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運命戦記リリカルEXTRA.AC改 無印編6、もう一人の魔法少女
作者:起源くん   2012/08/04(土) 12:14公開   ID:ACn/HtNdYIQ
あれから特に事件もなく、穏やかな日常が過ぎ去っていた。
その間もなのはは魔法の特訓をしていた。
そして今日も、朝早く公園でやっている。

「それじゃ行くよ!」

なのはは落ちていた空き缶を上空に投げた。

「ディバインシューター!」

なのははレイジングハートを使わずディバインシューターを放ち、空き缶に当て続けた。

「21、22、23・・・・・」

段々とスピードを上げつつ、空き缶を当て続けるなのは。

「38、39、よんじゅ!?・・・・・」

40回目で外し、空き缶は地面に落ちた。
それを見ていた優人とユーノはなのはに拍手をした。

「凄いよなのは!まだ1週間ぐらいしか経って無いのに、もうそこまでコントロール出来るなんて!」

「本当、なのは上達が早いな。俺なんか、ようやくバリアジャケットを展開出来るようになったばかりなのに・・・・・」

優人は自分の格好を見せた。
紺色のロングコートに黒いズボン。首には赤いマフラーを巻いており、両手には黒い指無しグローブが装着されている。
この1週間優人は、ユーノにバリアジャケットの展開の仕方を教えていた。
流石に防護服無しは危険だと判断したのだろう。
他にも、なのは同様に魔法について教えてもらっているが、なのはと違ってまだ基礎魔法の修得の真っ最中である。

「優くんのバリアジャケット、カッコいいよ」

「ありがとうなのは。そろそろ時間だから、今日はここまでにしよう」

「うん!」

そして3人は帰路につくのだった。




優人達3人は恭也の付き添いで、すずかの屋敷に来ていた。もちろんアリサもそこにいる。
なのは、アリサ、すずかの3人は中庭のテーブルで紅茶やお菓子を食べていた。

「ところで、魔法の特訓ってどうなの?」

アリサがふと、なのはに聞いてきた。やはり気になるのだろう。

「結構順調だよ。この間少しだけだけど、空飛べるようになったの」

「空を飛べるの?」

「うん。でも、結構難しいの。ちょっと間違えると地面に落ちそうになるし・・・・・」

「え!?大丈夫なの!?」

「うん。その時はレイジングハートが助けてくれるから」

【マスターを助けるのが、私の役目です】

「主人思いの子ね」

「えへへ、そうでしょ」

3人が談笑していると、フェレット姿のユーノがなのはに向かって走りよって来た。

「た、助けて〜!」

「ユーノくん?どうしたの?」

なのははユーノを抱き抱えながら聞いた。
するとユーノは、後ろを指しながら言った。

「猫に・・・・・猫に追いかけられていたんだ」

「猫?・・・・・にゃあ!?」

なのはが見た光景は、猫の大軍だった。
どうやらフェレット姿のユーノに興味を持ってしまったのだろう。その数は10を越えていた。

「「「「にゃ〜、にゃ〜、にゃ〜」」」」

「ほら皆、解散して。ユーノくんはオモチャじゃないよ」

すずかはどうにか猫の大軍を解散させようとしたが、猫は言うこと聞かず、徐々になのはの周りに集まって来た。

「ど、どうしょう・・・・・」

「猫大将の優人はどうしたのよ!」

「アッチで、猫に埋もれているよ」

すずかが指を指した先には、猫に埋もれている優人の姿があった。
その顔は幸福に道溢れていた。

「は〜猫は良いな・・・・・」

「はいそこ、幸せに浸ってるのは良いけど。なのはとユーノを助けてやんなさい」

「・・・・・ん?ああ、わかった。お前ら集合!」

そう言って優人は手を叩く。
するとなのはを囲んでいた猫達は瞬く間に優人に集まりだした。

「ふ〜助かった。でも、なんで優人の言うことをよく聞くんだろう?この猫はすずかの猫なんでしょ?」

「そうだけど、殆んど優人くんが拾った猫なんだ」

「ええ!?本当!?」

その事実にユーノは驚愕した。それもその筈、猫の数は軽く20を越えているのだから、すずかの屋敷は正に猫屋敷その物なのだ。

「切っ掛けは確か・・・・・私達が友達になって直ぐだったと思う」

すずかは語る。
四人が友人になってしばらくすると、優人がこそこそ何かをしてたらしく、後を追ってみたら10匹以上の猫を神社の裏で世話をしていた。
話によると、最初は一匹だけだったが、徐々に増えていってしまい困っていたのだ。
そこですずかは―――。

