これは、世界が示す一つの道。

IFの世界。

その世界に、彼らは居た。
















機動戦艦ナデシコ
〜死神の寵愛を受けしモノ〜







とある喫茶店で、男3人が会話をしていた。

「貴方が、火星駐留軍最強のエステバリスライダーの…」

「テンカワ アキトだ。 こっちは弟のカイトだ」

「どうぞよろしく」

ぶっきら棒に答えるアキトと違い、礼儀正しく答えるカイト。

そんな彼らを一瞥した男、プロスペクターは納得したかのように頷く。

「…どうやら本物のようですね」

「あん?」

「いえ、こちらの話です。 で、…お二人はどうやってあの火星から地球へ?」

「知らん。…まぁ予測は付いているがな」

「ほぉ…ま、その話は後々と言う事で。ここからが本題なのですが…テンカワさん、戦艦に乗りませんか?」

最後の方を小声で話すプロスの言葉に、疑問の声を挙げるカイト。

「戦艦?」

「このお時勢に、一企業が戦艦だと? …一体どういうことだ?」

「詳しくは機密なので言えませんが…目的地は火星です。どうです?」

プロスの何か含みのある言葉に、二人は黙って頷くのであった。













「へぇ、これが…」

「はい。これが我が社が開発した戦艦ナデシコです!」

「変な形。 空力まったく無視した形状だな」

「これは厳しい言葉を。 ですが、空力に関しては問題ありません」

自信満々に告げるプロスに、何か思いついた様子のアキトは呟く。

「…ティストーションフィールドか」

「その通りです!」

「実用化されたんですね〜」

「武装は主砲のグラビティブラストと副兵装のミサイルのみ…、しかも主砲は可動式ではない…何を考えているんだ?」

「試験艦って意味合いが大きいんじゃないかな?」

細かく意見を言われ、流石のプロスも苦笑いするしかなかった。

プロスが彼らをナデシコの中へと案内しようとした瞬間―――

ヴィーヴィーヴィー

喧しい程、ドック内に警報が鳴り響くのであった。









突然の敵襲警報に、ざわつくブリッジ。

そんな中、金色の瞳の少女は普段と変わらず冷静に対処していた。

「(オモイカネ、敵の総数は…――そう、わかったわ。ありがとう)」

必死で対抗策を練ろうとしている大人達と違い、ただ一人何も喋らずにいる少女は端から見ると、

人形のようで、命に括りを持っていないように見えるが…その内は、皆と一緒で生への道を探していたのだ。

「(…何やってんだか。 あーあ、私もここまでかな)」

が、馬鹿みたいにギャーギャー喚く大人を尻目に、早くも諦めが入る。

【エレベーター起動。エステバリス二機が地上に向かっています】

「(2機…?着任しているパイロットは一名の筈ですが、、、オモイカネ、エステバリスに通信を繋げて)」

不思議に思った少女は、件のエステバリスに通信を繋げた。

ピッ

「……ぇ」

通信ウインドゥが二つ現れ、それに映し出される人物の顔に少女は言葉を失くす。

『ブリッジ。 今から俺らが囮になる。さっさと脱出しろ』

『お〜い、聞こえてますか〜?』

呆然と言葉を失っている少女は、カイトの言葉にハッと我を取り戻す。

「あ、はい。…ですが、ナデシコは艦長不在の為、マスターキーが無いので現在航行不能です」

皆の視線がこちらに向くのを感じながら、ルリは溜息混じりに答える。

『艦長がいないだと?!』

『馬鹿じゃないの?その艦長』

「…いやはや、面目ない」

何時の間にかブリッジにやってきていたプロスが、胃を抑えながら答えると、ブリッジ上段の扉がスライドし、

人影が素早く駆け込んで来た。

「私が艦長のミスマル・ユリカでぇっす!!ブイ!!」

「「「「ぶい?」」」

「馬鹿?」

『…ミスマル、ユリカだと…?!』

状況を全く理解してなさそうな、能天気な笑顔でVサインをする艦長・ミスマルユリカ。

皆は呆れた視線を向けるが、通信の向こう側の二人は違っていた。

『兄さん!堪えて!!』

「どうしたんですか?」

様子のおかしい二人に、ルリは思わず声を掛ける。

『何故奴が――「ああ!!どこかで見た事があると思ったらぁ、アキトとカイトじゃないの〜!!

