短編『ウィッチ達の護身術講座』
(ドラえもん×多重クロス)



――ウィッチ達の間でちょっとした流行りになっていた剣技習得だが、それは元来は縁のない者にも浸透していた。護身術としても、ちょうど良かったために触りの部分だけ習う者、必要上からある一定の技能を身につけた者、いつしか達人級の技能に達していた者がいた。

「もらったぁ!!」

ハンナ・マルセイユは日本刀を用いた剣術をここ一年は用いていた。休暇中にヒーロー達のつてで戸隠流に入門した(ティターンズの特殊部隊に暗殺されかかったのを忍者戦隊カクレンジャーに助けられたらしい。そこで彼らのツテで護身術を本格的に習い始めた)らしく、身体能力は以前の比では無くなった。その事をハルトマンに電話で伝えると……。


「ハンナ、忍者にでもなるつもり?」

「は、はは……い、いや、そういうわけではないんだ。数ヶ月前だが、危うく死ぬ所だったんだよ。それでカクレンジャーに助けられてな、そのツテで戸隠流に入門したんだよ。狙撃やら車を銃撃だのされたかんな……」

「へぇ〜〜ハンナも苦労してるんだね」

「ケイが別なところに送り込まれたからこっちは大変なんだよ。今じゃ重要人物としてマークされてるから、車じゃ移動できなくなった」

「というと?」

「対物ライフル撃たれるわ、地雷で爆破なんて日常茶飯事さ。だから移動手段を飛行機に変えたんだ。操縦技能身につけんの大変だったんだ……」

「たしかにあたし達は飛行機動かすこと自体がド素人だしねぇ。どーすんのさ、飛行機使えない時は」

「バイク使ってるよ。ライダーの皆さんに乗せてもらってそのまま目的地まで送迎だ」

「なるほどね」

「そっちはジェット機あるんだろ?こっちはまだ配備されてないぞ?」

「こっちは敵が本腰入れそうだからってのもあるよ。MSも配備されそうって話」

「MSか。あれも私等から見れば変な兵器なんだがな……あれが花型とはわからんな」

「とか言って、Ξ乗りこなしてるくせに」

「ま、まぁな」

「ところで、向こうの連中、特にティターンズはスペースノイドを何故忌み嫌う?」

「一年戦争の時にコロニーを落としたろ?それで主要都市の多くが何かしらの損害を受けたんだけど、シドニーにキャンベラ、パリなんかは直撃受けて、町ごと消滅しちゃったんだ。それで一気にそれまであった反感が憎悪に変わったんだよ。」

「やれやれ。その時の憎悪を引きずった野郎どもが多いってことか……」

――一年戦争中のジオンの行いのツケは自らへの弾圧として表れ、それがデラーズ紛争以後の戦乱を招いたという皮肉。それがティターンズの台頭を招き、その結果がこの戦である。一年でティターンズ残党軍はかなりの規模に膨れ上がり、今や旧米軍(リベリオン軍)と仏軍の装備と人員を配下に収めた。しかも燻っていた『人種差別』がないという事から、リベリオン内のかなりの有色人種が加わっているという情報もある。しかも未来情報で亡命リベリオン軍より一世代後の軍備を取り揃え始めている。そのためにガリア・ブリタニアは劣勢に陥り、特にガリアは海軍の行動をほぼ封殺されてしまっていのだ。

「奴らは一年で軍事力を以て、リベリオンを屈伏させた。次は多分……扶桑だ。今のカールスラントは昔年の軍事力は失せてるし、ブリタニアはライオン級以外、ハリボテに等しい。そうなると軍事力で抜けているのは扶桑しかない。ガリアは組織的行動力はまだ持ち得ないからな」

