外伝2『太平洋戦争編』
第十二話
――ミッドチルダ動乱を境に、扶桑は一気に体制を戦後日本に近づけていった。クーデター未遂事件で天皇陛下が激昂した事もあり、地球連邦の間接統治が始まった。吉田茂新総理の提言もあり、議会の権限は大幅に強化された他、大本営に変わる機構として統合参謀本部と、その指針を決める統合幕僚監部が設立され、軍政・軍令双方の統一と強化が行われた。同時に憲法は史実戦前・戦後日本の長所をミックスしたものに改正され、天皇陛下の役目は明確に『立憲君主』と定められた。しかしながら、皇族軍人から『扶桑海事変のように、軍部や内閣が物事を決められない時の皇族の緊急決定権は残すべきだ』と強く説いた。陸海空軍の高官らもそれに同意した為、国家緊急権として規定されることになった。
――1947年3月初旬
南洋島が春から夏へ移り変わり始めたこの時期、圭子と黒田は新京へ来ていた。1930年代から明確に南洋島庁の所在地として再開発事業が進められていた同地では、戦後1960年代の東京・横浜・大阪に匹敵する賑わいと繁栄を謳歌していた。未来企業の資本も入り始めたらしく、鉄筋コンクリート造のビルも建設され始めていた。
「百貨店に寄って、カメラ用具買っていいかしら?」
「儒品科予算に計上しましょう、偵察機材扱いで。支払いは小切手で」
黒田はちゃっかりしていた。参謀本部は空軍は世帯が小さい(人員も陸海軍からの転科が大半であったため)ため、正式な備品調達などを管理する部署がまだ発足して無かった。そのため、軍人が直接、現地で備品調達を行うことが太平洋戦争中にはままあった。黒田は圭子に付いて行き、百貨店のカメラ売り場に行った。
「そいや、前に黒江ちゃんが愚痴ってたっけか。コンタックス、日本製のだったとかで武子に怒られたの。」
未来世界から輸入された、後世の日本製コンタックスを手にとってみる圭子。輸入品なため、お値段は張る。ロゴが大文字なのだが、カメラに疎い黒江が分かるはずはないので、『黒江ちゃんに頼んだ武子のミスだな』と、黒江に同情した。
「これですね?黒江先輩が愚痴ってたカメラ」
「そうだ。武子、あの時は半泣きになってな。その後の3日くらい落ち込んで、全くの上の空で仕事になんなかったのよ」
「カメラでポカしたの、初めてだったでしょうしねえ、隊長」
後の黒江の言い分は「コンタックスとしか言わなかっただろ〜!私にそんな細かい所分かるかよぉ〜!」で、給金の過半数を代品購入に使う羽目に陥ったので、こちらも半泣き状態であった。智子と圭子は二人が落ち着くのを待ちつつ、その期間は智子と圭子が二人の任務を代行したとの事。
「お、ライカだ。どれどれ」
圭子はライカシリーズが置いてある棚を見つけ、物色する。圭子はライカ党で、既にデジタルカメラであるR型を黒江からもらったものの、互換性が無いことを詫びられたため、この時代の写真器とレンズの互換性があるM型を探していた。お目当ての品はあったようで、手にとってみる。店員を呼んで解説してもらうと、すぐにレジに持って行き、備品科署名の小切手を切る。
「面倒くさいですね」
「軍票が停止された兼ね合いだ。未来人、とりわけ日本人は軍票嫌うしな。マイナスイメージ強いし」
(軍票は史実太平洋戦争でのイメージから、未来世界人の圧力で使用と新規発行は停止された。ただし、既に持っている軍票の引き換えは可能)小切手がその代わりに使用されるようになった。そのため、参謀本部は戦争中を通して、空軍の経理に苦労したという。空軍の管理部署の正式発足を急ぎたかったものの、戦時中には国防省の設立自体が大事で、そのような人員的余裕はなく、結果として戦時中には間に合わなかったとの事。
「なんか、未来人の争いに振り回された感ありません?私達」
