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運命戦記リリカルEXTRA.AC改 無印編7、名前を教えて
作者:起源くん   2012/08/14(火) 06:32公開   ID:yqq7O5OlFKA
少女との戦いから、数週間が経過した。
今日から恒例の新聞部のメンバーと高町家、月村家の一泊二日の合同旅行ある。

「・・・・・」

しかし、なのはだけが何処か浮かない顔をしていた。それを心配した優人は、なのはに声を掛けた。

「どうしたなのは?何か悩み事?」

「え?な、何でもないよ!温泉楽しみだね!」

――と、なのはは笑顔で答えるが、それが作り笑顔である事は優人にはわかった。

(やっぱり、あの少女に負けた事を気にしているみたいだ・・・・・)

敗北から、なのはの魔法の特訓はより実戦的になった。
ユーノの指導の良さとなのはの才能も有ってか、なのははメキメキと力をつけていった。
しかし、どうも基礎を跳ばした内容なので、優人はその事が心配だった。

(無茶しなければいいけど・・・・・)

不安を感じながらも、車は目的地に着いた。




優人達5人は、荷物を部屋に置いてから温泉に入る事にした。
脱衣所の前に着くと、なのはが―――。

「あれ?優くん、そっちは男湯だよ?」

「男が男湯に入るのは当たり前だろう?」

「だって・・・・・昨年まで一緒に入ったのに・・・・・」

「今回は仕方がないよ。誰かがユーノを見ておかないと―――」

「それなら、ユーノくんも一緒に来ればいいんじゃない?」

なのははの言葉に、ユーノは顔を真っ赤しながら―――。

「ぼ、僕は男湯の方が落ち着くから―――!行こう優人!」

「ああ、わかった。それじゃあなのは、また後で―――」

そう言うと、優人とユーノの二人は男湯の方に入って行った。
その後姿を、なのはは恨めしそうに睨んでいた。

「う〜〜〜私よりユーノくんの方が良いんだね!」

「はいはい、私達も行くわよ」

アリサは怒っているなのはの背中を押しながら、女湯の方に入って行った。




男湯の方では、優人とフェレット姿のユーノが念話で戦った少女について話し合っていた。

《ねぇ優人?次は勝つって言ってたけど、勝算はあるの?》

《まぁ、相手の戦闘スタイルが分かれば対策も結構建てられる。例えば、スピードがあるって事は、その分防御力を犠牲にしているって事だから、なのはの砲撃を一発当てれば倒せるかも知れない》

《それは当てればの話しだよね?話しによるとかなりのスピードらしいから、難しいと思う》

《確かに、スピードはかなり速い――。だけど、要は相手のスピードについていければいいって事だから方法ならある》

《それってどんな?》

《それはな・・・・・》

優人はユーノに、自身の策を話した。

《・・・・・確かにその方法なら、あの子のスピードに太刀打ち出来るけど・・・・・》

《殆どなのは任せになっちゃうけど、しょうがない。俺達じゃあ、決定打に欠けるから》

優人とユーノの共通の弱点は、相手を打倒する一撃をもっていない事である。
それを考えると、3人の中で一番攻撃力があるのが彼女になる。

《後はなのは次第だけど・・・・・そっちの方はどうなんだ?》

《信じられないスピードで覚えているよ。まさに天才だね・・・・・》

(天才か・・・・・)

