こんにちわ、ホシノ・ルリです

アキトさんが北辰と決着をつけてユリカさんを助け出してから半年が経ちました…

なのにアキトさんたら「火星の後継者の残党を残してはおけない」とか言っちゃって

いまだに残党を狩り続けてます・・・

いつになったら『私のところに』帰ってきてくれるのでしょうか・・・

はぁ…でも私、待ちます、だってアキトさんは『私の』大切な人だから・・・

・・・きゃっ☆私ったら♪恥ずかしいです☆






「サブロータさん…また艦長が変になっちゃいましたよぉ〜」

「あぁ…最近多いな…やっぱアレかね?例の黒の王子のことか?」

「そんなぁ〜〜〜かんちょぉ〜〜〜(涙)」


オペレーターのハーリーことマキバ・ハリとパイロットのサブロウタは

艦長席でなにやらくねくねし始めたルリに出来るだけ関わらないよう端のほうでひそひそと話し合っていた…

『この状態のルリに関わってはいけない』というのが最近のナデシコCでの暗黙のルールであった

なにしろ関わったが最後、ルリによるアキトの自慢話(?)が延々と続くのである。

誰も途中で口を挟むようなことは出来ないほどだ、過去に幾度かハーリーが口を挟んだことがあったがその度に

「ハーリーくん、うるさいです」
と殺気を込めた冷たいセリフで沈められてしまった

半年前のルリでは考えられなかったことだが、最近ではもう「いつものこと」になってしまったナデシコCの日常風景であった。












クリスマス企画

「機動戦艦ナデシコ・戦場のメリークリスマス」









「休暇・・・ですか?」

ルリはいま統合軍総司令室にてカイゼル髭の司令と向き合っていた

なにやら特別な任務があるとのことで来たのだが・・・

対するはミスマル・コウイチロウ、ルリの義理の祖父である、もっともコウイチロウ的には義父だが・・・

「そうだ、3日後、せっかくのクリスマスだ…本当なら私もルリ君と家族団らんといきたいのだが…」

統合軍の司令ともなると、クリスマスとて休む暇などないのである。

本来ならルリも休暇など取っておらず、パトロール勤務のはずだが・・・

「それにミナト君からルリ君を呼んでくれるように頼まれてな…」

「はぁ・・・ミナトさんの家でパーティーですか?」

なんとなく腑に落ちないが、とりあえず承知する方面で答える

「そのようだな、すまないなルリ君・・・私もぜひ参加したかったよ・・・!!」

滝のような涙を流し、用件を暑く…もとい熱く語る義祖父

「はぁ・・・残念ですね・・・おじさま」

ついつい釣られて義祖父として接してしまった、すごい誘導尋問だと思う(汗)

