぎない。
戦闘艦を方向を変えれば、即座に突撃用の紡錘陣形に早変わりだ。攻撃する目標など詮索する気にもならなかった。
  エトス艦隊も、一見見事な包囲陣を引いているがSUSと隣接する左翼が異様に分厚く艦列もこちらにすぐ向けるよう狡猾な配置を行っている。
一部の戦艦は此方を既に向いており、言い訳が“スラスターの故障”なのだ。故障しながら主砲をチャージするなど、怒りを通り越して笑いだしたくなる。ベルデルも同類だ。
我らが前進すれば丁度、三ヶ国艦隊と管理局艦隊の中央に出ることになる。四方を囲み“真なる包囲殲滅”を誘っているのは確実。さて、下の馬鹿共に喝を入れてやるか。
彼は勢いよく立ち上がる。その表情は正しく『怒髪天を衝く』。その凄まじさにオペレーター達が思わず振り向く。

「もうよい。あ奴らに僅かでも期待したのが間違いだ」

そう言い放つと、ディゲルは即座に幕僚へ命令を下した。

「砲撃参謀、砲撃支援部隊へ連絡! 直ちに砲撃を開始せよ。射撃統制はこの〈ムルーク〉が行う、妨害で外れるのは大目に見てやるから、半分は当てて見せろ」

  そう言った直後、彼は通信内容にこう付け加えた。半分当たらなければ貴様の命が減っていくと思え、と。
彼ならばやりかねない、とこの命令を受けた砲撃支援部隊の指揮官は、身体をブルリ、と震わせてしまい部下達へ必ず命中させろと命じる。

「第四、第五戦隊に連絡。裏切り者を殲滅しろ。俺が来るまでに潰したら褒美をくれてやる! とな」
「了解しました」
「第一、第三戦隊は我に続け! ……艦長、〈ムルーク〉は?」
「全て戦闘準備は既に完了しております、閣下」
「よろしい、SUSを侮った代価、存分に受け取るがいい。全艦攻撃開始!!」

命令を受け取ったSUS軍はついに動き出す。その爪は管理局や地球艦隊ではなく三ヶ国軍、各艦隊へと、容赦なく叩きつけられた。

「奴らめ、もう攻撃して来たか!」

  ベルデル艦隊旗艦〈ベルステル〉の艦橋にて、SUS軍へ悪態な言葉を吐き捨てていたのは、当艦隊司令のズイーデル中将だ。
もう少し待っても良かろうに! と付け加えつつも反撃の指揮を執り、すぐさまに反転させるように命じた。
それだけでなく、艦載機の〈ベルデルファイター〉の発進も命じるのだが、全機が発進するよりも早くSUSの砲撃が後衛部隊を襲う。
  この長距離射撃の威力はなんなのだ!? 彼が知り得ていなかった兵器〈ガズナ〉級の支援砲撃だ。その長距離砲撃は確実にベルデル戦艦を、一撃で戦闘不能においやった。
将兵達も突然の遠距離攻撃に混乱している。ただし命中精度はそれほどの物でないのが、せめてもの救いか。平均して一〇発中四発か、五発が命中する程度で有る。
とはいえ、兎も角、その一撃、一撃が強力過ぎるのだ。しかもエトス艦隊を先に攻撃して来るものと思っていた。
  だが配置位置からして、どうもそのようではない、と早々に気づけたが……まさか自分が狙われるとは!
ベルデル艦隊は艦載機を放とうとするも、全速力で前進して来たSUS本隊の砲撃も受ける事となった。しかも、ただの通常砲撃ではないものだ。

