7.
「じゃあ...行ってくる。」
僕、U-0735は特殊能力を入手したチキュージンにこの世界を救ってもらえないか交渉しに行く。不安そうな仲間たちに見送られ、独り亀裂から外に出た。
「美夢、今大丈夫?」
「うん。」
美夢はまたしても私と山瀬先生の組み合わせということに少し疑念を抱いているのか、不思議そうな目で見ている。
そして、不思議そうな目で見ているのは私達も同じだった。美夢の横にいる人物。
「誰?」
「ダークサイダー。向こうの世界を救ってほしいって。U-0508が失礼したって。」
「U-0508?」
思わず呟くと、すぐに返事が返ってきた。
「向こうでは、こんな感じに名前がつけられるんだって。」
「U-0735だ。空間の亀裂が最近多く起こってる。我々では同仕様もない。だが、我々の仲間をワンパンした2人なら止めてくれるかもしれないと思ってきた。」
このダークサイダーには敵意はないと見て良さそうだ。
「みんなにも、チキュージンと協力して解決すべきだといったんだが、どうしてもU-0508みたいに反抗するやつも出てくる。」
「つまり、大体のダークサイダーは敵意を持っていないと?」
山瀬先生がここに来て初めて口を割る。
「...信じてもらえるのか?」
「今のところは...です。」
このダークサイダーは、すぐにでも行動したいようで、出発しようとさえしている。
「じゃあ、早速行こう。早く止めないと...。」
「だめ。もう少し情報がほしい。U-0735の世界には中心となるものがある?」
それが狂っているならそれを直せばいい。
「あ...。守護神のドラゴンがいるんだ。だが、最近暴走しているらしい。僕はドラゴンの守護に入っていないからよくわからないんだけど。」
それだ。そんな確信は他の二人にもあったようだ。何らかの原因によって、そのドラゴンが暴走し、全てがその暴走に影響を受けている。
「美夢、行こう。こっちにも無縁なことじゃないから。」
「えっ。だけど、明らかに危険...だよね。」
いつもは冷静な美夢が、初めて動揺しているところを見せた。たしかに危険ではあるが、どっちにしろ死ぬであろうことは分かっている。なら、チャンスがある方にかけたほうがいい。
「...僕はどうしましょう。」
たしかにそうだ。山瀬先生は特殊能力を持っていない。いったとして、情報分析ぐらいしかできることはないだろう。
「任せろ。」
U-0735はそう呟くと、山瀬先生に近づき、よく分からないことを言った。
「これで、なんか使える。変なことじゃないから安心して。」
どうやら、山瀬先生にも特殊能力を授けたようだった。
「みんな、準備はできた?」
U-0735が発したその言葉に全員が不安ながら頷くと、僅かなほほ笑みを浮かべていった。
「じゃあ、出発だ。」
(今一度の)重要人物紹介
【紺崎 汐莉】
特殊能力・・・飛翔能力。ラクアスに似た技を使用可能。
・謎に学力、身体能力が高い。
・感情が何なのか、イマイチ不明。
【水原 美夢】
特殊能力・・・変形、波動能力。自由自在に刃物を変形させる。
・紺崎と唯一無二の関係。
・極めて冷静沈着。
【山瀬 颯斗】
特殊能力・・・不明。ものすごく便利なものらしい。
・理科担当の完璧主義者。
・必要なこと以外は行わない。
【森下 透】
特殊能力・・・特になし。
・数学担当の最高の先生。
・何かと助け舟を出してくれる。
【U-0735】
特殊能力・・・電気を操る。
・世界の崩壊を防ぐために地球にやってきた。
・根はすごく優しいやつ。