第3話『登場、猛将ガーデス将軍』


〜CHAPTER・T〜



  ユークレシア星系第1惑星ことサイレン星に接近する宇宙戦艦〈ヤマト〉を迎え撃つべく、ユークレシア星系所属の警備艦隊はサイレン星の手前で防衛戦を張っていた。
  展開された戦力は、以下のとおりである。

ユークレシア星系守備艦隊――
・戦艦
  ガイデロール級戦艦×1
・空母
  ガイペロン級空母×1
・巡洋艦
  デストリア級重巡洋艦×2
  ケルカピア級軽巡洋艦×1
・駆逐艦
  クリピテラ級駆逐艦×10

  ほぼ無人に近く、戦略的要素もないユークレシア星系に対して15隻もの艦隊が配備され、中には戦艦と空母も含まれている。
  この辺境の星を守備するには十分な戦力であろうが、実はその中身に関しては非常に心許ないものだった。サイレン人であるメラとジュラの幻覚を恐れてか、ガミラス軍部の間でも生身の軍人を派遣し駐留させるのは非好意的にならざるを得なかったのだ。まして、率先して任務を引き受ける者は皆無であり、同時に、万が一にもメラやジュラに何かあれば、責任者になった者の責任は非常に重いものとなる。

「そうなるのは、御免こうむる」

  無論、そのように公言できる訳がなかった。
  生身のガミラス人らがいないともなれば、その代りとなる存在はガミロイド兵しかない。結果として、ガミロイド兵で構成された守備部隊を派遣し、ユークレシア星系を半永久的に警備任務に携わらせようという目論見があったのだ。
  加えて編入された警備艦隊は、ほぼ全てが各任務を熟してきた歴戦の艦――と言えば聞こえは良いが、簡単に言えば老朽艦だった。
  旗艦たるガイデロール級航宙戦艦は、比較的初期に建造された艦歴の長い戦艦の1隻であり、長年の戦闘の傷が艦体各所に散りばめられていた。艦体色も茶系になっているのが特徴であろう。
  また警備艦隊の機動部隊となっているガイペロン級航宙母艦も、初期に生産された老朽艦だった。対ヤマト戦で、ドメル機動部隊を構築していた初期生産型艦〈シュデルグ〉と同じ艦である。故に、最上甲板にはアングルドデッキが存在しておらず、搭載されているのは戦闘機デヴァッケ×19機、爆撃機スヌーカ×19機、雷撃機ドルシーラ×12機の計50機で、母艦が1隻しかない故に各甲板ごとに機体を種類別にして搭載していた。どの艦載機にも、パイロットの能力に特化したガミロイド兵が載っており、プログラミングされた能力も並以上を誇るものである。
  後のデストリア級重巡洋艦、ケルカピア級軽巡洋艦、クリピテラ級駆逐艦らも、初期生産されたものばかりで艦体色がガイデロール級同様に、やや色あせた茶系となっていたのが特徴であった。
  ガミラス帝国軍内部には、このような老朽艦も数多い。最前線には新鋭艦や新造艦が次々と送り込まれ、これら老朽艦と交代されていたのだ。問題は交代で後方へ下がった老朽艦の扱いである。軍艦も何だかんだで費用の掛かる存在だが、かといって簡単に廃艦処分というのも出来かねていた。領土が広がれば、それだけ守らねばならない宙域と惑星が増えるのは必然で、逆に人手が足りなくなってしまうというのも必然であった。
  そこで考え出されたのが、アンドロイドを生身の兵士の代わりに配備させて、老朽艦を使い潰そうという魂胆であったのだ。
  ユークレシア星系守備艦隊も、そんなアンドロイド兵と老朽艦で構成された三流部隊な訳であるが、無人なれども健気にも〈ヤマト〉を食い止めようと動いていた――誰もそれを労おうとはしなかったが。

「本国ヨリ伝達ノアッタ、〈やまと〉迎撃命令二対スル準備、終了シタ」
「了解。命令二従イ、コノママ〈やまと〉ノ到着ヲ待ツ。全艦隊二伝達セヨ」

  人工知能を有するガミロイド達は、命令を受諾した後には着々と戦闘準備と整えている。ガミロイドは、人手不足を補う為に作られたアンドロイドであり、歩兵としては無論のこと、艦艇の操艦や戦車の操縦なども熟すことが出来る汎用性を持つ。故に、ガミラス帝国内部には多くのガミロイドが製造され配備されていたのだ。
  そして何より、人の心を持たないガミロイドには、こうした任務にはうってつけの存在だと言えた。また、これらガミロイドは互いに人間のようなコミュニケーションも取ることが可能で、独自の行動をとることも出来た。
  ただし、あくまでも補助的な要素が大部分であり彼らガミロイドだけでは、完璧な軍隊とはなり得ないのも事実である。
  旗艦ガイデロール級〈B−01〉艦橋には、ガミロイドばかりが活動している中で、通信士専用の席に座るガミロイドが報告する。

「追加命令。ばどぅる星系ヨリ、がーです少将指揮下ノ遊撃部隊ガ急行中」

  全身が黒いスーツで覆われ、なおかつ一般兵の被るヘルメットの黒塗装された代物を、ガミロイドも被っている。これが通常のガミロイドの仕様だ。一方で、指揮官としてのプログラミングをインストールされた特別仕様のガミロイドもおり、腕の部分に青い帯がペイントされているのが証であった。
  ガミロイド通信士の報告を受けた別のガミロイドが、後続部隊の到着時を計算すると、比率的には間に合わないことが明かされる。

「対〈やまと〉迎撃二間二合ウ確率、約44%。合流ハ不可能ト判断スル」
「了解。本艦隊ハ予定通リ、〈やまと〉ノ迎撃ヲ行ウ」

  艦橋内の中央に仁王立ちになるガミロイド指揮官が、解析担当のガミロイドの報告を受けて判断を下す。如何に勝率が低かろうとも、彼らロボットには何ら関係ない。



  そんなユークレシア星系へ向けて、最後のワープ航法を行おうとしているガミラス艦隊の姿があった。先のガミロイドの報告にあったガーデス少将指揮下の遊撃部隊であり、その陣容内容は次の通りだ。

ガーデス遊撃艦隊――
・戦艦
  旗艦ハイゼラード級高速戦艦〈ヴァーデス〉×1
・戦闘空母
  ゲルバデス級高速戦闘母艦×1
・巡洋戦艦
  メルトリア級高速巡洋戦艦×2
・巡洋艦
  デストリア級高速重巡洋艦×4
  ケルカピア級高速軽巡洋艦×6
・駆逐艦
  クリピテラ級高速駆逐艦×18

