ドラえもん のび太とスーパーロボット軍団 第二部
――2016年度の日本と扶桑の統合後も、扶桑皇国は軍事にケチをつけられるのは続いた。災難だったのは、空母機動部隊だった。連邦樹立時には空軍が発足した後であり、空母機動部隊の搭乗員は錬成途上の新米か実戦の経験がそれほどない若手が中心だった。これは空軍が発足した際に、『有事には空母機動部隊に戻すつもりだったベテラン』が空軍に移籍したからで、海軍航空隊は艦載機の更新も途上であった不幸もあり、日本の野党議員らからケチをつけられていた。扶桑皇国では、ウィッチが空母機動部隊の主戦力とされていたため、通常艦上機の整備は遅れていた。地球連邦の大きなテコ入れがされて、三年目にあたる46年度でも、九九式艦爆と九七式艦攻が艦によっては現役だった。これは天山も超えて『流星』を生産しようとしたための生産設備の改変や、彗星が空冷になったための混乱によるものでもある。更に、日本側から『防弾の充実』という設計要求も突きつけられた結果、天山を飛び越えて流星を生産しようとした結果、大型正規空母を含めた動乱経験の艦以外は『零式五二型』と『彗星』/『天山』すらない艦も当たり前だった。
――未来世界がデザリアム戦役中である頃の扶桑皇国――
「日本の野党議員の対処には参るよ、山口君」
「山本大臣、彼奴らは何を考えておるのです?」
「彼らは混同しているのだ。自分達の知る日本帝国海軍とな」
山本五十六が言及する『厄介事』。それは日本の左派マスコミや政治家、市民運動家のネガティブキャンペーンであった。日本では、45年次の米軍は既にジェット機の量産配備が進められていたという記録があるため、それをもとに、『扶桑皇国海軍航空隊はでくの坊』、『烏合の衆』と書き立てている。そのため、新型艦の建艦運動まで起こった。実際には、リベリオン軍も空母機動部隊に最新鋭機が充分に行き渡ってはおらず、ダイ・アナザー・デイ作戦で痛手を被った事から、F4Fの駆逐には至ってはいない。ネガティブキャンペーンでは、記録上は主戦力とされるベアキャットやスカイレーダーの高性能が並べ立てられており、扶桑の零戦との性能差が強調されている。実際には烈風/紫電改がレシプロ機での艦上戦闘機主力になり始め、高性能ジェット艦上機であるF-8/F-4Eも載せられ始めているのが実際の状況だ。さらに言えば、連邦軍から購入した超大型空母には、F-14改やF/A-18E/Fが並んでいるのだ。
「山口君、そろそろ連邦軍から買ったスーパーキャリアを見せるべきだよ。あれなら21世紀時点でも第一線にいる機を載せている」
「よろしいのですか?」
「小沢君や岡田の爺さんの承諾も得た。あれには訓練中の64の主力の一部がいるはずだな」
「ハッ。手配いたしましょう」
それから数日後、デザリアム戦役に出征中の者の一部が一時帰国したのを見計らい、日本の議員とマスコミ向けのお披露目が行われた。その艦は当時にはありえない艦容と言える巨艦で、アングルドデッキと電磁カタパルト装備の『戦後型大型空母』そのものだった。艦載機も時代を無視しており、21世紀初頭時点の米軍空母とほぼ同じものだった。違うのは、国籍マークが日の丸であり、尾翼に旧陸軍式の部隊識別標識が入っている事である。更にガンダムのコアファイターもしれっと置いてある。その運用部隊が生え抜きの空母艦載機部隊ではなく、元陸軍の最精鋭と鳴らした『加藤隼戦闘隊』が担っているのも驚かれていた。
「何故、空軍部隊が空母に?田舎海軍のドイツじゃあるまいし」
「空母艦載機部隊は、空軍設立の際のゴタゴタで人員の引き抜きが成されましてな。今すぐに第一線任務をこなせる空母艦載部隊は皆無となりまして。そこで統合任務部隊編成で、空軍部隊を載せているのです」
空母艦載機部隊は空軍設立の際に大きく弱体化し、その埋め合わせとして、空軍部隊を載せている艦は全体の9割に登った。64Fは一線級の構成員の全員が連邦による再教育で空母着艦技能/夜間飛行技能ありに育成された上、元から撃墜王である。それもあり、アピールにはうってつけだった。更に、海軍生え抜き部隊と異なり、機体に派手なノーズアートがなされているので、プロパガンダ向けであった。M粒子の登場している状況下では、ステルスの有効性が下がり、有視界戦が当たり前である事、それでの誤認を避けるためもあり、ノーズアートは歓迎されている。また、新64Fは陸海双方の精鋭を集めたため、特に陸軍出身者に、前所属部隊の識別塗装のままの者も多い。