まえがき
本編中のネタバレを含みます。
最低でも幻燐編までは読んでからの方がいいかもしれません。
[人物設定]
■ルシファー(???)
黒翼だとか、敬称を付けて黒翼公などと呼ばれる、古神に属する魔神。真の名とその司るものは本編で。
一人称は私で三神戦争の時期に形作られた。古神ルシファーと遭遇したのもこの時期。
本人の言では、以前はまた別のなにかであったのだと感じているらしい。
元々はハイシェラと同じ形のない精神のような存在だったが、古神ルシファーの精神と魔力を吸収することで受肉した。
どのように生じたかはハイシェラと同じで本人も分からないし、気にもしていない。
生まれた場所は無という概念すら存在しない異空間。
好奇心が強く気まぐれなところがあり、善悪問わず何かしら誇りを持つ者を好む。
ただ、邪神となったアイドスにさえ魅力を感じるなど、短所よりも長所にまず目がいく性格。
そのため彼が嫌う相手は余程たちが悪いといえる。また騒がしい相手を苦手とする。
掃除、洗濯、料理などの人間の行動は、一人旅ができる程度には可能。要するに興味が無いので雑である。
水の巫女と古神ルシファーがいろんな意味で天敵。
☆風鎌剣(かざかまけん)※風鎌とは鎌鼬の意。
ルシファーが会得している剣技だが、我流ではない。
しかしルシファーが扱う剣が片手半剣なので、通常の風鎌剣とは別物。
軸となるのは攻撃速度重視のヴェングス。他に剣圧を飛ばすブラッシュ、全体攻撃の恍舞剣がある。
恍舞剣だけ名称が違うのは、飛燕剣を風鎌剣にアレンジした技であるため。
それぞれ身妖舞、殲鋼斬、紅燐剣に対応。
セリカの魔法剣と対になる技も存在。上位になるほど魔術から古神としての特性になる。
■アイドス
本作のメインヒロインにして慈悲の女神。一人称は私(わたし)
力の消費を抑えつつ、ルシファーと共に戦うため神剣に封じられている。
剣そのものになったわけではなく、剣――正確にはそれを飾る品の一つである紅の宝石に宿る。
剣自体は、天使のみに伝わる特殊な形態維持の魔術で保護されている。
また、リューシオンの力が宿る月晶石を取り込んだため、邪気に汚染されることもなくなった。逆に浄化の力を獲得している。
聖なる裁きの炎と対を成す聖なる慈悲の光を操る、というのは本作独自設定。
女神として司るのは慈悲、慈愛、恩寵、平等。とても情の深い女性でもある。
☆神剣
正式名は神剣アイドス・グノーシス。
月晶石の力と慈悲の女神アイドスが宿る神剣。
全長は百四十センチ程度。ハイシェラソードは片手剣なので、それより五十センチほど長い。
両手剣というより片手半剣。そのため扱いが非常に難しい。
■セリカ・シルフィル
天然女殺しで神殺し。悲劇のヒーローでありヒロイン。一人称は俺。
恋人ができたと思ったら実は敵対する陣営の神様で、親友、恋人、所属していた神殿の同僚、実の姉。
次々に親しい者を失ってしまい、最後には自失して女神から譲られた体を魔神に乗っ取られた男。
復活したはいいが記憶を失っており、邪神として全世界から狙われる破目に。
いろいろあって邪神オディオを倒した後、盟友たちと共にサティアを探す旅に出ることになる。
■ハイシェラ
地の魔神であり、系譜としては機工種族に当たる。一人称は我。
三神戦争の際に生まれた魔神とされ、元は形のない精神体のようなものだったらしい、数多の生物を吸収して魔神化した魔族。
人類に改造された結果、機工女神の一種となった。
実力は上位魔神級であり、ルシファーに勝った最初の存在。二人目はもちろんセリカ。
主人公の姉のような存在であり、セリカの保護者。
■エクリア・フェミリンス
姫神の末裔。本作ではルシファーの使徒。
原作ではセリカの使徒であり、戦女神の世界で最も健気という言葉が合うかもしれない方。
しかしその実態はラスボスだったりする。
■セリーヌ・フェミリンス
原作では姉にさえその存在を忘れられ、僅か数文しか登場しなかった悲しい人。
本作ではセリカを慕い、セリカが護りたいと思った数少ない人物。
三姉妹の中で唯一人だけ姫神化していない。
