スーパーロボット大戦α 〜Future Story〜
第二十一話「すれ違う思い 届かぬ叫び」
出撃したナデシコDは、連合軍の各艦隊と合流し、アクシズの後ろ姿を捉えていた。
しかし、その姿は最後方にいたのだ。
ナデシコD ブリッジ
「連合軍アクシズへ侵攻開始。」
「グラビティブラスト多数、ミサイルも接近。」
「フィールド展開。」
ユリカの声とともに強化ディストーションフィールドが張られ、グラビティブラストがそれていく。
「この量、今まで最大の抵抗だね。」
「敵攻撃はアクシズとの距離を一定にさせてるためみたい。MSの力に押されて機動兵器部隊も近づけていない。」
「・・・そろそろかな、イネスさん。」
「OKよ、こっちは任せなさい。」
ウインドウに、ジャンプの準備を進めたイネスが映る。
「各部署に通達、これより本艦はボソン・ジャンプによりアクシズ付近へ跳びます。これを最後の戦いにするためにも、
みなさんの力を貸してください。以上です。」
そうして艦内通信を切り、許可を出す。
「イネスさん、お願いします。」
「ええ・・・行くわよ。」
そして、ナデシコは煌きとともに姿を消す。
アクシズ宙域
ナデシコDが飛ぶ数秒前、ここはかつて類を見ない激戦区と化していた。
互いの機動兵器、そして戦艦が全ての力を出し切っているのだ。
その中に数機の機動兵器の姿、レウルーラ所属の姿もあった。
「全機予定通り、フォーメーションを崩さないで。」
セレスは今回、前衛に自分とハーリー、そしてミレイ、エリ、シズを置いていたのだ。
後衛にユウイチとローズ。これは旗艦であるレウルーラ、そして切り札を守るために格闘専用の二機を後ろに置いているのだ。
フェンリルとエピオンは滅多に射撃を行わない。もし間違っても切り札を傷つけることは避けるためであった。
そして確実に、二機は前衛部隊を抜けた者達を撃破していた。それを見て少しずつ前に出始めていた。
しかし・・・
「(おかしいわね、なぜナデシコの姿が無いの?)」
セレスは奇妙な違和感にかられていた。ここには彼らの、強烈なプレッシャーを感じないのだ。
「ユウイチ、ナデシコの姿が見えないのよ。そっちはどう?」
後方にいるフェンリルに通信を繋げる。
「いや、こっちは何も・・・ん?」
ユウイチは戦場とは別の、アクシズの左側に光らしきものを見た。センサーを最大にする。
「なっ!?」
そう、それはボソンの煌き・・・ナデシコDが姿を現したのだ。
「しまった、こいつらは囮か!?」
自分もローズも、各戦艦もアクシズから離れている。押されている連合を潰すために前へ出すぎた結果だった。
「セレス!ナデシコはアクシズの左にいやがる。こいつらは・・・囮だ!!」
それは、全機へ流す通信だった。
ナデシコD
「全機発進!」
ユリカの声とともに、スタンバイしていた各機が出撃する。
アクシズ宙域
「ちぃ!」
ユウイチは歯ぎしりをし、機体をアクシズへ戻す。エピオンのローズも気付いていたが、抜けてきた部隊の相手をしていたのだ。
やはり物量には差がありすぎたらしい。他の兵士もがんばっているが、どこかで抜けれてしまっていた。
その間、ユウイチはレミーに通信をした。
「レミー、そっちは任せたぜ!」
「了解よ、すぐみんなも行くわ。」
「急いでくれよ・・・マジでな!」
「各機、ナデシコの進む道を作れ!」
「了解。」×5
アキトが言い、全機はナデシコをエスコートするように進む。
ナデシコDが今出せる最大のスピードで進んでいく。
しかし、
「やってくれるじゃねえか、ええタカヤ!!」
それを遮るように現れたのは、蒼に身を包んだ凶鳥の姿。
「ユウイチ!?」
「簡単に行かせると思ってんのか!」
そう言い、ナデシコにツイン・ファングスラッシャーを投擲する。
だが、ダイゼンガーが前にでてフィールドを纏った両手で弾き返す。
「タカヤ!」
「シン、みなさん、ここは俺がやります。みなさんはアクシズへ。」
そうして村正を構える。
「行け!!」
叫び、フェンリルへ斬りかかった。
「ユリカさん。」
ルリの言葉に頷き、
「速度そのまま。突入!」
