な ぜなにナデシコ・シルフェニア出張所
第 2回:艦船と各勢力
[ナデシコA]
形式番号:NERGAL ND−001
全長:298m
全高:106.8m
全幅:140m
総重量:37530t
収容人員:214名
相転移エンジン搭載
核パルスエンジン:4基搭載
中枢コンピュータ:オモイカネ(SVC2027)
武装:グラビティブラスト×1
:レーザー砲×2
:艦首ミサイル艦×32
アジア地区最大の企業ネルガル重工がスキャパレリプロジェクトの一環として開発した、古代火星人のオーバーテクノロジーを流用した戦艦。史上初の地球側
での相転移エンジン、グラビティ・ブラスト搭載艦であり、人類初の生体ボソンジャンプ成功艦である。また、蜥蜴戦争において、戦況が悪化した地球連合軍は
民間の力を活用するために、民間企業であるネルガルの運用を許可。クルーも軍人と民間人が混合という珍しい形で就航した初の戦艦でもあった。なお、民間人
クルーのほとんどは「人格より実力」ということで他業種からのスカウトによって集められたが、ルリのみはナデシコの専属オペレーターとして就航の6年前よ
り訓練を受けていた。
後のナデシコB、ナデシコCの登場に伴いナデシコAと呼ばれる。ナデシコ級4番艦シャクヤクに装備されるはずだったYユニットを装着したものをYナデシ
コと呼称し、区別することもある。蜥蜴戦争終結後、密かに「火星の後継者」と反ネルガル企業であるクリムゾンによって接収され、アマテラス13番ゲートの
第五隔壁内ドッグに遺跡と共に隠されていた。初代艦長はミスマル・ユリカ。
参考:(GEKINADE ZENBU P.39)
:(NADESICO PERFECTS P.81)
:(機動戦艦ナデシコ1000%コレクション 設定資料)
:(NADESICO PLUS P.80)
《揚陸艦ひなぎく》
ナデシコ下部についている艦の一部にして、艦載の強襲揚陸艦。ナデシコが着陸できない場所へ出向いたりするための船。軍事的な上陸作戦や、個人的
なアキト救出作戦などに使用された。
参考:(NADESICO PERFECTS P.82)
:(機動戦艦ナデシコ1000%コレクション 設定資料)
[コスモス]
ナデシコ級2番艦。前部のブレード部を展開し、他の戦艦の補修・整備を行うドッグ艦であるが、多連装グラビティブラストを装備するなど武装も充実
している。近年、この前部ドッグ部分を改装し、機動兵器の母艦とするプランも検討されたが、双胴母艦開発が完成した時点で計画は凍結された。
参考:(NADESICO PLUS P.80)
[カキツバタ]
ナデシコの級3番艦。ナデシコ異なるブレードのレイアウトが特徴で、巨大なレールカノンを搭載することにより、高い攻撃力を持つ。大戦終結直前の
火星極冠遺跡での戦いで大破する。脱出した第二船体は、アカツキ記念博物館に陳列されている。
参考:(NADESICO PLUS P.80)
[シャクヤク]
ナデシコ級4番艦。相転移エンジンを搭載したYユニットを装備し、武装と出力の強化が図られている。竣工を前に木連攻撃部隊に破壊されるが、Yユ
ニットはナデシコに装備されることになる。
参考:(NADESICO PLUS P.80)
[ナデシコB]
ネルガル重工が建造したナデシコ級第2世代型宇宙戦艦。全長300m。シルエット的にはナデシコAと似ているが、武装は省略されている。IFSを
さらに推し進めたワンマンオペレーションシステムプラン(一人一戦艦計画)の実験データ収集のため、地球連合宇宙軍の第四艦隊で運行されている試験戦艦。
オペレータが多数乗艦しているが、実際には艦長であり、IFS利用の第一人者ともいうべきホシノ・ルリ少佐とスーパーコンピュータ・オモイカネだけでも運
行可能。オペレータを含めた乗員の大半はデータをバックアップする等の補助目的で搭乗している。あくまでデータ収集が目的であるため、武装はブラビティ・
ブラストが1門ついているだけである。相転移エンジンを2つ、核パルスエンジンを4つ搭載しており、ナデシコAよりさらに高出力のディストーション・
フィールドを形成できる。
参考:(GEKINADE ZENBU P.38)
:(GEKINADE ZENBU P.82)
[ナデシコC]
