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幻想光巨人 第3話:高速の紫
作者:亀鳥虎龍   2024/06/21(金) 21:25公開   ID:5OJ6yzoy51A
 快晴の空。

太陽の光が眩しさ物語っている。

だが、そんな空から、何かが飛来してきた。

急降下し、地上に現れたのは怪獣。

白い羽毛に爪先の鋭い手足、背中には大きな翼。

その姿は、猛禽類そのものだ。

「キシャァァァァァ!」

『猛禽怪獣グエバッサー』が、空に響くほどの咆哮を上げたのだった。








―第3話:高速の紫―







 自衛隊が戦闘機で近付き、ミサイルを放つ。

攻撃は命中したが、グエバッサーに効いた様子はない。

BULLETバレットもバズーカを放つが、全く効いてはいない。

「キシャァァァァァ!」

更にグエバッサーは、背中の翼を大きく羽ばたかせる。

その勢いは凄まじく、突風そのものだった。

「ぐあああああああ!」

「きゃぁぁぁぁぁ!」

これには隊員達も、その場から吹き飛ばされてしまう。

そして雀は壁、虎吉は電柱にぶつかって気絶。

龍也と雫も、転倒してしまう。

「(まずい! このままじゃ!)」

この光景に信護は、すぐさまウルトラマンティガへと変身した。









 変身直後に飛び蹴りを放ったティガ。

「ハァ!」

攻撃は命中し、グエバッサーは転倒する。

突風が止み、龍也と雫は立ち上がった。

雫は雀の、龍也は虎吉の元へと駆け寄る。

「隊長! 大丈夫ですか!?」

「副隊長、しっかり!」

ティガも彼等の様子を確認する。

「ここは任せろ!」

「アナタは、アナタの戦いに集中して!!」

彼等の叫びに頷き、ティガはグエバッサーに挑むのだった。








 立ち上がったグエバッサーに対し、ティガは右ストレートを叩きこむ。

胸部に撃ち込むと、そのまま左フックを打ち込む。

三発目の攻撃を撃とうとした瞬間、グエバッサーは空へと飛び上がる。

上昇した直後、急降下で襲いかかる。

凄まじい体当たりを喰らい、ティガは吹き飛ばされてしまう。

「(まずい! ここは――)」

立ち上がったティガは、すぐさまパワータイプにチェンジする。

突進してきたグエバッサー目にし、ティガはその頭部を受け止めた。

しかし突進の勢いは止まらず、そのまま背後の高層ビルにぶつかってしまう。

相当なダメージを負ってしまったのか、カラータイマーが青から赤へと点滅する。

後ろへ後退したグエバッサーに、ティガはすぐさま立ち上がる。

すぐに駆けだし、渾身の一撃を打ち込む。

しかし、再びグエバッサーが飛び上がる。

コレを見たティガも、すぐさま飛び上がった。

パワーが上がる半面、スピードが低下してしまうのがパワータイプの欠点。

それ故、グエバッサーのような身軽さを重視した怪獣とは相性が悪い。

追い付こうとしたティガであったが、まさにその時だった。

「キシャァァァァァァ!」

グエバッサーの翼から、羽の弾丸が射出されたのだ。

咄嗟に防御したが、直前で着弾してしまう。

その瞬間、ボカァン!という炸裂音が響く。

実はグエバッサーの翼には、起爆性のある羽根が備わっており、『バサフェザーシュート』と呼ばれる技を放つ事が出来のだ。

これにはティガも太刀打ちできず、そのまま上空から落下。

そのまま地面へと墜落してしまった。

「キシャァァァァァァ!」

この光景を目にしたグエバッサーは、勝利の咆哮と共に飛び上がったのだった。








 グエバッサーの襲撃から暫く経ち、雀と虎吉は医務室で眠っている。

正確には、気絶から未だに目を開けていないのだ。

一方で信護は、上半身に包帯を巻くほどの負傷を追っている。

ティガとして戦うため、受けたダメージが自身に返って来るのだ。

ベッドから立ち上がろうとした信護であったが、まさにその時だった。

「!?」

再び脳裏に、ヴィジョンが視えたのである。

その姿は、紫色のティガ。

「今のは……」

すると扉から、一人の人物が現れる。

「間宮信護隊員……で、良いかな?」

赤い髪に青いスーツ姿、容姿は妖艶という言葉が似合う美しさを持つ女性。

「局長!?」