フェンリルがダイゼンガーとともに離れるのを確認し、ナデシコと残りの五機は進んでいく。
「くっ・・・タカヤー!!」
「うおおおー!!」
後方で、閃光が生まれていく。
ダイゼンガーの斬りをフェンリルはかわすが、とてもその巨体に似合わない素早い斬り返しをしてくる。
「ふっ、さすが!」
だがユウイチもやられっぱなしではない。隙さえあれば切り札をぶち込む用意をしていた。
ダイゼンガーは右のドリルを飛ばす。
フェンリルは咄嗟の攻撃に対処できず、左肩にかすってしまう。
「(また腕を上げたか、だが・・・)」
フェンリルは臆すことなく向かってきた。
「この程度で止められると思うなー!!」
右のガントレットでダイゼンガーを吹き飛ばす。
「くっ、この!!」
「させるかよ!!」
二人の戦士の叫びが、轟音とともに響いていく。
そして、戦場にいたセレスは各機に指示を出す。
「ハーリー君、ミレイ、エリ、シズ。私達もアクシズへ向かうわ、ナデシコが現れたのよ。」
「!?まさか。」
驚愕に染めたハーリーを見、
「嵌められたのよ、急ぎなさい!」
簡単に返し、全員に告げる。
「了解。」
「わかりました。」
「・・・」
前衛の二機の後方にいたヴァルキリーチーム三人はすぐに向かっていく。
しかし、ナイチンゲールは動けない。敵が集中していたのだ。
「セレスさん!?」
それにハーリーは機体を止めるが、
「先に行きなさい!」
援護のギラ・ドーガ達が来てくれたのを確認した。
「早く行きな!」
そのうちの一機が通信を入れてくる。そしてセレスの通信も来た。
「ユウイチとローズだけじゃ持たないわ。急ぎなさい!」
「了解!」
ウイングゼロは全速で向かって行った。しかし単独行動のせいでまたも足止めを喰らう。
あまりにも包囲されすぎたのだ。
フェンリルをかわしたナデシコは、あと少しでアクシズ表面に到達しそうだった。
だが、
「(この感じは。)」
シンは感じていた、ザラッとしたプレッシャーを。
「来るぞ!」
各機に告げ、ライフルを上空へ発射しする。
それをかわしてきたもの、それは深紅の翼をしまい、MSへ変形した。
「こいつは、エピオン!?」
「はあああ!!」
エピオンはグラビティブレードを装備し斬りかかってくる。
アキトはゼラニウムを前にだし、グラビティブレードで防ぐ。
だがその間に、ヤクト・ドーガUが三機迫っていた。
「シン君、ここは俺達がやる。」
「ああ、こいつらには借りがあるんでな。」
「提督達を頼むぜ。」
「行ってくれ。」
アキト、サブ、リョーコ、アカツキは続けて言う。
確かに高機動、そしてゼロシステムを持つエピオンを相手にするには多い方がよかった。
そして他のパイロットも恐らくニュータイプに近いものだとシンはクルーに言っていた。
それゆえに、ここは多めにいた方がいいと判断したのだ。
「・・・わかりました。ユリカさん、行きましょう。」
「うん、アキト、みんな、必ずまた後で!」
それだけ言い、ナデシコDはHi−νガンダムを連れアクシズへ進む。
「くっ!?」
エピオンは追いかけようとするが、ゼラニウムの発射するメガグラビティブラストを回避する。
「(こいつ、こいつは!)」
ローズは思い、機体を反転し、高速で動き始めた。
エピオンとともにヤクト・ドーガも攻撃してくる。
「お前らの相手は。」
「俺達だろーが!」
「テンカワ君、こっちは任せてくれ。」
迫るファンネルのビームをアンスリウム、サルビア、トールギスはフィールドで弾きながら向かっていく。
「あなた達も。」
「いい加減落ちなさいよ!」
「邪魔・・・」
ミレイ、エリ、シズは各パイロットに通信を送りながら戦う。
「まだガキじゃねえか!?」
リョーコは彼女達の若さに驚いていたが、すぐさま気を引き締める。
「でも悪いが、邪魔するなら容赦しねえぜ!」
「こっちのセリフです!」
リョーコ・サブはエリとシズ、アカツキはミレイと戦う構図になっていた。
そのころアキトも、エピオンの動きに苦戦していた。
「くそ。」
巧みに背後、側面からエピオンクロー、グラビティブレードを振られ翻弄されていた。
