「ここか・・・?」
目的の建物の前で一人呟く。
持っていたPDAの地図と見比べながら確認する。
うん、間違いなさそうだな。
PDAをしまいまずは管理人に挨拶。

「すみません、本日からここに住まわせてもらう朝霧と言う者ですが・・・」
「ああ、あんたが?話は聞いてるよ。最上階のあの二人組の家庭教師だって?」
「はい、そうです。入ってもいいですかね?」
「問題ないよ。家賃が増えるわけでも無いし、これといって注意事項と言うほどのものも無い。ご近所さんとは仲良くってくらいだ。」

適当だなぁ・・・、まぁ管理人なんて大して仕事は無いのかもしれないし平時は暇なのだろうと思い中に入ってインターホンを鳴らす。
待つこと十数秒、「誰ですか?」と声が聞こえた。
「初めまして、両親から聞いてないかな?今日からお世話になる・・・いや、お世話する?まぁ、どっちでもいっか。」
一人ボケた言葉を呟くが返答なし。何こいつ的な反応だなきっと。まぁいきなり自問自答してたらそうなるか。
「いちおう家庭教師・・・なのかな?今日から一緒に過ごす人が来るって聞いてるだろ?」
しばし間を置いて
「あぁ、貴方がそうなの?」
「そうそう、とりあえず入っていいかな?どうにもここまで長旅すぎて立ってるの辛くて・・・」
割とマジで。迷子になってた俺が悪いんだけど。
「分かったわ、今開けるね。」
言葉が終わるとほぼ同時にドアオープン。近代的だねぇ、マンション住まいとかしたこと無いから何か新鮮。

と言うわけで部屋に到着。広いなここ、どう考えても子供二人だけで住むには広すぎるだろ。
とまぁきょろきょろしてたら
「えっと・・・あの・・・あなたがパパとママの言ってた人?」
「おー、兄ちゃんが?」
控えめに聞いてくる声と騒がしい声。声の方を見ると
元気そうな少年とお淑やか・・・いや、これは人と関わるのが苦手で喋りづらいって感じか?な少女。
「ああ、今日から二人の家庭教師を勤めさせてもらう朝霧蒼真。よろしくな。」
そういって手を伸ばし握手を求めた。
「俺は龍亜!よろしくな!」
少年の方は元気良く、
「私は龍可。よろしくお願いします。」
少女の方は礼儀良く、
返事と共に握手に答えてくれた。

「さて、家庭教師としてきたはいいが勉強自体はできてるんだよな?」
「うん。」
「げっ・・・」
返事が異なってる。どっちがどっちかは簡単に分かるだろう。
「・・・龍可はともかく龍亜?今のげって何だ、げって。」
「いやー、あのー・・・えへへ。」
「笑ってごまかすな。」
コン、と軽い一撃。
「龍亜は勉強嫌いだから・・・」
龍可からの暴露。なるほど、これは仕事がきっちりありそうで良かった。
「いやいや、俺は俺なりに頑張ってるよ!?」
「じゃあ実際にどれくらいできるかテストしてみるか。」
「え、いや〜・・・今日はもう勉強ちゃんとしたし。」
元々今の学力を計るためにテストはするつもりだったから逃がしはしない!
「大丈夫だ。軽めの問題しかないし、今日はこれだけだ。」
俺が逃がす気無いと気付いたのだろう、諦めてテストを受けようとする。
「あ、ちなみに時間制限付き。」
「えー!?」
龍亜、本音出すぎ。。
「さぁ、テスト開始。時間はどんどん減ってくぞ。」
無情に聞こえるかもしれないが手加減はしない。と言っても初回だから本当に優しい問題だがな。

〜30分後〜

「もう・・・駄目・・・ガクッ。」
「簡単じゃない、龍亜。」
精根尽き果てた龍亜とけろっとしている龍可。
「ふむ・・・正解率は悪くないな。」
回答を見ながら感心する。龍可はもちろん龍亜もそれなりには解けている。これ俺必要ないんじゃね?ってくらいではあるな。

「まぁ勉強はこれまで通りで大丈夫だろう。今日はもう自由に・・・」
そこまで言って思った。普段この二人何してるんだ?疑問に思い率直に聞いてみたら
「デュエルモンスターズ!いつもやってるんだ!」
「いつも付き合わされてるんだから・・・」
なるほどね、まぁこの年代となるとそんなものか。俺のこの頃は・・・
「ど、どうしたの?」
「ん?」
あぁいかんいかん。自分の世界に飛んでた。
「何か怖い顔になってたよ・・・?」
「そうか?ごめんごめん。」
駄目だな、昔のことは・・・。
「いつもカードばっかりか、じゃあ結構強いんだろ?」
「もちろん!」
「嘘ばっかり。弱いじゃない、龍亜・・・」
冷静な突っ込みだな。
「これから強くなるんだよ!そのためにも蒼真!俺とデュエルしようぜ!」
「まぁいいぞ。」
「よっしゃー!ちょっと待っててね!」
嬉しそうにデュエルディスクを取りに行く。俺もディスクを取りに行かないとな。
入り口に置いてあったDホイールからディスクを外し腕につける。
「よし、準備完了!やろう・・・あらら」
ディスクが大きすぎて固定できてない、簡単にずれていく。
「おいおい・・・ちょっと見せてみろ。」
そういって龍亜のディスクを見る。大きすぎだな、これは。別の物で適当に固定させるか・・・。
紐でディスクを腕に固定させると
「おー」
と感嘆の声が。いや、結んだだけだから。
「ありがとう、蒼真!よし、じゃあデュエルだ!」