  ガーデス率いる戦力は32隻と小規模部隊だが、特筆すべきはその編成内容にある。遊撃部隊の殆どが足の速い快速艦や機関部を強化した大型艦を中心にした編成となっているのだ。
  例えばハイゼラード級高速戦艦は、本来のハイゼラード級よりもさらに機関部機能を強化された特殊仕様となっており、加速力・機動力・航行速度は前期型ガイデロール級はおろか基のハイゼラード級すら凌いでいるという、非常に高性能な艦であった。
  次にゲルバデス級高速戦闘母艦も、機関部の強化された速度に拘った特殊仕様だ。元々は、空母として足の速い戦闘艦として評価のあったゲルバデス級で、辺境警備艦隊や部隊監視の警務艦隊等に広く使われていた実績もある。無論、主力としても活用は可能であるが、戦艦と空母の双方の能力を与えられた反面、艦載機の搭載数の半端さ、戦艦と相対するには火力不足(ゲルバデス級は最大280o陽電子ビームカノン砲で、これは軽巡洋艦の主兵装または戦艦の副兵装に相当する。通常、戦艦または重巡洋艦は330oが主兵装である)が指摘された。大人しく空母部隊として使うか、版図内の監視や反旗を翻そうとする反乱分子制圧に用いられるかであった。
  その他、巡洋艦や駆逐艦といった中小艦艇でさえも、殆どが高速仕様に改良を施されているという贅沢ぶりだが、それだけに留まらず彼の部隊に配備されている輸送艦や、補給艦ら補助艦艇も高速仕様に改装されている。他の部隊からすればあまりに異質な部隊だが、それかでに艦隊全体でもって素早い移動が可能となっているのが大きな利点であった。
  これは、ガーデスの戦術的な思想を反映した結果でもあり、兎にも角にも速さによる打撃に拘った彼が、本国に機関強化申請を半ば無理矢理に通した成果でもある。
  またこうした高速仕様の艦艇であったが為に、ガーデス遊撃部隊は比較的短い時間で駆けつけられるが、それ以上に、時間を優先した少数精鋭による編成を選んだことも、ガーデスの軍人としての能力が高いことを裏付けている。
  旗艦ハイゼラード級〈ヴァーデス〉では、最後のワープに向けてガミラス兵達が慌ただしく準備に勤しんでいた。

「将軍、間もなくワープ体制が整います」
「モタモタするな。〈ヤマト〉が目的を果たして去ってしまうぞ」

  報告する兵士に対して、苛立ちを含ませながら急かす30代程のガミラス人男性。細身に体躯にニヒルを思わせる顔立ち、並びに金髪をオールバックに纏めつつ前髪が一房垂れている。加えて、細長い独特のサングラスを着用する。服装は、ドメルと同じ黒とモスグリーンに彩られたスーツ状の野戦服であった。違うとすれば、背中に黒のマントを着用している点にあったろう。
  彼が第11遊撃旅団司令官ネルス・ヴァ・ガーデス将軍(少将)である。戦術家としては名の上がる軍人である一方で、問題児として度々名の上がる人物でもあった。

「俺に指揮権を任せてみろ。こんな辺鄙な星など、1日で片付けてくれる」
「口減らずの輩が、何を偉そうにして俺に命令するか」
「実力もないくせに、俺が武勲を手にするのが余程に疎ましいと見える」
「あんな無能が上官とは信じられんな。俺の半分以下の能力しかないだろうが」

  ――と、何を置いても自分こそが有能であるとして悪態をつき、その度に同僚や上司の反感を買うのが常であった。
  実力者としては、確かに彼に並ぶ者は限られてくるのだが、他者を見下しては侮辱を投げつける態度の悪さが祟り、彼の望む昇進は反対方向へ遠のいていった。今や、そんな昇進などとは無縁な存在となりつつあったのだ。それが尚更、彼にとっては面白くないものであり、現在配属となっている星系もまた敵地とは遠いものとなっていた。指揮下の部隊も遊撃隊と大層な名前を賜ってこそいるが、事実上の厄介払いに他ならないと分かっていた。
  不貞腐れるガーデスは増々もって捻くれていき、不良軍人などと呼ばれる始末である。軍人としての能力は確かにあり、それはドメルと似たり寄ったりの部分があった。ガーデスの持ち味は上記したように、兎に角も艦隊の機動性にあるからだ。快速艦を中心とした編成を好んでおり、結果としては本国に要請したことが叶って通常の艦艇よりも機関出力を2〜3割増しに成功した。
  敵のウィークポイントへ的確に切り込んでは、見事に敵艦隊を瓦解の崖っぷちへと突き落としていったのである。その鮮やかさは、他の軍人には真似できない芸当で、別名“宇宙の発破屋”等と呼ばれることもある。爆薬で対象物を的確に破壊するのを比喩した表現だろう。
  そして、ガーデスが不貞腐れる理由のもう1つが、エルク・ドメルの存在だった。彼はドメルの武勲を妬む傾向が強く、勝手なライバル心を募らせていたのだ。性格的に問題の多いガーデスに比べて人間的にも出来ているドメルの方が人気は高まり、昇進の階段もトントンと進んでいった。
  自分よりも速い速度で昇進するドメルの姿を見ては、忌々し気に舌打ちして捨て台詞を吐いた。

「何が“宇宙の狼”だ。そのうち戦果も少ない“飢えた狼”になるだろうさ」

  だが、彼がそんな不貞腐れた態度を一変させたのが、ガミラス全土を震撼させたドメルの戦死であった。ガーデスの許へ報告しに来たのは彼の副官イナ・テイツ少佐であり、自室で不貞腐れたガーデスは副官の報告を鬱陶し気に聞き流そうとしたものだ。

「閣下。ドメル将軍のことで、ご報告が――」
「ドメルだと? あんな奴の武勲なぞ聞きたくもない」

  思い出したくもない名前を出され、不快な気分になったガーデスは、その不快さをワインと一緒に呑み流した。

「いえ、その……ドメル将軍が戦死なさいました」
「ふん、戦死か……戦死っ!?」

  ワインを飲み干したガーデスは、思わず“昇進”と聞き間違えたのだが、“戦死”と正しく聞き取った途端に、座っていた椅子から文字通り飛び上がった。その際にテーブルがガタンと大きく揺れて、置いていたワインが倒れる。中身がまだ半分も残っていたワインを気に留めることもなく、ガーデスは呆然となった。
  彼とて、ドメルを無能とは思っていなかっただけに、その事実はかなりの衝撃だったのだ。自分と同じ――いや、それ以上に機動戦術に長けただけでなく、緻密な情報分析にも長けていたドメルが、どんな敵に何をもって敗れ去ったというのか?

「馬鹿な、お高くついた成金どもならいざ知らず、あのドメルが負ける訳が……」

  嫌々ながらもドメルの実力を認めていただけに、信じ難い話だと思った。素直にライバルが戦死して有り難い、と思う程に彼も腐ってはいなかったのだ。ガーデスは信じ難い気持ちを抑えつつも、その副官にことの末端を報告させた。ドメルが挑んでなお危機を潜り抜けた〈ヤマト〉の名を知ったのは、この時だった。そして、〈ヤマト〉がドメルの綿密な計画を切り崩し、逆転勝利を飾ったことも知った。
  しかし、腑に落ちないこともあった。

「何故、掘削弾を時限式にした。そのまま爆破してしまえば良かろうものを……ドメルというのは、そこまで阿呆だったか」

  ドメルは、デスラー総統暗殺未遂の件で一時拘束され、戦力も多くがバラン星に切り離されていた。そこで、本星に残る寄せ集めの空母艦隊と、旗艦〈ドメラーズV世〉で迎え撃った。瞬間物質移送機の奇襲攻撃で〈ヤマト〉を追い詰めながら、何故、波動砲口に打ち込んだ掘削弾を爆破させなかったのか。みすみす、自分の手で勝利を逃してどうするのだ。
  その疑問に、テイツ少佐が答えた。