生え抜きの64F(旧当時の在籍者)の所属者は『操縦席下部の赤鷲マーク』と垂直尾翼の斜矢印』(レイブンズと武子などの『新撰組』陸軍系幹部含め)、50戦隊から引き抜かれた者は『電光』、『スカルボーン』の第29戦隊出身者、『八咫烏』の17F出身者など、多種多様である。更に、個人の特別塗装も許容されているという寛容ぶりである。生え抜きの海軍部隊ではないのと、M粒子散布下で戦う故に存続した文化である。日本のマスコミや議員はこれに肯定的な反応を示した。旧海軍式の簡素な識別標識よりも、彼女らのド派手なそれが『洒落てる』と好評だったからだ。21世紀世界では式典用の特別塗装でもなければ、64F機のような派手な塗装は成されない事が多いためもあり、余計に好評だった。お披露目では、一時帰国した武子がF-14改を駆ってのデモフライトを披露した事もあり、日本のマスコミや政治家の批判の波は一気に引き始めた。トムキャットとライノを太平洋戦争で用いるということの意味を悟ったからだろう。更にコアファイター、コアブースター、コスモタイガーU、VFシリーズと言った機体のデモフライトも行われ、日本のマスコミ/議員は完膚なきまでに押し黙った。(ニュースを聞いた空自のパイロット達は『俺らもあれ乗りたぁ〜い!』と嘆いたのだった)扶桑皇国の切り札といえるそれの派手なお披露目は空自の現場をあらゆる意味で震撼させた。扶桑皇国のジョーカーが未来の超兵器である事は、日本防衛省の背広組が抱いていた『優越感』を完膚なきまでに打ち砕いたのは言うまでもない。VFも初代の『VF-1』ではなく、最低でVF-11以降の次世代機であったためもあるが、VFは米軍機に通じる姿であるので、ニュースを聞いた米軍人からも好評であり、体験搭乗の依頼が米軍部隊から殺到したほどだ。日本防衛省の現場寄りの制服組からは『未来じゃどこまで生産が実現してんの?』という質問が飛び、『デルタ世代が現れ始めたとこ』と回答がくると、何故か玩具メーカーが大喜びしたという。64Fは特別に装備が恵まれているので、23世紀地球連邦軍でも最新鋭機が配備されているが、他部隊は練度別に供与される機体が割り振られている。練度がそれほどでないと、VF-1EXである。また、熟れてくると、元・局地戦闘機部隊であった場合はVF-4やVF-5000が供与される。また、VFに慣れた部隊であると、連邦軍と共通のVF-11/VF-171が供与される。また、エースが出てきた場合は必要に応じて、VF-17が与えられる。AVF以降の機体は最精鋭である証だ。そのため、今回においての扶桑軍は未来兵器を早くも戦略に組み込んでいた。これは前史で秘匿していたがため、501で軋轢と使用機会が数える程度だった事への反省だった。今回は大っぴらに未来兵器を使おうと結論がなされたため、ミーナも坂本と竹井が教えたおかげで、赤っ恥をかくことは無かった。これにより、カールスランド空軍は技術の優位性を喪失した(扶桑がVFを全部隊で使用するため)形となり、ジェットの試験部隊であった『ハルプ』はお通夜となった。中でもウルスラ・ハルトマンの落胆は凄いもので、ダイ・アナザー・デイ作戦などでの戦闘データから、『ジェット同士がぶつかりあれば、ドッグファイトは当たり前に起きる』事が示されたためもあり、しばらく研究が手につかないほどだった。実質的に地球連邦軍の現地軍という形で落ち着いた扶桑軍と違い、G機関所属のGウィッチ以外は未来兵器の使用権を持たないカールスラントでは、扶桑空海軍が未来兵器を使用するようになるための存在感の埋没を心配したが、ラルとガランドは意に介さなかった。それはカールスラントは太平洋戦争においては、自国の潜水艦や三軍の人材を各国に供給する立場が主になることを知っていたためだ。
――お披露目が完了した後――
「現金なものですな。日本のマスコミは」
「日本人は、自分達の作った兵器が欧米から見て『二流』だったというトラウマがあったと聞く。特に、B-29に自前の航空戦力が無力であったとするトラウマを持つのだ。我々のレシプロ戦闘機では例え、排気タービンを持っていようとも、『史実』の結果を基に、がなり立てる。ならば、彼らの時代で一流とされた機体を使って見せればいい。それも彼らが頼っていた国のモノをな」
山本は、時代を30年ほど先取りした機体の生産と使用の理由を山口に話す。日本向けのパフォーマンスも含まれるが、米の軍需産業とパイプを築くためもあると。実際、機体設計などはアメリカの援助によるモノで、それを23世紀水準の技術力で作っている。アメリカはリベリオンと扶桑の戦争には局外中立のスタンスであり、双方の間をうまく立ち回っている。扶桑は日米安保の対象に成り得るが、同士討ちに成り得ると判断したアメリカ大統領の命令もあり、企業はティターンズ側よりで、政府は中立と言った立ち位置を保っている。そのため、扶桑とリベリオンの戦争を長引かせる事を目論み、ティターンズ側に協力する企業も多い。
