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青を灯せ! 第一話 私の相棒
作者:スケショカイリュー   2024/11/23(土) 16:53公開   ID:8xQ9MWiAZZQ
1.私の相棒

「エリ、そろそろ行こうか」
そうお母さんに促され、深呼吸を一つしてから表に出る。
「そう緊張しなくてもいいのよ?最後の面会だって言ってもさ」
分かっている。分かってはいるの。だけど...
「やっぱり心配?」
「うん...」
最初のパートナーを選ぶ面会日。面会は、これが最後のチャンスの6回目だ。
「ほら、元気出して。ポケモンたちも不安になっちゃうじゃない」
「それもそうだね。...よし、頑張ってみる!」
これ以上、お母さんを心配させたくない。ちゃんと、ポケモンたちにも、パートナーになろうって言わなくちゃ...。
そんな思いでついた学校の面会場で、ポケモンたちと会う。
「キィ!キィ?」
「フォッ」
「ガウ」
たくさんのポケモンたちが鳴き声を上げるが、それだけではだめだ。
ポケモンの方から、こちら側にモンスターボールを持って来てくれなければいけない。だが、数十分待ってみたものの、今回もだめだった。
「...」
「...」
お母さんも、私も、黙って歩く。それまで必死で我慢していたのに、家が見えた瞬間に涙があふれてきた。
「...残念...だったね」
きっと、お母さんも何を言えばいいか分からなかったと思う。だけど、声をかけてくれた。
「...ごめんなさい」
「謝らなくっていいの。きっと、エリの実力を感じて、それがプレッシャーでだめだっただけだから」
確かに、私は幼い頃からお兄ちゃんのポケモンバトルの作戦を手伝ったりするのが大得意だった。そして、たまにお兄ちゃんの代わりに指示を出したりすることだってあった。その様子を面会場で会ったポケモンたちは皆見ていたのだ。
「野生のポケモンたちとパートナーになることもできるのよ。まだ、チャンスはあるから」
無理矢理悲しさを抑え込んで、家に入った。その瞬間、お兄ちゃんの悲鳴が聞こえた。
「うわあっ。強盗だよ!」
とっさに私は、お兄ちゃんに軽く断りを入れて、お兄ちゃんの部屋へ転がり込むように入った。あのときに見えたポケモンたちは、皆ゴーストタイプが入っている。相手のレベル帯も分からない状態だったから、ゲンガーやドラパルトは危険。ここは、あくタイプの出番だ。ポケモンボックスに検索をかけて、バンギラス、サザンドラ、ゲッコウガを選んで、急いで部屋を出る。
「助けて!」
お兄ちゃんの方にたくさんのポケモンが向かっている。補助技を出す時間はない。
「バンギラス、サザンドラ、あくのはどう!ゲッコウガ、イカサマ!」
どうやら、相手のレベルは低かったようで、一発でノックアウトできた。
無理矢理皆を外に連れ出し、屋外でのバトルに切り替える。
「くっ。こうなったら...いけっローブシン!」
相手は3人、1人一体ずつ繰り出し、3体のローブシンが立ちはだかる。タイプ相性は、バンギラスは特に最悪だ。だが、後戻りできない状態のため、とりあえず補助も合わせながら攻撃する。
「ドレインパンチだ!」
「避けろ、皆!」
相手のPP切れを狙った作戦で避けまくってみたが、ドレインパンチの回復も相まって皆倒されてしまった。お兄ちゃんがポケモンを連れてくるために部屋に戻っていったが、ポケモン対人間では結果は火を見るより明らかだ。
――だめだな。私って。
覚悟を決めたその瞬間、なにか白っぽい影が視界を横切った。目を開けた瞬間、そこに立っていたのは、野生であろう色違いのイーブイだった。というのも、家族全員、色違いのポケモンは持っていないからだ。
「やめて!イーブイ!そのタイプ相性じゃ...」
不利だ。そう言おうとした瞬間、そのイーブイは目にも止まらぬスピードで電光石火とスピードスターの連撃を決め、相手に技を全く使わせないまま勝利を収めた。
「「「「え?」」」」
私も含めた家族4人全員が唖然とする中、そのイーブイは強盗にも攻撃を開始。周りにいた、見物していた野生のイトマルを戦闘に引きずり込み、糸をはかせ、見事に強盗を逮捕したのだった。
「ブイッ!」
イトマルのジャンプで表した喜びの中、そのイーブイは私の方へ歩いてきた。
そして、自ら私のリュックの中をあさり、モンスターボールを私の手の上へ乗せた。
「認めて...くれるの?」
「ブイッ!」
「私のことを?」
「ブイッ!」
「えっ?...どう、しよう...」
いきなりの展開に、頭での処理が追いつかない。そんな私に、3人と1匹が肯定してくれた。
「捕まえてあげなさい」
「エリのパートナーになりたいって言っているわ」
「よかったな、エリ!」
「ブイブイッ!」
もう、迷いはない。
モンスターボールに目をやり、イーブイに差し出す。イーブイの前足が触れた瞬間、モンスターボールに吸い込まれ、クリティカルのエフェクトが出る。
「イーブイっ」
初めて投げた自分のポケモンが入ったモンスターボールが、夕日の中へ弧を描き、イーブイが飛び出てくる。
「ありがとう、イーブイ。これからよろしくね!」
「ブイッ!!」
イトマルたちのジャンプと家族の拍手、元気のいいイーブイの鳴き声に、一日の終わりを知った。空には一番星が輝いていた。

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ポケモンだいすき、中2女子です!このサイトがブロックされるまで投稿を続けていきたいと思っていますので、コメントや続読など、よろしくお願いします!
ストーリーに出てくるポケモンのことや、直したほうがいい部分など、教えていただけると幸いです!
ポケモンをやっていない方にも楽しんでもらえたらと思っています!
(スケショカイリューいいですよね!イカサマダイスの。)
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