「それには、デスラー総統の特命が関係していたようです」
「特命?」
「はい。何でも、〈ヤマト〉艦内に捕らえられていた重要人物の救出が、関係していたようです」

  この特命と言うのが〈ヤマト〉に同乗していたイスカンダル人の奪取というものであった。そのターゲットは、イスカンダル星の王族である第三公女ユリーシャ・イスカンダルだった。波動機関の技術開発の支援を行う為、〈ヤマト〉が地球を出発する1年前に地球へ赴いて設計図を渡したのである。
  しかし、地球上で発生した不慮の事故、或は事件に巻き込まれてしまい植物人間状態になってしまったのだ。国連機関としては、これは大きなショックを受けた。イスカンダル星への道筋を知るのは、ユリーシャただ1人のみで、その道案内が頼めなくなってしまったのだ。
  そこで、国連は非人道的な手段として認知しながらも、ユリーシャを特殊な保管カプセルに安置しつつ、彼女の脳内から航路データを抽出するという方法で、〈ヤマト〉の航路を定めたのである。ところが、かの七色星団海戦における戦闘の最中、突如として意識を取り戻したのであった。しかし、彼女が目を覚ましたのは吉報で会った一方で、〈ヤマト〉のクルーとしては一大事が生じた。
  重要な話として知っておかねばならないのは、ユリーシャという人物は、〈ヤマト〉の主要幹部の1人と非常に酷似していたことである。よく注意深く見れば、その〈ヤマト〉クルーとの違いを瞳の色で見分けられるのだが、大抵の人間は錯覚してしまうのだ。それは、地球人も、ガミラス人らも同様だった。
  ここで問題である。このソックリな人物が艦内に居たことから、〈ヤマト〉艦内に潜入したガミラス軍の特殊部隊は、地球人の方を誤って奪取――もとい誘拐してしまったのだ。
  そうした勘違いによる誘拐の真意までは、ガーデスの知るところではなかった。まして、〈ヤマト〉にイスカンダル星の皇族が乗っていようとは、夢にも思わないことであろう。デスラーも、勿論のことユリーシャが未だに〈ヤマト〉へ乗っていようことは知っていたが、もはや彼女にこだわっている余裕などなかった。
  幸いなことに、スターシャ自身が〈ヤマト〉に妹が乗っているなど知りようも無かった。これも、ガミラスの徹底した情報統制の効果である。スターシャには悪いが、ユリーシャも犠牲になってもらうしかない。心を鬼にして、デスラーは黙認していたのだ。

「……ふん、なるほどな。ドメルも災難なことだ。それが無ければ〈ヤマト〉に勝てただろうにな」

  ライバル視していたドメルが、デスラーの特命によって足枷をされていた事実に多少の同情は覚えていた。軍人なら全力で戦って勝ちたいものだからだ。
  そして、ドメルの戦死は惜しいものだが、直ぐにガーデスの関心は〈ヤマト〉に向けられたのだ。彼を戦死させただけの驚異の実力を持つ戦艦に、興味を抱かざるを得ない。軍人として研ぎ澄まされた野生の勘が伝えていた。この戦艦は手強いが、打ち倒せればドメルを凌ぐことになると打算を立てたのである。

「フフッ……クククッ……こいつは、久々に出てきた獲物だな。狩りには打って付けの存在だぞ」

  そう言うと、彼は即座に動き出した。艦隊を出撃させる為に副官テイツ少佐へ命じたのである。

「これより、我が艦隊は〈ヤマト〉を撃沈する為に出撃態勢に入る。全艦は直ちに発進準備をしろ」
「しゅ、出撃命令は出ておりませんが……」

  突然の出撃命令に戸惑うテイツ少佐に対して、ガーデスは副官に向き直る。ズイっと距離を詰めてから、ドスを利かせた声で脅しにかかった。

「いいか、少佐。俺の艦隊をどう動かそうと俺の勝手だ。それとも何か、少佐は上官命令に背く気か?」
「い、いいえ、そのようなことは……」
「なら命令を伝達するんだな。俺に気が変わらぬうちに」

  機嫌を悪くすれば射殺するのではないかとさえ思うガーデスの様子に、テイツ少佐も下手に逆らえずに従う他なかった。テイツ少佐もまた有能な部類に入る軍人であり、作戦内容や艦隊編成等の調整を始めとして各下級指揮官らの纏め役も行うなど、サポート系としての能力を有する。彼は恐々としながらも命令に従い、艦隊の出撃準備を各指揮官へと伝達しつつも、肝心の編成について上官の意向を尋ねた。
  遊撃部隊として、ガーデスの手元に存在する戦力は旅団規模に該当する120隻余りで、主力部隊である機甲師団からすれば3分の1程度の規模でしかなかった。もっとも、戦況に応じて投入される小部隊であるが。
  そして、今回の緊急の出撃要請で即応できる艦艇数は決して多いとは言えなかった。特に大型艦の緊急出撃で即応可能だったのは、彼の旗艦であり座乗艦でもある〈ヴァーデス〉とゲルバデス級の2隻だけで、残るは中小艦艇という状況である。結果として、遊撃部隊は30余隻のみの出撃となったのだ。
  この出撃可能な小規模編成に対して、ガーデスの反応はテイツ少佐をして意外なものであった。

「閣下。現状でユークレシア星系へ派遣できる艦は、全体の4分の1に過ぎませんが……」
「構わん」
「? しかし、大半が駆逐艦でしかありません。〈ヤマト〉なる戦艦を仕留めるには、もう少し大型艦を入れるべきでは……」
「無意味だ。ドメルが〈ヤマト〉と一騎打ちしたようだが、あいつが乗っていたのはガミラスで最も高い戦闘力を持ったゼルグート級だぞ。それでさえ仕留めきれなかったとなれば、幾ら数を揃えても無駄ということだ」
「は、はぁ……」

  自信満々にして、大型艦の編入は考えずに出撃時間を短縮しやすい巡洋艦と駆逐艦を中心にした編成で出撃するとしたガーデス。確かに〈ヤマト〉を沈めるうえで、戦艦を数隻入れたくらいで仕留めきれるとは限らず、まして時間的制約が大きい今を鑑みれば致し方のないことでもあった。
  また、この度の出撃に際して、艦隊戦とは迂遠な代物が編入されることとなり、副官テイツ少佐を唖然とさせた。

「それとだ、確かこの補給基地には惑星間弾道弾があった筈だ。それを用意しろ」
「えぇっ!?」
「イチイチ驚かんと仕事も出来んのか、貴官は」
「いえ、わかりましたが……あれは、この星に5発しかありません」
「構わん。5発もあれば十分だ」

  この時、彼が何を考えて惑星間弾道弾を選んだのかは、テイツに分かりかねるものであった。あくまで惑星そのものを攻撃する為に使われる兵器である筈だ。それも大きさは尋常ではなく、全長だけで1qは軽くある超巨大ミサイルである。しかも対艦攻撃には到底向く代物ではないのは、ガーデスも知っている筈だ。その当人は、この惑星間弾道弾を〈ヤマト〉だけに使おうとは思ってはいなかった。
  惑星間弾道弾の目標は〈ヤマト〉が向かっている星でもあったのだ。この星がどういったものであるのかを、ガーデスは勿論のこと知っている。そして、その星には誰が住んでいるのかも知っていたのだ。故に彼は、素早い方程式を立てて計画を練った。〈ヤマト〉がサイレン星を目指すのは、サイレン星の何かを探る為だ――と察したのである。
  この読みは見事なまでに的中していた。彼の取ろうとしていた作戦は、デスラーにしてもまさに渡りに船と言えるものであったのだ。ガミラス星の情報を奪われることを恐れたデスラーが、最悪の場合はサイレン星を破壊しメラとジュラを抹殺することを望んでいたのを、彼は出撃後に知ったものである。