だが・・・
「なっ!?」
突如エピオンのパイロット、ローズが通信を送ってきた。
二機は動きが止まる。
「あなたがいなければ・・・」
「?」
「あなたがいるから、ハリは!」
「!?」
そこにいる女、ヘルメットを上げたローズが、ハーリーの名を出す。
「ハリは苦しんでいる、あなたが・・・あなたのせいで!」
「何だと?」
「私はハリを苦しめる者は許さない、どんな相手でも!」
そう言い再び襲いかかってくるエピオン。
ゼラニウムは大型ブースターを全開にし高速移動をしながら、コンテナを開く。
そこから飛び出すラック、マイクロミサイルが放出され、エピオンへ向かっていく。
だがエピオンは向かってくるミサイルの嵐を見、バード形態へ移り上空へ飛ぶ。
何をとアキトは思っていたが、エピオンはそのまま急降下し、ゼラニウムへ突っ込んできたのだ。
「なっ!?」
「落ちなさい。」
そして直前で進路を変更する。ミサイル群はエピオンが避けたためそのままゼラニウムに向かってきた。
「しまった!?」
アキトはフィールドを展開させたが、弾頭はフィールドを無効化させるものだった。
次第にフィールドが弱まり、レベルが下がっていく。
「ぐっ、くそ!」
アキトは右のコンテナから大型ミサイルのラックを発射し、フィールドを解除と同時に一気に後退する。
ミサイル群はコンテナを直撃し、大爆発を起こした。ゼラニウムはその勢いも利用し後退していったのだ。
かなりの離れ技である。一つ間違えば自分も木端微塵だったのだ、アキトの技量がよくわかる。
だがエピオンは逃がしてはくれなかった。
「「喰らえ!!」」
リョーコはサブと並ぶように攻撃をしている。
だがグラビティライフル、ミサイルも当たらず、二人はすでに右腕のパックをパージしていた。
「「この舞、受けなさい!」」
しかしエリ、シズの攻撃も同様に当たっていない。
ミッションパックの効果が早くも出ていた。ファンネルの連続攻撃を回避しつづけている。
バーニアも限界を迎えることもなく、常に高速移動が実現できるようになっていた。
「ちっ、やりずれえな!」
アンスリウムはメガビームサーベルを両手に持ち、迫りくるビームを払う。
リョーコのカンの良さは、的確に、確実に攻撃を防いでいた。
サブも機体を回転させながらレールカノンをばらまく。
これには二機も回避しきれず、フィールドで防ぐ。
「そこだ!」
リョーコは急接近しグラビティナイフを振り、エリのフィールドを切り裂いた。
「!?」
そして左のメガビームサーベルを突き立てようとするが、
「エリ!」
シズの操る黒のヤクト・ドーガUが間に入り、ビームサーベルで受け止める。
「やらせない・・・!」
普段物静かなシズが感情をむきにし睨んでいる。
この隙にエリの白いヤクト・ドーガUがビームサーベルを抜く。
しかしサルビアが急降下し体当たりをしてきた。それによって両者が離れ、振り出しに戻る。
二対二の戦いが行われている中、少し離れた場所でも閃光が生まれていた。
「はああ!」
「ふん!」
トールギスと青のヤクト・ドーガUが、互いのビームサーベルをぶつけていた。
出力は互角、ならばパイロットの技量は・・・こちらも同じくらいだ。
「まったく、君みたいなかわいい娘が敵何て、やりづらいなあ。」
「そうですかね!?」
「そうさ。」
「私、優男は嫌いです。」
その言葉はアカツキにグサッと刺さる。
「(きっつ〜・・・)」
そしてファンネルが飛んでくる。
「おおっと。」
だがトールギスは華麗に回避し、シールドを突き刺そうとする。
「しかし、腕はいいですね。」
ミレイは先読みしていたらしく、あらかじめシールドを構えていた。
「ふっ、嬉しいねえ。しかし・・・」
アカツキは真面目な顔になり、機体を動かす。
「このトールギス、甘く見ないでくれたまえ。」
その言葉にミレイは何かを感じていた。
そしてナデシコDはアクシズに到着し、上部にある坑道に向かっていた。
「ミナトさん、距離は?」
「あと少しよ。」
「・・・視認可能。」
ラピスが言い、モニターに映る場所には、分りにくいが確かに下へ続く道が見えた。
