こんにちは、みんなのヒロインでアイドルなアスナです

えへへ、冒頭で私に会えるなんて皆さん超ラッキーですね♪

本編でも会えることと思いますがよろしくお願いしますね♪

それではスタートです♪


よし、冒頭で好感度は稼いだはず。後はルーク君辺りにぶりっ子をすれば出番が―――


魔法先生ネギま! ―深淵より呼ばれし者―  第3話


「…アル………どうして私の姿に変装してるの?」

オープニングでの登場がウソの様に無愛想なアスナ嬢

「えぇ?アルって誰ですかぁ?私はアスナですよぉ♪」

それに対するは、愛想を振りまいているもう1人のアスナ嬢

何故か2人のアスナが向かい合っていた

「……………」

「何でそこで黙るかなぁ。私はアスナの好感度を上げる為に頑張ってるのにぃ♪」

無愛想アスナは黙る一方で、ぶりっ子アスナは喋り続けていた

「…………左腕に魔力………右腕に気………アル……死んで」

それに対し、無愛想アスナは咸卦法を使用、禍々しいオーラを放ち始めていた

「ははは………アスナさん、冗談ですよ〜だからその右腕の拳を開きましょうね」

無愛想アスナの強硬手段にぶりっ子アスナ、もといアルは慌てて変装を解いていた

「………イヤ」

しかし姫はご立腹のようである(笑)

「うーん、ではしかたがありません」

アスナがゆっくりとアルに近づいていく中、アルは先ほどのアスナの変装の要領でタカミチに変装した

そしてその姿のままアスナから逃れると、偽タカミチはあるところに向かった

「あっ、ちょっとアルさん、僕の姿に変装するのはやめてくださいよ!」

そこは本物のタカミチのいるところだった

「恨まないで下さいね♪」

そしてアルは意味深な言葉を残すとタカミチを追い抜き姿をくらませた

「あ…アルさん?どういうつもりだったんだろ………ん?」

タカミチにとっては何が何だかさっぱりな状況であった

しかし、彼は全てを理解した

アルが来た方向を見て、全てを………

そこには、咸卦法を使い右腕に膨大な力を圧縮した少女が居たのだから

「ちょっ…ちょっとアスナちゃん!?落ち着こうね?どうせアルさんがイタズラしたんだろうけど僕は本物だからね!?」

「うるさい………どうせ変装なんでしょ……」

焦るタカミチ・聞く耳を持たないアスナ

2人の出会いは悲劇を生むのだった……………


高畑・T・タカミチ 20歳 異国の地でこの世を去る…………


「へぇ、アルのアーティファクトってのは便利だな」

「まぁ敵に回したくないことは間違いないな。ルークも気をつけろよ」

「うん、そうしとく」

先ほどのアルのアスナ変装事件、実はルークにアルの能力を見せる為に実践していたのである

まぁ、アスナの暴走とタカミチの死は脚本に書かれていないことなのだが

「そういえばタカミチは大丈夫なのか?アスナの攻撃が鳩尾に入っていた気がするんだけど………」

アスナの一撃、それはタカミチの鳩尾にクリティカルヒットしていたのである

「………さて、そろそろ詠春が飯の準備を済ませた頃だろうし行くぞ」

ルークの心配を他所に、ナギは見て見ぬ振りをした

5歳児とはいえ手加減無し+咸卦法+鳩尾+マジックキャンセルのコンボを喰らえばいくらナギでもピンチであろう(汗)

