アーマードコア・ネクサス クリスタルメモリー

第一話「イレギュラー」



イレギュラー

それは、この企業同士が争う世界において”不確定要素”と呼ばれる者のこと。
そして企業が最も恐れる者であり、排除しなければならない存在。

彼もまた、「イレギュラー」の一人であった。



「そろそろ作戦領域に到達します。準備をお願いします」

コックピットの通信回線が開き、オペレーターの音声が耳に入ってくる。
オペレーターの名は、ナターニャと言う。勿論、女性だ。
クリーム色の長い髪で、とても優しく、穏やかな性格をしている。

そんなナターニャの声でカタスは目を覚ます。

「あーあ、もう着いちゃったの? もう少し寝たかったのにな」

カタスはカタストロフィーというレイヴン名を短くして言っている名である。
短い黒髪で、14という若さでレイヴンをやっている。

「ほら、起きてください。家に帰ったら存分に寝れますから」

「まあ、そうだけどさ・・・」

「それに私が作ったご飯もまってますから、がんばって下さい」

「・・・分かったよ」

そう言うとカタスはコックピットの真ん中にあるスイッチを押す。

”メインシステム、戦闘モード起動します”

コンピューターで合成された音声が流れた後、クリスタルヴァイス(カタスの愛機のACである)の
モードが通常モードから、戦闘モードへ切り替わる。
この日受けた依頼は、ミラージュ社からの「要人襲撃」という依頼だった。
内容は重要な人物をのせたヘリを撃墜する、という簡単な物だった。
これだけで報酬金額が20000cももらえるという理由で、カタスはこの依頼を受けた。

「作戦領域に到着しました これよりACを投下します」

ナターニャが喋り終わると同時にクリスタヴァイスは輸送ヘリから投下された。

クリスタルヴァイスは暗い青色をした重量二脚ACで、右肩にグレネード、左肩にチェインガン、右腕に
バズーカ、そして左腕にはイレギュラーの象徴とされる「月光」と呼ばれるブレードが装備されている。
そして左肩には月のエンブレムが刻まれている。

地面につくと、クリスタルヴァイスの頭部パーツが暗視モードへ切り替わる。
暗視モードは主に夜間作戦の時に使用される。これにより暗闇でも戦闘が可能になるのである。

しばらくその場で待機していると、一機のヘリが西から飛来してきた。

「あれか・・・」

カタスは右腕のバズーカを構え、ヘリに向かって撃った。

「うわぁぁぁぁぁぁ!」

断末魔が聞こえ、ヘリは落ちていった。

「これで終わりっと・・・」

と、思っていたらナターニャから通信が入る。

「北西に熱源反応! ACです! 」

「何だと!?」

カタスは北西の方向にACの向きを変える。ACはブースターで加速し、こちらに接近してくる。
そのACを見た瞬間、二人は驚愕する。

「っ! こいつは!!」

「そんな、どうして・・・!」

そのACは血の色に近い暗い赤色をしていた。背中にはグレネードとミサイルを搭載し、右腕には
ライフルが、そして左腕には「月光」のブレードが装備されていた。
何より二人が一番驚いたのは、左肩には数字の「9」が刻まれていたこと、そして「月光」が
装備されていることだった。

「ナインボール!?」

「おいおい、冗談じゃないぞ!」

ナインボール。

それはかつてアリーナで「最強」と呼ばれたレイヴンで、伝説にまでなったが今の時代でこの伝説を
知る者は少ない。そしてその話は数百年も前の時代のものだ。
なのになぜ今、目の前にそいつがいるのか。考えても分からなかった。

「そのブレード・・・貴様、イレギュラーだな」

この世界は「月光」のブレードをつけているACは全て”イレギュラー”扱いされる。
カタスもその一人だ。

「俺はコイツに勝てるのか・・・?」

そんな不安が頭をよぎった。



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