前書き
 普段は余りこうした設定資料はださないようにしているのですが、前作『貴族だと思ったら猟兵やってます(無印)』のおさらいを兼ねて、まとめを公開します。
 大丈夫! 前作はちゃんと読んだぜ! 頭に入ってるって人は読み飛ばして頂いて構いません。
 なお、前作及び原作のネタバレを多く含むため、お気を付けください。
まず最初に

 『貴族だと思ったら猟兵やってます』は『閃の軌跡U』までの設定から、自分なりの考察を加えて書いた作品です。
 なので『閃の軌跡V』の内容と大きな矛盾が生じています。詳しくは下記を参照してください。


【前作のストーリーについて】

 要点だけを絞って書いています。詳しく知りたい方は、前作をお読みください。

はじまりの物語

 空の女神に導かれ、異なる世界から移り住んだ人々。それが魔女と地精だった。
 女神より与えられし至宝と、異世界よりもたらされた技術によって繁栄を享受する人々。
 だが、そんな栄華を極めた文明にも陰りが見える。

 至宝の力によって異界の門が開かれ、そこから現れし二体の巨神によって、世界に災厄が振りまかれたのだ。
 それは与えられることに慣れすぎた愚かな人間たちが、際限のない幸福を求めた結果招いた必然とも言える災厄だった。
 荒ぶる神の戦いは女神にも止めること叶わず、二体の巨神の戦いは千日にも及び、相打ちで終結する。
 しかし、あとに残されたのは荒廃した大地と破壊された文明の爪痕。
 これが後の世で語られる『大崩壊』の起因となった。

 その後、女神は人々の前から姿を消す。

 同様の悲劇を繰り返さないためにと、魔女と地精は大地に打ち捨てられた巨神の力を分け、七つの器に封じる計画を立てる。
 異界の敵――この世ならざるものから世界を守るために生み出された七色の騎士。
 世界を守護するシステムであると同時に、巨神を封じる鍵。
 それが『七の騎神』だった。
 だが、暗黒竜との戦いで〈緋の騎神〉が呪いを受けた頃から、封印に綻びが生じ始める。
 その綻びが浮き彫りとなったが、二百五十年前に帝国で起きた内戦――獅子戦役だった。


クラウゼル兄妹

 ルトガー・クラウゼルと、バルデル・オルランドの決闘の日から凡そ一年。養父(ルトガー)の遺言で団を離れたリィンとフィーは猟兵を休業し、帝都で小さな喫茶店を営んでいた。
 常に生死を分けた戦いに身を置き、戦場を渡り歩く生活をしていた二人の兄妹にとって、帝都での生活は心安まる時間を過ごせる一方でどこか物足りないものだった。そんな穏やかな時間が流れていく中、帝都で事件が起きる。クロスベルの独立宣言に端を発した帝国政府の宣戦布告。その演説中にテロリストの放った凶弾にギリアス・オズボーンが倒れ、貴族連合による帝都侵攻作戦が開始されたのだ。
 最初は内戦に関わるつもりのなかったリィンではあったが、「団の皆にもう一度会いたい」というフィーの言葉に心を動かされ、アルフィンに雇われることで原作に介入していくことを決断するのだった。