ネルガルの月ドックで秘密裏に建造された、ナデシコ級第2世代型宇宙戦艦の最新鋭艦、あるいはナデシコ級第3世代型宇宙戦艦。両方の記述があるた
め、厳密にはどちらであるか不明。時期的な面からおそらく第二世代であり、三代目であると思われる。形式番号はNS966C。A級ジャンパーの誘導が必要
だが、チューリップを介さない単独ボソンジャンプも可能。ナデシコBによる実験データを基に、よりワンマンオペレーションシステムプランの完成形に近づい
た艦である。
武装はグラビティ・ブラスト1門だけ。将来的には、ナデシコAのYユニット装着のような形で相転移砲の射撃が可能となる予定である。しかし、この艦の最
大の武器は、強化センサー通信機能のジョイントにより敵コンピュータシステムへの侵入、掌握が可能なことである。ただし、これはオモイカネと、超人的なオ
ペレーション能力を持つホシノ・ルリという人材、そしてそのコンビネーションの良さを得て初めて可能な戦法である。艦長はナデシコBに引き続きホシノ・ル
リ少佐。
なお、BとC共通でIFSシートというルリ専用の装備があり、基本形態、戦闘モード、高機動モードなどがあるようである。また、ナデシコCは戦闘モード
移行時等に艦前方部を展開する。
参考:(GEKINADE ZENBU P.39)
:(GEKINADE ZENBU P.83)
[ユーチャリス]
アキトのブラックサレナの母艦。デザイン的にはナデシコ級にはあまり似ていないが、ネルガル重工が極秘裏に開発したもう一つのナデシコ。この艦の
データがナデシコC開発に使われており、ナデシコCのプロトタイプともいえる艦である。通常はラピス・ラズリが一人で操艦、ワンマンオペレーションシステ
ムプランをほぼ実現した艦となっている。ナデシコCのような敵システムの掌握はできないが、敵システムのハッキングは可能。ラピスはこの能力を使って、ブ
ラックサレナをアマテラスの13番ゲートに導いた。建造にあたっては木連の技術がふんだんに盛り込まれ、木連が使っていた無人兵器バッタを多数搭載してい
る。基本武装はグラビティ・ブラスト×4。ちなみに「ユーチャリス」はヒガンバナ科の球根花で、花言葉は「清らかな心」
艦単体でのボソンジャンプが可能なようである。
ここからは余談であるが、艦単体でのボソンジャンプが可能というのは、チューリップを介さず、高出力のディストーションフィールドを展開することでジャ
ンパー能力のない人間が乗艦していても問題無くジャンプできる、ということを指していると思われる。A級ジャンパーの誘導が必要という記述が見られるのは
その為であろう。
さて、そうすると劇中でユーチャリスはA級ジャンパーであるテンカワアキトがいない状態でボソンジャンプを行っている、という疑問にぶつかる。しかしな
がら、艦そのものをボソンジャンプさせる技術は実現していないし、ナデシコCのプロトタイプにあたるユーチャリスも当然できるとは考えにくい。そうする
と、あの時にはユーチャリスにアキト以外のA級ジャンパーが乗っていたと考えられる。候補としてはイネス、ラピス、その他のネルガルに保護されたA級ジャ
ンパー。
参考:(GEKINADE ZENBU P.38)
:(GEKINADE ZENBU P.87)
[旧宇宙連合軍の解体と統合軍の台頭]
まず、本章では文量を減らし、要点を纏めるために独自の文章が混在していることを明記しておく。
さて、劇中では連合宇宙軍とネルガルがその勢力を衰退させていることは周知の通りであると思う。これは大戦終了に際してネルガルと連合宇宙軍の、いわゆ
る裏側が露呈したことによるものと思われがちだが、理由としてはこれが全てではない。
まず、木連との和平成立後、新地球連合が発足した。これに伴い、陸・海・空軍は木連軍を新たに迎え、統合軍と再編され、活動領域が惑星上を含む地球圏全
域と定義付けられた。そして旧連合宇宙軍は解体、統合軍への編入が決定された。
これらは大戦時に宇宙軍に戦力が集中したことに起因している。つまり、木連が地球連合に組みこまれたことにより、地球圏最大の脅威は連合宇宙軍となっ
た。もし連合宇宙軍が武装蜂起した場合、連合軍には対抗する術がなかったのである(注:連合宇宙軍と連合軍とは異なる。つまり連合軍の中の一軍に過ぎない
連合宇宙軍が、統合軍を始めとした連合全軍を凌駕するほどの戦力を有している、ということが問題となったのである)。さらに、ネルガルは火星極冠遺跡で得
