要注意!! これは本編終了後としてのかんなりIFな展開です。

実際にこのようなカップリングになるかどうかはまったくの未知数。加えて良い終わり方になるかどうかも決まってません。

あくまで短編!! あくまでifの世界!! そのことを了承してくださってからお読みください。

ついでにネタバレも激しくいっぱいありますので。

 

 

 

Summon Night

-The Tutelary of Darkness-

IFカップリング
パターン3 アティ

 

 

 

ここはユクレス村。ユクレスの木の根元ではどこから持って来たのかわからない大きな鐘と、即席の長椅子がいくつも並べられ、その中心には十字架が飾 られた神父が立つ台のようなものがあった。

またその台へと続くのは真紅の絨毯。そして両端には中が見えないようにカーテンでしきりがされた衣装台。

青空の下ではあるが正にこれは教会そのもの。なぜこんなものが作られたのかというと、これから行なわれるのは女性にとって一番とも取れる人生のイベ ント。

互い苦難の道を乗り越えて互いの親から信頼も得、永遠の仲と愛を神の前にて誓い合い、育ててくれた親に感謝し、純白の衣装で新たな門出となる一歩を 踏み出し、これからの人に祝福を願うブーケを投げる。

そう、結婚式なのだ!!

「まさかあの二人が結婚するなんてね」

「野暮なことは言いっこなしですよアルディラ」

「……」 まず式場に現れたのは意外そうなアルディラ、幸せそうなサレナとわずかに顔を綻ばせるクノンの機界の者たち。

「よもやあの二人の祝言に招かれるとはな」

「私はどうにも落ち着かないのですが……」

「いいじゃんか。気にすんなよキュウマ」

「まさかこの年になって結婚式に呼ばれるとは思っとらんかったわい」

アルディラたちに続いてやってきたのはミスミ、キュウマ、スバル、ゲンジの鬼妖界の者たち。

「ウェディングドレス姿……楽しみですね」

「ええ、まったくです」

続いてファリエル、フレイズの霊界の者たち。

「ったく、面倒くせぇ」

「さぼっちゃダメですよシマシマさん」

「そうだよぉ」

「けっ」

最後に来たのは相変わらず面倒くさそうなヤッファ、それを咎めるマルルゥとパナシェの幻獣界の者たち。

「悪ぃ悪ぃ、まだ始まってねえよな?」

「んもう! アニキのせいで遅れたら一生恨むからね!!」

「どうやらセーフみたいよ、二人とも」

走ってきたらしく額に汗が浮かんでいるカイル、疲れているのにぶすっと頬を膨らませるソノラ、二人をなだめるスカーレルのカイル一家の面々。

もう一人、ヤードがいないのにはきちんと理由があるが、それは後々に明らかになるためここでは言及しないでおこう。

「……なんでワシらまで参加しにゃならんのじゃ」

「まあまあ、何だかんだであの二人にはお世話になったわけですさかい」

「「「「「「そうです、船長」」」」」」

カイルたちに遅れる形でやって来たのはジャキーニとオウキーニ、六つ子船員たちのジャキーニ一家。

「結婚式……か。私にもいつかそんな日が来るのだろうか」

「姉さんならきっといい人が見つかるよ」

「そうであります」

少し憂いの入った表情のアズリアに苦笑するイスラ、ならば自分がとはどうしても言えないギャレオたち軍人のもの。

他にも新郎新婦と少しでもかかわり合った者たちが、彼らを祝福しようとこの簡単に作られた青空教会へと集まってきている。

どれだけの時間が経っただろうか、きちっと粧し込んだ二人の小さな少女と神父らしい黒の装束に包まれたがゆっくりと台の上に立つ。

「皆様、今日はお集りいただき本当にありがとうございます」

真紅のワンピースの少女、ベルフラウが最初に口を開く。

「これから新しい門出となる二人のために、本当にありがとうございます」

純白のワンピースの少女、アリーゼがその後に続いて頭を下げる。

「それでは新郎新婦の入場です。皆様、拍手でお迎えください」

最後に神父衣装のヤードが締めくくり、生徒二人が衣装台の傍へと立つ。

さっきまで喧噪で騒々しかった青空教会の周囲はしんとなり、固唾を飲んで見守る中でゆっくりとカーテンが上がっていく。

カーテンが完全に上がって現れた二人の姿に目を奪われて言葉を失い、拍手することすらも忘れて悠然と台へと向かい歩く二人を見続ける。

普段の彼を知る者であれば顔の半分以上を隠すバイザーのせいで見えないその瞳が、これほどに優しく穏やかで人を惹きつける目をしていることに驚くだ ろう。

そして普段は漆黒のみの衣装も無垢を意味する純白のそれに包まれていて、敵を屠る牙を隠した心優しき獣となっている。

「新郎、テンカワ・アキト」

一方も同様だった。普段から紅と白を愛用する彼女ではあるが今日の衣装は――どこかの姫を思わせる――見事なまでの白。

女性というよりもどこか少女のような魅力が際立つ彼女が、大人の美しさだけを感じさせる花嫁姿は島にいる誰よりも輝いている。

「新婦、アティ・キャロル」

神父の役目を務めるヤードの導きで一歩ずつ、その歩を進めていく。

その度に思い出すここまでの長くて辛かった旅路。

かつての友や義娘を捨て、惰性のように火星の後継者の残党を狩っていく中で限界を迎えた体が引き寄せられた世界。そこで新たに出来た護る者たちのた めに朽ちる体を気にせず凶刃を振るったアキト。

軍人としての役目を自ら放棄し、戻るに戻れぬ状況の中でたまたま助けた偉いさんの娘たちの家庭教師を引き受けた。そこで傷つきながらも常に笑ってい よう、誰もが幸せになれるようにと頑張ったアティ。

島を侵そうとしていたエルゴに反するもの「ディ・エルゴ」との決着もつけた後は、誰にも悟られぬようは静かに死を迎えるつもりだったアキト。

ディ・エルゴとの決着をつけ皆が鍋を囲んでお祝いをしている中、立ち去っていく姿を必死に追って自らの想いの丈を全て打ち明けたアティ。

どこまでも真っ直ぐで昔の彼を彷彿とさせるほどのお人好し、でも彼女の周りにいる人たちは彼女がいるだけで笑顔になる、そんな不思議な魅力を持つ人 だから引き寄せられたアキト。

弱くて脆い心を必死に押し隠してまで傷ついて、ただ皆がいつまでも平穏でいられる世界の礎になろうとした、そんなどこまでも優しくて不器用な人だか ら魅かれていったアティ。