「まぁ、次の戦争は『勝てはしないが、負けはしない』戦争にしよう。我が国の国力では、頑張っても、西海岸の一時的な占領が精一杯であるからな」
「ウィッチ資源はどうなりますかね」
「黒江君の記憶によれば、終結までに資源は限界になるそうだ。うまくいって、64Fを維持できるだけの消耗率になるだろう。今や、ウィッチに昔日の優位はない」
山本はウィッチの終戦までの消耗率を80%と見込んでいた。兵器が急激に進歩し、ウィッチの優位性が薄れたのを知らないウィッチは多い。航空ウィッチは人数の少なさから、一年ほどで100人ほどが負傷するだろうと見込んでおり、実質的に大戦を通して、宛になるのはGウィッチのみである。また、新規志願数と確保可能な年齢層の減少から、実質的に実働部隊と成り得るのは数部隊ほどだろうという最悪のシミュレーション結果も出ている。その事もあり、今回は必然的にGウィッチにあらゆる『特権』を与えるを得ない。また、この大戦でウィッチを集めても、『次の次』である第二次扶桑海事変の志願組のように、定年まで軍に在籍し得ないともシミュレーションされている。その事も、山本がウィッチの新規募集に消極的な理由となっていた。Gウィッチの増長を抑えるため、新規募集をかけるべきだと現役世代から進言されたが、山本は第二次扶桑海事変で表面化するであろう軋轢を考え、46年度の新規募集はしなかった。二次事変組の多くは大戦経験組と問題を起こし、大半が事変終結と同時に退役している。その事を聞かされたことも山本の行動の理由だった。
「数年は年齢調整で学校の募集のみだな。未来でデザリアムとの戦いが終わる頃には再開出来るようにしておきたまえ。また、64、244、50、47、旧六〇一の優遇は俺がY委員会に承認させておく」
「分かりました」
「おそらく、今度の戦で使い物になるウィッチ空戦部隊はその五つだけだろうからな」
山本はGウィッチの数の問題から、その五つの部隊のみが実戦に耐え得ると判断していた。他の部隊は『いないよりはマシ』と考えるあたり、山本はウィッチの現況を冷静に見ていた。501での問題は国内でも充分に起き得るため、Gウィッチの数は64Fにその7割を集約させている。そのほうが円滑に運用できるからだ。
「64は思い切り最前線で使い給え。黒江君のためにも、それが良いと、源田君からも進言されておる」
「そうですな。戦間期に問題になりましたからな、あの娘の事は」
山本は1937年から自分の腹心としている黒江の事を気にしていた。山口も飛龍から事を聞いており、戦間期の事件の謎が解けた。黒江が戦間期に何故、鬱病になりかけたのか。それは単純な事だった。いじめ以外に、前史で負った心の傷が『記憶の封印状態』であっても作用したせいだった。黒江は新見の推測通り、何処かで戦わないと、精神の安定を保てなくなっているのだ。戦間期に赤松と若松が上層部に『ボウズ(童)を欧州に送れ』という趣旨の進言をし、江藤を介して実現させたのもそれが本当の理由だった。
「しかし、ある意味で言えば、心の傷を持ったまま人生をやり直すというのは可哀想な事ですな」
「黒江君は、レイブンズでは最も純粋かも知れん。加東くんがゲッターの使者になっても『戻ってきた』のは、黒江君のことを放ってはおけなかったからだろうし」
「やれやれ。あの娘は次の大戦が終わったら、私が身柄を引き受けましょう」
「頼む。俺はそこまで生きている自信はないからな」
山本は大戦終結まで生きれるか確証はないため、山口に黒江の事を託した。これは戦間期、黒江の記憶が封印される前の約束を守り、事件の際には黒江を擁護し、天皇陛下に事件を上奏した縁からの事だった。山本は飛龍から、黒江が『平和な時代には、その才能を持て余される』事を聞かされており、それを心配したのだろう。
「大臣、貴方はそれが……」
「俺は真珠湾攻撃の引き金を引いた人間だ。もし、他の世界で終戦まで生きていたら、東京裁判で裁かれたやも知れん。その人間に出来る事と言えば、自分が見込んだ若者達のための道を作る事だよ」
山本は他世界で自分が結果として、皇国の衰亡の道を決定づけたことに負い目を持っていた。黒江達の擁護者になったのは、それを長門から聞かされ、更に飛龍から聞かされたためだった。