歴史の差違

 猟兵として生きることを決めたリィンとフィーが士官学院に関わらないことで、この世界はリィンの知っている歴史と異なる歴史を歩み始めていた。
 ユミルへ身を寄せたリィンたちの前へ貴族連合の使者として現れるアルティナ。案内された場所でリィンは、ルーファスの口から貴族連合とは別の思惑で動く〈赤い星座〉にセドリックが誘拐されたことを聞かされる。その後、アルティナを仲間に加え、情報を集めるためにユミルを離れるリィンたち。その途中、双竜橋に囚われていた士官学院の生徒の口からミリアムがVII組の生徒でないことを聞かされ、自分の知っている歴史との差違に戸惑いながらもリィンはトヴァルから得た新たな情報を元にレグラムへと向かう。
 レグラムへと潜入したリィンは協力者≠ニ合流する。その協力者とは、神速の異名を持つ鉄機隊の筆頭デュバリィだった。
 そのことからアルフィンとエリゼの追及を受け、実は密かに結社の使徒〈蒼の深淵〉と密約を交わしていたことを告げる。
 渋々と言った様子ではあるが、どうにか二人を納得させたリィンは、貴族連合に捕らえられている人質を救出するため、二手に分かれて行動を開始する。
 そしてレグラムの湖城に潜入したリィンたちは、待ち伏せていた〈赤い星座〉の襲撃を受ける。
 そんな戦いの最中に割って入る乱入者。それは貴族連合の英雄〈黄金の羅刹〉の異名を持つオーレリア・ルグィンだった。
 死闘の末、切り札を使うことでオーレリアを退けるリィン。
 そして情報を聞き出すために捕らえた〈赤い星座〉の部隊長シャーリィ・オルランドから、思いもしなかった真相を聞かされることになる。
 その後、内戦の終結に力を貸すことを条件にカレイジャスの譲渡をオリヴァルトに約束させたリィンは、クレイグ中将の依頼でノルド高原へと向かうのだった。


ノルド高原での戦い

 ゼンダー門で遂にセドリックとの再会を果たし、束の間の喜びを得るアルフィン。そんななか第四機甲師団に拠点を占領されノルド高原へと逃げたアルバレア公率いる領邦軍と共和国軍に奇妙な動きがあることを掴んだリィンは、先に飛び出したVII組の生徒を追ってノルドの民の集落を目指す。そしてVII組の生徒と合流したリィンは、ノルドの民がアルバレア公の雇った猟兵団に狙われていることを知り、シャーリィと共にラクリマ湖で迎え撃つことを決めるのだった。


ラインフォルト奪還

 ラクリマ湖での戦いに勝利し、どうにか猟兵を退けたリィンたちは、ノルドの民を連れてユミルへ身を寄せていた。
 シャーリィが助けたリーシャ・マオから話を聞き、クロスベルの状況を知るリィン。
 そしてグエン老との約束を守るため、イリーナの救出とラインフォルト社を貴族連合の手から解放するためにルーレへと向かう。
 ラインフォルト本社に突入したリィンたちが目にしたのはグノーシスを投与され、魔人へと姿を変えた士官学院の生徒の姿だった。


臨時政府発足

 リィンの放った一撃で魔人化が解け、一命を取り留める生徒。別行動を取っていたフィーたちによって会長のイリーナも無事に保護され、貴族連合に協力することで私腹を肥やしていたハイデルは騒ぎを聞いて駆けつけたログナー候率いる領邦軍に逮捕される。その後の交渉でアルフィンとセドリックが帝都解放のための臨時政府を立ち上げることを宣言し、リィンたちはログナー候を味方に付けることに成功する。
 そして、イリーナに雇われていたという〈西風〉のメンバーと再会するリィンとフィー。
 そこでフィーは『西風の皆に負けないくらいの家族(団)をリィンと二人で作ってみせる』と自分の気持ちを伝えるのだった。


反攻作戦の始動

 遂に開始される反攻作戦。その裏でトールズ士官学院の解放に動くVII組の生徒たち。
 アルフィンとセドリックが臨時政府を立ち上げたことでカイエン公に渋々従っていた貴族の切り崩しに成功し、作戦は上手く行っているかのように思えたが、カレイジャスが襲撃されアルフィンがさらわれる事件が発生する。
 その動きに呼応するように、帝都で起きる異変。
 紅き終焉の魔王の復活。緋色の空、帝都を徘徊し、人々を襲う魔煌兵。
 それを目の当たりにしたウォレス・バルディアス准将率いる貴族連合軍から停戦の申し入れを受けた臨時政府軍は、これを受け入れる決定を下す。
 同じ頃、リィンは〈蒼の深淵〉の案内で旧校舎の地下に眠る〈灰の騎神〉を手に入れるが、VII組の生徒ユーシスが人質を解放するために猟兵に捕らえられ、兄ルーファスの待つパンタグリュエルに移送されたことを報される。