ぶっちゃけ、そのダメージ量を考えたくなかったのである

「たしかにいい匂いだな。アスナ〜御飯だからこっち来いよ〜」

そしてルークは食欲に負け、タカミチの事あっさりと忘れていたのだった

「…うん、わかった」

アスナも咸卦法の使用でお腹が減ったのか、あっさりと頷くと駆け出していくのだった

「………ぼ…僕は死んでないよ…………がくっ…………」

その後、復活するも食事が無くてこっそりと泣いていたタカミチが度々目撃されたとかされなかったとか


こうして親睦?を深めつつ日常?は続いた

そしてルーク召喚から2ヶ月が過ぎた頃

「みなさん、すみませんが私は京都に帰ろうと思います。関西呪術協会の長になることが正式に決まったようですので」

詠春が京都に帰ることになったのだ

「ルーク君、もし神鳴流を学びたいならいつでも京都に来ると良いよ」

「うん、わかりました。詠春さんも道中、お気をつけて」

こうして詠春はパーティーを離れた

それからわずか数日が経ち

「悪いがみんな、俺とアルは日本に行くことになった!」

今度はゴーイングマイウェイなナギが突然日本に向かうと言い出したのだった

「な…なんだその視線は!?」

ちなみに、詠春の正式な理由と違い突然言い出した事の為に全員は呆れていた。
だがナギが言い出せば聞かないことを理解し反対はしなかったとか

「まぁ何だ、ルークよ。この天才にしてクールなナギ様が召喚したお前はきっと俺のちょっと下位には来れるだろう」

「超えさせてくれないのかよ!」

「ふっ、当たり前だ!まぁお前は間違いなく強くなるだろう。そこでだ、お前には大切な役目を託すとしよう」

「大切な役目?」

「そうだ、いいか?お前に託すことはアスナのことだ。アスナには普通の女の子として生きて欲しいと皆が思っている。
だがそれは恐らく無理な話だ。アスナの能力などのせいでな」

「アスナの能力ってマジックキャンセルだっけ?」

ルークはアスナも含むパーティーメンバーの事をある程度理解していたりします

「あぁ、マジックキャンセルはかなり希少な上に利用価値が高い。当然利用しようと狙ってくる連中もいる訳だ。
そこでルークにはアスナを狙う連中から守って欲しい訳だ」

「なるほど。でもさ、それなら今まで通りナギたちが守ればいいんじゃないのか?」

「それが1番なのは確かだ。しかしだ、この偉大かつ英雄のナギ様は世界を救う為に戦わなければならない。
そしてその旅に連れて行く時点でだ、アスナに普通の生活をさせるのは不可能だろ?」

