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運命戦記リリカルEXTRA.AC改 A'S編2、騎士達との邂逅
作者:起源くん   2012/10/27(土) 02:22公開   ID:L0gu7.dO5Yw
フェイト達が地球に滞在している時、レイヴンはアースラに乗船していた。
件の魔導師襲撃事件の犯人を捕まえる為である。
レイヴンはクロノと共に廊下を歩いていた。

「ところで、ホワイトグリントのオーバーホールはいつ終わるんだ?」

「今日中には終わるって、マリーは言っていたけど?」

レイヴンは今現在、ホワイトグリントを持っていない。
整備を頼もうと、整備士のマリーの事、マリアル・アテンザに見せた所、彼女を大激怒させてしまった。
彼女いわく――――。

『デバイスをもっと大切にしなさーい!』

そう叫び、レイヴンからホワイトグリントを奪い取ると、真っ先にオーバーホールに取りかかる事、数日が経過していた。

「マリーが怒るなんて余程の事たぞ? 整備をちゃんとしているのか?」

「当たり前だろ。ホワイトグリントは大切な相棒なんだから、毎日手入れは欠かせていない」

レイヴンの言葉に、嘘偽りを感じられない。本当に手入れをしているようだった。

「―――とすると、マリーは何に怒ったんだ?」

「さあな・・・・・もしかしてアレか?」

どうやらレイヴンには心当たりがあるらしい。
クロノはそのことを追求してみると、とんでもない事実が判明した。

「ホワイトグリントを原形をとどめない程の改造をした事か・・・・・あるいは、最後にオーバーホールをしたのが十年以上前だからか・・・・・」

「・・・・・・・・・・マリーに直接聞けば分かるよ」

クロノは既に突っ込む気がしなかった。
すると、レイヴンは何か思い出したように、クロノに聞いてきた。

「所で、例の件は上手くやってくれたのかクロノ?」

「ああ、フェイトを地球に一ヶ月滞在出来るようにはしたよ。嘱託になったのが大きかったからね」

依頼を浮けるとき、レイヴンがクロノに頼んだ事は、フェイトを僅かな期間でもいいから、地球に滞在出来るようにしてくれ、との事だった。

「僕としては、彼女も協力して欲しかったけど・・・・・」

「そんな事をしてみろ、ただじゃすまないぞ」

レイヴンは殺気を放ちながら、クロノを睨みつけた。
どうやら彼は、フェイトをこの件に関わらせるつもりは無いらしい。

「そんなに睨みなよ。AAAランクの魔導師の力をが欲しいのは、どこだって同じなんだから」

クロノのその言葉に、レイヴンはタメ息をついた。

「あのな、今回はモロに対人戦前提なんだ。フェイトがいくらAAAでも、ガチの対人戦をしたのは、高町だけだ。ハッキリ言って経験不足だ」

対人戦ともなると、戦いにおいて優劣を決めるのはランクではなく経験だと、レイヴンは考えているからだ。
例えAAAランクでも経験が少なければ、AAランクの老兵には勝てない。レイヴンは何度も戦場で、その光景を見てきた。

「そう考えると、高町やフェイトより、衛宮に協力を仰いだ方が良い」

「? どういう事だ? 何故優人なんだ?」

優人の魔導師ランクは精々Dランク、武装隊員に劣るランクである。
そんな彼が、AAAランクの敵に役に立つとは思えないと思ったが、ジュエルシードの回収時の時を思い出す。
的確なサポートにアシスト、更には正確すぎる分析力。これらの能力に何度も助けられた事があった。

「・・・・・確かに、彼の能力は対人戦でも役に立つな。たけど、彼も素人の筈だろ?」

「その認識が間違っている。奴は素人じゃない、かなりの対人戦を経験をしている。じゃないとあれだけ的確にサポート出来る筈が無い。それに・・・・・」

レイヴンは言葉を止めた。
言おうか言うまいか悩んだが、クロノには優人の危険性も知った方が良い判断し、彼に対して感じた事を伝えた。

「アイツは、人を殺した経験があるかもしれん。奴から、そういった輩が発する特有の気配を感じた」

「―――――え?」

その言葉を聞いたクロノは思わず立ち止まった。

「そんなバカな訳・・・・・」

「絶対していないと言えるのか? 俺達は誰一人、奴の素性を知らないのだぞ」

その言葉に、クロノは反論出来なかった。
衛宮優人、高町家に引き取られる以前の経歴は一才不明。そのうえ、彼が人間ではなく、何らかのロストロギアによって産み出された魔法生命
プログラム
体だと判明したから。
レイヴンの言う通り、人を殺した経歴があったのかも知れない。しかしクロノは―――。