彼女の名は、ルージュ・ガーネット。

怪奇異変特別捜査局の局長を務める人物だ。

「負傷を負ったとは聞いているが、平気かい?」

「あ、はい。 大丈夫です」

「なら…申し訳ないんだが、すぐ指令室に来てくれ」

それだけ言うと、彼女はその場を後にした。

「?」








 指令室に入ると、龍也と雫も来ていた。

「二人とも、怪我は?」

「軽い擦り傷程度ですよ」

「まあ、お前や隊長達よりは、無傷みたいなもんだ」

「そっか。 ……で、何で局長が?」

二人の安否に安堵するも、既にいたルージュに視線を向ける。

「朱羽隊長、白沢副隊長が事実上の再起不能の為、私が指揮を取らせて貰う。 それと、自衛隊から連絡があって、グエバッサーを追跡しているそうだ」

「それで、奴は何処に!?」

「現在グエバッサーは、魂郷町西部の上空を飛び、港町へと向かっている」

「もしかして、餌を探してる?」

「もしくは、巣を作るための材料捜し?」

「いずれにせよ。 奴を野放しにするワケにはいかない。 キミ達三人は、現場指揮官の指示の元、グエバッサーの迎撃を行ってくれ。 私も現場に出て、住人の避難誘導を行う。 では行くぞ!」

「「「了解!」」」

こうしてBULLETは、現場へと向かったのであった。








 魂郷町西部の港町。

BULLETが到着した時には、地上に降りたグエバッサーが街を襲撃していた。

逃げ惑う人々に対し、すぐさまルージュは避難誘導を行う。

「急いでください! 早く!!」

信護達も銃器を構え、グエバッサーを攻撃する。

だがその巨体には、あまり効いてはいなかった。

「ここは僕が! 二人は逃げ遅れた人がいないか調べて」

「分かった」

「お前も気を付けろよ」

「うん」

三人は二手に分かれ、信護は人の気配のない場へと移動。

そしてスパークレンスを構え、ウルトラマンティガへと変身した。







「ハッ!」

変身完了と共に、グエバッサーに殴りかかる。

一撃目を喰らわせるも、左からのジャブを打ち込む。

更に脇腹に回し蹴りを打ち込んだ。

グエバッサーも腕を振り下し、その爪で切り裂こうとする。

コレを見たティガも、咄嗟に避ける。

しかしグエバッサーは、再び上空へと飛び上がった。

コレを見たティガは、額のクリスタルに交差した腕をかざす。

「ハァ!」

その瞬間、体の模様が紫一色へと変わる。

身軽さを活かしたテクニック、そして空中戦に優れた俊敏形態『スカイタイプ』へとチェンジしたのだ。







 姿が変わると共に、ティガはすぐさま上空へと飛び上がる。

コレを見たグエバッサーは、バサフェザーシュートを放つ。

しかしティガは、それを紙一重で回避する。

そしてこのまま、激しい空中戦が繰り広げられた。

グエバッサーは爪を使い、容赦なく襲いかかる。

だがティガも、捌きながら反撃に出る。互いに隙を見せない攻防戦。

まさにこの瞬間だった。

ティガは空中で前転すると、そのまま踵落としを叩きこむ。

これが直撃し、グエバッサーは下へと落下していく。

地面に激突したグエバッサーと同じタイミングで、ティガも地上へと着地。

すかさず両腕を胸の前で交差させたあと、瞬時に左右に伸ばしてから上にあげてエネルギーを集約。

そして両手を左腰に置いてから、手裏剣を投げるように素早く光弾を放った。

必殺技の『ランバルト光弾』が発射され、立ち上がったグエバッサーの腹部に命中。

「キシャァァァァァァァ!」

コレを喰らったグエバッサーは、その場で爆散したのだった。







 事件が解決し、自衛隊が撤収作業を行う。

彼等の姿を眺めながら、ルージュは愛用の煙管を一服する。

そして空を眺めながら、小さな笑みを浮かべる。

「ウルトラマンティガ……キミとは、長い付き合いになりそうだ」

最後は既に立ち去ったティガに対し、そう呟くのだった。


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作者「いったん、この作品は終わります」

信護「続きは!?」

作者「………」

信護「つ・づ・き・は!?」
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