ここは全年齢対応の小説投稿掲示板です。小説以外の書き込みはご遠慮ください。

風と共に去りぬ  風丸×宮坂
作者:もちこ   2012/01/18(水) 00:18公開   ID:55zAnhAAloI



sade:宮坂


ーガラッ

三年生の教室のドアを開けてみた。
いつもなら、

「お、宮坂!」
 
そう言って、風丸先輩が手を振ってくるのが当たり前だった。
しかし、今の教室は、シンッと静まり、誰も居ない。
今日は、風丸先輩達の卒業式だ。
式は、先程終わった。
僕は、切ない気持ちを押さえつつ、教室に入り、戸を閉めた。

「卒業式が終わったら、俺の教室で待っててくれ」

風丸先輩は、卒業式が始まる前にそう言った。
教室の窓から下を覗くと、三年生が集合写真を撮ってるのが見えた。

「留年しちゃえばいいのに・・・・・」

なんて呟いてみた。
叶わぬ願いだと言う事は、分かってる。
この前まで先輩が座っていた椅子に座ってみた。
机に触れると、微かにザラついた感覚がする。
もうすぐ、この椅子と机に知らない誰かが座り、先輩以外の人間が、雷門の二番のユニフォームを着てグラウンドを走るなんて想像出来なかった。
いや、
想像したく無いだけなのかもしれない。
先輩がこの学校から居なくなるなんて・・・
只でさえ、FFIの期間中、寂しかったのに・・・・
この前、

「先輩、どこの高校に行くんですか?」

と、先輩に聞いた。
先輩曰く。

「俺の行く高校を伝えたら、お前はついて来るだろ?お前には、お前の道があるだろ?」

だ、そうだ。
ついて行って何が悪いんですか。
何ては言い返しても、風丸先輩は、困った様に笑うだけだった。
僕が、椅子から立ち上がったと同時に、風丸先輩が教室に入って来た。

「ごめん、待ったか?」

そう言って、風丸先輩が教室に入って来た。
僕は小さく首を、振った。

「そうか・・・・」

そう言って風丸先輩は、僕の頭を撫でる。
微かに滲む視界。

「寂しい・・・・か?」

当たり前の質問に、僕は何もいわずうつ向いた。

「ごめんな・・・・」

不意に風丸先輩が謝る。

ーなんで謝るんですか!

そう言いたかったのに、言葉が喉で止まってしまった。
 
「・・・・・ッ、」

泣きじゃくる僕を、風丸先輩は優しく抱き締めた。

「か、風丸せー」

思わず言葉を切った。
抱き締められた僕の目に入っていたのは、無造作に糸が解れた第二ボタンだった。

『第二ボタンは、僕に下さいね』

なんて、風丸先輩に言ったのは、今から1週間前。

ー誰かにあげかのかな・・・・
風丸先輩は、モテるから、その位当たり前か・・・・

自分に言い聞かせる。

「宮坂?」

僕は、無意識に風丸先輩の制服を握っていたらしく、先輩が心配そうに僕を見た。

「ねぇ・・・・先輩・・・・」
ー後一年早く産まれてたら、あなたの傍に居れましたか?

最後の言葉は、蚊の鳴くような小さな声になってしまった。
きっと風丸先輩の耳に届く事は、無いだろう・・・・・・






続く

■作家さんに感想を送る
■作者からのメッセージ

昨日に引き続きイナイレです・・・・
今回は、一期キャラのcpで・・・・
多分3話分?
次回は、同じ場面をsaid風丸さんでお送りします!
あ、
咎狩りの方もまだちゃんと更新します!


謎の女騎士◆JU43/919amA様

感想ありがとうございました(´∀`*
とても嬉しいです(///∀///)
是非、謎の女騎士◆JU43/919amA様の所も拝見させて頂きます^^
テキストサイズ:2148

■作品一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集
Anthologys v2.5e Script by YASUU!!− −Ver.Mini Arrange by ZERO− −Designed by SILUFENIA
Copyright(c)2012 SILUFENIA別館 All rights reserved.