注意 この作品は雪夜のナデシコ長編小説

『永久の誓い、永遠のパートナー』

の、最初のほう(プロローグと1話)を見てから

ご覧になられると、より一層楽しめるかもしれません。

というかご覧になってない場合は楽しめない可能性すらありますが(笑)あしからず。

―――しかし、それでも楽しめない場合の保障は出来ません(汗)


あと、完全に『外伝』です『外伝』。

本編とは係わり合いの無い話ですので、ご了承を。



























コックピット内、いま1人の男が、その人生に幕を閉じようとしていた。

冷たくなったルリを抱きしめ、消滅のためだけのランダムジャンプ。


「…………ジャンプ」


走馬灯のように流れていく思い出―――

それは、あの懐かしい、忘れえぬ思い出。


初代ナデシコ……そして幼きルリとの思い出……

そして、全てが虹色の光に飲み込まれて、消えた―――。




























毎日変わることなく降り注ぐ人口の太陽光、そして人工の緑の草。

その草原を歩く1人の少女、ここはネルガル重工の研究所……

精神安定のための、造られた人工草原。

『精神安定のための休憩時間』を与えられていたたが

特にしたいこともなく、疲れているわけでもないので、普段から人気の少ない

この人工草原に、少女が足を運ぶことはさして珍しくもないことであった。

いつものように自分のスペースとして使っている場所へ向かう、

特に意識したこともないが、最初に来た時に座った場所は、少女的には自分のスペースとして

数少ない『自分だけの場所』という認識があったのかもしれない、とにかくそこへ向かって少女は歩いていた。

もう少しでそこへたどり着く、いつも変わりない自分だけの居場所―――


「……うん」


そこはいつもどおり誰も居ない、いつもの静けさが占める、少女の場所であった。












機動戦艦ナデシコ

〜永久の誓い、永遠のパートナー〜


〜外伝 ラピスさまが見てる?〜











「……ぅ……っ!……いっつ……」


身体中に走る軽い鈍痛に意識が覚醒していく……どこかに強く打ちつけたような痛み


(鈍痛……? 馬鹿な、俺の痛覚など、もうほとんど……)


