「罠発動!サンダー・ブレイク!手札一枚をコストに、スピード・ブースターを破壊する!」
「何!?」

雷撃がムクロのスピードブースターを破壊する。

「くそっ、俺はカードを一枚伏せターンエンドだ!」
「俺のターン、ドロー!俺はSp−エンジェル・バトンを発動!カードを二枚引き、その後手札を一枚捨てる!」

揃ったぜ、これで行ける!

「俺は手札からSp−オーバーブーストを発動!このターン俺のスピードカウンターを四つ追加する!」
「なにぃ!俺のカウンターより増えただとぉ!?」

3:6だったカウンターが7:6になり、俺のD・ホイールが速度を上げ、ムクロを抜き去る。

「更に手札からSp−パワー・バトンを発動!スピードカウンターが六つ以上あるとき、デッキからモンスターを一枚墓地へ送り、そのモンスターの攻撃力だけ自分のモンスター一体の攻撃力を上げる!次のターン、ドローできなくなるがな。」
「次のドローを捨ててまで攻撃を仕掛けてくるのか、良い度胸だな!」
「俺はデッキからもう一体のゾンビ・マスターを墓地へ送り、場のゾンビ・マスターの攻撃力を3600にする!」
「3600だとぉ!!」

観客からも予想外の数字に驚きが出ている。だがもう一つあるんだな。

「俺はゾンビ・マスターの効果発動!手札から馬頭鬼を墓地に送り、ゾンビ・マスターを蘇生させる!更に、今墓地へ送った馬頭鬼を除外する事で、墓地のゾンビキャリアを特殊召喚する!」
「まだ出てくるのかよぉ!?」
「レベル4のゾンビ・マスターにレベル2のゾンビキャリアをチューニング!闇に落ちし龍よ、今不死者の力を得て、この場に蘇れ!シンクロ召喚!不死の龍、デスカイザー・ドラゴン!」

現れるボロボロな龍。これで準備は整った。

「デスカイザーの特殊召喚により、お前の墓地からアンデット一体を特殊召喚できるが・・・別にいらないな。ゾンビ・マスターでスカル・フレイムを攻撃!」
「くっ!」
「とどめだ!デスカイザー・ドラゴンで直接攻撃!」
「ぐはぁ!!」

ムクロのLPが0を刻み、D・ホイールが停止する。D・ホイールを止め、ムクロに近寄る。

「良いデュエルだったぜ。」
「あぁ、やるじゃねぇか。まさか速度で負けるとはな・・・」
「今回運が良かっただけだ。次は負けるかもしれないぜ?」
「はっ、次やるときは俺が勝つに決まってる!」

笑いあい、握手を交わし退場していく。

「初戦から波乱の幕開け!勝利をもぎ取ったのは、朝霧蒼真だー!」

歓声を受けながら退場した先の通路で遊星が待っていた。

「良いデュエルだったな。」
「最後は運が良かっただけだ、何とも言えないぜ。」
「運なんかじゃない、カードが応えてくれただけさ。」
「そうか?・・・ま、それなら良いな。」

苦笑しながら遊星と歩いてると龍可、龍亜に天兵がこっちに歩いてきてた。

「あ、蒼真ー!勝ったじゃん、すごかったぜ!」
「おめでとう、蒼真。この調子だよ。」
「凄かったですよー、最後のパワー・バトンとか格好良かったです!」
「あ、ありがとな。」

複数人に褒められると言うことに慣れてないせいかぎこちない返答になる。面食らうってこんな感じか?
一通り言い終わると三人の視線は遊星へずれる。

「遊星も負けちゃ駄目だよ!俺等ちゃんと遊星も応援してるんだからね!」
「ファイトだよ、遊星。」
「が、頑張ってください!」

天兵はまだ遊星に慣れてないのかおっかなびっくりと言った感じだがそれぞれ激励を送る。
遊星がそれに返答しようとした瞬間一人の女性が歩いてきた。

十六夜アキ。同じく大会参加者の一人。そしてシグナーの一人。
彼女は何事も無いように俺たちを避けてデュエル場に向かっている。
ただ、遊星の横を通ったとき確かに遊星を見た。同じ痣持ちが気にかかるのかね。
十六夜が去り、その場には何ともいえない空気が残された。

「さて、龍可に龍亜。それに天兵って言ったっけ?俺等は観客席に行くか。ここに居てもデュエルは見れないしな。」
「う、うん・・・。」
「分かった・・・。」
「・・・。」

龍可だけが十六夜の去った後を見つめている。

「おーい・・・龍可?どうした?」
「えっ?何?」
「いや、観客席に行こうって話だが、いきなりボーッとして何かあったか?」
「うん・・・あの人のデッキが気にかかって・・・。」

デッキ?デュエル前だからディスクに刺さった状態のままに見えたが・・・?