 ユリカがピンチの時に来てくれるなんて、やっぱり二人はユリカの王子様だね♪」――っっっ!?!?!?』

『! オペレーター、通信を切って!!』

「は、はい」

騒ぐ艦長を、厳しい視線で睨み付ける二人――主に、アキトの視線に底知れぬ憎悪を感じた少女は、思わずカイトの言われたとおりに通信を遮断した。

「「「「………」」」」

唐突に切ったので、皆から妙な視線を戴いた少女は、

「…エステバリス、地上に出ます」

誤魔化した。















「いやー、何とか切り抜けられましたなぁ」

戦闘が終わり、ホッとした様子で話すプロスに一同は思い同じく頷く。

「あの二人のパイロットのお陰だな…ミスター、彼らは何者です」

ゴートが不思議に思っている事をプロスに訊ねるが、プロスが口を開く前にフクベが呟く。

「…火星ユートピアコロニー駐留部隊『メタルファング』所属、テンカワ アキト、カイト」

「「メタルファング?!」」

「火星で全滅したはずじゃ…」

意外な名に、驚きの声があがるブリッジ。

「書面上はそうなっていますが、彼らは独自の方法で火星を脱出しています。

 尤も、他のメンバーの生存は不明なのですが…」

プシュッ

プロスが言葉を区切ると同時に、話題の二人がやってきた。

「報告に来たのだが」

「あー!!!!やっぱりアキトとカイトだ!久しぶり〜元気だった?」

「…よく言う」   「兄さん、堪えてよ」

苦虫を潰した様な表情のアキトに、カイトは自制を促す。

そんな二人に気づかず、ユリカはその口を休めることなく喋り続ける。

「か、艦長。お二人とはお知り合いで?」

「はい!二人は火星に住んでいた時にお隣さんだった、幼馴染なんですよ〜。

 特にアキトは私の事好きで、王子様なんですよ!」

状況が上手く飲み込めていない一同を代表し、ユリカに訊ねるプロスに彼女は満面の笑みで答えると、

感極まったのかアキト目掛けて走り出し、抱きついた。

が、次の瞬間――

バンッ!! 「きゃっ?!…どうして…?!」

ユリカは勢い良く振りほどかれ、アキトから厳しい視線を叩きつけられる。

「気安く触んじゃねぇよ、この疫病神がっ! いや、悪魔!!」

「……」

本気の憎悪を目の当たりにしたブリッジ一同は、呆然と立ち竦む。

それをもろに受けているユリカは、何故自分がこの様な暴言を突かれているのかも分からず、オロオロする。

が、アキトの言葉はまだまだ続く。

「元気だった?王子様だぁ?お前の事が好きだぁ? ふざけんなよ?!

 今でも覚えているぞ!? 笑いながら俺を突き落としそのまま放置して、俺の腕と足を奪ったお前…」

そう言って、アキトは右腕の裾を捲し上げて突きつける。

その腕は――

「機械…義手?」

誰かが呟く。

そう、彼の右腕は最先端の技術を用いられて作られた機械鎧<オートメイル>であった。

「それだけじゃない。 お前は嫌がるカイトを無理やり廃車に閉じ込めた後、そのまま忘れて家に帰った。

 その後どうなったか、分かるか? カイトはそのまま廃車と共に処理されそうになったんだよ!!

 いや、半分は処理されてたがな。 奇跡的にも命を取り留めたカイトは体の半分以上を人工の物に…!」

「嘘だよ〜私、そんなことしてないよ〜」

ユリカのその言葉に、アキトは拳を振り上げるが直前でカイトに止められる。

「兄さん…その女に何を言っても無駄だよ。覚えてないんだから

「…ふん」

バイザーで表情が隠れたカイトだが、アキトは彼の顔を見て感じ取り、拳を収めるとユリカを一瞥し、

「罪の呵責を感じない人間、艦長としては最高の人材かもな!!