「SUS艦隊、砲撃、来ます!」

瞬間、後衛部隊は壊滅的な打撃を被る。明らかに通常砲撃とは違う威力を前にして、反撃も出来ずに撃破されていくベルデル艦隊。その損害報告からして驚愕するものだった。

「てっ提督! 第二分艦隊の二割強が撃沈された模様!」
「なんだと!?」
「提督、第三分艦隊も二割が損失した模様!」

ディゲルはベルデル艦隊の反転攻勢を許しはしなかった。攻撃までの彼の指示は絶妙なものだ。最初からエトスらを危険視していただけに、その反応も早かったかもしれない。
  だが、ディゲルはオペレーターの砲撃命中度に不信を抱いた瞬間には、進撃速度のスピード・アップを指示していたのだ。加えて、例の狙撃部隊にも攻撃を命じていた。
〈ガズナ〉級一〇隻による狙撃部隊が先手を打ち、続いてSUS艦隊がベルデル艦隊の後背に食らい付いたのだ。
SUS戦闘艦の通常砲撃だけではない、あの対要塞用にも使用される大口径ビーム砲を大胆にも最初の砲撃に使用してきたのだ。
艦隊戦では多用される事のない大口径ビーム砲の威力は恐ろしいものだった。しかも、ベルデル艦隊に対して砲撃したのは第一戦隊、及び第三戦隊の二個戦隊で、合計三六〇〇発余りの高エネルギー弾が襲い掛かり、ベルデル艦隊の三六隻を一気に削り取ってしまったのだ。
  もしもこれが正確な標準で狙われていたのであるとすれば、後衛部隊は半壊どころではなく、全体でおよそ一〇〇隻近い戦艦が撃破されたに違いない。

「艦列を崩すな!」

ズイーデルは艦隊の崩壊を防ごうと躍起になるが、少しの余裕を与える気はディゲルに毛頭なく、そのままベルデル艦隊を崩壊に持ち込もうとする。

「撃ち続けろ。あの愚か者どもを、抹消してやるのだ」

反逆の意思が確定化した今、我々は目の前の前衛艦隊を敵として認識し、葬り去る! ただし圧倒的な短い時間内において、有効的的に崩していかねばならない。
  そのために、彼はわざわざ対要塞用砲撃に使う大口径ビーム砲の発射を命じたのだ。本来、この兵装は高威力な代わりに使用する際は他の兵装が使用できない条件がある。
理由は至極簡単で、発射のためのエネルギーを集約せねばならず、必然的に主砲のエネルギーもそちらへ回されるのだ。そして連射には向かないという点もあった。
今回は予め反旗を翻す事を前提としていた。それ故に背後からのとてつもない強力な一撃が繰り出せたのだ。後は、通常砲撃モードに移行して
  さらにSUSの艦載機隊も戦線に投入された。これらはベルデル艦隊が射出してくる〈ベルデルファイター〉に備えているもので、その役目は直ぐに回ってきた。

「奴らを叩き落せ!」
「ベルデルのパイロットを舐めるなよ!」

ベルデル艦隊のパイロット達が威勢よく飛び出していく。後方を襲われながらも全機の射出に成功した〈ベルデルファイター〉は、およそ一八〇〇機前後。
本来であれば三〇〇〇機はあった筈だが、地球艦載機〈コスモパルサー〉に多数を叩き落された事が大きく起因している他、たった今の奇襲も原因だ。
  それにベルデル航空戦艦の搭載している艦載機は一〇〇機。だが全ての機体が同時に使える訳はない。人員的な問題として、全体の八割を動かせるか、という程度。
そして〈ベルデルファイター〉と、SUS戦闘機の近接格闘戦(ドッグ・ファイト)が展開される中で、ディゲル率いる第一戦隊と第三戦隊がそのままベルデル艦隊へと殺到した。
そこから、本格的な砲撃戦に突入したのである。





  艦隊比率にして、概ねSUS 四二〇:ベルデル 一四一というところであった。このままでは直ぐに潰されるのは目に見えており、ディゲルの気分はすこぶる良かった。

「ベルデル艦隊など、艦載機さえ無ければ恐るるに足らん。このままベルデル艦隊へ攻勢を強めるぞ」
「長官、エトス艦隊とフリーデ艦隊も反撃を開始、交戦状態に入りました!」
「両翼は第四、第五戦隊に任せておけばよい。我らはベルデルを葬る事に専念せよ」

