外伝その369『扶桑の不穏』
――ダイ・アナザー・デイは自衛隊がかなり噛まなければ、参謀が不足していた。元504司令の『フェデリカ・N・ドッリオ』を強制的に参謀にするほどの窮状であるからだ。これはかなりの扶桑軍参謀が更迭され、カールスラントもかなりの人数の参謀を帰国させたが、その後の代わりがいなかったからで、連合軍の要請で自衛隊の幕僚が統合参謀本部の参謀についた。また、扶桑にはあった検閲もすっかり形骸化され、検閲を担った内務省警保局はその職務停止をなされ、軍部も検閲担当者の異動先が決まらずに宙ぶらりんになってしまう異常事態にもなった。結局、社会制度を急激に戦後寄りに変化させすぎたため、既得権益を貪っていた者が大損害を被ったわけだ。特別高等警察を公安警察に改編する過程で、日本が末端部の警官をかなり公職追放にした(代替として、訓練済みである21世紀の公安警察官が充てられた)事が世情不安を煽ったのも事実である。(警察官個人の功績を否定し、一律に公職追放にしたため)クーデターはそれら元特高警察官の境遇に同情した首魁が予定を早めて、事態を引き起こした面がある。だが、それは準備不足、坂本らの切り崩しで失敗に終わる。結果的に海軍航空隊の形骸化を決定づけ、太平洋戦争では組織そのものが事実上、『空軍部隊の隠れ蓑』代わりに使われる。クーデターは『海軍航空隊の美風を欧州や別世界の悪しき空気から守る』事も大義名分だったが、結果的には海軍航空隊の部隊名が『空軍部隊の空母搭乗時の便宜上の防諜目的の部隊編成』として使用されてしまうに至るため、後世では『大失敗』と嘲笑されるに至る。また、扶桑海軍は史実と異なり、扶桑国民には二度もクーデター事件を起こしたため、『クーデターの温床』と見られて人気が低下気味だったため、それを補うために海上自衛官の出向も積極的に行われ始める。海援隊を正規部隊に取り込んだのは、扶桑では海軍の人気が低下していたからだ。そこにウィッチクーデターが起きるわけで、これが山本五十六率いる改革派閥が実権を握る端緒となる。また、この時に量産型νガンダムやF91が投入され、良好なテスト結果を残す。この戦闘を既成事実とする事でνガンダム系統はサザビー系統共々、ネオ・ジオンとの条約の例外扱いとされ、以後の戦闘にも投入され続ける。また、ユニコーンガンダムはデザリアム戦役での投入が『最初で最後の投入』とされるが、戦乱の世が続いた事で非公式に投入は続けられたという――
――64Fの未来兵器は別の時間軸のモノも多いが、ロンド・ベルから支給されたモノも多く、ロンド・ベルから出向した人員が少なからずその運用を担った。量産型νガンダムはそのうちの一つで、廉価版とは言え、ジェスタを上回る性能を持つため、ティターンズのたいていの機種を上回る。キルレシオは一機が擱座させられる内に五機の敵機を落とすとされ、ロンド・ベルによる投入の既成事実化の努力が窺えた――
「でもよ、ウチもハイカラになったもんだ。モビルスーツを置くたぁな」
「ロンド・ベルからの要請だって話だけど、なんでだろう」
「ネオ・ジオン穏健派がサイコフレームの規制の事で連邦と交渉中だそうだ」
「あ、先輩。」
「その関係で、ロンド・ベルも既成事実化したいんだよ。量産型νガンダムの投入を」
「どうしてです?」
「条約はユニコーンガンダムを封印するのが目的だが、ナイチンゲールもハイνガンダムもサイコフレーム組み込んでるだろ?ネオ・ジオンにはルナツーの騙し討ちの例があるから、今の連邦の現場は疑心暗鬼なんだ。その関係で交渉が上手くいかないんだそうだ」
