■一覧に戻る
■ページ指定
■別話を閲覧する
■感想を見る・書く
IS インフィニットストラトス〜黒騎士は織斑一夏〜
第十一話
(インフィニット・ストラトス×Dies irae)
  [←]  【PAGE 2/2】

「助かった。」

一夏がシュライバーに感謝の言葉を告げる。

「別にいいよ。」

シュライバーは一夏に語る

「あの子は元落ちこぼれだった。それをブリュンヒルデの指導を受けてトップになった…つまりブリュンヒルデは恩師って所だね」

「だからこそ、姉さんの名誉に泥を塗った俺が赦せないか…」

「そういう事、でも今のままだと何時かは壊れるよ。」

“ボクみたいにね…”と最後に付け加えるシュライバー

「ボクの場合は本質を見抜かれて壊れたけど、あの子は中身が無いよ。」

シュライバーは“分かるだろう?”と言う眼で一夏に言う。

「兵器として生まれたけど、結局は人間だ。中身の強さも重要だけど、あの子にはそれが無い」

“だから一度でも敗北すれば壊れるよ”

そう言ってシュライバーはアリーナを去っていった。

「シュライバー、お前も変わったな…」

“あの殺人狂が優しくなるとは…”と思い、ラウラのことも考える。

ラウラ・ボーデウィッヒ、昔のシュライバーにも似ているが

“いや、あれはアイン・ゾーネンキントの方だな…”

城の心臓になり、自分達を打ち破った彼らに諭させられるまで自分が部品であることに人間らしさを持たなかった黄金の息子

ならば、と一夏は思う

自分が兵器としての彼女を殺し、兵器としてでは無く、一人の人間としての強さを持って生きて欲しい

それが自分の贖罪の一つだと彼は決意するのだった・・・・

それを近くで見ていたシャル

「…一夏」

シャルには一夏が何を考えているのかは分からない。

だが、これだけは言える。

“例え彼がどんな苦難に襲われようとも自分は彼の傍にいて支えてあげるんだ”

シャルもまた一つの決意をするのだった・・・

その後、一夏はまたエレオノーレに呼ばれていた。

「何の用だ?」

「お前がボーデウィッヒと戦うかもしれんのでな、警告だ。」

「警告だと?」

そうだ。と苦々しい表情をしながら彼女は言う

「我が国に亡国企業と繋がっていそうな者が居る。」

「それがどうかしたのか?」

「そいつ自身はすでに始末されていた。が、そいつは軍に顔を出していた。」

「つまりISか」

その言葉にコクリと頷くエレオノーレ

「そうだ。今の所、騎士団には何も無い。ならば考えられるのは…」

「ボーデウィッヒの黒兎部隊か…」

これはまた波乱が有りそうだと一夏は思った。


そこは軍の司令室の様な場所に其れはいた。

「これが粗悪な模造品を生み出すシステムか…ふむ」

その影法師の様な男は司令室のコンピューターに触れると

ドロリ、と水銀の様な何かが機械の隙間から内部へと入り込んでゆく

それを愉快そうに男は哂っていた。

「ふふ…これで模造品ではない違った物になる。」

“精々楽しませてくれよ?…ニグレド”

そう言い残して、その男:メルクリウスは消え去っていった。

後に残ったのは、何の変哲もなさそうな司令室の光景だった。

だが、確実に水銀はその世界を侵食していた・・・・・・・・・・・・・

  [←]  【PAGE 2/2】
作者: AST (ID:********)
投稿日:2012/07/06(金) 21:20
閲覧数:10266
BYTE数:5 KB (2717字)

<<前話  目次  次話>>

■感想を見る・書く
■別話を閲覧する
■ページ指定
■一覧に戻る