宇宙戦艦ヤマト編その10『大地球』


――宇宙戦艦ヤマトはダイ・アナザー・デイには従軍していない。ちょうどその頃には大規模近代化改修に入っていたからで、偽装のため、第一線から外れていた。その間隙をグレートヤマトが埋めたわけである。オリジナルの宇宙戦艦ヤマトとは別個体になるので、別々の地で極秘に滞在していた。オリジナルの宇宙戦艦ヤマトが小惑星イカロス基地での近代化改修が予定されたため、艦隊から離れて練習戦艦として扱われていた頃、その後継者たるグレートヤマトは日本アルプスのドックに停泊していた。地球連邦が23世紀に入ってから揚羽コンツェルンの出資で整備したドックで、ある人物の秘密を守るためもあり、オリジナルのヤマトと離れた場所に停泊していた。初代ヤマトの初代艦長であった沖田十三である。意識をクローンに移植する形で生き永らえた沖田十三は30世紀世界のアースフリート司令長官に任ぜられ、地球連邦宇宙軍元帥の地位にある。23世紀の古代進らと会う時間軸には達していないため、別のところで過ごしていた。この時間軸の自分が元々の肉体の回復手術を終えたばかりなのもあり、混乱を避けるためであった。

――Gヤマトの艦長室――


「沖田くん。土方君の墓参りは済ませたかね?」

「はい、藤堂総長。(藤堂平九郎はアースでは生粋の軍人で、この時期にはゴップの後継的地位にあり、軍令部総長である)」

「この時代の君の肉体の回復手術を終えたばかりで、意識をクローンに移植された後の君と会話するとはな」

「ヤマトがワシを必要としているのなら、老骨に鞭打っていくつもりです。火星軌道沖海戦で死んだ倅のためにも、土方を弔うためにも」

沖田十三はアース、ガイアの双方がガミラス帝国との戦争の際に軍の少佐/三佐だった実子を失い、その後でその妻が自殺したという過去を背負っている。また、実子の戦友だった古代守を実子のように可愛がっていたのも共通している。アースでは守が生存し、サンザーイスカンダルの王配になった事を嬉しがり、その弟の進から父のように慕われていることも自覚していた。そのため、古代進を育ててから隠居しようと考えているという。ガイアではアースとはまた違う病が蝕み、余命宣告もされかねないほどに悪化している。よく似た同姓同名の人物程度の相似だが、同じ名の艦の艦長になるという運命を背負うのは因果であった。この頃、オリジナルの宇宙戦艦ヤマトは真田の指揮で呉宇宙軍港で練習戦艦として停泊しており、各地に散っていたクルーの召集をかけているところであった。そこから離れた場所にヤマトの後継者が隠れているとは思うまい。

「揚羽コンツェルンのドックを提供してくれてありがたく思っております。これならアルカディア号やクイーンエメラルダス号も入る」

「元々はバトル級やマクロス・エリシオン級の複数整備を見込んで、コンツェルンが建設していたのを口説き落として、軍が正式な使用権を得たものだ。機密指定しておるから、真田くんも知らん」

艦艇の規格は基本的に23世紀に制定されてから30世紀に至るまで変化がなく、共通である。そのため、30世紀の700年前にあたる23世紀のドックに停泊できるのだ。また、アースフリートは30世紀には活動の主体を地球から離れた星系にある若いスーパー・アース型惑星『大地球』(ビック・アース)に移していたため、地球本星の駐留軍は縮小されている。イルミダスに地球が一時占領された際に軍部や政府中枢が逃れた、とある星系の第三惑星。その惑星は地球より若く、大陸構成も地球と同じようなものである偶然により、臨時首都という形で機能し、30世紀には地球連邦の事実上の首都である。その惑星は23世紀当時には未開拓とされる航路に位置し、逃避行の過程で発見された。渦状腕の外に有った星系で暗黒ガスに包まれていたので、23世紀当時の観測技術では発見に至らなかったのだ。無論、イルミダスはその惑星を攻撃する計画を立てていたが、その前に地球で目覚めたゲッターエンペラーに根こそぎ駆逐されていったというのが実情である。