「例えそうだとしても、彼は僕の友人だ。それは絶対に変わらない」

クロノはジュエルシード事件時の交流で、優人の人柄を理解していた。
あれほど他人を思いやる事が出来るのだから、決して悪い人間ではない。そう思っていたからだ。

「そうだな・・・・・たが、正体不明なのは事実だ。用心しておけよ」

そう言って、レイヴンさっさと行ってしまった。
以前のセレ・クロワールの事もあって、記憶喪失の正体不明な人物は用心するようになっていたのだ。
クロノは、その事を強く反感を持ちながら、レイヴンの後を追った。




一方その優人とは言うと、学校生活を満喫していた。
フェイトも、一ヶ月間という短期だが、優人達が通う聖祥小学校に無事編入出来た。
今日はフェイトを含めて、新聞部の活動をしているところだった。

「今日はどんな取材をするの?」

「今日は何と、巷で噂になっている正義犬についてよ!」

アリサいわく、今年の夏辺りから噂になっており、車にひかれそうになった子供を救ったり、引ったくりから荷物を奪い返したりと、かなり活躍しているとか。

「あたし達も偶然目撃したのよ。これがその時の写真よ」

アリサが見せた写真は多少ボヤけていたが、二人乗りのスクータに、一匹の大型犬が飛び掛かる所を写していた。

「偶然その場に居合わせてね、慌てて写真を撮ったの。ちょっとボヤけちゃったけど」

「それで今回はこの犬の飼い主を探し出して、直接インタビューするわよ」

そう言ってアリサは、優人、なのは、フェイトに同じ写真を渡した。

「いやアリサ、肝心な犬の所がボヤけてちゃ、探しようが――――」

「そんなの根性よ! それとも何? ボヤけた写真を撮ったすずかが悪いって事?」

「酷いよ優人くん・・・・・私、一生懸命撮ったのに・・・・・」

すずかが今にも泣きそう・・・・・いや、泣いているフリをしているのだが、優人には泣いているように見えた。

「いや! すずかは悪くない! これだけで探してみせる!」

そう言うと、瞬く間に聞き込みに行ってしまった。
優人が行ったのを確認すると、すずかはケロっとした。

「我が新聞部の切り込み隊長も行った事だし、私達も聞き込みに行くわよ!」

「それじゃ、集合場所はいつもの公園でね」

アリサとすずかもそれぞれ聞き込みに行ってしまい、残されたのは、なのはとフェイトだけであった。

「えっと・・・・・どうしょう・?」

「とりあえず、一緒に行かないフェイトちゃん。聞き込みの仕方を教えて上げるよ」

「う、うん、よろしくお願いします」

「まっかせない! 私がフェイトちゃんに手取り足取り教えて上げるよ!」

そう言って、なのははフェイトの手を掴み、聞き込みに行くのであった。




ところ変わってアースラの整備室で、マリーによる新生ホワイトグリントの説明会が行われていた。

「つまり、オーバーホールついでに、ホワイトグリントを魔改造したと?」

「yes! あれらこれらと新機能and新モードを追加しました!」

マリーは異常なテンションで答えた。
どうやら数日間の徹夜で、ナチュラルハイになっている様子だった。
レイヴンはタメ息をつく。

「とりあえず、その追加要素を教えろ。そして、無駄な物だったら外せ」

「そんな事ないッスよ旦那! この天才マリーに掛かれば、どんなデバイスでも高性能に――――」

「良いから、さっさと教えろ!」

「せっかちですね〜〜では先ずはこれから」

ホワイトグリントをハンドガン形態した。見た所何も変化はみられなが―――。

「何と! このハンドガン形態にチャージシステムを搭載したのです!」

「チャージシステム? 何だそれは?」

チャージシステム、これは集束魔法系の応用で作られたシステムで、通常の集束魔法とは違い、体内にある魔力をデバイスに溜め込み、放つという物である。
これにより、威力は劣る物の、疑似集束魔力弾を放つ事が出来る。

「おお! それはいいな!」

「驚くのはまだ早いッスよ! 次はこれッス!」

次に見せた形態はショットガン。
これも一見変化は見られないようだが――――。

「何とこれにはバリアブレイク機能を付けました! 効果は文字通り、相手の防御を破壊するものです! これにより、より一層相手の防御を崩せるようになります!」

「おお! 凄いぞマリー!」

「次はもっと驚くッスよ!」

今度はライフル形態にした。
先の二つとは違い、この形態は少し形が変わっていた。
砲身は長くなり、スコープが装着されている。ライフルというより、スナイパーライフルに近かった。

