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学園黙示録Highschool OF THE DEAD ifストーリー 第四話 「動き始めた関係」
作者:黒猫のK   2012/10/21(日) 12:28公開   ID:hC72N6d0Htw
窓から日差しが入ってくる。
「朝か…」
目覚ましがなる前に目が覚めてしまった。麗と朝一緒に約束をしているしちょうどいいか。
支度をしながら僕は昨日のことを思い出す。
「本当に色んなことがあったなぁ…」
昨日は目が覚めたら何故か自分の部屋にいて、時間もさかのぼっていた。壊れる前の世界を久しぶりに過ごし、そして僕は胸の中でつっかえていたものをやり直すことができた。
我ながら急激に変わった状況に対しての順応性には驚くところがあるな。奴らが現れた世界で過ごしていくうちに僕はどこか壊れてしまったのだろうか…
「まぁ、考えても仕方ないよなぁ」
制服に着替えて食事をとり、僕は外に出た。うん、今日も世界は平和なままだ。
数日後には壊れてしまうかもとは思えないな。
そんなことを考えていたらこちらに歩いて来る麗の姿が見えた。麗は僕のことを見つけると小走りでやってきた。
「ごめん、待たせちゃった?」
「いや、僕も今降りてきたばかりさ。」
「そう?じゃ、学校行こっか。」
笑顔で歩き始める麗。その姿には暗い影など一切見えない。
「今日から授業が始まるのか。面倒だな…」
「またそんなこと言って。今日から部活も再開ね。新入生勧誘しないと。」
「部活参加できるのか?」
「うん、普通に参加できるみたいよ。まぁ、来年は大会とかには出られないみたいだけどね…」
「三年になっても続けるつもりなのか?」
「武芸は日々の鍛錬が大切なのよ。練習だけでも参加するわ。」
「まだ強くなるつもりなのかよ。」
「ふふ、孝なんてコテンパンよ。」
麗は本来の調子を取り戻したみたいだな。本当によかった。

しばらく歩きながら話していたら学校に到着した。下駄箱で永に会った。
「よう、2人とも。」
そこからは3人で楽しく話しながら教室へと向かう。
席に着くとき永が僕にそっと耳打ちしてきた。
「麗、元気出たみたいだな。孝何かしたんだろ?さすがだな。」
本当にこいつは人の機微によく気付く奴だ。お前のほうがさすがだよ。
「別に大したことなんてしてないさ。でも麗が元気出たみたいでよかったよ。」
「そうそう、その調子で麗のことをちゃんと支えてやるんだぞ。」
「何言ってんだよ。僕とお前でだろ?」
僕の言葉を聞いて永は一瞬ポカンとした。
「本当に孝は女心がわかってないな…麗も相談したくなるわけだ。」
えーっと、永は何が言いたいんだ?永の言うことはいつも正しいけど時々難しいこと言うんだよな。
永に意味を聞こうとしたが、先生が入ってきてホームルームが始まってしまったので、僕は聞くことを諦めた。

午前中の授業が終わり昼休みになった。僕が永を誘って学食に行こうとしていたら麗がやってきた。
「2人とも学食行くんでしょ?私も一緒してもいい?」
「あぁ、もちろんさ。」
嬉しそうな顔をする麗。そんな麗の顔を見て永は唐突に
「悪い、孝、麗オレ昼休み空手部の集まりがあるんだった。2人で食べに言ってくれ。」
と言って立ち去っていった。去り際に麗に何か耳打ちをしていた。
耳打ちされた麗は顔を赤らめてチラチラと僕の顔を見てきた。
「どうした麗?永何て言ってたんだ?」
「な、何でもないわ!早く行きましょ。」
麗は僕の手を引っ張ってずかずかと歩いていく、一体何なんだ?

「ふーやれやれ、孝の鈍さには困ったもんだな。麗から、孝にアプローチしているのに全然反応してくれないと前々から相談を受けてたが、昨日なんて孝に好意を伝えるのに協力してくれなんてメールが来たもんな。恋のキューピットも楽じゃないな。」
井豪永という男は本当にいい奴なのであった。

学食はなかなかの賑わいだ。
「席空いてるかな?」
「僕が空いている席を探すから悪いけど麗注文頼んでもいいか?」
「いいわよ。何食べるの?」
「そうだな…どうしようか…?」
「孝ってこういう時本当優柔不断よね。私は定食Bにするけど?」
「じゃあ僕は定食Aにするよ。」
「了解、じゃあ席よろしくね。」
よし、席を探すかな。うーん、今日はけっこう混んでるな。空いてる席、空いてる席っと。
あ!角のカウンター席が三席空いてる。あそこにするか。
「ふー、席が見つかってよかったよ。」
麗はまだ注文するのに並んでるみたいだな。
しばらく1人で座って待っていると僕に後ろから声をかけてくる人物がいた。