「君達が30世紀に拠点とする大地球だが、どこにあるのだね」

「銀河平面からは視認しにくくマゼラン雲(銀河)方面から微かに観測出来る程度のところ位置する若い恒星系の第三惑星です。言わば、人間が発生しなかった地球とも言っていい進化を辿った星です。これがその写真です」

「馬鹿な、日本列島だと」

「はい。陸地の分布は21世紀当時の地球の分布そのままですが、サイズは違います」

大地球はサイズが大きいが、居住可能地域は自転の遠心力の関係で広くない。その中に辛うじてだが、日本列島相当の列島が含まれており、『大日本列島』という洒落も兼ねた地名になっているし、日本列島がそのまま大きくなったような地形である。大地球は元々、『ガミラスは移民候補地に上げたものの、サイズが大きすぎて環境改造の手間がかかりすぎるので放置していた』サイズの惑星だが、なんでもいいから安住の地が欲しかった地球連邦が移民を強行した。赤道から2/3くらいの緯度くらいがそのままの形で居住可能とされたが、当時の改造技術で30世紀までには居住可能地域はなんとか広がっている。目覚めたゲッターエンペラーが移民後に地球を奪還したため、大地球は対イルミダスの拠点とされた。

「この惑星は元々はイルミダスという強大な国家に敗れた地球の徹底抗戦派が移民したのが始まりですが、究極にまで進化したゲッターロボ、ゲッターエンペラーが地球占領軍を容易く殲滅したので、軍事拠点になったのです」

「究極のゲッター……」

「奪還した地球を待っていたのは、占領軍に媚びていた者を糾弾し、私刑を行う光景だった。生存するために媚びていた者もいたので、結局、大地球に逃れていた者たちが主導権を握ったのです」

大地球はイルミダスへの徹底抗戦派が移民したため、30世紀には事実上、地球連邦内で実質的に本星に次ぐ地位になっている。イルミダスはゲッターエンペラーを恐れるが、それはどんな攻撃でも傷一つつかない防御力、惑星だろうが、恒星だろうが、星系だろうと消滅させられる攻撃力をゲットマシンの段階で有するからである。また、Gヤマトは地球に残っていた徹底抗戦派が生み出した何代か前のヤマトの技術を叩き台に、初代ヤマトをベースにして発展させた戦艦である事も告げる沖田。

「30世紀までに、地球は何を経験する?沖田くん」

「繁栄と成熟と言う名の停滞、分裂からの戦乱、奪い去る者の襲来、皇帝の目覚めです」

「それがイルミダスだと?」

「そうです。彼らの暴力と奪う意思は地球の浅間山で休眠していた真ドラゴンの進化系『ゲッター聖ドラゴン』を復活させ、それと火星に眠った真ゲッターロボとの融合進化を起こさせ、玉座に座った。皇帝はこの宇宙を救うために生まれたのです」

「宇宙を救う?」

「ビック・リップ仮説をご存知で?」

「宇宙の終焉の一形態として、21世紀から研究されているものだったな?」

「25世紀の終わりからその兆候が現れ、27世紀頃にはいくつもの恒星系が引き裂かれるように消えていった。イルミダスは別の宇宙に逃れる手段はないため、その技術を有していた我々を狙い、本土占領にこぎ着けた。だが、それが彼らを逆に追い詰める始まりだった」

イルミダスは銀河100年戦争後の停滞期にあった地球に軍事力で優越していたが、ゲッターエンペラーの誕生で一夜にして逆転され、遂には本国のある星系が攻められて青色吐息の状態にあると沖田は言う。

「では、皇帝は宇宙を若がらせ、安定に戻すために地球とそれに味方する者達を闘争に駆り出すと?」

「それがゲッターロボとマジンガーの意思だそうです。ゲッターエンペラーは手を結べば、庇護しますが、敵対すれば星系ごと破壊する」

ゲッターエンペラーを目にして生き残ることは地球に服従するか、同盟関係になるかの二択である。それを受け入れるのはエンペラーの破壊力が理由である。ともあれ、ゲッターエンペラーはイルミダス、マゾーンなどの30世紀の敵と戦っている。そして、その時代の宇宙戦艦ヤマトこそがグレートヤマトなのだ。