「それと、デザリアム戦役で我々が出来ることは限られている。艦艇や人員を幾分、送ることくらいだろう。その手配は頼む」
「ハッ。飛龍に命じて、用意させましょう」
山本と山口はこの時点の扶桑軍の軍政と軍令の責任者として、パルチザンに便宜を図る事を二言で決める。山本はこの会談の直後、すぐに山口へ話したすべてをY委員会で決議させ、扶桑として公式に、パルチザンへ便宜を図る事を決済させた。それらは太平洋戦争に備えての人員育成も兼ねており、艦娘の多くが参戦する事となった。
――その頃、智子は変身能力で『バラライカ』の姿となっており、パルチザンを代表する形で、21世紀ロシアから援助を引き出すための交渉に出かけていた。ロシアは学園都市との戦争で大きな痛手を被った後であり、元の姿では交渉すら無理と踏み、バラライカの姿となり、時のロシア大統領と交渉に打って出る博打を売った。元々、ロシア語は第一次現役時代に習得しており、その辺は楽であった。更に『バラライカ』としての火傷の痕がある強面もプラスに作用した。
「我が国に貴軍への援助をしろと?」
「学園都市に負け、大国としての面子に再び傷がついた以上、国連の常任理事国として、良い汚名返上の機会と提案いたします、閣下」
バラライカ。本名はソーフィヤ・イリーノスカヤ・パブロヴナ。元はソ連軍将校で、アフガン帰還兵である。漫画ではソ連崩壊時に軍籍剥奪がされてしまい、部隊ごとマフィアに転職したとされている。智子は他の二人と違い、演技力は低いので、完全には成り切れていないが、雰囲気で押す戦略を取った。
「我々はどうせ『また負ける』のだろう?それと分かった以上、国連に義理立てする必要はない」
ロシア大統領は学園都市に無様に負け、そう遠くない未来での『敗北』を諜報網で知ったためか、国連の後身とされる組織への援助を渋った。バラライカ(智子)はここで一つ目のカードを切る。
「この国の同位国に援助の手も差し伸べず、にですか?」
「確かに我々は同じ立ち位置だが、すべてが同じというわけではない。我々はロマノフ王朝が生き残った世界の国であるオラーシャではないのだ、少佐」
日本が同位国に親近感を抱いているのと対照的に、オラーシャへロシアは同位国という縁にも関わず、冷淡だった。ソビエト連邦だった時代を経ているため、旧帝国への思慕が薄れている(観光に王族を利用できなくなった事は嘆いているが)のが分かる。
「別世界で生き残っているロマノフ王朝を見殺しにすれば、貴国は同胞にも冷酷非情とレッテルを張られますぞ。非人道的暴力組織の傀儡国家に対する反攻作戦への支援、貴殿方政府の正当性の証明には持ってこいの話ではありませんか?それに、『次の敗北』を起こさせない手段は一つ。貴国が歴史を書き換えればいい」
「歴史を変えるとは?」
「貴国の零落は日本に負けることで引き起こされる。日露戦争と学園都市との戦争の敗北を味わったのにも関わず、日本に敵対する道を選んだためですが、英国のように味方する事で復活した国家もある。なら、『味方』につけばいい」
バラライカ(智子)。第二のカード。統合戦争でロシアが敗北したことを変えてしまえばいいと、時のロシア大統領に囁く。大統領は将来の主導権を日本と英国だけに握らせるわけにはいかないとする感情と、子孫に強いロシアを残すため、提案に乗った。
――この会談の影響は統合戦争に及び、未来の状況が変わった。また、ロシアが統合側に変わった事で、アメリカは余計に哀れな状況となり、州ごとにバラバラとなってしまい、南北戦争より複雑な状況であり、カルフォルニア州、ニューヨーク(敗戦後はニューヤークとなる)州、ニュージャージー州、南部諸州が反統合同盟を担い、アメリカ連合国を復活させてしまう状況となった。そのため、統合戦争最末期は『第二次南北戦争』とも米では揶揄されている。23世紀でその様子を『観測』している黒江は歴史書の変化を上層部に報告した。黒江は二人と同じく、容姿を変えているが、今回は『トリエラ』の外見を取っている。黒江は情報任務ではトリエラである事が多く、戦闘任務用の幾人かと使い分けている。マリアと調は、当人がいる場合は使用を避けるため、箒が次点で使う。
「以上です」
「ご苦労。周囲の偵察を引き続き行い給え」
「了解」
黒江は現在、三沢基地の近くにまで来ており、周囲の様子を偵察していた。観測任務を終えたため、そのまま三沢基地に飛んだのだ。収容所はいくつか単独で開放(エクスカリバーを使った)し、その際にはイタリア人として振る舞っている。
「さて、三沢の中に入るか。表向き、統合戦争で放棄されたことになってるから、地上は偽装されてるはずだ。」