られる超技術を独占していた上に宇宙軍と強いパイプ持っていたため、クリムゾングループを中心とした反ネルガル企業が新地球連合発足というイベントを機
に、連合各国へ強く働きかけ、多くの世論を味方につけて反ネルガルの運動を盛り上げた。こうしたことから、ネルガルは超技術の既得権という思惑は霧散して
しまい、旧連合宇宙軍は解体という事態となった。
しかしながら、即時解体というわけにもいかないのも事実であり、いくつかの段階に分けて統合軍への編入が行われることになった。解体までの期間、宇宙軍
と統合軍は新連合内で共立することになったが、勢いに乗る統合軍は次々と最新鋭の装備を配備するなど、その戦力において宇宙軍を遥かに上回る勢力として急
速にその規模を拡大していく。
[ネルガルの衰退]
宇宙軍の解体が決定された時点でネルガルの衰退は明らかであり、統合軍設立と時を同じくして会長のアカツキ・ナガレは公式の場から姿を消してい る。ネルガルは統合軍の標準機として量産型エステバリスの納入を決定するが、莫大な収益を上げる宇宙艦船の建造はすべて他の企業へと流れている。さらに次 期主力兵器としてステルンクーゲルを統合軍が採用したことにより。機動兵器における既得権すらも失いかねない状況にあった。
[ナデシコ・フリート構想]
軍事産業における利得権の多くを失ったネルガルが起死回生の手段として打ち出したのが「ナデシコ・フリート構想」である。ナデシコ級は中枢コン
ピュータにすべてのシステムを掌握させることによって少人数による操艦を可能としている(余談であるが、もちろん全システムを一つの中枢コンピュータで、
ということは膨大な計算による大負荷を難なくこなせるレベルが求められる。これを満たせずにフリーズないし故障などが起きてしまうと艦のあらゆる機能、生
命維持に関わる部分さえ停止してしまう。なお、実際にナデシコ船体におけるコンピュータルームはかなりの大きさを占めているようである。戦艦という巨大シ
ステムを中枢コンピュータで全て統括し、故障させないネルガルの技術力ナデシコにありき、と言えるものだろう)。その結果、誕生したのが一人のオペレー
ター、中枢コンピュータで艦のすべての制御を行う「ワンマンオペレーション」という概念である。
ワンマンオペレーションプランは最終的には、ナデシコ級を旗艦に20隻以上のサポート戦艦で構成される、艦隊自体を一個の兵器システムとする構想であ
る。機動兵器は木連の無人兵器の使用が検討されている。無人兵器は、大戦時にナデシコとエステバリスの登場によりジンタイプに主力の座を奪われたが、これ
は無人兵器が対ディストーションフィールド戦闘と対機動兵器戦闘を想定したプログラムをインプットされていなかったからに過ぎない。無人兵器は元はといえ
ば火星の古代文明によるものであり、高いポテンシャルを有している。特にワンマンオペレーションシステムにおいては、無人兵器を運用した場合、その構想か
ら言ってもよりフレキシブルな戦術を行うことができる(ラピスがバッタに、クーゲルの格闘能力の乏しさを突かせたのは最たる例と言えると思う)。
さて、前大戦において絶大な戦果を挙げたナデシコの名を冠するこの構想であるが、統合軍所属艦としてナデシコの名を持つ戦艦が就役することはなかった。
統合軍にとっては一艦隊で、全統合軍と渡り合えるという構想は大量の軍人をリストラしなければならない(統合軍は旧木連の人々の雇用対策も兼ねていた)こ
とを意味しており、戦力の一極集中を回避するために設立されたという統合軍の主旨から逸脱するという当たり前な理由からこの構想は却下されている。この時
点でネルガルの衰退は決定的となり、統合軍内においてネルガルも淘汰されるべき運命を歩まざるを得なくなってしまった。
だが、皮肉にも構想に対して強く興味を示したのは、人員削減を余儀なくされていた宇宙軍であった。宇宙軍とネルガルはワンマンオペレーション実験艦の建
造に関する契約を結び、ナデシコBの建造に着手する。大幅に予算が削減されているにも関わらず実験艦の開発に着手した宇宙軍に対して、世論から大きな反発
もあったが、宇宙軍はナデシコ・フリート構想に次世代戦略に関わる重要な可能性を見出していた。
[最強の戦艦 ナデシコC]
