− 欧州 ヌーボ・パリ
「そうか、ダンガイオーの修理が完了したか」
`ダンガイオー`。それはかつて異星人と地球人のチームによって持ち込まれた異星人製のスーパーロボット。バンカーという宇宙海賊と敵対し、
地球連邦軍もいくつかの移民船団が刃を交えている。白色彗星帝国との戦いの際に地球連邦に協力し、戦ったが、最終決戦の最中、バンカーの兵にして復讐鬼となった「ギル・バーグ」や白色彗星帝国の超巨大戦艦との乱戦の末に大破していた。幸いにもコックピットブロックは無事であり、すぐに回収されたもの、修理困難だと判定された。しかしドラえもんの来訪によりタイムふろしきの製造技術が復活すると、すぐにダンガイオーの復元が行われた。だが、そのままではバンカーや各勢力が送り出してくる新たなスーパーロボットの前に、性能不足が懸念された。なので、極秘裏に地球連邦軍が培ったOTMや他のスーパーロボットのノウハウを活かす形で装甲やフレーム、ジェネレーターにスラスターの強化、アビオニクスの更なる向上の改修が行われた。その結果、実は修理よりも改修のほうに時間が取られたのである。
「ハッ。間もなく欧州に到着の見込みです」
「よし、これで状況は良くなるはずだ……問題は地下勢力の動きだが、百鬼帝国の動きは?」
「小康状態です」
「ミケーネ亡き後、脅威となるのは百鬼のみだ。あやつらが大人しくしてくれるならそれに越したことはないが……」
連邦軍欧州方面軍司令は大きくため息をつきながら副官の報告を聞く。だが、連邦軍のつゆ知らぬところで百鬼帝国は思わぬ策動を開始していた。
‐百鬼帝国のブライ大帝の玉座室に備え付けられたモニターには一機の異形、いや、ゲッターロボGを巨大化させたかのような『超巨大ゲッタードラゴン』の映像が映しだされていた。
そうか、恐竜帝国のクーデターが成功したか」
「そのようですな、大帝」
「`バグ`か……真ゲッターロボすら超越し、それを超えるゲッターとも渡り合える機体……本当に`アンドロメダ流国`には感謝せねばな」
ブライ大帝は真ゲッターやカイザーに対抗できる手段が異世界の`ゲッター線の野望を食い止める`者からもたらされた事にご満悦のようである。
その力は地球をも作り変える事も可能なのだ。ミケーネ帝国の生き残りからもたらされた例の巨大なゲッターGも百鬼帝国を中心とする地下勢力の手にある。
バグ、そしてそのゲッターGはゲッター真ドラゴンとも呼ぶべき存在だという。それが百鬼帝国に与えられた経緯は以下の通り
― 日本 とある地
「ブライ大帝、来ました」
「うむ……」
彼らは`百鬼帝国`。現在は冬眠期に入り、マグマに逃げおおせた恐竜帝国に代りゲッターロボと対峙する敵であり、恐竜帝国をすべての点で上回る敵である。彼らはある人物と接触していた。そしてその人物は冬眠期に入ったハズのハ虫人類の特徴を表す`ウロコ`を持っていた。そしてその傍らにはかつてマジンガーZに倒されたはずのあしゅら男爵の姿も見える。
「よく我が百鬼帝国に来てくれた。恐竜帝国帝王と言ったほうがいいかな?`カムイ・ショウ`殿、それにあしゅら男爵」
「ハッ」
「……ええ。私の出身時空ではそうです。最もこの世界ではまだ生まれてもいませんが」
彼はこの時空とは別の世界において、ハチュウ人類と人類のハーフとして生まれた人物。そして一度はゲッターロボのパイロットとして戦った男。その名をカムイ・ショウ。彼はタイムスリップしてその時空で行き着く人類、そしてゲッターロボの`おぞましき未来`を目撃。その出現を阻止すべく、敵だったはずの`アンドロメダ流国`から託された最終兵器`バグ`を完成させる。
そして`真ドラゴン`との戦いのさなか、自分の時空だけでなく並行時空の『救済』を決意。
真ドラゴンとの戦いを中断し、エンペラーへ繋がる可能性を断ち切るべく、全ての時空の中で最も闘争に満ち溢れ、彼が知るよりも遥かに早く真ゲッターロボが完成したこの時空へ来訪したのだ。彼とブライ大帝との連絡・仲介に尽力したのはミケーネ帝国の`闇の帝王`と、その従者として黄泉がえったあしゅら男爵である。
「私は……我が百鬼帝国は、一度はそなたの父の国を攻撃した。……だがそれは水に流そう。
私も`あの瞬間`に垣間見たゲッターロボのおぞましき可能性`『ゲッターエンペラー』。それに繋がる未来の出現を阻止すべく協力しよう」
「ありがとうございます」
両者は手を握り合った。ゲッターロボ、そしてゲッターエンペラーという共通の敵と戦うために。それはゲッター線がこの世界の人類に与えし試練なのだろうか……。
「あしゅら男爵、そなたの言う`計画`の完遂はどうかね」
「間もなくでございます。それにゲッターは何も奴らばかりのものでもありませんから……。この映像をご覧ください」