「整備班へ繋げて。」
「了解。」
ウインドウにはナデシコ下部が開いており、爆破班の姿が見える。
全員ノーマルスーツを着用し、プチMSに乗っていた。
「これより降下し、坑道へ侵入。爆破の準備をお願いします。ウリバタケさん、頑張ってください。」
「あいよルリルリ。」
「プロスさん、お気をつけて。」
「はい、提督の補佐をお願いしますぞ、アオイさん。」
「ゲンイチロウ、失敗したら七代祟ってやるからね!」
「お前に言われるまでもない。」
「・・・ゴート。」
「わかっている、やるべきことをやるだけだ。ナデシコを頼むぞ。」
しかし、香織は黙っていた。いや、何かを見ている。
「(タカヤ、私も戦うわ。あなただけに任せておけないからね。)」
それを大事そうに仕舞い、ナデシコが所定位置に着いた。
「降下開始。」
ユリカの声と共に各機がゆっくりとホバリングしばがら降りていく。
プチMS達は一機ずつ坑道へ入って行った。
「アキト達の方は?」
「膠着しています、お互いに一歩も動けないようです。」
「・・・ユキナちゃん、シン君に繋げて。」
「了解。」
ウインドウにシンが映る。
「ユリカさん、どうしました?」
「シン君、あなたにはアクシズの核パルスの停止に向かって欲しいの。」
「俺がですか!?ナデシコは?」
「フィールドがあるから大丈夫だよ、今現状でフィールドを抜けられるのはシン君だけなの。
核パルスの方に向かって。」
「・・・わかりました、速攻で片づけてきます。」
そうして、Hi−νガンダムは核パルスの方へ向かって行った。
「くっ、まったく出遅れてる。」
先ほど包囲を抜けたウイングゼロは最大スピードで戻っていた。
そして、一つの戦闘をみつける。
「ユウイチさん!?」
フェンリルとダイゼンガーがスパークを上げながら拳をぶつけていた。
ハーリーは機体を操作し、ダイゼンガーにグラビティライフルを放つ。
「!?ハーリーか。」
タカヤは接近警報の方を見、白い翼をはためかせたウイングゼロを確認する。
機体のフェンリルの後方に降り立ち、ユウイチに通信を繋げた。
「ユウイチさん。」
「ハーリー、ここはいい。お前はアクシズに向かえ!」
「えっ。」
その言葉にハーリーは驚く。
「ダイゼンガーは・・・タカヤは、俺が討つ。」
「・・・」
その顔は、いつもとは違い真剣なまなざしだった。
「お前の相手は決まってるだろ。」
「!?」
脳裏に浮かぶ、白き機体。
「今度こそ決着をつけるんだ。」
そして、テンカワ・アキトの姿。
「それがお前の役目だ・・・終わらせろよ、今度こそな!」
「はい!」
「急げ、ローズが戦っている!」
「!?ローズが。」
「行け!!」
ウインドウの中で頷いたハーリーは、ダイゼンガーを無視し機体をアクシズへ向かわせた。
そして、再び二機は戦闘を開始する。
ナデシコがアクシズにたどり着いたころ、ゼラニウムはエピオンと高速戦闘を行っていた。
「そこだ!」
アームが伸び、左右のコンテナからバズーカを取り出す。
そのまま照準を合わせ発射した。
しかしエピオンはゼロシステムによりすでに動きを読んでいた。その弾丸を接近しながら回転によってかわす。
かつてハーリーとのゲームでもみせた動き、そして懐に飛び込む。
「ハリはあなたがいる限り苦しみつづける。テンカワアキト、あなたがハリを苦しめる存在なんです!」
モノアイが強く光り、ブレードが伸びる。
「(俺が・・・彼を苦しめているだと!?)」
グラビティブレードが振り上げられる。しかしアキトは待ち望んでいたのだ。
下ろされるブレードの持つ右手を、左のバズーカで受け止めたのだ。
「なっ!?」
そして、あいている右のバズーカを向ける。
「くっ。」
エピオンは咄嗟に至近距離でシールドをかざすが、間に合わなかった。
弾丸は頭部を吹き飛ばす。
その勢いで、各システムに障害が発生する。
「右腕が反応しない。エンジンもトラブル、フェアリーにも・・・」
サブカメラは生きていたが、ほとんどの武器を失ってしまった。
「もうやめろ、君の負けだ。」
アキトが通信をいれてくる。
「何を。私は負けていない!」