煌魔城での戦い、動き始める悪意

 カレイジャスをトワに預け、クロウや〈蒼の深淵〉の力を借りてバルフレイム宮殿へと乗り込むリィンたち。
 そこでリィンたちを待ち受けていたのは、カイエン公に協力する結社の執行者。
 そしてVII組の生徒のなかで唯一行方が分からくなっていた――エマ・ミルスティンだった。
 激戦の末、結社の執行者を退けるが、介入の機会を窺っていた結社の使徒F・ノバルティスの策略によりアルフィンを取り込み魔王と化した〈緋の騎神〉が、そんなリィンたちの前に立ち塞がる。
 その頃、ユーシスや学院長たちを救出するために動いていたカレイジャスは、遂にパンタグリュエルの姿を捉える。
 苦しい戦いを強いられることを覚悟してところ、あっさりとパンタグリュエルを制圧できたことに驚くカレイジャスの面々だったが、それが罠だったことに気付かされる。
 パンタグリュエルが向かっていたのは、ノルド高原に駐屯する共和国軍の基地だと分かったからだ。
 爆薬を満載し、制御を失っている船を止めようと奔走するVII組。そして――ジョルジュの協力を得て、どうにか船を止めることに成功する。
 だが、それすらも真の狙いを隠すための囮に過ぎなかったことを、後に彼等は知ることになる。
 帝国政府の専用列車〈アイゼングラーフ号〉が双竜橋を突破し、クロスベルへ向かったことがオリヴァルトのもとへ報されたからだ。


紅き終焉の魔王

 フィーたちの機転によって救出されるアルフィン。だが、その直後――
 嘗ての起動者オルトロスの面影をカイエン公の放つ狂気に垣間見た〈緋の騎神〉が、彼をその身に取り込んでしまう。
 暴走する〈緋の騎神〉に、リィンは旧校舎の地下で手に入れた〈灰の騎神〉に乗り込み、戦いを臨む。
 激しい戦いの末、最後はシャーリィやエマの力を借りて、どうにか〈緋の騎神〉の暴走を止めることに成功するが――


小さなデミウルゴス

 目が覚めた時、そこはリィンの知る世界ではなかった。
 猟兵王にではなく貴族に拾われたリィンのいる世界。
 その世界でリィンは並行世界のエリゼに助けられ、戦いのなかで自身のことを『零の巫女』を名乗る少女と邂逅する。
 明かされる真実。自分の力の秘密を知ったリィンは、過去と決着を付けるべくエリゼに別れを告げ、元の世界へと帰っていくのだった。


暁の旅団の結成

 元の世界へと帰還したリィンはギリアスがユーゲント三世を拉致し、逃亡先のクロスベルで『ハーメルの悲劇』を公表すると共に亡命政府を興したことを聞かされる。亡命の理由を『ハーメルの悲劇』の真相という大きな話題で置き換えることで、帝国貴族や政府を堂々と非難できる状況を作り上げたのだ。事情を知らない人々からすれば真実がどこにあるかなど関係ない。そこに嘘が含まれていようと信じ込ませることが出来れば、立派な大義名分となる。
 そこでリィンはクロスベルと手を組んだギリアスに対抗すべく、自分の団を興すことを決断する。
 帝国政府との取り引きで元帝国解放戦線のメンバーを引き取り、シャーリィやフィー。それにリーシャやエマと言った面々を仲間に加え、猟兵団を結成するリィン。そしてエマがカイエン公に協力していた理由を聞かされたリィンは、マリアベルの狙いがキーアではなく自分にあると確信する。そこでリィンは、アルフィンに接触してきたエリィ・マクダエルを、クロスベルに対する大義名分を得るために仲間へ引き込むことを画策する。交渉の末、エリィの協力を取り付けたリィンはマクダエル議長の救出に力を貸し、アルフィンと共に各国への根回しに奔走するのだった。
 そして遂にリベール王国にて、西ゼムリア通商会議が開かれることが決定するのだが――


通商会議

 リベールで開かれた通商会議の最中、グノーシスを用いた集団テロが発生する。
 ルーファスにクローディア王女が誘拐されたことで、ギリアスの野望を止めるべく〈精霊の道〉を使いクロスベルへ向かう暁の旅団。
 クロスベルへと向かう船の中、並行世界で出会ったもう一人のキーア。ノルンと名付けた少女のことをリィンは皆に紹介するのだった。