「あれ?ロマーニャとかは?」

「あんなヘタリア軍団、相手にもしていないだろう。奴らは大和を倒すのが目的だしな」

「ルッキーニが聞いたら怒るよ?」

「海軍が貧弱なのは事実だ。主力艦の多くはハリボテだ。ヴィットリオ・ヴェネト級戦艦も航続距離は駆逐艦並だし、しかも歴史的にはフリッツXで撃沈されてるんだぞあれ」

「洋上の戦艦がすぐに絶えたから、あれが誘導弾に屈した唯一無二の戦艦だもんなぁ。おかげで敵も味方も軽んじてるっていうのは同情していい?」

「いいと思う。日米の化け物じみた奴らを除いた次元では有力なのは間違いないしな。航続距離さえ長ければ『使えた戦艦』だろうが、如何せんな…」

ヴィットリオ・ヴェネト級はカタログスペックでは欧州の有力艦であるが、その実は日米英には及ばない性能である。工業力の限界から300mm以上の単一装甲板が製造不可能である故、複合装甲式にしたのだが、設計ミスからローマはフリッツX二発に屈してしまった。大和の撃沈と併せて『戦艦の時代』の終焉の象徴として記憶されたこの事例から、味方からさえ『ショールームの品物』にすぎないと軽んじられている。あくまで攻勢の中心は三大海軍の誇った戦艦群であるのもその証拠だ。その評価を下されたロマーニャ海軍の心中や如何にというところだ。

「そんな状況だ。お前も何か護身術身につけておいたほうがいいぞ」

「一応、ある程度は剣術を鍛えたよ。トゥルーデには言ってないけど」

「あいつの度肝を抜いてやれ。私もそのつもりだからな」

「ん?会う予定あんの?」

「今度、そっちに撤退するやもしれん。ネウロイには勝てそうなんだが、ティターンズの通常兵器に押されててな。ブリタニアとの連絡が絶たれてるから軍の維持が覚束なくなってきた」

「それって大変じゃん!」

「そうだ。ネウロイに勝っても人類同士の戦争には負ける。これ以上の皮肉はない……。スエズ運河を奪還しようかという時に…!」

マルセイユはスエズ運河の奪還が手に届くところに来たというのに、ティターンズの攻勢の前に撤退を余儀なくされそうという状況だと話す。局地的には勝てても大局的に負ける状態がアフリカ戦線で続いた事による窮状を暗示していた。それを理解したハルトマンは絶句する。

「そんな……それじゃアフリカは!」

「地球連邦軍が当面は最低限の防衛を担当するという話も出ている。ネウロイは活動を弱めつつあるが、ティターンズの息がかかったリベリオン兵器を持つ部隊が敵対してきたから、兵達の動揺が大きい……敵前逃亡したウィッチ隊も出てきている」

――この1945年に、リベリオン陸軍は本国部隊がティターンズに下ったため、多くがティターンズの指揮下に入っていた。ストライカーユニットも一世代先の『M26』重装甲脚が配備されており、それで亡命リベリオン軍と対峙した。ウィッチ同士が相討つ状況を嫌がる者の多くが敵前逃亡したりした影響で、『保てるはずの戦線』が崩壊したりしたため、アフリカ戦線は崩壊寸前に追い込まれた。ネウロイに勝てそうになった矢先のこの悲報は戦線内のウィッチを疑心暗鬼にさせるのには十分で、一部精鋭以外は命令無視も起こすようになった。そのため抗戦の意思のある者はロマーニャ戦線に合流させるという最悪の事態が具現化しようとしていた。マルセイユはフェイトに『自分がいる限りはアフリカ戦線の航空を崩壊させることはない』と言ったが、陸の敗北まではカバーできない事の表れであった。

「んじゃアフリカ戦線は放棄なの?」

「そうなる。地球連邦軍もあの広い大陸すべてをカバーはできん。スエズ運河を取り戻すから初期の目的そのものは達したが、大陸領土はトブルク周辺に限られてしまう」

「……そんな……」

「これからは戦争をする覚悟がある者だけが戦うようになる。戦争なんてしないと思った者の多くが逃亡、あるいは退役してるから、ますますウィッチの人的確保は難しくなるだろう。人を殺す訓練をするなんて嫌だろうしな」

――マルセイユの言う通り、ウィッチの数は一年前より減っており、元から少数であったのが、ますます減っていく有様。なのでエクスウィッチを若返らせたり、未来装備の導入を推し進めさせた。既存ウィッチをどうやりとりするのが軍上層部の命題となった。それでも新規ウィッチが絶えたわけではないが、辞めていくウィッチが新規ウィッチの数を上回る現状は全軍のアキレス腱とも言える。マルセイユはそれを憂いており、プロパガンダに以前より協力的になった。

――ウィッチが戦わければ誰が敵に立ち向かうのだ?