「うーん…たしかに………」

「いずれは学校なんかに行かせてやりたいしな。もちろんルークも行けよ?」

「げっ………ま…まぁ考えとくよ…」

「まぁ魔法学校中退の俺が言えることじゃないがな。とにかく、俺が帰ってくるまでアスナのことを頼むぞ」

「おう、任せとけ♪」

こうしてナギとアルは日本へと向かった

この日より、メンバーはルーク・ガトウ・タカミチ・アスナとなった訳なのだが、
1週間ほど経過した頃から日常は変化し始めた

「くっ!ルーク君、援護を頼む!」

「任せとけ!―――狂乱せし地霊の宴よ―――ロックブレイク!」

主力と言うべきナギ・アル・詠春の3人が居なくなったことを知ったバカな連中(彼等を恨む者)が次々と刺客を差し向けてきたのだ

その度に、ルークが譜術で後方支援をしつつアスナの護衛を、タカミチとガトウが前衛として戦っていた

ルークはタカミチが引き付けていたモンスターの群れの中心にロックブレイクを放つ

それの直撃を喰らったモンスターは上空に吹き飛ばされ、そこにタカミチの居合い券が放たれる

2ヶ月と少しの間に、威力・リーチ共に上昇し、戦闘能力向上中のタカミチ

飛ばされて身動きが取れないモンスターにとって居合い券の直撃は有効であり、逃すことなく全てを消滅させていた

「ふぅ、助かったよ、ルーク君」

「どういたしましてだ。ガトウのおっちゃんにも援護を………する必要ないな」

軽く汗を拭うタカミチと援護にもう一発譜術を放とうとしたルークだったが、必要がなかった

「坊主ども、怪我はないか?」

無傷のガトウが既にこちらに向かって来ていたのだ。ちなみに彼の背後には特大のクレーターが無数に存在していた

「俺は後ろで譜術を使っていただけだから何ともないぜ」

「こちらも特に怪我はないですよ」

「……私はルークに守ってもらっていたから大丈夫。それと私、坊主じゃないよ」

「そうだったな。しかしこのルークが持っていたアイテムには本当に大助かりだな」

そう言ってガトウは左手の中指に付けた指輪を見せた

そこにはそこそこ大きめのエメラルドが装飾された指輪がつけられていた

「まったくですね。この1週間、立て続けでモンスターの襲撃がありますからね。少しでも負担が軽くなって助かりますよ」

そういうタカミチの指にはサファイアの装飾がされた指輪をつけている

「もっと早くに気がつくべきだったんだけどな」

ガトウたちが装備していた指輪はルークがこちらの世界に持ち込んだマジックアイテムだったのだ

実はこちらの世界に来た時からずっと腰に袋を下げ、その中にずっと入っていたのだ

しかしどういう訳かルークはそれに気がつくことも無く、またナギたちが聞くことも無くほったらかしだったのだ

そして最近の刺客の多さにアクセサリーでもあれば良いのに!と思っていたら腰にあったのである(笑)

