【Side:林檎】
私の名前は立木林檎。樹雷四大皇家の一つ、竜木家の眷属『立木』の姓を持つ、瀬戸様の部下だ。
鬼姫の『ハイエナ部隊』の名で知られている経理部、その主任を務めさせて頂いている。
こう見えて、『盾』や『剣』ほどではないが、職務上その名と顔はかなり知れ渡っており、口の悪い者達は、畏怖と畏敬の念を込めて『鬼姫の金庫番』と私の事を呼んでいた。
「瀬戸様、どういう事か? 事情を説明して頂けますね?」
「も、勿論よ。それよりも、先に御茶にしない? 地球土産の美味しい御菓子があるのよ」
「御茶や御菓子は後で結構です。それよりも、船穂様と美砂樹様まで地球を訪問された理由をお聞かせください。最初は、柾木家の方々にお会いになるため、と思っていましたが……何か、他に理由があるのではないですか?」
「はあ……林檎ちゃんに隠し事は出来そうもないわね」
そう言って、深く溜め息を吐く瀬戸様。ずっと地球への訪問を避けていた瀬戸様が、今になって急に、待ち侘びていたかのように上機嫌で地球へと向かった理由。度々、船穂様や美砂樹様が地球を訪れていた本当の理由。それを私は知りたかった。
阿重霞様や砂沙美様、それに遙照様、柾木家の方々にお会いになるためだと最初は考えていた。
しかし今回の事で、明らかに何かがおかしい事に気付く。
私達に内緒で、あれほどの海賊艦を捕縛するに至った経緯。それはまるで、『ローレライ西南』の初陣となったあの事件。十三年前の再現とも言える内容だったからだ。
今までの事と、今回の件。無関係だとは思えない。
「正木の麒麟児――その名前くらいは聞いた事があるでしょう?」
「はい……皇眷属の間では特に有名人ですから」
「あなたの想像通り、柾木家の人達に会いに行く事だけが目的だった訳じゃない。今回は、その彼≠迎えに行く事こそが、本来の目的だったのよ」
「――! 正木の麒麟児をですか!?」
正木家に誕生した天才『正木の麒麟児』の名は、皇眷属の間では特に有名な物として知れ渡っていた。
特に地球の事を知る者達にとって、『正木の麒麟児』の名は特別重要な意味を持つ。
白眉鷲羽様の『息子』であり『後継者』と称されるその実力は、第二世代艦『龍皇』の改造を成功させたという点からも疑いようがなく、既に哲学士『タロ』の名で活躍しているという実績の数々は、十五という年齢を思わせない驚愕に値するモノばかりだった。
しかも、遙照様から幼い頃より剣術を習い、その腕はあの伝説の宇宙海賊『魎呼』とも引き分けるほどだと言う。
多くの有能な人物を輩出してきた『正木家』の中でも、歴史上二人といない、と噂されるほどの傑物。それが、私が知る『正木の麒麟児』――正木太老に関する噂の全てだった。
私も、その話を疑っていた訳ではなかった。あの鷲羽様が目を掛け、自らの弟子にするような少年だ。普通であるはずがない。
しかし瀬戸様の微笑みは、『それだけではない』と、私に語りかけているようだった。
「まさか……」
「その通りよ。今回の海賊討伐の件は、全て彼のお陰。私が彼をスカウトした理由……あなたなら分かるでしょう?」
「では……西南様のように、確率に偏りのあるタイプだと?」
「彼とは、少し違うけどね。いや、ある意味で彼以上に危険か……それと、彼は天地殿と同レベルの機密事項に指定されているから、絶対に彼の事を他言してはダメよ?」
「天地様と同レベル!? 瀬戸様、それはどういう――」
「言ったでしょ? 天地殿と同じだと。あなたも、この意味は分かっているはずよ」
