綾瀬 夕映は雄大な自然を前に感動していた。
「……素晴らしいです。これが未知なる世界への第一歩です!」
オーロラが空を七色に染め、澄み渡った美しい水面が鏡のように雪山を魅せる。
「世界はこんなにも美しかったです!
ああ! 今、私はこの美しい自然に心が震えるのを抑えきれません!!」
目に映るものが全て新鮮で好奇心が頭を擡げて……興奮を抑えきれない。
「……いや、まあ感動してくれるのは嬉しいけど」
「…………(フ、何も知らずにただ感動しているというのが……羨ましいネ。しかし、何故、こうも心の汗が止まらない
ネ)」
この後に起こる夕映の悲喜劇?を思って、ホロリと涙を流す超 鈴音。
おそらく夕映も自分と同じように大自然の驚異の洗礼を受ける事になるのだ。
「師父……まさかとは思うが、夕映サンもフ○フルなのカ?」
以前、この地で痺れさせられた飛竜をいきなり実戦経験ゼロの夕映に狩らせるのは……スパルタ過ぎる。
一応、シミュレーションみたいに訓練は受けさせていたのは知っているので、大丈夫だとは思っているが……浮かれている夕映を見ていると非常に心配だった。
「そこまで鬼じゃないわよ……ドス○ァンゴなら大丈夫でしょう、多分」
「……そだな、大丈夫だろうネ、多分」
語尾に多分を付け合って笑う超とリィンフォース。
今回のミッションは"雪山の荒くれ者"だった。
麻帆良に降り立った夜天の騎士 課外授業
綾瀬 夕映の世界奇行?
By EFF
まるでお上りさんのように舞い上がった様子で雪山を歩く夕映。
「これが次元世界を渡る魔導師の魔法ですか……本当に素晴らしい♪」
『落ち着いてください、マスター』
その手に持つインテリジェントデバイス――トゥルースシーカー――が興奮する夕映を宥めるも……効果がない。
麻帆良学園の制服をベースにした騎士甲冑を纏い、耐寒性能を効かせて洞窟内を一行は歩いて行く。
「サテ、始めるネ」
「そうね……始めましょう」
興奮する夕映を放り出して、超とリィンフォースがピッケルを持って鉱石を採掘する。
「何をしているです?」
耳障りな音が耳に入ってきて……夕映は目を向ける。
「黄○石のかけら……か、微妙なところね」
「そうでもない。この世界の黄○石は純度も高く、向こうに持ち帰れば……資金調達にはオイシイネ」
不純物を取り除く工程はこの世界よりも自分達の世界の方が遥かに上だ。
はっきり言って、かけらに分類されているが、数個持ち帰れば……結構な金額になる。
しかし、それ以上にこの世界で採掘できる鉱石は魔力や気を伝導しやすく……硬度もあるだけではなく強靭だった。
ちなみに超のハンターランクはリィンフォースとの付き合いでG級に到達していた(もっとも血と汗と…心の汗を散々流したが)
「……珍しい石ですか?」
「後で説明するわ」
未知なる物に対する好奇心、探究心が豊富な夕映は瞳を輝かせて、リィンフォースの手の中にある鉱石を見つめている。
「では師父。私の方はポ○を狩てくるネ」
「任せた」
せっかくの異世界移動なので超包子の限定メニューの確保に余念がない超。
「ポ○というとあのマンモス?」
「あれの舌――タン――が超包子の限定メニューポ○ノタンなのよ」
「え?…………え、ええっ!?」
超包子でも非常に数の少なくて、食した者は運が良いと言われている限定メニューの材料を聞いて夕映は驚いている。
そして追記すれば、3−Aで食べる事が出来たのは関係者を除けば、幸運の女神に愛されていると噂される椎名 桜子に付き合ってご相伴に預かった釘宮
円と柿崎 美砂くらいだった。
「あ、ついでにホワイト○バーの確保もよろしく」
「承知したヨ」
「エヴァがね、酒のつまみに気に入っちゃったのよ」
「……師父も苦労してるナ」
エヴァンジェリンの我が侭と聞いて、超はリィンフォースの苦悩を知る。
「まあ、ついでだし……いいんだけどね」
「そうダナ」
「幸いにも一名確保できたし……」
「はい?」
リィンフォースの顔が夕映にロックオンしてるのを見て、超は新たな犠牲者の誕生を理解すると同時に自分の負担が減る事を理解して喜ぶべきか、憐れむべき