ジオンは第二次ネオ・ジオン戦争でルナツーの騙し討ちをしたせいで、条約交渉が上手く行かなくなる自業自得を味わっていた。そのため、連邦軍は疑心暗鬼であり、交渉を長引かせている面がある。そこはミネバ・ラオ・ザビが味わっていた労苦であった。地球連邦政府もデザリアム戦役の到来を控えていた都合、ネオ・ジオンとは穏便に済ませたい思惑があり、交渉自体は進んでいたが、νガンダムとサザビーの系譜の機体の扱いで揉めていた。フルサイコフレームはバケモノを生み出したが、そうでないνガンダムとサザビーの系譜の機体群はどうすべきか。ネオ・ジオン穏健派も悩む問題だ。
「サイコフレームを封印するのか?」
「民生目的やお前らを人為的にレインボー化させる触媒に今後は転用する。軍事目的は量産型νガンダムで打ち止めだ」
「ミラクルライトの素材に?」
「サイコフレームにはその力がある。次の戦いは宇宙だ。プリキュアとして戦うんなら、宇宙に適応できる形態でないといかんぞ」
「デザリアムとの戦い、ですね」
「そうだ。艦隊戦がたんまりあるし、ネオ・ジオンとの最終決戦もある。お前ら、覚悟しとけ。シャア・アズナブルは曲がりなりにも、ジオンでトップの撃墜王だった男にして、ジオン・ダイクンの忘れ形見。正式な嫡子でないにしろ、ジオンの子というカリスマ性を持つ。ロリコンのシスコンのマザコン男だが。強さは本物だ」
黒江は話に加わると、シャア・アズナブルの戦士としての実力は認めつつも、人間性は意外に卑小であるところを話す。アムロもシャアの人間性を『貴様とあろうものが、なんて器量の小さい…』と罵倒しているが、シャアの人間性は母性愛に飢える少年時代から大して成長せず、そのまま『道化のように』カリスマを演じてきたにすぎないものである。第三者から見れば『カリスマを気取る割に卑小な内面持ち』となる。これはアドルフ・ヒトラーの『カリスマ性は持つが、権力に立ったが故に人間不信気味の哀れな小男』にも似ており、シャアはジオン・ダイクンという親のネームバリューで周囲に持ち上げられてきた事に内心で嫌気が差してきており、『クワトロ・バジーナ』に戻りたい願望を持っていた。表向き、シャアはハマーンのやりたい事を自分の手で行いたいから、総帥の地位についたという罵倒が連邦からはある。アムロもあながち否定しないあたり、幾分は本当なのだろう。
「先輩、そこは辛辣ですね」
「シャアもいい歳だろうに、若い時に失った女への依存心を表に出す。そこが卑小だってんだ。アムロさんみてぇに未来を見るべきだぜ、本当に」
「でもよ、なんだってそんな外面のいい『だめんず』が総帥なんだよ?」
「ジオンは元々、ザビ家とダイクン家の骨肉の争いで成り立った。シャア・アズナブルの本当の名はキャスバル・レム・ダイクン。ジオン・ダイクンの庶子なんだ。正妻との間に子ができなかったから別の女に親父が手を付けて生まれた間柄。親父の教育が悪かったのかねぇ。母親は善人だって記録があるんだが…。家名と一年戦争での戦功で総帥の地位を手に入れたが、一年戦争の時は大佐なんだよな、最終階級」
「え、大佐なのか?」
「ジオンは将官はほとんどいなかったんだ。ザビ家の信任を得た者でもないと任ぜられない地位で、シャアほどの者でも『大佐』がせいぜいだったんだ。だから、実質、ジオンの大佐は連邦の少将くらいの権限を与えられていたって話だ」
ジオン公国時代、ジオン公国軍に将官は殆どおらず、デラーズ・フリートの首魁だった『親衛隊』の責任者だったエギーユ・デラーズでさえ、戦中は大佐だった。ザビ家の信任を得るのが如何に困難であったのかが分かる。
「ただ、シャア。グリプス戦役で連邦に潜り込んで、その時にハマーン派をだいぶ粛清して人材不足を起こさせて、グレミーに野心を抱かせたって話だ。ジオンお家芸の内ゲバだよ。ジオンはザビ家派とダイクン派で内ゲバをしてて、一年戦争の時はザビ家の兄弟達で派閥抗争があった。事実上、その派閥抗争でジオンはいつも負けてきたんだ」