それを聞いた優人は、何処か複雑だった。彼女の成長は確かに喜ばしい事なのだが――――。

『生死が掛かった戦いこそ、人は精神を成長させうる』

ふと、白衣の男の言葉が頭を過る。
優人はそれをかき消すように、お湯を頭に被った。




男湯から出てきた優人達は、なのは達が一人の女性に絡まれているのを見つけた。

「ん?あの人は・・・・・」

「ともかく行こう!」

二人は急いで、なのは達の元に駆けつけた。

「なのは!」

「あ、優くん!ユーノくん!」

「一体どうしたんだ?」

「この酔っ払いが絡んで来たのよ!」

優人は女性を観察したが、どうやら酔っ払っている様子は無いようだ。

「あの・・・・・何か用ですか?」

「いや、人違いだったみたい」

そう言って女性は何も無かったように、その場を後にした。すると―――。

《今度邪魔したら、気絶だけじゃすまないよ》

「「「!?」」」

何と念話で忠告してきたのである。

「ユーノくん!あの人!」

「うん。もしかしたらあの少女の仲間かも・・・・・」

「あの少女って・・・・・晴貞を攻撃した奴って事よね!」

「ああ、もしかしたらその子も近くにいるのかも・・・・・」

「―――っ」

それを聞いたすずかは、女性の後を追いかけて行った。

「ちょっとすずか!?」

「俺達も行こう!」

四人は急いですずかの後を追いかけた。




「待って下さい!」

「ん?」

すずかの声に、女性は立ち止まった。

「あの!どうして晴貞を攻撃したですか!」

「晴貞って?・・・・・」

「私が飼っている猫です!」

それを聞いた女性は、バツ悪いそうに―――。

「あーーあれアンタの猫だったんだ―――ごめんよ」

「え―――?」

女性が素直に謝った事が予想外だったので、すずかは驚いた。

「わかって貰えるとは思わない。だけど、あたしもあたしの御主人様もアレが必要なんだよ。・・・・・家族の命が掛かっているからね」

「え!?それはどういう・・・・・」

「すずかーー!!」

すずかは女性に聞こうとしたが、アリサの声に気を取られてしまった。

「それじゃ、あたしは行くよ。・・・・・猫の事はごめん」

そう言って、女性はその場を立ち去った。




日が落ち、優人達は部屋で寝ていた。
しかし、なのはは眠れずにいた。
昼間、すずかが女性に聞いた話が気になっていた。

『家族の命が掛かっているんだ―――』

その言葉がなのはの頭の中を廻る。

「なのは?」

ふと、眠っていた筈の優人が声を掛けて来た。

「眠れないの?」

「う、うん・・・・・ちょっとね・・・・・」

すると優人は起き上がり、なのはに向かって手を差し伸ばした。

「少し外を歩かないか?どうせ眠れないだろう?」

突然の申し出に少し戸惑ったなのはだったが、気分転換になるだろうと思い。優人の手を掴み―――。

「うん、行くよ」

「それじゃ、皆を起こさずに行こう」

二人はこっそりと部屋を出た。




二人で夜の散策をしていたが、それでもなのはの表情は暗かった。

「なのは。何か悩んでいる?」

「え?ど、どうしてそう思うの?」

「顔に書いてあるよ。俺で良ければ相談に乗るよ」

「え、えっと・・・・・」

なのはは少し口を開いたが、また紡んでしまった。
これは、何でも抱え込む彼女の悪い癖である。そこで優人は一歩踏み出す事にした。

「悩み事があるんだろ?一人で抱え込まないで話してくれないか?」

「優くん・・・・・実は・・・・・」

なのはは自分の悩みを優人に話し出した。

「彼女達がジュエルシードを求める理由?」

「うん。すずかちゃんの話を聞いたら気になっちゃて・・・・・」

「本人に尋ねてみればいいんじゃないのか?」

「え?・・・・・で、でも・・・返事をくれなかったら?」

なのはは弱々しく呟いた。拒絶される恐怖があるのだろう。
そんななのはに、優人は―――。

「それなら、全力でぶつかり合えば良いと思う」

「えぇーー!?それはいくらなんでも・・・・・」

「俺は良い方法だと思うよ。アリサとだってぶつかり合ったから、友達になれた・・・・・そうだろう?」

「そ、それは・・・・・」

「全力でぶつかり合う事で、相手を織る事が出来る―――俺はそう思う」

「優くん・・・・・」

「とりあえず、やれる事をやってみよう。俺も手伝うからさ」

「うん、ありがとう優くん。私、やってみるよ」

なのはの顔が、先程より晴れやかになった。どうやら、迷いを断ち切れたらしい。

「それじゃそろそろ―――」

すると、突然光の柱が登り出した。

「なに!?」

「これは・・・・・ジュエルシードか!」

光の柱から、ジュエルシード特有の魔力を感じられた。恐らく、あの黒い少女がジュエルシードに干渉しているのだろう。