そんな彼女との出会いは偶然に彩られた必然。だからかもしれない、彼と彼女が互いに惹かれ合ったのは。

そうして過去を思い出している内にヤードたちの前、教会の中心へと辿り着き微笑み合いながら次の言葉を待つ。

「えー、本来ならば色々と言わなければならないことがあるのですが、この際ですからそれらは全て省かせていただきます。

皆様、よろしいですね?」

否定の声は一切上がらない。

「……では、新郎、テンカワ・アキト。汝はいつかいかなる時であろうとも新婦アティ・キャロルと共に生き、共に悩み、共に歩み続けることをここに誓 いますか?」

「ああ」

相変わらずな無愛想の返事。けれどその口元に浮かぶのは暖かな笑顔。

「……では、新婦、アティ・キャロル。汝はいつかいかなる時であろうとも新婦テンカワ・アキトと共に生き、共に悩み、共に歩み続けることをここに誓 いますか?」

「はい」

元気の良い返事。いつもよりも一層輝いている太陽の笑顔。

二人の対照的なようでまったく同じ反応に少しだけ笑い、ヤードはさらに言葉を続けていく。

「それでは、誓いを示す指輪の交換を」

正面を向いてに立っていた二人は互いが見えるように向き直り、アキトは軽く微笑みアティはその笑顔にあてられて頬を朱に染める。

そこに子供たちが――主にスバルが――からかいの声を上げてアティをおちょくりだす。

もっとも、それは今のアティにとっては逆効果。逆に満面の笑みを浮かべて幸せいっぱいであることをアピールしている。

ちなみにアキトは赤くなっている顔を悟られないように頑張っている。

戦いが終わって心を覆う鎧がなくなったおかげで、ウブな頃のテンカワ・アキトに戻っているようだ。

皆を護る為に傷つき、血に塗れてささくれ立ったアキトの手をしっかりと握るアティ。

皆の笑顔にする為に、好きでもない戦いをくぐり抜けたアティの手をしっかりと握るアキト。

互いの手をしっかりと握り合ったところで、それぞれの薬指に質素ながらも愛情の感じられる銀色の指輪が通される。

『永久の愛をここに』

そう刻まれた指輪が。

「それでは、神の御元で誓いのキスを」

待ってましたとばかりにここに来ている面々が――なかでも男衆が――目を輝かせて「早くやれやれ」と急かしている。

対する女性陣も期待に満ちた目をしているが、そこまで露骨なものではない。

そんな空気にあてられてか、ぎこちなく見つめ合う二人。それでもほんの少しの逡巡の後――

「オォーーツ!!」

アキトの少し荒れて固い、アティの柔らかくて瑞々しい、二人の唇がしっかりと触れあった。

既に何度も重ね合っているとはいえ、衆人環視の前でやるというのはなかなか気恥ずかしかったようで、名残惜しむように離れた二人の顔は誰の目から見 ても赤い。

「今ここに新たなる夫婦が誕生しました。皆さん、盛大な拍手と共に二人の門出を祝ってあげましょう」

ヤードの言葉を受けるまでもなく全員が祝福と、ほんの少しのからかいを混ぜた拍手と歓声を送り始める。

「さあお二人とも」

「ああ、行こうかアティ」

「はい、きゃ」

アキトはアティの膝下と背中に腕を回す、いわゆるお姫様だっこの状態でアティを抱き上げたのだ。さっきアティが上げた可愛い悲鳴は突然にお姫様だっ こされたことによる恥ずかしさによるものだ。

それでも慣れているのか、すぐにアキトの首に手を回して落ちないようにしっかりとしがみつき、細いようで意外と鍛え上げられている胸元に顔をうずめ る。