まぁ最初はこちらの世界で効果を発揮するのか疑問だったのだが無事に効果を発揮しので遠慮なく使っているのである

ということでルークも含め全員が装備したのである

ちなみにタカミチはサファイアリング―――魔力・気の消費を25%軽減

ガトウはエメラルドリング―――魔力・気の消費を33%軽減

ルークはフェアリィリング―――魔力・気の消費を50%軽減

ダークシール―――装備者の成長を約1.5倍早める 尚副作用として技・譜術の使用不可、被ダメージが1.5倍に上昇

デモンスシール―――装備者の成長を約2倍早める 尚副作用として様々な状態異常を引き起こす

クローナシンボル―――装備者を状態異常・状態変化から防ぐ

と、ルークは特に大量のアクセサリーを装備している

必要最低限のアクセサリーを装備したルークは急成長を遂げつつあった

ちなみにアスナにもフォースリング―――物理攻撃を20%軽減―――を念の為装備している

尚、ルークとアスナの指には指輪がフィットしなかったので、チェーンに通してネックレスとして装備している

最近の刺客との連続戦闘もこれらのアイテムにより負担は減少し、むしろルークの成長を促進する形となっていたのである

「そういえばルーク君、もう1つの袋には何が入ってるんだい?」

「あっ、こっちか?こっちは消耗品のアイテムが入ってるんだ」

ルークはその中からいくつかの物を出した

「それは………グミだよね?」

「あぁ、グミだぞ」

「へぇ、ルーク君の世界にもグミがあるんだね」

「その言い方だとこっちの世界にもグミがあるのか?」

「この国では手に入らないかもしれないけど日本でなら手に入るよ」

「へぇ〜そうかそうか♪」

ここでの2人の会話………実は微妙にすれ違っていたりする

タカミチの言うグミは一般的に言う、お菓子のグミである

それに対しルークのグミと言う認識は回復アイテムなのである

ルークの世界で旅をする際、必須アイテムの1つがこのグミなのである

一方の世界ではお菓子であるのが当然

もう一方の世界では回復薬であるのが当然

お互いの認識のすれ違いはこれが原因だったのである

「おい、2人とも、さっさと移動するぞ」

「わかりました。さぁ、行こうか、ルーク君」

「りょーかいだ。アスナも行こうぜ」

「………うん」

まぁとにもかくにも、ルークの持ち込んだアイテムのおかげで度重なる連戦にも余裕を持って挑むことが出来た

しかし、これらの攻撃は全てが彼等を疲労させる為のものであり、本格的な襲撃が間近に迫っていたのである


そして―――


「だぁ!ウゼェ!!!何なんだこの敵の数は!?」

詠春から貰った(買ったのはタカミチ)ククルを使いアスナに近寄る敵を片っ端から切り刻んでいるルーク

しかしその敵の量の多さにウンザリ気味だった

ナギたちが離脱して既に3週間

その期間中は昼夜問わずモンスターに襲撃され、さすがに疲労してきたルークたち

そのルークたちに対してモンスターを操り襲わせていた者たちが全てを終わらせる為に最後の襲撃をして来たのだ

術者の数は約100人

彼等は森という地形を活かしつつ、姿を隠し様々なモンスターを召喚した

もし1人が10匹のモンスターを召喚したとしよう

それは単純計算で最低でも1000体のモンスターがいる訳である

誰でもウンザリすることは間違いないであろう

それ以前に100人も徒党を組むことにウンザリである(汗)

まぁその数の暴力にルークを含むメンバーが呆れていた

しかし危険な状況であることには変わりはなかった

中には上位の悪魔までいるこの状況ははっきりいってかなりマズイ

ガトウが前衛、ルークがアスナを守りつつ後方支援、タカミチがルークのサポートとして迎え撃っていた

しかし敵の多さに連携が取れず、今では孤立してしまっていた

「くそっ!ここまで敵が多いとかなりキツイな………(こっちにはアスナがいる以上、迂闊に攻めることも出来ないし)」

ナギに召喚されてからの2ヶ月、そしてナギと分かれてからの3週間でそこそこ強くなったルークであったが
アスナを守る必要がある為に苦戦していた

「…ルーク………大丈夫?」

側に控えるアスナもこの状況に恐怖の感情が見え隠れしていた

「俺を誰だと思ってるんだ?ナギが召喚した…………はっ!?俺ってもしかしてこいつらと同じ存在なのか!?」

そんなアスナを心配させまいと強気なルーク。しかし彼は衝撃の事実を知る!?

そう、ルークもこの周辺にウジャウジャいるモンスターと同じく召喚された存在なのだ(笑)