「連射性を完全に犠牲にしましたが、絶大な威力と射程を誇ります。最大射程は何と五km! どんな敵も見逃しません!」

「う〜ん、射程が延びたのは良いが、連射性が無くなったのが残念だ」

レイヴン少し残念そうだった。
彼は元々長距離はあまり得意ではなかったので、狙撃といっても、狙いをつけて、そこに目掛けて撃ちまくるといったものだった。

「あれ? 反応がイマイチですね? それならこれはどうですか!」

次に見せた物は、ホワイトグリントに新たに追加したモードであった。
全長は二メートル弱の、巨大な砲身であった。

「レイヴンさんは砲撃系の魔法が苦手だと、クロノ先輩から聞いたので、その補助としてランチャーモードをつけたんです!」

ドヤ顔をしているマリーだったが、レイヴンより一層微妙な顔をした。

「つけてくれたのは嬉しいが、デカ過ぎやしないか? 何処かの宇宙怪獣にでも撃つつもりなのか?」

「ええ? これも微妙ですか? 結構自信作なんですけど・・・・・」

マリーは少し残念そうな顔をした。
それを見たレイヴンは、何故か罪悪感を感じてしまった。

「いや、これはこれで何かに使えるかも知れん。ありがたく使わせて貰う」

「えへへ、頑張ったかいがあります! それで次は――――」

最後の形態について説明しようとした時、クロノが物凄い形相をしながら、整備室に入って来た。

「マリー! いるか!?」
「どうしたんですかクロノ先輩? そんな怖い顔して?」

「どうしたかじゃない! この領収書は何だ!?」

クロノが持って来た領収書の金額は何と一千万を越えていたのだった。

「それはレイヴンさんのホワイトグリントのオーバーホールと改造込みです♪」

可愛らしく笑みをしながら言うマリーだったが、クロノ相手にそれは通用しなかった。

「ちょっと待て、改造するなんて聞いていないぞ! いくら掛けたんだ!?」

「えっと、七百万ぐらい・・・・・」

クロノは頭が痛くなった。
明らかに予算オーバーしてしまったからだ、レイヴンの報酬の件をどうしょうか考えていると、レイヴンが――――。

「クロノ、俺の前金と後金の報酬、それと捕獲時の報酬を使ってくれ」

「え!? 良いのか? それだと雀の涙くらいしか残らないぞ?」

「構わない、むしろ報酬以上の事をしてもらった。これ以上の報酬は無い」

レイヴンは、マリーが改造したホワイトグリントの性能は思いの外、気に入っている。
報酬が減るのは痛いが、襲撃者を全員捕まえれば百万くらい残るのだから、決して悪くないと判断したのだ。

「それじゃマリー、ありがたく使わせて貰うぞ」

「は、はい! 大事に使って下さいね」

マリーから新生ホワイトグリントを受け取り、レイヴンはクロノと共に整備室を出ていった。

「はぁ〜〜レイヴンさん、カッコイイです!」

マリーは、紅く染め上がった頬に両手を当てて小さく呟いた。

新生ホワイトグリントを受け取ったレイヴンは、リンディが話す今後の方針について、ブリーフィングルームにて聞いていた。

「現在わかっていることは、襲撃犯は管理外世界を中心に活動している事です。確認されているメンバーは三人」

リンディが空間モニターには、騎士の格好をした女性とゴスロリ風の少女、屈強な体をした犬耳と尻尾がある男性が映し出されていた。

「これまでの情報を集約しますと、彼女たちは真正古代ベルカの使いの可能性が極めて高いです」

その言葉に、周囲の局員がどよめいた。
真正古代ベルカ、かつて次元世界を二分にする勢力があった。それがベルカである。
ベルカという世界が滅んだ後も、生き残った僅かな民はミッドで暮らしている。
そんな彼らが使用したのが、ベルカ式と言われる魔法である。
主に対人を主軸とし、武器や拳に寄る近接戦闘を得意とする魔法である。
しかし、扱いの難しさの為、真正古代ベルカの使いは殆どいないのである。