衝撃を受けて、脳が痛いと思っているだけの、ただの錯覚にすぎない。

……だがそれもずいぶん懐かしい事のように思う。


次第に覚醒していく意識、現状を把握するため、バイザー越しに手を見つめ―――


「…………ない……のに……見える!?」


常に目に着けていた愛用のバイザーがない、それなのに彼の目は通常にその機能を働かせていた。


「どういうことだ……それにここは…………ルリは……?」


周囲を見渡してみても乗っていたはずのサレナも、この胸に抱いていたはずのルリの姿もどこにもなく

辺りにあるのは、昼間の太陽の日差しと、壊れかけたビルと道路。


「何故、未だに修復のされていない町が…………それに」


自分の着ていた服が違うのが気になった、普通のジーパンにティーシャツ

その上にコートっぽいのを着ているようだ


「何者かに着替えさせられたのか……?ならばそいつらはどこに……」


思考を巡らせてはみたが、全くわからない。


「ともかく現状把握をしなければ……」


そう自分に言い聞かせるように呟くと、すっぱり頭を切り替えて行動に出る。

道路の端に転がっている自転車を発見した、どこかの食飯店の出前用の自転車のようだ


「レストラン『こうずき』……か」

「まぁ、徒歩よりはましか……移動手段に使わせてもらおう」


持ち主らしき人物が辺りに居ないようなのでとりあえず拝借することにする。


「とりあえず情報収集か……」


勢い良く自転車を走らせた。






―――10分後。


「はぁっ……はぁっ……」


ようやく人が住める程度に復興したといった感じのところまで着いた……が


「はぁっ……くっ……なんで、こんな程度で……疲れる……んだ……?」


普段なら自転車程度、3時間全力でこいだところでほとんど疲れることなどなかったのだが……


「はぁ……はぁ……ふぅ……」


とにかく自転車を降りて情報収集を始めることにする……あまり目立つのはよくないが

そこいらの一般市民が俺の……<Prince Of Darkness>の素顔を知っているとは考えにくい

それに服装もいつもの真っ黒でなく、ごく普通の物なため、安心していたのだが……


「あら、アキトさんじゃない、アキトさん出前もやってたの?」

「なっ!?」


唐突に声をかけられてその目論見はあっさりと破られた

その声の主は―――。


「どうしたの……って服ぼろぼろじゃない……どこかで転んだの?」


心配そうな顔でこちらに近づいてくる……どうみてもそこらの女子学生。


「…………誰だ?俺を知っているのか?」


見覚えのない、普通の女子学生に名前を呼ばれたことで警戒しながら聞き返す。


「え……何言ってるのよ、ミカよ、昨日もお店で会ったじゃないの……ってなんかアキトさん雰囲気変わってない??」


「店……?なんのことを……」


覚えの無いことを言い出す少女に気おされつつ


(人違いか?)


とも思ったが名前を呼ばれたこともあり余計に意味がわからなくなる。


「忘れちゃったの……?ま、まさか……!記憶喪失とか!?」

「は……?お、おい、何を……」


「大変っ!!とにかくこうずきに戻りましょう!怪我してるみたいだし、でも混乱してるだけかも!!?」

「ちょ……混乱してるのはアンタで……ちょ、待っ……」


目の前で大混乱を起こす少女に腕を掴まれたまま引きづられるように連れていかれる

振りほどこうと抵抗してみたが、少女の腕をどうしても振りほどくことが出来ない。


(な……なんなんだ!?力が出ない……まったく力が入らないぞ!?)


結局、そのまま引きづられるように5分ほど走ることとなった。






「着いたわ、ここがあなたの働いてた店、こうずきよ!」

「はぁ、ふぅ、はぁ……な……なんなん、だよ……」


目の前にの店には『レストラン こうずき』と書いてある看板。


「ちょっと待っててね、すぐ呼んでくるから!」


そう言うと少女は店の中に駆け込んで行った、その隙に逃げようと思ったが……


「はぁ……はぁ……つ……つかれた……」


自転車の全力疾走の後で走ったことで、足に疲れがきていて、まともに動けずにいた。

しかたなくその場で休んでいると……


「アキトちゃん!!どうしたの!!?怪我したって……!やっぱり出前なんて断ればよかったのに!!」


「どわっ!?なっ……や、やめ……あうあうあう」


ものすごい勢いで店から出てきた女性に、肩をがくがくと揺すられる。


「アキトちゃん!?しっかり!!」


なおも揺さぶり続ける女性、アキトの意識は落ちる寸前である。


「ちょ……サチコさん、落ち着いてっ!!」


後から店を出た先ほどの少女がサチコと呼ばれた女性を止めたことで

アキトの意識はぎりぎりのところで保たれた。


「サチコさん!アキトさんが出前の途中で事故にあって……その……記憶喪失、みたいなの……」


妙に暗い感じでサチコに説明しだしたミカ、違うと反論したかったが

さきほどの揺さぶりのダメージがぬけず、その場でぐったりしていた。


「そんな……と、とにかく、アキトちゃんを家まで運びましょう、こんなに疲れきって……」


それはあんたのせいだ……と思ったが、口を開くことはできずに

2人に両側から抱えられるようにして運ばれていった。



「うわっ軽いわねぇ……サチコさん、アキトさんにちゃんと食べさせてるの?」

「何言ってるのよ!たとえ私と父さんの分を無くしてでもアキトちゃんの分は用意するわよ!」


『アキト』を気遣う2人の会話……もし『アキト』違いがばれたら殺されるかもな……と思った。





「で……アキトちゃん……自分の名前はわかる?」

「だから、俺はテンカワアキトで……あなたの知ってるアキトとは人違いだと……」


2人に無理やり布団に寝かされた俺は、いま2人による尋問(?)を受けていた。


「そう……アキトちゃん、名前以外の記憶がないのね……」

「そうみたいね……なんか言葉遣いも男っぽいし……雰囲気も少し……」

「うーん……?」


なんでだろうか、いまいち会話がかみ合わないな、とりあえず質問を変えることにしよう。


「……ところで、いまは何日なんだ?」

「え?」


とにかく、服装が違うことから何日か監禁されていた可能性がある……もしかしたら

ルリもその何者かに連れ去られたのかもしれない……もしも彼女の死を冒涜したやつがいたならば……!