ディストーションフィールドと、それを破壊するグラビティブラストに関する技術が完成した大戦末期以降、宇宙戦艦の設計思想は一種の大艦巨砲主義
の様相を呈してきている(人の兵器の歴史では、ほぼ常に防御力より攻撃力の方が勝っていた。特に近代では攻撃力の向上が著しく、それゆえ近代では機動力が
重視されるようになり、戦艦大和撃沈において完全に大艦巨砲主義は潰えている。だがディストーションフィールドの登場により、防御力が飛躍的に向上し、多
少撃ったところで撃沈させるのは難しくなってしまった)。しかしながら、かつては絶対的な防御力を誇ったディストーションフィールドも、機動兵器がレール
ガンを装備するようになると鉄壁とまではいかなくなった。
そこでネルガルは、この現状打破をワンマンオペレーションシステムに求めた。大戦中にホシノ・ルリとナデシコA中枢コンピュータのオモイカネがYユニッ
トの中枢コンピュータであるサルタヒコのシステムを掌握、取り込んだことを受け、これを次世代戦術として「システム掌握戦術」としてその方法論を体系化し
ていった。オペレーターの能力と中枢コンピュータとの親和性の高さに左右されるものの、敵艦隊および重要施設のシステムすらも掌握することを可能とする強
制ハッキングデバイスの開発に着手する。なお、このハッキングデバイスの基礎技術にはCCの情報解析用のシステムが転用されている。
ナデシコB、ナデシコCの武装がグラビティブラスト一門だけであるのは、これが理由である。グラビティブラストを牽制のために撃ち終わった頃には、敵シ
ステムは掌握されて戦闘が終了する。現行最強の主砲であり、さらなる高出力の実現に誰もが躍起になっているグラビティブラストさえも、ネルガルは「システ
ム掌握戦術」には副次的なものに過ぎない、過剰に武装を施す必要性がないと捉えているのである。その代わりに、ナデシコCでは最新鋭のセンサーと通信機が
搭載されており、あらゆるシステムにアクセスすることが可能である(通信を拒絶してスタンドアローンにすればと思うかもしれないが、理由の詳細は省くがそ
れはかなりのリスクを負うこととなるため困難である)。3本に増設された重力ブレードはより強固なディストーションフィールドを発生させるだけでなく、重
力波通信機能を強化する役目を担っている。
ナデシコCは「火星の後継者」の件において、初めて実戦に投入され、瞬時に火星極冠にある敵本拠地のシステムを掌握、その実力を遺憾なく発揮した。これ
により宇宙軍はその先見性を内外に指し示したことになる。また宇宙軍とネルガルは、全統合軍を敵に回しても充分戦えることを証明しており、ナデシコCの実
戦投入は今後の統合軍と宇宙軍との関係に何らかの変化をもたらすと見られる。
(再び宇宙軍が日の目を浴びることになるかもしれないし、行き過ぎた感のある統合軍の抑止力として現状維持として存続されるかもしれないし、そのまま統
合軍に編入されるかもしれない。とりあえずは電子戦の対策に努めるだろう。とはいってもワンマンオペレーションシステムはある意味では核兵器を凌駕する超
的な攻撃力である以上、防御は困難ではあり、システムの分散やハッキングされた瞬間に全通信の遮断(一瞬で乗っ取られるので暴力的な物理的手段となるが)
といった苦肉の策しかないかもしれない。ワンマンオペレーションの弱点としては、相手は一人であるため離れた複数の事態には対応できない、量産性が限りな
く低いといった点であろうか。いずれにせよ、今後戦闘の概念は著しく変化すると思われるが、どうなるかは予想し難い。続編の可能性が低いのが非常に残念で
ある)
[幻の戦艦 ユーチャリス]
ブラックサレナの母艦であり、今まで造られたどの艦とも異なるシルエットを持つこの艦は、ナデシコ・フリート構想から生まれている。この構想では
ナデシコCが敵システムを掌握、戦闘能力を奪って無力化し、サポート艦から射出される無人兵器により制圧戦を行うというものである。そのサポート艦として
設計されたのが、後のユーチャリスである。
当初。ユーチャリス級はその目的に合わせて、無人兵器の母艦、グラビティブラスト艦、強行偵察艦、Yユニット艦など数種が設計されていた。基本ユニット
を共通化し、バリエーションを広げるというナデシコの設計思想を受け継いでおり、ナデシコBより進化したワンマンオペレーションシステムが装備されてい