クロスベルでの戦い

 クロスベルに到着したカレイジャスを待ち受けていたのは、〈輝く環〉の力を解放した結社の神機アイオーンだった。
 緋の騎神に乗り込み、神機と激闘を繰り広げるシャーリィ。そんななか新たな力を手にしたレンが戦いに割って入り、カシウスに連れられたエステルとヨシュアも竜の背に乗って戦場に現れる。
 その頃、別行動を取っていたリィンとリーシャはロイドたちと合流し、クロスベルで起きている異変を止めるべく〈碧の大樹〉の攻略を開始する。
 そんなリィンたちの前に立ち塞がったのは、〈鋼〉の名を持つ聖女だった。


魔女の暗躍、教会の使命

 リィンが鋼の聖女と激しい戦いを繰り広げている頃、ロイドたちはキーネを救うべく大樹の深奥へ向かっていた。
 その途中、ロイドたちは教会が隠してきた世界の秘密と、マリアベルの目的を知ることになる。
 教会の使命は、異世界の技術の管理。
 マリアベル曰く――

「教会がアーティファクトの回収と管理を使命に掲げているのは、同じ悲劇を繰り返さないため。人々の欲望には際限がない。その結果、引き起こされたのが先の大崩壊。彼等は異なる世界からの技術の流入を抑制することで、再び人々が滅びの道へと向かわないように世界を裏からコントロールしているのですわ。それが教会の使命だと信じて」

 とのこと。
 だが、七の至宝を人々に与え、異世界から魔女や地精をこの世界に導いたのも、すべては〈空の女神〉自身。
 ある意味、大崩壊の原因を作ったのは女神だとも言える。そのことからマリアベルは、この世界を女神の摂理から解放しようとしていた。
 そのためにクロイス家の悲願でもあった〈幻の至宝〉の復活を求め、裏で教団を操り、黒の工房とも通じてホムンクルスの研究を進めていたのだ。
 至宝の器となる少女を造り上げるため――
 だが、リィンが〈王者の法〉をその身に宿していると気付いたマリアベルは、計画の修正を密かに決める。
 女神に代わる新たな神の誕生。この世界の摂理を破壊する存在。その可能性をリィンに見出したが故の決断だった。


大崩壊と世界の新生

 ギリアス・オズボーンは七耀脈の力を活性化させることで、嘗て女神が閉ざした異界の門を再び開き、巨神エレボニウスを復活させる。
 彼の目的は、世界から悲劇≠なくすこと。古い秩序を破壊し、新たな秩序で世界を再構築することにあった。
 しかし、リィンはそんなギリアスの願いを否定し、復活した〈巨神〉に挑む。
 圧倒的な巨神の力の前に苦戦を強いられるヴァリマール。
 そして遂に巨神エレボニウスの力の前に敗れ、深い闇にヴァリマールは囚われる。
 だが、そんななか救援に駆けつけたエマとノルンの力を借り、至宝の力を取り込んで覚醒した〈灰の騎神〉で闇を振り払うリィン。
 猛き力――ルシファー(光の巨神)へと姿を変えた騎神の一撃でエレボニウスを倒し、ギリアスの野望を止めるのだった。


物語の終わりと始まり

 帝国に併合されるクロスベル。だがリィンやアルフィンを仲介して進めていた交渉で、エリィは総督の下で一定の自治が認められた経済特区としての地位を帝国政府から勝ち取る。その後、クロスベル特区の総督として就任するアルフィン。暁の旅団はクロスベルと正式に契約を交わし、国防軍が解体されて弱体化した警備隊を鍛えながら防衛の一端を担うことになる。しかし、ギリアス・オズボーンの野望は確かに阻止したが、大きな問題がまだ一つ残されていた。
 大崩壊以降、ゆっくりと世界に広がるマナの減衰。百年先か、二百年先かは分からない。しかし世界から七耀の力が失われれば、オーブメントに依存した社会は崩壊する。
 この世界が緩やかな崩壊へ向かっていることを知ったリィンは、〈空の女神〉を捜索する旅へでることを決意する。
 ずっと隠してきた自身の秘密を皆に打ち明けると、フィー、シャーリィ、ベルの三人と共にリィンは異世界へ旅立つのだった。



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