ローズは機体で唯一使える武器、ヒートロッドを構え、突進する。
「くっ。」
ゼラニウムはその攻撃を回避する。
「ハリを死なせはしない!」
「君は・・・くっ、もうやめろー!」
そして再び振り下ろせれるヒートロッドを、肩から突き出されたビームサーベルで斬り、
もう一方のビームサーベルを抜き・・・エピオンへ突き立てた。
「きゃあああ!!」
エネルギーはエピオンの胸の球体を貫き、ローズのいるコクピットに強力なシステムの逆流が起こった。
それはIFSを通して身体に流れる。
目の前が真っ暗になり、意識が失いかけた時・・・
「ローズ!!!!」
一つの叫びだけが、彼女の心に届いていた。
「(ハ、リ・・・)」
そして意識を失ってしまう。
ハーリーは目の前の光景が信じられなかった。
自分の愛する者の機体が、ビームサーベルによって貫かれている。
モノアイも光が消え、各所がスパークを起こしている。
そしてやった者が・・・テンカワ・アキトだということも。
あの光景がフラッシュバックした。目の前で殺されたルカの姿が。
気がつけば勝手に動いていた。
ツインロンググラビティブレードを振り上げゼラニウムへ突貫していた。
ゼラニウムはブースターで後退していく中、ウイングゼロは武器を仕舞い変わり果てた兄弟機、エピオンに触れる。
通信も故障しているのか応答がない。
「・・・」
自分の鼓動だけがやけにはっきり聞こえる。
そして真っ白だった頭で、何かが弾けた。
それは・・・純粋な、殺意。
そして発光する球形のモニター部に表示される、ZEROの四文字。
闇に包まれるコクピットの中、ハーリーは伏せていた顔を上げる。
涙を溜め、全開のZEROシステムの影響で光りを失った蒼い瞳、そして顔にナノマシンの発光が見られた。
だがいつもとは違う、この前の暴走とも違う。
狂ってなどいない・・・
そして、アキトに通信が来る。
「・・・」
「ハーリー君・・・」
黙ったままのハーリーの顔を見て、アキトは悲しみが起こった。
そう、ハーリーはすでに。
「あなただけは・・・殺す!」
そして始まる。二人の最後の戦いが・・・
ウイングゼロは、グラビティライフルを構えた。
シンは機体を奔らせ、アクシズの後部に迫っていた。
邪魔もなく、あと少しで核パルスへ到着しそうだった。
しかし、
「!?」
シンの脳裏に予感がはしる。
「セレス!」
前に降り立ったナイチンゲールが、グラビティライフルを発射する。
「シン!」
そうして銃撃をかわし、二機はビームサーベルを抜き放つ。
一閃 通り過ぎ互いの剣がスパークを上げ、再び戻ってくる。
「うおおおお!!」
「はああああ!!」
ビームサーベルを互いのシールドで受ける。
お互いが同時に離れ、念じる。
「行け、フィン・ファンネル!」
「ファンネル!」
ここに、最強のニュータイプ達が激突する。
かつての戦いが、今再び始まったのだ。
そして、アクシズは地球へ進む・・・多くの命とともに。
次回予告
戦いは人によって生み出され、人は戦いによって平和に目覚める。
その度に流される多くの血と散りゆく命。アクシズの地球落下が意味するもの。
終局を迎える戦場で、否定と肯定の狭間の中、戦士達の命が混迷の戦場に木霊する。
正しき答えはどちらなのか・・・
人は戦いの果てにどこへ向かっていくのか・・・
そして、最後の勝者は。
スーパーロボット大戦α 〜Future Story〜
第二十二話「メビウスの輪を超えて」
ハーリー「・・・あなたは、そうやってまた逃げるんですか!」
アキト「ハーリー君、俺と同じ過ちを繰り返してはだめだ!!」
ユウイチ「俺を超えるか、タカヤ!!」
タカヤ「ユウイチ・・・勝負だ!!」
セレス「ナンセンスよ、こんなやり方は!?」
シン「この機体は・・・ガンダムの名は、伊達じゃねえんだ!!」
作者とキャラによる座談会
犬夜「本日はアキトに続き主役の二人、シンとタカヤに来てもらいました。」
シン「こんちは。」
タカヤ「出番を増やして欲しいタカヤです。」
犬夜「二人ともよく来てくれました、歓迎してますよ。」
