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運命戦記リリカルEXTRA.AC改 A'S編5、夜天の書と紫天の書
作者:起源くん   2012/11/04(日) 10:47公開   ID:L0gu7.dO5Yw
優人のいる部屋には、なのは、フェイト、アルフ、クロノ、レイヴン、そして医務官の少女がいた。

「とりあえず経過を見る必要がありますが、もう大丈夫だと思います」

その言葉を聞いて、なのは達は安堵した。しかし―――。

「ただし、魔術の使用は当面控えて下さい。我々には魔術回路に関する知識がありませんので、何が起こるかわかりません」

そう言って、医務官は部屋を出ていった。

「良かった・・・・・本当に良かった・・・・・」

なのはは未だに涙を止められずにいた。

「心配かけてごめん。もう大丈夫だから」

「うん・・・・・」

優人はなのはを落ち着かせてから、襲撃者についてクロノに聞くことにした。

「ところでクロノ。彼女達は一体何者なんだ? いきなり襲われたけど・・・・・」

「ああ、それは―――」

クロノはこれまでの経緯を話した。

「彼女達が魔導師を襲撃して、魔力を奪っていっているのはわかった。けどその目的は?」

「それは――――」

「現在調査中だ。わかり次第話す。今は体を治す事に専念しろ」

クロノが何かを言おうとしたが、レイヴンがそれを遮るように言った。まるで、何かを隠すように。

優人の部屋から出たら、クロノが口を開いた。

「どうしてあんな嘘をついたんだ?」

「嘘? それってどういう―――」

「話はリンディの部屋でする」

そう言うと、レイヴンはリンディの艦長室に向かって行った。クロノ達はその後を追った。
艦長室に入ると、そこにはいつも通りにリンディが椅子に座っていた。

「よく来たわね皆。優人くんの様子はどう?」

「とりあえず無事だ。それよりも、コイツらに今回の事件の事を話してくれ」

「わかったわ。皆、これを見てちょうだい」

そう言って、リンディは四人の映像と一冊の本を空間モニターに映し出した。

「彼女達の正体はヴォルケンリッター。闇の書と呼ばれるロストロギアを守護する魔法生命体
プログラム
なの」

「闇の書? それは一体何ですか?」


「それに関しては、彼から説明して貰うわ・・・・・入って来て頂戴」

リンディがそう言うと、一人の眼鏡を掛けた少年が入って来た。

「久し振りだね皆。元気にしてた?」

「ユーノ君!?」

その少年こそユーノ・スクライア。かつて、なのはに魔法の指導を行っていた人物である。
彼は手には何冊かの本を持っていた。


「ユーノ。それは?」

「これは闇の書に関する資料だよ。グレアム提督が依頼で、無限書庫から探したんだ。苦労したけど、リーゼさん達が手伝ってくれたおかげで何冊か見つけたんだ」

そう言いながら、なのは達に闇の書に関する話をし始めた。
かつて夜天の書と紫天の書と呼ばれる二つの魔導書があった。
本来この二つの魔導書の役割は、魔法の研究し、後生に伝える為の物である。
夜天の書が収集と記録の役割を持ち。紫天の書が保存と再現の役割を持っていた。

「だけど、ある人物がこの二つを無理矢理一つにした上に、更にあるロストロギアを埋め込んだんだ」

ユーノが見せた一枚の写真には、濃い赤褐色の宝石が写し出されていた。

「これが無限連環結晶エグザミア。これは魔力を無限に生成する物で、あまり危険性は無かったんだけど・・・・・」

「夜天の書と紫天の書、それとエグザミア。この三つが合わさった事により、一冊の闇の書となった。そして―――」

クロノが空間モニターに映し出したものは、異形な怪物が世界を破壊していく光景だった。

「な、何これ・・・・・」

「ひ、酷い・・・・・」

「これが闇の書が完成した後に現れる怪物。僕達は闇の闇、ナハトヴァールと呼んでいる」

「ナハトヴァール・・・・・」

「彼女達が何の目的で闇の書を完成させるのか分からなけど、ナハトヴァールを喚ばせる訳にはいかないわ」
あまりにも話の規模がデカイ事に、なのは達は尻込みをしてしまった。

「あ、あのさ! いくらなんでもあたし達だけってやるのもどうかと思うんだけど・・・・・」
「アルフの言う通りだと思う。そんな危険なロストロギアなら、本局から応援を要請した方が・・・・・」