黒江は三沢基地の真の心臓部が地下にあると知っており、放棄されて朽ち果てている米軍の輸送機の残骸を模した入り口に入り、エレベーターに乗る。エレベーターは地下奥深くまでの直行で、ゼントラーディ軍の衛星軌道からの掃射でもびくともしなかった。その最深部は地下ドックと地下格納庫から直通の地下滑走路を有する大規模施設で、ラ號が海に通じる地底湖に造られた港湾設備でもやいを掛けていた。ラ號以外にも、主力戦艦級が数隻、アンドロメダU級(新造艦)があり、アンドロメダU級は艤装が終わったばかりの真新しい艦だった。
「アンドロメダ級だ。新造艦か?ここで新造していたのか」
アンドロメダ級は、ガイアヤマトのクルーからは自分達の地球での軍拡路線の目玉とされたため、『アース軍の誘惑の禍々しさと怖さ』のシンボルと捉えられて、やたら否定的に見られているが、アースにとっては一旗艦級戦艦に過ぎない。これはアースとガイアでは波動理論そのものが別物であるからで、アースのアンドロメダU級は、ガイアで計画された『前衛武装宇宙艦』とは外観以外に共通点はない。『偶々、新設計の艦の姿がアースの有力艦に似ただけ』というのが、ガイアのアース側への説明である。本当に、アースと同じ世界に戻る前、ガイアは『D級戦艦』を設計し終えていた。ガイアはヤマトを行かせる段階で新造するとしていたが、次元断層から戻った事と、アースとの接触で、ヤマトを発進させる意義は実は薄れてしまった。しかしながら、コンコルド錯誤の要領で発進させた。これはガイアの知るガミラス対策でもあった。それとD級を作りたかったためだ。ガイアヤマトクルーはアース側の波動砲が『次元波動爆縮放射機』と全く別種の兵器(ある意味、それより強力な兵器である、タキオン粒子収束砲である)である事を知らぬ者も多く(古代など)、それがアース側のアンドロメダ級を禍々しいと表現した理由でもある。アース側の軍備は概ね、ガイアの軍備拡張の理想像と言えるものだ。そのため、驚いたのはアースがそれを実現しながらも、敵に負けそうになったという事実だ。
「ガイアのヤマトの連中からは受けが悪いんだよな、偶然とは言え、同じの計画してたし」
アンドロメダはアースでは『精神性の退廃のシンボル』、ガイアからは『迷走する地球人の過ちのシンボル』と否定的に捉えられている。アプローチは違うが、いずれも否定的に捉えられるアンドロメダだが、アースでの設計陣は『人的資源の節約のための合理性の結果だ!』と釈明している。
「黒江大佐、こっちだ」
「おお、神宮寺さん、無事だったんすか」
「ああ、ワシは三沢でラ號の整備を兼ねて休養しておったから難を逃れた」
「あのアンドロメダは?」
「艤装の最終チェックのためにドック入りしていたU級の四番艦だ。まだ名前はついておらん」
黒江が外見を変えまくることは神宮寺は知っており、普通に応対する。神宮寺の言う通り、ドックにあるアンドロメダ級は竣工式が済んでいないし、命名もされていない『新造艦』だ。
「動かせるんすか?」
「人さえ居れば、な。アンドロメダ級は賛否両論だが、オートメーション化が一定程度されているから、人数が増えたU級でも操艦そのものは数十人でも出来るが、バックアップ含めれば、数百人は欲しい」」
「あのドレッドノート級は?」
「こいつの輸送を担当してた第二艦隊の生き残りだ。散り散りになったらしく、今の所はあの三隻しかいない」
「すると、竣工したら第二艦隊の?」
「その予定だった。第二艦隊の旗艦のドレッドノートは初期型で、激戦でガタが来てたから、その代替も兼ねてたそうな」
「ドレッドノートもかなり使い込まれるのいるんすね」
「ドレッドノートを立て直すのも大変で、損傷艦との共食い整備もされている。だから後期型の新規生産がされてるのさ」
「んじゃ、あの連中も?」
「一隻は大破判定の二隻を繋ぎ合わせたリサイクル艦だ。艦名もその時に変わっている。そのうちに新規生産が再開されたから、規格が変わっていて、取り回しも変わったから、あいつらは本土防衛の艦隊で使い終えるつもりで取り置かれていた」
些か古ぼけた雰囲気を醸し出すドレッドノート級(主力戦艦級)。遠征艦隊では見なくなった初期仕様のもので、本土で練習艦にされ始めている形式である。ただし、エンジンや内部機器は更新されているので、長距離航海向きのエンジンにはパワーアップしている。ユニット取付部は共通規格なので、新造艦用のストックをかっぱらって修理したりしたのだ。
「兵隊は?」
「地下で通じる通路を通して、旧地下都市に潜伏させてある。空軍と宇宙軍で、ここの基地の戦力を全力で動かせるだけの人数はおる」
