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運命戦記リリカルEXTRA.AC改 EPアーチャー編3 、八神家の日常
作者:起源くん   2012/10/17(水) 03:30公開   ID:L0gu7.dO5Yw
ヴォルケンリッター出現後、二人は彼女達の話を聞いた
はやてが闇の書の主として選ばれた事、闇の書について、自分達ヴォルケンリッターについて、そして魔法の事を。
最初は半信半疑だったはやてだったが、信じる事にした。
処遇に関して、はやてとアーチャーは口論になったが、結局アーチャーが折れてしまい。ヴォルケンリッターを八神家に迎える事になった。
とりあえず、蒐集はしないということになり、ヴォルケンリッター達は戸惑いながら、八神家の一員になった。
それから二ヶ月後、八神家の日常とはいうと―――。

「はぁ!」

「むぅ!?」

八神家の小さい庭で、アーチャーとシグナムは竹刀を持って打ち合っていた。
流石は剣の騎士と呼ばれるだけあって、アーチャーを終始圧倒している。
元々アーチャーは投影宝具を用いて戦うスタイルなので、アーチャーが劣勢なのは当たり前であるが、それでも彼は食い下がる。
ガウェインと渡り合った事は伊達ではなく、シグナムも攻めきれずにいた。

「シグナム、アーチャー、朝ごはんが出来たわよ」

シャマルの声で、今日の朝稽古は終わりを告げた。
その事にシグナムは不満で、アーチャーはホッとした。

「今日は一本取られずにすんだか・・・・・」

「くっ、五勝三敗四十三引き分けか・・・・・アーチャー、貴様は守ってばかりでいないで、たまには攻めて来い」

アーチャーは基本、守りに徹する事が多く、シグナムはその守りをなかなか崩せず、いつも時間切れで終わる事が多いのだ。
シグナムはそれが少し不満であった。

「無茶を言うな。剣の腕前は君の方が断然上なのだから、守るだけで精一杯だ」

「そんな事は無い、お前の剣の腕は一流だ。私が保証する」

そう言われて、アーチャーは少し嬉しかった。
剣の才能は無いと言われ続けた自分の腕が、一流と言われたからである。

「ほら二人とも! はやてちゃん達が待っているわよ!」

「ああ、すまない。今行く」

シャマルの催促に促され、二人はリビングに入っていった。
八月、もう夏である。




朝食を済ました後、アーチャーはザフィーラを連れて散歩に出掛けて行った。

「今日も暑くなりそうだな」

《熱中症に気を付けろと、テレビでも言っていたな》

ザフィーラは基本的に家の外では、念話のみで会話するよう心掛けている。
もし、喋ったりなんかしてしまえば、大騒ぎ間違ないであろう。

「今日はいつもとは違うコースにするか?」

《我は別に構わん》

「了解した」

二人はいつもとは違う散歩コースを歩く事にした。
以外と思うが、ザフィーラはこの散歩を気に入っており、毎日欠かさずに行っているのだ。
二人は歩いていると、一人の女性が大声を上げた。

「引ったくりよ―! 誰か捕まえてー!」

見ると、スクーターには若い男性二人が乗っており、片方の男の手にはバックが握られていた。

「ザフィーラ!」

《承知!》

アーチャーは、ザフィーラのリールを手放すと、ザフィーラは物凄いスピードでスクーターに迫った。

「な、何だこの犬!? おい! もっとスピードを上げろ!」

荷物を持っている男性は、スクーターを運転している男に叫ぶ。しかし、狼の走行速度は約時速五十kmに対して、スクーターの走行速度は約時速三十km。
ザフィーラは瞬く間にスクーターに追い付く。

「ワァオ!!」

「うわぁぁぁぁ!」

ザフィーラはスクーターに飛び付き、男達は転倒する。
バックを口に加えると、ザフィーラは女性の元に駆け寄った。

「あ、ありがとうございます」

「いえ、当然の事をしたまでだ。なぁ? ザフィーラ」

「ワァオン!」

女性はアーチャーとザフィーラに頭を下げ、その場を後にした。
アーチャー達も、散歩の続きを再開した。
その一部始終を、二人の少女が見ていた。

「すずか、今の写真に取った?」

「バッチリだよ。アリサちゃん」

「早速戻って記事にするわよ!」

二人の少女は、嬉しそうに何処かに行ってしまった。



昼過ぎのとある公園。今日はその広場で、老人達のゲートボール大会が開かれていた。
老人達が大勢いるなかで、一人だけ少女が交じっていた。
少女はスティックを振り、ボールを転がす。ボールは見事、ゴールポールに当たった。