フェイトとアルフは本局の応援を呼ぶことを提案したが、リンディは首を振った。

「残念だけど、応援は要請出来ないわ。現状の戦力で解決しないといけないの」

「どうしてですか? 皆でやれば・・・・・」

「そ、それは・・・・・」

リンディはとても申し訳ない顔をしていた。
すると、レイヴンがリンディの変わりに説明をし始めた。

「奴らが動くからかだ」

「奴らって?・・・・・」

「特殊鎮圧部隊・・・・・通称フライトナーズだ」

そう言ったレイヴンの表情は、とても嫌な顔をしていた。
フライトナーズとは、あまり良い思いでが無いように見えた。

「奴らは目的を達成する為なら、手段を選ばない外道集団だ」

レイヴンの話によると、テロリストが人質と共に立て籠ったビルを、人質がいるのにも関わらずビルごと爆破をしたり、次元船に凶悪なウィルスが漏れた事を知るや否や、乗船者達もろとも船を沈めたり。更には、危険なロストロギアが発動しそうになると、周辺住民もろとも消滅させるなどの非人道的な事を平気でやる部隊なのだと。


「そ、そんな奴らが、どうして管理局にいるんだい!」

アルフは力一杯叫ぶが、リンディは何も言えなかった。

「クロノくんも知っていたの?」

「・・・・・ああ、僕も闇の書の事を知った時に、母さんから知らされたよ」

クロノは、リンディからフライトナーズの話を聞かされた時、彼はそんな非人道的な事を平気でやる部隊がある事を知り、ショックを受けた。
元々フライトナーズは、管理局の暗部部隊でもある為、一部の上層部しか知らされていない部隊である。

「しかも、奴らには最高評議会の後ろ楯があるから、フライトナーズに対して何も言えないんだ・・・・・」

「そんな・・・・・」

なのは達もショックを受けた。
今まで正義の組織だと思っていた管理局に、そんな部隊が存在して、更には黙認されていることを。
誰もがショックで、下を俯いていると、レイヴンが口を開く。

「落ち込むのはそこまでだ。今やらないといけないのは、フライトナーズが闇の書を嗅ぎ付ける前に、この事件を解決すること―――違うか?」

その言葉に、誰もが俯いていた顔を上げた。

「・・・・・そうだな。確かに俯いている場合じゃない。やる事はたくさんあるんだから―――」

「うん、なのは達の世界を守らないとね」

「ついでにヴォルケンリッターの奴らに借りを返す!」

「そうだよ! このままじゃ、皆が悲しい結末を迎えちゃうんだ! やるしかないよ!」

「僕も、無限書庫に戻って、夜天の書や紫天の書に関する事を調べてみるよ」

誰もが、事件を解決するために動こうとした。
ふと、アルフはある疑問があった事を思い出した。

「ところで、どうして優人にあんな嘘をついたんだい? 優人の魔術があれば、アイツらとの戦いが楽になるのに・・・・・」

「あ、そう言えば・・・・・」

「それに関しても、僕が説明するよ」

「ユーノくん?」

「闇の書に関する資料を探している時に、偶然見つけたんだ」

ユーノが新たに見せた本の表紙には、こう記されていた。“魔術師事件”と―――。

「魔術師って・・・・・」

「そう、魔術を扱う人達―――魔術師が過去に起こした事件が記されているんだ」

本によると、今から百四十年前、地球が観測指定さられた時に交流をし、ミッドの移住した現地の住民の中に、魔術師が紛れ込んでいたらしいと、本には書かれていた。
そして彼らは新天地で、魔道の研究を続けていた。
しかし、その内容は人の倫理に外れる物ばかりであった。

「彼らは優れた魔力資質を持つ人やレアスキルを持つ人達を密かにさらい、そのまま人間標本にしたり、更には危険な薬の実験台にしたりもしていたんだ」

「そ、そんな・・・・・」

しかし、そんな事は長続きはせず、その事を知った管理局は、急遽魔術師狩りを始めた。
魔術師達も抵抗していたが、物量や装備の差もあり、瞬く間に捕らえられてしまった。
こうしてミッドから魔術師の姿を消した。
今でも一部の魔術師が、密かに暮らしていると言われているが、真相は定かではない。

「それじゃ優くんは・・・・・」

「その魔術師の子孫かも知れない・・・・・だけど、重要なのはそこじゃないんだ」

ユーノがそう言うと、魔術に関する事が書かれているページを開いた。

「僕は今まで、魔法と魔術は同じ様な物だと思っていたけど・・・・・実際は違う物だったんだ」

「どういう事?」

「魔法は通常、大気中の魔力素をリンカーコアに取り込み、取り込んだ魔力を使用する物なんだけど。魔術は、術者の生命力を魔術回路に通して魔力に変換し、使用するものだったんだ」

ユーノの話によると、元々魔術師のリンカーコアは、従来の魔導師に比べて劣っていた。
彼らの殆どが、満足に魔力素を取り込めない人達だったのだ。
そこで出てきたのが魔術回路。
これは術者の体内に魔力を通す路を作る事によって、生命力を魔力に変え、リンカーコアに蓄えるようにした。
それがどれ程危険な事かを知りながら、彼らは魔術回路を作り続けた。