すると、ユーノから念話が来た。

《優人!なのは!今、何処にいるだ!?》

《今、優くんと一緒にいるよ!》

《光の柱が見える位置にいる。ユーノ、あれは―――》

《うん。あの少女がジュエルシードに干渉しているのだと思う。僕も今向かっている最中だ》

《了解!》

優人となのはは、すぐ様光の柱に向かって走り出した。




優人となのはは途中ユーノと合流し、共に光の柱の場所に向かったが既に遅く、ジュエルシードは黒い少女に封印された後だった。

「くそ!遅かった!」

ユーノは悔しそうに呟いた。その声に気がついたのか、少女と使い魔の狼が優人達の方に振り向いた。

「おや、また会ったね。あんた達」

三人はその声に聞き覚えがあった。昼間、なのは達に絡んだ女性の声にそっくりだった。

「もしかして・・・・・昼間の!?」

「そうだよ、あたしはアルフ。この子の自慢の使い魔さ」

「「!?」」

その言葉になのはと優人は驚きを隠せなかった。目の前の狼が昼間の女性だという事実を。

「言い忘れてたけど。使い魔は人型にもなれるんだ」

「ユーノ・・・・・そう言う事は早く言ってくれ・・・・・」

すると、黒い少女は踵を返しながら、使い魔のアルフに命じた。

「行こうアルフ。ここにはもうジュエルシードは無いから」

「りょ〜かい」

二人はその場を去ろうとした―――。

「待って!」

「なのは!?」

「・・・・・」

なのはは去ろうとした二人を呼び止めた。二人は再びなのはの方を見た。

「何?」

「え、えっと・・・・・どうしてジュエルシードを集めてるの?」

「君には関係無い―――」

「関係無くない!私だってジュエルシードを集めてるもん!」

その言葉に、少女の目付きは鋭くなり、その目がなのはを見据えた。

「君は・・・・・ジュエルシードを持っているの?」

「う、うん!」

すると少女は持っていたデバイスを、なのは向けて突き出した。

「それなら、互いのジュエルシードを賭けて勝負だ」

「え?えっと・・・・・」

突然の申し出に戸惑ったなのはだが、その背中を優人は優しく触れた。

「やれるだけやってみよう、なのは」

「優くん・・・・・うん!」

なのは表情に迷いや戸惑いが消え、強い決意が宿る。

「わかった!受けて立つよ!」

「ちょ、ちょっとなのは!?」

相手の申し出を受けた事に驚くユーノ。
それもその筈、いくらなのはの上達スピードが早くとも、まだ黒い少女に及ばないのだ。

「ごめんねユーノくん・・・・・でも私知りたいんだ。あの子の事を―――」

「でも、だからって・・・・・」

「なのはは、一度決めたら絶対に曲げない頑固だからね。それに、勝算はある」

ユーノは昼間の優人話を思い出す。

「・・・・・わかった。それで僕は何をすればいい?」

「ユーノは使い魔を引き離してくれ、別に倒せなくてもいい。ともかく、時間を稼いでくれ」

「わかった」

「作戦会議は終わったかい?それじゃ、ガブッと行くよ!」

そう言って、使い魔のアルフは優人達に目掛けて突進した。
その攻撃を、ユーノはバリアで防ぐ。

「この程度のバリア!食い破って―――」

「今だ!」

「しまっ――!?」

アルフの攻撃を一時的に止めたユーノはすかさず転移魔法を使い、アルフ共々その場を転移した。

「アルフ!?」

少女は驚いて声を上げたが、優人達が残っているのに気づき、直ぐ様構えをとる。

「悪いけど、二対一でやらせてもらう」

「相手が何人でも、私は負けない!」

そう言うと少女は、射撃魔法を優人となのはに向かって放つ。

「フォトンランサー!」

「ディバインシューター!」

それをなのははディバインシューターで相殺。
次に少女は、自慢のスピードでなのはに急接近する。

(もらった――!)

少女は魔力刃で出来た鎌を降り下ろす。しかし、それが当たる事はなかった。

「え!?」

何となのはは、少女とほぼ同じスピードでかわした。

「お返しだよ!フラッシュインパクト!」

レイジングハートに込めた魔力を、そのまま少女にぶつける。

「くっ!」

少女は黒いデバイスでなのはの攻撃を防ごうとする。しかし―――。

「キャア!!」

防ぎきれず、後方に吹き飛ばされる。

「フォトンランサー!」

体勢を整えながら、少女はフォトンランサーを放つ。
十発の魔力弾がなのはに迫る。

「当たらないよ!」

なのはは迫り来るフォトンランサーを巧みにかわす。
その姿を見た少女はある疑問を抱く。

(一週間そこらでここまで空中戦をこなせる筈が無い。何か・・・・・何かある)

ふと、少女の目に優人の姿が入る。
何やら、魔法を使っているように見えた。

(まさか・・・・・彼が?)