「そうだな。ティターンズとエゥーゴの争いをそのまま持ち込んだようなもんだし、MS戦も起こってる。幸いにも、可変戦闘機はあいつらが滅んだ後に現れたから持ってない。横流し品が送られた可能性があるが、そう安々と、モノにできる兵器じゃないし。さて、任務も終わったし、上の食堂でなんか食うか?」
「さすが先輩!恩に着ます!」
――黒田は、智子たち三羽烏の事を先輩と呼んでいた。これは黒田が扶桑海事変に従軍経験がある最後の世代である(当時は年齢は一桁であった)ことに由来する。3年間で親しくなった事もあるが、扶桑海事変の従軍経験があるという共通点(黒田は1945年で15歳と、比較的若めであるが、10歳にならないうちに初陣であった)が大きかった。
――食堂
某有名デパートの南洋島支店の食堂は多くの家族連れや、休暇を取っている陸海空の軍人などで賑わっていた。この頃にはデバートの食堂に出現していた、所謂、「お子様ランチ」を子供に頼む親もかなりおり、服装などを除けば、史実の昭和30年代末から40年代を想起させる光景である。
「本当、デバートも大衆化進みましたね」
「富裕層だけに媚びてれば、おまんま食っていられた10年前と違って、コンビニエンスストアも未来世界から入ってきてるからなー。未来世界じゃデバートも統廃合しまくって、23世紀には、指で数える程度しか残ってないってのも、危機感を強めたみたい」
「へぇ。いろいろ大変なんですね」
食事をしながら、食堂を見回す黒田。メニューには亡命リベリオン人が喜びそうな「ハンバーガー」、「ステーキ」系のモノが増えており、そういう点はちゃっかりとしている。そのためか、ステーキを頼んでは、それに苦戦している客もいた。
「そういえば、黒江先輩はなんで17から19に乗り換えたんです?普通に行けば、後継機種の22に行きそうなものだけど」
「ああ、それは17が扱いづらい機体なのと、19をSMSからもらったのが大きかったみたい。カタログスペック上だと、『17は熱核バーストタービンのハイパワーで機動性は高い』ことになってるけど、実際に動かしてみると、重装甲はいいんだけど、反応系は意外に鈍くて、割に被弾しやすい機体だったみたい。だから特務用だったんだろうけどね。19は一応、主力機として造られた機種だったから、カスタムパーツの量もあるし、特務仕様は反応系は敏感だし、素で17の比じゃない機動性がある。だから気に入ったらしいわ。フェイトは一撃離脱戦法に徹してたから、気にしてなかったけど、黒江ちゃんはドッグファイトもやるから、そこが気になってたみたい」
VF-19は扱いづらいという風評があるものの、慣れてしまえば、次世代機や同世代の22以外の機種の追従を許さない機動性を武器にできる。有事が続くために、VF-171の調達が色々な事情で停止された近年では、機動性が再評価されて再調達が適った事もあり、配備数は逆転しつつある。そのためか、最近のエースパイロットは概ね、19か22、25の三つを乗機に選ぶ傾向があるという。
「22も良い機体なんだけど、19ほどの機動性はないからね。黒江ちゃんは元々、97の頃は格闘戦で鳴らしてたから、しっくりきたみたい。ただ、19は政治的には嫌われ者だし、22も高コスト。だから、連邦軍は量産配備を渋ったのよ」
それが圭子なりの分析であった。扶桑での編隊戦闘や一撃離脱戦法の先駆者の一人であり、鍾馗や疾風などを使った黒江だが、九七式が最新型であった時期は巴戦で鳴らしていた。これは改変前と後も同じだ。
「なるほど」
「今じゃジェット機も見慣れたけど、三年前は大変だったらしいわよ?各戦線で対策に頭抱えて、『超音速のをどうやって未然に邀撃するか?』なんて議論が交わされたって聞いてるわ」
「あの時はてんやわんやでしたからねぇ。時速700キロ出れば高速だったのが、一気に超音速のが現れたんで」
