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運命戦記リリカルEXTRA.AC改 無印編エピローグ
作者:起源くん   2012/09/28(金) 21:11公開   ID:L0gu7.dO5Yw
クロノは、今回の事件。
ジュエルシード事件の報告書を作成していた。

[ジュエルシード事件。

始まりはユーノ・スクライアが現場監督していた発掘所襲撃事件からである。

襲撃犯であるアルバート・レスターは、単独で現場を襲撃。
その後、ユーノ・スクライアと交戦中、ジュエルシードが発動し、ユーノ・スクライアは第九十七管理外世界に飛ばされ、現地の住民に助けられる。

高町なのはと衛宮優人、以下の二名は魔力を持っている事から、ユーノ・スクライアの要請でジュエルシードの収集を開始する。

一方、違法渡航者のフェイト・テスタロッサとその使い魔のアルフは、アルバート・レスターにそそのかされて、ジュエルシードの収集を開始する。

ジュエルシード収集する二組は、交戦を幾度もしながらジュエルシードを集めを続けた模様。

我々が駆けつけた時には既に半数近くのジュエルシードは封印されていた。

その後も、ユーノ・スクライア、高町なのは、衛宮優人の三名はジュエルシードの収集に協力。そしてフェイト・テスタロッサの説得に成功する。

しかし、アルバートの次元跳躍魔法による攻撃によって、フェイト・テスタロッサが収集したジュエルシードを奪われる。

しかも、彼女の母、プレシア・テスタロッサの使い魔、リニスからプレシア・テスタロッサがアルバート・レスターの手によって誘拐された事が判明した。

事態は悪い方向に傾いたが、衛宮優人の考案した作戦により、アルバート・レスターの居場所の特定とプレシア・テスタロッサの救出に成功する。

しかし、アルバート・レスターを逮捕に至らず。
現在ジュエルシードを持って逃亡中」

クロノは報告書を書き終えて、一息ついた。
今回の事件は解決に至らず。結局痛み分けで終わってしまったと、クロノは思っている。
因みに、フェイトはジュエルシードの力で、プレシアの病を治した。
フェイトの想いが余程強かったのか、病だけではなく、ある程度若返ってしまった。
それを見たリンディは、凄く羨ましそうにしていた。

「クロノくん! まだ報告書を書いていたの? 早くしないと始まっちゃうよ!」

「分かっているエイミィ。今行くって」

クロノは支度すると、エイミィと共にアースラのモニタールームに向かった。




モニタールームには、リンディ、エイミィ、クロノ、プレシア、リニス、アルフ、レイヴン、ユーノ、優人の九人がモニターを見ていた。
そこには、フェイトとなのはが映し出されていた。

「制限時間は三十分、準備は良い?」

《《はい!》》

二人はバリアジャケットを展開し、戦闘体制をとる。
何故こんな事になったというと、時間を少し遡る。
フェイトがプレシアになのは達を紹介するとき、話題に―――。

『フェイトとなのは、どっちが強いの?』

その一言で、二人はアースラ内にあるトレーニングルームで模擬戦をする事にした。

「それじゃ、レディ・・・・・ゴー!」

エイミィの合図と共に、フェイトは一瞬でなのはに近づき、バルディシュで切りつけた。
しかし、それを予想してたかのように、なのははレイジングハートで受け止めた。

「速い! なんてスピードだ!」

「確かに、僕でも一瞬見失った。けどそれ以上に――」

「フェイトの一撃を防ぐなんて・・・・・」

フェイトのスピードに驚くユーノとクロノだが、それ以上にそのスピードについてこれたなのはにも、驚いていた。
しかし、レイヴンはこのカラクリを見破っていた。

「衛宮・・・・・と言ったな。初撃の“アレ”お前の入れ知恵だろう?」

「どういう事だい?」

「フェイトの初撃、アレは熟練者でも防ぐのが難しい完璧な不意打ちだ。しかし、それを防ぐという事は、あらかじめ予測しないと無理だ」

「えっと・・・・・それじゃ、優人くんがそれを教えたって事ですか?」

「それは本人聞けば分かる。で、どうなんだ?」

レイヴンがそう聞くと、優人は素直に答えた。

「フェイトの戦闘スタイルを考えると、最初は必ずクロスレンジで攻撃すると思ったんだ。レイジングハートも同じ予想をしてたけど、俺は死角からじゃなくて正面から来るってなのはに伝えたんだ」

「・・・・・どうしてそう思った」

「フェイトはこれまで、なのはの死角から攻撃を仕掛ける事が多かったから、その裏をかくんじゃないかなって――――」

優人の分析を聞いて、レイヴンは理解してしまった。
少なくとも彼は、とんでもない修羅場を幾度もくくり抜けた事があり。
その分析力はそれによって培った物である事を―――。