『私が引き取ってあげる』

そう言って、その場にいた猫を皆引き取ってくれたのだ。

「へ〜そんな事があったんだ」

「そうよ。因みに、未だに優人は猫を拾って来るから、すずかの屋敷が猫屋敷になったのよね」

「うん。でも、私は大歓迎だよ」

「優くんもすずかちゃんも猫好きだからね」

「僕は今回の事で、苦手になりそうだけど・・・・・」

そんな会話をしていると、優人は猫を引き連れてやって来た。

「なぁすずか。晴貞は?」

「晴貞?」

「優人くんが最近拾って来た子猫だよ。・・・・・おかしいな?朝は見かけたんだけど・・・・・」

すずかは辺りを見回すが、晴貞を見つける事が出来なかった。

「ちょっと探すわよ。もしかしたら何かあったかも知れないし」

「うん、わかったよアリサちゃん」

そう言って3人は立ち上がり、晴貞の捜索を開始した。




捜索から数十分が経過したが、晴貞を見つける事が出来なかった。

「どうしょう・・・・・こんなに探してるのに見つからない・・・・・」

「なのは、こういう時はエリアサーチを使えばいいんだよ」

「流石ユーノくん!じゃあさっそく・・・・・」

その時、ジュエルシードの発動の魔力を感じた。
どうやら、かなり近い場所で発動したらしい。

「ジュエルシードがこんな近くに!?」

「今なら間に合う!行こうなのは!」

「うん、わかった!」

ユーノの指示に従い、なのははジュエルシードの元に向かった。
木々を抜けた先にあった物は――――。

「にゃ〜〜〜ん」

巨大な猫がいた。

「「・・・・・」」

あまりにも予想外の出来事に、二人は固まってしまった。

「ど、どうしてこんなに大きくなっちゃたの?」

「た、たぶん。ジュエルシードがあの子の願い・・・・・大きくなりたい願いを叶えたんだと思う・・・・・」

「そ、そうなんだ・・・・・どうしょう・・・・・」

「取り合えず、ジュエルシードを封印しよう。害は無くても、このままにして置けないよ」

「そうだね。それじゃ・・・・・」

なのはがレイジングハートを起動させようとした時、上の方から声がしてきた。

「おーい!なのは、ユーノ、こっちだ!」

二人は声の方に視線を向けると、そこには巨大猫に乗っかている優人がいた。

「優人!?」

「優くん!?どうしてそこにいるの!?」

「晴貞を探していたら、ジュエルシードの発動を感知したんだ。だから急いでその場所に向かったら、巨大化した晴貞を見つけた」

「晴貞って・・・・・その猫!なの?」

「大きくなっちゃたから、全然気づかなかったよ・・・・・」

「にゃ〜〜ん」

まるで肯定するかのように、猫は鳴いた。

「その猫が晴貞ってのはわかったけど、優人は何しているの?」

「ん?見てわかんないか?巨大晴貞と遊んでいるんだ」

「「・・・・・」」

優人は当然のように言った。
その言葉を聞いた二人は再び固まってしまった。

「い、いやいやいや!遊んでいる場合じゃないよ!早くジュエルシードを封印しないと・・・・・」

「何で?見たところ害は無いんだし、急ぐ必要も無いと思う」

「それでもロストロギアは早く封印しないと、何か起きるかわからないよ」

「だが断る!」

「へ―――?」

「巨大晴貞と遊べる機会は今しかないんだ!これを遊ばずに何が猫好きだ!」

「意味わかんないよ!?」

そんなやり取りをしていると、突如金色の魔力弾が飛んできて晴貞に直撃した。

「に゛ゃ〜〜ん!!」

「うわぁ!?」

優人はその衝撃で晴貞から落ちてしまった。

「優くん!!レイジングハート!」

【セットアップ】

なのはは急いでレイジングハートを起動し、バリアジャケットを展開させ。飛行魔法で空を飛び、落ちてくる優人を受け止めた。

「大丈夫!?優くん!」

「俺より、晴貞が・・・・・」

晴貞の方を見てみると、よろけながらも立ち上がろうとしている。
すると再び、金色の魔力弾が晴貞を襲おうとしていた。

「hack!」

優人の魔術が魔力弾を相殺した。
すると、一人の少女と一匹の狼が降り立った。