か……苦悩していた。
「それじゃ、頂上の方に行くわね」
「か、確保ってなんですか!?」
「夕映サン……あなたは本当にイイ人だたネ」
「はぁ!? 超さん、その涙は!?」
「これは……心の汗ダ
ヨ。涙じゃないネ」
リィンフォースに引き摺られる形で頂上へと向かう夕映に、超はわざとらしく別れを惜しむように白いハンカチを降っていた。
「スマナイネ……貴女がいれば、ある程度の供給が出来るのダ。
超包子の新たな礎としてガンバルネ!!」
「それって人身御供です!!」
「ちゃんとバイト代出す……だから、安心して逝くネ」
「字、間違ってるです!!」
鍾乳洞のような洞窟内に夕映の叫びが木霊していた。
この日より、綾瀬 夕映が超包子の新メンバーになったかは定かではないが……ポ○ノタンがメニューに載る機会が増えたのは確かだった。
「……いえ、私は好きでやっているわけでは……確かに新たな食の追求に関しては否定しませんですが…」
忸怩たる思いがあるのか、それとも食い意地が張っていると思われたくないのか……後に非常に苦々しい表情でネギ達に話す夕映の姿があり、
「しかし、何というか……興味があるのは否定しませんです」
誰にも聞こえないように零した一言を偶然耳に入れた宮崎 のどかが夕映の為に黙っていたのも隠された真実だった。
雪山を歩きながら二人は山頂へと足を向ける。
「……来たわね。あれが今日の夕映のお相手よ」
「きょ、巨大イノシシ?」
「アレを狩るのが夕映の初仕事」
自分よりも二回りくらい大きなイノシシが悠然と歩いてくる。
「一応戦闘訓練も済んだことだし……初仕事にしては結構楽な相手にしたわ」
「そ、そうですか(い、いえ戦闘訓練っていうか、デッドオアライブな実戦形式の荒行……いえ拷問って感じでした)」
いっそ殺してと言いたくなる様な苦行の日々を思い浮かべる夕映。
エヴァンジェリンの"弟子とは死なない程度に嬲るもとい……遊ぶオモチャだ"の薫陶よろしくだったリィンフォースの訓練はまさしく荒行だった。
精神だけを仮想空間に移動させて、体感時間が約半年ほどのマンツーマンでの実戦訓練はキツかった。
最初の一月ほどは魔力の出し方から始まる楽な初級講座だったが、それが終わった後はマジで何度も死に掛けた。
判断ミスで手足が千切れるのは……ごく当たり前の話でおかげで痛みには強くなれたと思う。
「何、泣いてんのよ?」
「いえ……なんでもありません」
思い出して超のように目から心の汗が止まる事なく流れていく。
手足を失ってパニック状態になった事は一度や二度ではなく……何度か逃げ出したくなったのも事実。
しかし、悪意があってやったわけではなく、修業の一環であった事を思い出して……耐えてみせた。
(そうですね。非日常の世界に足を突っ込んだ以上は泣き言など言えないです!)
こちらに気付いたのか、急に鼻息が荒くなって力を溜めるような体勢に入る巨大イノシシ。
夕映はトゥルースシーカーを構えて戦闘体勢を取る。
――ブホォォォォォッッッ!!
勢いよく突進してくるド○ファンゴ。
「甘いです!」
夕映は落ち着いて突進を避けて……攻撃を開始する。
一定の距離を保ちながら攻撃を行い、着実にダメージを与えていく。
「レイシューター、セット!」
『イエッサー!』
「ファイアッ!」
夕映の指示に従って、周りに魔力を固めた魔法弾が四つ展開して射出される。
一つは真っ直ぐに飛んでド○ファンゴへと向かい、注意をさせるように仕向けて、残りの三つが側面と後方から襲い掛かる。
夕映に向かって突進しようとしたド○ファンゴの鼻面に直撃して踏鞴を踏ませ、動きを止めた所に残りの三つが着実にダメージを蓄積させる。
「行きます!」
『ランサーフォーム、セット』
手にした杖の先が二つに分かれ、その間から魔力で構成された刃が槍のように伸びる。
「ス
ティンガーブレイク!!」
『ブレイク!!』
ド○ファンゴに刃先を向けて、一直線にぶつかるように突進する。
――ブオォォオォォォッッ――!!
