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幻想光巨人 第2話:剛力の赤
作者:亀鳥虎龍   2024/06/11(火) 15:52公開   ID:5OJ6yzoy51A
 ウルトラマンティガ。

超古代の地球に現れ、人々を闇から救いあげた『光の巨人』。

役目を終え、ティガは自身を石像に変え、魂は宇宙へと帰った。

しかし彼の“光”は超古代の神器『スパークレンス』に宿っており、対怪奇事件特殊部隊『BULLETバレット』の隊員・間宮信護が授かった。

以降、彼はウルトラマンとして、過酷な戦いへと身を投じるのであった。









―第2話:剛力の赤―








 BULLETの本部にて、全員が指令室に集まる。

モニターに映る画面には、一体の怪獣が街で暴れ回っていた。

鱗状の体表に頭部の角、そして両手には鋭い爪。

怪獣の名はゴメス。

『古代怪獣』の異名を持ち、新生代第三紀に生息していたと言われている。

因みに学名は『ゴメテウス』である。

学会では当時、ゴメスの身長は約10メートルと発表されたが、今回現れた個体はそれ以上の巨体だ。

「ゴメスが地中から現れ、魂郷町北部の街で暴れています。 すぐに現場に向かい、神薙隊員は私と共に住人の避難誘導を! 間宮隊員と青樹隊員は、白沢副隊長と共にゴメスの注意を市民から逸らして下さい」