旗艦〈ムルーク〉のオペレーターが報告すると、ディゲルは即座に対応を指示した。こうなる事は予想の中に組み込まれている。それも当然だ、彼が配置を決めていたのだ。
  ベルデル艦隊を攻撃するうえで、両翼のエトス、フリーデが直ぐに動くことは承知済みだ。だから第四戦隊、第五戦隊を当てる事になっていた。
それぞれ戦力はSUSが三〇隻程上回る程度だが、一番兵力の少ないフリーデ艦隊が苦労するのは目に見えていた。どうせ、この二個艦隊は早々に突破は出来んはずだ。
それまでにベルデル艦隊を葬り去り、エトス、フリーデへと矛先を向ける。さすれば、華麗な各個撃破が作り出せる筈だが、残る地球艦隊と管理局を忘れてはならない。
  恐らくは戦況の状態からしてベルデル艦隊と交戦している、我々へと向かって来るだろうが……。

(弱いくせに、数はある……奴らはどう動くかな?)

地球と管理局の連合軍が、ベルデル艦隊に合流した場合、その数は六六〇余隻となる。対する我々――中央部隊は四二〇隻だ。数でいえば不利に働く。
用兵学上からして、兵力を一点に集中して戦線を突き崩すやり方は間違ってはいない。間違ってはいないが、管理局の戦力としての質が大いに、足を引っ張っている。

(予備兵力を投入するか? いや、それでは混乱させるだけだ。後方部隊に一任させるのがいいだろうな)

後方に待機している予備兵力を加えれば、中央部隊は同数の兵力で肩を並べる。
  だが、中央部隊の戦線に予備を投入しようとしても、それを付け狙ってくる可能性も否定できない。
そこで白羽の矢が立つのが、先の後方支援部隊だ。これらの砲門数は少ないが、局の船を沈めることぐらい、容易いものである。
この後方支援部隊を使って、連合軍をけん制しつつもベルデル艦隊を撃滅すべきだろう。彼はそう結論を出した。
  それに、地球艦隊が波動砲を使おうとすれば、空間歪曲波の出力を高めればよい。完璧だ、まさに完璧だ! 波動砲を封じられた地球艦隊など、ものの敵ではない。

「後方支援部隊に打電。遠距離砲撃を再開せよ。目標、管理局艦隊」
「ハッ!」

後方に控えていた〈ガズナ〉級数隻は、ディゲルの指示を受けると砲撃目標を次元航行部隊へと変更した。この砲撃に、次元航行部隊は成す術もなかったと言えるだろう。
射程距離外から、正確ではないにせよ、一撃で葬り去る事さえ可能なビームが襲い掛かるのだ。初撃を受けた〈ベーメ〉は、文字通りの木っ端微塵となる。

「敵の狙撃だ!」
「何処だ、何処からだ!」

  次元航行部隊の先頭集団は狼狽した。見えないところからの砲撃に、早くも瓦解しようとしている。数はあっても、彼らの精神は軟弱である事をさらけ出したのだ。
総指揮を執るオズヴェルトは、先頭集団の乱れた動きから、直ぐに態勢を整えさせようと躍起になる。旗艦〈ラティノイア〉艦橋で、彼は奮い立たせようと声を張ったのだ。

「態勢を崩すな。最大限に障壁を張って耐えるのだ!」

とはいうものの、次元航行部隊の足は必然的に止まらざるを得なかった。数は少ないとはいえ、次元航行部隊の局員達には、命を捨てるほどの覚悟はなかったのだ。
捨てると言う表現には語弊があるが、言い換えれば勇気がない、という事だろう。それに経験も圧倒的に不足している。
  この様子を見ていたマルセフも、やむを得ないと言わんばかりの表情を作っていた。かといって、足を止めたままではベルデルが危ない。
彼もまた全艦隊に通信回線を開き、オズヴェルトに続いて声を張り、鼓舞しようと努める。同時に、地球艦隊が率先するしかない、と判断した。