「GOOD」
「ガミラスが高速偵察機しか飛ばさなくなった原因の飛行隊が丸々いるからな。陸軍は真っ先に武装解除されて連れて行かれたが、匿うのに協力してくれた空間騎兵隊がいる。最近の軟弱な兵隊よりよほど宛に出来るぞ」
「神宮寺、そのガキは?」
「おう、古野間。紹介する。扶桑のレイブンズの一角の子だ」
「おお、扶桑の連中ご自慢の……。古野間卓空間騎兵隊准将。神宮寺とはハイスクールからの腐れ縁だ」
「黒江綾香大佐です、准将。今はこんなナリですが」
「よろしく。俺の配下の師団連中を地下都市に隠れさせている。皆がガミラス戦を生き延びた猛者だ。だが、本当ならいてほしかった奴がいるが。斎藤だ。ヤマトで名を馳せた斎藤一は俺の士官学校時代の後輩だった」
斎藤一。空間騎兵隊の初期の人員で、最も精強ともされた男である。彼は古野間の後輩であった事が語られ、空間騎兵隊は彼のようなバンカラ者の巣窟である。(男女問わず、荒くれ者は空間騎兵隊かロンド・ベルに行かされる)
「そうですか、残念ですね」
「まぁ、奴がいないのは残念だが、俺の配下の師団は丸々隠れさせている。今後のために取っておいた戦力だ」
「大佐、パルチザンの状況は?」
「ロンド・ベルのメンバー中心なので、空戦や艦隊戦は無敵ですが、陸戦がなんとも。私などの特殊能力者がローテーションを組み、後は、歴代仮面ライダーの協力です」
「陸戦は我々がなんとかしよう。今は陸軍の連中などは宛に出来んからな」
――今や、宇宙軍と空間騎兵隊が地球連邦軍の外征における戦力投射能力を担っているため、地球連邦の本星であっても、陸軍の練度は低かった。軍縮騒ぎで優秀な陸軍兵の多くが去った事、宇宙開拓時代においての陸軍の地位低下もあり、基本的に陸軍は『警察力』と似たような感覚で、政府から取り扱われている。また、緊急で立て直したと言っても、練度の低さや派閥抗争のため、悲惨な事情を抱えている。パルチザンの主戦力が主に、宇宙・空・騎兵隊の三軍出身者なのは、そのためだ――
「海軍は?」
「大西洋は丸ごと駄目です、エゥーゴ閥出身の我々との敵対の意思を見せているので、太平洋艦隊しか宛に出来ません」
「この期に及んで、派閥抗争か。下手すると陸海軍の存在意義が戦後に問われるな、こりゃ」
神宮寺と古野間は、陸海軍の悲惨な状況に嘆息する。彼らにより、地下基地の中枢に案内される黒江(姿はトリエラ)。流石に相応の設備があり、三沢基地が使えれば、パルチザンの一大拠点に出来る。問題はこの戦争を商機と言わんばかりに、サナリィからシェアを奪い返せると踏んでいるアナハイム・エレクトロニクス。正確に言えば、社長夫人のマーサ・ビスト・カーバイン。他世界ほどアナハイム・エレクトロニクスへビスト財団の影響力はないが、ネオ・ジオンを支援することで、戦争の長期化、そして男社会の失墜を狙っている。彼女は祖父が息子である父を謀殺した事で、性格が歪み、壮年期の現在では『月の女帝』とされる影響力を有する。そんな彼女の行動を、彼女の義父に当たる、アナハイム・エレクトロニクスの会長である『メラニー・ヒュー・カーバイン』は『そんな場合か!』と危惧しており、自分の権限でパルチザンを援助しており、パルチザンが容易に高性能機を手に入れられるのは、彼の極秘裏の援助のおかげであった。パルチザンへ引き渡たされるのは、アナハイム・エレクトロニクスがエゥーゴ時代に作った歴代のアナハイム・ガンダムで、それらがパルチザンへの贈り物だった。また、歴代のアナハイム・ガンダムの性能実証で、アナハイム・エレクトロニクスがこれまで通りに連邦軍主力機開発を担えると見せるのも目的であった。
「アナハイム・エレクトロニクスから三沢に送られてきた機体を、君に一機渡そう。ZZの後継機種の予定だった試作機だ」
「ZZの?」
「Σガンダム。ZZ系統の最終型らしい」
ZZ系統はシステムの複雑さを理由に、後継機種が作られていないとされるが、実は複数案があり、それらの計画を統合して、極秘裏に作られていた。そのため、格納庫に鎮座している機体は「ZZガンダム」、「Kガンダム」、「Σガンダム(旧)」などのキメラと言えるものだった。
「なんすか、てきとーに組み立てたみたいなZZの親戚っぽいのは」
「計画中止で宙に浮いていたパーツを適当にはめて作ったものらしい。だから、同時期の試作機を一つにしたでっち上げだ、こいつは」