「隣、座ってもいいかな?」
振り返るとそこにはプレートの上にうどんを乗せた毒島冴子が立っていた。
「さ、冴子ーさん!どうしてここに?」
「君は面白いことを聞くな。私だってこの学園の生徒だよ。学食くらい利用するさ。」
「ははは、確かにそうですね。」
「君は1人で食べに来たのかい?」
「いえ、麗と一緒に「孝!その人は?」
麗が戻ってきた。
そういえば奴らが現れる前はまだ麗と冴子は知り合ってないんだよな。麗が冴子のことを知らなくても当然か。
「三年の毒島冴子だ。よろしく。孝君とは仲良くさせてもらってるよ。」
冴子が麗に挨拶する。
「二年の宮本麗です。そこにいる孝とは幼なじみです。」
お互いに自己紹介する2人、2人ともなんか雰囲気が心なしかピリピリしてるような…
「ねぇ、孝?前に孝が言ってた知り合いの先輩ってこの人?ずいぶんと美人な知り合いがいるのね。いつ知り合ったの?」
「えーっと…」
ま、まずい本来なら僕と冴子は知り合っていないはずだなんて説明したらいいんだろ…
僕が返答に困っていると横で座っている冴子がかわりに答えた。
「私と孝君は春休みに知り合ったんだ。ちょっと色々あってね。」
ナイスフォローだ冴子。
「ふーん、色々ねぇ。」
僕のほうを見る麗。なんか機嫌悪くないか?
麗と冴子に挟まれて座る僕、なんか2人がピリピリしてて居心地が悪い…
「定食Bのかたーお待たせしましたー。」
「ほ、ほら麗頼んでたのできたみたいだぞ。」
「孝、悪いんだけど代わりに取りに行ってくれない?私毒島先輩とお話したいんだけど。」
「え、?」
「孝君男子たるもの女性を気遣うべきだよ。それに私も宮本君とは話がしたいと思っていたところだ。」
冴子にも言われて僕は席を立った。2人で何を話すんだ?


「何よこの人?孝の奴いつ知り合ったのよ。それに孝君なんて親しそうに呼んじゃって。完全に孝のこと好きじゃない。いったいどういうことなのよ…?」


「孝の話とは違うぞ!奴らが現れる前の世界では宮本君は別の男子と付き合っているのではなかったのか?奴らが現れた世界と同様孝に好意を寄せてるじゃないか!」


「ずいぶんと孝と仲いいんですね?」
「うん、孝君とは色々あってね。そちらもずいぶんと仲がよいではないか。幼なじみなのだろう?付き合いは長いのか」
「そうですね。小さい頃からずっと一緒ですよ。」
「ほう、こんなかわいい幼なじみがいるなんて孝君も隅には置けないな。」
「そ、そんな、毒島先輩凄く美人じゃないですか幼なじみにこんな知り合いがいるなんて私も鼻が高いですよ。」
「………。」
「………。」
「まぁ、せっかくこうして出会えたわけだ。これからよろしく。」
「はい、こちらこそよろしくです。」


「まぁ悪い人じゃないみたいね。でもやっぱり孝のこと好きよみたいね…美人だしスタイルもいいし、うぅ…正直厳しいな…でも負けたくない。私、孝のことが好きだって昨日確信したもん!」


「宮本君はやはりとてもいい子だな。そんな宮本君と孝をめぐって争うのは少々心苦しいが一歩も引くつもりはない。毒島の女たるもの正々堂々戦って孝を勝ち取ってみせる!」


「麗、取ってきたぞ。」
僕がいない間に2人ともなんか少し打ち解けたみたいだな。
「あ、ありがとう。孝」
「僕のも出来上がったみたいだったから、一緒にもってきたよ。食べようぜ。」
「では、いただくとするか。」
「あ、毒島先輩うどん延びてないですか?なんか私たちのこと待ってもらったみたいですみません。」
「大丈夫だよ宮本君。それより早く食べよう昼休みもあと少ししかない。」
僕たち3人は楽しく会話をしながら急いで昼食を食べたのであった。



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■作者からのメッセージ
第四話です。最近の悩みは模試の成績が悪いことです(笑)
今回は孝に対しての麗と冴子さんの思いを中心に書いてみました。
原作では奴らが現れる前永と麗は付き合っていましたが、もし孝が麗が留年したときもっと上手くやっていたら麗の気持ちが永に向くことはなかったんじゃないかと考えて今回の話のようにしてみました。

たくさんの人が自分の作品を読んでいてくれてとても嬉しいです。
また感想を書いてくれる皆さんとても参考になります。本当にありがとうございます。
皆さんの意見を上手く取り入れて作品を書いていけたらと思います。
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