私は息を呑む。天地様と同じ、という事は、樹雷の最高機密に指定されているという事だ。
それは皇家の樹と同様、いや、それ以上に彼の存在が樹雷にとって重要である事を意味していた。
そしてそれは――瀬戸様が話しても良い、と判断された情報以外、私が知る事も詮索する事も禁じられている、という事を示唆していた。
正木の麒麟児が、『確率の天才』に類似する能力を有している、という話は聞いた事がない。恐らくは、その話だけでも機密に触れる、重要な話だと言う事が予想出来る。
これだけ話してくださっただけでも、私に配慮してくださった、と考えるべきなのだろう。
しかし――
「事情は呑み込めたでしょう? あなたに与えた範囲の情報なら、経理部の子達に説明をしても構わないわ。だから彼の事は――」
「はい……よく、分かりました。では、この浮いた経費は全て、正木の麒麟児……いえ、正木太老様のお陰と考えてよろしいのですね?」
「えっと……確かにその通りなのだけど……林檎、あなた本当に分かってるの? 彼の存在を隠さなければならない、という事は報奨金とか正規の方法で、彼に支払う事も出来ないのよ?」
「そんな事は分かっています! ですが、受けた恩を何も返さないなんて真似! 経理部主任として、いえ樹雷女性として出来ましょうか!?」
そう、そんな真似が出来るはずもない。
今回の件で、経費は一切掛からなかった上に、多額の報奨金が樹雷に、GPや連盟から支払われる事になるだろう。
――海賊達に掛けられた懸賞金の総額
――そして、通常の方法で、これだけの数の海賊艦を検挙するのに掛かる予算
それらを慣例通りに計算に入れても、国家予算規模の収益と成果を、彼はあげた事になる。
しかも、名の売れた海賊達が捕縛された事で、それに伴う予想被害を未然に防げた事や、情勢安定による株価上昇などの社会的影響を考えれば、今回の海賊の一斉検挙によってもたらされる経済効果は、それこそ天文学的数字に上るはずだ。
それだけの結果を見せられ、恩恵を与えられておきながら、何一つ恩返しをしない、など私には考えられない。
ましてや瀬戸様の言うように、機密事項に触れる繊細な問題のために、正当な報奨金が支払われないという話になれば、益々黙っていられるはずもなかった。
【Side out】
異世界の伝道師/鬼の寵児編 第17話『鬼姫の金庫番』
作者 193
【Side:瀬戸】
「……予想通りの結果になっちゃったわね」
「『なっちゃったわね』じゃありません! どうするんですか!?」
「まあ、『機密事項』の事は話してあるし、彼女達もそこまで無茶をしないでしょう」
「無茶をして欲しいように聞こえるのは、気の所為でしょうか?」
林檎がこの話を聞いたら、間違いなくそう言う行動に出るであろう事は予想できた。
だが、経理部を味方につける事は、今後のためにも必要不可欠な条件だった。
太老殿の存在を今後も隠し通すためには、正規の予算を使う訳にはいかない。
そうなってくると、私の裏資金で賄う必要性がある訳だが、そのためには、あの子達に黙って事を進めるなんて真似は不可能だ。
「大丈夫よ。西南殿の時も、大きな問題にはならなかったでしょ?」
「あれは、霧恋ちゃん達も居たからで……」
「なら、水穂が今度はその役目を担って、太老ちゃんを守ってあげればいいだけじゃない?」
「やっぱり……楽しんでますよね?」
水穂もバカではない。経理部に太老殿の事を黙っていられるなどと、本気で考えてはいないはずだ。
しかし、西南殿の件という前例を知っているからこそ、経理部を――いや、林檎を警戒しているに違いない。