アナベル・ガトーの賛美する理想とは裏腹に、ジオンは常に派閥抗争でその身を滅ぼしてきた。その様はマイッツァー・ロナやフォンセ・カガチにも小馬鹿にされるほどであったが、彼らも派閥抗争で組織が滅んでいるため、同じ穴のムジナであった。
「ジオン以外の多くの組織も派閥抗争で分裂して滅んできたが、のび太の世界での22世紀終わりからの戦乱期にはありがちな事だ。ジオンはガンダムを憎んでる。ジオンを常に大局的観点から打ち負かしてきたからな。だから、ガンダムを倒せるMSやモビルアーマーを作ろうと躍起になるんだが、いつも失敗する」
ガンダムを苦戦はさせるが、たいていは逆転されるジオンのフラッグシップ機。パイロット技能が機体に伴っていなかったとされる、二つの事例がジオンの拠り所だったが、歴史上の節目に現れる『ニュータイプが乗るガンダムタイプ』には常に負けてきた。相打ちの初代、キュベレイを倒したZZ、サザビーをノックアウトしたνガンダム。ジオンは連邦より優れた技術開発力があるとされるが、人材不足を補うため、発揮するスペック値を高めに設定する悪癖があり、ギラ・ドーガなどの名機は輩出するものの、フラッグシップ機では、あと一歩のところでガンダムには及ばないケースが多い。
「ジオンってこだわりあるんですかね?」
「打倒ガンダムと、ザクの再来だな。フラッグシップ機はガンダムに対抗できる力を、量産型はザクみたいな扱いやすさだな。一年戦争の時みたいに無駄に機種を多くした反省かもな」
「あれ、どうやってやってたんですか?」
「ジオンはコンピュータでの設計システムは連邦より進んでたって言われててな。それで連邦より多くのバリエーションを短時間に展開できた。今はオーバーテクノロジーで逆転したが、連邦は装備品の違いやミッションパックで対応するようになった」
「連邦は新機種はあまり造らねぇの?」
「用途別の新型は消極的だが、装備品は作りまくってるよ」
「それがビームバズーカやらビームシールド?」
「ああ。ただ、ビームシールドはステルス性皆無だから、特務用と偵察用には採用されねぇそうだ」
連邦軍は新機種を造ることには消極的だが、新装備は積極的なため、手持ち式ビームシールド、ビームバズーカなど、MS用の新装備は試作しまくっている。技術開発が進み、連邦軍が小型機やミドルサイズのMSを配備している時代、ジオンは標準サイズに固執している。ジオンは組織事情的にビームシールドを好まない面があるのもあるだろう。
「ネオ・ジオンがティターンズを支援してるのは確実だが、回せるMSはギラ・ズールやギラ・ドーガくらいだろう。地球至上主義のティターンズが狩るべき対象に媚びるのも哀れなもんだ」
「ネオ・ジオンって、新型は造ってないんですか?」
「火星のオールズモビルの連中がリファインシリーズを造ってるが、技術的にはギラ・ドーガとあまり変わらん。新技術に懐疑的じゃないとは思うが、ビームシールドは金がかかるしな」
連邦軍がRGM-122以降の新型を配備する一方、他の反連邦組織はギラ・ドーガか、それに毛が生えた程度の能力の水準のMSを使用する。クロスボーン系はブッホ・コンツェルンそのものが縮小、解体された影響か、戦後はその姿を見ない。ザンスカール系も帝国の解体と共にブラックマーケットに流れたらしいが、ビームシールドの維持費がかかるからか、人気はなく、オーソドックスな構成の旧ジオン系が人気だという。
「ブラックマーケットの世界でも人気なのはジオンのヤツだろ?なんでだ?」