「ふん、総統も相当焦っている……か?」
「か、閣下」

  帝星司令部から命令を受けた時、彼は指揮席で不敵な笑みを口元に浮かべながらも冗談を飛ばした。それをテイツが気にかけたが、ガーデスの知るところではない。もしも、デスラー本人の前であれば処刑されたであろうが、生憎とデスラーは遥か離れた本国にある。それに自分の置かれた状況が気に食わないという不満もあるのだ。
  そして、駐留していた星系から離れたガーデス艦隊は、最速を持ってして宇宙を駆け抜けていき、ワープでユークレシア星系へと急行したのだった。ガーデスが目を付けた惑星間弾道弾は、ガーデス艦隊が出発するよりも早く発射されている。惑星間弾道弾は、超高速で宇宙を駆けるが、ワープ航法は有していない。しかも全長1qともなると艦艇で引っ張っていく訳にもいかないのだ。
  となれば、先に発射させてユークレシア星系へと到達させておくほかないのである。無論、誤って着弾させてはどうしようもない為、予めに航路をインプットさせておいて発射し、その航路通りに惑星間弾道弾を先発させたのだ。艦隊よりも先に飛んだ惑星間弾道弾は、航路通りに高速で飛翔し、燃料の節約の為に慣性航行で突き進み修正の為に再起動するの繰り返しであった。
  後発となったガーデス艦隊旗艦〈ヴァーデス〉では、指揮官席に脚を組んで座るガーデスの姿があった。しばしドメルの敗死について考え込んでいる。“宇宙の狼”等と称される程に卓越した手腕を持っていたドメル……彼が〈ヤマト〉に初めて挑んだ時には、自慢の第6空間機甲師団でとことん追い詰めたのは聞いていたが、その戦闘の代償は小さくはなかったのも知っていたのだ。
  辺境の戦艦であればものの数分も要らずに撃沈できたであろうに、この〈ヤマト〉は驚異的なタフネスと打撃力で第6空間機甲師団を迎え撃った。驚くべきことに350余隻あった第6空間機甲師団は、僅か10分から15分の間に10隻余りを失い、20隻余りが大破するなどの損害を負ったのである。
  当然だが〈ヤマト〉1隻を相手にして、この損害なのだ。またドメルの構築した重厚な布陣と、見事なまでの艦隊機動術で〈ヤマト〉の命中率を下げていてこれなのだから、ガーデスも舌を巻いてしまうのは無理もない。

「〈ヤマト〉侮りがたし」

  ――という程に、生前のドメルは〈ヤマト〉を強敵として認めていたくらいである。
  こうなっては、ガーデス自身が幾ら数を揃えようと無駄なことだろう。ドメルが行ったように、徹底した機動戦術で〈ヤマト〉の攻撃力を半減させ、効率的にダメージを与えるしかあるまい。もとよりガーデスの戦力は、師団規模よりも少ない旅団規模であり、なおかつ緊急に動員できたのは30余隻なのだ。損害覚悟とは言え、ドメルの第6空間機甲師団の受けた損害を考えると、ガーデスの艦隊程度では消し飛んでしまうことが考えられた。
  しかし、無いものねだりをしている暇があったら、どうやったら勝てるかを考えるべきなのだ。これもまた、ガーデスが単なる不良軍人等と徒名されるに留まらぬ、有能な軍人たる所以であった。

「奴らがサイレン星の秘密を知りたがっているのなら、こちらがその秘密を抑えてしまえばいい」
「それはつまり……先にサイレン星へ降りて、ジュラ様とメラ様を……」

  テイツ少佐は、言いかけて口を閉ざした。ガミラス内では、サイレン星に誰が住んでいるのかは周知の事実だ。だから秘密という秘密は無いのであるが、もしガミラスの情報が漏れるとなれば、それはまた別の問題だ。そこでガーデスが咄嗟に立てた有用な計画に対して、テイツ少佐も察したのである。ジュラとメラを人質に取ろうという魂胆なのだが、彼もいい気はしなかった。
  だが、デスラー本人が抹殺せよという命令まで発していることから、ガーデスには遠慮する気持ちは1rもありはしなかったのである。いや、総統の許可が無くともガーデスはやったに違いない。自分の功績を立てる為には何だって利用することも珍しくはない――以前の上官らも例外ではないのだ。
  ガーデスは、自身の背後に立つ副官が自分の作戦に対して複雑な表情を浮かべていることは、直接に顔を見ずとも分かっていた。

「総統が許可を出したのだ。我々が気にすることは一切ない。存分に昇進の糧として利用する……違うかな」
「……はい」
「将軍、全艦のワープ準備が整いました!」

  その時、ようやくにしてワープ準備が整った旨を受けた。待ちきれなかったとばかりに、ガーデスは口元を吊り上げる。
  同時にユークレシア星系守備艦隊からの一報が入ってきたが、その内容は容易に想像できた。

「戦闘を開始した模様!」
「ふん、奴が先に到着したか……まあいい。しばらくは、ガミロイド(木偶の坊)に任せておけばいいさ。それより、我が艦隊のワープ開け座標を定める。サイレン星衛星軌道上に再入力するのだ。予定通りなら、惑星間弾道弾も近辺で待機状態となってる筈だ」
「ザー・ベルグ!」

  予想通りに〈ヤマト〉が先に到着し、ユークレシア星系守備艦隊と交戦を開始した。恐らくは、全滅まで時間は掛かるまい――とガーデスは予想している。精々、足を引っ張って時間稼ぎをしてもらえれば良い。その間に、こちらはサイレン星を人質にとる準備を済ませておけば良いのだから。

「全艦、ワープ!」

  その一言を受け、ガーデス遊撃艦隊は最後のワープを敢行した。



〜CHAPTER・U〜



  ガーデス遊撃艦隊がワープを敢行する直前のことだった。ユークレシア星系第1惑星ことサイレン星の目と鼻の先で、一対多数という図での戦闘が勃発した。それは地球の戦艦〈ヤマト〉と、ユークレシア星系守備艦隊の戦闘だったが、その様子を中継映像で見守るジュラとメラの姿もあった。

「遂に来たわね、地球の艦……〈ヤマト〉が」
「お母様、大丈夫でしょうか」

  心配になったジュラが声を掛けてくる。その心配は、母メラと自分の安否は無論のこと、〈ヤマト〉のことも含まれていた。

「大丈夫よ、ジュラ。あの地球人は……〈ヤマト〉を導く指揮官は、何事にも屈しない、鋼の様な心でいるわ。勿論、クルーも皆が固い決意を持って此処まで来たのよ。そんな彼らが、機械兵ごときで挫ける様な人達でないのは、その意志の固さで分かるわ。だから、貴女もよく見ておきなさい……彼らの意志を」
「……はい」

  絶対の自信を瞳に映す母親の姿に、ジュラは小さく頷いて〈ヤマト〉の戦闘を見守ることにした。というよりも、それ以外にすべきことが無かったのだ。
  無かったのだが、実は気になることもあった。〈ヤマト〉艦内にいるクルーの、ほんの一部だけが違ったのである。つまりユリーシャの存在を知った訳だが、これにはメラも多少の驚きを禁じ得なかった。あのスターシャの妹であることは知っていたが、まさか〈ヤマト〉に居ようとは考えていなかったのだ。
  しかし、よくよく考えてみればイスカンダル星の座標を知らない地球人が、イスカンダル星へ直ぐに行ける訳がないのだ。その道案内役として、スターシャの妹であるユリーシャが派遣されたのだろう。