「しかも、相手がニアSの可能性が出た為、少数精鋭で、他の魔導師は逃げられないように結界を張って貰います。実行メンバーはクロノと――――」

そう言って、レイヴンを含む三人のメンバーを紹介する。

「今回の為に、アースラに出向してもらった―――」

「アップル・ボーイです」

「レジーナだ。よろしくな」

「そして最後に、今回雇ったミグラントを紹介します。レイヴン」

最後にリンディはレイヴンを指した。
レイヴンは気まずそうに立ち上がり、それとなく挨拶をした。

「レイヴンだ、よろしく」

そう言って再び座り直す。
そんな姿を見たクロノはタメ息つき。リンディ、アップル、レジーナは苦笑した。




そのころ地球では、もう夕方近くになっていた。
フェイト含む新聞部のメンバーは、写真の犬の聞き込みしたが、結局収穫はなかったのである。

「それじゃ、また明日」

「じゃあね、なのはちゃん、フェイトちゃん、優人くん」

優人達はアリサとすずかと別れ、高町家に帰宅しようとしていた。

「今日は収穫なかったね・・・・・」

「まぁ、こういう日もあるよ。また明日頑張ればいい」

「そうだよフェイトちゃん。落ち込む事は無いよ」

件の犬に関する情報を見つけられなかった事に落ち込んでいたフェイトを、二人は励ました。

「ありがとう二人共」

「どう致しまして、所で学校には馴れた?」

「まだちょっと戸惑うけど、クラスの皆は親切にしてくれているよ」

編入初日、クラスの子に囲まれてしまう事態が起きてしまった。
しかもフェイトは、殆ど山奥に住んでいた為、大勢の同年齢の子に戸惑ってしまったのだった。
それを救ったのが、新聞部のメンバーである。
今ではメンバーに助けられながら、クラスに溶け込もうと努力しているのであった。

「それでね、やっぱり国語が分からないかな?」

「まぁ、フェイトは外国人?だからね、文法とか難しいよね。逆に数学は凄いね」

「基本的な事はミッドと変わらないから、こっちは得意なんだ」

「わ、私だって数学は得意だよ!」

なのはは妙な対抗心をフェイトに抱いていた。
原因は、今まで優人に数学を教えていたのがなのはだったが、フェイトが数学が得意で逆に国語が苦手ということもあり、優人とフェイトは互いに苦手な科目を教えながら勉強しているのだが、なのははそれが面白くなかった。

「ん? それは知っているけど?」

「だから、あの・・・・・その・・・・・」

もっと自分を頼って欲しいと言いたかったが、数学は明らかにフェイトの方が上、しかも教え方も丁寧なので、頼って欲しいとは言えなかった。
それを察したフェイトは、なのはに助け船を出した。

「なのはも、一緒に勉強したいんだよね?」

「え? そうなのか?」

「う、うん! そうなの! 二人だけでずるいって思ってたの!」

「そうだったのか、それなら三人で勉強をしょう」

「うん!」

なのはは嬉しそうに笑った。
三人はその後も談笑しながら、帰宅しようとしたが、突然周りの色が変わった。

「なんだ!?」

「これは結界魔法!? 二人とも気を付けて!」

「魔法って・・・・・魔導師は私達しかいない筈だよ!?」

「あくまで確認されて魔導師はだけど、こうして結界魔法が使われているんじゃ、相手は魔法使いって事じゃないか?」

「ともかく、相手の目的が分からない以上、戦闘体勢をとった方が良いかも」

「分かった! レイジングハート!」

「バルディシュ!」

なのはとフェイトはレイジングハートとバルディシュを掲げ叫んだ。


「「セットアップ」」

二人は魔力色に包まれ、バリアジャケットを装着した。
優人も既に、バリアジャケットを着ていた。

「view map!」

優人は魔術で、周囲の様子を探る。
すると、何者かがこちらにやって来るようだった。

「二人とも! 誰かが来る! 気を付けろ!」

優人が叫びと同時に、二人は身構えた。
すると、数個の鉄球が優人目掛けて迫ってきた。
三人はそれをかわし、それを放った少女を見る。

「襲われる筋合いは無いと思うんだが?」

「一体どこの子!? 何でこんな事をするの!」

なのはは少女に呼び掛けたが、少女はただ宣戦布告ともとれる発言をした。

「おめぇらに恨みはねぇが、魔力を取らせて貰うぞ?」

そう言って少女はハンマーを構え、優人達に迫った。
これが雲の騎士達の最初の邂逅である。


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■作者からのメッセージ
主人公ですが、記憶は無くしていますが、経験は刻まれているので、経験と読み合いに関しては、なのはやフェイトより上という設定にしています。
今回は戦闘はありませんでしたが、次回は丸々一話戦闘です。
テキストサイズ:13k

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