「うちはマルセイユの奴が『見逃された』のを期に、ジェットの訓練を受け始めてね。45年にはジェット機の配備が進んだんだが、使う前に陸軍が崩壊してな。その機材はロマーニャ戦線に回されたよ」
「でしょうねぇ」
「鉄也さんやスーパー戦隊のおかげで、ネウロイの巣とヴェネツィア海軍主力は根こそぎ海の藻屑にできた(ヴェネツィア海軍はその後、リベリオンからの『お下がり』で数十年我慢する羽目になったという。そして、1990年代にロマーニャ主導で統一されてしまうので、ついに開戦前の規模に再建されぬままだった)から、一時に比べると切迫感は消えたけど、急速にジェット化は進んだわね。」
「銃も64式になり始めましたし、近代化進みましたね」
「亡命リベリオンも来年には、M14にしたいとかアイクが言ってたわ。今は兵器の更新がどこも課題だから。ジェットストライカーも武装強化と航続距離の問題が合ってね。20年前の箒のリファインまで話が出てるわよ」
「本当ですか?試行錯誤してますね」
「ISとかの活躍で触発されたところあるからな。あの形が理想だが、あれを実現させるには半世紀必要と見積もられてる。ヘタしたらその頃も飛んでるかもな、私達」
「まさかぁ〜。とはいうものの、今の状況じゃ冗談で済まないんだよなぁ」
――黒田は1990年代になっても、自分が飛ぶ光景を想像し、げっそりするものの、半分は冗談で済まない事情があったりする。良心的兵役拒否も出始めた都合上、世代交代は今までよりも遥かに進まなくなるのは目に見えているからで、現在では『ベトナム戦争』までは諦めている。
「いくらなんでも、湾岸の頃にはあなたも定期退官になってるから、それは安心なさい。ただ、ベトナム戦争までは覚悟しておいて。世代交代が緩やかになった時勢、私達は貴重な実験経験者なんだから」
「はぁ〜い」
食事を終えてデバートをから出ると、上空をF-104Jの編隊が通りすぎてゆく。某ウルトラヒーローに登場する戦闘機のエンジン音の元ネタな快音が響き渡る。
「マルヨンか。この辺りだと、47戦隊だな。あそこもマルヨンにしたのか……配備進んできたな」
「でも、マルヨン装備はウチと47戦隊くらいですよ?少ないですよ、配備数」
「47は錬成途中だからな。だから、ああやって訓練してるんだろう。ドラケンもようやく二個航空隊が稼働し始めたが、大多数は旧型レシプロ機や直線翼ジェット機だ。敵はもうF3Hまでは飛ばしてるから、更新が急がれてるんだけど」
「全部の兵器で更新時ですからねぇ、リベリオンも、ウチも」
そう。リベリオン(亡命政権)も扶桑皇国も1950年代相当の兵器へ更新を始めているが、如何せん工業力と技術力、それと扶桑皇国の民間企業間の抗争が問題になり、思うようには進んでいない。
「そいや、シャーリーさんはどうしたんです?」
「ルッキーニ呼んで、今はリベリオン亡命空海軍の教官任務についてるよ。質は高いが、兵器が遅れ気味だからな」
――亡命軍が駐留した軍港とその街は今や、すっかりリベリオンライズされており、ミニリベリオンの様相を呈していた。亡命してきた艦艇数は最終的には太平洋艦隊の主力の三分の一に達したものの、大型空母は少なめであり、エセックス級は7隻程度であった。本国にミッドウェイ級が続々と登場予定であることを鑑みた亡命軍は公式に、より大型であり、次世代型のフォレスタル級大型空母の建造を連邦と扶桑に依頼。起工式が行われた。そんな中、シャーリーはエセックス級の艦上で教官任務についていた。亡命軍に入隊したシャーリーは少佐に任官され、質は高いが、新型機になれぬ海軍・海兵隊のウィッチ達を鍛えていた。
「バッキャロー!!大事な機体壊す気か!やり直しだ!!」
普段は大らかであるシャーリーだが、柄にもない教官任務についているためか、声を荒げる場面も多かった。亡命したウィッチ達は練度は高いはずだが、着艦速度が高く、操縦感覚の違う新型ジェットストライカー『FH-1 ファントム』(プロトタイプ)を操るウィッチ達はベテラン・新米問わず苦戦していた。