(ユリーシャ……相も変わらず、不思議な娘)

  直接の面識はあるが、それも数回程度だった。時折、ふらふらっと外遊を目的にガミラス星に赴いて来たもので、スターシャの代理として催しごとに顔出して来たのである。
  その際に、顔を合わしている。デスラーが心を寄せるスターシャの妹であるが、かといってユリーシャに悪気はない……が、かといって好意を持とうという気にもなれなかった。それもまた、自身の心の狭さであろうことは自覚していたが、ユリーシャのおっとりとした掴みどころのない性格に、メラは対応に苦慮した記憶がある。自身の嫉妬心を見透かされたかのような、しかし、悪気があってのことではない純粋な心で語り掛けるユリーシャは、楽しそうにメラとジュラに挨拶をして会話を交わしていた。

「また、お会いしましょう。今度は、私達でお茶でもしながらね?」
「え、えぇ……そうね」
「ジュラさんも、またね」
「はぃ……また」

  余りにも警戒心の無いユリーシャに、拍子抜けしてしまったこともあった。
  そんなユリーシャが、今や〈ヤマト〉にいる。精神感応波で知った時、ユリーシャも無論気付いた。以前と同じく、おっとりとした笑顔を向けて来た。自分が今どんな状況下に置かれているのか、知っているのか。
  しかし、ユリーシャは、精神世界の中でメラにこう語った。

「私は、スターシャ姉さまに代わり、地球人の意志を背負った〈ヤマト〉が、果たして手を差し伸べるに足る資格があるかを見定めます。それが、最悪の結末を迎えようとも……」
「本気で言っているの? 貴女は、下手をすればデスラーの手で殺されてしまうのよ」
「分っています。ガミラス星の命運を掛けているのですから、私ひとりのことで躊躇してはいられないでしょう」
「……そう。貴女も、ガミラス星のことは知っていたのね」

  ガミラス星の寿命については、ユリーシャにも分かっていた。そして、メラも、デスラーの心を読んでいて知ったものである。
  しかし、そんなことを口外すれば、間違いなく自身とジュラの身が危なくなるだろうと察して、決して口には出さなかった。結局、ユリーシャはユリーシャなりに死を覚悟しての旅の同行であることをメラに示し、メラもそれ以上の言葉を差し挟むことなく精神世界から立ち退いたのである。



  ユークレシア星系へワープで到着した〈ヤマト〉は、長距離レーダーで敵艦隊を捉えた。
  レーダー担当である金髪のロングヘアの若い女性士官――船務長森雪一等宙尉が、レーダーに映されるガミラス守備艦隊の規模や、その編成内容を報告する。因みに、彼女がユリーシャ・イスカンダルと間違われた女性士官である。七色星団海戦の最中、艦内を移動中に紛れ込んだガミラス特殊部隊に誘拐され、そのまま惑星レプタポーダへと移送された。
  だが、そこで生じた叛乱に乗じて脱出。後に降下してきた〈ヤマト〉に助けられるという幸運に恵まれたのであった。

「敵艦隊捕捉。第1惑星サイレン星、手前20万qの宙域に布陣。戦艦1、空母1、巡洋艦3、駆逐艦10、艦載機50、以上!」
「敵の守備部隊か。これまでの大艦隊と比べれば、少ないんだろうが」

  そう呟いたのは、やや浅黒い黒髪の青年士官で、彼が航海長島大介一等宙尉である。

「例の幻覚があることを考えれば、脅威となり得るが……」

  戦術長古代一尉が島に返す。確かに、〈ヤマト〉のクルーを襲った原因不明の幻覚作用の原因が、今目の前にあるサイレン星である以上は、戦闘中に不可解な幻覚を見せられて戦闘不能になる可能性もあった。現にしてガミラスの艦隊がいることを見れば、まずもってサイレン星がガミラスの領域内の星であることは一目瞭然であろう。なればこそ、この時をおいて幻覚を見せるチャンスはない筈だった。
  それが今にないということは、どういうことなのであろうか。ガミラスの基地であろうと予想していただけに、矛盾する現実に疑問が出てくる。
  だが、今は余計なことを考えている暇など有りはしないのだ。
  考えるよりも事態の解決を最優先にすべきとしたのは、艦長沖田十三宙将だった。

「我々に時間はない。迅速に決着を付ける必要がある」
「では、敵の中央を突破して――」

  そう発言したのは、砲雷長南部康雄二等宙尉だった。このまま一直線で突入し、旗艦と思しき戦艦と空母の2隻を沈めることで指揮系統を寸断する。頭を失えば、艦隊は統制を欠き、真面な動きも執れなくなるのではないか。そう判断した故であったものの、今回は事情が異なっていることを忘れていた。
  古代が、その異なる事情について指摘する。

「南部、我々は敵基地の真相を知る必要がある。しかし、敵残存艦を残せば、惑星に降下したところを上空から攻撃されてしまう」
「じゃ、じゃあ、波動砲で……」
「それも駄目だ」

  間髪入れずに否定したのは、技術長/副長真田志郎三等宙佐だった。柔軟な思考性には欠けるきらいがあるが、その豊富な科学知識は他者の追随を許さない。そんな彼が危惧したのは、〈ヤマト〉とガミラス艦隊、そしてサイレン星との位置関係にあった。

「今発射すれば、敵艦隊はおろか、サイレン星まで破壊しかねない。そうなっては元も子もない」
「そう言うことだ。ここは通常兵装で対応するしかない」
「……了解」

  何処か釈然としない南部だったが、直ぐに思考を切り替える。まず注意しなければならないのは、既に射出されている艦載機群の存在だった。〈ヤマト〉にも艦載機はあるが、先日の七色星団での戦闘で大きく損耗している。航空隊の練度はガミラス軍のパイロットよりかなりの熟練度を誇るとはいえども、これ以上の損耗はなるべく避けたい方針だった。何せ、イスカンダル星の傍に存在するガミラス星の事もあるからだ。
  この情報は、森雪が一時的に置かれた星でもある、惑星レプタポーダと呼ばれる収容所惑星で得たものだった。このレプタポーダは、星間戦争で捕虜にした敵国の将兵達を始め、大ガミラス帝星内部で暗躍していたデスラー政権に不満を持つ反乱分子、或は犯罪者、或はデスラー政権に楯突いた政治犯や貴族、軍将校等が収監されていた惑星である。
  また政治家や貴族、軍将校と言えど様々で、純粋に警鈴を鳴らした者がいれば、かつての貴族時代の到来を望む復古主義者たちもいた。比率的に言えば、後者の旧貴族社会の復興を望む者達の方がいまだに多かった。因みに、かのゼーリック国家元帥は、典型的な後者の思想に染まった人物である。
  色々な理由はあれば、レプタポーダに収監されていた面々だったが、あるとき現政権に不満を持つ反乱分子の内密な手引きにより、叛乱が勃発した。外部の反ガミラス派の手助けを受けて決起した、囚人達は、瞬く間に収容所を制圧していったのである。尤も、レプタポーダには機械兵ことガミロイドが大半で、真面な生身の兵士は全体の3割程度であった。
  そこへ〈ヤマト〉が補給資材などを求めて、たまたま通りかかったということになる。反ガミラス派は〈ヤマト〉を寧ろ歓迎し、出来る限りの施設と資材を提供してきたのだ。中でも対応に当たった初老のガミラス人は、まるで〈ヤマト〉を救世主の様に賛美していたほどであった。この老人は、見た目70代前半程で、カーキ色の詰襟型の制服と、黒いスラックス、ブーツを着用している。ガミラスで言うところの、文官僚の一部を示す制服だった。頭髪は一本もないスキンヘッドに、顎下に生え揃う短い髭、そして半分は下がっていそうな瞼。
  しかし、その眼は熱き意志が燃え盛っているようであった。

