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Fate/ZERO―イレギュラーズ―
第3話:紅蓮対深紅
(Fate/ZERO×銀魂×境界線上のホライゾン×神咒神威神楽×灼眼のシャナ×11eyes×戦国BASARA×龍が如く×ジョジョの奇妙な冒険×装甲悪鬼村正×Dies irae)
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聖杯戦争の初戦となる銀時とランサーとの戦いが始まったその頃、集積場に積み上げられたコンテナの上に、狙撃銃を抱えた切嗣の姿があった。

「どうやら始まったようだな…」

熱感知スコープで、切嗣は、銀時とランサーの戦いを見ながら、呟いた。
アイリスフィールに持たせた発信機を頼りに倉庫街へとたどり着いた切嗣と、切嗣の助手を務める久宇舞弥は、戦況の隙を見て、敵のマスターを狙撃する為に、それぞれの狙撃場所に陣取っていた。
そして、切嗣は、やや離れた倉庫の屋根の上からの熱反応―――ランサーのマスターらしき人物をすぐさま発見した。
典型的な魔術師だな―――これまで、切嗣の葬ってきた魔術師達と同じく、魔術に関する対処は万全だが、科学技術を軽視しているランサーのマスターに対し、切嗣は冷酷な笑みを浮かべた。

「舞弥、銀時達の北東方向、倉庫の屋根の上にランサーのマスターがいる。見えるか? 」
『いいえ。私の方からは死角のようです』

反対方向の場所にいる舞弥にも呼びかけた切嗣であったが、どうやら、攻撃可能なポジションにいるのは、切嗣だけだった。
切嗣は、仕方なくランサーのマスターに狙いを付け、隣の暗視スコープを覗き込みながら、狙撃体制に入ろうとした。
だが、次の瞬間、切嗣は、狙撃銃の銃身を巡らせて、デリッククレーンの上に狙いを付けた。

「…やはり現れたか」

忌々しげに言った切嗣の暗視スコープに映っていたのは、デリッククレーンの操縦席から、セイバーとランサーの戦闘を監視する帽子を目深に被った少年―――綺礼のアサシンからの予言でここに来た点蔵だった。
とはいえ、この展開は、切嗣の読み通りでもあった。
切嗣が、この戦場を隅々まで監視できる絶好のポイントであるデリッククレーンをあえて放棄したのも、自分達の後から来るであろう第三者を監視する為だった。
とはいえ、まさか、サーヴァントが来るとは思っていなかったが…

「舞弥、クレーンの上だ…風貌からして、アサシンだろう」
『はい…こちらも今視認を―――え? 』

アサシンらしきサーヴァントの登場に、切嗣は、反対方向にいる舞弥に連絡を入れた。
舞弥の方も、切嗣の見つけた帽子をかぶった少年の姿を捕捉したが、ある事に気付いて、思わず声が止まってしまった。

「どうしたんだ、舞弥? 」
『…すみません。今、金髪の少女が、アサシンのところに向かっているのですが』
「…は? 」

舞弥の様子に異変を感じた切嗣であったが、何やら申し訳なさそうに答える舞弥の言葉に思わず首をかしげた。
まさかと思いながら、切嗣は、もう一度、暗視スコープから覗いてみた。
すると、確かに、金髪の少女らしき人物が、アサシンと思われる帽子をかぶった少年のいるクレーンの操縦席に入ろうとしていた。

「…あー確かにいるね。何か熱源からするとサーヴァントっぽいけど」
『でも…何か変ですよ…? 』

切嗣が熱感知スコープで確認すると、金髪の少女もサーヴァントと同じ反応があったので、サーヴァントに間違いなかった。
だが、舞弥の言葉通り、帽子をかぶった少年と金髪の少女の様子は、何やらおかしかった。
金髪の少女がやってきて、慌てふためく帽子をかぶった少年に、金髪の少女は差し入れがはいったバケットを手渡していた。
帽子をかぶった少年は、恥ずかしそうに差し入れのサンドイッチを掴みながら、食べ始めた。
対する金髪の少女の方も、クレーンの狭い操縦席の中で、肩を寄せ合うように、帽子をかぶった少年の隣に座りながら、仲良くサンドイッチを食べ始めた。

「…僕達は何も見ていないね、舞弥」
『…はい、そうですね、切嗣』

その光景を覗き見ていた切嗣と舞弥は、投げやりに言いながら、何も見なかった事にした。
―――このスコープ壊れているんだろうなぁ…第一、あんなところで、いちゃついているサーヴァントなんているわけがないよ。

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