「あの人のデッキ、なんだか苦しそうだったの・・・。」
「苦しそうねぇ・・・。」
「あ、気にしないで。私がそう感じちゃっただけだから。さ、戻ろ?」

何のことだか分からない俺達を気遣ってか、龍可が先導して観客席に戻っていった。
天兵と龍亜はイマイチ理解できなさそうに戻っていったが、俺は残って遊星に聞いた。

「なぁ、もしかしてあいつは・・・。」
「かもしれない。だが、まだ確証が無い。」
「だが、あいつがそうだとしたらカードが苦しそうにも納得できるだろ。人を傷つけるのはカードだって嫌な筈だ。」
「・・・何も無いうちから決め付けるわけには行かない。次の試合を見てからでも遅くないだろう。」
「・・・それもそうか、じゃあ俺は観客席に戻る。」
「ああ。」
「試合頑張れよ、遊星。」
「いつも通り、カードを信じて戦うだけさ。」

遊星の健闘を祈り、観客席に戻る。
戻ってきたが龍可がやはり十六夜のデッキを気にしているようだ。

「龍可、そんなに気になるのか?」
「うん・・・カード達が苦しそうなの。」
「うーん、苦しそうと言ってもなぁ・・・。」

どうしようもない。正直に言ってどうしようもない。
本人の意思でやってる以上俺たちに口を挟む事はできない。

「多分だけど遊星ならどうにかしてくれるさ。」

気休めで言った事。だが本当に遊星がどうにかするだろうと思って言った部分もある。
ここ数日で分かったが遊星には人を引き付ける何かがある。
そんな遊星だからシグナーとなったのか、シグナーだからそうなったのかは分からない。
どっちでも関係無いけどな・・・。

「・・・そうね、遊星ならどうにかできるかもしれないね。」
「そうそう、深く考えちゃ駄目だ。こんなときこそ気楽に、な?」
「蒼真は気楽すぎるよ〜。」
「ん、そうかな?」

笑いながら会話を交わす。気が紛れたみたいで良かった。
そうしているうちにデュエルの準備は終わっていたようだ。
十六夜と対戦相手・・・ジル・ド・ランスボウとか言ったか。二人とも舞台に上っている。

「「デュエル!」」

二人の声と共にデュエルは始まった。
と言っても結末は知ってるからなぁ・・・十六夜の勝ちを知っている以上内容にさして興味は無かった。
ブラック・ガーデンとブラック・ローズ・ドラゴンは良いコンボと思ったがそれくらいだな。
デュエルが終わりジルが倒れると、魔女を恐れた会場が騒がしくなったがそれも一時的なもの。
次のデュエルが始まる頃にはそちらに期待し、魔女のことなど話題に上がらなかった。

「さぁ、次のデュエルもスタンディングだ!ライディングじゃないが許してくれよぉ!」

会場に笑い混じりの歓声が飛び交う。デュエルが見たいのだからどちらでもそこまで気にしないということだろう。

「まずは開幕式から一悶着あったが彼も立派なデュエリスト!不動遊星!」

何ともいえない紹介だが他に言いようもないだろう。会場からはブーイングが飛び交うが本人は一切揺るがない。
あの精神力は俺にも分けて欲しいな。

「対戦相手は敵を知りカードを知れば負け知らず!デュエル・プロファイラー来宮だ!」

出てきたのはすかした感じのする男。あいつとは仲良くできなさそうだな。
二人が向かい合いディスクを構える。

「不動遊星、今回はお前のデッキの弱点を暴かせてもらった。残念だが初戦敗退がお前の未来だ。」
「・・・ふっ、そうなるといいな。」
「「デュエル!」」

「俺からやらせてもらおう。ドロー!俺は磨破羅魏を召喚!」

出てくる土偶のモンスター。スピリットか、なかなか使う奴を見ないな。

「そしてカードを3枚伏せてターンエンドだ!このエンドフェイズに磨破羅魏は手札に戻る。」
「俺のターン、ドロー!」
「この瞬間永続罠を発動、サモン・リミッター!お互いに召喚・特殊召喚・反転召喚はターンに合計二度までしか行えない!」

「え、お互いってことは自分も?それ意味あるの〜?」
「考えてみろ龍亜。シンクロ召喚に必要なものを。」
「え?えっと、チューナーとチューナー以外のモンスター?」
「その二体を揃える時点で二回召喚を使っている。つまりシンクロ召喚はそのターンできないんだ。」
「・・・そっか!って大変じゃん!?シンクロが出来ないんじゃ遊星がめちゃくちゃ不利だよ!?」

遊星の戦い方を分かっているな、あいつ。シンクロ召喚に数が居るのは当たり前だ。
特にジャンク・シンクロンを潰されたと言っても過言ではない。
どうする、遊星・・・?