「儂はヤヴォイ・ドゥオーシと申す。デスラー体制を覆す、大きなきっかけをくれたテロンの偉大な船〈ヤマト〉には感謝しておる」

  老人――ドゥオーシは、熱に浮かされたかのように、熱心に語り掛けてくる。
  面談した沖田や、その場に同行した古代達は、老人に対して素直に言葉を受け取れる気にはなれなかった。無論、資材を分けてくれたりと全力で支援してくれたことには感謝の言葉が出なかった。しかし、この老人の背中には狂気が陰りを帯びているよう見え、直感的に危険な人物であることを感じ取ったのだ。そんな危険視されるとはつゆ知らず、老人は熱心に自分らの大義を説き、まるで納得してくれと言わんばかりであった。

「我々は、デスラーの悪しき体制から民衆を解放し、自治独立を成し遂げねばならん。名残惜しくはあるが、〈ヤマト〉と相まみえんことを……」

  自治独立を成し遂げるとは聞こえが良いのだが、果たして良い意味で解放されるのだろうか。疑問の多きところではあるが、沖田も深くは追求することを避けた。この場で相争っても、なんら良いことは無いからだ。
  また驚かされたのは、レプタポーダの航路データにあったイスカンダル星とガミラス星の所在である。これまで、これらの星の所在を知らなかったクルーは、双方が双子星と知って驚愕した。罠ではないかと疑ったが、捕虜の一部や反ガミラス派の者からはイスカンダルが神聖なる存在として崇められていることを知り、罠ではないことを確認した。
  残念ながらガミラス星の詳しいデータまでは得られなかったが、その所在を知れただけでも大きな収穫と言えた。そして、指導者アベルト・デスラーの名も知ったのだ。サイレン星も、この時得られた星系の航路データから判別できたのである。
  既に展開を終えていたユークレシア星系守備艦隊の艦載機群を効率的に排除する為には、艦載機隊だけではなく〈ヤマト〉の援護射撃も必須となる。

「敵艦載機の対処は航空隊に任せる。だが敵は恐らく本艦を集中的に狙うだろう」

  そこで、艦載機隊には先行させつつも、迎撃に出てくる敵艦載機隊対して、〈ヤマト〉の対空型三式弾を発射して先手を打つことになった。エネルギー兵器ではない実弾兵器なので、エネルギー切れを心配することはない。航空隊は、この三式弾で撃ち漏らした艦載機群を撃破するという算段だ。

「〈ヤマト〉は、このまま直進するが、射程に入る直前に2時方向へ転進、敵艦隊の左翼側へ回り込みつつ各個撃破する」
「了解。直ちに実行します」

  15隻程度の相手とは言えど、敵には戦艦が混じっていることを忘れてはいならない。油断は出来ない上に、なるべく波動防壁の消耗も避けておきたかった。そこで、ガミラス艦隊の左翼へ回り込む手段に出たのである。
  古代は戦術長としての責務を果たす為、航空隊の出撃命令と各兵装の指揮を取り持っている。南部は、古代の指示を受けて兵装をコントロールしていく。戦闘に先駆けて、まずは航空隊を出しておかねばならない。ガミラス艦隊の艦載機群は既に射出を終えている為か、直ぐに移動を開始していたのだ。
  艦内放送を通じて古代は極地戦闘機コスモファルコンの出撃を命じた。

「航空隊全機、直ちに発艦せよ」

  元々は、艦載機用として製造された訳ではないコスモファルコンは、極地戦闘機として開発・製造されたものであった。本来ならば、艦載機としての製造を予定されていた艦上戦闘機コスモゼロに譲るところであるが、如何せん、地球の疲弊した状況によって生産ラインに乗らなかったのである。
  現時点でコスモゼロは2機のみが搭載され、その内の1機は古代が使用する指揮官機であるが、もう1機は紅一点のパイロット山本玲の専用機だ。女性ながらも卓越したパイロットとして着目を浴びており、古代は山本からの申し入れによって船務科から戦術科航空隊へと転属を果たした経緯を持っていた。
  そして、コスモファルコンは七色星団での戦闘の損失によって、現在稼働可能な機は23機ばかりであった。これを全力投入するのだ。〈ヤマト〉独特の発艦システムは、艦尾下部のハッチから発艦する仕組みになっているが、1機づつがターレットで移動し、カタパルトで機尾側から射出される。全自動で射出される為に時間はそう長くは掛からず、ものの数分で全機が宇宙空間へと飛び出して行った。

「航空隊は、本艦の先制砲撃の後に敵艦載機を迎撃。しかる後に、敵艦隊右翼に攻撃を仕掛ける!」
『了解(ラジャー)!』

  航空隊隊長を任せられているのは、加藤三郎二等宙尉である。実家が寺をしていることから、集中する時にはお経を読む癖がある変わった人物であり、また直情型で言いたいことはキッパリ言う兄貴肌として慕われている。無論のこと、腕も超一流であり、七色星団でも数的不利にある中で奮迅して、〈ヤマト〉を護り続けた功労者の一人とも言えよう。
  艦尾下部の発艦ハッチより飛び出して行く航空隊は、全機が宇宙空間に飛び出した純から隊列を組んで、〈ヤマト〉の前方を飛翔する。
  やがて、〈ヤマト〉の主砲射程内にガミラスの艦載機隊を捉えた。間髪入れずに沖田が攻撃の許可を促した。

「砲撃始め!」
「撃ちぃー方、始めッ」

  古代が倣って砲撃命令を下した。瞬間、〈ヤマト〉艦前部にある48cmショックカノン砲塔×2基6門と、20pショックカノン砲塔×1基3門が、一斉に火を噴いた。9発の実弾こと三式弾は航空隊の脇を通り抜けて一気に飛んでいく。そして、ガミラス艦載機群の目と鼻の先に到達する瞬間に、辺り一面に巨大な爆炎と破片がばら撒かれた。細かい破片群が無数に飛び散ってガミラス艦載機群を襲ったのだ。
  戦艦ならまだしも、艦載機程度では破片を防ぐには厚みが足りなさ過ぎた。宇宙空間にばら蒔かれた多くの破片群は、そのままガミラス軍の艦載機に命中する。破片が命中した各機体は、次々と煙を吹いていきコントロール不能となって爆発していった。

「三式弾、命中」
「敵艦載機、19機の撃墜を確認」
『こちら航空隊長加藤、攻撃を確認した。これより仕掛ける!』

  加藤が素早く攻撃に移った。ガミロイドの乗る艦載機隊は、突然の破片群による攻撃を受けても動揺はしなかったが、回避判断によって編隊は大きく崩れた。隊列の乱れは攻撃のチャンスでもあるのを、加藤は見逃さなかったのだ。瞬く間に食らい付く航空隊を確認すると同時に、〈ヤマト〉自身も次の行動に出る。
  ガミラス守備艦隊との交戦可能距離まで40秒を切った時であった。