正直テンションの高さについていけない、というのが昔からのルリの印象である

「わかりました、では25日は休暇を取らせていただきます」

最後くらいは無表情に・・・総司令に対する態度で対応する

「うむッッ!!楽しんできてくれたまえ!!!」

最後に軽く礼をして滝のような涙を流し続けている司令室を後にした








「クリスマスパーティー…か、久しぶり…」

ナデシコCでの業務を終えたあと、自室へ戻った私はシャワーを浴びて

1つだけ深くため息を吐くとベットへ倒れこむ、疲れているわけではない

ただ何もする気が起きなかった…そしてまぶたを閉じ、沈むように眠りに付く

思い出す、アキトとユリカと暮らしていた時のクリスマス・・・

ルリの感情が表に出るようになってきていた2年目…

アキトに対してほんの少しだけ、気持ちが揺れたクリスマスの夜のこと・・・










「「メリークリスマス!」」「メ…メリークリスマス…」

アキトとユリカが大きな声で掛け声を合わせ、それにルリが小さく続く

ルリにあわせ、3人でシャンパンで乾杯し、アキトの作った料理を食べる

裕福ではなかった、むしろ貧乏だったが、この日は割りと豪華な食材がテーブルに並んでいた。

「アキト〜、おいしいね、どうしたの?この七面鳥」

「あぁ、今日の食材はミスマルのおじさんが送ってくれたんだよ、ユリカとルリちゃんにって(泣)」

「そうなんですか、おいしいですね」

「そうなんだ〜、ありがとう、お父さま!!♪♪ほらっアキトも遠慮しないで」

「あぁ、おじさんには悪いけど、残るのもあれだし、せっかく上手く作れてるから俺も食べるよ(汗)」

「うんうん、もったいないよ」

ルリは言葉には出さず同意し、ミスマル司令に感謝つつも

本気ではないにしろアキトさんに対する意地悪な態度になんとなく腹を立てた

・・・この時の私はまだその気持ちがなんなのか、よくわからなかったけれど。






「いや、それにしても助かったよ、今夜の食費足りないかと・・・あ」

「もぐもぐ・・・ん?どうかしたの?」

「い…いや、なんでもない、それよりまだいっぱいあるからな、どんどん食おう」

慌てた様子でそういうと、料理を取りに台所に行ってしまう。

「・・・?」

なんとなく不審に思ったが、特に追求することもなく、食事は終わった。

食後にお茶を飲んでいると、ミスマル司令からユリカさんと私に

妙に大きいサイズのクリスマスプレゼントらしき箱が届いた

ユリカさんがこの歳でクリスマスプレゼントをもらって喜んでいたのはどうかと思ったが

せっかくなので私も素直に箱を開けてみる。

・・・中には巨大な猫のぬいぐるみが入ってました、ユリカさんのほうはウサギです…

等身大ほどある熊のぬいぐるみと同じサイズのウサギのぬいぐるみ、どうも特注っぽいです

こんなサイズの大きさのぬいぐるみはそうそう売ってないはずですし・・・

「・・・(汗)」

「うわぁ〜♪お父さま…ありがとう☆」

ちょっと引き気味の私とは対照的に無邪気に喜ぶユリカさん、

なんだかなぁ・・・と思いながらも、箱に詰めなおして、部屋の隅に置く。

(金銭的価値があるかもしれないのでピンチの時に使わせていただきます、司令)

などと現実的なことを考えてはいたが(汗)




「ルリちゃん・・・」

台所からアキトさんの声、なにやらアキトはゼスチャーで『こっちに来て』とやっているようだ

「なんですか?アキトさん」

様子から察するに内緒の話といったところだろう、ユリカに気取られないようこっそりと台所へ向かう

アキト「はいこれ、クリスマスプレゼント、メリークリスマス…ルリちゃん」

ルリ「あ、ありがとうございます…でもなんでこんなこそこそと?」

アキト「去年はユリカの目の前で渡していろいろ大変だったじゃないか(汗)」

ルリ「・・・そうでしたね(汗)」

去年・・・ユリカさんに渡す前に私にプレゼントをくれたアキトさんが何故か嫉妬したユリカさんに酷い目に…

とばっちりで私も・・・いや、これはいいか、忘れよう(汗)