「それじゃ優人は今まで――」

その言葉に、なのは、フェイト、アルフ、クロノの四人は愕然とした。
今まで自分達は、優人の命を削っていることを知らずに戦っていたのだと―――。

「これを知った私は、これ以上優人くんを戦わせない事にしたの。厳しい戦いになるかも知れないけど、お願いね皆」

四人はリンディの言葉に強く頷いた。
これ以上優人を危険にさらせない。自分達の力でやるんだと決意して。




優人は本局の部屋で寝ていると、再び闇の中にいた。

「これは・・・・・夢の続きか?」

そう呟きながら歩いて行くと、再びあの時の少女と出会った。

「えっと・・・・・また会ったね・・・・・」

「な、何でここに来るんですか!?」

そう言って、再び羽を巨大な拳に変形させた。

「ちょ、ちょっと待っ―――」

「出ってくださーい!」

そう言って、再び優人を遥か彼方に吹き飛ばした。

「うわぁぁぁぁ!?」

優人が目を覚ますと、眠っていた部屋にいた。

「また女の子に吹き飛ばされる夢か・・・・・・・・・・寝直そう」

そう言って再び眠りに落ちるが―――。

「またここか・・・・・」

再び闇の中にいた。そしてしばらく歩くと、再び少女と出会う。

「また来たですか!?」

「ちょ―――」

再び吹き飛ばされ、目を覚ます。そして眠るとまた同じ闇の中にいる。そしてしばらく歩くと、少女に出会い。

「またですかーー!」

「まっ―――」

吹き飛ばされ、目を覚まし、再び眠りにつくと闇の中にいて、少女に出会い吹き飛ばされる。それを三十二回ほど繰り返すと―――。

「もう私に構わないで下さい!」

そう言って、羽を巨大な手に変化し、包み籠ってしまった。

「おーい、君は一体誰なんだ? そしてここは何処なんだ?」

「あなたこそ、一体誰なんですか? 紫天の書に簡単にアクセス出来るなんて・・・・・」

「えっと・・・・・俺は衛宮優人。君は?」

「・・・・・私はアンブレイカブル・ダーク、通称U-D。紫天の書の・・・・・」

するとU-Dは口を止めてしまった。
まるでそれ以上の言葉が出ないかのように―――。

「? どうした?」

「・・・・・何でも無いです。それより、貴方はどうやってここにアクセスしているんですか? 夜天の書の管制人格にも分からないように隠蔽しているのに・・・・・」

「あの、聞いてもいいかな? 紫天の書と夜天の書って?」

「ふえ? 貴方は知っててアクセスしているんじゃないんですか?」

U-Dがそう聞くと、優人は首を横に振り、これまでの経緯を話始めた。

「眠りにつくと、意識がこっちに来る・・・・・ですか?」

「そうなんだ。こっちも何が何だか・・・・・」

そろを聞いたU-Dは少し考えて、優人に聞こえないほど小さく呟く。

「もしかして・・・・・紫天の書とラインが繋がってしまっている? でも、そんな事が・・・・・」

「ん? 何かわかった?」

「い、いえ! 何でも無いです! 気にしないで下さい!」

U-Dは誤魔化すように言った。
あまりにも不確定で、あり得ない話であるからである。

「ハァ・・・・・こんな時に理のマテリアルが起きていてくれれば・・・・・」

「理? 一体なんだそれは?」

「えっとですね。紫天の書は私を含めた四つのプログラムで構成されているんです」

彼女の話によると、理のマテリアルと力のマテリアルと王のマテリアルが存在しているが、現在は眠っているらしい。

「そうなんだ・・・・・でも何で眠っているんだ?」

「えっとそれは・・・・・」

U-Dの声が暗くなった。どうやら聞いてはいけない事らしい。優人は慌てて話題を変えた。

「え、えっと・・・・・それにしてもここは何も無いな! ずっといて寂しく無いのか?」

「・・・・・寂しいです。でも私はここにいなくちゃいけないんです」

「え? それはどういう・・・・・」

すると視界が歪んできた。
何が起きたか分からないが、どうやらここに居る限界が来たようだ。
優人は最後にU-Dにこう言った。

「また来るから―――」

そう言うと、U-Dはひょっこり顔を出してくれた。
そこで優人の意識が途絶えた。
この出会いが、後の運命を大きく変える事になるとは、この時の優人とU-Dは知らなかった。


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■作者からのメッセージ
今回、優人が紫天の書にアクセス出来たのは、ウィザートの特性があった為って設定何ですけど・・・・苦しいですかね?
魔術回路は魂の一部である為、その魔力が闇の書に蒐集された時、限定的なアクセスポイントが生成されたんです。
何故、紫天の書かと言うと、夜天の書は既にはやてが持ち主になっている為、アクセス出来ず、持ち主が不在の紫天の書にしか出来なかった設定なんです。
色々と苦しい設定ですけど、これで行きたいと思います。
テキストサイズ:10k

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