「有効射程まで、後30秒」
「島、右舷40度転進、最大戦速」
「右舷40度転進、ヨーソロ―!」

  沖田の指示で射程距離直前にて艦を反転させる島。加速を掛けながら緩やかに右へ針路を変針する〈ヤマト〉が目指すのは、ガミラス守備艦隊の左翼だ。〈ヤマト〉の突然の動きにガミラス守備艦隊も応じる動きを見せる。

「〈やまと〉増速、右舷ヘ転進シタ。此方ノ左翼外側ニ出ル模様」
「艦載機隊、損耗率32%。足止メヲ受ケテイル」
「有効射程マデ、18秒」

  〈ヤマト〉が右斜めにコースを逸らした行為を、ガミロイド側は自軍左翼をすり抜けて一気にサイレン星へと向かうのではないか――と判断した。
  ガミロイド指揮官は、艦隊を回頭させつつ〈ヤマト〉を側面並びに後背から襲い掛かろうと計算する。

「左翼ハ、左舷へ転進、〈やまと〉左側方ヲ攻撃。本隊ハ、左舷110度急速回頭、全速航行デ〈やまと〉ノ左斜メ前方ヘ出テ、頭ヲ抑エル。右翼ハ、全速航行ニテ反時計回リ二前進、迂回シテ〈やまと〉後背ヲ攻撃」

  指揮官としてプログラミングされているだけに、先を読んだ判断を瞬時に下して部隊を動かしていく姿は流石と言えよう。
  だが、〈ヤマト〉が交戦を避ける為に左舷をすり抜けようとしているのではなく、ガミラス守備艦隊を叩く為であることまでは考慮しえなかった。厳密にはそれも予測の範疇にあったのだが、可能性として交戦を避けるという予測を取ったのである。この為、回頭直後から僅か数分もしない内に守備艦隊には結果が凶と出た。
  左舷へ回頭したガミラス守備艦隊の左翼部隊は、猛然と〈ヤマト〉の左舷側へと襲い掛かる為に加速を始めていった。横列陣だった状態から一斉回頭した為に、不格好ながらも斜径陣の様な形を取る左翼部隊。
  そこへ、待っていたと言わんばかりに〈ヤマト〉の砲撃が襲い掛かったのだ。

「左舷9時方向より駆逐艦5、近づく」
「迎撃せよ」
「南部、主砲と副砲で手前の艦を狙え。残るは短魚雷で迎撃!」
「了解!」

  沖田の迎撃命令を受けて即座に判断した古代が、前部主砲と副砲で最前の艦艇群を狙いすまし、残りを左舷側の八連装短魚雷発射管で狙う。南部も素早く反応して諸元データを入力して砲塔を動かすと同時に、短魚雷発射管も次々とハッチを開放する。全ての狙いを定め終ると、南部が準備完了を報告する。

「諸元入力完了!」
「撃てぇ!」

  古代は間髪入れず発射命令を出す。〈ヤマト〉の48pショックカノン6発、20pショックカノン3発は、互いにビームを手繰り寄せるように螺旋を描き、やがて太いビームと化すと、手前3隻のクリピテラ級駆逐艦へ直進していく。
  真っ向から突っ込んでいったクリピテラ級駆逐艦3隻のうち、先頭の艦が鼻先からショックカノンにより貫通され、あっという間に爆炎に身を沈めた。先頭から2番目の艦は回避が間に合わず、艦尾右舷を斜め前方から撃ち抜かれてしまう形となり、機関が破壊され操艦不能となってしまう。3番目は辛うじて回避行動が間に合ったものの、突撃コースを逸脱してしまったばかりか操艦不能となった2番目が割り込んでの衝突事故という結果を招いた。
  残り2隻は、僚艦の爆炎を回避しつつ果敢に〈ヤマト〉へ攻め込んでいく。そして、艦首の魚雷発射管4門を開くと一斉に空間魚雷を発射した。計8発の空間魚雷が〈ヤマト〉に食らい付こうするが、それを待ち構えていたかのように〈ヤマト〉も短魚雷を発射する。

「9時方向より敵魚雷接近、数8!」
「短魚雷発射!」

  八連装短魚雷発射管から連続的に空間魚雷が発射されると、各目標の敵魚雷へと疾走する。8発中6発は迎撃に成功するが、残り2発が掻い潜て迫って来た。それを迎撃する最後の砦が、〈ヤマト〉両舷に備え付けられている多量の機銃群だ。機銃というよりは高射砲クラスの口径だが、それらが任意に敵魚雷を狙って赤いパルス状のレーザーを連続的にばら蒔いていき、着弾する前に辛うじて魚雷を撃ち落した。
  さらに報復として、後部甲板の第3主砲と第2副砲の射角に入った敵駆逐艦へ向けてショックカノンを放った。今度は外れることなく尽くが命中し、廃艦寸前のクリピテラ級駆逐艦2隻を紙の様に引き千切って一瞬でデブリへと姿を変えたのである。
  左翼部隊が時間を置かずに撃滅された時には、本隊は回頭を終えて〈ヤマト〉左前方へ並走する形で頭を抑えに掛かっていた。

「戦艦、空母を含む敵艦5、本艦針路上に回り込む。さらに6時方向より駆逐艦5、急速接近中!」

  片や右翼部隊のクリピテラ級駆逐艦5隻は、高速で迂回して〈ヤマト〉左後方から襲い掛かろうとしている。上手くいけば、〈ヤマト〉を前方と後方より挟撃できよう――上手く、行けばであるが。
  旗艦〈B−01〉では、挟撃態勢が整ったことを確認したガミロイド指揮官が、まさに攻撃を仕掛けようとしていた。

「〈やまと〉針路ノ前方ヘ出ル」
「駆逐戦隊、〈やまと〉後方ヘ回リ込ム」
「砲撃ヲ開始セヨ」

  ガイデロール級戦艦の主兵装である、前部と艦底にある330o三連装陽電子ビーム砲塔×3基9門が右舷を向き、一斉に赤色の陽電子ビームを発射する。続いてデストリア級重巡洋艦2隻も、向けられる砲門――330o陽電子ビーム砲塔×3基9門を〈ヤマト〉に向けて発射した。ガイペロン級空母のみは、搭載している133o陽電子カノン砲塔が射角に収まらない為、旗艦と同行しつつも待機状態となっていた。
  狙いをすました本隊側の砲撃は、〈ヤマト〉へ吸い込まれていき、そして命中打を出したのだ。
  しかし、それではダメージを与えるまでには届かない。〈ヤマト〉の強固な防御機構こと波動防壁が、ガミラスの陽電子ビームを弾いていたのだ。浮沈たる所以はこの波動防壁にあったが、永久的に稼働できるものではない。最大で20分までしか稼働できず、まして加圧され過ぎると消費が増してしまい、挙句には予定時間よりも早い内に波動防壁が切れてしまうこともあるのだ。
  加えて後部から迫る右翼部隊からも砲撃と魚雷が放たれるが、それも長くは続かなかった。

「〈やまと〉ノ艦載機、駆逐戦隊ヘ攻撃ヲ仕掛ケル」

  航空隊がガミラス艦載機群の殲滅に成功し、急ぎ反転して右翼部隊に攻撃を仕掛けて来たのである。〈ヤマト〉の後背から追いすがるように、ビームと魚雷を発射する右翼部隊――もとい駆逐戦隊であったが、突然の横槍によって攻撃リズムに乱れが生じた。
  加藤隊長は先陣を切って突入し、最後尾のクリピテラ級に対して狙いを済ませる。右側背かつ下方側から仕掛け、目標の照準をロックさせた。