■リウイ・マーシルン
本作では中立路線を進む覇王。三人目の主人公。
実力的にはセリカ相手では防御に徹してやっと戦いになる程度だが、
その治める国家の力は西側諸国を相手取っても問題ないほどに精強となっている。
■イリーナ・マーシルン
覚醒の王妃。原作と違い一度は姫神化しているため、魔術戦においては姉に迫る。
本作では生存しているため、リウイがその王道を間違えないように支えているようだ。
[用語]
☆現神
エルフ族や亜人種など、人間世界とは別の異世界の生命を支配していた神々の総称。
一般的にディル=リフィーナで神と言えば彼らのことになる。
太陽神にして黄金の竜であるアークリオンを主神とし、対立陣営に暗黒の太陽神ヴァスタールが存在。
■嵐神バリハルト
現神系光陣営の一級神で、嵐と開拓の神。個人的なイメージは征服王イスカンダル。
セリカは元々この現神に仕える神官戦士だった。
粗暴な面と、情熱的な魅力を併せ持つ男神。
セリカがセーアル地方の神殿を破壊してから規模が縮小したらしい。
マーズテリアやアークパリスと並び武勇に優れた神であるが、状況によっては犯罪に手を染めることも。
そのため、より厳格な性格の太陽神アークパリスとは仲が良くないらしい。
セリカのような優しさを持つ者や、ガーランドのような粗暴な者。
様々な信仰者がいるのは、教義の解釈が違うためだろう。
■戦神マーズテリア
現神系光陣営の一級神で、他の追従を許さない軍神。
地方神であるヴァシーナなど、軍神と称される神は多数存在する。
しかしマーズテリアほどの武力を有する神は他にいないため、名実共に最強の現神と思われる。
古神に属する女神を複数娶っている情愛の神でもあり、よき夫と評される。
他の現神についてもいえることだが、彼ら現神は人間が望めば信仰心と引き換えに手を差し伸べるようだ。
理由としては、ヴァシーナが古神はそうしなかったため滅んだと言っている。
■風女神リィ・バルナシア
風の女神で、バリハルトの妹神。
戦女神としての性質を持ち、三神戦争ではオリンポスの戦女神アテナと死闘を演じた。
光の二級神。
■混沌女神アーライナ
混沌の女神と評されるが、元は一定の秩序と大地を司っていた。
その名残で癒しの力を持ち、神官は闇勢力では回復魔術を扱える貴重な存在。
その正体は、人間には闇の魔女として伝わるが、元々異世界の古代神のため巨大な蜘蛛とされている。
☆地方神
土地に縛られ、その土地のみで一定の信仰を集めた土着神。
基本的には自分の治める土地から出ることはできない。
その分、その領域内では絶大な力を発揮する。
■水の巫女
レウィニア神権国の地方神。
その生まれは水精霊が先読みの力を得て神格化したなど多々あるが、どれも定かではない。
古神に対しても現神に対しても中立な立場を取るが、そのため水と融合した機工女神である可能性も存在する。
ルシファーは思惑が全く読めないこの女神を天敵としている。
■姫神フェミリンス
幻燐編で登場。詳しくは原作を。
☆古神
ペルシアやオリンポス、聖書などに記される人間世界の神。
三神戦争で封印、または滅んだ。
■ソロモン七十二柱
真鍮の封印王ソロモンに仕えた魔神の総称。
三神戦争後に人間世界に興味を示し、世に現れ始めた。
その全てが魔界において爵位を持ち、下級神に相当する実力者ばかりである。
原作ではナベリウスやアムドシアス、パイモン、アスモデウスなどが該当。
また魔神ベルフェゴルは七十二柱ではないが、原典はバアル=ペオル、或いはベルペオル《ペオル山の主神》を意味し、
本作では元権天使扱いだが、古神の一柱ともいえる。
■邪神オディオ
オディオとはラテン語で“憎しみ”の意。
人間の憎しみから生まれ、邪神として人間に憎まれ、人間の感情を引き出すことで世界に憎しみを生み出した。、
またそれしかできない自分を憎んでいた憎悪の神。同じ場所の生まれという意味で主人公の義弟である。
人間族やその他、多くの種族の想念から創り出された彼は正しく信仰を得た“神”
誕生時に慈悲の女神アイドスの魔力を得ているため、その生まれもあって古神に属する邪神となった。
