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Fate/ZERO―イレギュラーズ―
第9話:バーサーカー包囲網
(Fate/ZERO×銀魂×境界線上のホライゾン×神咒神威神楽×灼眼のシャナ×11eyes×戦国BASARA×龍が如く×ジョジョの奇妙な冒険×装甲悪鬼村正×Dies irae)
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まず、眼にしたのは、日が紅く染まった夕暮れ時、あらゆるところに兵士達の死体が転がっている荒野だった。
そして、視線の先には、二人の男―――輝く太陽を思わせるような金色の青年と、それとは対照的に、闇色の閃光を思わせるような紫の青年が闘っていた。

「許さない…私は貴様を許さないっ!!」
「―――!!」

神速の速さで刀を抜くと同時に斬り付けながら、紫の青年は、金色の青年に向かって、あらん限りの憎悪の声で吼えた。
この金色の青年が殺したいほど憎い―――それが、何もかも失った紫の青年に残された唯一の感情だった。
そんな紫の青年に対し、金色の青年は必死になって、紫の青年の名を呼んだ。

「どんな強固な軍を束ねようと、どんな綺麗事を語っても…私はこの目で見ている。貴様の罪を!!」
「戦は終わった!! この戦の勝敗はすでに決したのだ!! もう止めよう、―――。もう一度―――」

ただ、ひたすらに自分を責める紫の青年に向かって、何度傷つけられようとも、金色の青年は説得しようとした。
かつて、金色の青年は、紫の青年にとって唯一無二の主を手にかけていた。
―――力のみで全てを治めようとする男によって、世界を、この日の本の国を戦果に晒したくなかった。
―――これ以上、誰の手も血で染めさせたくなかった。
―――紫の青年に自分の為に生きてほしかった。
それでも、いかなる理由はあれど、金色の青年は、紫の青年の主を殺した事に変わりはない。
復讐に燃える紫の青年を説得しようとする金色の青年が一番分かっている事だった。
だが、例え、遅すぎようと、無駄であろうと、金色の青年は語り続けなければならなかった。

「わしと絆を―――黙れぇ!!―――、―――!!」

絆を結んでほしい―――金色の青年が続けようとした言葉を、紫の青年は、血の涙を流すほどの絶叫をあげて遮った。
そして、紫の青年の名を呼ぶ金色の青年にむかって、紫の青年は、刃のように鋭い視線をぶつけるように睨みつけた。
もはや、激しい怒りと憎しみを抱くこの紫の青年には、金色の青年の言葉は何一つ届いていなかった。

「貴様は、昔からそうだ!! 己の野望を絆という言葉で飾り立て、秀吉様の天下を汚したのだ!! …貴様はそれで満足だろう!! だが、私は、貴様に全ての絆を奪われた!! 私の絆を奪いながら、訳知り顔で絆を説く!! 答えろ、この矛盾の行方を!!」

神として崇めていた主を殺した裏切り者―――もはや、紫の青年にとって、かつての盟友である金色の青年は復讐の対象としか映っていない。
許さない、認めない、殺してやる!!―――そう吼える紫の青年を見て、金色の青年は今更ながらに思い知らされていた。
もう何もかもが手遅れであり、紫の青年とは絆を結べない事を。
そんな金色の青年の思いとは裏腹に、紫の青年はあらん限りの憎悪をたぎらせながら、斬りかかってきた。

「家康ぅううううううう!!」

紫の青年は、迎え撃とうとする金色の青年の―――徳川家康の名を叫び続けながら闘いは続けられた。

「…」

寝巻を汗で濡らせたウェイバーが眼を覚ましたのは、ちょうどその時だった。
金色の青年と紫の青年の死闘は、それほどまでに、ウェイバーにとって強烈なモノだった。
まるで、ウェイバーが、実際にその現場を間近で見ているような感覚だった。
というか、あれは…
とここで、ウェイバーは、いつも隣で寝ているはずのライダーの姿がない事に気付いた。
まさかと思いながら、ウェイバーが一階へと降りると、すぐにライダーの姿を見つけた。

「おぉ、ますたぁ。おはよう」

2階から降りてきたウェイバーに、ライダーは・いつものように笑顔で挨拶した。
ただ違うのは、ライダーの着ている服が白いワイシャツに黒のスーツ、そして黒いネクタイを締めた服装―――喪服ということだけだった。

「お前、何で、2階から降りてきたんだ…というか、その格好は何だよ? 」

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