る。ただ、基本フレームが完成した時点で建造は中断されており、簡単な艤装が施された後に、ネルガル会長警備部に引き渡されている。改装後は「ユーチャリ
ス」の艦名が与えられ、テンカワ・アキトの乗艦となった。
このユーチャリスは第二船体を廃する(居住区・制御部のこと。どうやらラピスはコンピュータルームで直に操艦しているらしい。残念ながらラピスとアキト
の楽しい日々は、ユーチャリスでは実現できないようだ)など、ワンマンオペレーション艦としてより洗練された設計になっているのが特徴で、船体正面ブロッ
クには巨大な木連無人兵器用のカーゴを持つ。オペレーターの指示により的確に敵を殲滅するポテンシャルを持ち、円形の重力ブレードにより強固なディストー
ションフィールドを発生させる事ができる。ブラックサレナ同様、何度か改装されているらしい。
参考:(NADESICO PLUS P.78〜P.85)
[木連式宇宙戦艦]
木連の宇宙戦艦は、木星衛星上で発見された火星古代文明のプラントで製造された機械を寄せ集めた、非常に乱暴な造りとなっている。そのため基本性
能としては地球連合の宇宙戦艦に遠く及ばなかったものの、相転移エンジンを搭載したことによりディストーションフィールドと大出力レーザーの使用が可能と
なり、戦闘能力では比較にならないスペックを有していた。
だが、相転移エンジンに無理矢理に居住空間と武装を装着したいわゆる木連式戦艦は無人兵器やジンタイプなどの人型兵器の母艦としての機能を重視してお
り、ユニット化された構造は後のナデシコ級に、その運用形態は双胴型宇宙戦艦にそれぞれ受け継がれている(連合宇宙軍の戦艦の基本的な設計思想は100年
前から変わらず、装甲船体内に各モジュールをレイアウトするものである。これは月独立派との戦い以降に大きな戦争がなかったことに起因している)。また、
船体を構成するパーツはほとんど共通となっているため、各部パーツの組み合わせによって駆逐艦や巡洋艦などを建造する事が可能であり、生産性が高いのも特
徴である。
大戦後、木連軍は解体され、統合軍に組み込まれるが、そのコストパフォーマンスの高さから木連式宇宙戦艦は宇宙軍にも採用されており、今日ではそのテク
ノロジーは地球圏で広く普及している。
参考:(NADESICO PLUS P.78〜P.86)
[れいげつ]
木連の超大型艦。木連の都市帝国船といっても過言ではないが、市民艦と呼ばれている。一般市民が住む都市艦で、侵略と移民を同時に行おうとする木
連ならではの艦。草壁の演説もここで行われた。
参考:(NADESICO PERFECTS P.89)
[かぐらづき]
木連の旗艦であり、草壁中将が指揮を執っている巨大な戦艦。ナデシコのかるく10倍はあり、かなりの数の人間が乗っているものと思われる。
参考:(NADESICO PERFECTS P.89)
[かんなづき]
秋山源八郎が艦長を務めた、爆弾をボソンジャンプさせて敵に直接送り込めるボソン砲の実験艦。
参考:(NADESICO PERFECTS P.89)
[ゆめみづき]
白鳥九十九の艦。ミナトやメグミがもてなしを受けた艦でもある。艦内中に「ゲキ・ガンガー3」のポスターやら装飾やらがところ狭しと貼られたり置
かれたりしている。木連の通常の若者の姿がここにある。
参考:(NADESICO PERFECTS P.89)
[駆逐艦(俊足艦)]
全長142m。その形状から万年筆と呼ばれる宇宙戦闘艦。パワー・ウエイトレシオに優れた俊足艦だがペイロードは少ない。宇宙軍も統合軍も同様艦
を配備しており、リアトリス級戦艦と同様に、宇宙軍籍のものは船体が紺と濃い赤、統合軍籍のものは白と黄色に塗り分けられている。基本武装は船体正面につ
けられた中型グラビティブラスト×1、船体側面の三連装対空砲×2、ミサイルランチャー×6となっている。
参考:(NADESICO PERFECTS P.85)
:(GEKINADE ZENBU P.83)
[木連型駆逐艦(突撃艦)]
大砲にエンジン付けて敵陣に突入させるという単純明快なコンセプトで建造された駆逐艦。その運用方法から木連で「突撃艦」と言われた。もっともコ