「全艦、波動防壁(タキオン・フィールド)出力最大! 管理局の盾となって、敵の砲撃を防ぐのだ」

波動防壁は永遠の防御ではない。低出力での展開こそ持続展開が可能だが、高出力での展開では二〇分が限界なのだ。それも、無傷のまま、の話である。
地球艦隊は戦艦を中心に前面へ立てると、波動防壁の分厚い壁を張った。無論、全方位をカバーできるわけではないが、少なくとも管理局への鼓舞には繋がったと言えるだろう。
  しかし速度が大幅に低下した上に、SUS軍は巧妙と言うべきか、狙撃目標を次元航行部隊にのみ絞っている。

(やはり、実戦経験のない管理局は、敵ではないな)

速度を落とした連合軍の様子を見たディゲルは、指揮官席でより一層の深い笑みを浮かべる。このまま押せば、次元航行艦を三〇隻は軽く平らげる事が出来るだろう。
その間に第一戦隊を始めとする中央部隊は、ベルデル艦隊への攻撃を強化した。初撃で痛撃を受けたベルデル艦隊は、その猛撃に圧倒される。
  だがベルデル艦隊の後背にいた地球艦隊が、大胆にも前進してきたではないか。敢えて次元航行部隊と分離する事で、ベルデル艦隊を救出しようと言うのだろう。
ディゲルは冷ややかな目線で睨み、鬱陶しげに吐き捨てる。

「こざかしい。それ程に塵になりたいか」

彼は第三戦隊にベルデルへの攻撃続行を命じる一方で、この小賢しい地球艦隊を撃滅せんと転進を命じた。艦隊比からして二一〇:三七だ。
こちらの被害も大きくなるだろうが、その前に地球艦隊を磨り潰す事は出来る。文字通りの塵にしてやるのだ。
  第一戦隊が戦線を離れる事で、ベルデル艦隊の負担はある程度解消された。とはいえ、倍近い戦力差を付けられた今、逆転する事は不可能に近い。
それでも敵が分散された事への安堵感は大きく、ベルデル艦隊の将兵もある程度の士気を回復させた。特にズイーデルはこのチャンスを生かして、全艦に放送を入れる。

「ベルデル軍将兵達よ、地球艦隊を見るのだ。我が軍の半数にも満たぬ戦力で、六倍の敵を引き付けている! 対して我等の相手は倍だ。勇士諸君、臆するな!」

彼の鼓舞も多少の効果を上げたのか、ベルデル艦隊は隊列を戻し、秩序ある反撃を開始し始める。戦線を切り崩すまでには至らなかったが、維持しえる程度に回復したのだ。
  地球艦隊に照準を定めていたディゲルは、不快な舌打ちする。この期に及んで、諦めの悪い奴らだ。お前達も粉微塵にしてやる、待っているんだな。
隊列を整えるベルデル艦隊の様子を、マルセフは〈シヴァ〉のスクリーンから見て、少しの安心を得ていた。

「しばらくは耐えられるだろう。次元航行部隊はどれ程で戦列に加わる?」
「五分後になるかと」

足の遅さは仕方ない。それに遠距離攻撃は、次元航行部隊に集中されている。防衛軍が幾ら身体を張ったところで、SUSは無視し続けるだろう。
なればこそ、ベルデル艦隊の救援を優先しているのだ。案の定と言うべきか、SUS軍の一部――第一戦隊が反応して、こちらへ向かってくる。
  だが、今回は支えきれる可能性が全くないと言える。三倍どころか六倍の開きがある。いくら強固な防御と攻撃力を有する防衛軍とて、敵う訳がない。
負けないに徹することは出来ても、巻き返す事は難しい。それまでに次元航行部隊が加勢してくれれば、大分楽になるものなのだが……。

「……有効射程に入ります!」

その瞬間、マルセフは砲撃命令を下した。





  エトス艦隊はSUS軍の一個戦隊に攻撃されるものの、素早く反応して反転攻勢に出ていた。その反応はフリーデ艦隊よりも早いものだが、ベルデル艦隊への援護が出来ない。

「ベルデル艦隊の損耗率三二パーセント!」
「提督、敵第五戦隊がこちらへ向かって来ます!」
「……全艦、攻撃目標を正面の第五戦隊へ固定する」
「ですが、提督! これではベルデル艦隊が……!」