あしゅら男爵は部屋を暗くさせるように頼み、持ってきた映像機器である映像を映写する。それは彼らの計画の一端が見て取れた。映像に写っているのは、ある格納庫に鎮座するゲッターロボ號や複数のカラーリングや形状がブライ大帝らの知るそれとは違いのあるゲッターロボGの各形態である。1万……いやそれより遙かに多いだろう。
「こんなもの……どうやって入手した?」
「全ては闇の帝王様の`趣味`でしてね。このドラゴン軍団の真の姿をお見せできる日も近いでしょう」
「`真の姿`だと……!?」
「そうです。フフフ……ご安心ください。その姿の前には真ゲッターロボさえ恐れるに足りぬのですから」
あしゅら男爵は`ドワォ`と効果音が入るのがふさわしい笑いを見せた。そしてその映像では不気味に真紅のゲッターロボGが蠢いていた。
カムイも因果応報だと言わんばかりの思いで映像を見ていた。ゲッターロボがゲッターロボに牙を抜く。なんという皮肉だろうか……。
……と、言う訳である。ミケーネ=恐竜=百鬼の軍事同盟は全ては兜甲児、剣鉄也、`ゲッターに選ばれし者`の流竜馬を倒すために結ばれた。闇の帝王とブライ大帝は
そのために和睦したのだから。
‐さて、その頃。地球連邦軍本部「ギアナ高地」(ゼントラーディ軍との戦い以降の再編の結果、ギアナ高地に連邦軍本部が置かれている)では、
空・海・宇宙軍の次期主力戦闘機開発計画が始まっていた。これはコスモタイガーUの将来的に訪れる、能力陳腐化に備えるという題目で始められたもので、
現体制下となった直後のコスモタイガーU開発時から数えて二度目の「F‐X」計画である。要求性能は厳しく、『新コスモタイガーを全ての点で凌駕し、
なおかつその性能を持ちながら現有機と同程度の機体サイズに収める」という過酷なものである。いわば「無理難題」ともいえるほどの厳しさであった。
これは地球連邦軍の空母には正規空母と呼べるものは少ない部類に入り、昔で言えば航空戦艦に分類される「機動戦艦」(地球連邦軍の造語)と戦闘空母が多数派である事が
要因であり、搭載機数はガミラス帝国の「3段空母」より少なめであるのを補う形で大型化した新型も設計開始段階に入ってはいたもの、それらが竣工するのは当分先の事であり、
現有空母の戦力アップを用兵側が切望しているのを受けての要求仕様であった。
また、軍内に「コスモタイガーUは現在、製造初期よりも機体設計を洗練し、速度や搭載量向上などの能力アップデートが施された新コスモタイガーが量産化されているが、
将来的に出会う帝国などに対抗可能な能力がある戦闘機があるかも知れない」という危惧も計画開始の手助けとなる形となった。
計画参加企業は現在の地球連邦軍の軍需産業を担う主だった大手企業や商社の全てで、アナハイム・エレクトロニクスの傘下で、旧ハービック社(コアファイターなどで有名)
や南部重工業、新星インダストリー、ゼネラル・ギャラクシー、揚羽財閥の商社などの俗に言う「ここ数十年で勃興した新興企業」の他、古くから軍需産業で鳴らしている20世紀以来の名門老舗企業も
その名を連ねた。
「今日は戦闘機図案の検討会か」
「ハッ、レビル将軍」
「どんなものが出てくると思うね」
「奇抜なものも多いと聞きますが」
「ほう。見てみよう」
開かれた検討会では各メーカー案の予想図と模型などが軍上層部に提出された。レビル将軍らはさっそくそのチェックに追われた。
「これはどこのメーカー案か」
「ウチです」
レビル将軍が手にとった図案とその模型は手堅く現有機をそのまま発展させたようなデザインのものであった。
問いに直ぐ様、「新星インダストリー」他数社の担当者が一斉に手を上げる。自信満々である。新星インダストリーや同社と関係する企業群の案は手堅さに定評があり、
可変戦闘機分野では、主力機の座を数代にわたり獲得するほどの「石橋を叩いて渡る」堅実さである。だが、レビル将軍は素直に『現有機の強化発展』という
要素に足りなさを感じたのか、こう言った。
「コスモタイガーの発展型というのは無難だが……そうだな。VFのようなオプション装備などに匹敵するインパクトが欲しいな」と。
彼は可変戦闘機がどんどんオプション装備が充実し、ついには3段変形を阻害しないように改良された「アーマードパック」、大気圏内でも使える「トルネードパック」が実用化されている事を
鑑みてそう言ったのだ。これに担当者らはガックリとしたとか。それを好機と見た第二グループが提出した案は名機「ブラックタイガー」をリニューアルしたような案であった。
「これはブラックタイガーの後継機かね」
「はい。ブラックタイガーで問題とされた点を全て改良し、最新技術で発展させたものです」
第二グループにはゼネラル・ギャラクシー社が一枚噛んでおり、旧・ハービック社らがブラックタイガーを改良発展させた案として完成させた。
技術偏重傾向があるギャラクシー社が関わった機体にしては珍しく「普通」である。ナイトメアプラスが採用されたおかげであろうか。