ンセプト自体は、地球連合側の駆逐艦と変わらない。リニアキャノン+エンジンポッド+ブリッジパート+実体弾マガジンという、いたって単純な構造で、その
形状から「ハエ叩き」とも呼ばれている。標準武装は中型リニアキャノン×1。全長188m。
参考:(NADESICO PERFECTS P.36)
[ミサイル艦]
アマテラス攻防戦において配備されていた統合軍の戦艦。蜥蜴戦争時代に活躍していたものだが、劇場版時でもまだ現役である。ブリッジの下には大型
レーダーを持ち、48基のミサイルを装備している。発射した後のミサイルハンガーは廃棄し、移動しやすい形態をとる事ができる。アマテラス攻防戦では、ブ
ラックサレナを迎撃するが、全く効果なしであった。
参考:(NADESICO PERFECTS P.36)
[双胴型戦闘母艦]
統合軍の巨大戦艦。全長は399m。4門のグラビティブラスト、4基の相転移エンジン、最大16もの機動兵器のカタパルトと、従来の戦艦を大きく
凌駕する規模を誇る。艦の前底部もカタパルトになっており底部全体が解放、機動兵器が吊り下げられた状態で露出する。標準武装は大型グラビティブラスト×
4、側面に四連装対艦砲×6、対艦砲の上下に三連装対空砲×12など。
参考:(NADESICO PERFECTS P.36)
[リアトリス級戦艦]
宇宙軍が正式採用している宇宙戦艦。しかし、その性能の高さから統合軍でも主力艦として運用されている。連合宇宙軍のものは紺と濃い赤、統合軍の
ものは白と黄色に塗り分けられている。蜥蜴戦争時より活躍しているが、戦争以降に建造されたものの中には新たに相転移エンジンを積んだタイプもある。一番
艦のリアトリスは、かつて連合宇宙軍第三艦隊の旗艦として就航したもの。ナデシコ級には劣るものの、2門のグラビティブラストを装備、さらに三連装対艦砲
×2、三連装対空砲×4と高い火力を誇る。ちなみにリアトリスはキク科の宿根草、百合薊ともいう。
アオイ・ジュンが艦長を務めていたアマリリス、シャトル警護の任に着いたアララギ大佐が艦長を務めるライラックもリアトリス級戦艦。ちなみに「アマリリ
ス」はヒガンバナ科の多年生球根植物で、花言葉は「内気の美しさ」「おしゃべり」「ほどよい美しさ」。「ライラック」はモクセイ科の落葉低木で、花言葉は
色が紫の場合は「初恋の感動」、白の場合は「青春の喜び」「若き日の思い出」。
参考:(NADESICO PERFECTS P.36)
[ゆめみづき級木連式戦艦]
蜥蜴戦争で白鳥九十九少佐が艦長を務めた「ゆめみづき」の同型艦。しかし、機動兵器の中距離ボソンジャンプを可能にする小型チューリップは省略さ
れ、代わりにドライ・ハンガーを増設している。木連の戦艦は基本的に砲撃戦よりも、機動兵器(マジン、テツジン等の大型ロボット)、無人兵器(バッタ、
ジョロ等)の投入を主目的に建造されている。つまり、戦艦というより空母的側面が強いのである。そのため、ゆめみづき級は地球側の戦艦に比べて基本武装が
極端に少なかったが、統合軍に参加してからは武装が増強された。船体の上下に、機動兵器を格納するハンガーを1本ずつ持つ。また、先端のブリッジパートは
分離可能となっている。標準装備はリニアキャノン×1。全長283m。「夢見月」は陰暦三月の異称。
参考:(NADESICO PERFECTS P.37)
[四連筒付木連式戦艦]
巨大な筒状のメインハンガーを4基持ち、戦艦というよりも空母的な色合いが濃い機動兵器コンテナであるメインハンガーは横置きに4基搭載。エンジ
ン(エンジンブロック共用パーツ)は2基搭載している。上後部にはエナジーパネル4基があり、ブリッジパートへの通路はやや短め。ブリッジへのキャパシ
ティは艦長、副長、オペレーター6名で合計8名。スピード、機動性はゆめみづき級より落ちるものの、搭載する機動兵器の数は文字通り4倍。ゆめみづき級よ
り少々小振りで全長295m。標準武装は下部正面にリニアキャノン×1。
ルリの臨検査察中にアマテラスのチューリップからボソンアウトしてきた戦艦たちまちづきも、統合軍のゆめみづき級木連式戦艦。ちなみに「立待月」とは陰
暦十七日の月のことで、立って待つ間に出ることからこう言われる。
参考:(NADESICO PERFECTS P.37)
[プッシャーパージ]