少女の仮設通り、なのはがこれ程動ける原因は優人にあった。
優人の移動強化魔術のmove speedによってなのはの基本スピードを底上げした。しかし、それだけでは少女のスピードには対抗出来ない。
そこで、なのはの飛翔魔法であるフライアーフィンその物に魔力強化魔術のgain mgiで更に強化。それにより、少女と同程度のスピードを得る事に成功した。

(俺が出来るのはここまでだ。後はなのは次第だ―――)

そう、衛宮優人が出来るのはここまでで、後はほんの少しの援護しか出来ない。
しかし、優人は知っていた。これが自分が出来る事、やれる事だということを――。

「ディバインシューター!」

「くっ!」

鋭い誘導弾が少女に迫る。
今の少女のスピードでは、なのはのディバインシューターをかわす事は困難に近かった。

「アークセイバー!」

少女が放ったアークセイバーは、なのはのディバインシューターを切り裂きながらなのはに迫る。

「hack!」

それを、優人の魔術で相殺。アークセイバーはなのはに当たる前に四散した。

「くっ、それなら―――!」

少女は左手に魔力を込め出した。それに伴い、電気も発している。恐らく砲撃魔法を放とうとしているのだろう。

「それならこっちも―――!」

なのはも少女同様、砲撃魔法のシーケンスに入る。
真正面からやるつもりのようだ。

「サンダー―――」

「ディバイン―――」

「スマッシャーーー!」

「バスターーー!」

双方の砲撃魔法がぶつかり合う。しばらく拮抗が続いたが、なのはのディバインバスターが少女サンダースマッシャーを撃ち破る。しかし―――。

「いない!?」

なのはの砲撃は空を切った。恐らく、当たる前にその場を動いたのだろう。少女のスピードならそれは可能。

「もらった!」

「!?」

なのはの背後に廻った少女は、鎌を降り下ろそうとした。

「add invalid!」

優人がなのはの周りに展開した絶対防壁が少女の鎌を受け止めた。

「な!?」

少女の動きが一瞬止まった。なのははその一瞬を見逃さなかった。
レイジングハートを少女の首筋に押し当てる。

「私の・・・・・私達の勝ちだね」

なのはは、自分達の勝利宣言をした。




勝敗が決したのを感づいたのか、少女の使い魔のアルフとユーノが戻って来た。
アルフは少女の下に駆け寄る。

「フェイト!!大丈夫かい!?怪我は無いかい!?」

アルフは心配そうに少女の体をあちこち触る。

「う、うん。大丈夫だよアルフ。どこも怪我してないよ」

怪我が無いことを確認すると、アルフはほっと息をした。

「どうやら、上手くいったみたいだね」

「うん!優くんのおかげだよ!」

「いや、俺はほんの少し手伝っただけ、後はなのはの力だよ」

ユーノも、優人となのはの下に行き、作戦が上手くいった事を確認する。
すると少女はデバイスからジュエルシードを一つ取り出した。

「これを・・・・・」

「フェイト!?それは――!」

「いいんだアルフ。自分から言ったんだから」

少女は自分が持ち出したルール通りに、なのはにジュエルシードを渡そうとしていた。しかし―――。

「いいよ―――」

「―――え?」

なのはは、首を振りながらジュエルシードの受け取りを拒否した。
少女は、予想外の答えに呆気にとられてしまった。

「その代わりに、貴女のお名前、教えてくれる?」

「私の・・・・・名前?」

「うん!」

その事に少女は一瞬戸惑ったが、なのはの問いに答えてくれた。

「フェイト・・・・・フェイト・テスタロッサ」

「フェイトちゃんだね?・・・・・私は高町なのは。で、こっちが―――」

「俺は衛宮優人だ。よろしく」

「えっと・・・・・僕はユーノ・スクライア。一応言っとくけど、僕は使い魔じゃないからね」

フェイトは三人に自分の名前を告げ、三人はフェイトに自己紹介をした。

「なのはだね。次は負けないから」

「私だって負けないよ!」

二人の魔法少女は再戦を約束しながら、その場を後にした。
しかし、この約束が後にとんでもない事態に発展する事になるとは、この時の彼らには想像出来なかった。


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自分のパソコンがネットに繋がらず、兄のパソコンで投稿しています。
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