後で部材が更新されているところも多い、新生Σガンダム。可変MSなのには変わりはないが、ハイメガキャノンの威力はZZを超えている他、ジェネレーターが設計当時より強力なものになっているので、理論上はV2ガンダム以上の出力を持つ。ビームライフルも、試作品の連結機能付きのメガビームライフルに更新されているなど、相応に近代化されている。そのため、名はΣを継いでいるが、実質的に数機のキメラである。頭部デザインはZ寄りだが、ハイメガキャノンを有し、胴体はZZ寄り、バックパック周りは独自品だ。ファンネルミサイルを積んでおり、機能面では現時点でも一級だ。
「動くんすか?」
「分からん。アナハイム・エレクトロニクスからの贈り物だから大丈夫と思うが」
「テストしていいすか?」
「構わんよ。確か、戦後に修理したテキサスコロニーで動作試験だけ済ませたと聞いている」
「んじゃ、行きます。こいつの登録形式は?」
「確か、旧エゥーゴ時代のだから、当時のMSA-014のままだ。『MSZ〜』に直しておく」
連邦軍がエゥーゴを取り込んだ後、Z系可変MSは『MSZ』の形式番号が用いられる。デルタ系が『MSN』を用いているので、連邦軍は形式番号に一定の法則を用いているのがわかる。後に、神宮寺は沖田に形式番号の登録し直しを進言したが、『Sガンダムのこともある。あえてMSAナンバーのままのほうがいいだろう』とされ、そのままになったという。
地下滑走路を変形形態『Σフライヤー改』で滑走する。原型は複雑な変形かつ分離もできたが、実際に建造された機体では、変形形態の形状はガンダムデルタカイに似た、オーソドックスなウェイブライダーである。デルタカイのウェーブライダーと似ているが、武装は異なる他、VFを意識した可変翼機になっている。(開発陣がVFを意識していたかは定かではない)
「さて、Z計画の落とし子とやらをテストしてやんか」
意気揚々と発進する黒江。ちょうど近くをネオ・ジオン残党が通りがかったのをいいことに、撃退すべく戦いを挑むのだった。
――レヴィはVF-31で偵察に出かけたついでに、調達の援護に向かうように指令され、空域の安全とシーガルの護衛を、シーガルから発進させたセシリアとシャルに任せ、自身はVFを隠し、身一つで切歌とグレちゃんエンペラーの援護に駆けつけた――
「よう。ガキ共。面白い場面らしいな」
「レヴィか。切歌、これから極上のバイオレンスが堪能できるぞ?」
「そんなの堪能しなくていいデスよぉ!」
笑うグレちゃんとビビる切歌。二人のレヴィへの反応は対照的だった。そんな切歌へレヴィは言う。
「暴力だって極めればARTS(アーツ、芸術)だ、切歌。……この匂いだ。たまらないぜ。なんてたって、血と硝煙の匂いだ。」
圭子は元来、優しい女性であった。しかし一度、『レヴィ』となると、圭子としては外聞の関係で抑えている、『血と硝煙の匂いがある場所に身を置く事での極限状態を堪能する』戦士としての闘争本能に身を委ねる関係で、粗野な口調かつ銃撃狂となる。その証明が始まった。
「〜〜♪」
レヴィは『Red Fraction』という曲(元になった漫画がアニメ化された際の主題歌)を口ずさみつつ、敵兵のド真ん中へ躍り出、両腕に持つベレッタを放つ。雪音クリスが見たら、間違いなく羨ましがるような立ち回り方であり、元々、格闘技もプロであるので、格闘術という概念が廃れた暗黒星団帝国の兵士らにはこれ以上なく有効だった。
「あたしを楽しませてくれよ?異星の戦争屋共」
ニヤリと笑い、実体弾(洗礼処理済み。ノイズであろうとも効果を発揮する、対アンデット加工弾)を乱射しまくるレヴィ。その迫力は切歌を圧倒する。
――排出される薬莢、響く発砲音と発砲時の光。クリスのイチイバルと違い、実在して、アメリカ軍も採用しているもの。この時代も流通している銃。そのビジュアル的迫力が切歌を圧倒していた――
「あの人、笑ってる……?こんな状況で?」
「レヴィはこういう状況だと、水を得た魚のようになるからな。それ故、若い連中から反発される。この前の作戦の時も、ケイとしての穏やかな物腰でさえも反発されたからな」
グレちゃんの言う通り、ケイとしての穏やかな物腰で反発された彼女は、ガランドの許可を得て、今の姿になったところ、突き抜けていたのが逆に好感を呼んだという不本意な結果を味わった。それもあり、レヴィとなっている時間のほうが長くなったのだ。腹心である真美は、レヴィとしての粗野な振る舞いを抑えられるという順応した姿を見せるが、レヴィとなったケイはツッコミ役ではないため、『ツッコミがいないとボケられん』と冗談めかして語っている。また、レヴィとなると、面倒事を逆に押し付けて銃撃戦してきたり、『自分でやれ、馬鹿』と言ってくるため、マルセイユは『ちぇ、やりにくい〜!』とぶーたれている。(ティアナはなのはで慣れていたので、レヴィとなっても変わらず)