「………ルーク、今はそれどころじゃない」

プチショックを受けたルークは膝から崩れ落ちると落ち込み始めた

それをどうにか立ち直らせようとするアスナ。ちなみにその表情は先ほどと違い若干緩んでいた

「何か無性に頭にきた………アスナ、しっかりと俺に掴まっておけ!」

前の世界ではレプリカとして

こちらの世界では召喚と言うなんとも不思議な出生を経験したルーク

そして回りの雑魚と同じ存在かもと言う事実にショックだった感情が怒りに変わり始めたルークはアスナを抱き抱える

「…うん、わかった」

アスナも素直に従いルークにしっかりとしがみついた

「はぁぁぁぁ―――――でりゃぁぁ!」

と、叫びながら脚に力を込め一気に上空に飛び上がる

目指すは比較的低い位置で飛行する悪魔

その悪魔の位置まで届くと悪魔の顔面を足場にしてさらに飛び上がる

時には木々を足場にし、これを繰り返し空にいる悪魔連中を全て地面に叩き落としていく

そして最後の1匹を叩き落とす際、敵の群れから離れられるようにガトウ直伝の瞬動を使用

「――アピアース・グランド!」

その最中、比較的詠唱の短い譜術を使い、地の精霊を自らの体に宿し

「―――この重力の中で悶え苦しめ!―――グラビティ!」

サンダーブレードに地の精霊の力を付加させた派生譜術、グラビティを放った

このグラビティは重力を変化、発動地点を中心に過重力空間を展開、その重力でダメージを与える譜術である

効果範囲も広く、ルークを囲んでいたモンスター連中は残らず展開された空間に飲み込まれていた

中では重力に耐え切れず消滅する者、逆らうことが出来ず地面にひれ伏す者など様々であった

「これで終わらせる!―――仇なす者よ、聖なる刻印を刻め!」

そしてルークは後者の者に止めを刺すべく

「―――エクレールラルム!」

更に譜術を放った

グラビティが未だ発動中の中、地面に光の十字が描かれそこから光の刃が伸び、ひれ伏す者を襲った

譜術は美味い具合に生き残りのモンスターにヒット、
全てを片付けたルークはそれを後目にタカミチ・ガトウを捜す為に移動を開始した

そして捜し始めて数分

ルークは直ぐにタカミチやガトウと遭遇することになる

「まさか、遠目で何か派手なものが見えたと思ったらルーク君の譜術でびっくりしたよ」

と言いながらタカミチとあっさり合流したのだ

ルークの放った譜術は結構目立っていたようである

そして3人が一緒になったことでガトウの位置は直ぐにわかった

自分たちが以外のところで巨大な打撃音が響いていたからである

そしてルークたちは発生地点に行くと無数のクレーターが存在していた

これは予想通りのことである

音の正体を正確に理解している彼等には簡単な事である

しかし、彼等にとって予想外の出来事も存在していた

「なっ!?師匠、大丈夫ですか!?」

その中心で重症を負い座り込むガトウがいたのだ

「ガトーのおじさん!?」

その姿はアスナにとって衝撃的であり、今にも泣き出しそうな顔していた

「俺も歳かもしれないな………この程度で不覚を取っちまうとはな」

周囲にはモンスターの気配は今のところ無い

つまりこの周辺のモンスターはガトウが全て倒した訳なのだがその量は『その程度』で済ませられる量ではなかった

敵たちもまずはガトウを倒すつもりだったのか、戦力の7割以上を振り分けていたのだ

「さぁ、お前たち。ここは俺が何とかしとく。さっさと行け」

ガトウが自分の傷の深さを理解していた

そして今自分が出来ることも理解していた

「師匠………」

もちろんタカミチも理解している。しかし納得することは出来なかった

「何だ………辛気臭さい顔しやがって……ん?嬢ちゃん、泣いてんのかい?涙見せるのは……初めてだな。へへ…うれしいねぇ」

普段感情をあまり表に出さないアスナが泣いていた。それだけこの出来事はショックだったのだ

「タカミチ…記憶のことだけどよ、俺のとこだけ念入りに消し…コホッ…ゴフッ………ふぅ…消しといてくれねぇか」