「ふう。FH-1は実用初の艦上ジェットだから、整備性も悪いし、実戦で使える機動性ねーからなぁ。せめてパンターやクーガーがグラマー社で実用化されてくんねーかなぁ」
「そう愚痴るな、シャーリー。何事もうまくいくとは限らん。今はあれで鍛えておかんと」
シャーリーを窘めるのは、亡命軍でも高い練度を持つマリアン・E・カール大尉。海兵隊出身で、シャーリーとは以前から交流があるエースパイロットだ。第506統合戦闘航空団B部隊(リベリオン出身者で固められた部隊)副隊長であり、黒田の同僚である。彼女は黒田やシャーリーとの縁もあり、506が活動停止処分後は亡命軍側に与したというわけだ。
「しかしなぁ、今のFH-1は試作機だぜ?それも亡命時にメーカーが持ちだしたのを、そのまま生産しただけのものだし、安定性も低い。もっと新型のF9FとかF11Fが欲しいぜ。とてもヒヨッコは乗せられねーよ」
「第二世代ジェットのストライカー化は予定より遅れてるしな。方向性も模索中だし、昔の箒の製作だって囁かれてるくらいだ。ISのような形が理想だが、あれをガワだけでも造るには21世紀にならないと無理だろうな」
「いざとなったら地球連邦軍からバルキリーでも買うか?」
「それしかないだろうな。敵はF-4も遅かれ早かれ投入してくるだろうしな。カタログは見せてもらったが、向こうの戦闘機についてる前翼はなんで付いてるんだ?」
「ああ、カナード翼だよ。安定性と引き換えに運動性を向上させるそうだ。最近だと、VF-11やVF-19に採用されてて、実際にそれらは運動性が高いんだ」
「なるほど。運動性重視の設計につきものか。どれにするかな」
「私達リベリオン人はここ最近は一撃離脱戦法を重んじてきたけど、格闘戦の技能もやっぱ必要だ。VF-22あたりを勧めるよ。ギャラクシー社に連絡取っておくから」
「恩に着るよ」
この時代の実用機には、震電についているだけの前翼(カナード翼)は、ジェット時代以後は採用例が多い。特に、可変戦闘機の時代を迎えてからは新星インダストリー社製の機体では25を除いて、ついている場合が多い。それをマリアンは指摘したのだ。シャーリーは一撃離脱戦法を重視しつつも、格闘戦技能をある程度は必要とする実情を鑑みて、リベリオン人好みの飛行特性があり、尚且つ高火力なVF-22を薦めた。折しも、ギャラクシー社がVF-171が被った『悪評』をVF-22の高評価での相殺を目論んでいた事もあり、VF-22が後日、マリアン宛に納入されたという。
――最近、(1945年度から)新星インダストリー社がウィッチ個人に機体を卸し始めたのを期に、ギャラクシーも、管理局に在籍するフェイトにVF-22を卸したのをテストとして、ウィッチ個人向けに販売を始めた。移民星向けのビジネスのテストケースを兼ねてのものだが、機械に強いウィッチに好評で、シェアを連邦向けと同じく、新星と分け合う形になっている。傾向としては、カールスラントやリベリオンなどの火力重視な国はギャラクシー社を、扶桑やブリタニアが新星を選ぶ傾向にある。スオムスは戦況が概ね優位に転じているため、可変戦闘機の需要はない。オラーシャにはレストアされたSV系統(旧ロシア地区の旧軍需産業が開発し、主に旧ロシア軍が統合戦争で使用した可変戦闘機。現在はその流れを汲むギャラクシー社が販売と保守点検の権利を持つ)が国防族のロシア系議員の意志もあって、卸されているという。可変戦闘機は部品規格が統一されていた事もあり、武器の融通が効き、どちらかと言うと航空機よりの整備要領が受け、ウィッチ世界での需要が意外と高かった。そのためにティターンズ残党もギャラクシー、新星社内の地球至上主義派に接触し、少しづつVF-17やVF-11、SV-52などの旧式機を極秘裏に入手して錬成中であった。これはバスク・オムは嫌っていても、ジャミトフ・ハイマンの提唱した思想には賛同する者が未だ蠢いている証であり、ティターンズが1947年になっても、自前軍備での大規模軍事行動を可能にしている裏事情であった。