「小型機は先端技術の塊に近いから、テロリストの手に余る。ジオンのは市販品でも整備できるからだよ、菅野。それと、ジオンはIフィールドでいいと思ってるんだろうな。機動力でビームを避ける考えが強いしな、あそこ。一年戦争からの生き残りならできるが、経験不足のパイロットは無理だな」
ここで黒江によって、小型機が先端技術の塊であり、テロリストの運用できるレベルを超えている事、統合整備計画の名残りで、ジオンのMSは市販品でも整備可能である事が語られる。
「なんか、きな臭いよなあ。そう考えると」
「仕方がないさ。ジオンは整備性の向上のために統合整備計画をしたが、実を結んだのは戦争末期の事だし、一年戦争の中期以前の機体は共食い整備とかで寿命を延ばすしか手段がない。その機体群は裏に流れた物も多いからな」
ジオンの記録では、統合整備計画規格の機体は実際に出回った数より生産数は多いらしく、降伏した時に、軍部がブラックマーケットに意図的に流したという情報もある。その結果、MSテロも多くなり、その対処の問題、銀河中心殴り込み艦隊の人員の雇用問題もあり、軍隊を完全に無くすのではなく、ガトランティス戦役当時の政権では、『世論の賛同を得た後に必要最低限の軍隊を再建する』という案が極秘裏に採択されていた。だが、事態の急迫性が高まり、急遽、現有の軍部を存続させて迎撃させ、以後はその体制が継続しており、メカトピア戦争後に始まった軍制の再編は軍を再建し、シビリアンコントロールを元に戻すためのものだ。
「MSでテロですか?」
「そうだ。23世紀の世界じゃ多いんだ。ティターンズ残党にジオンの残党が宇宙戦争のどさくさ紛れにテロやらかすんだ。俺は残党狩りに、なのは達連れて参加してるから、その辺は分かる」
「ジオンの残党やら、テロの残党やら…。俺にはわかんねーな。負けは負けだろ?」
「菅野、世の中はそう簡単じゃねえんだ。負けた軍隊の軍人は戦後世界には邪魔者なんだ。ランボーを見ろ。あれがいい例だ。日本も、ドイツも、ソ連も裏世界に落ちぶれた軍人は相当数いる。だから、福利厚生をきっちりしないと、軍人は社会不安の材料でしかない。史実の翁もそこを思い知ったから、自衛隊作ったり、恩給を復活させたんだ」
「日本の歪みはそこだろ?どこから見ても軍隊なのに、そうでないって言い訳がましい事を言い続けて…」
「日本は曖昧主義なんだよ。のらりくらりと経済を精強にしたが、その後の目標を見失って、人口減少期に入った。その対策が日本連邦なんだよ。日本は長い不況で経済が死に体も同然だった。打つ手なし、お先真っ暗ってな。2000年代始めから連邦化の交渉を進め、2010年代までかかったが、日本は折り合いをつけたんだよ。理想と現実にな」
日本の人々は嫉妬していた面はある。日本が戦前に保持していた国土以上の広さの領土、アジア地域最大にして唯一無二の大国という地位、自分達では持てない物理的な意味での世界屈指の軍事力。それらに嫉妬した一部の人々は『戦後化』を目論んだ。だが、扶桑と政治的に一つになれば、『如何なる経済モデルも立て直せない』とされてきた日本の経済は立ちどころに80年代までの輝きを取り戻し、良質な労働力を他国からの移民なしに賄える。軍事的リスクは増大するが、仮想敵国のいくつかが弱体化したため、自衛隊は2000年代前半の規模のままでもいい利点がある。それに気づき、日本連邦体制を受け入れた。扶桑が対大陸用の威嚇に戦艦と空母を数隻ほど置いているだけで、中国は表立っては手を出さないという安心感もあり、日本は昔年の影響力を徐々に取り戻していく。ただし、人的負担は求められたため、ダイ・アナザー・デイでは装備を秘匿兵器の供出で我慢してもらう変わりに、統合幕僚会議と統合参謀本部にかなりの幹部自衛官が派遣されている。扶桑生え抜きの佐官級参謀を更迭した事での代替人事であり、その事も扶桑軍の意識改革に貢献している。