部屋から出て向かい合いディスクを起動させる。
「「デュエル!」」
「先攻は譲るぜ、お手並み拝見だ。」
「じゃあいっくぜー、俺のターン!シャッキーン!」
元気良くドローする。元気なのは良いが・・・まぁいいか。デュエル進行で問題は無いだろう。
「きたきたー!俺はD・モバホンを攻撃表示で召喚!」
出てくる携帯型のモンスター。ディフォーマーか、中々癖のあるデッキだな。
「Dのモンスター効果は表示形式で変わる!攻撃表示のモバホンは「ダイヤルの1〜6の止まった数字分デッキをめくり、その中のレベル4以下のDを一体特殊召喚できるんだろ?」そ、そうだぜ!」
横槍を入れるのは好きじゃないがカード効果が分かってるのに長々と聞きたくないのも本音なんだ。
「へぇー・・・詳しいのね、蒼真。」
「まぁな、今までいろんな奴とデュエルしてきたから知らないカードの方が少ないとは思うな。」
だがそれでも膨大な量だと思う。本当にカード量が凄まじいからな、このゲームは。
「説明無用なら早速行くぜ!ダイヤル〜〜オーン!」
止まった数字は5。つまり・・・
「数字は5!俺はデッキの上から5枚をめくる!」
デッキの上から5枚を確認し、龍亜がにやりと笑う。
「もいっちょきたー!俺はD・ステープランを攻撃表示で特殊召喚!」
出てくるのはステープラー・・・ホッチキスって言った方が分かりやすいか。
「俺はカードを一枚伏せてターンエンド!」
出だしは順調って感じか・・・、こっちも手札は悪くない・・・か?微妙なところだな。

「俺のターン、ドロー。俺は手札から永続魔法カラクリ解体新書を発動する。」
巻物のようなものが場に現れる。
「このカードはカラクリと名の付いたモンスターが表示形式を変更するたびにカラクリカウンターを乗せる。そして、このカードを墓地に送ることでカラクリカウンターの数だけドローすることができる。」
「カラクリ、何だそれ!?」「カラクリ?」
二人ともいい反応だ。使う奴はあまり見ないからな、カラクリって。
「まぁ今見せてやるって。俺はカラクリ無双 八壱八を攻撃表示で召喚する。」
出てきたのは機械仕掛けの巨人とでも言うべきでかさのモンスター。
「おおー、でけぇ!」
テンションをあげる龍亜。さて、問題はあのリバースカードだが・・・
「考えても仕方ないな、八壱八で・・・!」
「待った!トラップ発動するぜ!D・バインド!」
龍亜と俺の間に現れた電磁の網。
「これで俺の場にDが居る限り、蒼真のレベル4以上のモンスターは攻撃宣言できず表示形式が変更できないぜ!」
「なるほどな・・・だったら俺は魔法、借カラクリ蔵を発動。カラクリと名の付いたモンスター、八壱八の表示形式を変更することでデッキからカラクリと名の付いたレベル4以下のモンスターカードを手札に加える。」
「あれ?でも俺の場にはD・バインドがあるから表示形式は変更できないぜ?」
「表示形式が変更できない効果はモンスター毎の1ターンに一度許される任意での表示形式変更ができないだけだ、カード効果での変更は阻害できない。」
俺の言葉を証明するかのように守りの体勢に入る八壱八。
「へぇ、難しいなー。」
ディフォーマーを使うならそこらへんどは知っていてほしかったな、ただでさえ表示形式が要のカテゴリなのに。
「借カラクリ蔵の効果でデッキからカラクリ商人 壱七七を手札に加える。さらにカラクリの表示形式が変更したことによってカラクリカウンターを解体新書に乗せる。」
さて、困ったな。残念ながらバインドを壊すカードが来てない。まぁ入ってないわけじゃないからどうにかなるだろうが・・・。
「カードを二枚伏せてターンエンド。」