ウェルナーは友軍の危機を見放すことが出来なかった。ベルデル艦隊は既に四〇隻以上の艦船を損失し、危機的状況にある。このままでは壊滅してしまう!
彼の言いようは最もであるが、だからといって自分らの身を敵に晒す訳にもいかない。敵が正面から来るのだ。

「だったら、こちらも正面から迎え撃ち、叩きのめすしかあるまいな!」

ガーウィックは臆することなく、堂々たる姿勢と気迫で言う。戦力でやや劣るものの、それで見くびられてなるものか。
  それに彼は、ベルデル艦隊を救援する役目を負うのは地球艦隊らにある、とウェルナーに言う。管理局が心もとないとはいえ、数は五〇〇隻前後はあるのだ。
ベルデル艦隊を少しは支えられる筈だ。彼の言葉通り、地球艦隊と管理局は救援に向かうべく前進を始めたが、例の遠距離砲撃で足を掬われてしまった。
邪魔な砲撃に苦戦する様子だったが、地球艦隊は大胆にも自らの艦隊を切り離し、単独でベルデル艦隊救援に向かったのである。

「無茶をしますな、マルセフ提督は……」
「無謀と見えるか? 違うな、彼も武人であって、戦い方は弁えているだろう。無茶こそするが、無謀な戦いはせんだろうさ」

SUS軍第一戦隊を釣り上げ、時間を引き延ばそうとしているであろう地球艦隊とマルセフに、無言のエールを送るガーウィック。
  そして彼らは、ベルデル艦隊へ救援行動が出来るまでに、目の前の第五戦隊を叩きのめさねばならなかった。
少数で奮闘する地球艦隊の意地が、エトス艦隊にまで染み渡ったのか、ガーウィックは目前の敵を蹴散らしにかかる。

「全艦、主砲斉射ァ!」

ガーウィックの号令の基、〈リーガル〉の大口径主砲三門が光を放つ。戦艦、巡洋艦も大口径主砲を斉射した。青い光弾が数百の束となって、SUS第五戦隊へ突き立てられる!
  第五戦隊の前衛艦は、エトス艦隊の初撃を受けて次々と串刺しにされた。他のフリーデ、ベルデルの主砲とは威力を上回り、地球艦隊の主砲と同等のものだ。
二発か三発で轟沈させられる様は、最初に遭遇した第二戦隊の将兵達が見た光景そのものだ。が、やはり妨害電波の影響があるのだろう。撃沈された数は三隻に留まる。
中には撃沈こそ免れるが、直撃を受けて戦闘不能になる戦艦や巡洋艦も四隻程見受けられた。

「撃ち負かされるな、反撃しろ」

  エトスの砲撃を一心に受けるつもりもない、とSUS第五戦隊は秒差で反撃を開始する。四連装主砲がエトスとは対照的な赤い光を放ち、エトス艦隊へ襲い掛かった。
白いキャンパスに、赤い絵の具を塗るが如く、エトス艦隊内部へと降り注いでいく。エトス艦は、それを持前の防御力で受け止める。
対ビーム用電磁幕がSUSのビームを逸らし、逸らしきれなかった弾道は装甲で直接に受け止めていく。地球連邦の〈ドレッドノート〉級戦艦に匹敵するであろう防御力。
エトス艦隊は怯むと言う言葉を持ち得ていない、と言わんばかりに大口径主砲の斉射を続けた。
  序盤の砲撃戦の展開は互角の展開を見せている両艦隊だが、片や反対側の戦闘宙域では、ゴルック中将が率いるフリーデ艦隊が奮闘していた。

「背後から襲い掛かるとは、相変わらず卑劣や卑怯が似合う連中だ!」

フリーデ艦隊旗艦〈フリデリック〉艦橋の指揮官席で、ゴルックはいつもながらの豪胆な声でSUSを罵った。が、無論、罵っているだけではない。
彼はエトスに数秒遅れながらも反転攻勢を命令し、我先にと最初から全艦による突撃思考で埋まっていた。彼の相手する第四戦隊は二一〇隻、対するフリーデ艦隊は一七五隻。
二五隻の差があったが、彼の思考を妨げる程でもなかったらしく、彼の脳内にあること、すなわち――。