「なあ、マリアン。この戦いはどうなると思う?」
「ヤブから棒だな。言えるのは、少なくとも5年から7年の国家総力戦だから、双方の人的資源は多大な損害を受ける事だな。特にウィッチの人数が少ない我が国が受ける損害は計り知れん。下手したら1990年代にならんと回復不能なほどの損失が出る可能性は大きい。これも奴らの思惑通りと言うことだ」
「合衆国の大国化が地球資源を使いまくる元凶って奴か?こっちで同じようになるたぁ限んねーっつーの」
「だが、上の連中には『ネウロイが片付いたら世界大戦しようとしてた』連中が多い。どこの国にもだ。特にウチには、亡きルーズベルトのようなレイシストは多いからな」
「あの人は凄い側面もあるが、人間的にはどうかと思ってたんだよな、あたしも」
マリアンはルーズベルト大統領の白人至上主義的政策を侮蔑していたらしき発言をし、シャーリーも同意する。同時に彼の進歩的施策の多くは夫人の発案であるのを知っていたからだ。未来世界ほどではないものの、存在はする母国の汚点に溜息をつく二人だった。
――二人が言うように、かのルーズベルト大統領(フランクリン・ルーズベルト)は扶桑を『アジア覇権の障壁』と考え、夫人である『エレノア・ルーズベルト』の反対で実行しなかったものの、扶桑系リベリオン人の強制収容まで考えていたほどの白人至上主義の男だった。彼は華僑を差し置いて、『アジアの覇者』として振る舞う扶桑人を憎んでおり、ネウロイを倒した暁には、扶桑を打倒する野望を持っていた。この世界では必要性が薄いマンハッタン計画に巨額を費やしたのも、表向きは『ネウロイへ絶対優位を得るため』だが、実際は『扶桑人根絶のための秘密兵器』であった。そのため、ティターンズは史実より多い有色人種の反乱の誘発を狙い、亡きルーズベルトの悪評を多少誇張して、巷に流布した。思惑は成功し、ルーズベルトの後を継いでいたトルーマン政権の瓦解に繋がった。これは有色人種による白人への暴動が抑えきれなくなったのを危惧した左派による、ティターンズへの迎合だった。彼の未亡人のエレノア・ルーズベルトはリベラル派であったが、愛国者であったため、ウォレス政権が傀儡であると見抜き、連邦の手引で亡命した。亡命後は亡き夫の人種差別的側面に嫌悪感があった事、白人至上主義の夫を諌めてきたなどの大統領夫人としての苦労の他、ルーズベルト個人の浮気症に苦労し、夫への仕返しも兼ねて、夫の側近やボディガードと不倫していたという赤裸々な過去を回想録で公開し、亡命先での収入源を得る。同時に国際連盟に代わる強力な国際秩序の必要性を実感していたアイゼンハワーと吉田茂、チャーチルの三者の要請で、国際連合構想の具現化に携わるなどの活躍を見せる。彼女は精力的な政治活動をしつつ、子女らとともに余生を送り、医療技術の関係か、未来世界の自身より微妙に長生きし、1964年に80年の生涯を閉じたとの事。このように、リベリオンが二つに分かれた事は、史実東西ドイツ同様の苦しみがリベリオン人の間に横たわることでもあり、軍事大国化を志向する亡命リベリオンと、軍事よりも経済第一に舵を切った本国の志向の違いは、その後の再統一後、政治的課題として残り、再統一後初の大統領になったブッシュ大統領は、政権を担っている間にこの問題に取り組むことになるが、それは遠い未来の話。
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