「私たち以外の魔導師だよ。どうするフェイト?」

「「喋った!?」」

狼が喋った事に優人となのはは驚いて声を上げた。
するとユーノが念話で、狼について話し出した。

《あの狼は、あの子の使い魔だと思う》

《使い魔って、動物を使役する奴だよな?》

《うん、使い魔を持つって事は、優秀な魔導師の証にもなるからね》

《あの子も魔導師・・・・・》

するとなのはは、少女に向かって話しかけた。

「どうして晴貞を攻撃したの!?」

「・・・・・ジュエルシード」

少女は罪悪感を表情に浮かべながら、なのはの問に返答した。

「ジュエルシードをどうするつもりだ!」

「アンタ達に関係ないね。邪魔するならカブッといくよ」

狼は牙を光らせて、ユーノを威嚇する。
一触即発の状態だった。

《なのは、ユーノ》

優人は二人に念話で話しかけた。

《こうなったら戦うしかない》

《え!?で、でも・・・・・》

《相手の目的がわからない以上。ジュエルシードを渡すべきじゃない》

《僕も優人に賛成。もしジュエルシードが悪用されれば大変な事になる》

《う、うん。わかったよ》

3人は少女と狼と戦う事を決めた。

(先ずは強化魔術で二人をサポートだな・・・・・)

「gain mag!」

優人は二人に魔力強化を施した。それを合図に、戦いが始まる。

「ディバィンシューター!」

なのはのディバィンシューターが少女に迫る。しかし、少女は物凄いスピードでかわす。

「フォトンランサー!」

少女はお返しと言わんばかりに、なのはに向かって晴貞を攻撃した魔法を放つ。

「キャア!」

なのはは何とかシールドで防ぐが、飛行魔法を修得したばかりなので、思うように動く事が出来ない。

「っ、ディバィンシューター!」

再びディバィンシューターを放つなのは、今度は誘導弾で放った。
もちろん、誘い込む為である。

(かわされるなら、かわす事が出来ない場所に誘い込むだけ!)

なのはの巧みなコントロールに、少女は段々と追い詰められていく。

「アークセイバー!」

少女が放った魔力刃が、ディバィンシューターを切り裂き、そのままなのはに迫った。

「え――!キャア!」

なのはは少女の放った魔力刃をまともに喰らい、そのまま気絶してしまった。

「なのは!」

優人は走り出し、落ちてきたなのはを受け止めた。

「まだやる?」

少女は杖を優人に突き出しながら聞いた。すると優人は―――。

「やらない、降参だ」

―――と、あっさり敗北を認めた。

「優人!?」

「最初から邪魔しなければ、痛い目に合わなかったのに」

狼と戦っていたユーノは驚愕し、狼は勝ち誇ったように言った。

《一体どういう事!?》

《どうもこうも、このまま戦っても勝機は無い。なら、ここは引き下がるのが最善だ》

《で、でも・・・・・》

《引き下がるのは今回だけだ。次は勝つ――》

そして優人達は、少女がジュエルシードを封印し持ち去るのを黙って見ていた。




少女達が立ち去った後、しばらくが経過した。
なのはは優人に膝枕されている状態で眠っている。すると―――。

「・・・・・う・・・・・ん」

「なのは!目が覚めたんだね!」

「わ・・・・・わたしは・・・・・?」

「まだ起き上がらない方がいい」

そう言って、なのはを寝かしつける。
どうやら、まだダメージが残っている様子だ。

「そうだ・・・・・私、あの子の魔法を受けて・・・・・晴貞は!?」

「大丈夫。―――ほら」

「にゃ〜ん」

すると優人の横に、先程巨大化していた晴貞が元気にいた。

「よかった・・・・・あの子達は?」

「ジュエルシードを封印したら、そのまま何処かに行ったんだ。結局、彼女達の目的はわからず仕舞いだよ」

「そう・・・・・」

それを聞いたなのは、何処か悔しそうに空を眺めた。
そして、これがジュエルシード争奪戦の始まりであった。


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