(どんな修羅場を潜って来たんだ・・・・・)

優人がどんな修羅場をくぐり抜けたのかは、レイヴンは知らない。
一つ言える事は、なのはやユーノより戦闘経験がある戦士だという事である。

「あ! 二人が動き出した」

優人の声で、再びモニターに眼を戻す。
フェイトはスピードで撹乱しながら、魔法撃ち出し。
なのはも、フェイトの魔法を迎撃しながら、反撃をしていた。
時おりフェイトの死角からのクロスレンジ攻撃をするが、なのははそれらを全て防ぎ、逆に砲撃を喰らわせていた。

「フェイトがここまで苦戦するなんて・・・・・」

「ですが、なのはって子は、無駄撃ちが多いです。このペースなら、直ぐに魔力切れを起こす筈――」

「だが、フェイトの体力もそろそろ限界の筈。魔力切れを狙うか、決めにいくか・・・・・」

「フェイトー! 頑張れー!」

「なのはも負けるなー!」

それぞれが応援と解説をしている中、クロノはある定説を思い出す。

「ドミナントか・・・・・」

「ドミナント? 何だいそれは?」

「ドミナントって、先天的戦闘好適者の事かしら?」

「プレシア、知っているのですか?」

「ええ、先天的戦闘好適者っていうのは、僅かな期間で一流戦闘力を出す才能を持つ人の事よ」

「簡単に言うと、戦いの天才って奴だ」

その言葉に、その場にいる全員が納得した。
フェイトも才能はあるが、数年間、キチンとした訓練を受けている。
一方、なのはは僅か一ヶ月半程度、その彼女がフェイトと互角の戦いを繰り広げているのだ。

「まさに彼女の為の言葉よね・・・・・」

「あれ? その定説って風評だったんじゃ・・・・・」

「根拠が無かったから、風評って言われてたけど、彼女を見ていると信憑性が増すよ」

ドミナントの存在は今まで、絵空事だと言われたが、なのはの存在は正にドミナントを証明するものだった。

「それなら、もう一つの定説はどうなのかな?」

「もう一つって?」

「エイミィ、流石にそんな奴はいないって、それこそ風評だよ」

「んん? 何の話だい?」

「それってイレギュラー説の事かしら?」

「イレギュラー?」

「変異的戦闘適応者。本来、戦闘に適してない人、一般人が極限状態、あるいは過酷な戦場で戦闘適応者になる事よ。ドミナントと違って、訓練での成長スピードは普通。だけど、戦いを通して破格の成長をし、強く進化するっていう説よ」

「そんな奴がいるのかい?」

「あくまで仮説よ。まぁ眉唾物なのは確実でしょうね。仮にいたとしても、一般人が戦場に出れば、大抵は命を落とすわ」

「それってなのはに当てはまらない? 一応彼女、戦いも通して強くなったから・・・・・」

ユーノの言葉に、プレシアは首を横に降って否定した。

「言った筈よ。一般人って、彼女は魔法に関して一般人の枠を超えているわ。ドミナントなのかも知れないけど、イレギュラーじゃないわ」

「そうですか・・・・・」

「おい、モニターの方を見ろ、そろそろ決まるぞ」

レイヴンの声で、全員がモニターを注視した。
フェイトはフォトンランサーファランクスの発動準備をしていた。
一方なのはは、フェイトのバインドを振りほどこうとしていた。

「フェイトのフォトンランサーファランクス! これで決まった!」

そして、魔法が放たれる。
なのはは、バインドを解き、シールドを三枚展開するも、フォトンランサーの集中放火によって、一枚、二枚、そして最後の三枚目も破壊され、フォトンランサーの雨に撃たれた。