第3グループと第4グループのそれはあまりにも奇抜すぎてレビル将軍らに引かれてしまった。何故か。形がかつての高速爆撃機(試作のみ)X‐70が造られる時に出された
当初案を想起させるものだったり、斜め翼であったなどの要因で「実用性に欠ける」とダメ出しされたため、没となった。最後の第5グループは旧・フランス軍のミラージュを思わせる、
「まともな」デルタ翼の機体であったので、検討が続けられる事になり、この3つから決定されることとなった。
こうして計画第二段階へ生き残った3つの案はモックアップや試作機の制作が認められたが、第一案の「コスモタイガー後継機」(仮称CTV)が受けがあまり良くなかったを聞いた第一グループの設計陣は設計の修正を大急ぎで初め、
機能を変化させられる各種装備の充実の方向に舵を切った。戦闘用途以外にも使える装備も制作がなされ、やがてそれは「コスモパルサー」として結実する。
第二案は「コスモファルコン」として日の目を見、それぞれ第3案の機体とぶつかり合うことになる。そして……ギアナ高地にそのテストパイロットとして過去の世界から招聘された
一人の男が着任しようとしていた。その名は「大鷲龍介」……。
−あとがき
コスモパルサーが採用される過程で、当然ながら競作はあるだろうということで「2199」のコスモファルコンをコスモパルサーの競作機として出しました。
ブラックタイガーがあそこまでかっこ良くリメイクされるとは正直、思いませんでした(笑)
そのテストパイロットは…。
それではやっと落ち着いたので、この場を借りてウェブ拍手へのお返事を致します。
[1]投稿日:2012年03月19日0:33:4
無茶言うべきか無謀というべきか……クロスさせる作品多すぎだろw
せめてロボット作品とロボット作品みたいにジャンルを統一させないと読者の方が混乱しますw
ですが文章は中々なのでこの先をどう処理するか、楽しみにさせてもらいます
>>どうもありがとうございます。多重クロスの限界に挑戦してみた次第です。某所で出来なかった事をなんとかやり遂げたいですね。
[2]投稿日:2012年03月19日2:37:43 RNA
シルフェニアに移動できましたか。良かったですね。もうこの名作が読めなくなってしまうんじゃないかと自分も嘆いておりましたが、復活できて何よりです。これからも応援しますのでがんばっていってください。
>>お久しぶりです。pixivと迷いましたが、最終的にここにしました。ここでなんとか第二部を実現させたいと思います。
[3]投稿日:2012年03月19日10:36:50 桜花聖人
移転していたんですね。もう二度と見れないと思っていました。
内容は以前と変わらない見たいですが、初期の何話かをまとめて一つの話にしていますね。これからもお願いします!!
>>お久しぶりです。再構成してあるので、ちょっと違うかも。これからもよろしくお願いします
[4]投稿日:2012年03月19日17:9:9 ソロモン守備隊
お久しぶりです。にじファンでは毎回読んでおりました、こちらでまた読めることに感激しております。
>>どうもお久しぶりです。なんとか再開できました。今後ともよろしくお願いいたします。
[5]投稿日:2012年03月20日13:57:27 シーラカンス
にじファンでも読んでいたので、連載を続けてくれる事になって
うれしいです。こういった多重クロス物、特に異世界人が現代文化
を知るというのは好きなので、今後もがんばってください。
>>どうもお久しぶりです。なんとか続けていきたいと思います。
[6]投稿日:2012年03月21日20:48:57 きむらたかし
無事追跡中。
>>お久しぶりです。再開場所を迷いましたが、ここにしました。心機一転、改めて今後もよろしくお願いいたします。
[7]投稿日:2012年03月27日2:34:4
一見するとカオスな題材なのに、スラスラと読ませる文章力があり、意外とまとまっていることに驚きました。
正直、タイトルで損をしているように思えます(笑)
>>初めまして。なんとか破綻しないように苦労しております(笑)。一応、話の根幹にドラえもんがあるので、タイトルは大長編ドラえもん風です。
多重クロスは地雷だとよく某掲示板などでは言われてますが、なんとか成立させたいですね。
[8]投稿日:2012年03月27日14:32:17 ゼロン
にじファンからなくなってしまいもう読めないのかと思ってました!! これからも頑張ってくださいpsガンダムooとボトムズも出してください<スト魔女をからめて>
>>どうも初めまして。00とボトムズについてはボトムズは未見のためできません。
今のところは00なら出来ないことはありませんが、全話みたわけでは無いので……。