その顔の何と幸せそうなことか。

その状態のまま長椅子の間を抜けていき、集まってきた皆が祝福の言葉をかけていく。

「おめでとう」

「末永くお幸せに、マスター」

「おめでとうございます」

アルディラ、サレナ、クノン。

「まさにおしどり夫婦よな」

「お幸せに」

「またいつでも遊びに来てくれよな!」

「いいものを見せてもらったわい」

ミスミ、キュウマ、スバル、ゲンジ。

「お似合いですよ、二人とも」

「貴方たちにアルミラ様の加護を」

ファリエル、フレイズ。

「がんばれよ」

「先生さんもくろくろさんも幸せそうですねー」

「うん、とっても幸せそう」

ヤッファ、マルルゥ、パナシェ。

「いいねえ、こういうのって」

「ちょっと、うらやましいかも」

「そうねえ、女の子の憧れだものね」

カイル、ソノラ、スカーレル。

「せっかくだから祝ってやるか」

「「「「「「へい、船長」」」」」」

「ほんま、素直やないんやから」

ジャキーニ、六つ子船員、オウキーニ。

「あれがあのアティなのか。私も、いつかは必ず」

「綺麗ですね」

「……(言葉が出ない)」

アズリア、イスラ、ギャレオ。

「ようやく一緒になったわね」

「二人ともあれで奥手でしたからね」

「けれど二人が結ばれるのは当然だったのでしょう」

ベルフラウ、アリーゼ、ヤード。

程度やかける言葉は違えども、皆が二人を心から祝福している。

「……アティ」

「? 何ですかアキ……あ、あなた」

突然の不意打ちにまた顔を真っ赤にするアキト。自分で言ったのに恥ずかしさから顔を真っ赤にするアティ。

それでも歩みを止めないあたりさすがといういべきか。

「……こほん、アティは俺と一緒になれて本当に幸せなのか? 俺は」

「またそのことですか。何度も言ったでしょ? 私はアキトさんだから、アキトさんがいてくれたから、私はここまで来ることが出来たんですよ。

だから後悔なんてしてませんし迷ってもいません。どんな姿であってもアキトさんはアキトさん、私の最愛の旦那さまなんですから」

「そう……か、そうだったな。つまらないことを聞いて悪いなアティ」

「いいんです。こうしてアキトさんと一緒になれただけで私は」

もう二人に言葉はいらない。互いの心は既に通じ合い、互いの想いも重ね合った。

闇から抜け出した王子様が抱えるのは大切な人。もう二度と離しはしない、奪われたりもしない。これから生涯を賭け、そして共に生きる人。

「アキトさん」

「ん?」

「私、とっても幸せです」

 

 

 

 

 

 

あとがき〜

ぺ〜ぺけぺ〜ぺ〜ぺっぺぺ〜←結婚式でよくかかる曲

ども、お久しぶりに投稿しやした?です。

今回のテーマはずばり結婚式。ファリエルは子供、サレナは結ばれた直後、とくれば後は結婚式しかないと思ったわけです。ない頭をひねってこれです、 ごめんなさい。

ちなみに結婚式の手順は勘です。知りませんし呼ばれたこともありません。つーより法律上、火焔煉獄は結婚できる歳じゃないですしw

イスラがいるのは単にご都合主義だから。細かいツッコミは一切なしで。

それに今回はなるべくシリアスをはずしてみようと努力してみたんですが、どうでしょうか? 最初はシリアスだけど、最後になるにつれてほのぼのとし て、甘々な展開になったかなーと思います。

