最終章 そしていつもの光景が始まる


「ユングてめぇぇぇぇぇ!?」

 学校の昼休み・・・敬介が大声を上げて教室に入ってくると、ユングの席の前まで来た。

「てめぇ今度は何しやがった!?」

「ほ?」

「“ほ?”じゃねぇ!!男子の連中が俺をまるで親の敵のような目をして追ってきやがる!」

「それってあたしに関係あるの?」

「て・め・ぇ・はぁぁぁぁ!!」

 敬介がユングに殴りかかろうとした瞬間、ユングが教室の扉のほうを指差して言った。

「いいの敬介?みんな追いついちゃったみたいだよ?」

「何!?」

 敬介が振り返ると、そこにはどんよりと鈍く光る獣の目をした野郎が一、二、三、四、五・・・・・・一杯いた。

「ゴット〜ク〜ンアッソビッマショ〜?」

「あ・・・あが・・・・がが・・・・」

 敬介は恐怖した。大勢の野郎に囲まれ、猫なで声で迫られることがこんなにも嫌悪感を伴うものだったなんて・・・全身鳥肌が立ちっぱなしである。

「・・・・背に腹変えられん!ユング、この事は家に帰ってじっくり聞き出すから覚悟してやがれ!!」

 敬介はそれだけ言うと、教室のベランダに踊りでると、そのまま下へと飛び降りた。何度も言うようだが、敬介やユングのいるクラスの教室は三階にある。

「っく・・・・逃げられたか・・・!追え!!全員で手分けをして探すぞ!!」

 野郎共のリーダーと思われる坂崎はそれだけ叫ぶと、教室の外へと出て行った。

「はぁ・・・毎度毎度大変ねぇ〜。敬介にもちょっと同情するわ」

 敬介の作ったお弁当にのんびりと箸をつけながら、ユングは呟いた。

「ちょっとってお前・・・まぁ、いいか。それにしても、お前いつから後藤のこと名前で呼ぶようになったんだ?」

 一緒にお昼をとっていた小野崎が不思議そうに聞いた。

「あぁ・・・。まぁ、胸につかえてたものが取れて、抵抗がなくなった・・・ただそれだけ」

 その時彼女が浮かべた笑みは、女の小野崎でもドキッと来るような艶やかさがあった。

「そ・・・そうか・・・まぁ、仲良き事はいいことだ」

 動揺する心を抑えながらも、小野崎はうんうんと頷いて見せた。

「あ、見てみて!敬介のやつ、見つかったみたい」

 ユングが校舎の外で追いかけっこを再開した敬介たちを見つけ、指差した。

「お・・・本当だ。あいつらも本当にのんきだよなぁ・・・」

 小野崎も彼らの姿を見て、思わず微笑んだ。

「天下泰平世は事も無し・・・平和だねぇ〜」

 風は南風、空は快晴・・・彼らの春はまだ始まったばかりだった。


























死神狂想曲
〜さよならの初恋〜

著者 頑無






















後書き

 構想約一月実際執筆期間は二ヶ月でしょうか?

 血反吐はきながら自らにかせた枷を解かぬ様必死こいてやりました(笑)。

 ワードにして約30Pという枷は大 変重たかった・・・。

 実際細かい所を書ききれなかったこともあり、自分の筆力のなさを痛感させられる一本でした。

 しかし、初めてのオリジナルという事 で・・・頂いた暑中見舞いのお返しに贈らせていただきます。

 だいぶ遅れてしまいましたが(泣)。

 気に入っていただけたら幸いです。

感想

頑無さんに残暑見舞いのお返しとして頂きました♪

オリジナル長編のファンタジーラブコメですね!

コメントの流れが分りやすいので非常に読みやすいです♪

内容も基本はコミカルにそして、ホロリとさせる部分を内包している一粒で二度美味しい作品です!

しかし、旧い私はユングと聞くとトップを狙えを思い出しますけど(爆)

二人はこれから仲むつまじくなっていく事を感じさせる、ハッピーなラストでよかったです♪

何のかんの言っても私はハッピーエンドが好きですから!

エンドまでとてもいけそうに無い人 が何言ってますか!

頑無さんはオリジナルを完成させるという
偉業を達成されたというのに!

そうだねぇ、私もオリジナルはない事もないけど…

長編化が怖くて始められない(汗)

ふう…確かに、頑無さんのような実力が無いんですから当然でしょうが…

せめて私のSSだけは
完結させないと消されますよ?

ゾゾー…(汗)

でも、頑無さん綺麗に纏めてます ね、起承転結全てそろってます。

彼女との出会い、その行動への驚き、彼女の真実、そして日常へ。

とまあ、こんな感じでしょうか?

なかなかできるものじゃないですよ。


そうだね、長編としては短いから全部詰め込んであるのは実力が高いからだろうね〜

今後も、頑無さんの作品が見られる といいですね。




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