かつて、伝えたかった想いがあった

伝える事は許されないと思った

あの人にとってそれは、幸せな事ではないと思ったから

目の前にあったのはいくつもの大きな壁、それらが伝える事を拒んで。

それでもいま、それらはまだ消えてなんかいなくても、伝えたい、わかって欲しい

そうしなければ、あの人は本当に全てを失ってしまうから―――。

だから、私は追いかけた、ユーチャリスを追いかけていた時とは違う、想いが、本当にあの人の元まで届くように・・・。
















――その声は、俺の崩壊寸前だった意志をあっさりと壊してしまった。

崩れそうだった決意を砕いたのは、決して立ち止まらないように必死だった足を止めたのは―――


「聞いてください・・・アキトさん・・・」


1つの決意をその金色の瞳に秘めた、最愛の義娘―――。














機動戦艦ナデシコ

〜永久の誓い、永遠のパートナー〜














プロローグその2

伝う想い








ガラクタのような廃墟・・・後ろには愛しい元義娘

沈黙と、少女の漏らす乱れた呼吸だけがその場を支配するような空間


「もう、俺は君の父親ですらない、いまさら・・・俺なんかに何か用があるのか?」


そう、もう少女が俺を追う理由などない、軍を辞め、後は静かな人生を過ごしてくれればいいと思っていたのに・・・


「その前に・・・聞きたいことがあります、テンカワアキトさん」

「・・・・・・・」


無機質な声、俺は振り向かずに言葉の続きを待つ。


「貴方にとって、私は・・・どんな存在でしたか?」


ストレート過ぎる問い、でも、いまさら遠回りしている時間はない。


「・・・俺にとってルリちゃんは、大切な娘だったよ、例え家族じゃなくなっても、変わりはない」


俺はルリちゃんに向き合って、目を逸らずに告げた。

それは言ってはいけないことだったかもしれないと思ったが、俺は思うままに言った、逃げることは許されない。

ルリちゃんは真正面からぶつかってきた、だから、俺ももう逃げることはできない。


「・・・そうですか、ありがとうございます・・・でも、私はそうじゃありませんでした」

「・・・そっか、それはすまなかったな・・・君に『家族』を押し付けてしまっていたようだ・・・」


大切な娘だと思っていた、それに対する答えは「私は違う」・・・結局は俺の独りよがりだったのだろうか。

ルリちゃんの態度は、ルリちゃんも俺と同じように、たとえ仮初だったとしても

あの時間を大切に思ってくれていると思っていたのは、俺の勘違いだったのだろうか。


「いいえ、違います・・・私にとっても、あの家族という空間は、尊いものでした」

「・・・?なら、どういう意味なんだ・・・?」


ストレートに言っても、理解してくれず、女性の気持ちに鈍感。

それはナデシコに乗っていた時のアキトと全く変わりがなかった、ルリは思わず口元が緩んだ。


「私は、貴方のことが好きです、いつからか・・・多分、ナデシコに乗っていた時から、ずっとです」

「え・・・?」


突然の告白に、間が抜けたような表情のアキト


「あの時の私は、この気持ちがなんなのか、はっきりと理解できないでいました、

そして気づいた時にはすでに、貴方の心にはユリカさんがいました・・・

だから、私はいままでこの想いをずっと隠してきました、それをいま伝えます」


そう言って、息を深く吸う、表情は和らぎ、一種の覚悟を浮かばせる、そして――




 「アキトさん、貴方を愛しています」

 「これまでも・・・これからもずっと、貴方のいる場所だけが、私の帰りたい場所です」 

 



心が、空洞がすべて暖かいもので満ちていくような・・・

想いは――言葉は、空っぽのようだった俺の心に深く染み込んで、満たしてくれた――

目の前の少女が愛おしい――俺の全てをかけて、その想いに応えてあげたいと、心から思った――


―――だけど・・・




「・・・ありがとう、ルリちゃん――でも、だめなんだよ・・・」


「っ・・・やっぱり・・・私では貴方の支えには・・・なれないんですか・・・?」


心が斬り刻まれるような感覚、それでも尚、すがるように問う

諦めきれない、諦めたくない、たとえ醜くとも、絆を手離したくないと――


「違うんだよ・・・俺は・・・俺の命は、もう1週間もないんだよ」


「・・・え・・・?」


(何・・・?なん・・で・・・?何が・・・?わから・・ない)