「佐官級を大量に更迭して、か?」
「俺達の要求が楽に通るようになってるから、楽だぞ。俺が空自の派遣部隊の責任者だしな」
「そいや、そうだったな。それで飛んでるんだから、物好きだよな、アンタ」
「よく言われるよ。ま、パイロット出身は多いぞ。空自の高官。だから、パイロット育成の大変さは分かってくれる。実戦じゃ、1000時間まで出さないって悠長に構えてもいられんから、お前らを鍛え直しているわけだ。実戦慣れしてる分、覚えがいいからな」
「で、プリキュアの連中は使えんのか?」
「わたしとフェリーチェ、メロディ、ビート、ハッピー、マカロン、スカーレットはプロだよ、直枝。問題はそれ以外の子たちかなぁ」
「それとボクは問題ないよ、ドリーム。騎乗スキル持ってるし」
「あ、ミューズ」
「ボクは二重属性だもの、英霊とプリキュアのね」
キュアミューズはアストルフォとしての騎乗スキルを持つため、乗り物を乗りこなせる。その関係で、戦闘機に乗ろうとも、一流の戦闘能力を誇る。そこはキュアビートと同じ状況だ。
「そうなると、結構多いですね?」
「パトロールのローテーションが楽に組めるしな。戦闘機乗ってみせんといかんぞ。建前上、お前らは空中勤務者だし」
「確かにそうですよねえ」
「プリキュアの姿なら、耐Gスーツ無しで操縦出来んだろ?」
「美希ちゃんが現役時代に経験があるとか言ってたような…」
「トイマジンの時の戦いですね」
「そんな事言ってたねぇ」
「ま、体へのGはどうにか出来ても、機体はどうにもならん。レシプロ機には急降下制限速度がある。キ43やゼロ戦であまり縦方向の機動は出来ん。機体強度が低い部類だからな。烈風や紫電改、陣風、キ100で縦方向の空戦機動は使え。大戦前半相当の機種では、44や61しか向いてないしな。」
「ズブいんだよなー、61」
「仕方ない。あれはハ40が非力すぎた上、全備重量も重い。キ100になった途端に名機になった。飛燕はいっちゃ悪いが、その、エンジンが…」
「ええ。量産品は品質が安定しなかったから、本土でも予備を多く確保しまいと飛べないって評判でしたからね。どうしてです?」
「川滝にケイが問い合わせたが、資源節約のため、ニッケルを素材から外せって指令が出てたんだそうだ。そのおかげで、80時間程度でシャフトが折れる例が続発。ケイは予め、補給性を盾にして、オリジナルのエンジンを積んで、上手く逃れた。だが、他がな。空冷エンジンを積んだ途端に動くと来てる。歓迎されんはずがない。空冷に変えて軽量化されたんだから、軽快に動くんだよ」
「あれの開発が伝わると、歓声が上がったんですよ。いや、本当に」
ドリームも錦としての記憶から、飛燕はズブいと不満タラタラで、キ100は開発だけで大歓迎されたと話す。そこまで史実通りかと苦笑いの黒江とフェリーチェ、ミューズ。義勇兵曰く、『キ100はグラマンもP-51もp目じゃない。無理をしなければ、落とされることはない』と好意的であり、隼に代わる主力となりつつある。液冷エンジン研究の大家で鳴らした川滝航空機だが、史実の経緯から、液冷エンジンに不信感のある義勇兵から伝わる悪評を払拭出来ぬまま、ジェット戦闘機の時代を迎えつつあった。飛燕は二型の量産品が99機ほど出来上がりつつあったが、『もはや、飛燕の時代に非ず』とされ、二型はテスト部隊に試験配備されるのみになり、川滝最後のレシプロ戦闘機はキ100系統。液冷エンジンの大家が最後に送り出したレシプロ戦闘機が空冷エンジン機なのは、川滝にとって何よりの皮肉でしかなく、のび太も『飛燕だからなー』と辛辣なコメントを出したという。
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