喋るだけでも精一杯な様子のガトウは血を吐き捨てながら告げる。そのガトウの願いは辛く、悲しいのものだった

「な…何を言ってるんですか師匠!?」

「これからの嬢ちゃんには必要ないものだ」

アスナの記憶を消すことは実は前々から考えられていたことだった

彼女に普通の生活を送って欲しいと願うみんなの願いを叶える上で必要な措置だった

しかしこれはナギたちのわがままに過ぎない

アスナも聞けば絶対に反対することであろう

その為今まで実行されなかった訳なのだ

だが、今の状況はガトウの言うとおりのものであり、タカミチは納得するしかなかった

「やだ……ナギたちも帰ってこないし………それにおじさんまで……」

しかしアスナは納得出来なかった

ナギは日本に行ったまま帰って来ていない。さらにガトウまで居なくなることをアスナは恐れているのだ

「幸せになりな、嬢ちゃん。あんたにはその権利がある………それにタカミチやルークがついているだろ?」

近づいてきたアスナの頭を軽く撫でるガトウ

「やだ………居なくなっちゃやだ!」

そのガトウに必死になってしがみ付き自らの願いを言うアスナ

「ふぅ………タカミチ、嬢ちゃんを連れてさっさと行け」

ガトウにはそれが辛かったのか、タカミチに早く行くように指示した

「師匠………わかりました。さぁ、ルーク君も行くよ!」

タカミチは躊躇ったものの、アスナを抱き抱え、先ほどから黙り込んでいるルークに呼びかけた

「坊主………嬢ちゃんとタカミチのことを―――――」

ガトウは最後にルークに2人のことを託そうとしていた。だが―――

「タカミチ、アスナの記憶さ………俺のもしっかりと消しておいてくれよ」

ルークは自らもここに残ることを選んでいた

「おい、坊主!何を言ってやがる!」

「言ったとおりだ。俺はここに残る」

「ルーク君!?」

「坊主、残ったって意味はない。さっさと行け!」

「意味はあるさ。生き残れるかもしれないってのにガトウのおっちゃんを死なせて堪るかよ!」

「!?…それなら僕も残るよ!」

「いや、タカミチにはアスナを連れて逃げてくれ。成功する確率は低い。それに2人の方が成功率は上がるんだ」

「だけど!?」

「坊主………本気なのか?」

「あぁ、本気だ。記憶を消すって言っても何れは思い出すかもしれない。その時におっちゃんがいないと寂しいだろ?」

と、ニヤリと笑うルーク。その表情は悪巧みでもあるような顔だった

「……………くっくっく………たしかにそうだ。どうせなら花嫁姿くらい見てやりたいしな」

それにつられてガトウも笑い出した

「タカミチ、いいか……お前はとにかく嬢ちゃんを連れて逃げろ。そして記憶も念の為しっかりと消しておけ。いいな?」

そしてガトウはルークと共に残ることを選んでいた

「………わかりました。必ず約束します。ですから師匠もルーク君も戻ってきてくださいよ?」

タカミチは何を言っても無駄と判断したのか素直に従い、2人の無事を願った

「仕方がないな………不甲斐ない弟子の為に頑張ってやるさ」

「俺は死ぬ気何てないからな。必ず戻ってやるさ♪」

それに対する2人の答えは先ほどの絶望的な状況より幾分か光が見えていた

「やだ!私も残る!これ以上皆と別れるのはいや!」

しかしアスナは納得出来ずにいた

「アスナには幸せに生きて欲しいんだ。それでもし俺たちと居ることが幸せなんだったら必ず会いに行ってやる」

「…ルーク」

「さぁ、タカミチ。さっさと連れて行くんだ」

「元気でな、アスナ」

「はい。行くよ………アスナちゃん」

「ルーク!?おじさん!?」

アスナが叫ぶ中、タカミチはルークとガトウの元を離れ走り続けたのだ………振り返ることなく

「さて、おっちゃん。敵はおそらくおっちゃんにかなりのダメージを与えれたことで調子にのってる筈だ。
だからこっちはそれを突く。そしてこれがこの作戦に欠かせないアイテムだ」