ド○ファンゴの突進攻撃のお株を奪う夕映の必殺の一撃が横っ腹に突き刺さり……ハデに空中へと弾き飛ばした。
そして、地面を陥没とまでは行かなかったが、落下してきたド○ファンゴは地面を若干窪ませて……息絶えた。
「……失敗しました。本当は突き刺して、レイブレイカーでトドメだったんですが……」
突き刺し、至近からのゼロ距離射撃コンボで倒すつもりだった夕映が残念そうに呟いた。
「ま、良いんじゃない。倒したのは事実だし」
「……それもそうです。ま、初めて戦闘という事で納得するです」
結果的にはオッケーだが、やや納得していない夕映を宥めて、剥ぎ取りに入ろうとするリィンフォースだったが、
『マスター!』「分かってる!」
地面に大きな影を落とし、すぐさまに地響きが発生する。
「な!? な、なっ!?」
少し驚きながらも夕映はトゥルースシーカーを構えて、新たに現れたモンスターと対峙する。
「ティガ○ックス! 夕映! 後ろへ下がりなさい!」
黄色い竜鱗に青い線が縞模様のように全身にあるドラゴンが降下してきた。
(……虎っぽいです)
鋭利な牙を持ち、巨体を頑丈そうな四肢で大地に根付かせる。
リィンフォースの指示を聞いて、即座に下がる夕映は初めて見るドラゴンの勇猛さに目を奪われていた。
「ヤバッ!?」
リィンフォースの切羽詰った声と同時にドラゴンは前足を踏ん張って、翼を広げて、少し首を引いた後に、
―――グォオオオオオオォォ――ッ!!
衝撃波を伴った雄叫びを上げて、
「きゃあぁぁぁあぁぁぁっ!?」
防御を固めていた夕映を防御毎……弾き飛ばしていた。
「な!? な、ななな!?」
地面をゴロゴロと転がりながら夕映は思う。
「きょ、巨大トカゲに……唾かけられたです!?」
雄叫びの際に吐き出された唾がバリアに接触していた事が……イヤだったみたいだ。
「……心配して損したわよ」
怪我でもしてないかと心配しかけたリィンフォースが呆れるように呟く。
「夕映! いきなりで悪いけど……やるわよ!!」
「分かったです!!」
逃げるのは可能だが、ここで逃げるとポ○を狩っている超のところに行くのは間違いない。
肉食で積極的にポ○を捕食しようとするのは確実で……ここで倒しておかないと超包子の営業に響きかねない。
久しぶりにポ○ノタンをメニューに載せようと考えていたのが台無しになるとリィンフォースは判断して、目の前のティガ○ックスを狩猟する事を決断した。
「夕映! 離れ過ぎず、近付き過ぎずで戦いなさい!」
「は、はいです!」
「距離取ったら……雪玉をぶっ飛ばしてくるわ!」
リィンフォースの注意をしっかりと耳に入れて夕映は動き出す。
既にリィンフォースは行動を開始して、ティガ○ックスに攻撃を始めている。
「フォトンランサーファイ
ア!」
どちらを先に狙うか、考えていたティガ○ックスの顔面に雷属性の魔力弾が着弾する。
「コイツ、雷に弱いから!」
「分かったです!」
先に攻撃したリィンフォースを睨むようにティガ○ックスは身体ごと向き直る。
「サンダーブリッツ、セット!」
『イエッサー』
雷属性の魔力弾をセットして夕映はティガ○ックスの側面に回りながら撃ち出す。
「ファイア!」
―――グ、グオォォオォォォ――ッ!!
前肢にヒットし、踏鞴を踏ませながら次弾を装填する。
ティガ○ックスが夕映の方に振り向いた瞬間にリィンフォースがセイバーモードで飛び込んでくる。
「雷刃一閃っ!!」
『ライトニングスラッシュ!!』
―――ギュオオォオォォォ――ッ!!
