現場は、東京郊外の林道。
胸を刃物で刺された高校生ぐらいの少年の遺体が見つかった。
豊原「鞄の中に生徒手帳が入っていました。
沼森優亮。都立沖陽高等学校の2年生です。」
今江「遺体のそばに携帯が落ちてました。」
遺体のそばにあった携帯電話を確認した今江は、被害者の優亮が『悪魔に殺されるかもしれない』と書き込んだmixiを発見する。
久美子は、今回の被害者の優亮と、去年担当した事件の被害者で、両親の無理心中に巻き込まれた息子・田所信一は同じ高校の生徒だという。
“同じ高校”という共通点に引っかかったが、無理心中事件の資料を調べたところ、信一がノートに『悪魔にとりつかれている』と書き記していたことがわかる。
また、今江と豊原は、事件関係者に聴取に行く。
まずは、1年生の頃に二人の担任をしていた美術教師・増田育子である。
「沼森くんと田所くんね…物凄く仲良かったですけど。私が見た限りだと親友という感じかな?」
次は優亮の両親である。
沼森達久「優亮と信一くんですか?優亮からもよく名前が出てたし、仲は良かったと思いますよ。それに、信一くんが亡くなってから、優亮は塞ぎ込んでいました…」
二人が親友だったことや、信一が亡くなって以降、俊也がふさぎ込んでいたという話を聞く。
さらに、弁護士の堀内哲成のアドバイスに背中を押された両親から、心中事件が起きた夜に、信一を訪ねた優亮が田所家の方から走ってくる男を目撃していたことを告白された今江は、優亮はその男を目撃したことが原因で殺害されたのではないかと推測する。
しかし、優亮の部屋を調べていた豊原は、両親の顔が黒く塗り潰された写真を発見し、事件にはもっと別の深い裏があるのではないかと考え始める。
そんな中、吉本のもとに、東京拘置所から一通の手紙が届く。
差出人は、村岡忠司――3年前に老夫婦を殺害し、吉本が逮捕した死刑囚だ。吉本が接見に行くと、富岡は過去にまだ自供していない殺人事件を起こし、それは“悪魔”の指示で実行したものだと言い始める。
空き地を掘り起こすと、そこには富岡の供述どおりに白骨死体が出た。しかも死因は、信一らの無理心中で使われたものとまったく同じ成分の青酸カリによる中毒死であることが判明する。
ここにきて“悪魔”というキーワードで3つの事件が繋がったのだ。
さらに心中事件の前日、信一の父親・洋一が同僚に「“先生”に会わなければならない」と意味深な発言をしていたこともわかる。
「悪魔」と「先生」、対象的な2つの言葉。「先生」という単語から連想されたのは優介と信一の担任・増田だが彼女は女性、村岡によると「悪魔」は男の声だった。
関係者の中に「先生」と呼ばれる存在はもう一人いる。堀内だ。
あるオフィスビルの一角の「堀内哲成法律事務所」、白を基調としたインテリアと整理された本棚は、人に明るい印象を与える。
「ええ、確かに洋一さんの弟さんから、相談を受けていました。しかし、私はこの事件とは無関係ですよ。」
白骨死体で発見されたのは3年前に失踪した会社員・野田誠であると判明する。
一方、瀬戸山と吉本は再び村岡に面会をしに行く。「自分に殺人を命令した男がいて、そいつがのうのうと生きていることが許せない。」
だから手紙を出し過去の殺人を自白したのだと言う。
ただ、村岡も直接会ったことはなく顔は知らなかった。
署で情報を整理する一同。瀬戸山は「優亮が前に目撃していた男ではないか?」と考える。
池内と森岡は信一の叔父で工場を経営している健介に話を聞く。
「あいつら夫婦揃ってギャンブル中毒で金をせびってて、それが原因でうちの工場は傾きかけていた。死んだことはむしろ清々している。」とのことだった。
今江と豊原は白骨死体で発見された誠の妻・晴美、さらに弁護士の堀内に話を聞きにいくが特に情報は得られなかった。
が、池内から電話が入る。
池内によると工場を経営していた健介のところに堀内がやって来て、兄の相談をしていたのだという。
再び誠の妻・晴美の元へと向かい堀内のことを問いただす。
