―河口湖駅―
「お疲れ様でーす。」
この言葉により今日の業務は終了した。
もう終電が終わってからもう1時間半経っていた。
(もうこんな時間か。早く帰らないと…)
自分のバイクのエンジン音が駐車場へ鳴り響く。明後日からゴールデンウィークだ。その日には大切な約束がある…
―富士山―
もう約束の日、つまりゴールデンウィーク、刻が経つのは早い。
約束の場所はいつも業務している駅の河口湖駅だ。まだ約束の時間まで30分ある…
待合室で待っておこう。
「おまったせ〜。」
声が響く。彼女は山中かなで、私の親友であり、約束の相手である。
「みーな、もしかして待たせた?」
「ううん、全然、私が早く来すぎただけ。それより早く乗ろう。」
「わかった。」
『間もなく、フジサン特急、大月行発車致します。ご利用の方はお急ぎください。』
アナウンスが流れる。
緩やかなにフジサン特急は加速してゆく。
『この電車はフジサン特急、大月行です。途中の停車駅ご案内致します。富士急ハイランド、富士山、都留文科大学前、終点大月の順に停車して参ります。』
「誘ってくれて有り難う。」
「いつもお世話になってるから、お互い様。」
「うん。」
「でも、いつも業務してるところのお客さんになるってなんだか変だなぁ。」
「ふふふ。」
『間もなく、富士山です。進行方向が変わります。』
―甲信越抜け―
『間もなく、終点大月です。JR中央東線はお乗り換えです。』
「もうここまで来たのね。」
「ねぇ、かなで。」
「何?。」
「何か歌ってよ〜。」
「うーんっと…」
*****
『間もなく、上野原です。』
「もう神奈川県かぁ。」
「といっても2駅分だけだけど。そしたらもう東京よ。」
―東京へ―
『間もなく、高尾です。京王電鉄線はお乗り換えです。』
「乗り換えよっか。」
「そうね。」
目的地、東京はもうすぐだ。
高尾〜新宿を京王電鉄、
新宿〜東京を山手線である。
*****
『間もなく、終点北野です。京王線はお乗り換えです。』
「さぁ、楽しみだなぁ、スイーツ♪」
「そうね。」
私達の目的は東京駅で最近オープンしたスイーツ専門店である。噂によればすぐ売り切れるとか。買えるといいけど…
「京王9755G発車!」
今から乗る列車の運転手も鉄道むすめのようだ。
*****
「新宿停車、3秒円。」
ドアが開く。音が響く。この新宿駅は地下にホームがあるのだ。
「あの〜」
「えっ?」
さっきの鉄道むすめが声をかけてきた。
「大月みーなさんですか?」
図星だ。
「そうですが、なんで私のことを…」
「旅行雑誌のタビィークで見ました。あっ、私、京王電鉄で運転手をしています、橋本わかばです。よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
「貴方は?」
「私ですか?私は山中かなでと申します。富士急でバスガイドをしています。よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。申し訳ありませんが、まだ仕事続いてるのでまた今度で。」
彼女はまた折り返して行った。
*****
『間もなく、電車が参ります。危ないですので黄色い線の内側までお下がりください。』
山手線が停車位置ぴったりに止まりドアが電子チャイムとともに開く。そしてどっさりと人が降りてゆく。車内に入るといつも乗っている車両とはだいぶ違った世界が広がっていた。運行案内板や新型ロングシートなど。
日本一の乗客利用者数の駅、路線だけあってどんどん人が乗ってくる。一体どこからこんなに人が溢れてくるのか不思議なくらいだ。
「やっぱ東京は格が違うね。高層ビルばっかりなんだもん。」
「それだけじゃないよ。だってこんなにきれいなんだし。」
各駅ごとに人がどんどん入れ替わってゆく。東京はやっぱり凄いと思う。
『間もなく、東京です。お乗り換えのご案内を致します。東北、山形、秋田、上越、長野、東海道新幹線、東北本線、総武本線、京葉線、東京メトロ線…』
―東京駅―
「はぁ、東京駅に着いたものはいいものの、東京駅にあるスイーツ専門店なんて…
多すぎる。」
「これからどーするの〜?」
「そんなこと言われても…」
「「お困りのでしょうか?」」
きれいに声がハモった。
この人達は…清掃の人(鉄道むすめ)かな。
「あっ、この人だよ、お姉ちゃん。」
「この人って?」
「知らないの!?この人が大月みーなさんだよ。」
「!?」
これじゃ新宿駅と全く同じだ。
「ふふふ。有名人ね。」
かなでまでのってきた。
「申し遅れました。私達、コメットスーパーバイザーの平泉あおばと。」
「平泉つばさです。」