「正面からブッ潰してくれるわ! 全艦、主砲を斉射しつつ最大戦速で突撃し、我等の衝角(ラム)で、奴らの首を落としてやれ!」

  豪胆、あるいは大胆な性格のゴルックは、兎に角も前進して第四戦隊を壊滅させようとした。ただし、彼は自身の感情に身を任せている訳ではない。
指揮官としての能力は十分に持ち合わせ、そこに彼の大胆極まる性格が混ざり合わさる事で、思わぬ力を引き出すのだ。が、あまりにも感情に走りすぎる事も否定できない。
フリーデ戦艦に搭載されている多数のビーム砲、ミサイル・ランチャーが咆哮しSUS戦艦を乱打する。威力はそれ程でもないが数は桁はずれに大きく、威力よりも連射重視だ。
ビームをシールドで防ごうとすればミサイルに対応できず、かといってミサイルを迎撃すればビームで叩かれる。全てに対応するのは全てに対応できないと同義だ。
  だが、SUS第四戦隊も負けてはいなかった。この猪突猛進ぶりに対して、コニール少将は後退しつつフリーデ艦隊前衛へ向け、砲火を集中させると共に半月型の陣形を執った。

「このまま左方へ転進しつつ、猪馬鹿を右舷方向へ受け流すぞ!」

コニール少将は時空管理局第九拠点を襲撃した軍人だ。戦術手腕は非凡とまではいかないが、バランスの良さがある。
目の前に迫るフリーデ艦隊を“猪馬鹿”と呼称し、真正面から受け止めずにその勢いを右舷方向へ逸らそうとしたのだが、彼の指示が少しばかり早すぎた。

「そこだ。全速で突っ込めッ!」

  ゴルックは、その僅かなズレを見逃しはしなかった。猪突猛進なら、それらしい戦い方をしてやる! とゴルックは、ギリギリまで右舷方向へと向けさせるよう指示した。
フリーデ艦隊は紡錘型陣形を執りつつも前進する最中で、対するSUS第四戦隊は半月型陣形で左方へとスライドしようとしていた。
本来なら、急に転進できるほどに艦隊運用は簡単ではないが、ゴルックは無理に速度を殺そうとはせず、右舷(SUS側から見れば左方だが)へ徐々に向きを変えていく。
  結果としてフリーデ艦隊は、第四戦隊左舷前方へ、斜めざまに突っ込んでいく形となった。もう少しタイミングが遅ければ、逆にフリーデ艦隊が側背攻撃を受けていただろう。
ゴルックの的確な指示により、第四戦隊は十時方向(左舷前方)から砲撃を受ける羽目になってしまった。
このままではまずい、とコニールは危機感を募らせる。今度は陣形をそのままに、艦首をフリーデへ向ける様に指示した。せめて、フリーデ艦隊の先鋒を挫かなくてはならない。

「……コニールめ、何をしているのだ。あんな奴ら如きに苦戦するとは」
「ですが長官、右舷のエトス艦隊も優位に戦いを進めております。このままでは……」

  友軍の不甲斐無さに、ディゲルは口元を歪めた。第一戦隊は連合軍と砲撃戦を開始したばかりだ。彼は致し方ない、と直ぐに後方に待機している狙撃部隊へ命令を告げる。
狙撃部隊は、味方を誤射せぬよう、目標を次元航行部隊から変更して目標をエトス、フリーデへと砲撃を加え始めた。
しかし今だに第六戦隊は後方待機のままだ。ディゲルもさすがに今の戦線投入は時期尚早と判断した故であるが、それとは別の部隊へと指示を送り込んだのである。
  それは今まで〈ガズナ〉級の腹の中にいたのだが、腹を空かした鮫の如く次元空間へと飛び出して敵へ食らいつく時期を待っていたのだ。だが、その姿は見えていない。
その存在が明らかになったのは、凡そ一分後の事だった。フリーデ艦隊がいざ、本格的な蹂躙を開始しようとした矢先に、その腹を空かした獰猛な鮫は……。

「っ!? 提督、レーダーに感! 極めて至近です!!」
「何だと!?」

  フリーデ艦隊も攻勢に耐えた第四戦隊が、異様なしぶとさを見せている。惜しくも突入を断念せざるを得ない、とゴルックが判断した時の事であった。
あの強力な狙撃が突然として襲い掛かり、オペレーターが悲鳴を上げたのだ。ゴルックも突然の敵発見に驚き、迎撃を指示しようとする。
だが声を出す前に、その突然に現れた敵艦はフリーデ戦艦一隻を血祭りにあげていた。それだけではない、同じ事が直後に九回も続いたのだ。一体、何が起きたと言うのか!