後書き

えー、前回投稿から一ヶ月以上経ってますね。
もし待ってる方いらしたら土下座して謝りたいです。
実は身内が一人入院する騒ぎがありまして時間が取れませんでした。
幸い命に関わるとかそういったものではなかったですが入院のための用意をしたりと忙しくここ一ヶ月は仕事と平行してそんなことをしていたので時間があるはずもなく・・・。
まぁ治ってくれたので全然良いんですけどね。

とそんな感じで忙しかったんですが更に車の免許を取りに行ってるので次回以降もいつできるか未定です。
来年どうやら仕事の都合上で車が無いとまずくなりそうなので取りに行ってるんですが多分俺は車の運転が苦手なんだろう・・・。
いつも指導員から厳しいチェック飛んで来てます。泣けます。

遊影「という残念な報告は置いといてやろうと思っていた座談会をしようじゃないか!」
蒼真「何だ?いきなり。」
「いや、そろそろ主人公たる君の説明もしときたいしさー。」
「あー、確かに意味深な事言わせといて肝心な事微妙だよなー。」
「うーん、中盤あたりでがっつりばらすつもりだからなー。」
「言っていいのか?それ。」
「んー?大丈夫大丈夫。既に分かってる人は分かってると思うし。」
「作者がそういうならまぁいいが・・・。」

「と、いうわけで!核心に触れない程度に主人公、朝霧蒼真の紹介をしておこう。」
「わー(パチパチ」
「まずは容姿から説明していくか。身長体重に年齢、髪型と髪の色・・・後はまぁ何か適当に。」
「最後雑っ!えーっと、身長は170後半で体重は65くらいだったかな。作中でも出たと思うが16歳だ。ちょうど十六夜と同い年だな。」
「もうちょっと若くしようと思ったけど遊星達と釣り合わないしホイール乗れなさそうだからやめたっていう裏話。」
「なにそれ初めて聞いた。」
「ちなみにこの小説中ではホイールの免許は16から取れるってことになってますよー。現実には二輪の免許何歳からか知らないけど道交法守ってね!」
「だそうだ。髪型は普通よりちょっと長い・・・のか?背中にかからない程度の長さかな。色は黒だ。」
「最初銀髪にしてくれようか悩んだ。」
「すっげー悪目立ちしそうだから止めてくれ。」
「いいじゃん銀髪。俺は好きだよ、厨二っぽくて。」
「厨二とか本気でヤメテクダサイ。」

「次は使用デッキとホイールについてだな。」
「デッキか、多すぎて説明しようがないんだが。」
「多種多様のデッキを使わせます。この作者に同じデッキ使わせるとワンパターンになるんで。」
「努力でどうにかしろよ!」
「俺のデッキはシンクロンクェーサーだから仕方ない。」
「うわぁ、また流行らないデッキを・・・。」
「流行らないかもしれないがクェーサーとシンクロンが好きだから仕方ない。」
「デッキは人の好みだからな。」
「後、デッキは作者がウィキ見たり人に聞いたりして作るので完成度が低くてもあしからず。」
「酷い話だな。」
「まぁチートドローに頼らせないようにしたいんだが相手もチートドローだからな。特に遊星。」
「あいつは例外だから置いておこう。」
「そうだな。」

「さて、ホイールについてだが。」
「ホイールは・・・でかいな。遊星のよりもでかい。でもボマーのよりかは小さいくらいか?」
「白が基調で細めの車体かな、流線型ってやつか?」
「まぁそんな感じだ。」
「ぶっちゃけた話作者にバイクの知識無いからここはカットする!」
「お前・・・マジか。」

「後は何を聞こうかな。龍可と龍亜の家に居候してることか。」
「いや、何で居候してることについて語るんだよ俺が!?」
「だって、龍可の家にねぇ。ファンの幾人から白い目で見られてもおかしくない。」
「ロリコンか、ロリコンなんだなあんたたち・・・。」
「む、失礼な。俺は遊戯王ではエフェクトヴェーラー一筋だぞ。」
「え、そっち?」
「え?違ったか?」
「・・・」
「・・・」
「よし、今回はここまで!お疲れ様でした!」
「え、あ、お疲れ様ー。」



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