「いま? 今日は5月3日よ?」

「え……」


俺がジャンプしたのは3月のはずだ……だとしたら2ヶ月も空白がある事になる。


「いまは西暦2196年、5月3日よ……アキトちゃん、日付も忘れてしまうなんて……」

「へ……?」

「ん?どうかしたの?アキトちゃん」

「い、いまなんて……いまは何年だって?」

「西暦2196年、それにいまは木星トカゲとかゆーのが外で暴れまわってるから

いくらめったに市街地に被害が来ないからって……やっぱり出前なんて断ればよかったわ、ごめんね、アキトちゃん……」


沈んだ表情でサチコが言うが……それどころではない!


(西暦2196年!?ナデシコ出航の約半年前!?……じゃあ、俺は……)



  ――――時をさかのぼったとでもいうのか?―――



だとしたらこの身体は……昔の俺の身体なのか?


だが、何かが違う……違和感がある、そもそもこの時期の俺はあちこちでバイトをしていて……

この2人が言う話では俺はもう結構長い間ここ『こうずき』にいるようだが……

どういうことなんだ?


「どうかしたの?アキトちゃん?なにか思い出せそう?」

「いや……なんでもないよ、ちょっと考え事をしてただけだ」


思考を巡らせていたら、サチコさんが心配そうに尋ねてきた、

少なくとも『ここでの俺』はここでそれなりの人間関係を築いていたようだ、

記憶喪失ということになっているとはいえ、それなりの態度で接しておいたほうがいいだろうか。


「もうっさっきからアキトちゃんったら……そんな男の人みたいな喋り方しちゃだめよ!」

「え、ああ…………は?」


「そうそう、アキトさんは前は可憐なイメージで通ってたんだから、ギャップが凄いよね」

「は……?か、可憐……?」

「そうそう、アキトちゃんは可愛い女の子だからねぇ〜♪野獣共の対応が大変だったのよ?」

「…………女……?俺が……?」


あまりのセリフに呆然とする。


「う……嘘だろぉ!?」


俺は真相を確かめるべく上着を脱ぎ……


「…………い”っ!?」


……そこにはやや控えめな……でも確かに無いはずの胸の主張が……



「きゃっ♪アキトちゃんったら……こんなところで脱いだりなんかして……」


といいつつ、目隠しした指の間からの視線が危険な感じのサチコさん。


「アキトさんって……綺麗ねぇ……」


何故か頬を赤らめてぼーっとするミカ……。



俺は……その体勢のまま、ショックで気を失っていた。


















後書き



よくわかりません(笑)

スールとか妹制度とか、そんなの知りません(笑)



ギャグです、ギャグだから許されるんです

そうですよね……?鳩さま!?(爆)

ちなみに黒い鳩さまに許可を頂いた上でいくつかの設定を

使用させていただいております、多謝☆



っていうか本編ほっぽらかして何やってんでしょうかね……(死)



折沢崎 椎名さんに代理感想を書いていただくことになりました♪



えっと、代理感想担当の折沢崎 椎名です。
メッセで会話していたら、いつの間にかというか、その場のノリで書くことになりました。

…………いいのかな、コレで(汗


では、まず最初に一言。

続き物かよっ!?

いや、外伝としか聞いてなかったので…。
っつーか、「ラピス様が見てる」というタイトルで何も考えずに頷い……ん?


ラピスはどこいったっ!?


…看板に偽りありですな。ラピスを騙った罪は重い。後で死なす。



で。
なんというか、こっから雪夜様が何をするのかが楽しみというか。
最近チャットで揉まれている彼のこと、いきなり「こうずき」が爆発炎上するぐらいはやってくれると信じています。

うみ、文章とかは読みやすいので、期待。

ただ、一つだけ言わせてくれ。


――――いきなり脱ぐのはマズいだろ、アキトちゃん。
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