「沖田くん、我々は何に備えるべきか」

「当面はデザリアムでしょう。彼らなど、ボラー連邦とディンギル帝国の前哨戦に過ぎないのですがね」

グレートヤマトは日本アルプスの地下ドックで待機する。ダイ・アナザー・デイのために。これから地球に迫りくる脅威を口にし、注意を促す沖田。23世紀の戦乱期は何のために存在し、ゲッタードラゴンを祖にする『皇帝』が目覚めるのか?その未来は宇宙を救うための戦であるとは、ゲッター線は示唆する……。






――こうして、グレートヤマトから提供されし情報と技術は23世紀の地球には有益なものであり、ゲッタードラゴンの進化が早まったのもそれが原因である。そして、黒江たちの行動原理もその未来を『前提』にしてのものである。それ以前に、自分達がウィッチ社会で再び居場所を得るには、絶対的なまでの戦果を必要とするからだ。上層部が認めようが、現場は認めない(現に、着任後に内紛が起こった)。なら、居場所を作り出せばいい。圭子が導き出した結論がそれだ。Gウィッチはウィッチの守護者として期待されつつも、実際は衝突が待っている。そのために圭子はゲッターの使者としての面も出し始め、黒江も聖闘士に加え、サムライトルーパーとしての力に目覚める。また、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケに西住まほとしての自我が眠っていることを示唆するエピソードが報告され、坂本にそれの覚醒を促すように指示を出す。坂本もミーナとの前史のゴタゴタでミーナに苦い思いを抱いたのは事実なので、黒江の指示に従う。こうして、ミーナ覚醒への道筋がつけられたのだが、ミーナ当人は自分の中にある自分でない記憶に恐怖し、覚醒が遅れる。その遅れがウィッチ間の政治抗争を引き起こしてしまう。そのため、江藤が泥をモロに引っ被ってしまった形になり、それで武子に根に持たれ、しばしの間は使いっ走りとして、こき使われる羽目となるのだ――






――イスカンダル救援前の段階で30世紀の介入を受けた23世紀はそのメタ情報で軍備の強化に邁進しつつ、30世紀からの客人を匿う。ゲッターロボGの量産も30世紀人の思惑通りであり、23世紀も30世紀からの介入を受けているなど、複雑な勢力間の思惑が入り混じっている。27世紀以降に地球が直面する事態は過去に介入を行うほどであるのだ。一般に戦乱期とされる23世紀だが、気概に溢れる時代ともされるので、26世紀からの停滞期を経た後の時代から理想とされる。ゲッターロボGは平行世界では悪のゲッターロボとしても使用されたが、ゲッターエンペラーの根源の機体でありつつ、戦闘用として量産に適した特性であったため、味方方としても量産される傾向にある。宇宙を安定化させるために多量のゲッター線増幅炉を必要とした関係もあり、ゲッタードラゴンはマスペースに乗り、どんどん生産されていく。また、その上位に立つものとして、真ゲッターロボやゲッターロボアークは存在意義を見出され、やがて役目を終えた真ゲッターは皇帝の糧となるため、火星へ跳躍する。そして、数百年の月日に及ぶ眠りにつき、聖ドラゴンと融合進化をすることで究極のゲッターロボたるゲッターエンペラーとなる運命は初代ゲッターチームやドラえもんとのび太、レイブンズなどの限られた人間しか知らぬことである。23世紀の段階では、強力なスーパーロボットの一体という扱いの真ゲッターロボが皇帝の糧となるとは、23世紀の時点では想像を絶する事であるからだ。だが、その時点でさえ、真ゲッターロボはドラゴン以前と隔絶した性能差を誇る。ゲッタービーム一発でサラミス級巡洋艦の100隻ほどは最小出力でもぶっ飛ぶ火力であり、最大出力であれば、かのガンバスターのバスタービームすら押し返す威力である。また、真ゲッターにはパイロットの感応度が極限になると、神ゲッターロボというパワーアップを遂げるというものがあり、一時的にだが、ゲッターロボアークをも超える能力に達する。それを知っているため、真ゲッターロボに乗れるのは、ゲッターエネルギーとの親和性の良いパイロット(初代、二代ゲッターチーム)に限られると言う。また、竜馬と號のみが神ゲッターロボへの変化を起こせるのもあり、この二人はゲッター1固定である。二人がゲッターロボに愛されし者であるのがわかる。(『ゲッターの御子』そう呼ばれるパイロット達はゲッターロボの限界性能を超え力を振るう事が出来る。その御子達によって第3世代(真の名を持つ機体群)以上の機体を『神モード』で運用する事が可能となる。流竜馬、一文字號、流拓馬が該当する)