今まで(といってもここと某所以外はないですけど)の火焔煉獄の作品と比べてですが。

とりあえず-The Tutelary of Darkness-、三大ヒロインは無事に終了。これからは本編のみに力を注いでいこうかと思ってます。

あ、本編アキトの相手どうしよう。

この人しかいないだろう!! という意見をお持ちの方、web拍手か感想掲示板にてお待ちしております。

 

P.S.ルリ様の結婚式も考えたのですが、明らかに犯罪なのでご容赦ください。

下僕の火焔煉獄より。

 

P.S.のP.S.

今回からH.N.を焔から火焔煉獄に、作品名を黒衣の異邦人から-The Tutelary of Darkness-へと変更いたしました。

名前は変わりましたが、これからもよろしく。

ちなみに、The Tutelary of Darknessは闇の守護者って意味です。

 



感想

焔さんとうとうアティENDを書いてしまいましたか…しかも、王道結婚式で…

焔さん最高! とうとう私も憧れの結婚式♪

やっぱり〜子供は最低三人は欲しいですね〜

アキトさんソックリな子供だといいなぁ〜♪


ははは…確かにアキトを幸せに出来る気もするけどね、アティの献身というのはゲーム上かなり凄いし…

ちょっと待ちなさい! 一体何が起こっているんですか!?

はははは(滝汗) さぁ…いったいどうしたんだろうねぇ…

ああ、そこの薄い胸の人結婚式の邪魔ですから出て行ってください。

ほほう、シルフェニアで私にたてつく人がいるなん て…って

今何と言いました!?

薄い胸の人

いえ、それではなく…というかそれも問題ですが…

はっきり言わないと分りませんか?

私とアキトさん結 婚式の邪魔だと言ったんです!

そこの人…それは本当ですか…?

そこのひとって…まだハンドルすら憶えてもらってなかったんすか(汗)

そんな事はどうでもいいんです!

さっき赤白原色女の言った事は本当か!? と聞いているんで す!!

ええ、まぁ…焔さん頑張って結婚させてくれちゃいました。

流石焔さん! 分ってらっしゃいます!

時代が呼んでいるヒロインって言うんですか? ぺったん如きには出来ない芸当でしょう?

ぷちッ(怒#)

なんだか…今までの怒りとレベルが違うような…まずい…逃げねば。

大丈夫ですよ♪ 今の私に敵う人いないです!!

いらない…

え…(汗)

シルフェニアなんて…いらない…

この状態は…まさか…

一体どうしたんです?

いや、確かに原作を考えるなら…ありうる…だとすれば…ここにいるのはまずい!!

フォ ン…フォン…

ルリさんの周りに妙な光が集まって…

やはり、ロストグラウンドの悪魔形態…間に合わなかったか…

失礼な…これは水色の妖精形態です。(ニコ)

見た目は水着か何かを着ているみたいなのに…凄いプレッシャーですね(汗)

アルターが右腕一本から体全体に回ったんだ…単純に10倍位は強いと思う…

それって…

早い話が無敵ってことかな(滝汗)

そんな! 卑怯です!

卑怯? 私を絶望させた貴方が悪いんです。

さあ、喰らって消えなさい。

私の自慢の拳をぉー!!!

まだ負けません!! 黒い鳩シールド!!

ってちょっとまてーーー!!!! 私をたてにする津もりかぁ!!!?(滝汗)

私の幸せの為 に散ってください!

いーやーじゃあーーー!!!!
じゃあ黒い鳩さんの分も私が幸 せになってあげますからぁ!!

あほかぁーーー!!!!

すごご ごご!!

ギャすん…!!?(砕け散った音)

役に立たないとは思っていましたが、一瞬で消えるなんて…なんて威力…

ぇー!!
 
どごごー んー!!

まさか…私…まで…結婚…したのになぁ…

ふん、私とアキトさんを引き離す世 界ならその存在全てを否定してあげます…

(反省文…申し訳ありません、悪乗りが過ぎてしまいました。正直書いていて楽しかったですが…全然感想になってませんね(汗)

 それと、私はアティヒロインは当然嫌いではありません、あくまでノリですのでお許しを…)

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焔さんへの感想は掲示板で 頂ければ幸いです♪



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