マルセイユはここ一年、補充兵にこう問うのが訓示での通例になっていた。過酷な戦争に誰もが疲弊している。『自分たちがやらなくて誰がやるのだ』と兵士らを必死に鼓舞する。大尉から中佐へ二階級特進(戦線を支え続けた功績によるもの)したのを示すかのように、その階級章は中佐のそれに変わっていた。

「ハンナ……」

「今、在籍する多くのウィッチは階級が上がっている。私が中佐へ特進したのも忠誠心確保のための施策だ。金で裏切る者も多かったからな。金は天下の回り物なんて、よく言ったもんだ」

軍人は誰もが使命感で戦うわけではない。古今東西、金塊を提示された結果、機密情報を売ったり、軍を捨てる者が必ずいた。これは傭兵の時代からよくある事だ。ティターンズはこの事をよく活用し、半ば重要ではないと位置づけるアフリカ戦線を攻略しようとしている。マルセイユは慙愧に堪えないようだった。

「これからブラッドレー達とスエズ運河奪還作戦の会議するから切るぞ」

「うん。ハンナも気をつけてね」

「お前もな」



――電話を終えたハルトマンの表情は暗かった。アフリカ戦線が急激に撤退まで議論される所にまで悪化した要因に金があるというのには、戦場と関係ない駆け引きが戦線を左右したという、卑怯に思える手段を活用したと。戦争は撃ちあうだけが能ではないといえばそれまでだが、一介の航空ウィッチであるハルトマンには卑怯に思えた。年長者らに相談すると、皆、一様に暗い表情を浮かべる。

「アフリカ戦線は崩壊寸前……聞いてはいたけど予想以上に深刻なのね……」

「戦線で勝利しても、そこと関係ないところで負けるとはな。皮肉なもんだ」

「こっちも通常兵器じゃ押され気味ですし、MSを倒す手段はまだ確立されていません」

「あの鋼鉄の兵士をどうにかしない事には、今後の情勢は好転しようにないわね……」

――MSの驚異に対向するべく、各国は対策を急いでいたが、MSは超高度な技術の産物なので、同じ土俵に経つ部隊も多くなっていた。501はその条件にあてはまると言える。格納庫には既に複数のMSが納入予定であるとミーナは言う。

「既に黒江少佐達がアナハイム・エレクトロニクスに話を通してあるらしくて、MSが納入されるらしいの。また兵站の苦労が……」

「ミーナはそんなんだから、ケチだって言われんだよ」

「エーリカ、あなたねぇ……」

「まぁいいじゃないか、中佐。あれに対抗するには同等の兵器が必要なんだ。一年戦争の連邦もそれでファーストガンダムを作ったそうだし」

ラルの言葉に頷くミーナ。MSの驚異のメカニズムはこの時代の科学者が理解不能なほど高度な技術で構成されているので、基本的に整備は地球連邦軍が担当となるが、元来の整備班からは文句も挙がっており、負担軽減も兼ねて元来の501所属整備兵らにMS整備教育を施そうかと検討していた。この日はちょうど501が初出撃するその3日前。兵器面でこれでもかと優遇される事に負い目がある彼女。強力な兵器はいいが、それを使いこなせるかは別問題だと言いたいのだろう。だが、既に実例が示された以上は承認するしかないと、総責任者ならばの苦労が忍ばれた。






――フェイトは事務処理を手伝いつつも、強力な戦力であることを示すかのように、芳佳が朝、外を出歩いていると、トレーニングに勤しむ姿が見受けられた。

「ハァッ!」

剣筋は見事としか言いようがないもので、構え、振るうだけで風が巻き起こる。これは飛天御剣流を奥義『天翔龍閃』及び、その習得用の突進技『九頭龍閃』以外の剣技を数年かけて身につけた事による副産物だ。彼女は魔力による強化だけでは、飛天御剣流が体にかける膨大な負担に耐えられないと判断、基礎的な肉体を鍛える方向で高校時代以後の青年期の日々を費やしていためだ。