タカヤ「しかし作者よ、ついにやっちまったな。」
犬夜「何が?」
シン「ハーリーが、SE○D覚醒しちまっただろ。ぶっちぎれてさ。」
犬夜「・・・違うよ。」
タカヤ「目をそらすなよ。」
犬夜「あれはゼロシステムの影響だし、関係ないから。(一応彼もコーディネイターだけど)」
タカヤ「・・・まっ、確かに目の前で恋人を傷つけられりゃあな。普通はキレるな。」
シン「まあいいけど作者、突然で悪いんだが・・・」
犬夜「?」
シン「何故俺には彼女がいないんだ!?」
タカヤ「あ〜そう言えば。」
シン「ナデシコメインの男性キャラでくっついてないのは俺ぐらいだぞ!あのハーリーでさえいるんだぞ!!」
犬夜「うっ、それは・・・」
シン「最初(ボツになったレジェンド)の設定では作るって言っただろ!」
タカヤ「確かにな、やはり主役級はヒロインがいるのもお約束だが。俺には香織がいるし。」
シン「で、いつ登場だ?」
犬夜「・・・」
シン「何故黙る?」
犬夜「いや、すっかり忘れてたの。」
タカヤ「・・・哀れだな、シン(笑)」
シン「ふざけんなー!さっさと書け!」
犬夜「大学あるし、めんどいし・・・」
犬夜「何より一人くらい不幸がいたってね。」
シン「俺じゃなくハーリーの役目だろうが!作者のばっきゃろー!!ちくしょ〜〜!!!」
シンは駆けて行った・・・涙を残して。
タカヤ「おいおい、ハーリー並のダッシュだな。」
犬夜「別にほっとけばいいよ、子供じゃないんだし。大体ハーリーはもうルリに固執してないし、要因自体が消えてるから。」
タカヤ「まああいつの不幸の原因ってよく言われてるしな。しかし、シンってキレると結構やばいぞ?」
犬夜「シンごときに何が出来るのさ。はっはっは。」
と・・・
ズンッ
タカヤ「?」
犬夜「何だ?」
そして、振り向いた先に降り立ったものは・・・
犬夜・タカヤ「「Hi−νガンダム!?」」
そして、一つのウインドウが開く。
タカヤ「あれ、シンなのか?」
シンは何故か赤い瞳に、赤い軍服のようなものを、そして襟の下の部分に羽のような飾りをつけていた。
犬夜「シ、シン?」
シン「あんたが悪いんだ・・・」
犬夜「えっ!?」
シン「あんたが、あんたが裏切るからー!!」
パリーン シンの中で何かが割れた(笑)
目線が遠くなり、やばい雰囲気が漂う。
犬夜「そ、それは‘シン’違いだー!!」
シン「うわあああ!!」
ビームサーベルを振り上げたたきつけようとする、が、
犬夜「待て、ちゃんと用意はしてあるんだ。」
ピタッ 頭上でサーベルが止まる。
シン「・・・本当か?」
犬夜「も、もちろん(ここを回避できればなんとでもなるさ)」
シン「そうなのか・・・」
だが、そううまくいかないのが世の真理。
「惑わされるな、シン!」
レ○・ザ・バレル、いやタカヤが叫ぶ。
シン「レ・・・じゃないタカヤ?」
犬夜「(こいつなりきってるな)」
タカヤ「そんなことを、こいつがやると思っているのか?」
犬夜「なっ!?」
タカヤ「議長・・・いや、香織を危険な目に合わせ、我らを裏切り、踏みにじろうとする。それを許すのか!?」
犬夜「いや、それは逆恨みじゃ。というかストーリー上仕方無いんだけど(汗)」
タカヤ「(作者無視)お前は言ったろ、どんな敵とでも戦うと。」
シン「!?」
何故か驚くシン。っていうかいつ言ったんだ?
タカヤ「我らがやらなければいけないんだ、シン!例え相手が作者でもだ!!」
犬夜「いや、そんなオーバーな。」
シン「くっ・・・はあ、はあ、はあ。」
多くの葛藤の末、シンは。
シン「やっぱ決行!」
あっさりと決めた。
犬夜「そんな、やめてくれー!!」
作者、脱走。いつの間にか雷鳴が鳴り響き、空が曇っている。
すでに顔は青ざめ真っ青だ。
シン「死ねええええ!!」
犬夜「誰か〜!」
ドスッ
タカヤ「(口調が戻り)え〜見事に作者が討たれましたので、ここは俺が仕切ります。」
タカヤ「それではまた、本編で!」
押して頂けると作者の励みになりますm(__)m
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