「ん?………それは…この前のグミか?」

ルークの手に置かれた物―――――それは紫色のグミだった



それから数分後

「だっはっは!しょせんサウザンドマスターの仲間もこの程度って訳だ」

ガトウの目の前には今まで姿を隠していた術者が勢ぞろいしていた

「俺1人の為にここまで集まってくれるとはうれしいねぇ」

そんな100人ほどの術者に対してガトウは軽口で答えていた

「ずいぶんと余裕そうじゃねぇかよ。えぇ?」

「これが余裕そうに見えるか?痛くて意識を保つのが精一杯だってのによ」

「そうかそうか!それはすまなかったな。さっさと貴様を倒して残りの奴等も同じところへ送ってやるさ」

「そうか………」

そう呟くとガトウはポケットから何かを出そうとした

「貴様、何をする気だ!」

その動きに過剰に反応するのは術者連中

「あぁ、最後に好物のグミでも食べようと思ってな」

そう言って出された物は紫色のグミだった

「くっくっく、だっはっはっはっは!そうかそうか、ならゆっくりと味わって食べろよ?くっくっくっくっく」

それを聞いた瞬間、術者連中は大笑いし始めていた

この選択が大きな間違いともしらずに

「じゃあ遠慮なく――――」

そしてガトウはグミを口に含みじっくりと味わってよく噛み、飲み込んだ

その瞬間である。ガトウが淡い光に包まれたのは

「な…なんだ!?」

それにまたも過剰に反応する術者連中

「ふぅ………最初は冗談と思っていたが……全く、面白い食べ物があるものだな」

そう呟きながらガトウはゆっくりと立ち上がる

その体には怪我らしいものが無く、健康体になっていた

先ほどルークが渡したグミ―――

それはルークの世界でスペシャルグミと呼ばれ、
あらゆる怪我を治し、魔力や気を全快にまで回復してくれる反則的なアイテムだったのだ

「ふぅ………さて、貴様ら………覚悟はいいか?」

懐からタバコを取り出してまずは一腹

最近はアスナとルークの為に禁煙していたガトウなだけに、とても美味そうな表情を浮かべていた

「ひっ!?」

しかしそれらは術者連中にはかなり怖いものだった

「お…落ち着くんだ!こっちは100人は居るんだ。負けるわけが無いんだろ!」

しかし1人の発言が士気を高めた

そう、今の図式は1対100

さらに召喚することの出来るモンスターを含めればそれ以上の圧倒的有利な立場なのである

「おまえらにいい事を教えてやる」

そんな時、ガトウが突然喋りだしたのだ

「今回の俺の役目は一応囮だ。つまり本命は別にある」

そう言ってガトウは上空を見上げる

術者たちも釣られて上を見た

そして見えたのは―――――隕石だった



「今頃おっちゃんはグミを食べてる頃だろう。つまり準備は出来ている訳だ。
おまえらのせいでガトウのおっちゃんは怪我をした。そしてアスナを泣かせた………絶対に許すつもりはない!」

ここいらで一番高い木に登ったルークはどうやらご立腹な様子である

ルークが見た先にはガトウと100人の術者

今からあそこが恐怖の舞台となる

「覚悟しろよ―――――無数の流星よ、かの地より来たれ!」

今までにルークが使ったどの譜術よりも魔力の練る時間を要し、消耗する量も桁外れ、
上級譜術の中でも禁譜とされたそれを―――――

「――――――――――メテオスォーム!」

愚かな争いに終止符を打つべく、解き放つのだった

メテオスォーム―――上空より14発もの隕石を降らせることの出来る広範囲・高威力の譜術である

直撃すればそれこそ跡形も無く消えるであろうその一撃を、ルークは直撃させてやろうかと言う怒りを抑え、
彼等の周囲に落とした

しかし、それでも恐ろしいことに変わりはなかった

高高度から落ちるそれが生み出す衝撃波は並みの魔法ではまずありえない程の威力を生み出す

それこそ周囲の木々は全て根から吹き飛ばされる

肝心のターゲットである術者たちは、自らが展開する障壁をシャボン玉の様に弾けさせられて消滅、
盾が無くなった状態で衝撃波とそれに便乗してやってくる岩・木々・隕石の破片などによる集中砲火を受けていた