出来るだけ丁寧に、包装を解く、プレゼントの中身は…

ルリ「ネックレス・・・ですか?」

アキト「うん…イミテーションのだけどね、本当はラピス・ラズリっていう宝石のやつにしたかったんだけど、高くて・・・(泣)」

ルリ「ラピス・ラズリ…」

アキト「日本語で瑠璃石っていう宝石だよ、似合うと思ったんだけど…ごめんね(汗)」

ルリ「い・・・いえ!大丈夫です!嬉しいです!大切にしますね!!」

多分顔が赤くなっていたと思う、なんとか見えないように俯きながら感謝の言葉を言った

アキト「うん、来年は買ってあげれるようにもっとがんばらなくちゃね」

とはいえ、イミテーションの品とはいえ、なかなか精巧にできている…これでも結構値が張った品と見える

ルリ「大丈夫ですよ!アキトさんなら…きっと、大繁盛します、私が保証しますよ?」

アキト「はは、ありがとうルリちゃん、あ、あとユリカには見せないようにね(汗)」

ルリ「えぇ、わかってますよ(汗)それにユリカさんにはもっとちゃんとしたものをあげるんですよね…?」

最後のほうは無意識に小さくなった質問を問う

アキト「え?・・・ああ、まぁ・・・ね」

歯切れの悪い反応で苦笑して、アキトさんはウサギのぬいぐるみとじゃれているユリカさんの所へ向かうアキトさん…

なんとなく、アキトさんがプレゼントを渡すシーンを見たくなくて、私は2人に気取られないように一人寝室へ向かった…



そして、その次の年のクリスマスは私達には訪れなかった…



「アキトさんの・・・ばか・・・約束・・・守ってくれませんでした・・・」

そうつぶやいた言葉は、一粒の涙と共に夜の闇に紛れて消えた・・・








3日後、―ネルガルドック―

「・・・では、今日1日お願いしますね」

「えぇ、任せてくださいよ、なぁに、一日くらいならしっかり艦長の代わりを務めてみせますよ」

「艦長〜サブロータさんじゃ心配ですよぉ〜」

ナデシコCの発進を見送るため、ネルガルのドックにいた

普段なら軍のドッグからの発進が常であるが・・・それには理由があった

艦長のルリが休暇を取るならばナデシコCも自動的に休暇のはずだが

ナデシコCが休んだとなっては普段から連合軍に、その能力故に疎まれているルリの立場が悪くなる恐れがある…

それを危惧したサブロウタはナデシコCの乗員と話し合い、ルリが居ない25日は

ルリ抜きでパトロールをすると言い出したのだ、そしてルリの艦内での人望ゆえか、

ほとんどの乗員が残り、通常パトロール任務を行うことになったのだ、まぁ緊急の事態があればすぐにルリが急行する手筈ではあるが…

つまりルリは一部上層部以外には内密で休暇をとることになった

そんなわけでアカツキに事情を話し、ルリを内密に降ろすために、ナデシコCはネルガルのドッグに停泊中であった

それにしても、こんなことがまかり通るあたりは軍にあってもナデシコはナデシコといったところか・・・

「まぁ、心配せずに今日一日はゆっくりしてきてくださいよ、誰もクリスマスに事件起こすような無粋なやつはいませんって」

「本当にそーですかぁ…?」

コントのようなサブロウタとハーリの会話を聞き、やや不安を増したルリだったが

いまさら事を変えるのもあれなので、そのままナデシコCの発進を見送ることにした










―ミナト宅―

ピンポーン

「はいはーい、いらっしゃいルリルリ♪久しぶりねぇ〜」

「こんにちわ、ミナトさん、今日はわざわざ招いてもらって、ありがとうございます」

「なぁ〜に言ってんのよ、そんな他人行儀でさ、ルリルリ?さ、あがって♪」

久しぶりに会うミナトさん、相変わらずですね、でも…なんとなく心地良い気がします

「えぇ・・・ではお邪魔しますね」

そう言い、ミナトの後を追ってリビングへ向かう

「あら、ルリもう来たの?久しぶりね」

「こんにちわ・・・ユキナさん、お久しぶりです」

懐かしい・・・どこか暖かい感じ・・・まるでナデシコAに乗っていたときのようです

「まー今日はゆっくりしてきなさいよ、泊まってくんでしょ?」

「いえ、それは・・・・・・そうですね、お願いします」

「そうこなくっちゃ♪」

本来なら早い内に帰り、ナデシコCと連絡を取ってどこかのドックで・・・と思っていたのだけど・・・

どこか懐かしい感じの雰囲気に呑まれた、とでもいうのでしょうか?

とにかく今日はミナトさんの家に泊めさせてもらうことになりました

女性だけのクリスマスパーティーの始まりです







「いや〜ルリも相変わらず超美少女って感じよね〜」

食事中、突然そう言ったユキナの顔は少し赤みが差していた

どうやらミナトの目を盗んでワインを飲んでいたようだ(汗)

「これだけ美少女だったら男共が黙ってないでしょ?どう〜?」

「ぁ・・・ばかっ・・・」

「え・・・」

軽い感じで問いかけたが、対するルリの表情は重く、ミナトは半ばユキナを睨んでいた

「ぁ・・・やば・・・」

言ってから自分の言ったことの愚かさに気づいたが、言葉を撤回することもできず

その場の空気が異様に重くなる・・・



「・・・いえ、それは違いますよ、ユキナさん」

意外にも、その空気を壊したのはルリの妙に明るい声だった

「私も、もう少女ではいられません、何もせず待っているだけの少女はもう卒業です」

「ルリ・・・」 「ルリルリ・・・?」

「必ず捕まえてみせます、狙った獲物は100発100中なんです」

「は・・・あはは、そうこなくっちゃ」

「そうね・・・よし!お姉さんも応援しちゃうわよ〜?」




ルリも『誰を』とは言わなかったが、ルリの言葉が何を示しているかなど、疑問にも思わなかった

ミナトはルリを誰より理解していた女性であったし、ユキナはルリの一番の親友だと自称している

その2人はいまさらルリが誰か別の男を好きになるはずがない、とわかりきっていたからだった

「さ、ルリルリ、今日から貴方も大人の女の仲間入りよ、今日は私に付き合ってもらうわよっ?」

「あ、私も飲む飲む!」

「あんたはまだダメよ、おこちゃまだから」

「なんでよっ!」

「ふふ・・・」

思わず笑いがこぼれる、暖かい場所、ナデシコがルリにくれたもうひとつの居場所

ルリは久しぶりに心から笑える場所で、久しぶりのクリスマスを迎えた








その夜、ミナト宅の窓をのぞく異様に怪しい(笑)黒い男の影があった

「・・・メリークリスマス・・・ルリちゃん・・・」

そう優しげに呟くと、男は溶けるように夜の闇に消えていった・・・






翌朝、目が覚めたルリが台所に向かうとミナトが朝食の準備をしていた

「・・・おはようございます、ミナトさん・・・」

朝に強いほうでないルリは寝ぼけた頭でミナトに挨拶する

「おはよう、ルリルリ、悪いけど眠気覚ましに新聞取ってきてくれない?」

朝食を作りながら忙しく朝の支度を続けるミナト、ユキナはまだ寝ているようだった

玄関を出て新聞を取る、ポストには新聞の他に、小さな長方形の包みが入っていた

「なんだろう・・・まさか爆弾?」

ありうる…(汗)もし私の行動が軍や他の企業にばれていれば、抹殺のために爆弾を送りつけてくるかもしれない

注意深く中身を刺激しないように耳を近づける……時計の音はしなかった

まぁいまどき時計式のアナログな爆弾など使うとも思えないけど・・・(笑)