スペースコロニー付近、あるいは内部で宇宙船等の移動をサポートする小型艦。ナデシコBがアマテラスに入港した際にはステルンクーゲルと4機の
プッシャーパージが出迎えた。側面にヒサゴプランのロゴがついている。
参考:(NADESICO PERFECTS P.37)
[軍用シャトル]
空中発射母艦に乗って上昇し、途中から単独となり、大気圏を脱出するタイプのシャトル。劇中では側面にJAPAN ALL SPACE
LINE(JASL)社のロゴがあり、民間機のように擬装されていたが、実は軍用機。出力系とフィールドジェネレーターは積尸気部隊の攻撃にも十分耐えう
るほど強力である。しかし律儀に擬装しすぎて武装類を一切外した事が裏目に出てしまい、あわや撃墜寸前のところまで追い詰められた。軍用シャトルとしての
本当の名前はヤタガラス。シートは左右各2列の60席。コクピットに4席。
参考:(NADESICO PERFECTS P.37)
[ネルガル重工株式会社]
アジア圏最大の規模を誇る企業グループ。古代バビロニア語で火星を意味する社名の通り、蜥蜴戦争以前より火星開発に深く関与しており、「遺跡」の
テクノロジー独占を狙っていた。しかし、利権の拡大は同時に反ネルガルグループの結束を招く事になり、新地球連合の発足とそれによる統合軍の成立、さらに
反ネルガルグループ主導によるヒサゴプランの建設によって凋落の一途をたどっている。現在も会長はアカツキ・ナガレ。
TV版で見ることが出来るが、ネルガルは本社名の割にはかなり手広く事業を行っているようだ。なお、劇場版のコンサートシーンでホウメイが使っていた
キーボードのブランドはNerlandy。ネルガル系の楽器メーカーであるらしい。
参考:(NADESICO PERFECTS P.56 P.61)
[クリムゾングループ]
豪州有数の企業体。蜥蜴戦争までは、地球においてネルガルに次ぐナンバー2のポジションにいたが、戦争終結後は立場が逆転している。蜥蜴戦争時か
ら、草壁と接触しており、ヒサゴプランにも参加。蜥蜴戦争時に、アキト達が出会った少女アクアは、このクリムゾングループのオーナー夫妻の一人娘である。
備考:欧州はヨーロッパ。豪州はオーストラリア。
参考:(NADESICO PERFECTS P.56 P.61)
[宇宙軍:UNITED EARTH SPACY]
正式には地球連合宇宙軍。また、連合宇宙軍とも呼ばれる。略称はUE
SPACY。蜥蜴戦争時には地球連合の主力として活躍していたが、新地球連合結成にともない、地球と木連の合同軍である統合軍が設立され、力を失ってい
る。今後、廃止、あるいは統合軍に吸収されることになると言われている。移行期間の現在は、以前より規模を縮小して存在している。ナデシコBとクルーは宇
宙軍の第四艦隊に所属している。
参考:(NADESICO PERFECTS P.56)
[統合軍:JOINT PEACE KEEPING FORCE]
正式には地球連合統合平和維持軍。略称はJF。地球連合の発足に伴い、木連の軍主流派と地球連合の陸海空軍を中心に再編された軍隊。連合宇宙軍
は、この統合軍とは別に存続している。蜥蜴戦争時に冷遇されていた陸海空軍の人間が中心となっているため、連合宇宙軍を敵視する傾向がある。
なお、余談であるが、蜥蜴戦争以前には連合宇宙軍は各国の陸海空軍の上位軍に位置する存在だったようである。連合宇宙軍に入隊するためには、まず各国の
陸海空軍に入隊し、それから転属願いを出さなければならなかったようである。
参考:(NADESICO PERFECTS P.56)
:(フィルムブック)
[木連:JUPITER UNION]
正式名称は木星圏ガニメデ・カリスト・エウロパ・及び他衛星国家間反地球共同連合体。かつて地球連合によって追放された人々が作った国家。木星で
古代火星人が残したオーバーテクノロジーを獲得し、地球に対して戦争を仕掛けてきた。現在は、地球と和平条約を結び、新しく作られた地球連合に参加してい
る。
ちなみに蜥蜴戦象時においては、木連軍は指令部隊である優人部隊と、無人兵器による支援部隊によって構成されている。木連は人口が少ないため、軍事力も
極力無人化が進められている。ちなみに「優人」とは生体ボソンジャンプ(木連では有人ボソンジャンプという)に耐える資質を持つエリートという意味であ
る。