背後から雷の刃で一気に尻尾を斬り落とそうとした一撃はその強固な竜鱗を傷付け……深く切り裂いて血を流す。
「相変わらず硬いわね。
夕映! 前肢に攻撃を集中!」
「はいです!」
ティガ○ックスは即座に振り向き直してリィンフォースに噛み付こうとするが、その頃には牙の届かぬ範囲へと下がっていた。
そして夕映はリィンフォースの指示に従って前肢に狙いを定めてヒットアンドウェイに徹していた。
獰猛な唸り声を上げて……苛立ちを隠さない轟竜と呼ばれる飛竜との戦いが幕を開けた。
――グオォォォォ――ォォォォォ………
雪山にティガ○ックスの断末魔の叫びが木霊する。
尻尾を斬り落とされ、前肢の鋭い爪を壊され、頭部も傷だらけの姿の轟竜が地に倒れていく。
「……硬かったです」
数えるのを止めるまで魔力弾を叩き込んだ夕映は肩で息をしながら呟く。
「これより硬いのはいるけどね」
「……マジですか?」
呆れるくらいの強さを見せた飛竜よりもまだ……強いのがいるらしい。
「しかしおかしいわね? 偶然……遭遇したと思っていいのかな?」
腕を組んで考え込むリィンフォース。
「それはどういう意味ですか?」
「オババが持っていた情報ではド○ファンゴが縄張りにしていただけだったの」
「つまり……何らかの事情があって此処にやってきたわけですね」
リィンフォースの言いたい事を先取りするように夕映が答えを導き出して話す。
「そういうこと」
「移動するという事は……自分の縄張りに異変が生じた『マスター! クシャ○ダオラの生体反応が出ました!』」
「……マジ?」
『はい、こちらに近付きつつあります。
おそらくですが……脱皮するために来たのではないでしょうか?』
「ティガ○ックスの剥ぎ取りは後回し! 即座に村へ転移させるわよ!!」
『イエッサー!!』
「な、何事です?」
状況が分からずにリィンフォースの尋ねる夕映。
ティガ○ックスの死体を包み込むように魔法陣が地面に浮かんで……ティガ○ックスが魔法陣に沈み込んで転移する。
「超! 聞こえる!?」
『何かナ、師父?』
「鋼竜が来た
わ」
『…………逃げても構わないカ?』
気楽に話していた超の声音が瞬時に重いものに変わる。
夕映には全然意味が分からないが、どうも"鋼竜"の単語が先ほど聞いた飛竜の名前だというのは理解した。
「こっちもさっさと逃げるところよ!
流石に轟竜に乱入された後じゃキツイの!」
『承知したヨ! こっちは八割程度狩り終えたネ!』
夕映は二人の通信内容から何となくイヤ〜な予感がしてきた。
その予感が正しいように何か異様な圧迫感が雪山を包み込んでいくような感覚を感じ始めていた。
(……何ですか? 重苦しく……山全体が怯えているような……)
ありのままに全てを受け入れ、受け止める懐の深さのある感じがした雪山が……異様な空気を醸し出している。
「……あれは?」
「ゲっ!? もう来たの?」
遠くの空から徐々に大きくなってくる鈍く錆びた鉄のような色をし
た翼を大きく広げたドラゴン。
しかも大きさが大きくなるという事はこちらに向かって来ている。
翼の羽ばたく音が徐々に大きく耳に入り……周囲の風が徐々に激しく乱れてくる。
(……凄い………こんなにも存在感があるなんて…)
威風堂々という感じではなく、荒々しい躍動感や生命の溢れる力感が皮膚越しに響いてくる。
大地に降り立ち、周囲を一瞥して自分達を発見する赤く錆びた竜鱗を持ち、風を
纏い古より人々が恐れ敬う古竜が目の前にいる。
「これが古竜クシャ○ダオラよ」
「クシャ○ダオラ……」
こちらを見つめていたクシャ○ダオラがゆっくりと顎を開き始める。
「ヤバっ!!」
「な、なにが!?」
『プロテクション・パワード!!』
慌てて夕映の前に立って防御の魔法を展開するリィンフォース。
夕映はいきなり視界にリィンフォースの背中が入り……何事かと感じた瞬間、
―――オオォォオォォォォ――ッッッ!!