 しかしなぁ、こんなのに命預けるのは俺は絶対に嫌だ」

皮肉気に、ワザと聞こえるように言うとアキトはブリッジに居るのが――いや、ユリカと同じ空気を吸っているのが

嫌なアキトはサッサとブリッジから出て行く。

それを黙って見送った一同は、後に続いて出て行こうとするカイトに視線を向ける。

「…別に今更艦長にどうこうしようとは、兄さんも思ってませんよ。

 ただ――許せないんですよ、僕も兄さんも。だからあまり近づかないほうがいいですよ…僕達には。

 衝動的って言葉もありますから。 ではプロスさん、先に部屋に戻ってますので」

そう言ってカイトも、呆然と立ち竦む一同を残しブリッジから姿を消した。
















「…ん?」

「こ、こんばんは」

夜食を探し、自動販売機の前に立って物色していたアキトは、来客の言葉に少々驚く。

昼間、ブリッジで見かけた時の彼女は無表情・無関心のように見えたので、

自分に声を掛けたりするような娘ではないと思っていたからである。

「隣、いいですか?」

「あぁ」

とりあえずハンバーガーを買ったアキトは、備え付けの椅子に腰掛けると彼女も彼の隣に腰掛けてくる。

「…あの」

ハンバーガーに噛り付きながら、見上げるような形で話しかける少女にアキトは何だと答える。

「テンカワさんは、あのメタルファングのテンカワ アキトさんですか?」

「あぁそうだが?」

怪訝な表情を浮かべるアキトだが、少女はアキトの肯定の言葉に満面の笑みを浮かべる。

「本物…なんですね。 私、ずっと貴方の事見ていました――云わば『ファン』って物ですね」

最後の台詞が無ければある意味告白にも取れる発言に、アキトは不思議そうに首を傾げる。

昼間のあの出来事で、クルーからは引かれている筈なのだ。

「君は、俺の事が怖いとか思わないのかい? この腕も足も、他の人とは違う」

苦渋を浮かべながら話すアキトに、少女は首を横に振る。

「私も似たような物ですから…」

どこか儚げな笑みを浮かべる少女に釘付けになってしまったアキトは、彼女の他の人とは違う瞳の色に気づく。

「…そうか」

自分達兄弟より境遇の悪い人物を目の前にして、アキトは自分の小ささに恥ずかしさを覚える。

「どうして俺を知っているんだい?それにファンって…」

雰囲気を変えるべく、話題を変えたアキトは気に掛かっていた事を訊ねる。

「興味があったからです」

「興味?」

「はい」

少々恥ずかしかったらしく頬を薄く染める少女に、アキトも何故か赤面する。

こう、直に好意を伝えられると弱いらしい。


そのまま無言が続き、時間は流れていく…。

「明日も早いだろう、そろそろお別れだ」

スッと立ち上がって彼女の返答を待つアキト。

「はいそうですね。 では、明日…「あ、待ってくれ」 何ですか?」

チラリと彼を見ると、ペコリとお辞儀をして歩き出す少女をアキトは呼び止める。

「まだ、君の名前を聞いてなかった。 君の名前は?」

その問いに、体ごと彼に振り向き、金色の瞳で彼を見つめながら少女は答えた。

「ホシノ ルリです」


アキトにとって、運命的な人物となる少女との出会いであった。

















あとがき

ネタです! 分りにくいですが、鋼錬とナデシコのクロスオーバーのバージョン2です。

クロスといっても、微妙な設定しかクロスしてませんが。

しかもユリカヘイト…。が、アキト×ルリ。

カイトが目立ってない^^;

彼はアルフォンス君扱いで、体の50%以上を人工の物を入れてます。

内臓は人工内臓、手足と胴体の一部は機械鎧。

唯一無事な部分は、頭部と大事なところ(ォィ

顔に大きな傷を負っている。

って処ですかね・・・カイトの設定はw

二人は、火星に残してきた守るべき人達が気になり火星へと向かいます…。


私はこの作品の著作権を放棄しませんが、ネタとして皆様に公開します。

これを元に構想を膨らませて長編に発展させてくださいw

その際は連絡でもくださいな。

私?私はやりません(マテ

つか発展できるものならやってみろっとw


P.S うーむ、このシリーズ…もしもシリーズってタイトル付けて沢山やってみようなぁ。



感想

エフィンさんが新たに作品を持ってきてくださりました♪ 

鋼の錬金術士とナデシコとのクロス パターンBですね。 

ユリカへイトがキッツい作品ですね(汗) 何も原因をそこにせんでも…

アキトの両親は死んだ訳ですし、試してみる価値はあるかもしれなかったですが…

私とアキトさんが結ばれる作品ですし、とり合えず目をつぶっておきましょう♪

むむぅ、でも考えてみれば鋼になってはいても錬金術はでてくるのかという疑問はありますね。

その辺どういう処理になっているのか気になるところです。

私は、とりあえず
アキトさんと結ばれるなら問題ないです! 次回作を期待したい所で すね♪



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