彼女達であれば、『恩返しのため』という大義名分があれば、自分達の身体を差し出すくらいの真似をしても不思議ではない。
ましてや、彼はあの『正木の麒麟児』だ。将来を有望視される天才児。関係者の多くは、彼が哲学士『タロ』の正体である事を察しているし、年若く、実力もあり、樹雷の皇眷属の出身と家格も申し分ない。将来性も抜群、これ以上ないくらいの有望株だ。
彼の事を公表すれば、見合いの話が殺到する事は間違いない。そのくらい、彼は未婚の女性達にとって魅力的な存在だった。
それはそれで面白そうなのだが……それでは本末転倒だ。彼の存在を隠さなければならない理由は、ある意味でそうしたところにもある、と言えた。良い意味でも悪い意味でも、彼は目立ち過ぎるのだ。
「まあ、それに彼なら、こういう事に慣れてるでしょうし大丈夫じゃないかしら? 公衆の面前で船穂殿を押し倒した、って話は聞いてるわよ? それに水穂とだって、水鏡のブリッジで――」
「……瀬戸様。やっぱり、それが本音だったんですね」
「……うっ! それよりもいいの? このままだと彼女達、今頃は彼のところに押し寄せてるんじゃ――って、いない!?」
私が言い終える前に、音もなく姿を消した水穂。
何だかんだいって、彼の事が気になっている証拠だった。
「これは、もしかしなくても……水穂にやっと春が来た、って事かしら?」
随分と遅い春だが、もしそうなら応援くらいはしてあげないと、と考える。
林檎が勝つか? 水穂が勝つか? 天女ちゃんが横から掻っ攫っていく可能性もある。
何れにせよ――
「本当に、退屈しなさそうね」
新しい玩具を見つけた子供のように、私は無邪気に微笑みを浮かべていた。
【Side out】
【Side:太老】
「水穂さん、遅いな」
水穂が、水鏡のブリッジを出ていってから、かれこれ三時間になる。
外の映像を見る限り、既に歓迎の催しは終わっているようなのだが、ここで待っているように言われた以上、勝手にブリッジを出る事も出来ず、どうしたモノか? と困り果てていた。
「太老様、御茶のお代わりは如何ですか?」
「いや、さすがにもういいよ……ありがとう」
良い茶葉を使った美味しい御茶だが、これで八杯目だ。腹もタプタプ、さすがに飽きてきた。
ブリッジに残ったオペレーターの彼女達も、自分達の仕事があるというのに、こうして気を遣って御茶に御菓子と声を掛けてくれる。
彼女達からすれば、俺は『お客様』なのだから当然かも知れないが、どうにも他人行儀で落ち着かない。それに、慣れない『様』付けで呼ばれているのが、こそばゆいと言うのも理由にあった。
一応、『様付けはやめて欲しい』とお願いはしたのだが、『そのような真似は出来ません』と頑なに拒まれてしまい、しつこく言うと困った様子で泣き出しそうな顔をするので、それ以上言えなくなってしまった。
さすがに、水鏡のブリッジのオペレーターともなると、職務に忠実な人が多い。
瀬戸があんな性格だから、部下は仕事熱心で真面目な性格になるのではないか? と少し失礼な事も考えていた。
「あの……太老様」
「ん? どうかした?」
「立木林檎様と経理部の方々が、太老様との面会を求めて来ていますが……どう致しましょう?」
「……経理部?」
立木林檎と言う名には覚えがあった。確か、『鬼姫の金庫番』とか呼ばれている経理部主任を務めている女性の名だ。
西南に強い恩義を感じていて、身も心も捧げる覚悟で恩返しをしている、とか……そういう話だったと思うが、樹雷に残っていたのか。