「試合終了だな、それじゃ・・・・・」

「まだ終わっていない。見てくれ」

優人が指差す、そこにはなのはが居た。

「フェイトのフォトンランサーファランクスに・・・・・耐えきったの!?」

「しかもバリアジャケットが再構成されてるよ!」

「恐らく、防御を全てデバイスに任せて、バリアジャケットの再構築に専念したのだろう」

「なんて無茶な事をする子なの・・・・・」

「それよりも、その魔力は何処から出しているの? なのはちゃんの魔力残量は十%切っているんだよ?」

「それは、これから分かる事だ」

クロノの言葉通り、なのはは周囲の魔力を集めだし始めた。

「集束魔法!? あの子いつの間にこんな上級技術を!?」

「これは不味いよ・・・・・フェイトのフォトンランサーファランクスの魔力も集まってるから・・・・・」

今までの魔力を一点に集中させ放つ集束魔法。
恐らく受ければ、撃墜は免れないだろう。
しかし、動きが速いフェイトに当てる事は至難の業、だから彼女は布石を打った。

「バインド! いつの間に!?」

「やった! これでなのはの勝ちだ!」

フォトンランサーファランクスを撃ったフェイトに、なのはのバインドを解く魔力は残されていなかった。

『行くよフェイトちゃん! これが私の全力全か―――』

そこでなのはの声が途切れた。
モニターも何も写し出さなくなった。

「エイミィ! 何が起きた!?」

「ちょっと待って! 今調べてみる」

エイミィは端末を操作し、原因を調べた。
するとモニターが快復し、映し出されていたのは、ダブルノックアウトしているなのはとフェイトであった。

「一体・・・・・何が起きたのかしら?」

「エイミィ、原因は?」

「えっとね、なのはちゃんの集束魔法が暴発して、その余波で、二人ともダウンしちゃったみたい」

「やれやれ、まだまだ課題が残っているみたいだな」

こうして、なのはとフェイトの模擬戦は引き分けで終わった。




模擬戦から一週間、その間色々な事があった。
フェイトはなのはと優人に、アリサとすずかを改めて紹介され、友達なった。
ユーノはクロノに、今回の事件の事後処理を手伝わされている。
プレシアは、アルバートについて事情聴取を受けているが、有力な情報は無い。
そして、保留になっていたフェイトの罪状は、アルバートに騙された事もあって、無断渡航だけになった。その上、捜査に協力もしたので、刑は軽くなるとの事。
何はともあれ、裁判を受ける為、時空管理局に出頭しなければならない。ユーノも、元の世界に戻る事になった。
今日はその日なのだが―――。

「遅い・・・・・見送りに来るって言いながら、遅刻するなんて・・・・・」

「少しぐらい待ってやれ、不良執務官」

「なっ!? 誰が不良執務官だ!」

「リンディから聞いたぞ。お前、今回の件で処分を受けるそうじゃないか?」

「うっ、あ、あれは・・・・・」

そう、ジュエルシードを半分強奪された上、ジュエルシードを無断使用もしたのだ。処分は免れなかった。

「いや、感謝している。お前の決断で、一つの家族を救ったんだ。ありがとう、クロノ」

「・・・・・」

「ん? どうした?」

「君が礼を言うとは思わなかったから・・・・・」

「俺は義を重んじる性格なんだ。どんな奴でも、礼を言う時は礼を言う」

「ふーん、意外だな・・・・・」

そんな会話をしていると、優人達がやって来た。

「遅い! 五分の遅刻だぞ!」

「うっさいわね! イチイチ細かい男は嫌われるわよ!」

「何だと!」

「何よ!」

「また始まったか・・・・・飽きないな二人とも」

どういう訳か、クロノとアリサは顔を合わせると口論をする事がある。
喧嘩するほど仲が良いとよくいうので、普段は放置するレイヴンなのだが、今回は仲裁に入った。

「お前らそこまでだ。アリサ、見送りに来たんだろ?」

「そうだったわ。フェイト、ユーノ、アンタ達にプレゼントよ」

アリサがそう言うと、なのはとすずかは、持っていたプレゼントを二人に渡した。

「ありがとう。開けてみても良い?」

「うん! 良いよ!」

二人はプレゼントを開けてみた。
フェイトはリボンで、ユーノは眼鏡が入っていた。

「皆で相談して決めたんだ。気に入ると良いけど・・・・・」

「わ〜ありがとう皆。大事にするね」

「おーい、そろそろ行くぞ」

クロノは二人を呼び出す。もう別れの時である。
ふと、なのははある事を思い出す。

「そうだ! レイジングハート、返さないと・・・・・」

そう言って、ユーノにレイジングハートを返そうとする。
すると、ユーノは首を横に振って。

「いや、レイジングハートはなのはが持ってて」

「いいの?」

「うん、僕じゃ使いこなせないし、なのはに使って貰った方が、レイジングハートも喜ぶと思う」

「ありがとう、ユーノくん。これからもよろしくね、レイジングハート」

【はい、マイマスター】

話は終り、フェイトとユーノは転送ポートに入る。
そして、最後の別れの言葉を言う。

「ありがとう皆! 皆の事忘れないから!」

「落ち着いたら、手紙を送るよ」

「ユーノもフェイトも、元気で」

「もう一度、遊びに来なさいよ!」

「またね、ユーノくん、フェイトちゃん」

「フェイトちゃん! ユーノくん! 私、二人に会えて、本当に良かったよ!」

それぞれ言葉を交わし、ユーノとフェイトは行ってしまった。
いつの日か、会えると信じて。



無印編 完


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■作者からのメッセージ
はい、無印編終了です。今回の話で出てきましたドミナントとイレギュラーですが、本作では、ドミナント=天才、イレギュラー=無才の突然変異という意味にしているつもりですが、伝わったでしょうか?
テキストサイズ:10k

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