「……芳佳か。どうした、こんな朝早くから」

「昨日、訓練が終わったらそのまま寝ちゃったんです。それで早く目が」

「お前も大変だな。そうだ。ちょっと付き合って貰えるか?」

「ほえ?え、ええ。良いですけど?」

こうして、フェイトの鍛錬に付き合うことになった芳佳は自身も素振りや竹割りをしながら日が登っていくのを見届けた。芳佳は鍛えられてからは二刀流を得意とするが、どちらかと言うとパワー型であり、テクニックとスピードで翻弄するフェイトとは相性が悪かった。

「偉い口を言う身分ではないが、お前は剣を振るうのをどこかで躊躇っているな?」

「は、はい。実は……。守るためって言って、人を傷つけていいのか……迷ってるんです。恥ずかしいですけど、私は戦争が嫌いです。お父さんが子供の頃にヨーロッパに行って……私が10歳の頃に死亡通知が届いたんです。それで……」

「なるほどな。父親を奪った戦争をお前は憎んでいるのか?」

「子供の時からそうでした。6歳の時にヨーロッパに行って、とうとう帰ってこなかったんですから。だけど、お父さんがどんな仕事をしていて、私と同じ力を持っている人たちに戦う力を与えてくれたのか、分かったんです。『その力は少しでも、多くの人のために』。お父さんが座右の銘としてた言葉だそうです。お父さんはみんなに戦う力をくれた。だけど子供の時の私は『戦争がお父さんを持っていった』って泣いてばかりで……お父さんがどんな想いでストライカーユニットを作ってたのかを知ったのは去年のことです。それで私も戦うことにしたんです」

「その気持ちがあればいい。それは誰がなんと言おうと、お前の力だ」

芳佳は父の一郎と幼少期に別れてしまった事から、戦争を嫌悪するようになった。だが、父の仕事がどんな事だったのか。それを皮肉にも軍人になったことで理解した彼女は父の座右の銘であった言葉を叶えるために、戦う事を選んだ。フェイトは芳佳に感じるものがあったらしく、これ以後は坂本、竹井、黒江の三名が不在の時は面倒をみるようになったという(バルクホルンとはその際に打ち解けたとの事)。





――このように、主に剣術が護身術の中心として流行っていた。それを敢えて隠し、実戦で披露するケースがあちらこちらで見られ、各部隊長らはひたすら困惑する事になる。ミーナは補給品目に『刀剣』が加えられた事に困惑し、バルクホルン共々、頭を悩ましたという。

「ミーナ、敵はアフリカ戦線で勝利目前になったそうだ。この分ではいずれ欧州に主力が配置されるぞ」

「ええ。リベリオンを丸ごと手に入れた彼らなら、ブリタニアや欧州諸国を攻めるのも容易だわ。でもなんでロマーニャを?」

「ロマーニャは史実イタリア王国や共和国の半分程度の軍事力だ。外交的にヴェネツィアを屈服させた以上、その南半分の領土しかない国など捻り潰せると踏んでるのさ。本来ならスペインやフランスとかが防波堤になるが、あいにくヒスパニアもガリアも防波堤になり得る戦力は持ち合わせていない。艦隊決戦を一回すればゲームオーバーな海軍力しかないしなここ」

黒江はロマーニャ海軍など宛てにはしていないと一同に示す。未来で史実イタリア軍が同盟である独からでさえ「足手まとい」と揶揄された事を根拠にしている。リベリオンの海軍力を手に入れたティターンズ相手に渡り合える戦力はロマーニャ海軍にはなく、空母もアクイラ級空母2隻とスパルヴィエロ一隻しかないという雀の涙状態。これではリベリオン軍の膨大な数の空母機動艦隊に立ち向かうどころか、足を舐めて『助けて下さい!』と命乞いしたほうがマシである。

「黒江少佐、それは友軍を宛にしていないということですか?」

「ええ。言っちゃ失礼ですが、世界三大海軍筆頭格のリベリオン海軍は扶桑皇国の空母機動艦隊や大和型と渡り合うのを前提にした装備を保有してます。戦艦だけで15隻を超え、しかもその過半数は新戦艦。新戦艦は仮想敵が大和型ですよ?そんなのでリシュリュー級戦艦が仮想敵の戦艦で戦えと?無謀ですよ、はっきり言って」

リシュリュー級戦艦も悪くない戦艦ではあるが、日米が生み出しバケモノ戦艦らの前では色褪せた存在でしかなかった。大和型とモンタナ級のスペックは欧州製戦艦のすべてを超越し、三笠に至ってはもはや海上要塞と言っても過言ではない。黒江の論評は的外れではない。