原作の様子から察するに、西南とてっきり一緒になったとばかりに思っていたのだが――
彼女を始めとする『タツキ』の姓を持つ女性は、『銀河連盟お嫁さんにしたい女性ランキング』の上位を独占するほど、才色兼備、良妻賢母の資質を兼ね備えた、気立ての良い女性ばかりだという話だ。
その事を考えると、『不幸』だけでなく『女難』にまで憑かれている西南を見て、彼のためを思って自分から身を引いた、という可能性も十分に考えられた。
「経理部って、俺に何の用事が?」
「さあ? 私も存じていませんので……」
とは言え、彼女の過去や、西南の事など今は問題ではない。問題は何故? 彼女達が俺を訪ねてきたか、だ。
経理部に目をつけられるような真似を、何かしただろうか? 物を壊した記憶はないし、考えられる事といえば、ここに来るまでにあった海賊の件くらいのモノだが、あれは別に俺の所為と言う訳ではない。
水鏡のシステムの不調は、ある意味で俺の責任とも言えなくはないが……そんな因縁をつけてくるような相手とは思えない。
「んー、取り敢えず会ってみるか」
「よろしいのですか?」
それに、瀬戸の下で働く以上、これからも顔を合わせる機会は多い。
何事も第一印象が大切だ。何も悪い事をした覚えがないのに自分から避けるような真似をして、ギスギスした関係など築きたくはない。
これから一緒に仕事をしていく仲だ。俺としては、出来れば仲良くしたい、と考えていた。
「折角、会いに来てくれたのに、追い返すのも悪いしね」
俺がそう返事をすると、直ぐにブリッジの外で待っていた女性達に、返答をするオペレーターの女性。
殆ど間を空ける事なく、転送ゲートに光の粒子が浮かび上がり、そこから五人の女性が姿を現した。
「初めまして、太老様。経理部主任、立木林檎と申します」
姿を見せるなりそう言って、膝をつき、深くお辞儀をする林檎。
それに続くように後の人達も膝をつき、俺に頭を下げた。
「はい? ちょっと、やめてください! その……そういうのには慣れてなくて、出来れば普通に」
ここまで畏まった挨拶をされるとは思っていなかっただけに、俺は激しく動揺した。
というか衆目の前で、こんな羞恥プレイは勘弁して欲しい。
ましてや、船穂のように柔らかな表情と物腰をした女性達に、傅かれる理由が思い当たらない。
(やっぱり、鬼姫に連れて来られたからか?)
彼女達からすれば、俺は『鬼姫の客人』だ。そう言う意味からすれば、賓客待遇で迎えられても不思議ではない。
それに、船穂や美砂樹もこの国の皇妃だ。そんな凄い人達に連れられてきた人物と考えると……確かに凄い人物のように思えなくもない。
本人は辺境の星の山奥の村で育った、至って普通の庶民なのだが……。
「そうは参りません。それでは、礼儀を欠く事になります」
「いや、そう言われても……」
仕事熱心なのは良い事だが、正直ここまでされるのはちょっと……と引いてしまう。
「仰ってください。私達はどんな事でも……太老様が望まれるのであれば、身も心も捧げる覚悟でここに来ました!」
林檎の迫力に少し引きながらも、本気で『どうしたモノか?』と考える。
彼女が物凄く真面目な性格だという事は分かった。経理部主任という肩書きを持っているくらいだ。彼女が職務に忠実で、仕事熱心である事は、その姿勢からも伝わってくる。とは言え、身も心も捧げる、とか冗談でもやめて欲しい。男性としては嬉しい限りだが、ここで欲望に身を任せてしまえば、益々、瀬戸の思う壺だ。
そんな事になれば、これ幸いと既成事実を突きつけられ――
(はっ!? まさか、それが狙いじゃ!)
