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孤独の優等生
『成績優秀な生徒の涙 1』
(オリジナル(感動、社会問題))
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先生「今回のテスト満点は一 小柴 茜だ」
生徒A「うそっ、小柴さん連続で満点じゃん!」
生徒B「やっぱり、私たちとは世界が違うんだよ」
物語の主人公・小柴 茜は照れることもなく、黙って
数学の問題集を次々と恐ろしいスピードで解いていく。
茜は、幼稚園の時から天才美少女として有名だった。
家も裕福に恵まれ、幸せな生活をしていた。
だが、小4の時に両親と死に別れてしまう。
茜はその悲しみと苦しみで、自ら心を閉ざしてしまった。
この過去を抱えているという事も知らずに、皆は
茜を冷たい目で見ている。その目はまるで、氷のようだ。
そのまま、何の変化もなく、授業は静かに終わった。

休み時間。いじめっ子達が茜の席へと向かっていく。
そのいじめグループのリーダーは一条 カナエという名の女だった。彼女は、いつも猫をかぶるうえに性悪でもある。
また、茜をいじめている主犯でもある。
カナエ「ちょっと小柴さ〜ん、話いい?」
茜「一体何の用?」
カナエ「お前、随分媚びちゃってるみたいだけど、
哲哉くんは渡さないんだから!!」
茜「それはあなたの勘違いよね?いつどこで私が
哲哉くんを奪ったっていうの?」
カナエ「うるさい、ブスのくせに威張るな!!」
茜は、何とかこのうるさい輩を黙らせようと、
大きな声で叫んだ。
茜「じゃあ、あんた自分の顔を見たわけ?自分の顔
認識しなきゃ、その発言は出来ないはずよ!!」
ついに自分の弱点を突かれたのか、カナエ達は諦めて
自分の教室へと戻っていった。
茜は、ほっとため息をつき、そのまま床に座った。
緊張して強ばった頬が、緩んでいく。
そして心拍数が少しずつ上がっていった。
誰かに見られている。そんな気がした茜は、
振り返った。 

すると、死んだはずの両親が温かい目で見守っていた。
母親が茜を抱き締め、耳元でこう囁く。
母親「茜。頑張ったね。強い心を持って、生きて」
父親も太陽のような、眩しく、優しい笑顔で、
父親「あの子達に負けちゃダメだ。君は、たった一人の
女の子でもあり、光でもあるのだから」
そう呟くと、途端に消えてしまった。綺麗な美しい
青い空へと向かって。
茜「嫌だ…、母さん、父さん…離れないでよ…
ずっとそばにいてよぉぉぉ!!」
そう震えた声で言うと、思わず泣き崩れた。
茜「う、うぅ…、いなくなんないで…!
私、一人は嫌だよぉぉ!!」
そんな茜の心は、光に包まれ、
心にある氷が溶けていきそうだった。
しかし、それは途中で止まり、ただ溶けかけの氷が
残っていただけだった。

家へ帰っても涙は止まらず、近所迷惑になりそうな、
張り裂ける声で泣いた。
そして叫んだ。
茜「親を…父さんと母さんを返して!返してよ!!
ねぇ、返事してよぉ…、父さん、母さぁん…
私、本当は…本当は、ひとりぼっちなんて嫌だよぉ…、
誰かが寄り添ってくれるなら、私はそれでいいのにぃ…
ねぇ、私に希望ってあるの?
私なんかには、不幸しか降りかからないの…?」
茜は、悩んでは苦しみ、考え続けたが、
答えが出ることはなかった。
両親は、もう二度と現れてはくれないのだろうか…
このことで、茜の心には、猛吹雪が降り続けた。
そうして、茜の心に大きな衝撃を与えたのであった一

翌日。茜は冷めた顔つきで登校した。周りからは心配を
されたが、一切返事をしなかった。
これにはカナエ達もさすがに驚き、警戒し、
何もしてこなかった。帰り道、いつものように
一人で帰っていると、
葵「…さん、小柴さん!」
茜「!?」
茜は驚愕した。話しかけられていたからだ。
茜「何?あなたも、私をいじめに来たの?
そうよね、そうなのよね」
葵「違うよ、今日元気なかったから」
紹介が遅れたが、この華奢で小柄な少女は、
山岡 葵だった。彼女も、よくカナエ達にちょっかいを
かけられていることがある。どうやら、友達がいないのは
これが原因だと思われる。
茜「なんだ。違うんだ、勘違いしてごめん」

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