頭の中に、グルグルとセリフだけが反芻する、その言葉を理解しないといけないのに、できない。


「どうし・・・て・・・」


押し潰れるような言葉の意味の重みに耐えながら、どうにか言葉を紡ぐ


「もうね、俺はラピスからの生命補助のリンクがないと長く生きられないんだよ・・・そして・・・それももうない」


「ならっ、なら私がっ!」


「だめだ!!・・・生命補助リンクは相手の生命力を奪って行う・・・いまの俺は本当に死神だよ、

人の命を吸ってしか生きられない・・・ね、そんな事をして生き続けるのは、俺には耐えきれないよ、だから・・・」







「本当に、ありがとう」


――いままで、こんな俺を好きでいてくれて――


「これからは、全て忘れて別の幸せを見つけてほしい」


――そして、さようなら、娘として、女性として、愛しい人――


「できれば・・・ラピスのことを・・・頼む・・・」


――最期まで、迷惑をかけて、すまない――


「いままでずっと俺の勝手につき合わせてごめんね・・・」


――でもね、ルリちゃん・・・俺はずっと君の幸せを願っていたよ、そしてこれからも――


「今度こそ、さよならだ・・・ルリ・・・」


――さようなら・・・ルリ――













「テンカワアキトォォォッ!!!!」


「な!?」「え!?」



「貴様が、貴様がぁぁあああああ!!!!」



視界に映るのは銃を構えた男、その手の銃から銃弾が発射されたところだった

全てがゆっくりに見える、走馬灯とも似た集中力により静止した世界


「く・・・そ・・・!!!」


ラピスのリンクがあれば十分に対応できるはずだった、だがもうリンクはない

いまのアキトは一般人とそう変わらないほどの動きしかできない、それに・・・


ミシミシ・・・ッッ


身体の軋む音、リンクを切ってもう3時間、すでに体組織が不調を訴えてきていた。


(これで・・・終わりか・・・)


だが、これでいい、俺が死ねばこれ以上皆に迷惑がかかることもないだろう

俺はあきらめて目を瞑った、だが目の前に飛び込んできたものは――


―――愛しい人の、瑠璃色の髪―――



全てがスローな世界で、銃弾がルリの身体に飛び込んでいく、



――嘘だ――


銃弾はルリの身体を突き抜けて、微妙に速度と方向を変えアキトの腹部に突き刺さる



――嘘だ――



弾の通った跡から鮮血が舞い、ルリがゆっくりとその場に倒れる


――嘘・・・だ――






「うあああああああああああああああ あ!!!!!」


腰の銃を抜き、銃を持った男に向けて乱射する、

でたらめに撃った弾は、ほとんど見えない距離の相手にはまともに当たらず、足に数弾当たっただけだった。


「ぐぁっ!」


カチッカチッ

乱射された銃はあっという間に弾切れになり、乾いた音を鳴らす

一瞬たじろいだ男だったが、こっちの弾切れを見ると狂気じみた顔を浮かべ、こちらに銃を向ける。


「くそ・・・くそ!!」


やられる!そう思った瞬間――


ドンッドンッ

銃声がして、男の眉間に穴が開き・・・男は倒れた

――銃弾は、ルリの銃からのものだった



「ルリ!!」



すぐさまルリにかけよる


(生きていてくれた!ルリはまだ生きてる!!)