「喰らえ、ガミ公!」

  トリガーの発射ボタンが押され、コスモファルコンに残されるミサイルが機体下部から飛び出し、目標のクリピテラ級へと突き進んだ。丁度死角となる角度からの攻撃に対処できず、2発のミサイルが迷うことなく艦尾右舷側に着弾する。弾薬が炸裂し、激しい爆炎が艦尾一帯を包んだ。機関部を破壊された最後尾のクリピテラ級は、操舵不能となり煙を吹きながらあっという間に隊列から落伍していった。
  さらに1隻が艦尾上甲板にあるミサイル発射機に着弾を許してしまう。発射機に温存されていたミサイルが誘爆し、上甲板で激しい閃光と衝撃が広がった。
  航空隊の高い練度によって次々と隊列から脱落し、あるいは誘爆を防げずに爆沈する。

「我ガ戦隊ノ被害拡大。駆逐艦撃沈1、大破1、中破1」

  また駆逐戦隊は後方からの攻撃に晒されるだけでなく、〈ヤマト〉の第3主砲と第2副砲の的になっていた。

「6時方向、敵駆逐艦5接近中」
「照準よし」
「撃てぇ!」

  追いかけていたクリピテラ級が、真っ向からショックカノンを浴びた。距離が幾分か近かったこともあり、ショックカノンは互いに引かれあう前の状態で、クリピテラ級の艦首先端と左舷、艦橋基部に3発を食らい轟沈していく。
  20pショックカノンが、後続のクリピテラ級1隻の左舷を掠め、装甲板を一文字に抉っていた。ナイフで引き裂かれたかのような傷口から煙を吹く。
  元右翼部隊だった駆逐戦隊が戦力としての機能を失う中で、本隊は変わらず〈ヤマト〉の針路を塞ぐように航行しつつ砲撃を続けているが、本隊もまた無傷ではなかった。先行していたケルカピア級軽巡洋艦1隻が、〈ヤマト〉の砲撃を避け切ることが出来ずに直撃を受けてしまい、あっけなく撃沈していったのである。
  それでも前進を止めない本隊であったが、ガミロイド達は新たな行動に移ろうとしている。

「〈やまと〉、以前トシテ針路ヲ変エズ」
「攻撃ヲ続行。最終攻撃ノおぷしょん指示」
「了解。最終攻撃、伝達」

  残り戦艦1、空母1、重巡洋艦2のみとなった本隊。ガミロイドに感情は無く、あるのは〈ヤマト〉を撃破せよとの指令に忠実に従うのみ――撤退という選択すら、彼らアンドロイドには無いのだった。本隊は、それまで〈ヤマト〉の針路を塞ぐような恰好だったが、突然として針路を変えた。時計回りに迂回していきながら、〈ヤマト〉に向かい始める。重々しく旋回を始めるガミラスの老朽艦船群。
  この突拍子な行動によって、砲撃直前だった〈ヤマト〉の主砲は座標を狂わされてしまい、狙いを外してしまった。
  南部は思わず愚痴をこぼす。

「外した」
「敵艦回頭、この動きは……!」

  森がガミラス艦隊の動きにある可能性を見出した。
  そして、彼女が口に出すよりも早く沖田がそれに気づいていた。

「彼らは特攻するつもりだ」
「と、特攻!?」

  沖田の発言に驚いたのは、航海科所属の太田健二郎三等宙尉だった。皆も同じく驚愕の表情を浮かべていが、いつまでも驚きに支配される訳にはいかない。突撃してくるのであれば迎撃するのは当然だが、何せ相手は〈ヤマト〉と同等、或はそれ以上の艦体規模を持つ戦艦と空母が含まれている。主砲で完全破壊するのは難しい上に、特攻覚悟なら損害など無視してくるのは目に見える。

「敵艦の回頭速度から、12時40分より突入コースに入る! 衝突まで、約30秒」

  森船務長が突入コースを予想する。時計回りに迂回した結果、残存艦艇群は〈ヤマト〉の右舷艦首側に出る形となった。このままで、艦首右舷に特攻を許すだろう。
  これに対してどうすればよいか……考えたうえで、沖田は咄嗟の命令を下す。

「島。針路を左舷へ20度変針! 合図を送り次第、減速しつつ右舷へ急速回頭」
「りょ……了解!」
「古代。第1、第2主砲、第1副砲は、特攻する敵艦に砲撃を集中。残る後部砲塔は、左舷8時方向へ向け、別命あるまで待機!」
「了解!」

  〈ヤマト〉前部の砲門が、特攻を試みる敵艦隊を狙う為に動き出す。
  一方で、後部砲門は左斜め後方を向いて何もない空間を睨みながら待機する。特攻を許せば〈ヤマト〉と言えど大破は免れない処か、撃沈も考えられる最悪の事態だ。一瞬の判断が命とりとなることを、誰しもが自覚していた。
  そして、激闘を繰り広げる模様を、密かに眺めやる艦隊に、まだ誰も気付いていなかった――。




※主要登場人物


名前:ネルス・ヴァ・ガーデス
年齢:36歳
肩書:第11遊撃旅団司令
階級:少将
詳細――
  不良軍人とあだ名される艦隊司令官。ヘアバンドの様な細長いサングラスと、金髪を後頭部で一纏めにし、前髪は一房だけ垂れ下がるなど、ニヒルな印象を与える軍人。
  機動戦術を大の得意とし、敵の戦線を切り崩す名人。その為、別名“宇宙の発破屋”の異名を持つ。
補足――
  WS版『宇宙戦艦ヤマト』のみ登場したオリジナルキャラクター『バガデス』の流用。
  ドメルに対抗意識を持った問題児で、デスラーにも反抗の意思を見せるなど、度胸とプライドの高い軍人。
  本二次創作ではオリジナルの名前の雰囲気を残しつつ改名。


名前:イナ・テイツ
年齢:31歳
肩書:副官
階級:少佐
詳細――
  ガーデスの副官。ガーデスの思考に付いていけず気苦労も数知れない。


名前:沖田十三
年齢:57歳
肩書:〈ヤマト〉艦長
階級:宙将
詳細――
  地球の命運を背負った老練な軍人。地球でガミラスを相手に戦い、火星沖で勝利に導いた英雄と讃えられる。
  遊星爆弾症候群という病を患うも、鋼の意思でイスカンダルへの航海を成し遂げんとする。


名前:島大介
年齢:20歳
肩書:〈ヤマト〉航海長
階級:一尉
詳細――
  〈ヤマト〉の操舵を預かる青年士官。経験が少ないながらも卓越した技術力で〈ヤマト〉を操る。


名前:森雪
年齢:19歳
肩書:〈ヤマト〉船務長
階級:一尉
詳細――
  〈ヤマト〉の眼と耳を担当する若き女性士官。イスカンダル人に似ていたことから間違われて拉致された経験がある。


名前:南部康雄
年齢:21歳
肩書:〈ヤマト〉砲雷長
階級:二尉
詳細――
  砲雷撃戦において古代戦術長をサポートする青年士官。砲術の腕はピカ一で、大艦巨砲主義者の気がある。


名前:太田健二郎
年齢:21歳
肩書:〈ヤマト〉気象長
階級:三尉
詳細――
  航海科で島航海長を航路の面でサポートする青年士官。



・2020年12月23日:誤字修正、並びに文末に登場人物紹介を追加しました。



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