「よっしゃあ!」

「おお! ナイスじゃヴィータちん!」

「へへン、これくらいどうって事ねぇ」

ヴィータは得意気に言った。
彼女がゲートボールを始めて二ヶ月くらいだが、みるみる腕を上げて、今日の大会に出場したのだ。

(ちょっと喉乾いたな・・・・・)

「ジイちゃん達。ちょっと飲み物買ってくる」

「おお、気を付けて行ってくるんじゃぞ」

「大丈夫だって、そんじゃ行ってくる」

ヴィータは早足で、自販機のある場所に向かって行った。
その途中、二人の少年少女に擦れ違った。

「優くん、よくそんなのを飲むよね? 余計に暑そうになると思うんだけど・・・・・」

少女がそう指摘する。
確かに、今日は暑いのだが、少年の顔は異常な程の汗が流れている。
彼の手には、“超激辛麻婆ドリンク”と書かれていた缶ジュースがあった。

「確かに暑いけど・・・・・何かこれを飲むと、懐かしい感じがするんだ。前にこんな味を口にしたような・・・・・」

「前にって・・・・・優くんはいつも麻婆豆腐を激辛にして食べてるじゃない・・・・・」

少女は少し呆れながら、少年と共に歩いて行った。
ヴィータは二人の会話を特に気にせず、自販機に向かった。




一方はやてとシャマルは、いつも通りのデパート地下にあるスーパーに買い物をしていた。

「今夜は何にしようか・・・・・」

「う〜ん、そうね・・・・・」

二人が悩んでいると、一人の中年男性が声を掛けて来た。
彼は馴染みの肉屋の店長だった。

「いよ奥さん。今日ははやてちゃんとお買い物かい? 旦那さんは?」

「もう! 何度も言いますが、私はアーチャーとは結婚なんてしてません!」

シャマルは、他のヴォルケンリッターの中では家庭的な雰囲気を出している。
その為か、アーチャーとセットでいる時、二人は夫婦みたいに見えてしまうのだ。

「ははは、そんな怒るとせっかくの美人が台無しだ」

「そやね、おっちゃん言う通りや。それにアーチャーとシャマルは、ホンマ夫婦に見えるで」

「もう、はやてちゃんまで・・・・・」

シャマルは項垂れてしまった。
アーチャーと夫婦と言われるのは我慢出来るが、この前はヴィータの母親と間違われてしまう事が起きてしまった。

(私って、そんなに老けて見えるのかしら・・・・・そりゃあ、年齢設定はシグナムより上だけど・・・・・)

ネガティブ思考のシャマルを尻目に、肉屋の店長とはやては話をしていた。

「それで、何を悩んでいるんだ?」

「えっとな、今夜の献立を何がええんか、悩んどるんや」

「それなら、いい肉があるんぜ」

そう言って、肉屋の店長が見せた肉は分厚い牛肉であった。

「それってステーキ用の肉? 少し高いんじゃ・・・・・」
シャマルは小さく呟く。
アーチャーから、無駄遣いをするなと言われている為、あまり高級な食材は買えないのだが、店長ははやて達にしか聞こえないように話した。

「いつも贔屓になっているから、半額でいいよ」

「え!? ホンマにええの!?」

「もちろんさ、はやてちゃんには美味しい物を食べて、早く足を治して欲しいからね。他のお客には内緒だよ」

店長が悪戯な笑みを見せると、はやてとシャマルもつられて微笑んだ。

「それじゃ、頂こうかしら」

「へい! 毎度!」

二人は六人分の肉を買い、その場を後にした。




アーチャーはバイトの酒屋からの帰り道にシグナムと鉢合わせした。

「む、シグナムか、道場帰りか?」

「ああ、そちらもバイトの帰りか?」

「そうだ、今日は早く切り上げられたからな」

二人は一緒に夜道を歩いた。
セミの鳴き声が響く夜。シグナムは不意に空に浮かぶ満月を見た。

「そう言えば、我らが目覚めた夜も、こんな満月だったな」

「覚えているのか?」

「そうだな・・・・・自分でも不思議だが、あの夜の月は今でも鮮明に覚えているのだ」

「そうか・・・・・」

「今の主になってから、私達は変わったと思っている。以前の私達は、ただ主の命令を従うだけのプログラムだった筈が、今の生活を楽しいと思えてしまう。笑ってしまうだろう? 人間ではない我等が人並みの感情を持つなんて・・・・・」