山全体に響き、魂を鷲掴みするような咆哮と共にリィンフォースが展開した守りを打ち砕かんとする風の塊が襲い掛かってきた。
「……風のブレスですか?」
カートリッジで強化されている守りの盾がミシミシと悲鳴を上げて
いる。
訓練時にその盾を砕くのに夕映はかなりの魔力を消耗したのに……クシャ○ダオラはただのワンブレスで悲鳴を上げさせた。
「夕映! そのまま洞窟内に入って!」
「は、はい!」
戦うと言われたら、とてもじゃないが今の状態では生き残れる自信がなかったので素直に従う。
夕映が洞窟内に入ると同時にリィンフォースがブレスの勢いを利用して、飛ばされるように中に飛び込んで来た。
「……万全の状態だったら、戦っても良かったけど……ちょっと今は無理ね」
安堵するような声を漏らしながら、夕映の手を掴んでリィンフォースは村へと転移する。
村へ転移し、リィンフォースは夕映を引っ張りながらオババの元に向かう。
そこには既に転移した超がオババに説明している姿があった。
「師父! 夕映サン!」
「おお……無事じゃったか?」
「……なんとか無事です。とりあえずティガ○ックスはこちらで解体してもらえます?」
「ふむ、それは構わんが……まさか、脱皮の時期にしては些か早いのぉ」
「他のハンターに竜鱗を傷付けられて、再生したが……そのまま脱皮へと進んだカ?」
超が可能性の一つを上げて、時期外れの脱皮を理由を話す。
「ふ〜む……こんな事態はそうそうなかったんじゃが……まずは山への立ち入りを禁止せねばならんのぉ」
「状態からして、数日したらまた移動するでしょう。それまでは決して刺激しないのが良策ですね」
「そうじゃな」
理由も大事だが、今は山への立ち入りをどうするかで話し合うリィンフォースとオババ。
二人が真剣に話し合う中、超は夕映の身体が震えている事に気付いて声を掛ける。
「夕映サン……怖かたかネ?」
覗き込むように夕映の俯いた表情を見ようとした超だが、
「……素晴らしい」
「ハ?」
「なんという生命の神秘! そして力強さ!
私は今! 猛烈に感動してるです!!」
好奇心、探究心溢れる表情で楽しげに話す夕映に毒気を抜かれて絶句した。
(…………心配して損したネ)
普通なら怯えるはずだが、既に他のドラゴンを見た所為か……全然怯えずに感動している。
「逞しい子じゃのぉ」
「……否定はしませんよ、オババ」
「超ちゃんも変わった子じゃが……のぉ、お主が連れてくる子はお主も含めて……こんな子ばかりじゃな」
「やだなぁ……私は変じゃないですよ」
自身の事は棚に上げつつ、超と夕映を変人扱いするリィンフォースに超は抗議する。
「……師父、それは酷いんじゃないカナ?」
「見る分には元気が良くて楽しいんじゃが」
「それも否定しませんよ」
「オ〜イ、偶には人の話を聞くネ」
相変わらず超の言い分を耳に入れない二人だった。
「未知なる大地に、未知なる生命体……ああ、前人未踏の世界とは見るもの
全てが刺激的です!!」
そんな超の背後では夕映が鼻息荒く叫んでいる。
村の住民達は何か珍しい見世物みたいに楽しそうに笑いながら見物していた。
いよいよ……綾瀬 夕映のハンター生活の幕が開こうとしていた。
「……このドキドキノコ、とても刺激的な食べ物です!
全く以って、このビリビリ感がたまりません!!」
「……それって、毒の効果が出たんじゃない!?」
綾瀬 夕映のとても刺激的な食の追求が始まるかもしれなかった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
EFFです。
……好奇心と探求心の塊みたいな夕映らしいかなと思ってます。
突っ込まれると焦りますが、これもまたアリと言う事で(核爆)
次元世界を移動出来る魔導師ならではのイベントにしてください。
それでは次回の課外授業で(多分、書くかもしれませんがあまり期待しないで下さい)
押して頂けると作者の励みになりますm(__)m