「俺のターン、ドロー!シャカーン!」
シャカーンって何だよシャカーンって・・・
「俺はまずモバホンの効果をもう一度使うぜ!ダイヤル〜〜オーン!」
再び動くダイヤル。止まった数字は・・・4。運がいいなぁ。
「デッキの上から4枚めくる!・・・うーん、今回はスコープンだ!守備表示!」
あの反応からすると何体かいたなディフォーマー。しかし不味いかな・・・この状況。
「更に手札からD・クロックンを召喚!」
出てくる時計型モンスター。この形の目覚まし時計って今もあるのかなぁ。
「行くぜー!レベル2のクロックンとレベル1のモバホンにレベル4のスコープンをチューニング!」
やっぱりか!凌げるか・・・!?
「世界の平和を守るため、勇気と力をドッキング!シンクロ召喚!愛と正義の使者、パワー・ツール・ドラゴン!」
出てくる工具で構築されたような機械龍。効果が厄介なんだよなぁ・・・。
「パワー・ツール・ドラゴンの効果発動!パワー・サーチ!」
デッキがシャッフルされ一枚デッキトップに移動する。
「デッキからランダムに装備魔法を一枚手札に加える!そして、今加わったダブルツールD&Cを発動!パワー・ツールに装備!」
げげっ、よりによってダブルツールかよ。面倒だなぁ。
「いくぜ!まずはD・ステープラーで八壱八に攻撃!」
「甘いぜ龍亜!リバースオープン!時限カラクリ爆弾!表側守備のカラクリが攻撃されるときに発動でき、相手の表側表示モンスター全てを破壊する!」
「だ、だけどパワー・ツールは装備魔法を墓地へ送ることによって破壊を免れる!」
分かってたさ、だがこれで繋がる!
「パワー・ツールで八壱八に攻撃!」
攻撃が通り、八壱八が破壊される。
「俺はこれでターンエンドだ!」
パワー・ツールをだして気が緩んでるのかリバースも無しか、押し切らせてもらうぜ?

「俺のターン、ドロー。」
よし、舞台は整った。カラクリの底力を見せてやるよ!
「まずカラクリ小町、弐弐四を召喚。攻撃表示だ。」
ふと思ったが小町って女なのか?見た感じ女っぽいけど機械だから関係ないかな。
「小町の効果発動!俺は通常召喚に加えもう一度、カラクリと名の付いたモンスターを召喚できる!カラクリ忍者 九壱九を攻撃表示で召喚!」
「チューナーと非チューナーが一体ずつ・・・」
「行くぞ!レベル4の九壱九にレベル3の小町をチューニング!」
「げげぇ、やっぱりシンクロ召喚!?」
焦る龍亜の声。だが止まらんよ!
「機械仕掛けの猛者よ、兵を率いて我が敵を殲滅せよ!シンクロ召喚!カラクリ将軍 無零!」
現れるいかにも武士と言った感じの重々しい装備のカラクリ。
「なんか古臭いなぁ・・・」
む、聞き捨てならん。武士は格好いいだろうが・・・、まぁそれはいいとして
「無零の効果発動!デッキからカラクリと名の付いたモンスターを一体特殊召喚する!デッキからカラクリ忍者 七七四九を守備表示で特殊召喚!」
関係ないが装備がごちゃごちゃしすぎてる気がする。九壱九くらいシンプルでいいだろうに。
「無零のモンスター効果発動!1ターンに1度、モンスター一体の表示形式を変更する!この効果で七七四九を攻撃表示にして、カラクリカウンターを解体新書に乗せる。そして解体新書を墓地に送り乗っていたカウンターの数だけドロー!二つ乗っていたから2枚ドローだ!」
・・・なぜ残りの八壱八を全部引く・・・まぁ気を取り直して、
「行くぞ龍亜!無零でパワー・ツールに攻撃!」
「あぁ、俺のパワー・ツールがぁ!!」
「まだだ、七七四九で直接攻撃!そしてこの瞬間リバースオープン!カラクリ粉!」
「な、なんだ!?」「カラクリ粉?」
「カラクリ粉は表側攻撃表示のカラクリ2体を指定して発動する。一体を守備表示にして、そのモンスターの攻撃力をもう一体の攻撃力に追加する!俺は無零を守備にし、七七四九の攻撃力を上げる!」
「って事は・・・2600+2200で・・・」
「4800ね、凄い攻撃力・・・」
「そう、4800!・・・ってそれで直接攻撃されたら俺の負けじゃん!?」
だな。リバース無しで防ぐ手段がある・・・わけないか。防ぐカードがないわけじゃないが殆どディフォーマーとはシナジーしない。入れてるはずがない。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
龍亜のライフが0を示しディスクが停止。ソリットビジョンが消え去る。




後書き

初めての投稿ってことでおっかなびっくり感がやばいです。
今も何か間違えてないかとはらはらしながら文章を打っています(苦笑

というわけで遊戯王5D'sの二次創作です。ゼアルやってるのに今更か!という感じもありますが5D'sが好きだったので書きたかったんです。
デュエルもある程度のクオリティを維持しつつ書きたいなぁ・・・と努力しております。
カード効果についてはカード化されていないものは原作の効果、されているものはOCGを参考にしたいと思います。
今回のモバホンとかもOCG効果ですな。
さて、ここから書き始めるとなるとフォーチュンカップ、ダグナーetcetc・・・終わりのアーククレイドルがとてつもなく遠いです(笑
最後まで頑張って書いていきたいですねー。



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