実は夫のDVに悩んでいた時に堀内がやってきて相談をしていた。ところが大西に「夫には失踪して貰う。何があっても他言するな。」と言われる。その後、本当に失踪し殺害されたので怖くて言い出せなかったのだった。
刑事課、捜査情報の整理が行われていた。
池内「もしこれが事実なら、この堀内って弁護士は、本物の悪魔だな…」
さらに優亮の父親・貴久からの話を聞く。
実は優亮は親友の信一が死んだことで引きこもりになり、暴力や家の金を盗むようになってしまった。両親は「いっそ殺した方が楽になる」と思いつめていて、その様子を聞いていた優亮は両親の写真の顔を塗りつぶし、SNSに『悪魔に殺されるかもしれない』と書き込んでいたのだった。
そして、やはり堀内が現れていた。
「どこで聞きつけたのか、あの弁護士の堀内が、突然うちにやってきて・・・
『息子さんは家出する事になります。二度と戻ってこないかもしれません。ですが、これであなた方には元のように、平和な暮らしが戻ってくる』、そう言われて…」
――数日前、この部屋で
堀内『私のことを警察に?』
久美『あなたが優亮を殺したんですか…!?』
堀内『お母さん、私弁護士ですよ?人殺すと思います?』
(堀内はさっと立ち上がる)
堀内『これまでもやってることだ…
ある時は、一家心中に見せかけて、悪い腫瘍を取り除いたこともあります』
貴久『ま、まさか、優亮の親友の田所くんを』
堀内『ご想像にお任せします。
公にしない方が身のためですよ。私は教育も出来ない両親を救っているんですよ。』
そう堀内は悪魔のように囁いていたのだった。
さらに「不審な男を息子が見たことにする」ように堀内に入れ知恵されていた。
拘置所、吉本は村岡に録音した堀内の声を聞かせる。
(『私は、法律家として、この国の不条理を・・・』)
「この声に間違い無い」
「本当だな?」
森岡「堀内の事務所へ行くぞ。」
森岡をはじめとし、堀内の事務所に突入する一同。だが、堀内はすでにこと切れておりパソコンのワープロには「もうおしまい」と遺書らしきものが残されていた。
「やっとたどり着いたのに…!」と憤る吉本。
久美子の解剖によると堀内はジュースと一緒に一連の事件と同じ成分の青酸カリを飲んでいた。
堀内の自殺と思われていたが堀内の遺体にアレルギー反応が出ており、アレルギーのあるジュースで毒を飲むのは不自然だった。
事件を整理していた豊原はある仮説にたどり着き、今江に大量の資料を集めてもらう。
資料を読み漁る豊原。「なんだか眠れそうになくて」と吉本もやってくる。徹夜で資料を調べた二人はある真相にたどり着いたのだった。
それを確かめるべく吉本は再び村岡の元を訪れる。
吉本「悪魔は別にいる。本当の悪魔をあぶりだすために包み隠さず話してくれ。」
吉本の真摯な態度に心が動かされた村岡。
「あんた、変わんねえな。」
村岡のその言葉に「頭は薄くなっちゃったけどな。」と笑みを浮かべる。
村岡「前から薄かったじゃねえか」
真の悪魔の元に乗り込む豊原と吉本。その人物は死亡した二人の高校生の担任をしていた佐倉育子だった。
被害者に悩まされていた人物達は育子の教え子で彼女に相談をしていた。もちろん優亮の両親もだ。
大橋は5年前、育子の教え子と援助交際をしていた。教え子から相談されていた育子は証拠の写真で大橋を脅迫、そして大橋を意のままに操れる立場となった。
育子が相談を受ける→堀内を相談元に向かわせる→大橋に村岡と同じように犯罪歴のある教え子に連絡を取らせる→その教え子達が殺人を実行する
これが一連の事件の流れで、堀内を挟むことで自分にたどり着けないようにしていた。そして、犯行がバレそうになった堀内も教え子を使って始末したのだった。
すでに教え子達は身柄を拘束されていて、観念した育子。
動機を聞かれるも「無いわよ。強いていれば諦めかしら。人の本性なんて…教育じゃ変えられない。」、「悪を使って悪を駆除した。」と悪びれることなく、だがどこか寂しげに答える。
育子は連行されながらも「何件やったかなんて分からないわ…」と全てを投げ出したかのように語るのだった。