「私は山中かなでと申します。富士急でバスガイドをしています。よろしくお願いします。」
「「よろしくお願いします。」」
「本題に戻りまして、お困りでしょうか。」
「あっ、はい。実は最近オープンしたスイーツ専門店に行きたくて…、分かりますかね?」
「それならこの角を左に曲がっていただいて。」
「そのまままっすぐ行きますと、新幹線の改札口のところに出ますから。」
「そこから、総武本線ホーム方向に約100メートルすすんだところに有りますよ。」
「「ありがとうございます!」」
私達は教えられた通りに進んで行った。
*****
「うーん、どれにしよう…」
私達は平泉姉妹に教えられた通りに進んで現在、目的の場所で悩んでいる。
「みーなはどれにするの?」
「うーん…、じゃあこれで。」
「それじゃあ私はこっち!」
*****
「あれっ?みーなさんじゃないですかー。」
「えっ?、あっ、まなちゃん。」
「知り合い?」
こくり、
「奇遇ですね。」
「これからどこに?」
「広島です。あっ、よかったら一緒にどうですか?お姉ちゃんが、タビィークの働く鉄道むすめのコーナーの取材分席とったんですけど急用で行けなくなって、私だけであと2席分あるんですよ〜。」
「あれっ?まなちゃんって三陸鉄道の駅務員さんになったんじゃ…」
「はい、でも、今週はゴールデンウィークで休みでちょうど、広島電鉄と山陽新幹線の取材があっるってことででついてくことにしようと思ったんですけど、取材が中止になって…」
「あっあの〜…」
「あっ、私、釜石まなといいます。よろしくお願いしまーす。」
「はっはい。私山中かなでと申します。富士急でバスガイドをしています。」
「すっご〜い。で一緒に広島行きませんか?」
「どうするかなで?」
「私はいいよ。」
「じゃあ御言葉に甘えて。」
「ということで急ぎましょう。」
「えっ?」
「新幹線出るまであと20分くらいですから…」
「「えっ?え〜!!」」
―東海道新幹線下り―
もう新幹線に乗っている。正直あと1分で発車とか。『間もなく、14番線からのぞみ363号新大阪行が発車します。次の停車駅は品川です。』なんだかすごい展開でここまで来てしまった。この先大丈夫なのか。
「あの〜、なんで広島行じゃなくて新大阪行なんですか?」
「それはですね元々新大阪駅で取材するつもりだったので…」
『ティンコン ティンコン』
ドアが閉まる音がなる。そしてゆっくり加速を始め新大阪に向けて動き出す。品川まであと8分。ちなみにこの品川は近くに車庫があるから造るのに悩んだとか。
「いきなり、広島にって迷惑じゃなかったですか。」
「いえ、全然。こちらこそ誘ってくれて有り難うございます。」
「ちなみに服とかって持ってます?」
「もちろんです。ホテルに泊まる予定でしたから。」
「あれっ?キャンセルしてなくない?」
「……、キャンセルし忘れてた〜。どうしよう。」
「携帯は?」
「あっうん…、げっ、電池足りない…。」
「充電器は?」
「持ってきてるけど14時45分までにしないと。」
「今何時?」
「…、14時27分。」
ヒュイーン
『品川 品川…』
「どーすんの、みーな。」
「えっと…。」
「あの〜。」
「はい?」
「新幹線の公衆電話は…」
「それだ!」
*****
なんとかまなちゃんの提案でホテルはキャンセル出来た。ふー、助かった。
「すみません。いろいろバタバタしちゃって。」
「いえ、私が誘ってなかったらこんなことになってなかったので。」
「ということでお互い様ですか。」
騒動の後ですごく疲れた。ふわぁぁぁ。
*****
「みーなさん、かなでさん起きてください。もう新大阪ですよ。」
「え。」
もう新大阪か。というか新横浜ですっかり寝てしまったらしい。
「もう2人ともぐっすりなんですから。」
「すみません。」「ごめんなさい。」
「いえ、いいんです。あれっ?あの人は…。」
2話に続く
―あとがき―
作文…井口商工
はじめまして。私、井口 商工といいます。(もちろんペンネーム。)今回は読んで頂きありがとうございます。今回は東海にこだわりました。静岡県のみなさん富士山紹介なしですみません。なおまだまだこれからも続編を書くのでこれからもよろしくお願いします。
豆知識
N700のNはNEWやNEXTなどの意味があり、つまり新しい700系や700系の次の車両という意味があります。
うp(宣伝)…こっこ
おはこんばんちわっす。今回うpする(宣伝する)という形で協力させて頂きましたこっこと言います。
ちなみに私は全く鉄道むすめの知識はありません。
なんで、まずは原稿をうpしつつ勉強して行こうかと思います。
では、また2話がうpされた時に会いましょう。
押して頂けると作者の励みになりますm(__)m