参考:(NADESICO PERFECTS P.56)
[火星の後継者]
草壁春樹を首班として組織された反体制組織で、古代火星人の意思を継ぐと標榜していた。その勢力は元木連組を中心に、政府、軍内部に多数存在して
いる。
ボソンジャンプの実用化は、人間の文化に劇的な変化を起こす事となる。瞬時に時空を越える事が可能になる事で、あらゆる契約を無効にする事が可能である
し、場合によっては過去に遡って歴史を改変する事もできるかもしれない。政治、経済、宗教にも大きな影響を及ぼすだろう。今まで人類が築いてきた全ての基
準が、壊されることになるのだ。
蜥蜴戦争時より、ボソンジャンプが安易に使われることに危険性を感じていた草壁は、その技術を手中に収め、自分達で管理しようと考えていた。結果とし
て、武力で新地球連合政権を倒し、自らが地球、木連を統合する新政権を確立する方向に動いたが、あくまで最終目標は、ボソンジャンプが人類にとって有効に
使用される世界、新たなる秩序の実現であった。
その意味では「火星の後継者」は純粋に政治的理念によって誕生、運営されていた組織である。彼らが蜂起した後、連合軍側から多くの賛同者が出たが、それ
も彼らの理念と姿勢が正当なものであったためである。
「火星の後継者」は準備段階からクーデターに至るまで、常にボソンジャンプを中心に活動を展開していた。そもそも、ヒサゴプランの立案、推進には多くの
「火星の後継者」のメンバーが参加している。もちろん、システムが整備された段階で、それを奪取する計画であった。
一方で、彼らは早い段階からA級ジャンパーの拉致を進めていた。これは自分達がボソンジャンプの技術を独占するためであり、また、ボソンジャンプの研究
を進めるための実験体として利用するためであった。彼らのクーデターの最終段階は、地球各地の政治的拠点に、機動兵器と兵士達をボソンジャンプで送り込
み、武力制圧するというものであった。彼らは、ボソンジャンプの恐ろしさを知っていたからこそ、それを利用しようとしたのだろう。だが、そんな彼らの計画
は、そのボソンジャンプによって打ち砕かれた。ネルガル側に保護されていたA級ジャンパーのナビゲーションによって、ナデシコCが彼らの拠点であったイワ
ト上空に出現。彼らの使用していた全てのコンピュータが掌握されてしまった。
草壁が、ルリに対し一切の抵抗をすることなく投稿したのは、失敗に終わったとはいえ、ボソンジャンプを使ったクーデターを行ったことで、世間に対してボ
ソンジャンプの危険性を示す事ができたと確信したためでもあるのだろう。
ここからは個人的な余談であるが、アキトやアイちゃんが過去に飛んでしまった逆行ボソンジャンプこそ、火星の後継者が最大級に危惧している事象である。
アキトとアイちゃん、彼らが歴史に与えた影響は極僅かであったように見えるが、アイちゃんことイネスが過去に飛ばなければ、蜥蜴戦争時においてボソンジャ
ンプ研究の第一人者であるイネス・フレサンジュ女史は存在していなかったことになる。また、アキトが火星から地球へ、そして2週間前の月に飛ばなければボ
ソンジャンプが空間跳躍ではなく時空間跳躍であるという可能性に辿り着くことはなかったかもしれない。そうすると生体ボソンジャンプの成功例のない地球側
はボソンジャンプをあれほど解明できなかったかもしれないし、そうなればナデシコの行動指針への影響がなくなり、戦争終結にまで向かわなかったかもしれな
い。たった二人の時間への逆行が、これほどまでの影響を与える可能性があるのである。だから草壁春樹は起ったのであるし、数多くの人が賛同し、史上稀に見
るほどの勢力となったのである。繰り返すが、彼らは反体制のクーデター軍である。人命を奪い、非道なことも数多くやった。月臣元一郎の言う通り、そこに徳
などはない。しかし、その理念と姿勢は正当であった。なぜなら、ボソンジャンプは、確かに世界人類全ての人生に影響を与えてしまう危険性を孕んでいるのだ
から。
これからボソンジャンプがどうなっていくかは、彼らの決起をどう受けとめ、どう考えるか。世界人類に委ねられることになるだろう。
参考:(NADESICO PERFECTS P.56)
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