「何故発見できなかった! レーダーは眠ってんのか!?」
「ち、違います! 本当に突然姿を現したんです!」

原因が全く分からない。すると再び、戦艦の一隻が大破した。至近距離に姿を現すそれは、同様にエトス艦隊側にも出現し、被害を与えていた。
  ガーウィックも、この奇襲攻撃に驚きを禁じ得ない。彼らエトス艦隊の場合は、左舷方向から突然に出現したとの事だった。
レーダーに映されたのは一〇隻分で、どれもこれも四〇メートルから五〇メートル程の小型艦で、艦載機にしてはやや大きい。
それらは突然現れると、目標の戦艦まで二〇〇メートルほどの超至近距離まで接近し、爆弾らしい物体を多数ばら撒いていくのだ。爆弾の威力も侮れないものであった。
迎撃しようにも至近距離に現れては手の打ちようもない。エトス艦隊は僅か五分の間に八隻の戦闘艦を失い、フリーデ艦隊も一一隻が撃沈されてしまった。

(慌てふためいている様が、面白いようにわかるぞ)

  一方のディゲルは〈ムルーク〉艦橋で再び笑みを浮かべていた。目の前のエトス、フリーデが慌てふためく姿が目に浮かぶ。
侮れないとは思っていたが、あの兵器を反復使用すれば勝利する時間もぐっと近づけるはずだろう。これで巻き返すのは難しくない筈だ。
自分らはこのままベルデルを叩きのめし、地球艦隊と管理局艦隊をも潰せば良いのだ。と心内で余裕を取り戻したディゲルであった。
戦局はこのままSUS軍へと傾き続ける。彼は確信し、対する三ヶ国軍、管理局、地球艦隊は盛り返しを狙っているのだ。



〜〜あとがき〜〜
どうも、第三惑星人です!
今回に入りようやく戦闘パートに入りましたが、いかがでしたでしょうか?
それと、今回から実験的な意味合いで文章の形を変更してみました。
以前は場所を記すために、いちいち記載していましたが、読者様のご意見を頂きまして、それを撤廃いたしました。
私自身、違和感が取り除けてはいないのですが、皆様はどうでしょうか、もう少し改善すべき点がございましたら、掲示板へとお申し付けください。

〜拍手リンク〜
[八一]投稿日:二〇一一年〇九月二七日二〇:四三:三一 EF一二 一
遂にと言うべきか、なのはにも大きな心境の変化がありましたね。
エースオブエースの変化は若手(なのは自身も十\分若いですが)魔導師にどんな影響を及ぼすのでしょうか?
坂本対なのはの模擬戦とかもあるのかな?(現状では難しいでしょうが)
ところで、三人衆(もう“魔法少女”という年頃じゃないし)のうち、はやては目方副長、フェイトはマルセフ司令から学んでいますが、なのはに影響を与えるのは、やはり古代だと思います。
艦隊戦の指揮から空中戦、白兵戦までと幅広くこなし、地球の命運を背負って何度も絶望的な局面を打ち砕いてきた古代は、押しも押されぬ地球のエースオブエースだと思うのです。

>>感想の書き込み、ありがとうございます!
なのはの夢に関しては、良くあるシュチュエーションの一つだと思いますが、突発的と言いますか……多作品の物を思い出した次第です。
因みに参考にしたのはアニメ『タイタニア』からで、ここに登場するあるお方の悪夢を利用させていただきました。
古代となのはの組み合わせは、恐らく、書かれるかと……思います(汗)



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