シグナムは苦笑しながら言った。
所詮自分達はプログラム。人間にはなれないのだと、言っているようだった。
しかし、アーチャーは――――。

「プログラムだからどうだって言うのだ? 私は、プログラムとして生まれたが、人として生きようとした者を知っている。人として生まれながら、化け物になる事を選ぶ奴だっている。生まれは重要じゃない、どのように生きるかだ」

「どのように生きるかか・・・・・」

「シグナム、君が人として生きようとするなら、君は立派な人間だ。私が保証する」

アーチャーは笑顔を見せながら言ってくれた。
人として生きようとするなら、それは立派な人間だ。その言葉に、シグナムは嬉しかった。

「・・・・・感謝する」

「ん? 何か言ったか?」

「さてな、それよりも早く帰るぞ。主達が待っている」

「そうだな。早く帰らないとヴィータがまた睨みそうだ」

「ふふ、違いないな」

二人は、家族が待っている暖かい家へと急いだ。




――――――――――
キャラステータス

シグナム

使用魔法 古代ベルカ式

得意魔法 炎熱系魔力付加

デバイス レヴァンティン

ステータス

筋力 B+

耐久 B+

敏捷 C+

魔力 B

幸運 C

スキル

騎士道精神(B)
一対一の状況下のみ効果が発動。
筋力、耐久、敏速のステータスがブーストされる。

魔力変換資質・炎(B)
デバイスを使わずに魔力を変換出来る。炎属性の魔法の能力が上がる。

心眼・偽(B)
第六感による危機回避。


ヴォルケンリッターのリーダーを勤める女性。剣の騎士または烈火の将と呼ばれている。タイマンならヴォルケンリッター最強。はやての扱い方に戸惑っていたが、現在は順応している。
朝はアーチャーと稽古したり、近所の道場で臨時講師をしながら過ごしている。


シャマル

使用魔法 古代ベルカ式

得意魔法 治癒系

デバイス クラールヴィント

ステータス

筋力 E

耐久 C

敏捷 D

魔力 B

幸運 A

スキル

探索(A)
目的の物を探しあてる。あるいは、探し物をみつける。

策謀(C)
謀をめぐらし、仲間の窮地を脱する能力。自分が戦闘領域外にいるとき発揮する。

医療知識(B)
医療関係の知識を有している。
詳しいことは不明だが、古代ベルカ式の医療知識を持ち合わさっている。


ヴォルケンリッターの参謀を勤めている女性。
シグナム同様、処遇に困惑していたが、ヴォルケンリッターの中で最も早く順応した。
社交性の高さから、アーチャーと同様、近所から信頼されている。また、はやての保護者的な立場から、アーチャーと夫婦関係にあると誤解されている。


ザフィーラ

使用魔法 古代ベルカ式

得意魔法 防御系

デバイス 無し

ステータス

筋力 B

耐久 A+

敏捷 C

魔力 C

幸運 D

スキル

ベルカ古流武術(A)
詳細は不明だが、ベルカの古流武術を修得しており、近接格闘能力が上昇する。
Aランクなら達人の域。

堅牢(A+)
防御体制とった時のみ、耐久がブーストされる。

威風(B)
精神干渉を無効にし、ある程度の敵の戦意を削ぎ落とす。

ヴォルケンリッターの守護獣。
人間形態と動物形態の2つがあるが、はやての要望で普段は動物形態になっている。
当初はその風貌と大型犬という事もあり、近所には怖がられていたが、車に跳ねられそうになった子供を助けた事により、八神家の名犬として、近所の子供達の人気物になった。


ヴィータ

使用魔法 古代ベルカ式

得意魔法 防御粉砕系

デバイス グラーフアイゼン

ステータス

筋力 A+

耐久 B

敏捷 D

魔力 C

幸運 B

スキル

防御破壊(B+)
一定ランクの防御なら、無条件で破壊する事が出来る。

戦闘続行(A)
致命傷でない限り、瀕死の状態でも戦闘可能

底力(C)
瀕死の状態で、一度だけ筋力をEXにする事が出来る。
ただし、このスキル使用後は必ず戦闘不能になる。


ヴォルケンリッターの一員である少女。
少々気難しい性格の為、なかなか日常に馴染めなかったが、ある日老人達のゲートボールに交じった事により、それなりに楽しい日常を送っている。
はやてが買ってくれた兎のぬいぐるみは、今も大切にしている。

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■作者からのメッセージ
今回の八神家の日常でしたが、漫画版も少し参考にしてみました。
それとヴォルケンンリッターの設定ですが、少しオリ設定を含みました。
次からは、A'S編プロローグに入る予定にしていますので、どうかお楽しみに。
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