「あれがヤツの本質の一つだ。一人の戦士としての面を引き出した姿。その分、粗野になってるから、一見さんは怖がるが、優しい面もある」
「グレちゃん、どういう事なのデス?」
「本来は穏やかで優しい奴だ。あれは普段、押さえ込んでる闘争本能を解き放った姿だ。だから粗野になっている」
レヴィとしてのケイは闘争本能に身を委ねているために粗野な態度である。ダイ・アナザー・デイ作戦を境に、レヴィとしている事がデフォルトになったが、圭子としての優しさは消えていないし、元になった『レベッカ・リー』と異なり、人の善意を信じている。そこが『殆どコピーだぜ!』と黒江に言わしめたほどの態度の中にも見せる優しさと言える。元々、自己顕示欲は智子と同等レベルだったが、転生前の式典での事故以後、『自己顕示欲は過ぎれば毒』と認識していた圭子。レヴィというキャラは『ひねくれた物言いだが、仲間を事実以上には貶めない、拠り所の無くなった青年を引き込む優しさ』があるため、相性抜群であり、ごく自然に演じていた。事故以来、長らく、一度目の転生含めて封印していた、自己顕示欲。別人であるレヴィとしてなら存分に出せるので、一種のストレス発散にもなる(マルセイユや黒江の面倒を見ているため)。グレちゃんはそれの理解者であり、ケイに『レヴィでいる事』を勧めた人物の一人であるので、レヴィとしての粗野さに理解があった。
「奴は色々とストレスがあるからな。ガキ共の面倒、家の財政管理だろ、それと軍の上の連中との折衝。極めつけは実家からのお見合い話の嵐だ。ストレス溜まるぞ?」
「う、うーん?」
圭子は45年時点で26歳に差し替かるアラサー女子なため、当時の認識では行き遅れと揶揄される年代だ。娘の『行き遅れ』を心配する実家から矢のようなお見合い話の催促を受けている。(勲章をもらって、生涯年金ももらえるので、いい加減に退役して、世帯を持てとも)もちろん、爵位を武功で得るほどの戦闘員である圭子に、扶桑の古風の形式通りのお見合いなどは到底無理である。お見合い話は武功、知名度のために、すべて破談に終わる事を知っている。それもあり、今回はレヴィでいることで、様々なことで溜まるストレスの発散をしつつ、理性で制し、抑えつけていた『強い自己顕示欲』をレヴィとなることで『満たす』事を選んだ経緯がある。
「お前はまだ分からんだろうが、レヴィの郷の世界の年代だと、あの位だと『行き遅れ』と言われるんだぞ」
「え!?ま、まだ26くらいデスよね、あの人!?」
「当時の平均寿命考えてみろ。50年くらいが平均だったんだぞ?人が平均で80年以上生きれるようになったのは、20世紀も終わりになってからだ」
グレちゃんはエンペラー状態では『大人』の精神状態と外見になるため、それとしての口調だった。そのため、言うことが大人としてのそれだ。
「なるほど……」
「大人になるという事は大変な事だという事だ。どの職業であれ、ストレスがないのはありえない。副業のジャーナリストとしても、日本じゃ年齢的に若いから、『駆け出し』と見なされて苦労しているしな、あいつ」
圭子は扶桑では著名な軍人・ジャーナリストだが、日本ではジャーナリストとして『駆け出しの若造』と見なされ、苦労の末に記事を載せてもらったりしている。(もちろん、インターネットが普遍化した時代ではブログなども開設している)その生活はストレスが尋常ではないほど溜まるのは言うまでもない。彼女は溜めたストレスで周囲に当たり散らすのを、実家の父を見る事で嫌うようになっていた。黒江や智子に迷惑をかけないよう、普段はレヴィとなっているのだ。一度目の転生時、最終的にはゲッターロボで壮絶に自爆死しているためもあり、その記憶が心の深い傷となっている黒江には、姿がレヴィであっても、一番に気を使っていた。(黒江が『あーや』に人格が切り替わらない程度のうたた寝をしている際、『私を置いておかないでよ、おねーちゃん……』と寝言で言ったのを聞いた際、実に気まずそうな顔を見せ、『やれやれ』と布団をかけてやった事がある)
「だから、あの姿を好んでいるのだ。粗野だが、慣れれば本当の姿の時と変わらん」
「そ、そうデスかね……?」
冷や汗をかく切歌だが、グレちゃんの言う事で、若干ながら興味が湧いたような素振りを見せる。それが切歌がレヴィへ興味を抱く最初の出来事だった。
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