――この頃には新たなGウィッチの候補も新規に探されており、扶桑海事変後世代では、中島錦がその候補に入っていた。(錦の転生前の候補として、エウレカセ○ンの主人公、プリ○ュア5の主人公のキュアドリーム/夢原のぞみが挙げられていたが、それを入れると、501の人員のかなりとなのはとフェイトに至るまで、その可能性に当てはまるために、黒江はあまりその可能性は考えていない。その可能性を考えてはいたが、キリがないとしているからだ)しかし、可能性としてはあり得る事には変わりはない。黒江はかなり苦笑い気味に智子にその可能性を漏らしている――


――ネイサー基地の休憩室――

「その可能性はあり得ないとはいい難いわよ?」

「馬鹿言え。そうだとしたら、かなり当てはまりそうだぞ。シャーリー、宮藤、ミーナ、ペリーヌ、なのは、フェイト……」

「で、この子がどうかしたの?」

「竹井が送って来たデータによると、候補者で、やつの部下だそうだ。中島錦。ハルトマンと同世代の野郎で、前史で俺に突っかかったガキだ」

「あ、ああーー、あたしにも喧嘩売ってきたあの威勢のいい子供ね。で、あの子の見立ては?」

「エ○レカセブンの主人公か、キュアドリームだそうだ。冗談かと思った」

黒江は竹井との電話で『お前、冗談抜かすのも…』と言ったら、『私が貴方相手にジョーク飛ばすタマですか?』と返された事を智子に漏らす。竹井は生真面目で、坂本と違い、ユーモアセンスが有るとはいい難い堅物なので、黒江相手でもズバリという。一家が子孫の代まで一貫して職業軍人である家柄なので、竹井は気質としては堅物に分類される。

「あいつ、海軍出身のくせにユーモア解さないないんだよな。珍しく」

「父親が厳格だった影響かも。女遊びもしない堅物だったというし、あの子の親父さん」

昭和20年以前、成功した男は女遊びをするのが定番で、山本五十六も愛人を持っていたことは語り草である。竹井の父はその風潮があった時代には珍しく、正真正銘の愛妻家かつ、女遊びを一切しない海軍軍人であった。その父の教育か、竹井は成長後は堅物として通っており、彼女を怒らせても無事でいられるのは目上になるレイブンズくらいであった。しかし、先輩たちに『真面目すぎ』とされ、あまり遊びに誘ってもらえないのが玉に瑕で、地味に気にしているという。

「あいつ、気はいいんだが、堅物だから遊びに誘える雰囲気じゃねーんだよな」

「あの子が落ち込むわよ。あの子、あまり目上がいなくなったから、誤解されるとか愚痴ってたし」

竹井は45年当時は古参になり、あまり上がいない立場である。気苦労も多い。11歳に若返るのを選んだのは管理職に疲れたのが本音らしい。管理職は竹井の目指したものだが、いざやってみると気苦労が多く、気ままな勤務を許容されたレイブンズを羨ましがっている身である。竹井は本来、かなり可愛い性格で、坂本を美緒ちゃんと呼んでいた過去があるほどだ。しかし、外聞上の都合で表に出せなくなったのもイメージの固定化に一役買ってしまい、先輩の黒江にも堅物と認識されるに至った。

「そっか?」

「ガキの頃は結構可愛い言葉づかいだったじゃない」

「転生してたから、かなり無理してる感あったけどなー」

演技力がプロの黒江はこの言い草だが、演技力が竹井は低いので、当時の幼い言葉づかいを用いるのは抵抗感があり、肉体の若返りを待たないとならないが、それはそれで不評だったので、ロスマン枠を狙うようにシフトする未来が待っているのだ。