ちなみにガトウは術者たちに上を見させた瞬間に離脱していた

「グミといい、このデタラメな譜術の威力といい………ナギを越えるんじゃないか?」

そして今はルークの側にまで来ていた

「いつかは越えたいが今は無理だな。これがあったからこそ成功したわけだしな」

そう言ってルークが見せたのはメテオスォームを使うことで追加したアクセサリーだった

それはミスティシンボルと呼ばれ、詠唱時間を短縮する代物である

その他にも、フォニックマークと呼ばれる譜術の威力を上昇させる物や、
魔力量の最大値を上昇させるムーンストーンなどを装備していた

「しかしぶっつけ本番でメテオスォームを使ってみたわけだが本当に成功して何よりだったよ」

実はルークがメテオスォームを使おうと思ったのはこれが初めてだったのだ

襲撃が頻繁になって約3週間、ルークはこの間に様々な譜術を実践で使用していた

先ほど使われたエクレールラルムもその1つである

「別に失敗してくれてもよかったんだぞ?あの程度の術者なら召喚される前に瞬殺出来るからな」

「たしかにあの状況ならおっちゃんがサクッと片付けただろうけどさ、
やっぱりもう2度と俺たちを襲わないって気持ちにさせたかったからな。」

そう言ってルークは悲劇の舞台となっていた地点を見る

そこにはボロキレと化した愚かな連中が山となって気絶していた

彼等を囲うように落ちた隕石の衝撃で、そこら辺の物と共に中央に集められていたのだ

「あれは下手すりゃトラウマになるような状況だ。それにあの怪我じゃしばらくは襲って来られないだろうな」

「だな。これで安心して町に行けるな。早速何か食べに行こうぜ♪」

ルークたちは最近の襲撃で町に迷惑をかける訳にはいかず町にあまり近づいていなかったのだ

「そうだな。これからのこともあるしそこでノンビリと考えるとするか」

こうして2人はゴミを放置して町へと向かった


余談であるが数時間後、近くを偶然通りかかった一般人に術者連中は発見され、その村の住民全員が協力して
術者の保護をしたそうな

その住民のやさしさに触れて関心―――なんてベタな展開は直ぐに起きなかったものの、
それでも重症の者も居た為に結局その村に厄介になるのだった

それから数ヶ月後、その村で暮らし結局はベタな展開となった術者がボディーガードとして生きて行ったそうな


とにもかくにも、ルークたちは数日ほど町で休息を取りながらこれからについて考えていた

ナギの仲間であるアスナとタカミチに刺客でも行くとなれば一大事

そこでルークとガトウは自らが餌となり、こちらに刺客の目が行く様にしようと考えていた

しかし、それらをする必要が突然無くなるのだった

彼等が町を出ようとしたその日、魔法界を震撼させるニュースが伝えられたからである

その内容は―――――サウザンドマスターであるナギ・スプリングフィールドが死んだと言うことだった


第4話に続く





あとがき
どうも、こんばんは。ズズでございます。
まずはここまで読んでいただきありがとうございます。
特にweb拍手を送って下さっている方には感謝感激でございます♪

さて、第3話でございますが………過去編が詳しくわからないのでさっさと終わらせるべく、ネタを詰め込んじゃいました(汗)
その為、第2話でまとめた設定に一部変更があったので変更、そして追加を〜

・年齢低下により能力は低下していたが、ダークシール・デモンスシールの効果と咸卦法で能力はそこそこ上昇中
・譜術も上記のアイテムのおかげで様々な譜術を使用可能
・アイテム関係はほとんどがアビス世界の時と同等の能力がある
・アクセサリーの装備数に制限は無い
・譜術『アピアース』系は地点選択も可能であるが、人物に対しての使用も可能
・アッシュが元々使用出来た派生譜術『アイシクルレイン』『エクスプロード』は普通に発動可能
・ガトウとの修行により、瞬動を使用可能(のちに虚空瞬動も覚える)

アイテムの装備数に制限は無い
上の設定はのんびりと話を展開しつつ進めて行こうと思っていたのですが原作の時間軸に程遠いので一気に飛びました

さて、ここで皆さんに質問がございます

まず1つ目、浮遊術を使えるようにするか否かです
ナギ曰く、ハイレベル戦闘では浮遊術が無いとキツイらしく、せめて虚空瞬動くらいは覚えないといけないそうです
一応ゲームで2段ジャンプが出来るくらいだし、虚空瞬動は出来ると思っております
しかし、浮遊術に関しては迷うところであります
と言うか浮遊術の発動条件が一切分からないので迷ってるんですよね(汗)

そして2つ目、譜歌を使えるか否かです
聞き取れない部分は省けばどうにかなると思っているのですが
意味を理解しないと使えないなどがあるのでちょっと悩み中です

この2つ以外にも言いたいことなどありましたら遠慮なくお聞きください
確信に迫るようなネタバレ以外は基本的にお答えしたいと思っていますので

さて、相変わらず長いあとがきとなってしまいましたがそろそろ失礼させていただきます
ここまで読んでいただきありがとうございました
ではまたお会いしましょう〜ではでは



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