「「「「了解!」」」」

雀の指示を受け、BULLETはすぐさま現場へ急行した。







「グオォォォォォォ!」

咆哮を上げながら、街を破壊するゴメス。

身長は40メートル以上で、体重は約4万トン。

口を火や光線を放つという能力は備わっていない。

その代わり、怪力を利用した攻撃を得意とする。

「こっちです! 急いでください!」

避難誘導を行う雫と雀。

信護達もハンドガンやマシンガンを構え、背後からゴメスを狙撃する。

だがそれでも、ゴメスの進撃は止まらない。

「だめだ、全然効いてない」

「くそっ、こうなったら! 俺は屋上から狙い撃つ。 青樹と間宮は足元を撃ってくれ」

「「了解!」」

虎吉がビルへと駆ける姿を見届け、信護と龍也は頷き合う。

「じゃあ、行ってくる」

「気を付けろよ」

信護が走り出すと、スパークレンスを手に取り、

「ティガ、キミの力を貸してくれ」

ウルトラマンティガへと変身したのだった。







 突如ティガが現れ、ゴメスは視線を向ける。

「ウルトラマンティガ……」

雀が呟き、龍也や雫が安堵する。

「デュワ!」

飛び上がったティガは、ゴメスに拳を叩きこむ。

この攻撃に対し、ゴメスも流石に怯んでしまう。

更に右ストレートを放つティガ。

しかしゴメスは、それを片手で受け止めてしまう。

そして先程のお返しなのか、ティガを豪快に投げ飛ばした。

「ぐっ……!」

背中を強く打ちつけたティガは、痛みを堪えながらも立ち上がり、

「ハァ………」

ゼペリオン光線を放とうとする。

しかしゴメスは尻尾を豪快に振るい、ティガに叩き付けた。

「ぐあ!」

吹き飛ばされたティガは、その場でうつ伏せに倒れてしまう。

コレを見て、ゴメスは歩み寄り、何度も背中を踏みつけた。

何度も踏みつけられ、ティガは窮地に追いやられる。

更に胸部にあるランプ状の器官が、青から赤へと変わっていく。

信護と一体化しているため、その巨体を約3分間しか維持できないティガ。

そして制限時間が僅かに迫ると、胸のカラータイマーが点滅してしまうのである。

暫くして満足したのか、ゴメスは地面を掘りじ始めた。

「させるか!」

コレを見た龍也は、発信器付きの弾丸を撃ち込んだ。

発信器が撃ち込まれた事も気付かぬまま、ゴメスは地面に潜って逃走したのである。







 本部に戻ると、BULLETは作戦会議を始める。

「発信器によると、ゴメスは地中を掘りながら現在、魂郷町北部にある森林地帯に向かってるわね」

「既に自衛隊が迎撃の準備を整えています。 私達も現場に向かいますよ」

「「「「了解!」」」」

現場に向かう為、隊員達は武装の準備を始める。

そんな中、信護は内心で不安を感じる。

「(あのパワー……どうやって対抗すれば……)」

ゴメスの怪力に対し、どのように立ち向かえば良いかが分からなかったのだ。

「信護さん、行きますよ」

「あ、ああ。 すぐ行くよ」

だが雫に声をかけられ、すぐに現場へと向かうのであった。








 現場の森林地帯に着くと、対策本部のテントへと向かった雀。

「どうですか?」

「もうすぐ来ますね」

現場指揮官がパソコンを見せ、ゴメスの現在地を伝える。

「もうすぐって事ね」

まさにその時であった。

突如として、凄まじい地響きが起こったのだ。

「お出ましね!」

雀が呟くと同時に、地中からゴメスが現れたのである。

「ぐおおおおおおおおお!」

咆哮を上げ、ゴメスは再び進撃する。

「撃てぇ!!」

指揮官の叫びで、軍人達が重火器を発射させた。

ハンドガンやマシンガン、さらにバズーカまでもが火を噴いた。

しかしゴメスには全く通用しない。

そんな彼等の目を盗み、信護は近くの芝生へと隠れる。

懐からスパークレンスを取ると、大きく深呼吸をした。

「どうやって倒せば……」

だが先の戦闘で、一度は逃がしてしまっている。

再び不安を感じたが、まさにその時だ。

「!?」

突如として彼の脳裏に、何かの幻影ヴィジョンが流れ込んだのだ。

「……まさか…これが、キミの能力ちからなのか…ティガ」

一度は戸惑った信護だが、再びウルトラマンティガへと変身したのだった。









 再び現れたティガに、誰もが安堵する。

そんな中で彼は、額のクリスタルに交差した腕をかざし、

「はっ!」

腕を下ろすと同時に、その姿が変わったのである。

赤と紫の二色だった模様が、赤一色へと変わったのだ。

これこそが、ウルトラマンティガの特殊能力。

相手の戦い方に応じ、姿と戦法を変える『タイプチェンジ』だ。

そしてこの姿は、パワー重視の攻撃を得意とする剛力形態・パワータイプである。









「色が変わった!?」

誰もが驚く中、ティガとゴメスの戦いが始まった。

一度は掴み合う二人であったが、ティガはゴメスを投げ飛ばす。

そして馬乗りになると、そのまま拳の連打をを叩きこむ。

しかしゴメスは払い除け、すぐさま立ち上がる。

「シャァァァァァ!」

その場で尻尾を豪快に振るったゴメスだが、ティガはそれを受け止め、

「フン!」

ジャイアントスイングの要領で、豪快に投げ飛ばしたのだ。

基本形態のマルティタイプよりスピードが落ちてしまうパワータイプ。

だが名の通り、豪快なパワーを活かした肉弾戦を得意とするのである。

再び立ち上がるゴメスであったが、ティガはパンチの連打を叩きこむ。

そして最後の一撃を叩きこみ、ゴメスは吹き飛ばされてしまう。

「フン! ハァ………」

そして斜め下に伸ばした両腕をゆっくり上げ、オレンジ色に煌めくエネルギーを掴み、

「ハァ!」

そして伸ばした右手から光線を放ったのだ。

必殺技の『デラシウム光流』を喰らい、ゴメスはその場で爆散したのだった。

その光景に誰もが安堵し、そして喜びを分かち合う。

こうして、地球の平和はこれからも、ウルトラマンと防衛軍の手で護られるのである。

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■作者からのメッセージ
・次回予告

天空を駆ける猛禽怪獣グエバッサー!

そのスピードを前に、BULLETもティガも翻弄されてしまう。

果たして、彼等に勝機はあるのか!?

次回、第3話『高速の紫』!



作者「ちょっと、次回予告を書いてみました」
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