「あんたはあんたで、調を演じた期間が数週間あったから、切歌が暴走したんじゃない。あんた、素だと俺って言うでしょ」

「あれは素に切り替えて、わからすつもりだったんだ。結局うまく行かなかったけど。で、話を元に戻すけど、このガキがプ○キュアの転生なら、シャーリーと宮藤が愚痴るような…」

「一応、あの子達、広報で声優の代役した事あるもの。仕方ないわよ」

黒江と智子がいったのは、広報の仕事でその二人がつい最近に日本でアフレコに挑戦したら、声質が酷似していたとかで、そのままその回のアフレコに参加させられた出来事のことで、そのアフレコ現場がプ○キュアのアニメだったのだ。

「あとで二人に言っとくか?」

「まだいいわ。話したら、なんかぶーたれそうだもの」

智子の判断でその場では見送られた錦のG覚醒の可能性への言及。智子も確証がないからという事で見送ったが、それを考えると、当てはまりそうな人物はランカ・リーにも及ぶ可能性があるため、慎重を期す必要があったからだ。ただ、この後の調査でその可能性の増大が報告されるに至り、黒江達は旧友の平成ライダーである、仮面ライダーディケイド/門矢士の助力を得る事を選ぶ。ただし、門矢士はかなりの曲者なので、本郷猛が出向いて説得する必要もあった。さすがのディケイドも昭和ライダーの筆頭たる本郷猛には敬意を払うからである。また、ディケイドはその特性上、派生世界にも行けるために調査にはうってつけだった。

「士に連絡取ろうぜ。プリキュアまで候補になったら膨大な並行世界を調べねーとならんし、基本世界には行けねぇからな」

「圭子が士のとこに行くって。本郷さんがついていくそうよ。だいたいの時間軸はあの子が予測してるっていうし」

「士は今どこに?」

「元・大ショッカーの首領だし、あちこち放浪してるのよ。もしかしたらその関係かも」

門矢士の力であれば、候補を見つけられると見込んだ黒江達。次元世界は広大であるため、プリキュアのいる世界もあるはずで、士なら赴ける。だが、一つ問題がある。ストーカーである鳴滝の存在で、黒江達も『うっせえディケイドストーカーのおっさん』と認識している。彼の目的は不明であり、ディケイドの介入でその世界の結末が変化する事を望まない意志のメタファー的存在であるとも、はたまた仮面ライダーという存在が忘れ去られ、怪人と同列視され、破壊の権化になるのを恐れる存在であるともされる。しかし、行動に一貫性がないこともあり、それが謎となっている。

「あのおっさん。目的はなんなのかしら」

「本郷さんもわからないと言ってた。行動に一貫性ねぇしな。ただ、士を憎悪してるのだけはわかるんだが、スーパーショッカーの幹部になったり、組織を潰させたり、一貫性が無い。どういうことだろうな。あのおっさんがいつものように喚いたら、ケイにゲッターマシンガン撃っとけと言っとけ」

ディケイドの行くところ、鳴滝あり。そのことは認識しているので、彼に対しては前史の経験もあり、辛辣である。『ディケイドのせいだ!』、『おのれディケイドぉ!』はもはやお馴染みであるが、転生済みのレイブンズは聞き飽きているので、この対応である。彼は徒に事をややこしくする存在でもあるからだ。それが士に頼る上でのリスクであり、一号ライダーの依頼書を圭子が持参するのは、彼があれこれ触れ回るのを防ぐためであるという智子。

「うまくいくか?」

「あのおっさんも本郷さんの手紙見りゃ大人しくなるわよ。まあ、錦の前世がわかれば、それに越したことはないわ。もし、竹井の予測が当たったとしても、その世界から『それ』を連れて行くと、現地がどんな事になるか。錦が覚醒して、その力で変身できればいい。そうすれば、混乱は起きないわ。もっとも、芳佳、シャーリーもやるかもしれないけど」

「あいつら、乗り気だったしな」

ネイサー基地で話し合う二人。イスカンダル救援前の時点で門矢士に連絡を取り、協力を依頼するのは錦の可能性がどれに転ぶかわからなかったからでもある。また、芳佳とシャーリーがノリノリでやるかもしれないとも言及するあたり、錦の前世は、あるプ○キュアの可能性のほうが有力と見込んでいた証でもあった。



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