とりあえずミナトさんやユキナさん宛の個人的なものだったら困るので出来る範囲で危険でないか確認してみることにしよう

「なにやってるの?ルリルリ」

「あ、ミナトさん」

「あんまり遅いから何してるのかと・・・で、何それ?」

「いえ、ポストに入ってたんですけど…危険なものかどうかを確認していたんです」

「ふーん・・・あっ、なんか紙が付いてるわよ?」

ミナトが指摘した場所には確かに紙が1枚、折りたたんでいてあった

「クリスマスカード?じゃ、誰かからのプレゼントかしら・・・なになに」

ミナトは箱からカードを抜き取ると開いて中身を確認する

「えーと・・・『メリークリスマス ルリちゃん』」

「え!!」

聞くと同時にカードをミナトから奪い取り、自分でも読んでみる

「メリークリスマス・・・ルリ・・・ちゃん・・・」

「あ、じゃあこれって・・・まさか・・・」

先ほどまで細心の注意を払っていた箱を急いで紐解く、中身は・・・

「ネックレス!・・・瑠璃石の!!・・・アキトさん・・・」

ネックレスの入った箱を大事そうに胸に抱くルリ、それを見て

「う〜ん、キザなことするわねぇ〜アキト君も・・・もうっ、こんな演出より早く帰ってきなさいよねっ」

優しげな瞳でルリを見つめながら、軽口を叩く。

「アキトさん・・・約束、守ってくれましたね・・・1日遅れですけど、メリークリスマスです・・・」

そう呟いたルリの瞳には、眠気などさっぱり消えて、新たな決意が宿っていた




その日からその瑠璃石のネックレスはルリの至宝となったようで

寝るとき以外はずっと片身離さず着けていた

寝るときだけ、瑠璃石はルリの宝物入れに保管された…

ほんのちょっぴり輝きを失った、イミテーションのネックレスと共に…



あと、ネックレスを着けて嬉しそうな表情でナデシコCの乗りこんだルリを見て

男女共にその美しさに改めて魅了され、声を失ったという…

例外として、ハーリー君の泣き叫びながら艦内を走り回る姿が目撃されたとかなんとか(笑)

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん、艦長のばかぁぁぁぁぁあああああ」

「ハーリーくん、うるさいです」






おしまい。








<懺悔・・・もとい後書き>


あまりの読みづらさに驚愕…ほんのちょっぴり修正しました…(汗)

ルリは壊れたのか壊れてないのか、微妙なラインで踏みとどまったようです(笑)

アキトは変質者まっしぐら…天下のS級犯罪者が変質者で逮捕とか笑えません(汗)

最後に、私の処女作を最後まで読んでくださった方に万感の思いで感謝いたします♪

読んでくれそーな方もすぐいなくなりそうな駄文でしかありませんが・・・(泣)

読んで下さった方、何か思ったことがありましたらぜひご一報くださいませ

勉強になります(;´ぇ`)

新参者ですが、ぬるめに見守っていただけると幸いです。






感想を書かせていただきます。

とても良いお話ですね♪

ホンワカした気持ちになれる作品です。

序文はルリがちょっと壊れめですが…それはそれで面白いですし。

途中から良い感じにアキトの事を思っている感じが出ています。

イミテーションと本物のラピス・ラズリ…

上手く話を盛り上げていますね♪

私も良いと思いますよ、こんな駄目作家と比べれば…

うお! なんでここに!

いい加減続きを出しなさいと言いに来たんですが…この際雪夜さんに書いても らいましょうか? 私達に遊びに来て欲しいって言ってましたし…

…なぬ? メール勝手に読んだのか!?

ふん、貴方なんかにプライバシーがあるわけ無いでしょう?

そうですぅ、どうせなら大事 にしてくれる人のところが良いですぅ!

くっコーラル…お前もか!?

私はブルータスじゃありませんですぅ!

兎に角、今回のイベント一時間以上も遅らせたんですからせっかんです!

ひょえ〜(泣)

あっ、そうですぅ、雪夜さん に言っておく事がありました。私達の出演に関しては特に制限がありませんので好きに使ってくださって結構ですぅ、但しこのHP内だけですので少し気をつけ てください。では失礼しますですぅ〜

 

押して頂けると作者の励みになりますm(__)m


 
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