その可能性は十分に考えられた。俺がモテるなどとありえない話だ。
林檎達をけしかけ、既成事実を積み上げた後、それを理由に俺を宇宙に留めて置くつもりかも知れない。
何と狡猾な……そうなったら、あの平田兼光や神木内海樹雷のように、彼等の言うところの『クソババア』から一生逃れられなくなってしまう。
ここで、罠に嵌る訳にはいかない。出来るだけ平常心を装い、彼女達が傷つかなくて済むように無難な答えを返さないと――
「……それじゃあ、一つだけお願いを聞いてもらえます?」
「はい」
「俺と『友達』になってくれません? これから一緒に仕事をしていく仲間だし、他人行儀なのはなしにして、同僚として接して欲しい」
「ですが、それは……」
「それに、分からない事だらけで迷惑を掛ける事もあると思うし、色々と助けてもらえると嬉しいかな、って」
無難な答えとは言っても、これは本心からだった。出来れば、瀬戸から助けて欲しいが、そこまで贅沢を言うつもりはない。
仕事で分からない事や、新しい生活で困る事も出て来るだろう。そういう時に相談に乗ってくれる相手、力になってくれる人がいるのといないのとでは、全然違う。
水穂も協力してくれるとは思うが、こっちに『友達』や『仲間』と呼べる知り合いは殆どいないので、彼女達がそうなってくれれば、これほど心強い事はなかった。
「ああ、それと『身も心も捧げる』とか簡単に言わないように! 瀬戸様に何を言われたか知らないけど、そう言う事は大切な人が見つかるまで、大事に取って置いた方がいい。林檎さん達は皆、凄く魅力的な女性ばかりだから、きっと良い人が見つかると思うし……だから、軽々しくそう言う事を口にしないで欲しい」
『……太老様』
何やら驚いた様子で、俺の名前を口にする……林檎とその部下達。何だか、ぼーっとした様子で固まっていた。
何か変な事を言っただろうか? しかし、これだけは譲れない。俺の理性を保つために、重要な問題だ。
平穏を勝ち取るためにも、一時的な情欲に負け、瀬戸の仕掛けた罠に嵌る訳にはいかない。
林檎を始め、何れも魅力的な女性ばかりだ。そんな彼女達に本気で迫られたら、拒める自信など全くない。
俺は、どこぞの聖人君子ではない。男なら誰もが、彼女達のような女性に甘い言葉で迫られれば、間違いなく籠絡されるはずだ。
瀬戸がこの先、どんな手で来るか分からない以上、本人達にこれだけは念を押しておく必要があった。
「太老様のお気遣い、心より感謝致します。私達、経理部一同――これより太老様の手となり足となり、力になる事を、ここに誓わせて頂きます」
何だか仰々しい感じになってしまったが、取り敢えず解決した、と考えていいのだろうか?
先程よりも一層、畏まった様子で頭を下げる林檎達に、俺はもう本当にどうしたモノか? 分からなくなっていた。
そんな時だ――
「――太老くん! 無事!?」
「あ、水穂さん。どうしたんです? そんなに慌てて……」
「え? はい? 林檎ちゃんに……って、本当に何もなかったの?」
「えっと……何が?」
ブリッジに血相を変えて飛び込んできた水穂。『何?』というのは、こっちが聞きたい。
林檎といい、水穂といい、本当に何がしたいのか?
先程から意味が分からず、混乱させられてばかりだった。
「ご心配にならずとも、残念ながら何もありませんでした。太老様から『友達になって欲しい』と、そう……頼まれただけですから」
「と……もだち……?」
困惑した表情で確認するように呟き、俺に目で問い掛けてくる水穂。
「困ってる事とかあったら助けて欲しいな、って……何か、まずかったですか?」
「いえ、そんな事はありません」
水穂の態度に、初対面から馴れ馴れしすぎたか? と少し焦ったが、林檎はそんな俺の考えを首を横に振って否定した。
思わず、見とれてしまいそうになるほど優しい笑顔を浮かべ、丁寧にもう一度、ペコリとお辞儀をする林檎。
同じように林檎の部下達も、俺に向かって深く頭を下げた。
「太老様。突然、大勢で押し掛け、大変失礼を致しました」
「いや、こちらこそ……大したお構いも出来ずに」
「また、改めて御挨拶に伺わせて頂きます。では、後ほど――」
そう言って立ち去って行く林檎と、彼女の部下達の後ろ姿を、ポカンとした表情で、俺と水穂は見送った。
正直、何がなんだか、さっぱり意味が分からない状況だ。
(ううん……さっぱり分からん)
結局、林檎が何をしにきたのか? そして水穂が何で慌てていたのか?
何一つ分からないまま、俺の樹雷での生活が幕を開けた。
【Side out】
……TO BE CONTINUED
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