その行動理念は“母”である女神アイドスの願い――人間の感情を奪い争いを世界から無くすことのみ。
セリカの捕縛は自身に“個”としての自我を与えたラプシィアの刷り込みである。
感情で動いていたわけではなく“それしか知らなかった”ため、邪神にしかなれなかった存在。
その正体はルシファーと同じ空間にあったエーテル体となったもの。
サタンやルシファーと同一視されることもある“神に仕える堕天使”
悪霊を従える魔神――記憶を無くしたマステマの精神体である。
当然、古神ルシファーもその存在には気付いていた。
“慈悲”から全く対極にある“憎悪”が生まれたことは必然的なこと。
深い愛情も一歩間違えれば憎しみに変わることの表れである。
ルシファーによって与えられた新たな名はオルトゥス(誕生)である。
■古神アストライア(サティア・セイルーン)
セリカの求める運命の人。正義と裁きを司る、オリンポスの星乙女。
乙女座になった女神の候補の一柱。
そのシンボルは善悪を測る天秤。そして悪を断罪する剣という他の正義の女神と同じ。
しかし穏健派らしい彼女は、天秤を持った有翼の女神として描かれることが多いらしい。
それを取り入れてか、戦女神ではセリカとの戦いで剣――天秤の十字架(リブラクルース)を初めて抜く。
そして最初で最後の戦いに挑むと宣言していた。つまりサティアは旅の中、一度も誰かを傷つけたことがないことになる。
現在のその精神の在処は不明。
■古神ルシファー
ルシファーの“父”と呼べる存在。真の傲慢の神。
その能力は神と呼ぶに相応しく、創造などの唯一神の業の模倣を得意としている。
ちなみに所詮借り物なので、主人公はその力を限定的にしか使用できない。
司る権能は傲慢だが、自尊心や自信なども当然該当している。
それは人間が生きるために必要な性質であるため、一定の信仰を得ていた。
俗にいう、狭義的な悪魔信仰の対象。
■ビヨンデッタ(???)
超越者であるセリカが認識できないほどの速度で移動できる謎の女。
見た目は美少年でも通じる中世的な顔立ち。しかし体付きは女性的。
言動からは人間をよく思っていないことが窺える。
また、ハイシェラやルシファーを知っているような口振りだが……。
☆三神戦争
一万年以上遥か昔に起こった神々の戦。戦女神の時代では人間族には御伽話としか伝わっていない。
実際にそういうことがあったと理解しているのは、長命なエルフ族や現神の神殿でも上層部に限られる。
その原因は人類が創造した人工の豊穣女神――機工女神の予期せぬ行動にあった。
多くの古神から信仰が失われつつあった時代(この時代の科学技術は神の奇跡と遜色ないものであったらしい)。
“女神の微笑”時代を築き上げた機械仕掛けの神であった彼女たちが、
人間を思うあまり荒廃した世界を、豊かな現神の世界と融合させてしまったことが発端。
世界の覇権を賭けた権力闘争に至る。
現神セーナルの奸計によって古神は信仰を完全に失い敗北。封印や滅びを迎える。
しかし一部例外も存在し、古神タルタロスなどは人間が死んだ後に辿り着く冥界の管理者であるため、
世界の在り様を守るために封印を免れている。
またこの後、三神戦争に参加しなかった神々による反乱が起こり、
大地母神アーファ・ネイを中心に現神の導きで形成されたラウルバーシュ大陸は地殻変動を繰り返したため、
古神は災厄を振りまく邪神と扱われるようになった。
☆神の墓場
神と名のつく者が力を封じられる異界。
実際は現の神々が住む神界に存在しているため、完全な異界とはいえない。
☆名も無き世界、0
始まりであり、終わりの地。
ありとあらゆる可能性が揺蕩い、しかし何も存在しない、すべての開始点。
“魔神ルシファー”の意識が生まれた世界。
《あとがき》
ここまでの設定の更新。それとイラストを追加しました。
私ではなく友人の作品ですので、一応無断転載、転写などは禁止とさせて頂きます。
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