そう思った、だが・・・


「こふっ・・・アキト・・・さん・・・無事です・・・か?」


ルリの姿を見て絶望に打ちひしがれた――。

どう見ても致命傷・・・心臓を打ち抜いた銃弾は背中を突き抜けた、

つまり、ルリの心臓を貫いていた――。



「そ・・・んな・・・・・・」


ルリの顔から、段々と生気が抜けていくのが取るようにわかる、もはや――死――。



「アキト・・・さん・・・ぐっ・・・これで・・・わた・・し・・・

アキトさんと・・・ごほっ・・・同じ・・・に・・なれ・・ました・・・」


喋るたびに吐血する、だがルリは喋ることを止めない


「ルリ・・・何を・・・」


「これで・・・私の・・手も、血で・・・ごほっ・・・汚れました・・・

アキトさんと同じ・・・これで・・もう隣にいても・・・いい・・・です・・か?」


喋り終えると、再び吐血する。


「ああ・・・ああ!ずっと・・・ずっと一緒にいる!だから・・・!!」

「あ・・は・・・嬉し・・い・・です・・」



胸が締め付けられる、ルリの思いが苦しくて、大声で泣き出してしまいそうだ

涙などとうに枯れたと思っていたのに、涙がルリの頬に零れ落ちた。



「も・・う・・置いていかない・・で・・・ずっと・・・ずっとそば・・に・・・」


もうまともに動かない身体でアキトに抱きつく、アキトは・・・ルリの体温が段々冷たくなることに心底恐怖を覚えた。


「アキト・・・さ・・ん・・お願い・・・キス・・して・・くだ・・さい・・・」

「ルリ・・!!」


最期まで自分を求めてくれるルリに、心が押しつぶれそうになりながらも

ルリの気持ちに、できるだけ優しく・・・唇を合わせることで応える。


「ん・・・は・・・アキト・・さん・・わたし・・・幸せ・・・で・・・」


最後に、消えそうでいて、それでも、いままでで一番とびきりの笑顔でそういうと、ふっとルリの身体から力が消えた。


それの持つ意味に、気づいて、気づきたくなくて、ルリに呼びかける。


「ルリ・・・ルリ・・・?」


いくら呼んでも、ルリから答えはない


「ルリ・・・ルリ・・・」


それでもアキトはルリに呼びかける、再び失ってしまったぬくもりを、失ってしまった愛しい人を・・・


・・・何時間も、ずっと・・・









――ブラックサレナ・コックピット――

愛機、ブラック・サレナのコックピットでアキトは

最後のボソンジャンプをするべくサレナの周りにフィールドを展開した

暗いコックピットの中で冷たくなった愛しいルリを抱き、抜け殻のように、作業をする


(なにもかも失った・・・家族として、守りたかった娘・・・そして一人の女性として、愛し、守りたいと思った人・・・)


「ルリ・・・ルリのいない世界なら・・・」


いっそ、火星の演算装置を破壊してしまおうか・・・? そんな考えが頭に何度も浮かぶ

だが、もう遥かな過去に思えるナデシコで、ルリが言った言葉が脳裏に浮かぶ


『思い出まで、なかったことにするんですか』


だが・・・ルリの居ない世界に、もはやそんな意味など・・・

それでも、ルリは最期までそんなことは望まなかったはずだ。


最期までルリは、自分と共に居ることを望んでくれて――。


「なら、一緒に行こう、ルリ・・・短い旅になるかもしれないけど・・・最期まで」


ランダムジャンプを繰り返せば、時空の歪みに飲み込まれ、いずれは消滅するかもしれない・・・

だが、執拗に追ってくる統合地球軍につかまってしまえば

ルリと最期まで共にいることはできないだろう、それにルリをこのままにしておきたくない


・・・どうせいずれ消える命ならば、せめてルリが願ったようにルリと共に・・・


「・・・ジャンプ・・・」


走馬灯のように流れていく思い出・・・あの懐かしい、忘れえぬ思い出・・・

初代ナデシコ・・・そして幼きルリとの思い出・・・




そして、全てが虹色の光に飲み込まれて・・・消えた―――。















<懺悔室>

こんにちわ、読んでくださった方、ありがとうございます♪

前回からはや1週間、2話がもう出来ているかと思いきや、修正に入ったら色々変更があってもはや別物に(涙)

この流れからもう察しているでしょうが、逆行物です、黒い鳩さまと被っているようですが申し訳ない(汗)


ともかく今回は必死に頼み込んでルリさんにちゃんと来てもらえるようアポが取れました☆

ではどうぞ、ルリさん〜♪



(シーン・・・)

・・・へ?

(シーン・・・)

ルリさ〜ん・・・?(なんか嫌な予感が・・・)

(シーン・・・)

ルリ・・・さん?・・・あ、また楽屋裏に手紙・・・


『死ん じゃったら出れるわけないでしょう!!バカですか貴方は!!!』


し・・・しまったーーー!!?(ガーン)

く・・・皆さんすいません、とんだ失敗です・・・


天の声『もうそろそろ今回は潮時ですよ』


え、もう終わりですか(汗)

ともかく、次回からは本編に入っていきます♪

〜永久の誓い、永遠のパートナー〜をよろしくです☆



感想

さて、雪夜さんのプロローグ第二話!

がんばっておられるようで何より〜♪

アキトより先にルリピンチ? 

逆行がかぶる事を気にしてらっしゃるようですが、問題ありませんよ〜

そんな事を言い出したら、逆行を考えた最初の作家さんにお願いしなければいけませんしね(汗)

内容も別に多少かぶっても気にしませんし、もう既に同じにはならないでしょうからね。(逆行キャラも死期も違ってますから)

次回も楽しみにしております♪

そうですね、流石雪夜さんヒロインの扱いが分かってますね♪

でも、死んだみたいだが?

はあ…分かってませんね…良いですか? アキトさんの傍らで眠る私、そして その眠りを妨げない為にアキトさんが時間を跳ぶんです。そして、跳んだ先の時間で見事復活を遂げた私とアキトさんは永遠に幸せに暮らすんです。この先は私 とアキトさんのハートフルラブストーリーですよ 

いや、そこまで都合いい話じゃルリファンの人もちょっと引くんじゃないか?

問題ありません! アキト×ルリは永遠! これはどの世界でも決まった事なのです♪

あうっ…それは…かなり無茶が…(汗)

この意見に賛同しないとは…久しぶりにお仕置きが必要なようですね…

あの…そりは…分かった、分かりました! アキト×ルリは永遠ですから! それだけは〜!!

今頃遅いです、さあ貴方も輝きなさい! レインボーブリッド・バースト!!

ずどごー んー!!!

感想でも吹っ飛ばされるとは〜!!

アホは死んでも治りません。

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