「下手すればここに空挺部隊送りこまれる危険もあり得ます。護身術を身につけさせる事を検討下さい」

「……」

ミーナはこの時、返答をしなかった。ウィッチの中には、芳佳のように正規の陸戦訓練を積むこと無く軍人をしている者も多いからだ。自身も音楽家志望であった故、戦時になってからの志願である。正規の軍訓練は受けた密度は低い。この対人訓練の提案は波紋を呼んだものの、切迫した時世がミーナの腰をあげさせ、後日、正式に訓練要項に加えられたという。




――後日、講堂

「日本刀の種類は大きく分けて、直刀、太刀、大太刀、小太刀、脇差などに分類される……」

講堂で刀剣についての講義が開かれている。受講者は刀剣を手持ち武器に加えていた者に限られていたが、それなりの人数になっていた。講師はなんと仮面ライダー一号こと、本郷猛である。彼は武術の達人で、剣道の高位の段位を保有している。本来は生化学分野が専門(なのでV3を改造できた)でありながら、武術においても人に講義可能なのは反則と言っていいだろう。日本刀は切れ味はいいが、斬るごとに刃毀れを起こすので、基本的にはサブウェポンと考えるべき兵器だ。魔力で刀身を包み込んで強化しても、使用限界は存在する。



「日本刀は切れ味はいいが、使用限界はおおよそ三人を斬ると刃毀れが顕著になるので、そこまでとされている。これは通常の場合で、君たちの場合は相手の装甲強度と君たち個人の魔力の強大さにもよるから、個人差があるが」

「そういえば穴拭大尉はそういう才能あるのか?先祖伝来のもん使ってるんだって?」

「あたしのは何度か研ぎ直してるわ。使う機会も多いし」

「なるほどな。でも、プロパガンダに活用された割には出世してなくね?」

「上層部から疎まれたってのもあるけどね。若いころに色々やったから」

――エイラからの質問にそうやってぼかす智子。実際、歴史改変後は上層部に『厄介者』扱いされ、欧州からスオムスへ『救援』を名目に左遷させられたという風に経緯が改変されている。智子はその辺りの記憶が曖昧(歴史改変に伴う影響でもある)なので、こうしてはぐらかすのが常となっていた。本郷の講義にエイラが出ている理由は『サーニャを守りたい』というのが動機だったりする。講義では刀剣の扱い方や実戦でのコツなどが90分間に渡って展開され、既に熟練者と言える腕を持つ者も歴戦の勇士である本郷猛の前ではタジタジであった。格闘術では仮面ライダー一号の姿も披露し、ひと通りの格闘術を教えこんだ。土日以外の5日間は講義が入る事に芳佳は『何だか学校みたい』と感想を漏らしたそうな。



――激戦区になりつつあるロマーニャ。次々と運び込まれる未来兵器、集結しつつあるヒーローたちがそれを物語っていた。そして、G-Xを用いた宣戦から二日後、パトロール中のコンテ・ディ・カブール級戦艦のコンテ・ディ・カブールが、海域に現れたノースカロライナ級戦艦『ワシントン』に捻り潰され、海軍にショックを与えた。ロマーニャ海軍は初めて遭遇したリベリオンの強力な戦艦群にショックを受け、虎の子である『ローマ』などの投入を躊躇うようになってしまう。そのため、連合軍はブリタニアの誇る新戦艦『ライオン級戦艦』の投入を決意、同時に46cm砲を当初から搭載の更なる新戦艦を計画。『新標準艦隊』第三陣として、かつての『N3型戦艦』の予定名を受け継ぐ『セント・ジョージ』級として建造準備に入る。(ロマーニャに戦時中の大型艦艇の建造は酷であるという判断から、ブリタニアは戦艦戦力の更新の大義名分を得る)未来技術購入と引き換えに売却したライオン級後期建造艦の一隻の代艦も兼ねた同艦は大和型やアイオワ級の登場で、二線級の烙印を押されたキングジョージV級に代わる『海軍王国、ブリタニア』の象徴として期待された。こうして、ロマーニャは新たな政争と戦争の激戦区となっていくのであった。



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